- 26: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:03:09.03 ID:NewFSaII0
- なにより恐ろしいのは、男の危惧することは、
ブーンがいつか暴走してしまうのでは、という予想である。
そう考えると、いまからでも遅くない。外に放り出すべきだ。
しかし、男の心にはすでに芽生えていた。
ブーンを愛でてやりたいという、捻じ曲がった愛情が……。
( ;ω;)「ありがとうございますお、ありがとうございますお」
「………」
( ;ω;)「ありがとうございますお、ありがと、、、、ありがとうございますお」
男が黙っているというのに、ブーンは喋り続けた。
( ;ω;)「ありがとございまs……あり゙、ありがとうございますお」
- 28: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:05:04.20 ID:NewFSaII0
- 男はブーンの願いどおり、手錠をかけてやった。
手錠といっても、紐をグルグル巻きにして拘束させただけなのであるが、
それでもブーンは泣いて喜んだ。
手首と手首とが触れ合うことがそんなにも素晴らしいことらしい。
鬱血も花添えに一役買っている。
頬もコケ落ちて、眉も抜け落ちてしまっているが、表情だけは妙に豊かである。
男はぞっとした。
鞭代わりのベルトを手に取った。
( *;ω;)「ッ……!」
たちまちブーンの顔がさらに緩んだ。
男は狼狽しつつも、愛しいブーンのために鞭を奮った。
そのアパートの一室で、鞭の音がやむことは、しばらくなかった。……
- 30: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:08:21.47 ID:NewFSaII0
- ブーンの手首を拘束する紐を、柱に括りつけた。
鉄製のリードも、男は同様に柱にまわす。
ブーンの表情は、痣も相まってピエロみたいにばかばかしくなった。
排泄はどうしようと思案した結果、柱の周りに新聞紙を何重にして敷いた。
食事はおなじく、新聞紙の上に用意し、二日に一度はシャワーへ連れ込む。
その間に新聞紙を取り替え、また、同じく拘束する。
スポーツ誌はカラーのためか、汚れ具合が見て取れる。とブーンは喜んだ。
そして、そして。 ………
( ´_ゝ`)「うわ、なんだこれは」
「ペットだ」
(´<_` )「ペットだ? お前、あたまおかしいんじゃないのか」
遊び仲間の流石兄弟も、男の部屋の現状には辟易した。
- 32: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:10:42.75 ID:NewFSaII0
- 「こいつをお前らもイタブってほしいんだ」
(;´_ゝ`)「なにを言っている?」
(´<_` )「久しぶりに顔を見せたと思ったら、キチガイになっちまったか」
「まあ、落ち着け。こいつを三人でイジメりゃあ金がもらえるんだ」
( ´_ゝ`)「誰から」
「このブタから」
(メ` ω、)「………」
(´<_` )「正気か?」
「至って」
( ´_ゝ`)「もっとkwsk話が聞きたいが」
「なんでもいいじゃないか。ほれ、鞭を持て。お前も、お前も。さぁ、やってやれよ」
- 34: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:12:32.00 ID:NewFSaII0
- 困惑し続けた兄弟も、いざ始めてみると面白がった。
( ´_ゝ`)「ははは……!」
とくに初心者ゆえか力の加減をほとんど知らない。
男の鞭にはない力強さを、ブーンは味わい味わい味わった。
流石兄弟はブーンを愛してなどいない。
だからこそ、言葉で自尊心をありったけ傷つけもし、さらに満足満足させた。
外では金木犀とアジサイが咲き誇り、桜と薔薇の蕾がぽちとなった、この頃――
男はブーンとの性交渉を真剣に考え始めた。
だが、男がそれをほのめかすと、ブーンは男の理解を超えた発言をした。
( *-ω-)「ぼくも、ペット……ビーグルとよくやりましたお。とくにお気に入りのペットがねぇ」
どうやら、ブーンのいう"ビーグル"とは、人間のあだ名らしい。
そうツラツラと赤裸々な体験を並べ立てるブーンを見て、男は久しぶりに生理的な嫌悪感を覚えた。
やはりダメだ。
そう諦めかけた辺りで、ブーンはまたも意外なことを言い出した。
- 37: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:15:23.97 ID:NewFSaII0
- ( *-ω-)「さいごのビーグルは、ほんとに抱きがいがあって……
彼の背中は傷が走ってたんですが、まるでつややかな皮膚をしていまして……」
男は眉をひそめた。
その身体の特徴を、男の弟は、有しているのだ。
そういえば、弟の消えた時期と、その体験談の頃とは奇妙に符合していた。
男はさらに考えた。
ブーンの方はというと、食事のほうに夢中で、
サンドイッチを口だけを使って咀嚼している。
乱暴なせいで、すでにパンと具は分離してしまった。
ところで、男の弟はマゾヒストであった。
- 39: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:18:01.22 ID:NewFSaII0
- 男の疑惑は日増しに膨らんでいった。
話からして、ブーンは男と出会う前は生粋のサディストだったらしい。
だが、お気に入りの"ビーグル"が死んだことで、そのペットになろうとしている……。
男がブーンに感じた、弟の面影とは、それの功績によるものかもしれない。
交通事故によって作られた弟の背中の傷は、それを鮮やかに証明してみせた。
急速に男はブーンへの愛情を失った。
たやすく憎しみに変貌した。惜しくは無い。
いまでは、食事も満足に与えぬし、寝床の新聞紙も取り替えない。
それでもブーンは笑顔だし、なにをやろうと喜んで、無い尻尾を振ってみせる。
脂肪のたっぷり付いた尻ばかりが揺れて、男は吐き気を覚えた。
男は、外出した。
このまま三日ほど家を空け、いっそ餓死させてやろうかと考えたそのときだった。
往来で男は女友達のツンと出会った。
久しかったので、そのまま喫茶店に入ることにした。
往来で出会った場所も、その喫茶店も、ブーンと出会ったまさにその場所であった。
- 42: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:20:29.68 ID:NewFSaII0
- ξ゚听)ξ「高校以来だよね? 最近どうなの? ちょっとやつれてるけど」
「どうもこうも……」
そのまま口はまごついた。
金はしたたかに手に入れたが、どうしようもない厄介者を背負ってしまったのだと、
ツンに言うべきか。迷っているうちに、ツンはいたわるように、
ξ゚听)ξ「ねぇ、相談があるなら話しなさいよ」
といったので、男は、「どうせ売春婦ふぜいなら何とでもなれ」と開き直って、
小さく話を展開した。
謎の男に出会った。
金をやるから痛めつけてくれと誘われた。
金が欲しかったのでその通りにしていた。と。
ξ;゚听)ξ「ねぇ、その話ほんとうなの?」
「嘘じゃない」
ξ;゚听)ξ「ふーん、でもさ、でもさ、」
- 44: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:22:06.02 ID:NewFSaII0
- 「奴は鞭を振るえだとかなぁ……!!」
ξ゚听)ξ「でも、まるで作り話みたいじゃない。ただの妄想じゃないの?」
「え――」
ツンが言い切ったこのとき、男の耳に「ァアア――ン」となにかが残響した。
うろたえた。
とたんに視界が照度を落としていった。
なにかが迫りくるような感覚を覚えた。
ガタガタと地面がゆれた。風も振動した。
背景が、ツンやその他の人間がまるでフリーズしたように動かない。
いや、三次元が二次元になってしまったかのようだ。
またも「ァアア――ン」となにかが残響した。
照度は落ちて落ちて、やがて真っ暗闇になった。
またも「ァアア――ン」となにかが残響した。
- 45: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:23:55.20 ID:NewFSaII0
- 「ァアア――ン」……これはなんなのだろう。
犬の喘ぎ声にも聞こえるが……ァアーン
人間の、喘ぐ声にも聞こえないことも無い。 …・・・
……これはなんだろう。
男には、「やめてやめて。苛めないで」と叫んでいるようにも取れた。
・・・ァアーン
・・ァアーン
・ァアーン
…………
……
…
- 48: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:24:58.85 ID:NewFSaII0
"飼ワレルヨリモ惨メダッタ"
- 49: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:26:42.92 ID:NewFSaII0
- 二人の男……ドクオ
小太りな男……ブーン
そのまま真っ暗闇。舞台の中央には檻が置かれてい、中に小太りな男が座っている。
二人の男の一人は立ち尽くし、もう一人の男は鉄格子を開けようとしている。
その二人の男は、ともに同じ顔である。
立ちつくす男(以後ドクオ) おい、どういうことだ。どうしてこんなところに俺を連れ込んだ。
(ト、握り拳を作る)。おい、答えろったら! 喫茶店から、おれはどうなった!。
(ト、小太りの男が立ち上がって、ドクオと相対する)。
小太りの男(以後ブーン) それは手紙によるものだお。ぼくが手紙で誘ったんだお。
ドクオ 手紙? 何を言っている。そもそも、お前が喫茶店に連れ込んだんがいけねぇんだろが。
そのワケを説明しろよ。(ト、痰を地面に吐く)。
(ト、鉄格子を開けようとする男が、格子を揺らして音を鳴らす)。
ドクオ (ト、もう一人の男に向いて)。うるさいぞ、ちょっとお前は静かにしてろ。
- 50: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:28:27.29 ID:NewFSaII0
- ブーン 自分の弟に、ひどい言い方だお。(ト、苦笑してみせる)。
ドクオ 関係ないな。あんな放蕩野郎。(ト、ふたたびブーンの方を向く)。
だから、教えろよ。それとこっから出る方法をな。
(ト、一分ほど沈黙が訪れる)。
ブーン じゃあ、僕の代わりに檻の中に入れお。
ドクオ そしたら言うんだな?
(ト、ブーンは黙って頷く)。
ドクオ よし。(ト、渋い顔をして頷く)。
(ト、ドクオ、鉄格子に歩み寄って、鍵を取り出してみせる。そうして鉄棒の一つにあてがう)。
ドクオ これで開いたぜ。
(ト、代わりにもう一人の男が檻の中に入り込んでしまう。ブーンは依然として座ったまま)。
ドクオ なんだそりゃ。(ト、怪訝な顔をしてみせる)。
ブーン あーあ、これでドクオはこのまんまだお。
ドクオ どういうことだよ。
- 52: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:29:34.31 ID:NewFSaII0
- ブーン どうもこうもないお。これでドクオは一生このまんまだお。(ト、軽蔑した笑い)。
ドクオ おい、おい!
(ト、そのままドクオは左手に姿を消す。スポットライトは檻の中のみに絞られる)。
(ト、中の男がブーンの足元に這い蹲る)。
ブーン 主人と奴隷の関係を二人で築こうね。
男(以後ドクオ) はい。
ブーン 妄想と現実を渡り歩いた僕だけど、そろそろ現実からは逃げたいお。
ドクオ ご主人さまは辛い目に遭ってきました。
ブーン そうだお。だから、これからは幸せに、欲望のままに暮らしていくんだお。
閉幕
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
('A`)「………」
- 54: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:31:12.19 ID:NewFSaII0
- ('A`)「なんだよこれ……」
こんなわけのわからない手紙を貰って、一体どうすればいいのか。
ドクオは狼狽しつつも、同封された地図に従って、とある一軒家の前に立った。
奇妙な書き出しから始まるその手紙は、ト書き形式になっているが、意図はまったく掴めない。
だが、妄想と現実を渡り歩くという文章については、ドクオの心当たりにあることであった。
ブーンは小学生、中学生と立て続けに苛められ続け、結果として引きこもってしまったのである。
資産家だし、彼には兄が居たので、親はたやすくそれを認めた……というより、放置したらしい。
ドクオは戸惑いつつも、その門を開けて、玄関に近づいた。
勝手に入れ、と手紙には記載されていたが、やはり侵入するのは忍びない。
しかし、ドクオは意を決して扉を引いた。
かんたんに開いたそのドアは、奇妙なほどに軽かった。
- 55: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:32:34.87 ID:NewFSaII0
- ('A`)「おい、来てやったぞブーン! ……?」
扉を開けたその先は、いきなり部屋に繋がっていた。
リビングルームだろうか。
不気味に仄暗い点を除けば、家具や床に不審なところは見当たらない。
嫌な予感がしつつも、ドクオは小さく歩き出した。
恐怖よりも、この家の不思議な間取りに興味を覚えたのである。
('A`)「なんだここは……」
外観とはかけ離れた内装だった。
そのとき、ドクオはテーブルの上に封筒が置かれているのを発見した。
たどたどしい文字で「遺書」と明記されたその封筒は、ドクオを飛びつかせた。
- 57: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:35:00.92 ID:NewFSaII0
- ('A`;)「な、なんだよ遺書って!?」
ドクオは封筒から急いで紙を取り出した。
複数枚から成り立つ文面は、ホチキスで止めてある。
一枚目……表紙を飾るその第一ページには、たったの一文しか記されていなかった。
中央に、
"苛メラレルヨリモ辛カッタ"
と、小さく殴り書きされているばかりである。
('A`;)「苛め……? 苛めって……おい」
しかし、言葉よりも記憶が先立った。
この文面、どこかで見たことが……。
('A`;)「っ……! あの手紙だ……」
- 58: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:36:47.14 ID:NewFSaII0
- そもそもの発端である手紙にも、ほとんど同じような出だしが書かれていた。
ドクオはポケットにしまいこんでいた手紙を取り出そうとした。
そのときだった。
何者かが、背後から抱きついてきた。
('A`;)「ッ!?」
「ドクオ……来てくれたのかお……」
妙に湿っぽいその声は、まさしく聞き覚えがあった。
ドクオは手にした"遺書"と"手紙"とをフローリングの床に落とした。
たちまち震えが走った。
( ω )「久しぶりだお……」
ギュっと、ブーンは力をさらに込めてドクオを抱擁した。
- 59: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:38:56.52 ID:NewFSaII0
- ブーンの吐息がドクオのうなじに直接浴びせる。
ドクオは気色悪い、と叫びたかったが、恐れのあまり声が出せなくなった。
( ω )「君とは、いい関係が築けるとずっと思ってたんだお」
('A`;)「………」
ブーンの腕は妙に生暖かい。
磨き上げられたフローリングの床に目を落とし、反射する背後の風景を見てドクオは愕然とした。
ブーンは生まれたままの裸であった。
( ω )「家族にはもう連絡したかお? ああ、君には兄さんがいるだけかお」
('A`;)「お、おい……」
辛うじて言葉にならぬ言葉を発せられたが、ブーンはまったく聞く耳を持たずに、
( ω )「なら、まあ大丈夫かお」
- 60: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:40:45.57 ID:NewFSaII0
- ドクオは尻に、勃起したペニスがあてがわれていることに気がついた。
ジーンズ越しから伝わるその感触と熱さは、ドクオをたしかに萎縮させた。
('A`;)「はなせ……」
( ^ω^)「だめだお。ドクオ」
切り口上めいた物言いで、
( ^ω^)「命令は僕が言うんだお。ぼくが主人なんだお?」
('A`;)「主人……なに言ってんだ……」
( ^ω^)「あれ? あれ? たしか手紙でちゃんと書いたと思うお」
( ^ω^)「僕がご主人様で、ドクオがペットなんだお」
('A`;)「んだよ……それ」
たしかに、あのト書き形式の不気味な話の最中では
ドクオはブーンのペットとなろうとしていたが、それについて言及しているのかとドクオは怯えた。
- 61: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:42:10.42 ID:NewFSaII0
- ('A`;)「ペット……あ、そうだ! ブーン、ビーグルは元気か?
ほらあの犬可愛かったよなぁ!? なあ、懐かしいなおい!?」
ペットという響きで、ドクオはブーンが昔飼っていた大型犬のことを思い出し、
それを説得の道具として使用を試みたが、
( ω )「………だまれお」
あっけなく失敗に終わった。
('A`;)「え……ブーン、ビーg」
( ゚ω゚)「だまれおッ!!!」
ドクオの耳元でブーンは絶叫した。
歯を剥き出しにし怒気を露わにした。
眼球が飛び出す勢いで眉が上げられた。
ドクオは触れてはいけないものに触れてしまったのだと、身をもって実感した。
- 63: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:44:52.39 ID:NewFSaII0
- ('A`;)「あ、あの……あの……」
( ゚ω゚)「……死んでしまった……前も、前も、前も……」
('A`;)「あの……さ、あの……」
( ゚ω゚)「前も、前も……そして前も……」
('A`;)「あの、、、さぁ……なあ、なあ……」
( ゚ω゚)「……お前もかお!? お前も裏切るのかお!?」
話の矛先をドクオに向けると、羽交い絞めの体勢を強固にして、
( ゚ω゚)「なあ、なあ、なあ、なあ、なあ?」
('A`;)「裏切らない……裏切り……ませんってばぁァ」
( ^ω^)「それはよかったお」
ブーンはあっさり表情を戻すと、ドクオに微笑んだ。
- 64: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:46:24.89 ID:NewFSaII0
- ('A`;)「はあ……はあ……はあ……」
( ^ω^)「ドクオはみたところ、ぼくの最高のパートナーになれるお。
ぜったいに二人でいい思い出を作るお」
ドクオの目が、部屋の片隅に向かれた。
( ^ω^)「ドクオはみたところ、ぼくの最高のパートナーになれるお。
ぜったいに二人でいい思い出を作るんだお」
いっしゅん、それは大蛇がとぐろを巻いているのかと思ったが、
どうやら違うらしい。
( ^ω^)「ドクオはみたところ、ぼくの最高のパートナーになれるお。
ぜったいに二人でいい思い出を作るんだお?」
鎖だった。
('A`;)「……!」
( ^ω^)「ドクオはみたところ、ぼくの最高のパートナーになれるお。
ぜったいに二人でいい思い出を作るんだお? お? お?」
―――血塗れの鎖だった。
- 65: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:50:49.98 ID:NewFSaII0
- ('A`;)「……なんだよ、あれ」
( ^ω^)「お、お? あれはね、首と柱とを括りつける奴なんだお!
そんで、周りには新聞紙とか敷いて、ペットをそこで暮らさせるんだお!
そんでね、いちいちシーツを取り替えるんだけど……それが楽しいんだお!
そうそう、あれが赤いのはね、前のビーグルが元気すぎたからでね……」
そう捲くし立てると、ドクオに囁くようにして、
( ^ω^)「ドクオは大丈夫だお? ぼくを信頼してるお?
大丈夫? 僕は信頼してるから、あとはドクオがビーグルになるだけだお」
ドクオの目の前の赤い鎖は、そのとき、意思を持ったように感じられた。
何も動いてはいないのに、動いているような。
( ^ω^)「それでね、ダメだったら餓死しちゃうだお……」
( A ;)「……」
元気に喋るブーンの声を聞くうちに、ドクオは失神した。
終わり
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