('A`)細い目の少年のようです

3: 42 ('A`)細い目の少年のようです :2008/08/30(土) 00:14:12.69 ID:wQTADkWlO
 その少年の細い目は、見る者を刺す針のようだった。
 刺々しく硬い。

('A`)「で、依頼は?」

 半ズボン、半袖シャツにベスト。履き馴れた感じのスニーカー。
 およそ普通の少年だ。
 強いて挙げるならやや細身の。

 窓際に腰掛けた、ごく一般的な少年。

 だが、視線が本当に痛みを覚えそうなほど鋭い。

(´・ω・`)「この女を殺してくれないかね」

('A`)「ん、わかった」

(´・ω・`)「随分簡単に承諾するな」

('A`)「……だから死神って呼ばれてるんだ」



5: 42 ('A`)細い目の少年のようです :2008/08/30(土) 00:22:32.78 ID:wQTADkWlO
 渡された一枚の写真をかざして見ながら何の気なしに少年は答える。

 差し込む光が彼の髪を茶色に透かした。

 少年―――ドクオは死神の異名を取る殺し屋だった。
 毒薬、銃殺、事故、頸椎捻挫、溺死、エトセトラエトセトラ。
 殺しの方法は自由に選べる。

 わずか15才の天才少年。
 死神ドクオ。

 依頼主のショボンは視線が自分から外れたことに内心安堵しながら溜め息をついた。

('A`)「希望の方法は?」

(´・ω・`)「なるべく不自然じゃない形で頼む」

('A`)「ふぅん……分かった」



6: 42 ('A`)細い目の少年のようです :2008/08/30(土) 00:26:22.97 ID:wQTADkWlO
 写真から目を上げずにドクオは答える。

(´・ω・`)「金は成功報酬でいいな?」

('A`)「別にいいよ……あ、コーヒーでも飲む?」

 ドクオが突然思い立ったかのように言い出した。
 返事も聞かずに近くの棚にあったポットに手を伸ばす。

(´・ω・`)「い、いや。遠慮しとくよ」

ショボンは不意の誘いに一瞬動揺を見せたが、一刻も早くドクオの前を去りたい一心から断った。

('A`)「そうかぁ……残念だな」

 ドクオは伸ばしかけた手を引っ込めて溜め息をついた。
 一瞬何かを思い悩む表情を作る。

(´・ω・`)「なにが残念なんd」


どさっ


ドクオが数メートルあった距離を一瞬で詰めた、その瞬間ショボンが崩れ落ちた。



7: 42 ('A`)細い目の少年のようです :2008/08/30(土) 00:29:28.70 ID:wQTADkWlO
 ドクオの手にはアイスピックのような細くて長い針。

 ショボンの首にたった今打ち込まれて、たった今抜き取られた紅い針。

('A`)「ごめんね。あんたに恨みはないんだけど」

 その呟きはショボンには届かない。
 ドクオに一瞬にして延髄から貫かれて絶命したショボンには届かない。

('A`)「その写真の女の人、2日前にあんたを殺すように依頼して来たんだよ」

 念の為針を今度はショボンの左胸に打ち込む。

('A`)「でも色々な手間が省けて助かったよ」

 もう一度ドクオはごめんね、と呟いてショボン―――だったモノを片付けるために動き始めた。



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