( ^ω^)ξ ゚听)ξ雨を唄うようです

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:27:48.89 ID:DHRrN3CD0
ξ ゚听)ξ「おかーさんおかーさん!」

J( 'ー`)し「なあに?」

ξ ゚听)ξ「雨の日にね、唄ってる子がいるの」

J( 'ー`)し「唄う? 雨の日に?」

ξ ^凵O)ξ「誰か知らないけど、雨の日は唄ってるんだ」

J( 'ー`)し「それは雨の妖精さんかもしれないわね」

ξ ゚听)ξ「妖精さん? へー」

ξ ゚听)ξ「…早く雨にならないかなー」





( ^ω^)ξ ゚听)ξ雨を唄うようです



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:28:47.94 ID:DHRrN3CD0
ある雨の日のこと。


ξ ゚听)ξ「じゃあね、しぃちゃん」

(*゚ー゚)「ツンちゃん、お外は雨降ってる。止んでから帰ったら?」

ξ ゚听)ξ「ううん平気。新しいレインコートと、傘があるの!」

(*゚ー゚)「いいなぁ。しぃも今度買ってもらう!」

ξ ゚听)ξ「じゃあばいばい」

(*゚ー゚)「ばいばーい」



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:29:31.15 ID:DHRrN3CD0
ξ ゚听)ξ「雨雨降れ降れ 母さんが〜」

パシャ パシャ パシャ

ξ ゚听)ξ「ニャロメでお迎え嬉しいな〜 …ん?」

パシャ パシャ

ξ ゚听)ξ「ニャロメだっけ?」

「じゃのめでおむかえ嬉しいな〜」

ξ ゚听)ξ「そうだ! ジャノメだわ!」

ξ(゚Δ゚ Ξ ゚听)ξ

ξ ゚听)ξ「誰なの?」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:31:33.74 ID:DHRrN3CD0
「あめあめ ふれふれ かあさんが〜 じゃのめで おむかえ うれしいな〜」

ξ ゚听)ξ「ピッチピッチ チャップチャップ」

「らんらんらん♪」

ξ ^凵O)ξ「あはははは!」





その夜。


ξ ゚听)ξ「…早く雨にならないかなー」

J( 'ー`)し「ツン、明日も雨が降りそうだから、しぃちゃんと遊ぶなら雨具を忘れちゃ駄目よ」

ξ ゚听)ξ「はーい」



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:32:39.95 ID:DHRrN3CD0
( ・∀・)「ご機嫌だなぁ、ツン。なにかあったのか?」

ξ ゚听)ξ「おとーさん! 私ね、妖精さんに会ったのよ!」

( ・∀・)「…」

( ・∀・)「ハハッワロス」

ξ ゚听)ξ「明日も会えるかなー」

J(;' -`)し(ちょっとあなた! そこで冷めないで下さい)

( ・∀・)(いいかカーチャン、世の中には厨2病というものがあってだな…)



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:34:01.71 ID:DHRrN3CD0
しぃちゃんの家。


(*゚ー゚)「妖精さん?」

ξ ゚听)ξ「うん、妖精さん」

(*゚ー゚)「いいなーツンちゃん。私も会いたい」

ξ ゚听)ξ「雨の日にお外に出ればきっと会えるよ」

(*゚ー゚)「でもしぃは雨キライだもん。あ、もう降ってきた」

ξ ゚听)ξ「本当だー。じゃあもう帰るね」

(*゚ー゚)「うん、また来てねー」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:36:07.37 ID:DHRrN3CD0
ξ ゚听)ξ「妖精さーん、どーこー?」

「あめあめ♪ ふれふれ♪ かあさんが♪」

ξ ゚听)ξ「?」

ξ ゚听)ξ(ダンボール?)

ガサガサ ガサガサ

ξ ゚听)ξ「…こんにちは」


( ^ω^)「!」


雨に打たれてヨロヨロになったダンボールの中に、
白い小さな生き物が入っていた。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:37:26.17 ID:DHRrN3CD0
ξ ゚听)ξ「……猫さん?」

( ^ω^)「猫じゃないお、ブーンだお!」

ξ ゚听)ξ「だお?」

( ^ω^)「だお」

ξ ゚听)ξ「喋れる猫さんだ!! 私はツン!」

(; ^ω^)「だから猫じゃなくてブーンだお…」



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:38:40.84 ID:DHRrN3CD0
ξ ゚听)ξ「ブーンが唄ってたの?」

( ^ω^)「ブーンは雨の日に唄うのが大好きだお」

ξ ゚听)ξ「へ〜。何でも唄えるの?」

( ^ω^)「知ってる曲はたくさんあるお!」

ブーンは楽しそうに唄って見せた。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:40:36.47 ID:DHRrN3CD0
ξ ゚听)ξ「すごいすごい! ブーンはいつもここにいるの?」

( ^ω^)「雨の日だけだお」

ξ ゚听)ξ「そっか。私もう帰るから、また次の雨の日に会おうね」

( ^ω^)「気をつけて帰るんだお!」

ξ ////)ξ「そんなの言われなくてもわかってるもん!」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:43:15.13 ID:DHRrN3CD0
それから、雨の日は毎日ブーンに会いに行った。
お菓子を持っていってあげると、喜んで食べた。
お父さんとお母さんにブーンの話をすると、とても嬉しそうに笑った。

ブーンと一緒にいると、いつもお歌を唄ってくれる。


( ^ω^)「アル晴レタ日ノ事♪ 魔法以上の愉快が〜」

ξ ゚听)ξ「新しい歌だ! そういえばブーンはどうして晴れの日はいないの?」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:44:48.49 ID:DHRrN3CD0
( ^ω^)「晴れの日は隠れてるんだお」

ξ ゚听)ξ「どうして?」

( ^ω^)「晴れの日は、お母さんが来てくれないお」

ξ ゚听)ξ「おかあさん?」

( ^ω^)「いつの間にかお母さんがいなくなっちゃったお。
     雨の日にいなくなったお母さんだお。
     こうやって唄ってれば、きっと僕に気がついて来てくれるお」

ξ ゚听)ξ「…」

( ^ω^)「いつか、傘を差して戻ってきてくれるお」

ブーンはまた『あめふり』を唄った。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:46:16.95 ID:DHRrN3CD0
( ^ω^)「あめあめ ふれふれ かあさんが〜」

ξ ゚听)ξ「じゃのめで おむかえ うれしいな〜」

( ^ω^)「ぴっちぴっち ちゃっぷちゃっぷ」

ξ ゚听)ξ「らんらんらん!」



あらあら あのこは ずぶぬれだ

やなぎの ねかたで ないている

ピッチピッチ チャップチャップ

ランランラン



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:48:05.24 ID:DHRrN3CD0
ξ ぅ凵G)ξ

(; ^ω^)「ツ、ツンちゃんどーしたお!?」

ξ ぅ凵G)ξ「だって…お母さんがいないって、すごく寂しいんだもん……」

(*^ω^)「僕はツンちゃんが来てくれるから、寂しくないお!」

ξ ////)ξ「私は暇だからブーンと一緒にいるだけなの!」

( ^ω^)「おっおっおっおwww」

ξ ;ー;)ξ「…へへへ」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:48:55.05 ID:DHRrN3CD0
雨が止んできた。
雲の隙間から、真っ赤な夕日が顔を出してる。



ξ ゚听)ξ「じゃあ次の雨の日にね」

( ^ω^)「待ってるお!」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:51:04.95 ID:DHRrN3CD0
次の雨の日。



( ^ω^)「ツンちゃんのために、歌の練習しておくお!」

(*^ω^)「曖昧3センチ! そりゃぷにってpr。@¥あkふじこ」

( ^ω^)「…噛んじゃったお」

( ФωФ)「みゃーお」

(; ^ω^)「!?」

( ФωФ)ジーッ

(; ^ω^)「な、なんか用かお?」

(#ФωФ)「フギャー!!!」

「あうあうあああああああ!!」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:53:21.28 ID:DHRrN3CD0
ξ ゚听)ξ「〜♪」

ξ ゚听)ξ「早くブーンの歌聴きたいな〜!」

ξ ゚听)ξ「?」

いつもダンボールがある場所に、近所の子たちが集まっていた。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:54:08.42 ID:DHRrN3CD0
( ,,゚Д゚)「じゃあこのダンボール潰すんだゴルァ!」

(*゚∀゚)「だめだよ! これアタシの犬の小屋にすんだから!」

<ヽ`∀´>「こんな雨に濡れたボロダンボールじゃ犬なんて飼えないニダwwww」

(*゚∀゚)「ダンボールなめんな! これはヨーゼフのお家だもん!!」

ξ#゚听)ξ「ちょっとあんたたち何やってんの!」

<ヽ`∀´>「ツンちゃんニダー。何を怒ってr」

ξ#゚听)ξ「それはブーンのお家なの! 返してよ!!!」

ぽかぽか!!

<ヽ;`Д´>「ちょ、痛いニダ! やめるニダ!」



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:56:39.63 ID:DHRrN3CD0
(*゚∀゚)「なんだ、このダンボールツンちゃんの? じゃあいいや」

( ,,゚Д゚)「どうせさっきの野良猫のせいでボロボロだったし」

ξ;゚听)ξ「ね、ねこ?」

( ,,゚Д゚)「ほら、あそこでこっち睨んでるやつ」


[電柱]ФωФ)みゃーお


(*゚∀゚)「あの猫がこれの中で暴れてたから、ゴミかと思ったの」

ξ;゚听)ξ「そんな!」

ボロボロダンボールの中は空っぽ。
爪で引っかいたような傷と、赤い斑点がついていた。



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 21:59:01.86 ID:DHRrN3CD0
(*゚∀゚)「じゃあアタシたち行くから」

( ,,゚Д゚)「ニダーん家でゲームでもするゴルァ!」


ξ ;凵G)ξ「うそ…ブーン? どこ?」

いつの間にかあの野良猫はいなくなっていた。

ξ ;凵G)ξ「ブーン! 私よ! ツン! 今日も唄ってくれるんでしょ!?」

ξ ;凵G)ξ「約束したじゃない! 待っててくれるってぇ!!」

「うわあああああああああああん」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:02:21.02 ID:DHRrN3CD0

あの日、走って家に帰って、新しいダンボールのお家を置いてあげた。
ずっと待ったけど、ブーンはやって来ない。

夜遅くまで待って、お母さんが探しに来てくれた。
とても怒られて、でも頭を撫でてくれた。
一緒に手をつないで帰ろうとして、もう一度ダンボールを振り返ったけど、
そこにブーンはいない。


それから2ヵ月後、私は親の仕事の都合でこの町を引っ越した。
引越しの日は雨。
私は引越しの手伝いをサボって、ダンボールを見に行った。



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:05:38.93 ID:DHRrN3CD0
ξ ゚听)ξ「…ブーン」


誰も、いない。


ξ ゚听)ξっ□「ブーン、いないなら…手紙置いて行くね」



ブーンへ

わたしはおひっこしすることになりました。
でもいつかまたここに来ます。
いつか雨の日まで、まっていてください。
やくそくだからね。

ツンより



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:09:44.63 ID:DHRrN3CD0
―――――12年後


私は大学に入学し、通学のためにこの町に住むことにした。
6歳まで住んでいた町らしいけど、ほとんど覚えていない。



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:10:37.43 ID:DHRrN3CD0

「雨か。でもそろそろ買い物行かないとな〜」


気が進まなかったけど、買い物に出かけた雨の日、


「あめあめ ふれふれ かあさんが〜」

「?」

「じゃのめでおむかえ うれしいな〜」

「…ブーン?」

「おかえり、ツンちゃん」


ずっと昔の約束を思い出した。




おしまい



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/29(金) 22:12:56.92 ID:DHRrN3CD0
あとがきがき。

書きあがったときは「うわぁ、長くなっちゃった…」って思ったけど、
いざ投下してみたらこれ30レスでまとまったじゃん。
考え無しにスレ立てちゃってごめんなさい。

ご支援してくださったみなさん、ありがとうございました。



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