( ・∀・)放浪者のようです

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:26:02.39 ID:DHRrN3CD0
自分がいつからここにいるのかわからない。
ただわかることは、僕は人間ではない、ということだけ。


( ・∀・)「暇だなー、2ちゃん行くか」

我輩はモララーである。
何者かは、よくわかんない。




  ( ・∀・)放浪者のようです



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:28:10.98 ID:DHRrN3CD0
目の前に、巨大な白い枠がある。
上には絶妙なバランスの色で『Google』という巨大な文字。

( ・∀・)「2ちゃんねる!」

僕が叫ぶと、白い枠に文字が現れた。

カタカタ カタカタカタ



[2ちゃんねる  ](検索)



真っ白だった世界が吹っ飛ぶ。
物凄い速さで文字が駆け抜けて、僕は2ちゃんねるの入り口に立っていた。



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:32:54.98 ID:DHRrN3CD0
ニュース速報、VIP
最近の僕のお気に入り。
そこを目指して僕は飛んだ。

( ・∀・)「さてさて、どんなスレがあるかなー」


 もしも韓国に2ちゃんがあったら (225)
 妹「お兄ちゃんのガズボズボ入ってくるよぅ///」 (6)
 金バエが嫌いな人の数→ (1)
 腐女子と突き合いたい (801)
 このスレが1000いったらチンコ切る (53)


( ・∀・)「ろくなスレねーな。とりあえず妹スレへGo!」



1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:20XX/●/△(金) 12:44:14.06 ID:yoO0oKAm0
 ID腹筋



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:34:57.29 ID:DHRrN3CD0
( ・∀・)「…」

( ・∀・)「 て す と !」

僕の叫びは、妹スレのレスに現れた。



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:20XX/●/△(金) 12:45:39.22 ID:molA/108O
 て す と



( ・∀・)「108って煩悩かよ」



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:36:29.57 ID:DHRrN3CD0
数分後


( ・∀・)「んしょっ…んしょっ…あれ、今何回だっけ? …まあいいや」

暇つぶしに過ぎないんだから。

( ・∀・)「VIPも秋田。DQNのケータイサイトでも漁るか」


また白い世界へ飛んだ僕は、あの白い枠に向かって叫んだ。
とくに何を言うことでもないが、無料ケータイサイトを虱潰しに漁っていく。
一つ見つければ、リンクたどっていけるんだから。


( ・∀・)「お、さっそく発見ー」

日記を覗いた。
絵文字と小文字の多い、低脳な文章。
…ギャル字は読めねぇんだよ、カスが。



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:38:49.76 ID:DHRrN3CD0
お、ちょうど日記が更新されてる。
つか、一日に10件も日記書いてんじゃねーよ。
なになに…『今ヵラギコんとこ遊び行くyo⊂(゚皿゚*)二⊃』

え、何? この一行だけ?
やっぱ馬鹿なの? 死ぬの? 死ねよ。

( ・∀・)「ったく、どんな糞だよ。顔が見てぇ」

振り返ると、そこにはケータイの画面を覗く顔があった。



( ФωФ)



画面いっぱいの男の顔。
僕はしばし男の顔を睨み、こう叫んだ。

(#・∀・)「つまんねー日記だなぁ、オイ。死ねよカス」



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:40:40.59 ID:DHRrN3CD0



(*ФωФ)「ふひひwww今日のカウンター二桁wwwww俺超人気者wwwww」

( ФωФ)「ん? さっきの日記にさっそくコメ来てるじゃんw」



[名無し] 2008年●月△日(金)
 つまんねー日記だなぁ、オイ。死ねよカス



(#ФωФ)「んだよコラ。上等じゃねーか」



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:43:08.84 ID:DHRrN3CD0
( ・∀・)「おや、コメント返してきやがった」


[ロマ] 2008年●月△日(金)
 てめぇ誰だよ。まあ誰かわかってるけどな。ヮラ
 明日ボコってやっから、誤るなら今のうちだけどぉwwwww


( ・∀・)「『あやまる』って字を誤ってるキメェwwwww」

僕の言葉がコメントに載ると、また男はコメントを返してきた。
これだからDQNは面白い。
ただ飽きるのも早い。
真っ赤になるDQNの顔を見たら、なんだか萎えた。



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:46:07.29 ID:DHRrN3CD0
こうやって僕はこの世界を彷徨っている。
いろんな人の日記や書き込みを見て、
画面越しに、人間の顔や生活を眺めたり、
いろんな人の絵や小説、ときにはフラッシュゲームで遊んで、
さっきみたいに誰かを煽ったり、
眠ることなく、僕はどこかへと流れている。


僕は誰だろう?

たまにそう思うことがあるけど、きっとコンピュータウイルスの一種じゃないかと思う。
自我を持った、自由奔放なウイルス。
ネットの世界から、外へ出られない、不自由な存在。



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:33:28.00 ID:DHRrN3CD0
ある日、他のウイルスに出会った。
そこは目が眩むほどの文字と数字が忙しなく動く空間。


( ・∀・)「誰だよきみ?」

( ∵)

そいつはモシャモシャと何かを食べていた。

( ・∀・)「もしかして、きみもウイルスなの?」

( ∵)

そいつは何も言わずに、ずっと食べていた。

(*・∀・)「もしかして、僕たち友達になれないかな?」

どこかで見たネット小説を思い出した。
  突然の、運命の、…出会い
そういえばそんなドラマ何回も見たな。



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:34:25.46 ID:DHRrN3CD0
( ∵)

(*・∀・)「ねぇねぇ、さっきから何食べてんの??」

そいつの持っているものを覗き込んだ。
紙、みたいなものにたくさんの数字が並んでいる。
モシャモシャと、僕の話も聞かずにずっと食べている。

( ・∀・)「……」

( ∵)「…ゲフッ」

(; ・∀・)(…ゲップ?)

そいつのゲップと同時に、僕たちの周りを動いていた文字がピタリと止まった。
そして空間が割れる…

(; ・∀・)「え? きみ今なにしたの?」



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:36:14.87 ID:DHRrN3CD0
割れ目から、そいつと同じ顔のウイルスがたくさん流れ込んできた。


( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ
( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ
( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ
( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ
( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ
( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ
( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ
( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ( ∵)モシャ


(; ・∀・)「ぎゃあああああああああああああああああ!!!!」


怖い、怖すぎる。
大量の木霊みたいな顔したやつらが、一斉にこの空間の文字を食べ始めた。



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:40:44.94 ID:DHRrN3CD0
( ∵)「ハフッハフハフッハムッwwwwww」

(; ・∀・)「キメェよおおおお」

一匹のウイルスが、俺の手を掴んだ。

(; ・∀・)「えっ何!?」

( ∵)「…」










( ∵)「オイシソウ…w」



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:42:09.07 ID:DHRrN3CD0
(; ∀ )「あ…うわぁ……」

群がってくる。あいつらが迫ってくる。
僕の体が、蝕まれる。
あいつらが噛み付く度に、体が砂みたいにボロボロになって―――


( ;∀;)「やめて…やめてよぉぉぉぉぉぉおおおおおお」

( ∵)「どうして? 僕らはウイルスなんだよ?」
( ∵)「ウイルスはずっと食べる、食べる、食べ続ける」
( ∵)「意思なんていらない」
( ∵)「痛くない 痛くない ウイルスは痛くない」
( ∵)「キミはどうして痛いのかな?かな?」
( ∵)「おいしいw」
( ∵)「俺たちは壊すだけ」

( ∵)「モシカシテ…」





「「「「「「キミハ ナカマジャ ナイナ ?」」」」」」



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:43:57.15 ID:DHRrN3CD0
(  ∀ )「やめて…くれよ…」


僕は飛んだ。
ボロボロになった手足を引っ張って、ずっと遠くへ。
あいつらの手を振り解いて、
あいつらがついて来れないくらい速く速くもっと速く。



80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:46:24.24 ID:DHRrN3CD0
( ;∀;)「ひぃ…ひぃ…怖かった〜……」

消えかけていた体が少しずつ元に戻っている。
ここがどこなのかはわからない。
黒地の背景に、怪しげな赤い字が飛び交っている。

( ・∀・)「…なんだったんだ、さっきの変な感じ」

あいつらが噛み付いたところが、ボロボロと崩れていく感覚。
頭が痛くなって、全身の力が抜けて、これが『眠る』ということかなと思った。
ミクロ単位まで分解された手足があいつらの口へ吸い込まれて…



82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:49:12.29 ID:DHRrN3CD0
そこで僕は気がついた。




あれは、僕の、ウイルスの『死』だ。


( ・∀・)「危なかった、僕は殺されるところだったんだ…」

( ;∀・)「……やだよ」

( ;∀;)「死にたくない…一人は嫌だよ……」



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:50:31.48 ID:DHRrN3CD0
それから数日経って、僕はまたネットの海を泳いでいた。
あの時から、死の感覚はついさっきのことのように鮮明に覚えている。

( ・∀・)「んだよ、2ちゃんは夏厨の溜まり場になってんじゃん」

しかたなく僕は2ちゃんねるを出た。
何をしようか。
YouTubeで動画を鑑賞しようか。
エロゲサイトでおかず探しでもしようか。

※なぜか僕にも性欲は備わっている

上地のブログのアクセス数を0にしようかしら?なんて考えていたら、知らないところに流れていた。
なんだか見覚えのあるところだ。

( ・∀・)「ああ…あいつらが全部食べちゃったんだ」



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:52:07.50 ID:DHRrN3CD0
この前、僕があいつ( ∵)と会った空間だ。
あれだけの数の文字が全部無くなってスッカラカン。
空間にいくつか窓があった。

窓に映っていたのは、パソコンの画面の向こう側。
困惑した表情の男の人が映る窓、怒った顔をした中年が映る窓、年配の男にペコペコ頭を下げる女の人が映る窓、
耳を澄ますと、彼らの声が聞こえた。



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:53:40.63 ID:DHRrN3CD0



(; ^ω^)「課長! ツンさんの不注意だけじゃないですお!」
  _
(#゚∀゚)「いやねー内藤君。不注意で済まされる問題じゃないんだよこれ」

ξ ;凵G)ξ「本当に本当に申し訳ございません」

(#'A`)「本当、若い子ってこれだから困るんだよねぇ」
  _
(#゚∀゚)「謝ってすむならオッパイはいらないんだよ。ことの重大さわかってんのか?」

('、`*川「…ツンさん、何かやらかしたの?」

(´・ω・`)「コンピュータウイルスを撒いちゃったらしいよ。彼女のパソコンから」

('、`*川「えー…じゃあ今度のプレゼンの資料も全部パァ?」

(´・ω・`)「それだけじゃないよ。課長のオッパイフォルダにも飛び火したみたい」

('、`*川「今時ウイルス対策してない課長も課長よね」

ξ ;凵G)ξ「ごめんなさい…ごめんなさい…」






86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:55:26.26 ID:DHRrN3CD0

( ・∀・)「みんな…困ってる」


( ∵)『俺たちは壊すだけ』


( ・∀・)「…ウイルスは壊すだけ、か。やっぱり人様の迷惑なのかな」

( ∵)

(; ・∀・)「あっ」

いた。この前のあいつ。一人だけど。

(; ・∀・)「に、逃げなきゃ」

==┌( ∵)┘

(; ・∀・)「うわ! ついてきた!」

振り返らずに、僕は必死に逃げた。
あいつらの足音が増えている気がしたけど、足音が聞こえなくなるまで遠くに飛んでいった。



87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 23:59:08.28 ID:DHRrN3CD0
(; ・∀・)「ふー、撒いたか?」

黒地に赤い文字の空間、この前もここに逃げた。
あいつらが追ってくる気配はない。
一息ついて、この黒い空間を観察した。

サイト名は「DEATH ROOM」
ノートの間違いじゃないか?
あ、チャットルームが開いてる。

チャットに一つ名前があった。
名前は「空」。なんだかこのサイトのふいんき(ryには合わない名前。

( ・∀・)「じゃあ僕も入室っと」



88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 00:01:10.06 ID:qmQJd7ZH0
◆モララーさんが入室しました

モララー [はじめまして]

空 [私、死にます]


(; ・∀・)「はぅ!? 何をいきなり!」


モララー [どうしてですか?]

空 [聞いてくれますか?]

モララー [ええ、どうぞ]

空 [イジメられてるんです]


( ・∀・)「なんだ釣りかよ」



89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [自殺は駄目だよ!] : 2008/08/30(土) 00:05:12.54 ID:qmQJd7ZH0
この空とかいうやつも釣りだろ。
どこの掲示板でも、自殺釣りスレはある。
ほとんどの奴が、どれだけ人が釣れるかを楽しそうに傍観している。
ニヤニヤと、更々死ぬ気はなさそうだ。

( ・∀・)「夏厨がいい加減にしろよ」

と思って、チャットルームに浮かぶ窓をのぞいた。



川 ゚ -゚)



( ・∀・)「…なにこの子、めっちゃかわいい」

セーラー服を着た女の子だが、大人っぽい色気がある。
無表情に、だが少し震えた指でキーボードを打っていた。



90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 00:08:36.97 ID:qmQJd7ZH0

空 [成績が良いとクラスの人にいじめられます]

空 [成績が悪いとクラスの人に馬鹿にされます]

空 [もう外を見たくない。死んだほうが楽です]


( ・∀・)「外を見たくない? 外が見れるのに?」


モララー [外が見たくない? 外が見れるのに?]

空 [この先何があるかわからない外も、何も、見たくない。知りたくない]

モララー [僕は外が見れないのに、ずいぶんと贅沢なことを言うんだね]


川 ゚ -゚)「ぜい、たく?」



91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 00:10:35.35 ID:qmQJd7ZH0

モララー [そうだ。僕に外であったことを教えてください]

モララー [僕は多くの知識を持ってるけど、不確かなものばっかりだから]

空 [それは無理です。私はもう死にますから。さようなら]


( ・∀・)「死んじゃう、の?」

なぜか僕はこの少女を救いたかった。
今までいくつもの自殺スレを煽って、笑って見ていて、実際に死んだ人間はどれだけいただろう?
でも、この子は救いたかった。
『死』の辛さ、『孤独』の苦しさを体感した今の僕は、彼女を救いたい。



92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 00:12:46.08 ID:qmQJd7ZH0



天井に吊るされたロープと輪。
ぶら下がってみて、切れなかったからたぶん大丈夫。
パソコンのワードに遺書を残して、私は椅子に登った。

川 ゚ -゚)「これで、もうお終いだ」

ロープの輪に、手をかけたときだった。

パソコンから声がした。


(  ∀ )「駄目だよ、死んだら駄目だよ」

川;゚ -゚)「誰!?」



( ・∀・)



画面越しに、私を見ていた。
真っ白い、ネコが二足歩行になったようなキャラだ。
このネコは口を動かした。



93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 00:15:19.18 ID:qmQJd7ZH0
( ・∀・)「死なないで、死なないで」


川;゚ -゚)「なっ…」


ピリリリリリ ピリリリリリ

突然私のケータイが鳴いた。
久しぶりに聞く着信音だ。
パソコンの画面にもうネコは映っていない。

ピッ

川 ゚ -゚)】「もしもし…」

( ・∀・)「はじめまして、モララーです」








94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 00:18:22.91 ID:qmQJd7ZH0
川;゚ -゚)】「あなたは…チャットの?」

彼女は驚いた声で言った。

( ・∀・)「はい、今電話回線の中です。マッハでお宅のケータイの番号探し当てました」

ウイルスに不可能は無い! …たぶん。

川;゚ -゚)】「回線? よくわからないが、私に用か?」

( ・∀・)「僕ね生まれてからずっと独りなの。しかも最近死にかけた」

川;゚ -゚)】「は?」

( ・∀・)「だから死なないで」

川 ゚ -゚)】「それで…用件は? 私は今から死ぬんだ。手短にお願いする」

( ・∀・)「わかってない! 君は死ぬことが楽だと思ってるのは間違ってる!」

川 ゚ -゚)】「大人が言うような御託は結構です。切りますよ」

(; ・∀・)「わーちょっと待って!」



95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 00:20:23.00 ID:qmQJd7ZH0
とてつもなく彼女は冷めていた。
むぅ、たしかに言ってることは何の根拠もないと言えばない。

( ・∀・)「僕は外を見れない。でも君は外を見ることができる。
     死は辛い。僕は一度身体がボロボロになって、死に食われたことがある。
     孤独は苦しい。僕の周りには仲間がいない」


だって現に…

( ∵)

あいつが僕を見ている。



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 00:26:12.72 ID:qmQJd7ZH0
彼女は僕の話を静かに聴いているようだ。
もしかして話を聞くのにウンザリして自殺を実行したのかと思ったけど、
時折聞こえてくる呼吸の音が彼女の生存を教えてくれる。

( ・∀・)「きっと僕は今まで何人かの人の自殺を笑って見ていた。
     死の怖さを知らなかったから、笑ってられたんだ。
     それに大抵釣りだったり、そんなことする度胸もないヤツだと思ったし」


( ∵)( ∵)( ∵)

…増えてる。



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 00:30:40.48 ID:qmQJd7ZH0
( ・∀・)「君に死の怖さを知れと言ってるんじゃないよ。
     外の世界を見ずに死んでほしくない、死の怖さを体験してほしくない。
     僕は君が羨ましいんだ。えっと…」

あー駄目だ口べた!
いつも独り言ばっかだから、人と話したことないんだもん。
何が言いたかったのか自分でもわからない!

川 ゚ -゚)】「…ふふ」

( ・∀・)「?」

川 ゚ -゚)】「いや、久しぶりにこんなに人と話してね」

( ・∀・)(…まあ人じゃないんだけど)



100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 00:32:17.59 ID:qmQJd7ZH0
彼女のすすり泣く声が聞こえた。

川 ; -;)】「本当に…久しぶりで…ありがとう」

(; ・∀・)「え!? 僕君を泣かすようなこと言った!? ごめん謝るよ!」

川 ;ー;)】「私、もう少し生きてみます」

( ・∀・)「そりゃ…よかった、俺が……力になれ…て」

モシャモシャ モシャモシャ

川;゚ -゚)】「モララーさん?」



102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 00:34:35.30 ID:qmQJd7ZH0
(  ∀ )「ごめんね、僕はもう生きられないから。僕の分も、しっかり、生きて……」

(*∵)「ウマウマww」

川;゚ -゚)】「モララーさん!? 大丈夫でs」

ぷちん。


初めての人との会話は、最期の人との会話だったかもしれない。


◆モララーさんが退室しました



103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 00:36:07.66 ID:qmQJd7ZH0
数日後。


川 ゚ -゚)「…」

久しぶりに私はチャットを開いた。

あの裏サイトのチャットルームだ。

空 [私はある人に助けられました。もっとがんばって、生きてみます]


◆モララーさんが入室しました

モララー [がんばれ]

◆モララーさんが退出しました


川 ゚ -゚)「……」


川 ^ー^)



終。



105: いち :2008/08/30(土) 00:38:53.36 ID:qmQJd7ZH0
あとがき。

ぶっちゃけ放浪者の話は途中gdgdになったんでやめようと思ったけど、
懲りずに投下しちゃいました。(結局gdgdで終わりましたが)

これをきっかけにもっとブーン小説作家として精進できればいいなと思っています。
支援してくださった皆さんありがとうございました。



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