- 2: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:14:40.11 ID:DpK/iDj9O
- ( ^ω^)「今日は何を弾くかお?」
VIP高校の楽譜保管庫(第二音楽準備室)には膨大な量の楽譜がある。
これは今まで先輩達が弾いてきた曲や買った楽譜のコピーを溜め込んでいるからである。
ブーンが持ってきた楽譜も少ないがあった。
( ^ω^)「これだけ楽譜があれば一生楽譜買わなくてもいいお」
ブーンは次々に楽譜を手に取っている。見たことのある物、到底弾けそうにもない物、汚れで音符が判別不能な物…
(;^ω^)「…ここまで汚いのは流石に捨てるお」
- 3: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:16:57.45 ID:DpK/iDj9O
- 音楽教諭のモララー先生に
( ・∀・)「楽譜勝手に使っていいけどついでに整理お願いするよ」
なんてことを言われたのでしないわけにはいけない
( ^ω^)「とは言ってもこの作業が楽しいんだお」
とかなんとか言いながら楽譜を探すが
(;^ω^)「今日は弾きたい曲がないお…」
こういう日は探したって弾く曲なんか見つからないのでじっくり楽譜の整理をすることにした。
( ^ω^)「シューマンはS…、ショスタコーヴィチもS。ハチャトゥリアンは…、H…いや、Kだったかお?」
ど忘れしてしまった。ここでKという選択肢が出るからおそらくKなのだろうと思うが…
( ^ω^)「先生に聞くのが1番だお」
というわけで隣の第一音楽準備室へと行く。たまに来る先輩たちの話だと
( ・∀・)「職員室から音楽室に行くの面倒なんで音楽準備室を私の部屋にさせて下さいよ、校長」
と直談判し、机なんかの私物を持ち込んだらしい…。
今となってはクーラー、冷蔵庫まで完備した、学校一快適な空間として知られている。
- 4: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:18:58.98 ID:DpK/iDj9O
- ( ^ω^)「失礼しますお、内藤でs…」
誰もいない…。トイレにでも行っているのだろうか?
( ^ω^)「まあ、すぐに帰って来るはずだお…お?」
ふと机に目をやると楽譜が数枚乗っているのが分かる。
決して紙自体は古くないが、手垢が付いているのを見るとよく研究しているようである。
( ^ω^)「お、お、先生にも難しい曲があるんだお」
モララー先生が手垢が付くほど研究するのはどんな曲なのか…興味が沸いてくる。
( ^ω^)「ちょっと拝見だお」
と、その楽譜を手に取る。
( ^ω^)「お?そんなに難しくはないお…、としたら先生は
この曲に何か思い入れでもあるのかお?」
そういった類のものなら弾いてみたい…
ただ、原本を持っていくわけにはいかないからコピー(コピー機も先生が必要だからと公費で買わせたものだ)させてもらって…
- 7: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:24:11.11 ID:DpK/iDj9O
- (??)「おーい、ブーンどこだー」
( ^ω^)「お、ドクオだお、こっちだおー、先生のとこだおー」
慌ててブーンが楽譜のコピーを取ってドクオのところに向かう。
('A`)「なんだ、そっちにいたのか」
( ^ω^)「先生に質問があったんだお、たぶんドクオなら分かるはずだお、
ハチャトゥリアンの頭文字はHかお?Kかお?」
('A`)「そんなことかよ…、KhでKが頭だ、てか楽譜の棚調べればすぐに分かるだろ」
(;^ω^)「お、お、そういわれるとそうだお…」
- 8: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:28:13.03 ID:DpK/iDj9O
- ドクオが手に持っている楽譜に注目する。
('A`)「なんだそれ?」
ブーンは楽譜を見せながら
( ^ω^)「モララー先生の机にあった楽譜だお、気になったから弾いてみようと思って」
(;'A`)「ちょ、お前勝手にコピーとっていいのかよ」
(;^ω^)「お、やばいかお?」
('A`)「いや…だいじょうぶか……タブン」
(;^ω^)「いまたぶんっていったお」
(;'A`)「き、気のせいだ、ほら帰るぞ」
(;^ω^)「ちょ、待つおwww」
2人は校門を抜け、別れるまで他愛もない会話をし、それぞれの家へ帰って行った。
- 10: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:33:07.48 ID:DpK/iDj9O
- ( ^ω^)「今日も疲れたお」
ブーンはいつものように帰るなり汗を流すためにシャワーを浴びる。
( ^ω^)「学校帰ってすぐの風呂は気持ちいお」
ブーンが風呂から上がる頃には夕飯の用意も済み、あとは食べるだけ
今日はブーンの大好きなハンバーグのようだ。
( ^ω^)「カーチャンのハンバーグは世界一旨いお」
食べ終わったブーンは日課であるVIPを見るために自分の部屋へとその身を移す。
( ^ω^)「今日はどんな糞スr、お、そういえばモララー先生の楽譜があったお」
ブーンは鞄の中から楽譜を取り出しサイレントピアノの前に座る。
( ^ω^)「短い曲だお…題名も作曲者も書いてない……始めの和音は……お?
こんな音は弾いたこと無いお……指示はff、しかし激しくなく…かお…
取りあえず弾くお、初見大会だお、お」
- 12: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:39:00.29 ID:DpK/iDj9O
- 始まりは和音の下降
そのあと静かにメロディーが流れていき次第に激しく、しかし陰鬱さを増しながら曲が進んでいく
突然の休止
あとはゆっくりとpの和音が1小節ずつ3つ
単純な、短い、曲ともいえない構成
だが
その中に恐怖、不安、欺瞞、全ての負の感情があった
- 13: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:41:36.11 ID:DpK/iDj9O
- 内藤は曲を聴いていなかった
否、弾いてすらいなかった
始めの和音を弾いた瞬間から
いや、初めてその楽譜を見たときから
音楽の悪魔にとりつかれ
心を奪われ
この音を生み出すためだけに生かされる人形となり
そして、いま
リピート記号も無いこの曲を
狂ったように
繰り返す
- 14 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2008/05/06(火) 00:44:18.83 ID:DpK/iDj9O
- 繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す
繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す
繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す
繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す
繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す
繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す
繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す繰り返す
- 15: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:45:33.86 ID:DpK/iDj9O
そうして壊れた内藤は朝を迎える
- 17: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:50:16.00 ID:DpK/iDj9O
- トゥルルルルルルルルトゥルルルルrガチャ
もしもし、モララーです。ああ、君か。元気だったかい?最近よく名前を見るようになったからね。忙しいんだろ?今度一緒に飲みにでも行こうじゃないか。いろいろ話を聞かせてくれよ。
………で何の用だい?え、あの楽譜?いま手元にあるが…いや、弾くわけないだろ、もうあんな目はこりごりだからね。
誰かが弾いた?…やっぱり君もそう感じたか……。いや私もそれで目が覚めたんだ。あのメロディが鳴った気がしてね。
ああ、…ああ、そうだな。しかし、いまからか…んー、いや…明日私が学校で聞いてみよう。まだ本当に誰かが弾いたか分からないんだ。朝になってみないと被害が分からないしな。
まあ、被害者には申し訳ないが…。
ああ、そしたら、何か分かれば連絡するよ。
プツッ、トゥートゥートゥー
- 19: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 00:55:55.79 ID:DpK/iDj9O
- (;^ω^)「お…」
眩しい朝日で目が醒める。
(;^ω^)「あれは夢だったのかお」
ピアノの前で起きる。
いや違う。夢ではない。
まず指だ、長時間練習したときのように、ものに触れるとじんじんと鈍い痛みが走る。
体も全然休めてないようで、酷く疲れが溜まっている。
重い体を引きずり洗面所へ向かう…
酷い顔だ。まるで泣いた後のような…泣いた跡?
確かに顔には涙特有のぱりぱりとした感触がある。
(;^ω^)「な、なんで僕は泣いてるんだお?」
ブーンは昨日の夜のことを詳しく思い出そうと考えるが…
(;^ω^)「だめだお…、ピアノに座ったところまでしかはっきり思い出せないお
分かるのはこの曲を弾いてたことくらいだお…
僕は弾き疲れて寝てしまったのかお?」
自問自答しても答えが出るはずもなく、時計は学校に行く時間を指そうとしていた。
- 20: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:00:35.25 ID:DpK/iDj9O
- (;^ω^)「お、お、ドクオとの待ち合わせの時間に遅れるお」
時間に正確、というのを自負しているブーンにとって、遅刻というのは何があっても許されることではない。
(;^ω^)「い、急ぐお!」
5分で準備を済ませ
( ^ω^)「行ってきますお!」
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン
待ち合わせ時間5分前には着くブーンだが今日はぎりぎり1分前に着いた
(;^ω^)「ふぅ…なんとか間に合ったお…」
だいたいいつもドクオは5分ほど遅れて来るから大丈夫だ
- 21: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:07:46.73 ID:DpK/iDj9O
- …
…
…
15分たったが来ない
(;^ω^)「…寝坊かお?」
( ^ω^)「仕方ないから先に行くお」
予定の時間よりも10分程遅れてる。これ以上遅くなると遅刻してしまう可能性が出てくる。
( ^ω^)「お、お、それはだけは勘弁だお」
というわけでドクオのことは忘れて学校へ行くことにした。
( ^ω^)「寝坊するドクオが悪いんだお」
( ^ω^)「お?」
学校付近に来たがどうも様子がおかしい…
( ^ω^)「人が少ないお」
いくらいつもより遅いといったところでまだ学校が始まる前のこの時間
人がたったこれだけということはないだろう
- 22: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:11:38.14 ID:DpK/iDj9O
- (;^ω^)(みんな寝坊かお?)
などとブーンが呑気に考えていると
(??)「あ、ブーンじゃない!あんたにしちゃ遅いわね、ドクオは?」
と後ろから声がする
( ^ω^)「お、ツンかお?」
ξ゚听)ξ「どうしたのよ、相変わらずほうけた顔して」
(;^ω^)「ツンはいうことがきついお」
ξ゚听)ξ「事実じゃない」
さらりと酷いこと言われたような気がしたかブーンはスルーして
(;^ω^)「ク、クーはどうしたんだお?」
ξ゚听)ξ「クーは風邪みたいよ、家を出る前に電話があったわ
そういうドクオはどうしたのよ」
( ^ω^)「待ち合わせ場所に来なかったんだお、多分寝b…」
(;^ω^)「も、もしかしてクーとデートかお!」
- 24: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:13:55.47 ID:DpK/iDj9O
- ξ///)ξ「そうなの!?うらやましい!」(そ、そんなわけないでしょ!)
(;^ω^)「…ツン、本音と建前が逆だお」
Σξ゚听)ξ「…………」
ξ゚听)ξ「………何か聞こえた?」
(;^ω^)「い、いや何にも聞こえてないお」
ξ^凵O)ξ「そうよね、さ、早く行きましょ」
(;^ω^)(恐いお…)
そんな会話をしながらブーンとツンは学校へと向かう
さっき頭に過ぎった疑問も霧の中へと消えてしまった
ツンとは別クラスなので途中で別れて自分のクラスに入る
- 25: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:15:08.10 ID:DpK/iDj9O
- (;^ω^)「お?」
………少ない。明らかにクラスメイトの数が少ない。
いつも自分の来る時間の半分もいない状況にブーンは酷く戸惑っていた。
しかし、それはべつのクラスメイトも同じだったようで、ブーンの姿を見つけたギコが駆け寄ってきた
(,,゚Д゚)「おい、ブーンは来れたのか!」
(;^ω^)「ギコ、いきなりどうしたんだお?
というかなんでみんないないんだお?」
(,,゚Д゚)「いや、俺にも分からねえが、他のクラスも学年もこんな状態みたいなんだ
それだけじゃない、この学校だけがこうなってるみたいなんだ」
( ^ω^)「この学校だけかお…」
- 26: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:15:50.06 ID:DpK/iDj9O
- どうして?と口に出す前に担任のモナー先生が入ってきたから慌てて机に座る
………後ろから見ても教室はがらんとしてて、かなり異常に見えた
(;´∀`)「みんなおはようモナ。見ての通りクラスの大半が欠席だモナ」
…欠席って言った?遅刻じゃなく?
(;´∀`)「今日は来てもらって悪いけど、即下校モナ
あと音楽部はモララー先生が呼んでるから一度寄って帰るモナ」
(;^ω^)「お?なんでだお?」
( ´∀`)「学級委員、号令を」
(,,゚Д゚)「起立!礼!」
こうして登校即下校といういつもならありえないことに少し戸惑いながらもほとんどの生徒は帰ってから何をしようか既に考えを巡らせていた。
(,,゚Д゚)「ブーン、これから俺ん家来てゲームしね?」
( ^ω^)「お、やるお。その前にモララー先生のところに行くから待ってて欲しいお」
(,,゚Д゚)「おk、把握した」
とブーンもギコと遊ぶ約束をし、さっさと用事を済ませる為に準備室へと向かう
- 27: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:16:30.91 ID:DpK/iDj9O
- 準備室に入ると既にツン、ショボン、アニジャが来ていた
( ・∀・)「おや、内藤君も来たようだね。
あと今日音楽部で出席してるのはシャキン君か…ショボン君は一緒に登校したんだよね」
(´・ω・`)「はい、シャキン兄さんと一緒に学校に来ました」
( ・∀・)「ふむ…ならもう少し待とうかね…」
しばらくしてシャキンが息を切らして入ってきた
(;`・ω・´)「す、すみません。つー先生に欠席した人に回す連絡事項を聞いてて遅くなりました」
( ・∀・)「分かったけど君はまず息を整えるのが先決だと思うね
…大丈夫になったようだね
いや、集まってもらったのはたいした用事ではないんだ
昨日この机にあった楽譜に触った奴はいないか?」
- 28: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:17:26.42 ID:DpK/iDj9O
- ξ゚听)ξ「私は楽譜なんか知らないわよ。第一昨日は先生の部屋に入ってないし」
( ・∀・)「ふむ、兄者君はどうだい?」
( ´_ゝ`)「俺も知らないな…弟者と一緒に帰ったからオトジャも知らないはずだ」
( ・∀・)「成る程ね」
(`・ω・´)「私も知りません、昨日入った時点では少なくとも机の上に楽譜はなかったな」
(´・ω・`)「僕も知りません」
( ・∀・)「そうか…君達も知らないとなると…
内藤君はどうだい?」
ブーンは焦っていた。ブーンには昨日机の上に楽譜があったこと、
その楽譜をコピーして持って帰ったことが分かっていたからだ
しかしブーンは
( ^ω^)「知りませんお、そんな楽譜」
と嘘を吐く
- 29: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:18:33.97 ID:DpK/iDj9O
- ( ・∀・)「そうか…分かったわざわざ呼び出して済まなかったな、帰っていいぞ。
それと内藤はちょっと残ってくれ、ちょっと整理したいことがあるんだ」
(;^ω^)「お…わかったお」
他の生徒が帰る中、モララー先生と二人になるブーン
(;^ω^)「せんせ…」
( ・∀・)「まあ少し待ちたまえ内藤君、君は嘘がわかりやすいんだよ
コピー機の記録を見てもあの時間にここにいるのは君くらいだよ」
(;^ω^)「お…」
( ・∀・)「いや、君を責める気はないよ
ただ知ってて欲しいのは、今、この状況がその楽譜のせいだということだ」
( ^ω^)
(^ω^)
( ・∀・)「こっち見るんじゃない
まあ、やってしまったことはしょうがないからな
私はこれから職員会議などで忙しい…まあ、原因は分かってるが言うわけにはいかないだろう……」
(;^ω^)「すみませんお…どうしたらいいんですかお?」
- 30: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:19:36.20 ID:DpK/iDj9O
- ( ・∀・)「ん、それはこの状況を打開するにはという質問かな?」
(;^ω^)「はいですお」
( ・∀・)「残念ながら私は知らないんだが、この曲の作り主とは昨日既に連絡を取っててね、
今はラウンジに住んでるんだ。私の言いたいことはわかるね?」
( ^ω^)「その人に会って方法を聞くのですかお?」
( ・∀・)「そうだ、もちろん行ってくれるね?」
(;^ω^)「…分かりましたお」
( ・∀・)「よし、そしたらいまからラウンジ駅まで行ってもらおうか
先方には電話で伝えておくから
そうだな…今からなら10時には着くだろう。お金はあるかい?」
(;^ω^)「お、お、500円くらいならありますお」
( ・∀・)「あー、500円で行けたかな…まいいか、1000円渡しとくよ。お釣りはいいから。」
( ^ω^)「分かりましたお、そしたら行ってきますお」
( ・∀・)「気をつけてな」
- 31: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:20:41.02 ID:DpK/iDj9O
- ラウンジはVIPから3駅だ。今からなら10時には確実に着くだろう…
( ^ω^)「お、ギコのこと忘れてたお」
急いで階段を下り正門へ向かう
(,,゚Д゚)「遅かったなブーン。他の音楽部の連中が帰ってたから何かあったのかと思って心配したぞ」
(;^ω^)「お、お、悪いお。そのことだけど、モララー先生にラウンジまで行く用事を頼まれたから
遊ぶのはまた今度にするお」
(,,゚Д゚)「まじかよ。相変わらずモララー先生は人使いが荒いよな」
(;^ω^)(とてもじゃないけどブーンのせいだなんて言えないお)
(,,゚Д゚)ノシ「そしたらまた明日な、ま、明日学校があるかわからないけどな」
( ^ω^)ノシ「また明日だお」
ギコと別れたブーンは駅へと向かう
- 32: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:22:09.94 ID:DpK/iDj9O
- と、ここでブーンは重要なことを
Σ( ^ω^)「作曲者のこと全く聞いてないお!」
しかし今から戻って聞いていては10時には間に合わない
( ^ω^)「しかしよく考えたらこの時間に駅に行く高校生なんていないから向こうが気付くはずだお!
と楽観的に考えるブーン
そう言っている内に駅に着き電車に乗る
VIP→天国→ニュー速と電車に揺られてラウンジ駅へ
( ^ω^)「着いたお」
とは言ったものの相手がわからないのでどうしようもない
- 34: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:23:19.27 ID:DpK/iDj9O
- 仕方なく向こうから声をかけてくれるのを待つ、と後ろから
(??)「内藤ホライゾン君かな?」
と声がする
( ^ω^)「お、そうですお」
(*゚ー゚)「はじめましてVIP高の卒業生で君が弾いた曲を作ったしぃよ」
( ^ω^)「しぃさんですかお…、初めましてですお」
(*゚ー゚)「うん、モララー先生の言ってた通りね」
(;^ω^)「お?」
(*゚ー゚)「その『お』っていうのよ
それは口癖なの?」
( ^ω^)「そうですお、小さいときから言ってたみたいで、僕自身もよくわからないんですお」
(*゚ー゚)「ふーん、そうなんだ…あ、私の家こっちだから、着いて来て」
(;^ω^)「は、はい。分かりましたお」
ブーンはいきなり歩きだしたしぃに連れられ家へと向かった
- 35: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:24:17.74 ID:DpK/iDj9O
- (*゚ー゚)「ここが私の家。ところであなた私が何してる人か知ってる?」
(;^ω^)「お、知りませんお」
(*゚ー゚)「そう、私もまだまだね……さ、入って入って」
回りに比べだいぶ大きな家だが家に入った感じでは人気が全くと言っていいほど無い
(*゚ー゚)「…こんな広い家に一人なのかお?って思ってるでしょ」
しぃはブーンの口癖を真似て言う
(;^ω^)「お、あ……はい………お」
(*゚ー゚)「うむ、正直でよろしい。まあ、私の両親が死んで子供は私一人だけで恋人なんかもいないからなんだけどね」
( ^ω^)「そうですかお…」
(*゚ー゚)「なにー、もしかしてまずいこと聞いたなーなんか思ってない?
何も気にするようなことはないから安心してよね」
- 36: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:24:59.98 ID:DpK/iDj9O
- (;^ω^)(僕が聞いたんじゃないお…)
とブーンが考えているとしぃはとある部屋にブーンを招く
(*゚ー゚)「この部屋で待ってて、お茶入れてくるから」
そう言い残すとしぃは部屋を出ていった
ブーンは部屋を見渡すピアノと大量のスコア用の五線譜が置いてある
中には書きかけのものや、一つに綴ってあるものもある
( ^ω^)「しぃさんはもしかすると作曲家なのかお?」
ブーンは確実に近い気持ちで結論を出した
…誰が作曲家以外でスコア用の五線譜を大量に持ってるだろうか?
めったにそんな人間いないだろう、いるとしたら見てみたい。
- 37: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:25:46.72 ID:DpK/iDj9O
- しばらくしてしぃが緑茶の匂いと共に部屋に入ってきた
(*゚ー゚)「内藤君、私の職業分かったかな?」
( ^ω^)「作曲家ですかお?」
- 41: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:27:21.58 ID:DpK/iDj9O
- (*゚ー゚)「そうよ、で早速本題に入るけどあの楽譜はいま何処に?」
(;^ω^)「えーっと確か家のピアノに置いたままですお」
(*゚ー゚)「分かったわ、棄ててないのならいいのよ
あの楽譜は私がまだVIP高校に在学してた頃に作ったものなの
その時私は酷いいじめにあっててね、
実際弾いてみてどう思った?」
(;^ω^)「とても怖かったですお」
(*゚ー゚)「そう、その楽譜は当時の私の心全てなの
怨み、恐怖、本当にVIP高校のみんな死んでしまえばいいと思ってたわ
まだ作曲なんてしたことなかったのだけど
なんでかしらね気付いたら既にその楽譜が書かれていた
その楽譜を私は弾いてしまったの
次の日学校にいったのは私だけだった
みんな風邪、事故に遭ってね
私、あの楽譜のせいだって何故か分かってて、どうしたらこれが収まるかも知ってた
それからこの楽譜が怖くなって唯一味方だったモララー先生に話して楽譜を棄ててくれって頼んだの
結局あの人も棄てれなかったみたいだけどね」
- 42: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:28:01.64 ID:DpK/iDj9O
- (;^ω^)「そうだったんですかお…
どうしたら元に戻せるんですかお?」
(*゚ー゚)「簡単よ、弾いた人が一回逆から弾けばいいの」
( ^ω^)「お、それだけですかお?」
(*゚ー゚)「そう、それだけよ、あと約束して」
( ^ω^)「なにをですかお?」
(*゚ー゚)「その楽譜は棄ててちょうだい」
(;^ω^)「お…」
(*゚ー゚)「…」
(;^ω^)「わかり…ました……お」
(*゚ー゚)「よし、絶対だからね」
- 43: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:28:49.22 ID:DpK/iDj9O
- しぃの話によるとブーンの楽譜がコピーだったためしぃのときよりも被害が少なくて済んだらしい
ブーンはその後しぃと今のVIP高校や曲の話をして、家へ帰りすぐにピアノを弾きこの1件は事なきを得た
- 48: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:42:56.56 ID:DpK/iDj9O
- 約20年経ったVIP高校の準備室にブーンはいた。
モララーが座っていた場所とほぼ同じ場所に。
ミセ*゚ー゚)リ「内藤先生失礼しまーす」
ブーンは慌てて何かを机の中に隠す
( ^ω^)「お?どうしたミセリさん?」
ミセ*゚ー゚)リ「ちょっとここをどう弾いたらいいか分からなくて…」
( ^ω^)「見せてごら
トゥルルルルルルルガチャ
( ^ω^)「はい内藤ですお。お、はいお。すぐに行きますお。」
プツッ、トゥートゥートゥー
( ^ω^)「ミセリさんすまんけどちょっと待っててくれるかお?」
ミセ*゚ー゚)リ「はい、分かりました」
ミセ*゚ー゚)リ「さっき内藤先生何慌てて隠してたのかな?変な本だったりしてwちょっと拝見〜」
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