川 ゚ -゚)は言葉を撃つようです

83: No.16 :2008/08/29(金) 20:03:03.59 ID:kqZ+5O3t0


川 ゚ -゚)「最近、誰かに付けられている気がするんだが、気のせいだろうか?」
∧∧
('A`)「ナーゴ」

川 ゚ -゚)「ドックンもそう思うか? そうだよな、見つけたら八つ裂きだよな」
∧∧
('A`)「ニャゴニャゴ」

川 ゚ -゚)「何、それだけだったらまだ足りないだと?ふふん、言うじゃないか」
∧∧
('A`)「ニャオ〜〜ン」

川 ゚ -゚)「ふははははは、お主も悪よのう!」

(;><)「何やってるんですか先輩……」

川 ゚ -゚)「見て解らないのか、恋の相談だ」
∧∧
('A`)「ニャ」

(;><)「わかんねーよ!」



84: No.16 :2008/08/29(金) 20:03:48.42 ID:kqZ+5O3t0






川 ゚ -゚)は言葉を撃つようです






85: No.16 :2008/08/29(金) 20:05:12.60 ID:kqZ+5O3t0

私の名前は素直クール
他人からは鉄仮面やら鉄の女やら最強やら絶世の美少女やらいろいろ呼ばれているが
やはりこの名前が私に一番馴染むところだろう。

今は授業も終わり放課後の教室で会議中だ。

( ><)「そんなことしてないで、次の文化祭に間に合うようにしてくださいなんです」

川 ゚ -゚)「小生意気な」

(;><)「そ、そういうことは思ってても口に出さないで下さいよ」

この小生意気な後輩はビロードという、私が所属する文芸部の部員だ。
今年は入部希望部員が少なかったから、知り合いのよしみで無理やり入部させた。
泣きながら勘弁してくださいとか言っていたのも今では良い思い出だ

( ><)「つうかですね、部室ににゃんこを入れるのはどうかと思うんです」

川 ゚ -゚)「なんだと、お前それでも猫好きか?」

(;><)「猫は好きですけど……、ドックン僕に懐いてくれないんですもん」



87: No.16 :2008/08/29(金) 20:06:15.96 ID:kqZ+5O3t0

∧∧
(#'A`)「フーーーーッ!」


川 ゚ -゚)「そりゃお前、気持ち悪いからだよ」

(;><)「ストレートに!? クー先輩はもうちょっと他人の気持ちを考えやがれなんです!」

川 ゚ -゚)「はいはい、ごめんなさいね、ビビデバビデブー」

(;><)「ちくしょー!」

この後輩は実に気持ちの良い反応をしてくれるので、私も悪いとは思いつつ
ついついからかってしまう。

( ><)「もういいです!それより文化祭用の配布冊子、出来たんですか?」

川 ゚ -゚)「あとちょっとってところだな、内容と表紙とあとがきと部の内容状況とか書けば完成だ」

(;><)「それはもしかして全然書けてないのでは!?」

川 ゚ -゚)「まぁこの私にかかればちょちょいのちょいやで!」

( ><)「……先輩、その言葉忘れないでくださいよ」

ちゃかす私を不満そうに見つめて、ぼそりと呟いた後輩の言葉は聞か無かったことにした。



88: No.16 :2008/08/29(金) 20:09:03.60 ID:kqZ+5O3t0

川∩゚ -゚)

(;><)「聞けよ!」

川 ゚ -゚)「そういえばビロード、お前この間ばあちゃんを騙して家の物ネットオークションで
     売りさばくってはしゃいでたけどそれどうなったんだ?」

(;><)「!い、いいじゃないですかそのことはもう! つうかその言い方僕最低な奴なんですけど!」

何故か急に早口になると、後輩はそのままの勢いで席を立った。
まったく、挙動不審な男だ。

(;><)「もう遅いしぼ、僕はもう帰りますけど、先輩はちゃんと冊子完成させてくださいね!
      僕のところはもう終わったんですから!」

川 ゚ -゚)「把握したが了承はしない」

(;><)「どっちだよ!ああもう先輩と喋っていたら埒があきません!
      僕はこれで失礼するんです!」

そういって後輩は私がまるで話の通じないバカ女のように扱うと、部室を出て行った。
時折背後を気にするような動作をしていたのは私の気のせいではないのだろう。


川 ゚ -゚)


川 ゚ -゚)「ふん、私にかかればこんなもの、簡単だ」



89: No.16 :2008/08/29(金) 20:10:29.45 ID:kqZ+5O3t0

未だ手付かずの真っ白い原稿、細い指先でなぞるとそこはキラキラと輝いて見えた。

窓の外では赤い夕日が沈みかけ、ゆっくりと暗い青が迫っているのが見える。

川 ゚ -゚)「もうそろそろか……」

川 ゚ -゚)「なぁ、ドックン」

ドックンはニャア、と一声だけ鳴いた。












この世界には、前と後ろがあるらしい。
私達の住む、この日常を『前』だとしたら、それ以外が住む世界を『後ろ』というのだと、彼は言う。



90: No.16 :2008/08/29(金) 20:11:56.70 ID:kqZ+5O3t0

表と裏とは違う、前と後ろの世界。

日常を日常と思えなくなる、そんな世界に私は時たま迷い込むことがある。
いや、迷い込むというのは適切な表現ではないな。

”うっかり入り込んでしまう”のだ。

日が沈みかけた逢魔ヶ時、魔に最も出会いやすいという時間帯。
私はビロードがいなくなった教室にただ一人、立っていた。
教室から窓の外を覗くと、もうすでに殆どの生徒は下校しているようだ。

川 ゚ -゚)「気配がするな、ドックン」

「ドックン言うな」

後ろにいる飼い猫に背後を見ず呟いたら、返ってきたのは可愛らしい猫の声ではなく
男にしてはちょっと高めの、ぼそぼそとした声だった。

うんざりしながら振り向くと案の定。

川 ゚ -゚)「……なんだ、もうその姿を解いてしまったのか、つまらんな」

('A`)

ひどく不健康そうな顔をした男が、そこにいた。

('A`)「……つまらんとか、そういうひどいこと、言うな」

川 ゚ -゚)「私は猫の姿の君の方が好きなのだが」



92: No.16 :2008/08/29(金) 20:12:47.28 ID:kqZ+5O3t0

('A`)「俺は嫌いだよ」

川 ゚ -゚)「気が合わないな」

('A`)「当たり前だ、気の合う奴なんて存在しない、存在したとしたらそれは勘違いだ」

真っ白いセーターには不釣合いなほどぼさぼさとした黒い髪を揺らしながら床に座る男に
私は内心ため息をついた。

川 ゚ -゚)「はぁああ〜〜〜〜」

('A`)「…………」

川 ゚ -゚)「はっきり言うと、お前のその姿は可愛くないから嫌いだ」

('A`)「そう」

男はどうでもいいようだった。
私もどうでもいい。
元々私達はそういう関係だ。

('A`)「じゃあ始めようか」

川 ゚ -゚)「そうだな」

頷いて私は、鞄に入っているそれに手を伸ばした。



93: No.16 :2008/08/29(金) 20:14:34.31 ID:kqZ+5O3t0

私と彼が出会ったのは2ヶ月ほど前のことになる。
小さな野良猫たる彼と生粋の美少女である私の間にどんなほのぼのストーリーが展開されたかは
今は語るところではないが、唯一つ言えるのは、彼にも私にも目的があるということだ。

そして私達は別に仲良しこよしさんでもなんでもないということ。


川 ゚ -゚)「今回の標的は?」

('A`)「中型、あと、……美味そう」

前髪の隙間から見える虚ろな目を細めて、楽しそうに笑う姿は心底気持ち悪いとしか思えないが
まぁ我慢できる範疇だ。
私は鞄に入っていたそれ………ずしりと思い拳銃を装備した。
真っ黒く、飾り気も無いのにやたらと重みを感じる。


川 ゚ -゚)「どんな奴?」

('A`)「形は男、けっこうでかい」

川 ゚ -゚)「そうか。では………」

川 - -)

すぅ、と息を吸い込んで、目を閉じた。
リボルバーを引き、そこに口元を寄せれば、銃器が熱を帯びていくのを感じる。



94: No.16 :2008/08/29(金) 20:15:40.80 ID:kqZ+5O3t0

熱い、しかし頭の中はいたって冷静だ。

キラキラとした光の粒子が私を包み、そして――――




川 ゚ -゚)「素直クールが言葉を封じる その名を身よ言の葉の弾と成れ "刺"」


言葉が、音もなく拳銃の中に吸い込まれていく
妙な輝きを放った拳銃を持ち直すと、ドックンが言った。



('A`)「クー、くる、かも」

川 ゚ -゚)「把握した。位置は?」

('A`)σ「みぎ」

なるほど、と頷き、私は自分から向かって右に位置する扉に銃を構える。
カツンカツンカツンカツンカツンカツ…………


リノリウムの床に響くような足音が段々と近付いてくる。
近い。
これはもういつでも撃てるように準備しておかなければ



111: No.16 :2008/08/29(金) 20:41:38.43 ID:kqZ+5O3t0

カツンカツンカツンカツン


川 ゚ -゚)


カツンカツカツン


カツ



ガチャ
( ^ω^)「オイスー!お邪魔しま

          ドン!
「えい」川 ゚ -゚)っy=ー   三゚ω゚;)「ぎゃぁぁあああああ!痛ぇえええ!!」



銃口を入ってきた人物に向け思い切り引き金を引いた。
バトル描写?そんなもの皆無だ。

光の粒子がそのまま彼に付き"刺"さる
私の目論見どおり入って来た奴はもんどりをうって床に倒れていたが……
ふむ、どうやら手加減しすぎたようだ。



114: No.16 :2008/08/29(金) 20:43:55.88 ID:kqZ+5O3t0

川 ゚ -゚)「なんだ、まだ動けるのか "殴"」

再びリボルバーの中に言葉を封じ、その男へと標準を合わせた。

(;^ω^)「ちょちょちょちょちょっと、ちょっと待ってほしいお!」

川 ゚ -゚)「ん?なんだ? 神に祈る時間は終わったぞ」

(;^ω^)「貰ってないおそんな時間!いや、その前に僕は……ってま、まずはそれ下ろしてもらえないですかお?
      あの、僕本当悪気があってきたわけじゃないんですお……」

川 ゚ -゚)「と、言っているが」

私が彼に視線を向けると、彼はあまり聞いていないようだった。
ただ目を血走らせ、楽しそうに踊るだけだ。

(゚A゚)「クヒ、クヒヒヒヒヒ、悪魔、悪魔、悪魔!肉!俺の肉!食料!糧!」

(;^ω^)「怖ぇー!!」

川 ゚ -゚)「マジきもい "眠"」

       ターン!
川 ゚ -゚)っy=ー   (;'A`).。・

(;^ω^)「こっちも怖ぇおー!」



116: No.16 :2008/08/29(金) 20:45:17.67 ID:kqZ+5O3t0






その男、いや『悪魔』は内藤と言った。


鬱陶しくなったので眠らせたドックンを傍らに置き、私が男の話を聞くと
彼はその肥えた体をちぢ込ませながらぼそぼそと呟くが、そもそも私に殺戮趣味はない。

(;^ω^)「お話を聞いてくださるようで、ありがとうございますお
      話の中では怖い人たちだと聞いていたので、安心しましたお……」

川 ゚ -゚)「いや、聞いてくだらなかったらその上で出来るだけ苦しいように撃ってやろうと思って」

(;^ω^)「あ、安心できなかった!全然安心できなかった!」

川 ゚ -゚)「冗談だ」

(;^ω^)「冗談に思えませんお……」

川 ゚ -゚)「それより、どうして私達のことを知っている?君は、私達が何をしているのか知っているのか?」

その言葉に、内藤はさ迷わせていた視線を私に向けた。

( ^ω^)「知ってますお、割と有名な話ですから」



117: No.16 :2008/08/29(金) 20:46:54.74 ID:kqZ+5O3t0

川 ゚ -゚)「ほう?」

( ^ω^)「悪魔の願いを叶える女と、悪魔を食う男がいること、ですお」

低い声で呟く内藤に、私は笑みを向けた。

川 ゚ -゚)「その話は正確ではないな」

( ^ω^)「お?」

川 ゚ -゚)「願いを叶えるわけじゃない、そいつに」

('A`)



川 ゚ -゚)「食われた悪魔は願いが叶うんだ」



120: No.16 :2008/08/29(金) 20:52:37.43 ID:kqZ+5O3t0




私と彼が出会ったのは2ヶ月ほど前のことになる。
小さな野良猫たる彼と生粋の美少女である私の間にどんなほのぼのストーリーが展開されたかは
今は語るところではないが

彼と交わした契約だけは、私の心に記しておこうと思う。


それは、私が『彼が人となるために、悪魔を食らう』手伝いをすることだ。

彼が言うには、地上にいる悪魔や天使は皆、人になりたいと願うらしい。
だからそのために、人間と契約するのだそうだ。

しかし、そんな人生を狂わせるような契約を交わす酔狂な人間なんて、そういない。
いるとすれば、とんだお人好しだ。

私はもちろんそんな酔狂な人間でもお人好しでもないのだが、唯一つ、やっかいな性質を抱え込んでいた。

それは人間だれしもが持つもの、すなわち"好奇心"


('A`)「俺と、契約すると、いいことあるかもよー」

川 ゚ -゚)「マジで?やるやる!」

そんな感じで、私はこの悪魔『もどき』と契約してしまった



125: No.16 :2008/08/29(金) 20:59:41.72 ID:kqZ+5O3t0

一つ、彼が私に渡したのは「言葉」を封じ込める拳銃だ。

彼は自らが悪魔もどきであるため、自分から同胞を傷つけることは出来ないようになっているらしい
その辺は詳しくは知らん。
しかしそのため、私にこの銃で「悪魔」を動けなくなるまで撃たなければならない。
"言葉"を封じ込めて。

('A`)「フルボッコしたらおいしくいただきます」

川 ゚ -゚)「悪魔可哀相です」

('A`)b「大丈夫、大丈夫」

二つ、どういう原理だか知らないが、彼にその身を食われた悪魔はたった一つだけ『願い』を叶えることが
できるらしい。
もちろん、それにも制約はあるらしいのだが
それは多分、食虫植物が獲物を寄せるために甘い匂いを発するのと同じ原理だと、私は思う。

そんなわけで、私は彼が悪魔の気配を感じたら、この銃でフルボッコにしたりしているのだが
この悪魔もその運命を辿るのかと思うと、いささか同情の念も沸いてくる

( ^ω^)「僕、一度でいいから女性とキスしてみたくて」

川 ゚ -゚)「"死"」

( ゚ω゚)「危ねぇえええええええ!」

チッ外した



127: No.16 :2008/08/29(金) 21:02:34.64 ID:kqZ+5O3t0

デブのくせにその身を捩じらせかわした悪魔に私は舌打ちした

(;^ω^)「い、いきなり何をするんですかお!?」

川 ゚ -゚)「てっとり早い言葉を撃った」

(;^ω^)「チートにも程があるだろうお!制限しろ!」

川 ゚ -゚)「うるせぇピザ」

(;^ω^)「!!」

川 ゚ -゚)「?」

その言葉に、内藤の動きが止まった。
ブルブルと震えだし、私の肩を掴んできやがった、心底気持ち悪いので金的を食らわしておいた。

( ;ω;)「お、おお……」

川 ゚ -゚)「どうした、大丈夫か?」

( ;ω;)「いつも……そうなんですお……」



129: No.16 :2008/08/29(金) 21:09:42.35 ID:kqZ+5O3t0

何言ってるんだコイツ。
と思ったが言葉を挟むのもなんだか悪い気がしたのでおとなしく聞いておくことにしよう。

( ;ω;)「ぼ、僕が太っているから…いつもイケメン天使に好きな子取られたり…
      チョイ悪な悪魔にガールハントかまされたり……」

川 ゚ -゚)「デブ……」

( ;ω;)「内藤ですお……」

私はどうにかして彼のことをはげましてやりたかった
恥ずかしい話だが、私は超美少女なので外見で差別されるやつの気持ちがわからない。
だから、背一杯の気持ちを込めて言葉を送った。

川 ゚ -゚)「……いいか内藤、よく聞け」

( ;ω;)「おっ……?」

川 ゚ -゚)「外見で嫌われるってのはまず中身も悪い奴にありがちなことなんだよな
     大体デブって自己管理できてないから太ってるんだろ、まず痩せろよ
     色々あるだろ、努力すべき点が、それを怠るからだめなんだ
     そういうだらしない性格だからそこまでぶくぶく太るんだぞ、まずその性格を
     直すところからはじめろこのピザ
     がんばれ、お前はやれば出来る男だ」

( ;ω;)「最後のセリフだけ言ってほしかったおーーーーー!」



131: No.16 :2008/08/29(金) 21:15:38.78 ID:kqZ+5O3t0

そういって内藤は走って教室を出て行ってしまった。
しまった、何が悪かったのかはわからないがどうやら彼の逆鱗に触れてしまったようだ。

どうやら私は昔から思ったことをなんでも素直に言ってしまう癖があるらしい。
自分ではわからないが、それが相手を傷つけることもあるのかもしれない。
失態だ、私としたことがふざけんなよあのピザ!

川 ゚ -゚)「おい起きろドックン、あのピザに目にものみせてやるぞ」
∧∧
('A`)「にゃご……」

川 ゚ -゚)「やべっ!猫に戻っている!可愛い!」

喉をゴロゴロと撫でてから、私はドックンを頭に乗せて走り出した。
彼が人っぽい姿を保っていられるのは少しの時間らしく、この姿に戻ってしまったら
ただの悪魔嫌いな猫に成り下がるのだが、今はそんなことはどうでも良かった

とりあえず、この銃であのピザをしとめなければどんな被害が広がるか解らない。

私はすっかり暗くなり月夜に照らされる教室を飛び出した。



133: No.16 :2008/08/29(金) 21:22:04.90 ID:kqZ+5O3t0




∧∧
('A`)ニャー
川 ゚ -゚)「おいおい、真っ暗で何も見えないぞ」

教室を出て廊下を走り回っているが、さっきから暗くてよく見えない
こんなことでは転んでしまうではないか。
青いスカートを翻しつつも、私は走る

右手に銃を握り締め、そこに言葉を封じ込めた

川 ゚ -゚)「"光"!」

それを上にむかって撃ち放つ。
眩しいくらいの光が学校を包んだ。うむ、我ながら良い案だ

川 ゚ -゚)「よし、見えるようになった。さて、早いところあのピザ探さなくては……」

「―――――!!」

川 ゚ -゚)「む?」

気のせいか今、どこからか叫び声が聞こえた気がした

川 ゚ -゚)「……気のせいか?」



134: No.16 :2008/08/29(金) 21:27:11.41 ID:kqZ+5O3t0

「―――け―――お!」

川 ゚ -゚)「………………」

気のせいではない、やはり聞こえる。
なんかこうー、ちょっと助けを求める系の声が

川 ゚ -゚)「………」

「たす…―け―お!」

川 ゚ -゚)「おや」

廊下の先から、豚が走ってくる
いや、正確には豚っぽい悪魔が、何かに怯えるようにコチラに向かってくるのだ
どどどどど、と地響きが鳴りそうなくらいに大きな音を立てて

( ;ω;)「助けておぉぉぉおおおおおおお!」

川 ゚ -゚)「豚が泣いてる!」

( ;ω;)「あんたさっきから酷すぎるおぉぉおおおお!」



135: No.16 :2008/08/29(金) 21:31:26.89 ID:kqZ+5O3t0

「クー先輩!」

川 ゚ -゚)「ん?」

さっきからどうしてこんなに泣いているのかと思えば、後ろには見知った後輩が息を切らしながら
走ってきた

(;><)「はぁ……はぁ……」

川 ゚ -゚)「君変態みたいだぞ」

(;><)「開口一番がそれですか!違いますよ!変態じゃないんです!」

川 ゚ -゚)「変態は皆そういうんだ」

(;><)「どこまで僕を変態にしたいんですか…ていうかこんなところで何してるんですか!?」

川 ゚ -゚)「……………」

川 ゚ -゚)「妖精と話していた」

( ><)「先輩、それは可愛い子じゃなくてただの電波です」

チッ
うるさい後輩だ。

川 ゚ -゚)「そういうお前こそ何していたんだ」



136: No.16 :2008/08/29(金) 21:37:46.89 ID:kqZ+5O3t0

すると後輩はひるんだように視線を泳がせた。
きょろきょろと、後ろの方ばかり気にしている。

(;><)「ぼ、僕はその…ちょっと忘れ物があって……」

( ;ω;)「イケメン天使怖いおー!ビッチも怖いおー!」

(;><)「!!」

川 ゚ -゚)「…………」

ビロードがその言葉に焦ったようにまた視線を泳がせたが、私は特に気にするつもりはなかった
私は豚の言うことはなんとなく解ったが、それについては特に言及するつもりもないからだ

川 ゚ -゚)「ビロード、私の後ろにきて目を閉じろ」

(;><)「え……?」

ただ今やるべきことはただ一つだ。

川 ゚ -゚)「素直クールが言葉を封じる "消"」

ただ、右手に持つ銃を握り締め、リボルバーに軽く口付けをすると共にトリガーを引いた。

(;゚ω゚)「おっ!?ちょ、ま……!」



138: No.16 :2008/08/29(金) 21:49:47.12 ID:kqZ+5O3t0
光の粒子が内藤を包む
言葉を聞き終える前に、豚こと悪魔こと内藤の姿は消えていた。

∧∧
('A`)ニャァ
川 ゚ -゚)「………」

ドックンが少しだけ悔しそうな顔で私を見て、一声鳴く。
まぁ、そう残念がるな、また機会はあるだろう。

( ><)「クー先輩?目、あけていいんですか?」

川 ゚ -゚)「ああ、いいぞ。ハイパーエロエロタイムは終わった」

(*><)「そ、そんなことしてたんですか!?」

律儀に目を閉じていたらしい思春期のビロードを置いて、私は歩き出した。

(;><)「あ、ちょっと!クー先輩!」

川 ゚ -゚)「何をしているんだ、早く帰るぞ」

(;><)「待ってくださいなんです!」

慌てて追いかけてくる後輩を笑って、学校を後にする。
正直ドックンを人間にしたところで私にどんな見返りがあるのかはわからないが
それでも気になってしまうものは仕方ない。彼は私をバカな人間だとでも思っているのかもしれないが
ちらりとドックンの方を見ると、彼はまだ不服そうに私の髪に爪を立てている

( ><)「クー先輩?」



139: No.16 :2008/08/29(金) 21:50:52.68 ID:kqZ+5O3t0

川 ゚ -゚)「……せいぜい気を付けろよ、ドックン」

好奇心は猫をも殺すというからな

ちょっとした笑みを漏らして、聞こえないように呟いた。





カシャ



∧∧
('A`)「…………にゃー」


終わり



140: No.16 :2008/08/29(金) 21:52:07.45 ID:kqZ+5O3t0
これでNO.16は終わりです
素敵な絵で書かせていただきありがとうございました
そして付き合ってくださった方ありがとうございます



下記作品と少しリンクしているようです。
( ><)僕の非日常的日常
从 ゚∀从と(´・ω・`)は探るようです

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