3: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:12:09.39 ID:E9Wg47sA0
J( 'ー`)し「ブーン、ご飯よー」

( ^ω^)「おはようだお、カーチャン」

(´・ω・`)「やあ、ようこそ朝食の場へ」

( ^ω^)「Uzeeeeeeeeee」

J( 'ー`)し「バカなことやってないで、早くご飯食べちゃいなさい」

( ^ω^)(´・ω・`)「HA☆A☆KU」



( ^ω^)(´・ω・`)兄弟のようです



4: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:13:16.20 ID:E9Wg47sA0
(´・ω・`)「兄さん、昨日は何時まで勉強してたの?」

( ^ω^)「昨日は3時までじゅけんべんきょーだお」

J( 'ー`)し「夜更かしはよくないわ。早寝早起きしなきゃ、授業内容が頭に入らないでしょ!」

( ^ω^)「大丈夫、眠くなったら鼻にワサビ塗ればいいお」

(´・ω・`)(本当は3時までエロゲしてたんでしょ)

( ^ω^)(フヒwwwwサーセンwwwwwwwww)

(´・ω・`)(まったく。受験生とは思えないね)

そう、僕―内藤ホライゾン(通称:ブーン)―は受験生だ。
センター試験まであと約半年の高校3年生である、受験生。
まともに生きるもの皆ぶち当たる壁、受験生。
センターという名の『聖戦』へと参戦する戦士、受験生。
鳴かぬなら 勉強しようぜ 受験生。



6: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:14:45.82 ID:E9Wg47sA0
そしてこいつは弟のショボーン。
二つ下の僕の弟。
同じVIP高校に通っている。
僕より勉強の要領がいい、自慢の弟。

( ^ω^)(バーロー。センターなんてなぁ、学校の授業ちゃんと聞いてればいいんだよ)

僕はこれでも、授業をまともに聞いていれば家で勉強しなくても偏差値60は軽く超える。
まあ新作エロゲやAVが手に入ったときは別の話だけどね。四六時中そのことばっかり考えてる。
高2のときに買ったエロゲ『ξ ゚听)ξあたしのお兄ちゃんとお友達のようです』はマジでヤバかった。
もうね、プレイしてから2ヶ月間すっと勃起してたんじゃねーかってくらいヤバかった。
ちなみにその時期の定期テストは偏差値40を切ったさ。

(´・ω・`)(それならいいけど、心配だなぁ…)

J( 'ー`)し「なにコソコソ喋ってるの?」

( ^ω^)「なんでもないおー」

J( 'ー`)し「無駄話してないで早く学校行きなさい、殺めるぞ」

(; ^ω^)「サーセン」

カーチャンは本気なのか冗談なのかよくわからないことを言う。
うん、一度鼻の上のあたりにグーぶち込まれたときは、死んだと思ったし。



7: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:16:35.27 ID:E9Wg47sA0
(´・ω・`)「行って来まーす」

( ^ω^)「待てよショボーン、僕も一緒に行くお!」

J( 'ー`)し「……行ってらっしゃい」

…?
カーチャンの顔が一瞬だけ暗かった。

(´・ω・`)「兄さんと並んで学校に行くの、久しぶりだね」

( ^ω^)「…そうだっけ? 一昨日も一緒だったお?」

(´・ω・`)「兄さんにとって一日ぶり? それなら僕にとって久しぶりなんだよ」

( ^ω^)「…そうか」

最近の僕は、勉強勉強勉強エロゲ勉強で、全然ショボーンと遊んでない。
高2まで一緒にキャッチボールしたり、帰りにゲーセンや本屋で時間潰したりしてたのに。



8: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:18:02.43 ID:E9Wg47sA0
( ^ω^)(明日、一緒にキャッチボールでもしてやるお)

(´・ω・`)「? なにニヤニヤしてんの? キモいよ」

(# ^ω^)「うっせ」



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---


キリーツ、レイ、サヨーナラー

( <●><●>)「はい、さようなら。帰ったらすぐ勉強するんですよ」

( ^ω^)(…先生も勉強勉強って、うっせーお)

( <●><●>)「内藤君、キミが私のことを煩いと思ってることくらいわかってます」

(; ^ω^)「そんなこと思ってないですお」

川 ゚ -゚)「やあ、ブーン。放課後暇か?」

( ^ω^)「んー、7時まで図書室で勉強してるお」

川 ゚ -゚)「じゃあ付き合ってくれ」

( ^ω^)「……」



9: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:20:29.03 ID:E9Wg47sA0
川 ゚ -゚)「勘違いするな。勉強に付き合ってくれ、という意味だ」

( ^ω^)「ほんの一瞬だけ夢を見た自分がバカだったお」

彼女は素直クール(通称:クー)。
同じクラスの幼馴染。
美人生徒会会長兼801っ子。

川 ゚ -゚)「なかなか自分の英訳に自信がなくてな。アドバイスが欲しい」

( ^ω^)「じゃあ僕もわからないところがあったら教えてくれお」

川 ゚ -゚)「ああ、構わない。…すまないな、こんなときに」

( ^ω^)「何を言ってるんだお! こんなときこそ、勉強だお! センター迫ってるんだお!?」

川 ゚ ー゚)「そう、だな。ありがとう。…お前は強いな」

( ^ω^)「お?」

( <●><●>)「キミたち、教室に残るなら鍵閉め お ね が い ね v」

( ^ω^)川 ゚ -゚)「キモスwwwwwwww」

( <●><●>)「…先生だって、ちょっとふざけてみたかったんです」



10: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:22:30.50 ID:E9Wg47sA0
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放課後の図書室には、同じ学年のやつらが勢ぞろい。
皆参考書を開いたり、鉛筆カリカリ鳴らしたり、鉛筆削ったり、鉛筆噛んだり…
とにかく、静寂が広がっている。

( ^ω^)「どの席もいっぱいだお」

川 ゚ -゚)「ドクオのところが空いてるじゃないか。相席させてもらおう」

クーの目線の先には、隣のクラスのドクオが座っている。
ドクオと僕は、中学からの腐れ縁。
ドクオのおかげで、僕は大人の階段を5段ほど跳ばして駆け抜けた。
本当に感謝しているよ、彼には。

( ^ω^)「おいすー、ドクオ。隣空いてるお?」



11: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:25:10.09 ID:E9Wg47sA0
('A`)「おー、全然おk。あと二人なら座れる」

川 ゚ -゚)「じゃあ私とブーンで二人だな」

('A`)「……てめ、裏切りやがって」

( ^ω^)「おいおいドクオ君、誤解だお。君の思っていることは、僕がさっき見たひと時の甘酸っぱい夢とリンクしている」

('A`)「あ、そうなの」

川 ゚ -゚)「誰がこんなキモヲタと付き合うか」

( ^ω^)('A`)「フヒwwwwwwサーセンwwwwwww」

それから沈黙が続いた。
たまに互いに質問し合うくらいで、それ以外は鉛筆を動かし続けるばかり。

( ^ω^)(ショボーンのやつ、もう帰ったかお…?)

('A`)「どうした、ブーン?」

( ^ω^)「いや、ショボーンはもう帰ったかなと思ったんだお」

川 ゚ -゚)「……」



12: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:28:27.54 ID:E9Wg47sA0
('A`)「ああ、そうか。きっと帰っただろうな。俺たち受験生とは違うんだから」

( ^ω^)「そうだお! 受験勉強のせいで、全然ショボーンと遊んでやれてないんだお!」

('A`)「そうだよね、受験勉強なんて死ねばいいのにね」

( ^ω^)「だから明日、ショボーンと一緒にキャッチボールしようと思ってるんだお! ドクオも一緒に来るお!」

('A`)「俺も?」

( ^ω^)「二人より三人のほうが楽しいお、絶対! ショボーンも喜ぶお! そうだ、クーも一緒に…」


('A`)「二人だろ」



なぜ、だろう。

なぜこの時、彼の言葉がこんなにも痛く、悲しく、辛く感じたんだろう。



13: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:31:44.85 ID:E9Wg47sA0
('A`)「おい、いい加減にしろ。俺らは受験控えてんだ。
     ダメな俺だって、大学目指してんだよ」

(; ^ω^)「そんなキャッチボールぐらいでムキになるなお…」

('A`)「この際だから言うが、お前とは違うんだ。正直、お前と付き合ってる時間はねえ」

(; ^ω^)「そんなこと 言 わ ず に v 10分だけでいいんだお?w」

バキッ

どこにそんな力があったのかわからないが、
ドクオの鉛筆が折れた。

('A`)「………」

(; ^ω^)「…いや、その……嫌なら別にいいんだお」

('A`)「殺してやろうか」

(; ^ω^)「…は?」

('A`)「いっそのこと、お前も死んでみろ」



14: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:34:33.74 ID:E9Wg47sA0
川;゚ -゚)「おい、ドクオ。それは聞き捨てならんぞ」

( A )「うるせえよ、クー。俺は、今のこいつを見たくねえんだ」

( ^ω^)「……」

('A`)「不愉快。帰るわ」

テキパキと私物を鞄にしまい込むその姿に、どこか苛立ちを覚えた。
どうして、彼はこんなにも僕を…

('A`)「あーあ。久しぶりに会ったと思ったらこれだもんな。やっと戻ったと思ったのに」

去り際に吐き捨てる彼の言葉の意味を、僕は理解できないでいる。


('A`)「昔のお前は、どこに行っちまったんだよ」


ドクオが図書室を出たと同時に、ザワザワと外野どもが騒ぎ出した。
「なんだろう」「内藤だろ」「ドクオ君かわいそう」「うほっ」

( ^ω^)「…ねえ、クー」



15: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:37:25.73 ID:E9Wg47sA0
川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「僕は、昔とは違うのかお?」

川 ゚ -゚)「…率直に言ってしまえば、キミに“合わせる”のに疲れたんだろう」

( ^ω^)「エゴだお」

どうして?と彼女は問う。
どうして問う?
答えは簡単すぎるだろう。

( ^ω^)「嫌なら嫌って言えばいいんだお。僕はそこまで嫌なこと言ってないお」

川 ゚ -゚)「そろそろ7時だ。図書室も閉まるし、そろそろ帰ろうか。それと…」

( ^ω^)「?」

川 ゚ -゚)「明日、ドクオにちゃんと謝りなさい」

( ^ω^)「は…? どうしてだお」



16: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:39:55.22 ID:E9Wg47sA0
川 ゚ -゚)「それくらい自分で考えろ」

そう言い残して彼女も図書室を出た。
帰路の上で、何度も思い返した。
クーの目から向けられた、自分を哀れ見たような眼差しを。



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---


( ´ω`)「…ただいま」

J( 'ー`)し「あら、おかえり。どうしたの?」

( ´ω`)「…どうもしないお」

そう言って、僕は2階へ上がった。



17: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:41:13.42 ID:E9Wg47sA0
ドアが四つある。
僕の部屋・ショボーンの部屋・トーチャンの書斎・両親の寝室
僕の足は自然とショボーンの部屋へ向けられていた。

J( 'ー`)し「ショボーンの部屋に行くの?」

( ´ω`)「うん」

J( 'ー`)し「そう。ご飯ができたら呼ぶからね」


( ・∀・)「……」

J( 'ー`)し「あなた…」

( ・∀・)「ブーンのやつ、虐められたりしてない、よな」

J( 'ー`)し「あの子は人の恨みを買ったりする子じゃないわ」

( ・∀・)「そうだよな。でも、今日のブーンはいつもより元気が無い」

J( 'ー`)し「ええ…きっと―――――」



18: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:43:35.03 ID:E9Wg47sA0
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(´・ω・`)「うわっ! なに勝手に部屋入って来てるの!? ノックぐらいしてよ!」

( ^ω^)「フヒwwwただいまんこwwwww」

ショボーンは自分の机に座って何かを見ていた。
それをサッと背中に隠した。
怪しい…。

(*^ω^)「なんだおなんだお? 今何を隠したんだお?www」

(;´・ω・)「う、うるさいなー。兄さんには関係な…あ!」

ショボーンの手から取り上げたのは、一枚の写真。
僕とショボーンが笑っている。

( ^ω^)「なんだ、『えろいもの』かと思ったお」

(´・ω・`)「不純だ」



19: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:45:55.88 ID:E9Wg47sA0
一年くらい前の写真だった。
二人とも屋根に上っている。
たしかショボーンの部屋の雨漏りが酷くて、トーチャンが屋根を修理していたときのこと。
トーチャンがよせと言うのに、僕とショボーンが屋根に上って、
どういうわけかデジカメも持ち出したカーチャンも一緒に上って、写真を撮ったんだ。

( ^ω^)「あー、この時トーチャンもカーチャンも屋根に上って、なんだかんだで屋根でお昼食べたんだお」

(´・ω・`)「そうそう、カーチャンがオニギリ作ってさ。ピクニック気分で」

( ^ω^)「途中で雨が降り出して大変だったおwww」

(´・ω・`)「そうだったねww ところで兄さん、何の用?」

写真に気を取られて、何をしに来たのかすっかり忘れていた。

( ^ω^)「あ、そうそう。明日一緒にキャッチボールするお! 放課後、公園で」

(;´・ω・)「いいの? 兄さん受験勉強しなくちゃ…」



20: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:48:16.03 ID:E9Wg47sA0
( ^ω^)「いいんだお、一日くらい息抜きが必要だおwwwww」

(´・ω・`)「とか言って、またエロゲで息抜きするんでしょ」

( ^ω^)「うっせwwwww」

その時、今日の図書室の出来事を思い出した。

( ^ω^)「そうだ。聞いてくれお、ショボーン! 今日の放課後―――」





(# ^ω^)「どう考えてもドクオのエゴです。本当にありがとうございました!」



21: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:50:35.72 ID:E9Wg47sA0
(´・ω・`)「しかたないよー。受験生なら、遊んでる暇なんてないんだし」

(# ^ω^)「てめえもドクオ党か!?」

(´・ω・`)「嫌な党だなあ」

J( 'ー`)し「お夕飯できたわよー」

( ^ω^)「今行くおー」



------------
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時間は23時。
なんだか今日は疲れたから、早く寝よう。
勉強する気も、エロゲをする気も、起きない。

( ^ω^)「おやすみなさいだお」



22: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:52:37.33 ID:E9Wg47sA0
J( 'ー`)し「おやすみ」

( ・∀・)「ああ、おやすみブーン」

2階へ上がるとき、階段の下からショボーンの声がした。
リビングから一緒に出てきたようだ。

(´・ω・`)「もう寝る」

( ^ω^)「僕も今日は早く寝るお」

ショボーンが少し笑った。

( ^ω^)「僕おかしなこと言ったかお?」

(´・ω・`)「ううん。ただ、明日楽しみだなーって。久しぶりに兄さんと遊べるんだし」

( ^ω^)「おう、早く帰ってくるおww」

(´・ω・`)「あ、兄さん。明日何の日か覚えてる?」

( ^ω^)「んー???」



24: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:56:05.67 ID:E9Wg47sA0
(´・ω・`)「わからない? でも明日になったらわかるさ。おやすみー」

( ^ω^)「ちょwww木になる木になるwwwww I will be TREE.」





( ^ω^)「…明日ドクオに謝ろう。そして怒った訳を聞こう」

このまま険悪な仲は嫌なんだ。


『殺してやろうか。いっそのこと、お前も死んでみろ』


( ^ω^)(……)

ふと過ぎった、ドクオの言葉。
ドクオが本当に殺しに来たりして…。

(; ^ω^)(大丈夫だお。窓の鍵はちゃんと閉めてるお…)

でも窓割られたらどうしよう、通学路で襲われたらどうしよう、
とか考えてるうちに、僕は眠りに落ちた。



25: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:58:33.86 ID:E9Wg47sA0
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------
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( ^ω^)「おはよー」

J( 'ー`)し「あら、ブーンがこんなに早く起きてくるなんて珍しいわね」

テーブルには、二つの朝食が並べられていた。
トーチャンはいつも朝が早いから、僕たちより先に食べて仕事に行く。

( ^ω^)「あれ、カーチャンは食べないの?」

J( 'ー`)し「なに言ってるの。一緒に食べるわよ。ほら、味噌スープが冷めちゃうわ」

そう言って朝食の前に座った。
残った朝食はひとつ。

( ^ω^)「僕のは?」

J( 'ー`)し「え、これがブーンのだけど…」

( ^ω^)「じゃあショボーンのは?」

J( 'ー`)し「あら、お友達が来てたの!? なら昨日のうちに言っておきなさいよー」

( ^ω^)「…?」



26: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:59:15.64 ID:E9Wg47sA0



なにを言ってるんだ、この人は。



28: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:00:39.01 ID:E9Wg47sA0
( ^ω^)「カーチャン、ショボーンは弟だお…」

J( 'ー`)し「寝言は寝て言いなさい」



J( 'ー`)し「あなたに弟はいないでしょ?」



( ^ω^ )

( ^ω^)「嫌な冗談だお。不愉快、もう学校行くお」

ああ、きっと昨日のドクオも、こんな気持ちだったんだ。



30: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:03:33.71 ID:E9Wg47sA0
J(;'ー`)し「待ちなさい! ちゃんとご飯食べて…」

僕は乱暴にドアを閉めて、学校へ走った。


( ^ω^)「カーチャンのバカ…酷いこと言うお…」

川 ゚ -゚)「おはよう、ブーン。どうしたんだ、浮かない顔して?」

( ^ω^)「クー…実はカーチャンがカクカクシカジカ」

川 ゚ -゚)「…?」

( ^ω^)「お…?」

川 ゚ -゚)「内藤ホライゾン君、イイ精神病院知ってるんだが、今から行くか?」

( ^ω^)「な、クーまで…」

川 ゚ -゚)「いや、冗談だ。真に受けないでくれ」



31: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:05:39.28 ID:E9Wg47sA0
…そうだ、そうだよ。
クーはいつだって冗談キツイんだから…



川 ゚ -゚)「キミは一人っ子だろう」



( ^ω^ )



32: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:07:57.72 ID:E9Wg47sA0
('A`)「おいすー」

( ;ω;)「ドクオぉぉぉおおおおおお!!」

(;'A`)「うお!? どうしたブーン!!??」

川 ゚ -゚)「わくわく」

(;'A`)「おい、俺は阿部さんと同じ系統じゃねーぞ!!」

( ;ω;)「ドクオは知ってるお! 一緒に、ショボーンと一緒に遊んだり、
      漫画貸してくれたり、遊園地にだって一緒に行ったお!!」

川 ゚ -゚)「ブーン×ドクオ、プライベートでなにしていたのかkwsk」

(#'A`)「冗談じゃねーぞ腐女子! ブーンも何があったんだよ、泣きじゃくるな!」

( ;ω;)「昨日のことは謝るお! すまなかったお! だから“いる”と言ってくれおぉ!!」



34: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:09:52.53 ID:E9Wg47sA0
(;'A`)「ごめん意味わかんねえ。昨日ってなんだよ?」

( ;ω;)「僕に弟は…弟のショボーンはいるお!?」

('A`)「…」



('A`)「お前兄弟いたの?」



36: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:10:34.78 ID:E9Wg47sA0



ああダメだ。

きっとコイツら、おかしいんだ。



38: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:12:45.48 ID:E9Wg47sA0
( ;ω;)「あああああああああああああああああああ」

(;'A`)「おい、どこ行くんだよ!?」

川 ゚ -゚)「そっとしておこう。きっと悩みでもあるんだ」


(  ω )「嘘だお。きっとドッキリカメラだお」

それにしては手が込んでる。

(  ω )「今日はショボーンとキャッチボールして…」

あれ? 目の前にドアがある。

(  ω )「終わったら、ちゃんと勉強しなくちゃ」

これはショボーンの部屋のドアだ。

(  ω )「またショボーンに怒られちゃうお…」

無意識のうちに、僕はドアノブに手を掛けて…



39: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:14:41.25 ID:E9Wg47sA0
そこには何も無い。

いや、中央に水溜りがある、

雨漏りが直されていないままの、

空っぽの部屋。

あったはずのベットもタンスも机も、

ショボーンが好きだった歌手のポスター、CD、ゲーム、本、

全てが消えて、茶色いフローリングの上に水溜りがあるだけだった。


(  ω )「窓、開いてる…」

窓からは、屋根に上れる。
たしか一年前もこんな風に上って、屋根の修理をショボーンと…



40: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:18:13.39 ID:E9Wg47sA0
********************

「わっ! 雨だわ!!」

「こりゃあ修理は明日だなあ」

「えー、僕の部屋の雨漏りまだ直らないの?」

「僕の部屋で寝ればいいお」

「そうだね、じゃあ早く戻r」

かたん

「ショボーン?」

…どん



41: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:19:05.31 ID:E9Wg47sA0
**********


誰かの遺影が、僕に笑いかける。

あの写真は、ショボーンが落ちる1時間前に撮った写真だ。

笑った彼は、どこにいったの?

ねえ、どこ?


「兄さん」


ああ、そこにいたのか。

「兄さん、久しぶりにキャッチボールしない?」

そうだな。僕は来年は受験生だし、今のうちにいっぱい遊んであげよう。


「じゃあグローブを取りに行くお! あれ? なんで僕喪服着てるんだお?」

「ブーン? 誰と話してるの?」


********************



44: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:22:46.75 ID:E9Wg47sA0
(; ^ω^)「はっ!! …夢?」

時刻は5時を指す前だった。
今のは、やっぱり夢だったんだ…。

( ^ω^)「まったく嫌な夢だったお!」

( ^ω^)「………」


なぜだかわからないが、僕はショボーンの部屋に行った。



45: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:24:49.62 ID:E9Wg47sA0
怒られるかな。
まだ5時じゃないか!って。
もしかしたら起きないかも。
そのときは寝顔に屁かましてやる…。


がちゃっ


( ^ω^)


フローリングに、水溜りがあった。

よく耳を澄ませば、雨音が煩い。

雨が降っているんだなあ。


( ^ω^)



46: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:27:37.50 ID:E9Wg47sA0

夢と違っているのは、

この部屋に写真が、置かれていた。

昨日、ショボーンが隠した写真と同じ。

でもショボーンの顔しか載ってないね。

笑顔の周りの縁はどうして黒いの?

気味が悪いじゃないか。


「兄さーん」


弟が、僕を呼んでいる。

窓の外で声がする。

雨に塗れた屋根の上は滑りやすくて危ないけど、

僕は2階の屋根に上った。



47: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:30:26.50 ID:E9Wg47sA0

( ^ω^)「よかった、ショボーンがいたお」

(´・ω・`)

( ^ω^)「早く部屋に戻るお! 風邪引いちゃうし、ここは危ないお」

(´・ω・`)「兄さん、僕は死んだんだ」

( ^ω^)「いや、キミはここにいるお」

(´・ω・`)「一年前、足を滑らせて落ちたんだ。とってもとっても痛かった」

(; ^ω^)「あ、危ないお!!」

ショボーンは、落ちていない。
彼は空を歩いている。



49: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:34:03.74 ID:E9Wg47sA0
( ^ω^)「行くな…ショボーン」

(´・ω・`)「憎かったんだよねー。兄さんが僕を誘わなきゃ、僕は死ななかったのになー」

だんだん遠くへ、彼は歩いていく。
お願い、もう行かないで。

( ^ω^)「ショボーンは、僕の自慢の弟だお。
      勉強ができて、僕よりずっとモテるし、キャッチボールが上手だったお」

(´・ω・`)「キャッチボール…そういえばそんな約束したね。
      でも兄さんが僕を殺したせいで、その約束は守れそうにないや」

( ^ω^)「じゃあ、僕も行くから」

(´・ω・`)「おいでよ、来れるものなら」



50: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:36:23.43 ID:E9Wg47sA0



そして僕は、空を歩いた―――――



「ブーンは誰と話してるんだ?」
「ブーン、ショボーンはもういないのよ?」
「キミの弟はたしか事故で…」
「お前、死んだ弟の話ばっかするなよ」



―――――ぐしゃっ



51: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:38:33.46 ID:E9Wg47sA0

…1年後

J( 'ー`)し「ブーン! ショボーン! ご飯だから起きなさーい」

( ・∀・)「カーチャン?」

J( 'ー`)し「なに?」









「うちに子供はいないぞ?」





end



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