( ><)僕の非日常的日常
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 18:31:33.56 ID:kqZ+5O3t0
( ><)
(>< )
( ><)
( ><)「…誰もいない…」
( ><)+「………よし!」
( <●>(;><)「出かけるなら今のう…「何処へお出かけですかご主人様ぁ!?」
( <●><●>)b (><;)「きゃぁあああああああああああ!」
(*#‘ω‘ *) 「うるせーっぽ!黙れ!『てれび』の音が聞こえないだろっ!バカ!」
⊃て
(;><).。・*「あぶるぇあふ!」
(;<●><●>)「ああご主人様!ちんぽっぽ貴様!!」
(;><)「僕はご主人様なんかじゃねえ!! っていうかお前ら…」
(;><)「いい加減にしろ――――!!なんです!」
- 4: No.15 :2008/08/29(金) 18:32:41.53 ID:kqZ+5O3t0
( ><)僕の非日常的日常
- 5: No.15 :2008/08/29(金) 18:33:30.92 ID:kqZ+5O3t0
聞く人によると、僕のおじいちゃんという人は、どうやら僕と瓜二つの外見だったらしい。
僕自身が会うかなり前におじいちゃんは死んでしまったけど、お母さんが言うには
相当な変わり者で、”悪魔祓い”なんていう(世間的に考えて)ちょっと胡散臭い職業についていたと聞いたことがある。
正直、現代っ子である僕は極めてドライに「へぇ、で?」という感じだったのだけど、最近そうもいかない理由が出てきた。
話は、僕が夏休みの間、おばあちゃんの家の掃除を頼まれたときまで遡ることになる。
ちょっと長くなるけど、お付き合いしてもらいたい。
*
- 6: No.15 :2008/08/29(金) 18:34:54.17 ID:kqZ+5O3t0
蝉がジィジィとうるさい真夏の最中。
鬱蒼と生い茂る木々に囲まれるそこは、まるで映画の中のような風景だった。
( ><)「相変わらずでっかい家なんです…」
今時珍しい洋館風の実家を見て、僕は大きなため息をつく。
もともと僕のおじいちゃんは西洋かぶれ的なところがあったらしく
ほとんど面識のない僕にまで配分された遺品には、小物一つまで洋風なものが多かったのを思い出した。
从=´ー`从「あら〜、ビロードちゃん、よくきたわねぇ〜」
そんなことを考えながら、ぼんやり家を眺めていると白い扉が開き家の中からおばあちゃんが出てきた。
嬉しそうに顔をくしゃくしゃにして笑うおばあちゃんは、年齢の割には僕の目から見ても
綺麗な人だと思える。
薄手のブラウスを身に纏い、か細い手で家へと招いてくれた。
- 7: No.15 :2008/08/29(金) 18:36:14.04 ID:kqZ+5O3t0
( ><)「こんにちはなんです」
从=´ー`从「はい、こんにちは。あらあら、まぁ〜、本当におじいちゃんそっくりになって…」
( ><)「あはは、それ前来た時も言ってたんです」
从*=´ー`从「だって若いときのあの人そのまんまなんですもの…」
可愛らしい声をあげて言うおばあちゃんはまるで恋する乙女のようだったけど
これはここに来るたび言われる言葉だ。
僕は会った事もないし、写真を残すこともない人だったのでイマイチ実感はわかんないんだけども。
从=´ー`从「でもよかったのかしら?うちの整理なんて頼んでしまって
男手がないから助かるったら助かるんだけどねぇ〜…」
( ><)「いいんです!気にしないで下さい!」
申し訳無さそうにするおばあちゃんに向かって、僕はフォローするように首を振った。
そう、今日僕がここに来たのは古くなったこの家をちょっと改装したいということで、家の手伝いに来たのだ。
もちろん、ちょっとした下心もあって。
- 8: No.15 :2008/08/29(金) 18:37:07.17 ID:kqZ+5O3t0
( ><)「その代わり、掃除の最中いらないものとかあったら…」
从=´ー`从「うん、いいよ〜、何でも持っていってちょうだい」
(*><)「ありがとなんです!」
計画通り!
そう、下心というのは「古い家に眠るお宝ゲット!」作戦である。
ネットが普及している今、こういう家にあるものは結構値が張るものが多いのだ。
最近ネットでアダルトサイトを見ているのがバレてお小遣い減らされたし…僕はにやつく頬を押さえながら、おばあちゃんにお礼を言った。
おばあちゃんもありがとう、といってくれたけど、それはこっちのセリフなんです。
- 9: No.15 :2008/08/29(金) 18:38:13.06 ID:kqZ+5O3t0
从=´ー`从「ビロちゃんにはこの部屋を片付けて欲しいんだよ」
そういっておばあちゃんが案内してくれたのは、元々はおじいちゃんの部屋だったらしい、屋根裏部屋だった。
天窓からは空が見えて、中々に綺麗な景色である。
しかし部屋の中はそううまくもいかないみたいで、ワケのわからないものがあちこちに転がっている上
窓から差し込んだ光のせいか埃が光って見えた。
从=´ー`从「じゃあ、よろしくね〜」
(;><)「あ、はいなんです!」
箒とはたき、雑巾と洗剤を手に、僕はおばあちゃんへ手を振った。
さて…あとは頑張って片付けるだけなんです!
そしてお宝を見つけるんです!
ネットで儲けてウハウハになっている自分を想像しながら、僕は部屋の奥へと入っていった。
- 10: No.15 :2008/08/29(金) 18:39:09.64 ID:kqZ+5O3t0
- ―――――――――
数時間後、そこには後悔している僕の姿が!!
(;><)「い…いくらなんでも埃ありすぎ物ありすぎのスペース無さすぎなんです…jk…」
頭に巻いていた三角巾を外して、僕はその場に座り込み、自分の考えがいかに甘かったかということを思い知っていた。
どうやら僕のおじいちゃんは本当に相当な変人だったらしい。
彼の遺品と思えるものは親戚一同で分けたのだが、ここにあるのは趣味のものは
遺品以上にわけのわからないものばかりだった。
( ><)「なんですかこの動物(?)の骨!鎖!羽!十字架!厨二が好む要素ばかりですよ!」
手元にあった物を弄びながら呟く。
新ジャンル『厨二おじいちゃん』
( ><)「……なんでも厨ってつけりゃいーもんじゃねーんですけど」
はぁ、とため息をついてから重い腰をもう一度上げる。
どうせ、ここでウダウダしてても始まらないんです。
- 11: No.15 :2008/08/29(金) 18:40:29.55 ID:kqZ+5O3t0
元々この部屋はおじいちゃん以外は入れない部屋であって、どれを捨てていいのやらおばあちゃんもわからないんですから、いらなそうなものは捨てちゃって
なんか良さげなものは売っちゃうんです。
( ><)「よっこらセントジョーンズ!っと」
そもそもどうして僕がここに入れたのかというと、「おじいちゃん」にそっくりな僕だったら許すとおばあちゃんが言ってくれたからだ。
当人が死んでいなくなったのに、まだ部屋をそのままに残す気持ちは子供の僕にはよくわかんないが、思う所もあるのだろう。
( ><)「ハタキをかけて〜ルララルラルララルラ♪」
ちょっとでも楽しい気分になろうと、とりあえず歌いながらハタキをかけることにした。
まあ掃除の基本は上からだからね!天井から始まり、本棚、大きな棚、机……
( ><)「ん?」
しかし、そこで僕の手が止まった。
机の上に良くわからない本が散乱しているのだが、その中に小さく光る物が見えたからだ。
(*><)「これは、お……お宝!?」
上にあった本を全部下に落とし、目的の物を拾い上げる。
埋もれた本の中から出てきたそれは、銀で作られた20センチくらいの箱だった。
- 12: No.15 :2008/08/29(金) 18:41:16.63 ID:kqZ+5O3t0
表面には天使と悪魔の精巧で綺麗な細工が成されていて
一見して価値のありそうなものだと僕は思った。
(*><)「うっひょう! これはキタんです! 中身は何かな!?」
万歳して箱を調べてみるが、どうにも開く場所が見つからない。中から音はするので何かが入っているのは確実の筈なのに。
カリカリと箱を削ってみるが、それこそ傷でもついたら大問題だ。
(#><)「う〜〜〜…なんですかもう…!」
しかし振れど叩けど箱は開かない。
僕は段々イライラしてきて、箱に向かって、つい大声で叫んでしまった。
(#><)「くそっ……もうっ……この…………あ〜〜〜〜〜〜
開け!!!!」
その、瞬間
……―――――――――――――バンッ!!!
- 13: No.15 :2008/08/29(金) 18:42:27.63 ID:kqZ+5O3t0
(;><)「!?」
何かが壊れるような音と共に箱が物凄い勢いで光を放つ、僕は目の前が真っ白になった。
(;><)「え!?えぇ!?」
えぇぇえぇええええ!?な、ななな何何何何!?何ぞこれなんです!?
ドッキリ!?
光の中に包まれ、辺りの音は何も聞こえないこの状況、パニくる以外に何の行動が取れようか!
(;><)「あば、あばばばばばばばばばばっ!」
情けなくもその場にしゃがみ込み、ただ時がすぎるのを待った。
それから一分、あるいは一時間かもしれない
一瞬にも永遠にも感じたその時間がすぎれば、心がちょっとだけ落ち着いてきた。
周りに何の反応もないので、僕が恐る恐る目を開けてみると、そこには
(;><)「……あ……」
- 14: No.15 :2008/08/29(金) 18:43:38.50 ID:kqZ+5O3t0
(;><)「開いてる……」
銀色の箱が開いた状態で床に落ちていた。
恐々と手に取ると、その中には二つの小瓶が赤い布の中に敷き詰められるように眠っている。
一つは、黒。
一つは、白。
相対するような小瓶はガラス製で不思議な輝きを放っていた
(;><)「…………………」
奇妙な胸騒ぎが過ぎるが、不思議なことに近寄りたくない心とは裏腹に
僕はその瓶へと手を伸ばしていた。
(;><)「な、なんなんだろ……」
正直怖くてたまらない、が人間とは元々好奇心が強い生き物だ。
怖いと思っても気になってしまう。それが人の本能だろう。
まさかおじいちゃんも自分の部屋に「開けたら死ぬ小瓶」とかなんて置いておくわけがないだろうし……。
- 15: No.15 :2008/08/29(金) 18:44:24.70 ID:kqZ+5O3t0
黒い方の小瓶の木製コルクに手を伸ばし、その栓を………
(;><)「あ、あけちゃえ!」
キュポンッ!
―――――抜いた。
正直、箱の時みたいに中々開かないと思っていたから、こうもあっさり開いたことにちょっと驚いた。
しかし、驚きと言うのはあとからもっと凄いものがやってくるのである。
コルクを抜いた瞬間、瓶から何か黒いものが溢れ出てきたような気がした。
『…………やっと…やっと…ここから…!』
(;><)「!?」
それに伴ない、部屋に声が木霊する。例えて言うならRPGのラスボスみたいな!
ていうかな、何この声!
今度は一体なんなんです!?
- 16: No.15 :2008/08/29(金) 18:45:36.93 ID:kqZ+5O3t0
(;><)「だ、誰ですか!?一体ど、何処から……」
そ
「出れたぽイヤッホォオオオオオオ!!!!」∩(*‘ω‘ *) つ;><)「聞こえてくぁwせdrftgyふじこlp;p!!」
突然の圧力に僕はそのまま床にひれ伏し、地面とキスするハメになった。
うぅ…一体何が…!?なんて、混乱する暇も僕にはないらしい。
(;><)「!?!?な、ななななな何」
ズン、と背中に圧力がかかった。
(;><)「あいたぁっ!重い!」
(*#‘ω‘ *) 「ワカンナインデス…、てめぇよっくもこのアタクシ様をこんな中に閉じ込めてくれたっぽね……!」
- 18: No.15 :2008/08/29(金) 18:47:09.74 ID:kqZ+5O3t0
(;><)「ぎゃんっ!」
蹴られた犬のような声をあげると、髪を引っつかまれ無理やり頭を向けさせられた。
(*‘ω‘ *) 「覚悟はいいぽか?ワカンナインデス?」
(;><)「……わば、わばばばごめんな、さ………?」
すると目の前にいたのは、僕と同じ年頃のような女の子だった。
淡いピンクのお団子髪に胸元がバッチリ開いた黒の服、下は黒いフリルのスカートを穿いている。
可愛らしい容姿に僕はうっかり今の状況も忘れ見惚れてしまった。
(*><)「……………」
(*‘ω‘ *) 「うふ」
女の子はにっこりと笑うと、緑と黒の縞々ニーソで僕の顎をなで、蹴るスタンバイに入って……ってばげふっ!
(。><)「い……痛い……」
(*‘ω‘ *) 「痛くしたんだぽ」
顎を押さえながらしくしくと泣いた。
そもそもどうしてこんな危機的状況で僕は女の子に見惚れてしまったんだろう。
ここは気をしっかり持たなくちゃ!と思うのに女の子はやけにノリノリで僕に迫ってくる。
- 19: No.15 :2008/08/29(金) 18:49:05.13 ID:kqZ+5O3t0
(*‘ω‘ *) 「さぁ、閉じ込められていた間の仕返し、たっぷりさせていただくっぽワカンナインデス!」
(;><)「ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待ってくださいなんです!」
(*‘ω‘ *) 「なんだっぽ?この期に及んで命乞いかぽ?」
(;><)「命!? 僕命とられるの!? そうじゃなくて、僕はワカンナインデスなんて名前じゃないんです!」
その言葉に、少女は思い切り顔を顰めた。
_,
(*‘ω‘ *) 「お前…このアタクシ様が今更そんな言い訳信じるとでも思ってるのかぽ?
まずはその目出度い頭カマで思い切りかち割ってやろうか」
(;><)「GYAAAAAAAAAA! いやマジです! 本当です! 僕はビロードって言って
ワカンナインデスは僕のおじいちゃんの名前なんです!本当です!ごめんなさい!」
どこから持ち出したのか、本当に紫色の鎌を掲げ出したのを見て僕は土下座した。
恥も外聞もなにもない、そもそも今本当に生命の危機のような気がしてきたからだ。
つうか怖ぇええええええええええええ!!この現代社会に鎌って君!かち割るって君!
(*‘ω‘ *) 「…………嘘付けっぽ、お前その顔どう見てもワカンナインデスだっぽ
アタクシ様をあのチンケな瓶に閉じ込めたっぽ!」
- 20: No.15 :2008/08/29(金) 18:50:26.78 ID:kqZ+5O3t0
(;><)「に、ににににににてるってよく言われるんですけど別人です!本当です!
僕おじいちゃんとは会ったこともないんです!」
ガタガタ震える僕を鬱陶しそうに見ると、女の子は叫んだ。
(*#‘ω‘ *) 「嘘つくな!じゃああいつは、ワカンナインデスはどこ行ったっぽ!」
(;><)「お、おじいちゃんはもう死んじゃったんです! いないんです!」
(*‘ω‘ *) 「!え………」
その言葉に、少女は動きを止め、信じられないような目でどこか遠くを見つめていた。
なんだかよくわからないけど、ショックを……受けてる……?
唇をかみ締めている少女に、悪いけど正直これはチャンスだと思った。
ともかくこの部屋から逃げなくちゃなんです!
(><;) コソコソ
音を立てないようにと足を動かし扉の方に向かったが、どうやら神様は僕がちょっと嫌いなようです。
(* ω *)「ワカンナインデスが……死んだ……?いない?」
- 21: No.15 :2008/08/29(金) 18:52:50.35 ID:kqZ+5O3t0
――――――パリンッ
(;><)「うげっ!やば!」
(*‘ω‘ *) 「!お前、どこ行くっぽ!」
(;><)「うひぃ!見つかった!」
足元に合った何かを踏んでしまったらしく、その音に気づいた少女が再び鎌を振り上げてきた。
やばい!やばいやばいやばいやばいんです!
(;><)「きゃぁあああああああああ!助けてー!」
(* ω *) 「うるさぁい!!また……またアタクシ様を一人にする気ぽかぁ!!」
大きな風が巻き起こり、少女の背中からは大きな漆黒の羽根が生え、辺りに有るものを次々に壊していった。
もったいない、なんて思ってる場合じゃない。
僕は逃げるのに必死で、もうなりふりなんてかまっていられなかった。
しかし恐怖のためか思うように足が動かなくて
怒った、それでいて悲しそうなその顔がもう眼前まで迫り、振り下ろされる鎌に反射的に目を瞑った。
短い人生だと思ったんです。
(* ω *) 「また、あの孤独を味わうなら……一人になるくらいならぁぁぁぁぁああああああ!」
- 23: No.15 :2008/08/29(金) 18:53:58.18 ID:kqZ+5O3t0
(;> )「……………!」
耳にだけ、鎌の風を切る音がした――――
「―――――我が主人に何をしますか」
(;><)「…………!?」
最初に見えたのは、光。
次に見えたのが真っ白く大きな羽根。
そして、舞い散る羽の中まるで神父のような黒い服に身を包んだ黒髪の男が、僕の前に護る様に立っていた。
( <●><●>)「大丈夫ですか……?我が君、ワカンナインデス様」
- 25: No.15 :2008/08/29(金) 18:55:33.35 ID:kqZ+5O3t0
(;><)「あ……………」
振り向いて笑う男の顔は優しく、嬉しくてたまらないという様相で
僕は名前を否定するのも忘れこくこくと頷いた。
( <●><●>)「そうですか、よかった。貴方様に何かあったならば
このワカッテマス、地獄に落ちようかという所存でした」
恭しく頭を下げる彼に、僕はおじいちゃんではないことを言いづらくなってしまった。
そして否定する間もなく、彼は目の前にいた少女へと振り向き、僕に向けた笑顔とは180度違う笑顔で少女に笑いかけた。
(*‘ω‘ *) 「ワカッテマス……かっぽ」
( <●><●>)「久しぶりですねちんぽっぽ。ワカンナインデス様に鎌向けるなんて相変わらずアッタマ悪いんじゃないですか
君の顔を見るのも不快なんでさっさと消滅してください」
(;><)(く、口悪ーーーー!!)
(*‘ω‘ *) 「テメェがしろっぽこのクソ天使」
( <●><●>)「自堕落な悪魔に言われたくありません」
(*‘ω‘ *) 「あん?」
( <●><●>)「なんですか?」
- 26: No.15 :2008/08/29(金) 18:57:16.38 ID:kqZ+5O3t0
二人の間に、火花が散るのが見えた気がする。
僕は逸る心臓と逃げたいという本能を抑えながらも、様子を見守ることにした。
だってここで口挟んだら、僕なんか死にそうな気がしますもん。
(*‘ω‘ *) 「大体テメェもアタクシ様と一緒に封じられたくせに、守護者ヅラしてんじゃねぇっぽタコが」
( <●><●>)「私はご主人様が望むことならなんだってしますよ、願いも契約も叶わなかった悪魔が
ナメた口を利かないで欲しいものですね」
(*‘ω‘ *) 「命令聞くくらいなら犬でも出来るぽ?独創性のないやつだっぽ、これだから天使って嫌ーい」
( <●><●>)「君のようななんの力もないダメ悪魔に言われたくないです」
もしかしたら今逃げれるんじゃないだろうか…
そんな言葉が頭の中によぎったけれど、どうせ見つかったらまた捕まって
今度こそモザイクな展開になってしまうかもしれないんです。
僕は大人しくその場で三角座りして見守り続けることに決めた。
(*‘ω‘ *) 「うぜぇんだっぽ!昔からワカンナインデスワカンナインデス!あいつは私が先に契約してたっぽに!」
( <●><●>)「穢らわしい悪魔なんぞにあの方を渡すわけないでしょう、消えなさい」
- 28: No.15 :2008/08/29(金) 18:58:29.69 ID:kqZ+5O3t0
(*‘ω‘ *) 「うるさいバカてめぇが消えろ!大体、ワカンナインデスはもう死んだっぽ!!!」
( <●><●>)「何を言ってるんですかこのクズは。ワカンナインデス様ならここにいるじゃありませんか。ねぇ?」
そう言ってにこやかに笑いかけてくる顔は穏やかで、とても僕に危害を加えるようには見えなかったが
僕が当人じゃないと知ったらどうなるんだろう…?
ごくりと生唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえた。
(;><)「あの、えっと……」
(*‘ω‘ *) 「そいつ、さっきワカンナインデスは死んだって言ってたぽ。それともあれはやっぱ嘘だったぽか?」
キラリと、少女の目が光った気がした。
(;><)「い、いえ僕はおじいちゃんの孫で、ビロードって言いますです……
あの、おじいちゃんはもういなくて……ごめんなさ………」
( <●><●>)「!!!!!!」
(;><)ビク
その言葉に、ワカッテマスと言われた青年がガックリと床に膝を着いた。
- 29: No.15 :2008/08/29(金) 18:59:48.66 ID:kqZ+5O3t0
真っ白い羽がひらひらと舞う姿は中々に幻想的だけど、今はそんなものに見とれている場合ではない。
ていうかさっきからギリギリ一杯、精一杯なんです。
(;<●><●>)「そんな……冗談でしょう?ご主人様?」
ふらりと駆け寄ってきた青年は真っ青で、僕はどう答えてよいのかわからなかった。
(;><)「ご、ごめんなさい……」
( <●><●>)「謝らないで下さい。嘘ですよね?」
(;><)「あの………」
((;<ー><ー>))「貴方に一生付き添うつもりで、私は貴方の守護者になったのですよ?」
(;><)「…………」
((;<●><●>))「それが私の生きがいだったのです。
それなのに………それなのに貴方が一人で逝くわけないでしょうが!!」
強く肩をつかまれた。
(;><)「ひぃ!」
彼の羽が、先ほどの少女のように辺りの物を風で吹き飛ばす。
僕はもしかしてとんでもない地雷を踏んでしまったんですか……!?
手から逃れると必死に身を屈め、物に当たらないように叫んだ。
- 30: No.15 :2008/08/29(金) 19:01:08.80 ID:kqZ+5O3t0
(;><)「や、やめてください!やめてくださいなんです!!」
( <○><○>)「嘘です!嘘です!嘘です嘘です!」
( <◎><◎>)「絶対に認めません!あの方が死ぬわけがないのです!私を置いて、一人にするなど……っ!」
( < >< >)「認めるものですかぁ!!!」
(;><)「ひぁあああああ!!」
(*‘ω‘ *) 「………………」
物が僕の体にばしばし当たってくる。
もう彼は周りがまったく見えてないようで、ただ悲しそうに叫んでいるだけだった。
その姿はさっきの少女に通ずるものがあって、なんとなく同情してしまいそうになるが
命を天秤にかけてまで同情するほど僕はお人好しではない。
(;><)(誰か……誰か助けて……!)
身をかがめて、必死に祈ると、今度の願いは通じたようだった。
部屋の扉がこんこんとノック音を立てたのだ。
(;><)「!!」
「ビロードちゃん?さっきからすごい音してるけど大丈夫?お片づけが疲れたならちょっと休憩しようか」
- 32: No.15 :2008/08/29(金) 19:02:58.78 ID:kqZ+5O3t0
( <●><●>)「!!」
(*‘ω‘ *) 「!!」
その声に、今まで暴れていた二人が不自然に動きを止めたが、今の僕に気にする余裕などない。
これは千載一遇のチャンスなんです!
(;><)「お、おばあちゃん助けてー!」
叫ぶと同時に扉が開き、おばあちゃんが心配そうな顔で駆け込んできた
从;=´ー`从「ど、どうしたの〜ビロードちゃん!?」
入ってきたおばあちゃんに僕は情けなくも縋りつき、必死で彼らを指差す。
(><。)⊃「あ………あれ…………」
( <●><●>)「……………」
(*‘ω‘ *) 「……………」
しかしおばあちゃんは首を傾げるばかりで、黒い羽根の生えた少女も、白い羽を散らす青年にも興味を示そうとはしなかった。
从=´ー`从「何もないけど? それにしてもあらあら…こんなに散らかしちゃぁ危ないわよ〜?」
(><;)⊃「え……!」
- 33: No.15 :2008/08/29(金) 19:04:35.29 ID:kqZ+5O3t0
もしかして、見えて、ない?
从=´ー`从「助けて、なんていうからおばあちゃんびっくりしちゃったわ〜。
やっぱりあとでおばあちゃんもやっぱり片付け手伝おうかな」
(;><)「あ、あの、そうじゃなくて……!」
从=´ー`从「下にクッキーと紅茶があるから、一緒に食べましょうか。
お片づけはまた後にしましょう〜、ね?」
(;><)「あ、あぁあ……」
おばあちゃんに押されて、僕は無理やり部屋の外へと追い出されてしまった。
ちらりと捕らえた目の端には、真剣な表情をした二人が立っている。
けれど、もうこちらに対して何かをしようという顔ではなかった。
ただ、悲しそうに、そして
( <●><●>)「……………」
(*‘ω‘ *) 「……………」
何かを考えているような顔だった。
- 36: No.15 :2008/08/29(金) 19:06:21.74 ID:kqZ+5O3t0
- ――――――――――――
それからのことは、正直よく覚えていなかった。
おばあちゃんに振舞ってもらったクッキーもよく味わえなかったし
おばあちゃんが話していたおじいちゃんの話もなんだかうろ覚えで
ただ僕はあの時起こったことが現実のことなのかをずっと考えていた。
結局、確かめるのが怖くて片付けはまた今度という約束をして、おばあちゃんの家から帰ってきてしまったのだが。
( ><)「………」
そして、帰ってきた僕は自分の部屋でネットへと勤しむのだった。
( ><)「検索ワード……「悪魔 天使」と……」
グーグル先生に聞いてみるが、情報量が膨大すぎてとてもじゃないが調べられる気にはならなかった。
というかそもそも彼らが調べて出てくる存在なのかも疑問だ。
( ><)「あー……わっかんねーんです……」
パソコンの電源を落とし、自らのベッドへと身を沈めた。
ふわふわ心地よい柔らかさにこのまま身を委ねてしまいそうになるけれど、夢と判断するには現実的すぎた。
肩にはまだあの青年につかまれた痕も残っている。
- 39: No.15 :2008/08/29(金) 19:10:26.59 ID:kqZ+5O3t0
- ( ><)「……どうしよ……」
ごろり、と横になったとき携帯がバイブ音を鳴らした。
表示を見ると学校の先輩からだったが、今は全く出る気にはならない。
無視しているとそのうち携帯の震えは止まる。これからどうしよう……やっぱり忘れるべきだろうか……
そんなことを考えていた。
( ><)「はぁ〜〜〜………ん?」
その時、ふと上を見ると
vvv( <●><●>)vvv「こんばんは」
(;><)「ぎゃぁああああああああああああ!!!!!!」
昼間の白い羽根をはやした新婦服の青年が、天井に羽根を出した状態で張り付いていた。
忍者かよ!
( <●><●>)「昼間は失礼致しました」
(;><)「ふ、普通に話し続けるんだ!? 怖いからやめてくださいなんです!
ていうか気がつかなかった僕がスゲーばかみたいです!」
( <●><●>)「失礼」
思っているのかいないのか、言葉と共に羽根を仕舞うとそのまま男はベッドの上に降りてきた。
降りてきたというのにベッドは沈みもしない。
やはりこいつは人ではないんだろう。
- 40: No.15 :2008/08/29(金) 19:12:09.24 ID:kqZ+5O3t0
(;><)「あ、あわわわあわわわわ……」
( <●><●>)「私、名をワカッテマスと申しまして、貴方のお爺様、ワカンナインデス様に使える一天使でございました」
(;><)「は、はぁ……!?」
天使!?いや見た目でなんとなくわかってたんですけど、改めていわれるとやはり驚いてしまう
( <●><●>)「血縁のお方、しかもワカンナインデス様にそっくりな方に怪我をさせてしまうなど
このワカッテマス一生の不覚です、申し訳ございませんでした」
深々と頭を下げてくる彼に、僕はぶっちゃけ引き気味だったが
どうやらもう危害をくわえてくる様子は無さそうだったので一安心だ。
しかし、安心してもまだ別の不安材料がある。
(;><)「そ、それで、何の御用なんでしょうか……?」
どうやらこのワカッテマスという男、かなりおじいちゃんに心酔していたようだし
コレクション売り払おうとしたことなら謝るからもう関わらないでほしいんです。
( <●><●>)「ええ、実はですね」
(;><)「はぁ」
( <●><●>)「私、ビロード様を御守りする守護天使になろうと思いまして」
- 42: No.15 :2008/08/29(金) 19:13:19.96 ID:kqZ+5O3t0
- スポーン!
><
//
( )
><
( )
スチャ
( ><)
(;><)
(;><)「……………は!?」
い、今なんだかとてつもなく不吉な言葉が聞こえたような気がするんですけど気のせいでしょうか
気のせいですよね!?
(;><)「い、今なんて……!?」
( <●><●>)「四六時中貴方のお傍にいようかと」
(;><)「さっきと変わってるじゃないですか!」
なんか内容がストーカー気質になってる!
しかし至極まじめな顔で近付いてくるワカッテマスに、僕は何も言えそうになかった。
……………いや、いやいや!だめだめ!ここで挫けたら僕の平穏な生活が消え失せるんです!!
- 43: No.15 :2008/08/29(金) 19:15:17.03 ID:kqZ+5O3t0
実質今までもそこまで平穏かと言われてば微妙だけど、それでも天使に取り付かれるなんて冗談じゃないんです!
そんなことになったら僕のプライバシー崩壊じゃないですか!もうエロゲも出来ないじゃないですか!
(;><)「い、意味がわからないんです! 僕はおじいちゃんじゃないんですよ!?」
( <●><●>)「わかってます。先ほど渡辺様とご主人様が会話しているのを
不届きながら聞かせて頂いたので、理解しました」
(;><)「お、おばあちゃん…?」
ていうかさり気なくご主人様とか言うな。
( <●><●>)「奥方が言うなら、間違いないのでしょう。あの方は、もうどこにもいないのですね……」
悲しそうに俯くワカッテマスにちょっとひるんだが、それも一瞬だった。
(;><)「あ……わ、わかってるならどうして! 第一僕には守護されるほど危険なんて……!」
( <●><●>)「ありますよ。世の中危険が一杯です。
……それに、その後ろの悪魔が貴方を付けねらうかもしれませんから」
(><;)「へ?」
(*‘ω‘ *) 「……………」
振り向くと、締めていたはずの窓はいつの間にか開いていて
その窓のふちに座るように昼間の女の子が立っていた。
- 46: No.15 :2008/08/29(金) 19:17:05.16 ID:kqZ+5O3t0
- 白いカーテンが風に靡いてひらひらと揺れている。
(><;)「うわわっ………!」
( <●><●>)「ご安心ください、私が貴方を護りますので」
(*‘ω‘ *) 「おいクソ天使、そいつはワカンナインデスじゃねえっぽ」
( <●><●>)「黙りなさい、わかってますと言っているでしょう」
(*‘ω‘ *) 「バーカ」
そういって女の子は僕の目の前に降り立ちました。相変わらずベッドは沈みもしません。
今度は一体なんだってんだ……
(*‘ω‘ *) 「オイお前、ビロードとか言ったぽね」
(;><)「は、はひっ………」
(*‘ω‘ *) 「アタクシ様は悪魔のちんぽっぽ様だっぽ。
今日からここに住むことにしたから、これからはお前アタクシ様に仕えろっぽよ」
(;><)「えぇ!?」
(#<●><●>)「何身分知らずなことほざいてんですかこの悪魔は」
(*‘ω‘ *) 「うるさいっぽ、文句があるならこの首狩るっぽよ?」
にやりと不敵に笑い、ちんぽっぽちゃんは僕の首に鎌を突きつけてきた。
……って何で僕に!?
- 47: No.15 :2008/08/29(金) 19:18:00.36 ID:kqZ+5O3t0
( <●><●>)「あぁ嘆かわしい嘆かわしぃ! ご主人様、ご安心ください、私だけは貴方の味方ですからね
毎日護って!差し上げます!」
(;><)「え、あの、ちょっと……」
人の話を全部無視して話を進め始めた天使を止めようとしたけれど、すでに手遅れのようだった。
ちんぽっぽちゃんがニヤニヤ笑いながら僕の肩を叩く。
(*‘ω‘ *) 「その男、思い込んだら一直線だから無理無理っぽ、大体私はお前のじーさんに酷い目に合わされたんだっぽ
その報いはお前に返してもらうっぽ!」
( ><)「…………………な…」
(;><)「なんでーーーー!!?」
夜の住宅街に、僕の叫び声だけが木霊した。
- 48: No.15 :2008/08/29(金) 19:20:11.11 ID:kqZ+5O3t0
- *
と、それが先週起った出来事。
長々とありがとうございましたなんです。
(;><)「はぁ……」
というわけで、今僕の部屋には天使と悪魔が居候しているわけだが、一週間付き合ってみてわかったことがいくつかある。
まず最初にこの二人、どうやらおじいちゃんと何か「契約」というのを交わしていたようで、それを果たさないといけないらしい。
次に、その契約は何故か僕が果たさなくてはいけないということ。
まぁこの辺は二人も詳しく話そうとはしないので、僕も突っ込んで聞けないのだが……
それより問題はこの二人の性格である。
( <●><●>)「ご主人様、肩凝っておりませんか?何かしてほしいことなどは?」
( ><)「べ、別にないんです………」
( <●><●>)「何かあればいつでもどうぞ」
( ><)「はぁ………」
( <●><●>)
( ><)
( <●><●>)「…………喉渇いてないですか?」
(;><)「いやだから大丈夫ですって!」
- 49: No.15 :2008/08/29(金) 19:21:12.83 ID:kqZ+5O3t0
まずはワカッテマス。
一言で言うと鬱陶しい。
僕がもしおじいちゃんで彼を封じた理由があるとしたらウザかったからに他ならない。
四六時中といった彼の言葉に間違いはなかったようで、本当にどこでも僕についてくるのは止めて欲しいんです。
僕の中にいなくなってしまったおじいちゃんを見ているのか、時々悲しそうな顔になるのも、正直見てて辛い。
(*‘ω‘ *) 「どーでもいいけど、そのぱそこん、早くこっちに貸せっぽ」
(;><)「こ……壊さないで下さいよ?」
(*‘ω‘ *) 「うるさいっぽ、お前のものはアタクシ様のものだっぽ」
バキーン
(;><)「僕のパソコンー!」
次にちんぽっぽちゃん。
ロリ顔巨乳の悪魔っ子が同居ってこれなんてエロゲ?と当初はちょっとwktkしてたけど
彼女の僕に対する扱いがミジンコ並だったので最近は夢も覚めてきた。
- 51: No.15 :2008/08/29(金) 19:23:46.12 ID:kqZ+5O3t0
とにかく電子機器が珍しいらしく、あちらこちらに触るのはいいけど
僕が自作で作ったパソコンを壊したり、ゲームのデータ消したりするのは止めて欲しいんです。マジで
(#><)「いい加減にしやがれなんです!僕だって自由は欲しいんですよ!?」
( <●><●>)「解りました、どこでもお連れ致しましょう」
(#><)「解ってねぇ!別に誰も知らない場所に僕を連れだしてとかそういう自由じゃねんですよ!」
(*‘ω‘ *) 「切れやすい男はモテないっぽよ? そうでなくてもお前オタクっぽいのに」
(#><)「どこでそんな言葉学んだんですか!」
( <●><●>)「大丈夫ですご主人様、貴方はいつでも輝いてます。『こんびに』にだって負けないくらい24時間輝いてます」
(#><)「うるせぇー!」
( <●><●>)「ああっ」
ワカッテマスを振り切って、僕は外へと飛び出した。
今日はいい天気だからあいつらのいない所に行くんです!
つーかなんでこんなことになったのかもわかんなんいんです!
- 52: No.15 :2008/08/29(金) 19:24:35.16 ID:kqZ+5O3t0
(。><)「青い空のばかやろうーーー!!」
(;<●><●>)「ご主人様ー!」
(*‘ω‘ *) 「バカじゃないのアイツ」
*
家を飛び出した僕はひとまずコンビニにでも行って時間を潰そうかと、とぼとぼと道を歩いていた。
しかしその途中、公園に見知った顔を見つけ思わず足を止める。
( ><)「あれ……?」
川 ゚ -゚)
公園のブランコに揺られているのは、学校の先輩であるクー先輩だ。
僕の部活の先輩でもあり結構親しい、というか使いっぱみたいな関係である。
行ってて悲しいが勿論僕が使いっぱ。
( ><)「クー先輩ー!」
- 54: No.15 :2008/08/29(金) 19:26:10.70 ID:kqZ+5O3t0
大声で名前を呼ぶと、クー先輩がこっちを向いた。
相変わらず外見だけはやたらと綺麗な人だ。
川 ゚ -゚)「おや、ビロードじゃないか」
( ><)「こんにちはなんです」
川 ゚ -゚)「ああ、それより君先週私の電話無視しただろう?ふざけんなよ一生恨むからなアレ」
クー先輩は舌打ちをしながら僕を睨みつけてきた。
(;><)「い、今更先週のこと持ち出されても……!」
どんだけ粘着なんだよこの人!
大体あの時は悪魔やら天使やらで精一杯だったのだから、ちょっとは勘弁してもらいたいもんだ。
川 ゚ -゚)「安心しろ、1割冗談だ」
( ><)「すみませんでした……」
ほぼマジだったのかよ……
このままじゃマジで呪われると思ったので、僕は早々に話題を変える事にした。
ていうか粘着すぎる。
(;><)「そ、それより、ここで何をしているんですか?」
川 ゚ -゚)「……猫を待っている」
( ><)「猫?」
- 55: No.15 :2008/08/29(金) 19:27:30.69 ID:kqZ+5O3t0
川 ゚ -゚)「ああ、………………おっと、噂をすれば帰ってきたようだ」
クー先輩が指差した先には、真っ白い猫が面倒そうにのたのたとこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
クー先輩、猫なんて飼ってたのか
∧∧
('A`)「……ニャー」
川 ゚ -゚)「帰ってきたか、ドックン」
(*><)「クー先輩猫飼ってたんですか!可愛いですねー、触っても大丈夫ですか?」
川 ゚ -゚)「ああ、大丈夫だ、ドックンは人懐こいからな。引っかいたりしない」
(*><)「本当ですか?」
ワクワクしながら僕は猫の頭へと手を伸ばした。
元々猫は大好きなのだ。最近癒されることもなかったし、ここらでいっちょアニマルセラピーといきたいんです!
( ><)「ドック……」
∧∧
(#'A`)「フーーーーーーッ!」
ガリッ
(;><)「いてぇー!!」
- 57: No.15 :2008/08/29(金) 19:29:54.59 ID:kqZ+5O3t0
思いっきり引っかかれた!
川 ゚ -゚)
(><;)「ちょ、クー先輩話が違う……!」
川 ゚ -゚)「……だから言っただろう、容易に触ると危ないって
人の話をきちんと聞かないからそういうことになるんだ」
(><;)「アンタさっきと言ってる事違うぞ!」
怒鳴ると、クー先輩は胸に猫を抱えて立ち上がった。
気のせいか猫がやけに僕の方を威嚇している。
僕が一体何をしたってんだ……。なんだかもう踏んだり蹴ったりな気分だった。
川 ゚ -゚)「さて、私はこれから用があるから君とはここでお別れだ。また明日学校でな、ビロード」
(;><)「に、逃げる気ですかー!」
川 ゚ -゚)「逃げるよ、私はか弱い女の子だからな」
さらりと言ってのけて歩き出した。
高校では鉄の女とか、最強とかいわれてる人が何言ってんだ。
しかし人の話を聞かないのがデフォルトな人なので、もう何も言うまい。
公園を出る途中でクー先輩が振り返った。
- 58: No.15 :2008/08/29(金) 19:30:52.86 ID:kqZ+5O3t0
川 ゚ -゚)「ああでも、ビロードは男の子だから逃げたりしないよな?」
(;><)「え……?何言って」
唐突に意味のわからないことを言い出したクー先輩は、いつも良くわからないことを当たり前のように言ってのける。
(゚- ゚ 川ノシ「いや……別に。まぁ頑張りたまえ、私達は頑張ることで生きているのだよ」
しかし僕が何か言う前にクー先輩は走っていってしまった。
そういえばクー先輩の家はこの地域よりも遠く離れていたのに、一体何しに来ていたんだろう?
追いかけようかと思って僕も公園を出てみたが、そこにはすでに先輩の姿などなかった。
………クー先輩、歩くの早いなあ………
( <●><●>)「妙な女でしたね」
(><;)「まあ変わってますけど……ってうおおおおおおお!」
- 60: No.15 :2008/08/29(金) 19:32:11.79 ID:kqZ+5O3t0
何気なく返してしまったけど、背後にピッタリくっついたワカッテマスの言葉に僕はずっこけた
生まれてはじめてずっこけを体験した。
(;><)「びびびびびっくりしたあぁぁぁあ!」
( <●><●>)「申し訳ございません」
(;><)「いつの間にきたんですか!そもそもどうして此処がわかったんですか!」
(*‘ω‘ *) 「天使ってのは人の色を見分けることができるんだっぽ。しょっぼい能力」
( <●><●>)「黙りなさい。だいたいご主人様のは特別です」
(;><)「ち、ちんぽっぽちゃんまで……」
面倒くさそうに空を飛ぶちんぽっぽちゃんの羽は、初めて会ったときよりも大分小さくコンパクトにまとまっていた。
どうやらこれが標準らしい。
(*‘ω‘ *) 「ビロード、腹へったっぽ、じゃがりこ食べたい」
( <●><●>)「君は草でも食ってなさい」
(;><)「はぁ…………」
結局ついてきてしまった二人に、僕はしゃがみ込み心底ため息をついた。
これじゃあ僕の自由なんてあってないようなモンなんです。
そもそもどうして僕がこんな風に付きまとわれなくちゃいけないんです?
僕はおじいちゃんじゃないってのに……
- 62: No.15 :2008/08/29(金) 19:33:58.66 ID:kqZ+5O3t0
- 考えていると、段々ムカムカしてきた
( <●><●>)「どうしたんですか?具合でも悪いのですか?」
( ><)「どうしていつまでも僕についてくるんですか……おじいちゃんはおじいちゃん、僕は僕なんですよ?」
( ><)「僕はビロードなんですよ!?」
あれから、毎日ついて歩くこの二人、別に初めて会った時のような恐怖はもうないし
被害といえば僕の家の電化製品だけだけど、それでもどうして僕についてくるのかと思ってしまう。
( <●><●>)「……理解しています。しかしビロード様」
( ><)「いい加減面白半分につきまとうのは止めてください!僕だって僕の生活があります!
行くところがないなら僕以外の人に取り付けばいいじゃないですか……!」
(;<●><●>)「ビロード様、私は別にビロード様を困らせるつもりでは……」
( ><)「じゃあなんだっていうんですか!?僕について回る理由が他にあるんですか!?」
言い過ぎてしまったかもしれない、と自分でも思った。
だって彼らの封印?を解いたのは僕で、彼らに行くあてがないのも知っていたはずなのに。
それでも、我慢できなかった僕はもしかしたらおじいちゃんの身代わりにされているのがちょっといやだったのかもしれない
言葉は止まらない
( ><)「ないんならもうどこかに……!」
- 64: No.15 :2008/08/29(金) 19:35:14.21 ID:kqZ+5O3t0
(*‘ω‘ *) 「アタクシ様達は、あの封印が解かれた100日後に消えるぽ」
(;><)「え?」
しかし、突然とんでもないことを言い出したちんぽっぽちゃんに、僕は顔を上げた。
隣でワカッテマスがサッと顔色を変えたのが解る。
(;><)「ど、どういうことですか?」
そんな話は初耳だった。
もともとあの瓶から放たれた時点で、彼らは自由なものだと思っていたから。
あの瓶に封じられた理由も知らず、どうしてそんなことを思ってしまったんだろう。
(;<●><●>)「いえ、その」
(*‘ω‘ *) 「アタクシ様達はお前のじーさんに契約を叶えて貰えなければ消える
そういう運命だったんだぽ、そういう約束だったんだぽ」
- 66: No.15 :2008/08/29(金) 19:36:20.66 ID:kqZ+5O3t0
消える?彼らが?
(*‘ω‘ *)「そんでじーさん、ビドーロは必ず叶えるって約束したっぽ」
(;><)「あ……」
( <●><●>)「ちんぽっぽ、やめなさい」
(*‘ω‘ *) 「でもお前のじーさんは契約を叶えてくれなかった。おまけに、あんな瓶に封印しやがったっぽ」
( <ー><ー>)「……ちんぽっぽ」
(* ω *) 「信じてたのに裏切られたっぽ! あんな瓶に入れて、アタクシ様の寿命を延ばした気になってたっぽか!?
ふざけるなっぽ!!」
( <○><○>)「ちんぽっぽ!!」
(*‘ω‘ *) 「っ………!!」
( <●><●>)「やめなさい、彼はワカンナインデス様ではありません」
(*‘ω‘ *) 「……お前だって裏切られたくせに」
(;><)「……………」
( <●><●>)「私はあの方に付き従うのみです。騒ぎ立てして申し訳ございませんでした、ビロード様
ご迷惑をかけるつもりなどありません、ただ、お傍におりたかったのです」
- 68: No.15 :2008/08/29(金) 19:37:46.18 ID:kqZ+5O3t0
(;><)「いや…………」
まさかこんなことを暴露される展開になるなんて思いもしなかった。
しかし、自分のおじいちゃんのこととはいえ、なんだか悲しい気持ちになってくる。
じゃあ、あと少しでこいつらは消えてしまうのだろうか?
綺麗サッパリ、跡形もなく?
胸にもやもやとした物が湧き上がってくるのをなんとなく感じた。
(;><)「ち、ちなみに……契約ってなんだったんですか……?」
( <●><●>)「……………」
(*‘ω‘ *) 「……………」
その言葉に、二人は顔を見合わせる。
果たして僕に言ってくれるのだろうか?心臓を抑えながら待っていると、二人は口をそろえてこう言った。
( <●><●>)「 」(*‘ω‘ *)
(;><)「え……………!!」
- 70: No.15 :2008/08/29(金) 19:38:36.83 ID:kqZ+5O3t0
*
あれから、二人はどこかに行ってしまった。
僕がその内容に何も言えないでいたからだと思うけど、すごく辛そうな顔をしていたのだけは覚えている。
( ><)「……………」
いつかと同じように、ベッドに寝転がって考えた。
ネットもゲームもしないで考えた。
このまま何もしなければ、彼らは普通に消えるのだろう、もしかしたらもうここに帰ってこないかもしれない。
それが一番だ、だって僕は普通の人間だし、おじいちゃんでもない。
天使や悪魔に付きまとわれる理由なんて無い。
だけど
( ><)「別に……そんな、消えて欲しいとまで思うほど嫌いじゃなかったんです……」
情が移ったというには過言だけど、道端の小石だって家に持ち帰って2週間一緒に暮らせば愛着もわくわけで……
うん、別にこれは同情なんかじゃない、ただの正義感なんです!
( ><)「第一、僕のせいで消えるっておま……僕どんだけ酷いんですか!」
- 72: No.15 :2008/08/29(金) 19:40:33.57 ID:kqZ+5O3t0
自分に突っ込みを入れて立ち上がった。
机の上にあるカレンダーに目的の印と、×印。
( ><)「………まぁ、乗りかかった船だし、それにほら、いろんな経験をつむのも悪くないじゃないですか」
言い訳するように呟きながらも、ちょっとだけ決意した。
( ><)「クー先輩も逃げるなって言うし、仕方ないんです」
現代のドライっ子ぶりを発揮しつつも、頑張ってやるんです。
超常現象が日常なんてちょっと引くけど、そんな非日常すら僕の日常にしてやれば問題もなくなる。
その時、後ろで、窓の開く音がした。
きっと彼らが帰ってきたのだろう。
( <●><●>)「申し訳ございません、最後に一言、お別れを……」
(*‘ω‘ *) 「…………フン」
その言葉に答えることはせず、僕は振り向き、言ってやった。
- 74: No.15 :2008/08/29(金) 19:42:14.79 ID:kqZ+5O3t0
( )
(*‘ω‘ *) 「……………」
( <●><●>)「……ご主人様、あの」
クルッ
彡( ><)「―――……お前らが まで、あと86日なんです」
( <●><●>)「…………は?」
(*‘ω‘ *) 「何言ってるんだっぽ?このバカ」
(*><)「け、契約、僕が叶えてやるって言ってるんです!
格好よく決めたのに察しろ!なんです!」
ポカンと驚いた彼らの顔に、僕はちょっとだけ笑ってしまった。
ちょっと後悔もあるかもしれないけど、まあ、別にいいんです。
仕方ないから、ちょっとだけ付き合ってあげるんです。
- 75: No.15 :2008/08/29(金) 19:43:41.62 ID:kqZ+5O3t0
二人が消えるまでに残された時間は、あと86日と、12時間。
それまでに必ず、契約を完了させてやるんです。
終わり
- 78: No.15 :2008/08/29(金) 19:44:43.02 ID:kqZ+5O3t0
- というわけでNO.15の話はこれでおしまいです
素敵な絵で話を書かせていただきありがとうございました
いきなり長くなってしまって自分でもドン引きです
下記作品と少しリンクしているようです。
川 ゚ -゚)は言葉を撃つようです
从 ゚∀从と(´・ω・`)は探るようです
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