君の後ろに…のようです

2: No,6 :2008/08/31(日) 14:54:43.59 ID:8CLKXd5k0
午前中の授業も終わり、校内は昼食を食べようとあちこちに生徒が散らばっている。
クラスの半数以上が晴れた空の下に出て行く中、二人の少女は教室内の机を移動していた。

ζ(゚ー゚*ζ「あ―、ちょ―お腹減ったし♪」

lw´‐ _‐ノv「デレ、また携帯小説の真似事か?」

ζ(゚ー゚*ζ「だってこのセリフ言ったらみんな笑ってくれるもん。そうでしょ? ブーン」

( ^ω^) おっおっお

デレと呼ばれた少女は頭のてっぺんにいる掌サイズの生き物に話し掛けた。
明らかに異様な光景だが、デレと話をしている少女はさほど驚きもしない。
何故なら、彼女も肩の方に掌サイズの生き物がいるからだ。

lw´‐ _‐ノv「相変わらずデレの言う事はわからんな。そう思うだろう、ビコーズ」

( ∵) ゴエエエェェ

lw´‐ _‐ノv「そうだろう。やはりビコーズは天才だ」

ζ(゚ー゚*ζ「私にはシューちゃんとビコーズの言う事が理解出来ないよ―」

( ^ω^) おっお……



3: No,6 :2008/08/31(日) 14:57:06.87 ID:8CLKXd5k0
唇を尖らせて反論するデレにシューは涼しい顔をしてビコーズと呼ばれた小さな生き物の頭を撫でた。
そんな二人の様子を他のクラスメイトは不思議そうに眺めていた。
どうやらブーンやビコーズが見えるのは彼女達だけのようだ。

('A`)「お邪魔するぜ」

( <●><●>)「デレ、シュー。遅れてしまってすみません」

後ろのドアからやって来た二人の男子を見て、デレとシューは会話を止めた。

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫だよワカッテマス。今ちょうど机寄せてた所だし」

( <●><●>)「では私達も机を借りて食べますか……おや?」

( ゚д゚ ) ジー

ζ(゚ー゚*ζ「どうしたのミルナ?」

デレやシューと同様にワカッテマスの肩にも小さな生き物が座っていた。
ミルナという名前の生き物はデレの髪を束ねているキラキラ光るゴムを見ている。

( <●><●>)「恐らくデレのゴムが光っているからでしょう。ミルナは光り物に目がないですから」

ζ(゚ー゚*ζ「あはは、そうなんだ。光り物が好きなんて、ミルナ可愛いね―」

( ゚д゚ ) ホ、ホメラレタッテウレシクナイゾ

(#^ω^) お……



4: No,6 :2008/08/31(日) 14:59:14.14 ID:8CLKXd5k0

ミルナの頬を指でつつくデレにブーンは少し拗ねたような顔をした。
シューはそんなデレ達に構わず四人分の机を合わせた。
その隣では、ワカッテマスと一緒に来た少年が早々と弁当の包みを開いていた。
更にその隣には、予想通りと言うべきか小さな生き物が机に座っていた。

lw´‐ _‐ノv「ドークーオー。食べる時はみんな一緒にだろう?」

('A`)「だって俺朝寝坊して飯食ってないもん」

 _
( ゚∀゚) おっぱいおっぱい! ドクオは昨日の夜おっぱいビデオを見ていたんだぜ

lw´‐ _‐ノv「……」

('A`)「……男には男の事情があるんだよ」

 _
( ゚∀゚) おっぱいおっぱい!

ζ(゚ー゚*ζ「何の話ー?」

冷めた目でドクオを見るシューの横から顔を出したデレに、ドクオは過剰に反応をする。



5: No,6 :2008/08/31(日) 15:00:40.62 ID:8CLKXd5k0

lw´‐ _‐ノv「何、ドクオが昨晩……」

(;'A`)「それより飯食おうぜ! 昼休みも長くないんだしさ!」

( <●><●>)「あなたが無理矢理話を逸らしたのはワカッテマス」

ζ(゚ー゚*ζ「んー? まっ、いっか。シューちゃんもワカッテマスも早く座って食べようよ」

( ^ω^) おっおっ!

デレの一声でワカッテマスとシューは席につくと、持っていた弁当を広げた。
それと同時に、今まで肩や頭に座っていたブーンやビコーズ、ミルナも机の上に降り立つ。
彼らは彼らで集まるとデレ達のように持って来た弁当を広げて食べ始める。

そんな四人と見えない四匹に、周囲の人間は首を捻らせていた。
それは、彼らが不思議な何かと一緒にいると理由だけでなく
数ヶ月前なら絶対に集まらないメンバーが集まっているからだ。




君の後ろに…のようです



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 15:02:55.63 ID:8CLKXd5k0

今から約数ヶ月前、デレの元にブーンが現れた。
現れた、という表現をしたのは、以前からブーンがいた形跡があったからだ。
突然の出来事に戸惑ったデレは、同じクラスの電波少女こと素直シュールに相談をする事になった。

lw´‐ _‐ノv「何も心配する事はない。むしろこれは喜ぶべき事だ」

ζ(゚ー゚*ζ「どうして?」

lw´‐ _‐ノv「彼らは"守護妖精"という生き物なんだよ」

シューのこの言葉に、噂通りの電波少女だとデレは思ったが
現にその守護妖精はデレの目の前で両手を広げて走り回っている。
実に厄介な事に巻き込まれてしまった。デレはその時本気でそう思っていた。

lw´‐ _‐ノv「本来この守護妖精というのは一人につき必ず一匹ついているんだ。例えばほら、あの女の肩をご覧」

シューに言われた方に目を向けると、同じクラスのしぃが本を読んでいる。
しかし、よく見ればしぃの肩には気の強そうな小さな生き物が座っている。
しぃはその生き物の存在に気付かないまま、本のページを捲った。

ζ(゚ー゚*ζ「……どうして気付かないのかしら」

lw´‐ _‐ノv「元々"感じる"人間事態少ないからだよ。霊感と違ってこれは自分を護る妖精を見る力だからね。
       本当に力のある、限られた人間じゃないと見る事が出来ない」

ζ(゚ー゚*ζ「よくわからないなぁ」

lw´‐ _‐ノv「その内わかるよ」



7: No,6 :2008/08/31(日) 15:04:59.32 ID:8CLKXd5k0

シューはそれだけを言うとビコーズを連れてその場を後にした。
初めてシューと話したデレは思っていた以上に普通の人とわかると
それまで同じ部活の人としか話さなかったデレの友人関係の中に、シューが入って来た。

常に一人でいるシューも、格別デレと一緒にいる事を嫌がる様子を見せず、むしろ楽しそうに過ごしていた。
この事がきっかけで、デレは一時期部活の女子からハブられてしまったが
守護妖精のブーンやシューという不思議な友人のお陰で部活内でも毅然とした態度でいられる事が出来た。

その後、シューと同じ文芸部に入っているワカッテマスやシューの幼馴染みのドクオとも知り合った。
ワカッテマスは出会った当初から守護妖精が見えていたが
ドクオは暫く一緒に行動する内に見えるようなったのだった。

lw´‐ _‐ノv「稀に周囲の守護妖精の力が強くて見えるようになるとも言うからね。ドクオは影響を受けたんだろう」

相変わらずデレはシューの言っている事がわからないでいたが
同じ特別な力を共有する友人と秘密を持つ事に楽しさを感じていた。
それはデレに限った事ではなく、気がつけば一日の内を四人で過ごす事が多くなったのだった。



8: No,6 :2008/08/31(日) 15:06:22.56 ID:8CLKXd5k0

('A`)「そういやデレの試合って明日だっけ?」

ζ(゚ー゚*ζ「うん! 明日は私レギュラーで出るのよ!」

( *^ω^) おっおっおぅ!

lw´‐ _‐ノv「……米美味い」

興奮するデレに同調するようにブーンも腕を振り回して反応する。

( <●><●>)「遂にレギュラー入りを果たしたんですね」

ζ(゚ー゚*ζ「そうなの! 今までずっと補欠だったけど、やっと試合に出させてもらえるの!」

('A`)「こりゃあ応援に行かないとな」

 _
( ゚∀゚) おっぱいおっぱい! デレ頑張れおっはい!

( ゚д゚ ) ガンリキパワーデオウエンシテヤルゼ

ζ(゚ー゚*ζ「えへへ。みんなありがとう」

正面の二人と二匹のテンションは上がり、デレにエールを送った。
そんな力強い応援の言葉を受け止めたデレは、隣で黙々と米のみ弁当を食べているシューに声を掛けた。



9: No,6 :2008/08/31(日) 15:07:48.86 ID:8CLKXd5k0

ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ、シュー聞いてる?」

lw´‐ _‐ノv「すまない、聞いていなかった」

ζ(゚ー゚*ζ「あのね、私明日試合出るの! だから良かったらシューも見に来てくれると嬉しいな―と思って……」

lw´‐ _‐ノv「すまない。明日は夢の中で揺籠に揺られながらポエムを書かなければならないんだ」

シューは一度もデレの方を見ないでそう返した。
一瞬デレの表情は悲しみの色に満たされたが、すぐにいつもと変わらぬ明るい笑顔に切り替えた。
シューがマイペースなのは今に始まった事ではない。デレはそう自分に言い聞かせたのだった。

ζ( ー *ζ「そっかぁ……じゃあしょうがないね」

(;'A`)「……デレ」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、ドクオの卵焼き美味しそー。いただきっ!」

('A`)「ちょwww人の好物勝手に取るなwwww」

再び騒がしい空気を取り戻したデレはドクオの卵焼きを素早く箸で捕らえて口の中に迎え入れた。
好物の卵焼きを取られたドクオはお返しと言わん許りにデレのタコウインナーに手を伸ばすが
完全死守体制に入ったデレはドクオの手を箸で何度も突き刺した。



10: No,6 :2008/08/31(日) 15:10:05.55 ID:8CLKXd5k0

そんな二人を尻目にワカッテマスは深く溜息を吐いて、心配そうにデレを見るブーンの頭を優しく撫でた。

( <●><●>)「デレなら大丈夫ですよ。ああ見えて彼女は結構強い女です。あなたやドクオが思っている以上に」

( ^ω^) ……おっお

ワカッテマスの言葉に少し元気が出たブーンはデレの元へ戻り
タコウインナーを取ろうとしているドクオをデレと一緒になって死守していた。
元気になったブーンを見て一安心したワカッテマスは、困った顔をするビコーズと相変わらず米を食べるシューに向き直った。

( <●><●>)「何故あんな返し方をしたのです。デレがあなたに懐いているのはあなたが一番わかっているはずです」

lw´‐ _‐ノv「……雛はいずれ親元を離れて巣立って行く。つまりこれは獅子は崖から子を突き落とす概念と似たようなものさ」

( ∵)ゴエェ……

lw´‐ _‐ノv「ビコーズまで私の考えに反するのか」

それまで無表情を通していたシューの表情が揺れた。
その微妙な差に気付いたワカッテマスは食べ終えた小さな弁当箱を片付けながら
穏やかな声をシューへと向けた。

( <●><●>)「心配しなくても良いです。デレは純粋な子ですから」

それだけを言うとワカッテマスは立ち上がり、トイレに言って来ると付け加えて教室から出て行った。
残されたシューは食べかけの米に手を付ける事なく、ただじっと机を見つめていた。
そうしていると、ワカッテマスの肩に乗り損なったミルナがシューの視界に入り込んだ。



13: No,6 :2008/08/31(日) 15:14:59.99 ID:8CLKXd5k0

( ゚д゚ )  シュー ヒトリジャナイカラナ オレタチガツイテイルカラナ

( ∵) ゴエエェ ゴエエエェ ガッハッ

lw´‐ _‐ノv「…………ああ」

ミルナとビコーズの言葉に、シューはほんの少しだけ頬を緩めるとデレの方をチラリと見た。
デレはブーンを使ってドクオの弁当の中身を取る作戦に出たらしく
弁当を守るドクオの手を払いのけながらブーンを進ませる。

( ^ω^) おっお!

ζ(゚ー゚*ζ「よくやったブーン! 早くそのゆで卵を私の所に」

('A`)「ちょwwwww俺の弁当取りすぎwww」

 _
( ゚∀゚) おっぱいさえあればいいだろ! おっぱいおっぱい!

無邪気に笑うデレを見たシューは、何か考え事をするようにビコーズへと視線を向けた。
ビコーズは何も言わず、ただ無言でシューを見ていた。

( ∵) ……。

lw´‐ _‐ノv「……そうだな。ありがとうビコーズ」

ビコーズとの無言の会話に何かを決めたような表情をしたシューは携帯を取り出し
番号も押さないまま何処かへ電話を掛けたのだった。



14: No,6 :2008/08/31(日) 15:16:26.82 ID:8CLKXd5k0




晴天の青空の下行われるバレーボール対外試合。
それほど大きな試合でもない為、応援席に座っている人の大半は友人の応援に駆け付けた人が殆どだ。
二階応援席に座っているワカッテマスとドクオもその大半の一部だった。

('A`)「シューのヤツ……本当に来ないつもりかよ」

( <●><●>)「どうでしょうね。私は来そうな気がしますが」

(♯'A`)「来る訳ねぇよ! アイツは昔からああいうヤツなんだよ。
    だからいつまでたっても友達の一人も出来ずにいたんだ」

怒りに任せて声を荒げるドクオに、頭上に乗っていたジョルジュは慌ててドクオの髪を掴んで落下を防いだ。
ワカッテマスはそんなドクオに対して何も言わず、ドクオの後ろの方へ視線を向けていた。

 _
( ゚∀゚) ドクオ 俺はそう思わないよ

('A`)「あ?」

突然のジョルジュの発言にドクオは思わず喧嘩腰で応じてしまった。
しかしジョルジュはドクオの反応に構わず、定位置であるドクオの頭上に座り直して話を続ける。



15: No,6 :2008/08/31(日) 15:17:35.65 ID:8CLKXd5k0

 _
( ゚∀゚) シューすげ―優しい時あるし 俺達と一緒にいて楽しそうな感じするじゃん だからおっぱいもデカいんだよ

('A`)「おっぱいは関係ないだろ」

脈絡のない締め方をしたジョルジュの頭をドクオは指で小突いた。
ワカッテマスは肩に乗っていたミルナを掌に乗せると
ミルナの頭を優しく撫でながら口を開いた。

( <●><●>)「知ってますか? 守護妖精を生み出すのは、その守護妖精の主なんですよ。
       ジョルジュがそう思うという事は、ドクオ自身も本当はシューに対してそう思ってるという事なんですよ」

ワカッテマスの言葉に心当たりがあったのか、ドクオは納得したような表情をする。
ワカッテマスは再びドクオの後ろに視線をやり、小さく頷くとコートの方を見た。

( <●><●>)「しかし遅いですね。もう試合時間はとっくに過ぎているのに」

('A`)「だな。俺ちょっと飲み物買ってくるな」

ドクオはポケットの中の小銭を確認するとジョルジュを残したまま立ち上がろうとして、静止した。
ドクオの頭上には見覚えのある幼馴染みの顔があった。
予想もしない来訪に驚いたドクオはそのまま固まってしまったのだった。



17: No,6 :2008/08/31(日) 15:20:03.12 ID:8CLKXd5k0

lw´‐ _‐ノv「ぬ」

( A )「ぎゃあああああああばばばばばばぶああ」

ドクオは意味不明な奇声を上げるとワカッテマスの後ろに隠れた。
周囲の人々はドクオの声に異常者を見る目を向けている。
ワカッテマスは、やれやれと言わん許りに首を振るとくっついているドクオを無理矢理引き剥がした。

( <●><●>)「シューが来た位でそんなに驚かないで下さい。私まで変な目で見られているじゃないですか」

(;'A`)「え? つーかシューはいつからいたの?」

lw´‐ _‐ノv「ドクオが、私は本当に来ないのかと言っている時から」

('A`)「結構さっきからいたんだ……」

( <●><●>)「全てわかってました」

('A`)「いや、わかってんなら最初に言えよ」

ワカッテマスに裏拳ツッコミをしたドクオは、騒がしい心臓を押さえて自販機のあるロビーへ向かう。
残されたワカッテマスとシューの間に無言の静寂がゆっくりと訪れる。
その静寂を破ったのは、コートを見つめたままでいるワカッテマスだった。



18: No,6 :2008/08/31(日) 15:21:33.37 ID:8CLKXd5k0

( <●><●>)「申し訳ありません。ドクオが貴方の事を言った時点で止めるべきでした」

lw´‐ _‐ノv「気にするな。よくある話だし、昔からドクオにはああ言われていた」

( <●><●>)「そうですか……。それにしても、本当に来てくれるとは思いませんでした」

lw´‐ _‐ノv「ポエムを書くのを明日にしただけだ」

( <●><●>)「デレも喜びますね」

そう言いながらワカッテマスは頬を緩めて、今頃円陣を組んで気合いを入れているであろうデレを思った。

( ゚д゚ )  ワカッテマス シアイイハジマルヨカン

( ∵) ゴエエェ!

 _
( ゚∀゚) デレはどこにいるかなー?

いつの間にかミルナ達は手摺に登ってコートを見下ろしていた。
ミルナの指差す方に視線を向けたワカッテマスとシューはVIP高とラウンジ高の選手がコートに並んでいるのを確認した。
しかし、その中に見慣れた金髪パーマの友人は見当たらなかった。



19: No,6 :2008/08/31(日) 15:22:20.98 ID:8CLKXd5k0

lw´‐ _‐ノv「デレ控えになったのかな?」

( <●><●>)「まさか前日になっていきなり交代なんて……ミルナ、お願い出来ますか?」

( ゚д゚ )  ガッテンショウチノスケ ダゼ!

親指を突き立てて了解の合図をしたミルナは座禅を組むと目を見開かせた。
目玉を左右に動かすその様子はまるで見えない何かを見ているようだ。

暫くそうしていると、ミルナは何かを見つけたらしく身体を反応させ
一度瞼を閉じるとワカッテマス達の方を向いた。

( ゚д゚ )  デレミツケタ ロウカニイル デレナイテル……

ミルナの発言に、その場にいたワカッテマス達は驚きを隠せずにいた。
試合開始のホイッスルが泣いているというデレを無視して会場に響き渡る。
普段冷静で通っているワカッテマスは焦った表情をしてシューの方に視線を向けた。

( <●><●>)「……急いで一階へ行きましょ……シュー?」

ワカッテマスとは違いシューはいつもと変わらぬ無表情を貫き通したまま
ワカッテマスを静止するように手がワカッテマスの身体の位置で止めていた。

シューの行動にワカッテマスは理解出来ず苛立ちを感じていたが
いつも朧気にどこか遠くを見つめているシューの目がハッキリと前を見ている事に気付くと
ワカッテマスはシューの思惑を察し、心の落ち着きを取り戻そうとした。

lw´‐ _‐ノv「先に行ってくる。ワカッテマスはドクオが戻って来たら一緒に来てくれ」



21: No,6 :2008/08/31(日) 15:24:06.81 ID:8CLKXd5k0

( <●><●>)「……わかりました」

シューはそれだけを言うとビコーズを連れて走り出した。
途中すれ違ったドクオに何があったのかと聞かれたが、そんな事気にしないで走っている。
言葉では上手く表す事のない感情が高まるのをシューは淡々と感じていた。

一階の薄暗い廊下にデレはいた。
ブーンを抱き締めて顔を伏せているその様子から、恐らく泣いているのだろう。
シューはそんなデレに対してどうすればいいのか分からず棒立ちになっていると
肩に乗っていたビコーズが飛び降りて、デレの所まで駆けて行った。

lw´‐ _‐ノv「ビコーズ……」

( ∵) テッケテケー

(;^ω^) ……おっお!

ビコーズに気付いたブーンはデレに抱き締められたまま両手を振って合図を送った。
騒がしいブーンに何事かと思いデレが顔を上げた。
その頬からは涙の跡が残り、目は赤くなっていた。

ζ(゚ー゚*ζ「シューちゃん……来てたんだ」

lw´‐ _‐ノv「ああ、来てやったぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「……私って本当にダメだね。あんなに頑張ってレギュラーになれたのに、怪我なんてしちゃうんだから」

lw´‐ _‐ノv「……」



23: No,6 :2008/08/31(日) 15:25:15.74 ID:8CLKXd5k0

後方から二つの足音が近付いて来た。シューは足音の主を確認しないでデレに向かって歩き出す。
泣いていた事を隠すように笑うデレの足首を触って、ビコーズは何かをしていた。

デレの元へ来たシューはその場にしゃがみ込むとデレの頭を撫でた。
突然のシューの行動にデレは戸惑うも、シューの手から感じる優しさに思わず涙を一粒零してしまった。

lw´‐ _‐ノv「無理に笑うな。私にまでそんな仮面を被るのか?」

ζ(;ー;*ζ「だって……」

lw´‐ _‐ノv「それに今なら大丈夫だ。試しに立ってみろ」

シューはデレの頭を撫でる手を離すとすかさずデレの足を引っ張った。
引き摺られて立ち上がったデレはシューの言葉に首を傾げていたが、すぐにその意味がわかった。
デレは目を見開いて右足首に目を向けた。

ζ(゚ー゚*ζ「足が……痛くない」

( ^ω^) おっお!

lw´‐ _‐ノv「ビコーズの治癒能力だ」

シューとデレが足元に視線を落とすと、ビコーズが得意そうに胸を張っていた。
感極まったような表情をするデレは震える声でビコーズとシューに向き直った。



24: No,6 :2008/08/31(日) 15:26:51.93 ID:8CLKXd5k0

ζ(゚ー゚*ζ「本当にありがとう……私、もう出れないかと思って……悔しくて……」

デレの言葉を聞かずに、シューは試合が行なわれている体育館の扉にデレを反転させた。
デレは慌てて次の言葉を言おうとするも、いつにも増して真剣なシューに言葉が出なかった。

lw´‐ _‐ノv「礼は試合が終わってからにしてくれ。早く行って選手交代を頼んでこい」

( ∵)ノシ ゴエェ

ζ(゚ー゚*ζ「……うん! ありがとうシューちゃん、ビコーズ」

( ^ω^) おっおおーん

デレは満面の笑みの浮かべて体育館の中へと戻って行く。
走り出したデレの背中を見送ったシューの後方から彼女を呼ぶ声がする。
声に反応して振り返ると心配そうに見つめるワカッテマスとぼぅっと立っているドクオがいた。

( <●><●>)「良かったのですか?」

lw´‐ _‐ノv「何がだ」



25: No,6 :2008/08/31(日) 15:29:46.86 ID:8CLKXd5k0

( <●><●>)「その治癒能力は完璧な物ではない。
        治癒能力を使う原動力に守護者の幸福が引き返えになると言うじゃないですか」

ワカッテマスの言葉にドクオは目を見開いてシューを見る。
ドクオは守護妖精が見えるようになってそんなに日が経ってないので詳しい事は何も知らないが
自らの幸せを他人に明け渡すという事がどういう意味を持つのはは理解出来た。

('A`)「シュー……」

lw´‐ _‐ノv「いいのだ、デレが笑ってくれたならそれで。
       それに幸せを消費するなんて大げさな事を言うが
       実際には暫くの間目に見える良い事が減るだけで後は何も変わらないのだから」

シューはそう言って笑って見せた。
日頃無表情で通しているシューの優しい笑みに
腑に落ちない様子だったワカッテマスとドクオは頷かざるを得なかった。

( <●><●>)「貴方がそう言うのならそれでいいのですが……」

( ゚д゚ )  ソレヨリキイテクレヨ デレヲケガサセタヤツガワカッタゾ



28: No,6 :2008/08/31(日) 15:31:43.05 ID:8CLKXd5k0

lw´‐ _‐ノv「まぁある程度予想はついているけどね」

言いながらシューは頭の中でデレと似たような姿の女を思い出した。
見目美しい姿をした彼女だったが、裏ではとても性格が悪いと言われていて
部内のデレいじめの主導者と聞いていた。

('A`)「それについては俺に任せてくれよ」
 _
( ゚∀゚) 任せてくれよおっぱい!

ドクオとジョルジュが怪しげな笑みを浮かべて言う姿に
ワカッテマスとシューは何をするのか予想がついたのか小さく溜息をした。



31: No,6 :2008/08/31(日) 15:33:31.57 ID:8CLKXd5k0

一方デレはというと、控え場所にいる監督に交代を掛け合っていたが中々許可をしてくれない。
この大会で新人大会の選抜メンバーが決まる、デレは実力で勝ち取ったレギュラーの座をここで落とす訳にはいかなかった。

ζ(゚ー゚;ζ「監督お願いします! 足ならもう大丈夫です、足手纏いにならないようにします! だからお願いします!」

ハハ ロ -ロ)ハ「but,ただでさえ負けているのに今あなたを出してscoarが離されたらどうする気です。
       それにまだあなたのankleは完治していないハズです。今ここで悪化するより治す方を優先して下さい」

ζ(゚ー゚;ζ「そんな……!」

(;^ω^) おっお……

虚しくもデレの願いは聞き入れられず、試合はデレを置いて進んでいく。
第一セットを取られ、第二セットも相手がマッチポイントを取っているという状態に
デレは自身が出れない歯痒さを感じていた。

ζ(゚ー゚;ζ。ο(シューちゃんが私の為に助けてくれたのに……こんな所で何も出来ないなんて嫌だよ)

再びデレの瞳に涙が溜まる。
その涙は先程の試合に出れない悔しさではなく
シューの思いを無駄にしてしまう悔しさが表れていた。



33: No,6 :2008/08/31(日) 15:35:24.57 ID:8CLKXd5k0

コートでは金髪縦ロールのツンという少女がデレを見ていた。
その目は勝ち誇ったようにデレ見て、ツンは心の中でデレに笑っていた。

ξ゚听)ξ。ο(前日デレに片付けを任せて、気付かれないように道具を倒した甲斐があったわ。
         これで私がレギュラー決定よ)

レギュラーの座をデレに奪われたツンは、デレに怪我を負わせる事でレギュラーの座を勝ち取ったのだ。
上空からやってきたボールがツンの真上に落ちてゆく。
トスの形をつくり下からボールを打ち上げよう、ツンはそう思っていた。

しかしボールはツンの横を通り過ぎ、地面に落ちた。
ツンは両手を上に掲げながら動かない。いや、動けないのだ。

ξ;゚听)ξ。ο(いや……何よ、こんな……)

周囲の人間はツンがただ固まっているようにしか見えない。
けれど、デレはツンの身体がどうしてそうなってしまった理由を知っていた。
他の誰にも見えない、ツンの胸元にはジョルジュがくっついていたのだった。

 _
( ゚∀゚) これはいいおっぱいだな!

ξ///)ξ「いや……そんなに揉まないで……」

ジョルジュの手の動きに耐え切れず、ツンは胸を押さえてその場に座り込んでしまう。
周囲の生徒はツンの周りを囲み、試合は一時中断となってしまった。



36: No,6 :2008/08/31(日) 15:37:29.07 ID:8CLKXd5k0

二階の応援席にはシューとワカッテマスが座ってツンの様子を眺めている。
その隣ではドクオが気持ち悪い笑みを浮かべ、空を揉むように両手を動かしていた。

( <●><●>)「何という変態」

lw´‐ _‐ノv「流石だなドクオ。ジョルジュとの息もピッタリだ」

(*'A`)「ウヘへ、柔らかいなぁ……ジョルジュもっと揉むぞ」
 _
( ゚∀゚) おう!おっぱいおっぱい!

ジョルジュの手がドクオの手の動きに合わせて動く。
揉み砕かれるツンの大きな胸は歪な形に変形している。
控え場所に集まった生徒達はツンの様子に只事ではないと判断し、焦りの色を見せていた。

ミセ;゚ー゚)リ「ツン! 大丈夫!?」

(゚、゚;トソン「どうしたの? 胸が痛いの?」

ξ///)ξ。ο(嫌なのに気持ち良い…ああ悔しいっ!)
 _
( *゚∀゚) ウヘヘ。おっぱいおっぱい!

友人からの問い掛けにもツンは反応出来ないでいた。
ツンの現状を厳しい目で見つめていた監督は、ベンチで横たわるツンの所まで来ると
生徒を全員集め、迷いのない声を発した。



37: No,6 :2008/08/31(日) 15:38:02.21 ID:8CLKXd5k0

ハハ ロ -ロ)ハ「選手をツンからデレへ変更する」

監督のこの言葉に周囲の生徒はざわつきを始めた。
その声はデレの怪我を心配している様子はなく、足手纏いにならないかという非難の声だった。
後方のツンも起き上がり、胸の刺激に耐えながら立ち上がり監督に懇願する。

ξ゚听)ξ「監督、私なら平気です。どうか出させて下さい」

ハハ ロ -ロ)ハ「私が決めた事だ。それにツン、そんなに震えた足でgameに集中する事が出来るのか?」

ξ゚听)ξ「それは……」

監督の言う通り、今のツンは立っているだけでやっとの状態。とてもバレーが出来るとも思えなかった。
監督は後ろの方にいるデレを呼ぶとメガネを光らせながらデレの足を見る。

ハハ ロ -ロ)ハ「本当に足はOKなんだな」

ζ(゚ー゚*ζ「はい、大丈夫です」

ハハ ロ -ロ)ハ「……go to cort.存分に闘って来なさい」

ζ(゚ー゚*ζ「ありがとうございます!」

デレは監督に頭を下げると喜びに満ちた顔でシュー達がいるであろう客席を見上げた。
デレの出場が決定したのを知ったジョルジュはドクオにその旨を伝えると
ツンの胸から離れ、デレの肩に乗りかかった。



40: No,6 :2008/08/31(日) 15:39:41.52 ID:8CLKXd5k0
 _
( ゚∀゚) デレ 良かったな!

ζ(゚ー゚*ζ「うん! ……でも何でジョルジュはツンちゃんにあんな事したのよ」
 _
( ゚∀゚) あれは因果応報だから ってドクオが言ってたぞ!

ζ(゚ー゚*ζ「おうほう?」

(゚、゚トソン「何独り言ぼやいてるのよデレ! もう試合始まるわよ!」

その声に反応してコートの方を見ると、既に試合は再開の準備に入っていて
声を掛けて女子生徒が独り言を喋っているデレを若干気持ち悪そうに見ていた。

ζ(゚ー゚*ζ「じゃあねジョルジュ。ちゃんとドクオの近くにいて守ってあげないといけないよ?」
 _
( ゚∀゚) おう! 頑張れよおっぱいおっぱい!

ジョルジュはそう言うとデレの肩から飛び立ち、腕を激しく上下に動かしながら宙に浮いた。
それなりに体力を使うらしく、飛びながら自身を励ます為におっぱいと連呼をしていた。
二階のシュー達がいる席が見えると、腕を振るのを止めてドクオに向かって落ちていった。

('A`)「うおっと……お疲れジョルジュ」
 _
(  ∀ ) 燃え尽きたぜ……おっぱい



41: No,6 :2008/08/31(日) 15:40:15.18 ID:8CLKXd5k0

lw´‐ _‐ノv「デレの方は本当に大丈夫なのか?」

ヾ( ∵)ノシ 

( ゚д゚ ) ミンナデレデタヨ!

ビコーズとミルナの声に反応してシュー達は身を乗り出してコートを見る。
そこにはセンター真ん中で緊張した顔のデレとブーンがいた。

('A`)「デレー! 頑張れー!」

( <●><●>)「ドクオそんな大きな声で言わないで下さいうるさいですよ。デレ頑張って下さーい!」

('A`)「お前だって結構声デカいぞ」

( ∵) ゴエエェ!

( ゚д゚ ) デレーガンバレー
 _
( ゚∀゚) おっぱいおっぱいおっぱいおっぱい!

lw´‐ _‐ノv「……デレ、頑張れ」

デレが一瞬シュー達の方を向いた。その表情は先程の緊張が和らぎ、笑みを浮かべていた。

試合の開始を告げるホイッスルが鳴り響く。デレは勢い良く床を蹴って宙を舞う。
ボールはデレの指先を掠め、相手のコートに入って行った。



44: No,6 :2008/08/31(日) 15:41:26.54 ID:8CLKXd5k0
相手のコートで何度かボールが飛び上がる。対戦校のエースであろう背の高い女がボールを叩き落とす。
慌てて床に倒れながらデレはボールを拾った。仲間がデレが打ち上げたボールをそのまま相手のコートに打ち付ける。
しかし相手はここの地区で強いと言われている学校。
そう簡単に点を取らせてはくれずブロックで弾き返されてしまった。

似たような攻防戦を繰り返していく内に、相手がマッチポイントを取ってしまった。
チーム全体にも焦りが見え始め、完全に雰囲気が負けていた。
それでもデレは相手の動きに目を光らせ、逆転のチャンスを伺っていた。

相手のコート上でボールが宙を舞う。肌と固い皮とが強い音を立てて鳴り響いている。
相手の強いアタックがデレ達のコートに落とされる。
しかし、何とか仲間の一人が持ち堪えてくれたお陰でその危機は免れた。

ボールが打ち上がる。仲間がデレの方をチラリと見る。
目で交わされた無言の意味を汲み取ったデレは軽く助走を付けて飛んだ。
デレの上ではブーンが両手を広げて空を飛んでいる。
ブーンの不思議な力を受けてデレの身体も通常のジャンプでは有り得ない飛躍を見せる。

ボールより上の位置にデレの上半身は届いた。
今この場にいる全ての人間の視線がデレを捕らえて離せずにいる。
デレは右手を掲げると、勢い良くボールを叩き落とした。

⊂二二二( ^ω^)二二二二つ ブー――――ン

ζ(゚ー゚*ζ「いっけえええぇぇ!」

上空から放たれたボールは驚く程早いスピードで相手のコートに入り、地に落ちた。
ついさっきまで騒がしかった体育館内は静まり返り、観客や選手達はデレのボールの早さに息を飲んでいた。
ふと、我に返った審判が一度首を横に振ると素早く右手を上げて声高らかに叫んだ。



45: No,6 :2008/08/31(日) 15:42:06.81 ID:8CLKXd5k0

「VIP高、マッチポイント!」

反響したその声に、弾かれたように体育館内は再び応援の声で溢れ返った。

 _
( ゚∀゚) うおー! すげーよデレ!

('A`)「いけいけ! そのまま点数取っちまえ!」

(*<●>・・<●>)=3「これは興奮せざるを得ませんね」

( ゚д゚ ) イツモノワカッテマスジャナイ・・・・・・

lw´‐ _‐ノv「……デレ、負けるな! 米パワーで勝ちに行くんだ!」

( ∵) ゴエエエエエエエエエエエエエエエエエ ガハッ

着地したデレはブーンを頭に乗せてシュー達の方を向いた。
嬉しそうに笑って小さくピースをすると最後の勝負に向けて全身全霊を掛けたのだった。



47: No,6 :2008/08/31(日) 15:43:58.47 ID:8CLKXd5k0



真っ赤な夕日が街を赤く染め、体育館から人が数珠繋ぎのように出て来た。
その流れから少し外れた所では四人の男女が楽しそうに話をしている。
デレを囲むようにして集まったシュー達は先程の試合を思い出しながら会話を続けていた。

('A`)「何にしても、今日のデレは凄い格好良かったよ」
  _
( ゚∀゚) おっぱいも輝いていたぞ!

ζ(゚ー゚*ζ「えへへー、ありがとう」

( <●><●>)「あんな大技持ってるとは流石の私もわかりませんでした」

( ゚д゚ ) オレノメデモアノボールハオイツケナカッタゾ

ζ(゚ー゚*ζ「私だけの力じゃないよ。ブーンがいたから出来たんだよ」

( ^ω^) おっおーん

ドクオとワカッテマスの称賛にデレはブーンを胸に抱き抱えながら恥かしそうに答える。

結果は惜しくも最終セットを相手に取られ、三対〇でVIP高は負けをしてしまった。
しかし最後の最後に見せたデレの大技に、監督はデレの実力を確認し
今後デレを正式にレギュラーに入れる事を発表した。

チームメイトもデレの隠された力に驚きながらもその実力を認め、中にはいじめた事実を謝る人もいた。
最も、ツンはいじめを認めず怒りを露わにして遠巻きから見ていたのだけれど。



48: No,6 :2008/08/31(日) 15:45:43.47 ID:8CLKXd5k0

lw´‐ _‐ノv「守護妖精は主の強い力に触発されて更にその力を高めるという。
      その言葉が本当なら、ブーンはデレの勝ちたいという思いに答えたのだろうな」

シューは淡々と言葉を発すると、デレの方を向いて優しく微笑む。

lw´‐ _‐ノv「取り敢えず、レギュラーおめでとう」

( ∵))

ζ(゚ー゚*ζ「うん! ありがとうシューちゃん、ビコーズ」

満面の笑みを浮かべるデレは本当に嬉しそうで、シューは少し恥かしそうにそっぽを向いてしまった。
今まで人の為に行動した事がなかったシューが、初めて誰かの為に動いたのだ。これは大きな進歩だった。
ドクオはそんな二人を見ていると何かを思い付いたらしく、よしと声を出して三人の前に躍り出た。

('A`)「デレのレギュラー入りとシューの大人になった祝いに今から飯食いに行こうぜ!」

lw´‐ _‐ノv「私の事は置いておくとして、何というドクオらしからぬ発言……」

('A`)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「いいじゃない、ドクオだってそういう時があるんだよ。ね、ドクオ」

(*'A`)「お、おう」

( <●><●>)「貴方がデレに惚れているのはわかってま……むぐ」

(;'A`)「余計な事言うなよバカ」



50: No,6 :2008/08/31(日) 15:46:14.29 ID:8CLKXd5k0

デレに声を掛けられ顔を赤くするドクオにワカッテマスが後ろから何かを呟くと
ドクオは更に顔を真っ赤にしてワカッテマスの口を手で押さえた。

lw´‐ _‐ノv「喜べデレ。今日はドクオの奢りだそうだ」

ζ(゚ー゚*ζ「本当に!? やったぁ」

(;'A`)「え、あ、いや、シュー何勝手な事言ってるんだよ」

ζ(゚ー゚*ζ「ありがとうドクオ、私とっても嬉しいよ」

その言葉の通り、喜びを柔らかい微笑みから発しながらデレはドクオに抱き付いた。
予期せぬ出来事に一瞬身体が固まったドクオだったが
デレの前では良い所を見せたいのか先程とは打って変わった態度になった。

(*'A`)「はっはっはー。マックで良ければ全員分出してやるよ」

( <●><●>)「彼は見事なまでに尻にしかれやすいタイプですね」

lw´‐ _‐ノv「ドクオがああなのは昔からだ」

(*'A`)「何二人でこそこそ言ってるんだよ。そうと決まれば早くマックに行くぞ」

デレはドクオから離れると頭の上のブーンに視線を向ける。
ブーンはデレに気付くと少し身を乗り出してデレと視線を合わせた。



52: No,6 :2008/08/31(日) 15:47:31.99 ID:8CLKXd5k0

ζ(゚ー゚*ζ「ブーン、今日はありがとうね」

( ^ω^) おっお!

二人は顔を見合わせてクスクスと笑った。
ブーンとデレの間からビコーズの顔が現れた。驚いて二人は顔を離すと
ビコーズは無表情な顔の中から少々不満気な雰囲気を出していた。

( ∵)ノシ ゴエエエェ

lw´‐ _‐ノv「デレ行くぞ。ビコーズもお腹を空かしているみたいだ」

ζ(゚ー゚*ζ「うん! 行こっかブーン」

⊂二二二二二( ^ω^)二二二二つ ブーーーーーーン
  _
( ゚∀゚) ブーン行くの早いぜ! 俺も負けてられないぜおっぱい!

('A`)「腕振って飛ぶのは良いけど無理すんなよー」

( <●><●>)「ふぅ・・・・・・相変わらず騒がしいですね」

( ゚д゚ ) デモワカッテマスタノシソウ

( <●><●>)「ええ……とても楽しいですね」

夕日に向かって歩いていく四つの影と、四つの存在しないはずの影。
守護妖精という不思議な生き物が巡り合わせたこの出会いに感謝しなければ
その場にいる誰もがそう思っていた。



54: No,6 :2008/08/31(日) 15:48:25.00 ID:8CLKXd5k0



もしも最近物が移動していたり誰かの気配を感じているのなら、ちょっと振り返ってみて下さい。


もしかしたら、彼らのようにあなたの後ろにも守護妖精がいるのかもしれませんよ。




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