- 31: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:50:57.87 ID:DbzzGH960
- ふーん……それは残念だね。
でも、本当にそうなのかな?
もしかしたら、本当は幽霊を見たことがあるんじゃないか?
……違う? 絶対に?
それじゃあ聞くけど、君は幽霊がどんな形をしているか知っているのかい?
有名なところの、足がないとか、透けてるとか、そんな風に思っているんじゃないのか?
でもさ、僕は今までに一度だってそんなものを見たことはないよ。
君だってそうだろう。
幽霊を見たことがないってことは、そういったものを見たこともないんだろう?
よくテレビとかでなら、霊能者って名乗る人がそんな風に言ったりもするね。
けど、信じられるかい、そんなの。
僕はそのものを実際に見ない限り、信じられそうにはないね。
- 33: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:54:02.41 ID:DbzzGH960
- あのさ、別に幽霊を見たことがない、って言っても、別段おかしなことじゃないよね。
むしろ、幽霊を見たことがある人の方が少ないはずだよ。
事実、僕の知り合いにも見たことがないっていう人がほとんどさ。
でもさ、おかしいとは思わないか?
世界中では一日……いや、秒単位で人が死んでいるんだよ?
それだったら、この世に幽霊が溢れかえっていてもおかしくないじゃないか。
でも、滅多に誰も幽霊を見たなんて言わない。なんでだろうね?
僕としては、幽霊ってのはやっぱり見えないものだと思ってたんだ。
実体がないから、目撃証言が極端に少ないもんなんだって。
まあ、それならその数少ない目撃証言はなんなんだってことになるんだけどね。
そういう人は霊感が強くて……みたいな、随分とぼんやりとした理由に落ち着いていたよ。
でも、実際は全然違ったんだ。
幽霊は見えないものなんかじゃない。ちゃんと見えるものなんだ。
僕にも、君にもね。
- 34: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 01:58:11.86 ID:DbzzGH960
- つい最近のことなんだけど、久しく会ってなかった友人から連絡が来たんだ。
久し振りに会わないか、ってさ。
連絡が来た時は、本当に驚いたよ。携帯にメールで来たんだけど、全然知らないアドレスでさ。
最初は迷惑メールかと思ったんだ。
でも、本文にその友人の名前があって、やっぱり迷惑メールかと思ったけど、一応返事を出してみたんだ。
そしたら、すぐに返事が来て、僕に会いたいって書いてあってさ。
まあ、友達の少ない奴だったから、人肌恋しくなったんじゃないのかな。
だったら家族にでも会えばいいのに、って思ったけど、深くは考えなかったよ。
それで、何度かメールでやりとりしている内に、「ああ、本当にあいつなんだな」って思ってね。
僕も会えるものなら会ってみたいと思ったし、向こうがあんまり頼むもんだから、承諾したんだよ。
会うのはいつにするんだ、って聞いたら、こっちの都合のいい時でいいらしくて。
だから、「今度の週末でいいか?」って送ったんだ。
そしたら、えらく喜んでね。「お前に会いたかった、嬉しいよ」って送られてきたよ。
メールはそこで終わったんだけど、僕もそこでなんだか緊張してきてね。
会うのかって思ったら、嬉しさ半分怖さ半分というか。
なんせ、会うのは高校の時以来だったから。
- 36: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:01:23.34 ID:DbzzGH960
- それで、いよいよ週末になって。
何を着ていけばいいのかわからなかったけど、とりあえず普段着を選んでね。
わざわざスーツを着ていくなんてのもおかしいしさ。
カメラとかも持っていこうと思ったんだけど、まあ止めといたよ。
とりあえず会えればいいか、なんて風に思ってたんだ。
待ち合わせの場所に選んだのは、高校時代にもよく待ち合わせで使ってた公園でね。
そこにも久し振りに行けるんだと思うと、余計楽しみになってきて。
結構、浮き足立ってたのかもしれないな。
電車を乗り継いで、駅からは歩いて向かって、公園に辿り着いたら……もう彼は来ていたよ。
外見とか、あの頃と全く変わっていないんだ。
それで、急に懐かしさが込み上げてきてね。来て良かった、って思ったよ。
「久し振りだな」
彼の第一声はそれだったよ。呟いたように見えたけど、案外はっきりと聞こえてね。
まあ、ありきたりというか、必然というか。僕もただ、「そうだね」って返したよ。
- 37: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:04:41.52 ID:DbzzGH960
- それから僕たちは公園内のベンチに腰掛けて、思い出話に花を咲かせたよ。
やっぱり高校時代のものがほとんどだったけどね。
それで、あっという間に時間が過ぎていった。
やがて、空も段々黄色くなってきて、そろそろ帰らないと、って僕が切り出したんだ。
そしたら、「もう少し話せないのか?」って聞かれたよ。
でも、僕は次の日の仕事もあったし、「残念だけど……」って答えたよ。
彼、悲しそうな顔をしてたな。
話せる友人もいなくて、寂しいんだそうだ。
久々に僕と話して、本当に楽しかったらしい。
そして、最後にこう聞かれたんだ。
「なあ、一緒に来てくれないか?」
ってね。
- 38: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:06:51.19 ID:DbzzGH960
- ……え、一体何の話なのかって?
やだなあ、だから幽霊はちゃんと見えるって話だよ。
意味がわからない?
ただの思い出話じゃないかって?
いやいや、そんなことはないよ。
決してこれはただの思い出話なんかじゃないんだ。
この話は、幽霊は見えるものなんだって、僕が確認できた話なんだ。
……まあ、そうだね。そんなこと言ったってわからないだろうね。
首をかしげるのも無理はないな。
わかった、悪かったよ。
もったいぶるのはやめにする。ちゃんと教えるよ。
実はさ、僕の高校で、生徒が一人交通事故に遭ったんだ。
打ちどころが悪かったらしく、即死でね。
手術する甲斐もなく、その生徒は死んでしまったんだ。
……もうわかっただろ。そう、僕が久し振りに会った友人というのが、その死んだ生徒だよ。
- 39: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:09:23.25 ID:DbzzGH960
- どうかな。これで何を言いたいのかわかったよね。
幽霊ってのは、決して見えないものじゃないんだ。
それに、足がなかったり、透けているわけでもない。
幽霊ってのは、僕たちと全く変わらないんだよ。
成長とか、歳をとるようなことはないのだろうけど、見た目は全く同じなんだ。
これ、どういう意味だと思う?
つまりね、幽霊は見えないんじゃない。いても、“気付かない”んだ。
だって、見た目は普通の人なんだからね。
街中で幽霊が歩いてたって、その人が故人だと知ってる人じゃなきゃわからないってことさ。
僕は、知っていたからね。既にあいつが死んでいたことをさ。
だから、君もきっと、ただ気付いていないだけなんじゃないのかな。
もしかしたら、とても身近なところに、幽霊がいるのかもしれないよ。
それどころか、君の知っている誰かが本当は……なんてね。
……そうだ、君のところにも来るかもしれないよ。
過去に、死んだ誰かが……さ。
- 40: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:12:49.41 ID:DbzzGH960
- え?
友人の最後の質問に、僕は何て答えたのかって?
……ふふ、どうだろうね。ご想像にお任せするよ。
それじゃ、僕の話はこれで終わりだよ。
- 41: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:14:57.22 ID:DbzzGH960
- ( ^ω^)「……」
幽霊……つまり死んだものと生きているものに、見た目の違いはない、か。
ショボーンさんが嘘を吐いているとは思えないけど、にわかには信じ難い話だ。
すぐ近くに幽霊がいる……なかなか想像できない。
ちょっとシュールな光景かもしれないな。
しかし、ショボーンさんはよくそんな友人に会う気になったものだと思う。
死んでいるのがわかっているというのに、僕なら怖気づくやもしれない。
(´・ω・`) 「じゃ、次の話に行こうか」
( ^ω^)「わかりましたお」
- 44: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:16:28.49 ID:DbzzGH960
- 誰に話をしてもらいますか?
_
( ゚∀゚) ジョルジュ(選択済み)
(´・ω・`) ショボーン(選択済み)
('A`) ドクオ
ξ ゚听)ξ ツンデレ
( ,,゚Д゚) ギコ
(*゚ー゚) しぃ
- 45: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:17:15.96 ID:DbzzGH960
- ξ ゚听)ξ ツンデレ
三つ目は私なの?
じゃあ自己紹介。私のハンドルネームは“ツンデレ”。
どっかの会社で受付嬢をやってるわ。
道理で綺麗だと思った?
ありがと、でもお世辞言ったって何も出ないわよ。
……丁度いいわ。じゃあ、その見た目についての話をしましょう。
私の知り合いに、よっぽど美容に気を付けてる人がいてね。
伊藤さんって言うんだけど。
で、その伊藤さん、私より年上なんだけど、とんでもない美人ってわけでもないのよ。
まあ、普通よりちょっと上ぐらいの……化粧してたらの話だけどね。
ただまあ、その化粧を落としたところを見たことはないけどね。
その人、例え女同士でもすっぴんを見せようとしないから。
女同士だから余計に……なのかも。
そんな人だから、あんまり女子受けはしなかったのよね。
私はそんなこと気にしなかったけど。
だから、伊藤さんとも普通に話してた。
- 46: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:22:46.67 ID:DbzzGH960
- 伊藤さんも、同性の話し相手が私ぐらいしかいないみたいで、結構仲は良かったのよ。
自分が使ってる化粧品とか、色々教えてくれたりもしたわ。
ものすごい高額だったから、手は出せなかったけど。
それで、さっきも言ったけど、化粧をしてればまあ美人って人なのよ。
でも、ある日、とんでもないことが起こったの。
普通に会社に出勤したんだけど、やけにざわざわしてたのよね。
ちょっとした人だかりができるぐらい。
で、なんだろうと思って近付いたら、デスクにものすごい美人が座ってたの。
もう、絶世の美女なんて言葉が似合うぐらいの、女の私でも溜め息吐くぐらいの美人だった。
そしたら、その人が気軽に私のことを呼ぶのよね。
一斉に私に視線が集まって、私自身も目が点になってたわ。
「……あの、誰でしたっけ?」
「何言ってるの。私よ、伊藤」
一瞬、何を言われたのか理解できなかったわよ。
だって、明らかに別人なんだもの。冗談かと思ったわ。
でも、声を聞く限り、確かに伊藤さんなのよね。
見た目は変わってたけど、中身は変わってないみたいだったし。
- 48: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:25:55.16 ID:DbzzGH960
- それで、もちろん理由を聞いたわよ。というか、聞かないはずないわよね。
でも――
「ふふ、秘密よ♪」
なんて言われて、その頃にはとっくに始業時間は過ぎてて、仕方なくそこからは普通に仕事してたわ。
でも、お昼休みになって、もう一度聞いてみたの。
だって、気になるじゃない。私だって女だもの。
まあ、男の人にはわからないかもしれないけどね。
それで、伊藤さんは渋ってたけど、今まで仲良くしてたおかげか、最後には教えてくれたわ。
なんでも伊藤さんの話によると、自分はいつも美容についてインターネットで調べているみたいで。
とにかく何か新しいものはないか、手当たり次第に探すらしいのね。
で、その時とあるサイトを見つけたらしいわ。
あなたの願いを叶えるみたいな……私だったら気にもしない内容だったみたい。
それでも、伊藤さんは食いついたのよね。
なんというか、それを聞いて私は正直呆れちゃったんだけど。
でも、伊藤さんがそのサイトを調べてみると、とんでもないことが書かれてたのよ。
“悪魔と契約することによって、あなたの望みを叶えます。”
- 51: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:28:29.84 ID:DbzzGH960
- こんなオフ会に参加してるんだし、私だってそういうのが嫌いじゃないわ。
でも、実際にそんなサイトを目にしたら……どう思う?
私だったら全く信じないと思うわ。
……でも、伊藤さんの場合は違ったのよね。
なんだか、彼女の話によると、そのサイトからは得体の知れない力のようなものを感じたらしいの。
説明できないけど、その内容を信じられる何かがあったんだって。
それで、その契約方法なんだけど、ただ掲示板に自分の名前を書けばいいだけなんですって。
ますます胡散臭いわよね。でも、やっぱり伊藤さんは書き込んだの。
それで、書き込んだらページが変わって、そこにはある条件が書かれていたそうよ。
願いを叶える代わりに、それを守らなきゃいけないって。
その条件は、日付が変わる二十四時から一分間、自分の顔を見てはいけない。
っていうものだったらしいわ。
- 52: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:32:04.53 ID:DbzzGH960
- まあ、そこまで難しい条件ってわけじゃないわよね。
気を付けていれば、子供でもできるようなことよ。
ただ、その条件を破った場合、それ相応の罰を受けてもらうとも書いてあったんですって。
伊藤さんとしても、もう後には引けなくなってたのかしらね。
その条件を承諾して、契約が完了したの。
でも、なんでだか、そのサイトはもう見れなくなっちゃったみたいだけど。
それで、かねてからの美貌が手に入ったわけだから、伊藤さんはそれからかなり充実した日々を送ったわけ。
一日中鏡を見てはうっとりしちゃってね。
聞く限りではどうかと思うけど、あの美貌ならそれも仕方ないかと思うわ。
周りの女の子も、もう嫉妬するって感じじゃないのよね。
「お姉さま〜」みたいな。
なんだか、あの美貌には単純な美しさだけじゃなく……一種の魔力みたいなものがあったように思うわ。
悪魔の力……なのかしらね?
- 54: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:34:33.61 ID:DbzzGH960
- そういえば、有名な週刊誌が伊藤さんを記事にしたいってやってきたこともあったわ。
そりゃそうよね。テレビに出てる芸能人よりも綺麗なんだから。
もちろん、あの条件もちゃんと守るように伊藤さんは徹底したわ。
家の中の鏡はいつでも布で隠せるようにして、窓も二十四時になる前にはカーテンで閉め切って。
そりゃ、実際に願いが叶ってるんだから、条件の方も信じるわよね。
破った時に何が起こるかわからないんだし。
でも、伊藤さんは相変わらずネットで美容について調べることはやめなかったのよ。
そこまで来ると、もはや習慣みたいなものだったみたい。
ただ、探す時間は随分短くなったみたいで、探すのもどちらかと言えば服装とかについてだったらしいわ。
まあ、二十四時になる頃にはやめて、寝るようにしていたそうだけど。
それで、それから数日経ったぐらいの、ある日のことよ。
その日も私は普通に出勤して、先に来ていた伊藤さんに挨拶をしたわ。
「おはようございます。今日も綺麗ですね」
「うふふ、ありが……」
その瞬間よ。
突然、伊藤さんは自分の顔を両手で押さえだしたの。
- 55: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:36:31.49 ID:DbzzGH960
- それで、私は一瞬思考が停止しちゃって、伊藤さん自身もかなり驚いてるみたいなのよ。
でも、その途中で、彼女は何かに視線を動かしたの。
そうしたら、「あ……あ……」って呟いて、その場からいきなり走り出したのよ。
私としては、その様子が普通じゃなかったし、すぐに後を追いかけたわ。
そしたら、給湯室に入っていく後姿を見つけて。
中に入ってみると、伊藤さんは奥でうずくまってた。
「伊藤さん! どうしたの!?」
「……み、見ないで……」
そう言って伊藤さんが振り向いた時、私は背筋が凍りついたわ。
顔を隠した指の間から、何かがぽとぽと落ちているのよ。
最初は化粧かと思ったわ。
でも違うの。落ちているのは……肉片。
伊藤さんの顔の肉が、ぼろぼろと崩れだしていたのよ。
- 58: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:38:47.77 ID:DbzzGH960
- 「い、伊藤さん……!?」
もう、伊藤さんにも私にも、どうすることもできないのよ。
止まることなく彼女の顔は崩れ続けて、もう人間の顔とは呼べなくなってた。
「ど、どうして……」
「契約は破られた」
そんな時よ。どこからか声が響いたの。
私にもはっきり聞こえたわ。なんだか、とても冷たい声だった。
「そんな! 私は破ってなんかいない!」
「契約通り、お前には罰を受けてもらう」
その途端、伊藤さんの体が宙に浮いたと思ったら、彼女の関節がありえない方向に曲がりだしたの。
「ぐ、ぐええ……」
背中から、丸くなろうとするみたいだったわ。
何か恐ろしいほどの力で、どんどん伊藤さんの体は縮められていくの。
私はもう怖くて、その場に力なく座り込んでいた。
声を出すこともできなかったわ。
そうして、伊藤さんはそのまま縮んで、最後には消えてしまった。
彼女が着ていた衣服だけ、その場に残っていたわ。
- 59: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:40:25.50 ID:DbzzGH960
- 私は体の震えが止まらなくて、給湯室から出るのだけでもかなり苦労したわ。
よたよた歩きながらだけど、なんとか必死に仕事場まで戻ったわ。
でも、やっぱりまともに仕事なんかできなくて、その日は帰っていいってことになったけど。
それで、ちょっとだけ落ち着いた時に、伊藤さんの最後の言葉を思い出したの。
彼女、あの声に対して、必死に違うと言っていたわ。
確かに、私も条件を守るための徹底ぶりは聞いていたからね。
ちょっと何故なのかわからなかった。
それで、帰る途中で伊藤さんが座っていたデスクに立ち寄ってみたの。
そこには彼女のバッグとか仕事用のパソコンとか、特におかしなものはなかったわ。
でも、じっとそれらを見つめていて、あることに気付いたの。
- 61: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:42:20.56 ID:DbzzGH960
- 自分の顔が映るものって、大体何を想像する?
鏡とか、窓とか。そういうものよね。
でも、決してそれだけじゃないのよ。
パソコンの、画面。そこにも薄っすらと自分の顔が映るの。
伊藤さん、インターネットだけはやめなかったわ。
きっと、彼女はパソコンの画面に映った自分の顔を見てしまったのよ。
でも、そのことには気付かなくて、だから必死に違うと言い続けたんだわ。
そもそも、こんなことになったのは伊藤さんがおかしなサイトを見つけたことだしね。
パソコンってのは、私たちに利益だけを与えてくれるものじゃない。
その時、本当にそう思ったわ。
……これで、私の話は終わりよ。
- 62: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:43:30.77 ID:DbzzGH960
- ( ^ω^)「……」
美しさ、か。
男の僕にはあまりピンとこない話だ。
ただ、もちろん僕だって不細工よりはそうでない方が嬉しい。
そんなのは誰だって当たり前だと思う。
化粧をしたり、おしゃれをしたり、人は自分を美しく見せようとする。
ただ、どうしたって生まれ持ったものはみんな最初から決まっているんじゃないだろうか。
それ以上のことを求めるにしても、限界というものがあるんじゃないだろうか。
今の話は、その限界を超えてしまったがためのものに思える。
( ^ω^)(インターネットの怖さ……かお)
果たして、本当に彼女が言うようなサイトがあるのかはわからない。
ただ、今このオフ会を行えているのは間違いなくインターネットの力だ。
その点には感謝したいな。
※体験版はここまでになります。
続きは製品版にてお楽しみください。
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