('A`)ネクストウォーズのようです

440: 48・61 :2008/09/01(月) 03:41:24.56 ID:NODM9Yv+0
こっそり投下すんよ
元になったイラストはNo.61とNo.48。

('A`)ネクストウォーズのようです



441: 48・61 :2008/09/01(月) 03:44:09.32 ID:NODM9Yv+0

(;^ω^)「こんばんは、VIP中学校のみなさん」


俺の通う中学では年に一度、平和集会というものが行われる。
なんでも、この学校が終戦の年に建てられたことを記念して、
生徒らに戦争の悲惨さを伝え、二度と戦争を起こさないようにするためのものだそうな。

毎年の恒例行事なので、それ自体はどうということもないのだが。
今年は何の因果か、俺のじいちゃんがスピーチをすることになった。

校長が俺ん家を訪れて、スピーチの依頼を伝えたとき、じいちゃんはしっかとうなずいてはみせたものの。
膝の上で握りしめられた両の拳が、酷く震えていたことを思い出す。

ステージに上がったじいちゃんに目を向けた。
じいちゃんは所在なげにスーツの腰の辺りをぱたぱた叩き、思い切ったように口を開く。
とたん、体育館中の視線が、じいちゃんへと集まった。


(;^ω^)「わ、私の名前はブーンと言いましゅ。
      今日は皆さんに、戦争についてお話をするために来ましたお」



443: 48・61 :2008/09/01(月) 03:48:08.60 ID:NODM9Yv+0
('A`;)(うおうさっそく噛んでるよ。じいちゃん人前で話すの苦手だからな……)

('A`)(つか俺、じいちゃんが戦争行ってたこと自体初耳なわけですが。やっぱ話しづらいもんなのかね)
  _
( *゚∀゚)「ドクオ、ドクオ」


唐突に聞こえてきた声の方へと顔を向ける。
視線の先では、その瞳を好奇心にきらきらと輝かせた親友がこちらを見つめていた。

抑えた声、けれど興奮を隠し切れない様子でこそこそと俺に話しかける。
そういえばこいつ、むかしっから戦争とか兵器とか、そういうのに興味があったっけ。

  _
( *゚∀゚)「あれおまえのじーちゃんなんだよな!!」

('A`)「一応な」
  _
( ゚∀゚)「ンだよ一応ってw」
  _
( *゚∀゚)「やっぱさ、でっけー刀キズとか、拷問のあととか、そういうのあんのか?」

('A`)「ねーよww ……ちっこい傷はそれなりにあったけど」


小さな頃、じいちゃんと風呂に入ったときのことを思い出しながら、俺は小声で返事をした。
何度か一緒にプールに行ったりもしたけど、別に騒がれたりはしなかったはずだ。



445: 48・61 :2008/09/01(月) 03:52:46.31 ID:NODM9Yv+0
  _
( ゚∀゚)「えー。なんかいまいちお前のじーちゃん、歴戦の勇者って感じしねえんだけど」

('A`)「んなこと俺に言われても……」


んー? と首をかしげた親友を尻目に、俺はもう一度壇上へと視線を向ける。
確かに、腹回りにたっぷり脂肪を纏い、禿げあがった頭を忙しくなぜる姿は、
ジョルジュの思う 『兵士』 とはかけ離れているだろう。

実際に戦場に赴いたとは言っても、もう半世紀ほども前のこと。
流れた時間は膨大だ。多少はメタボってしまっても仕方ない。

ふと、妙な視線を感じて振り返った。


ミ('A`)「んぁ?」

Σ(    )  )  )  )


いつの間にか、そばに座るクラスメイトたちに聞き耳を立てられていたようだ。
しかし、不真面目なふいんき(ry を感じ取った担任から殺気だった視線を向けられ、慌てて前を向く。

じいちゃんはそんな俺らに気づく様子はゼロ。
ポケットから取り出したハンカチで顔を拭き拭き、 話を続けていた。



446: 48・61 :2008/09/01(月) 03:56:09.63 ID:NODM9Yv+0
(;^ω^)「なんというか……目的と、そのためにとるべき手段がはっきりしておったのですお。
      敵が攻めてくる、攻められれば家族が、友が、恋人が傷つくかもしれない。
      ならばみんなを守るため戦おう。至極簡単な連想ですお」

( ^ω^)「つまりは、愛国心ってやつですお。
       この言葉、今はあまり、使うことをよしとしない人が多いみたいですが、
       当時は国を愛すること、国のためなら死ねると考えることは、当然だったのですお」

( ^ω^)「怨敵に蹂躙されんとしている我が国を憂い、少しでも力になれれば。
       隊の仲間は皆、そんな気持ちで自ら志願した奴らばかりでしたお 」


額に汗の粒をいくつも浮かべ懸命に話す姿は、俺の知っているじいちゃんじゃないみたいだった。
普段のぼんやりしている姿が嘘のよう。身振り手振りも加え、熱に浮かされたように語り続ける。


( ^ω^)「来る日も来る日も戦闘訓練。馬鹿みたいに重い土のうを担いで、だだっ広い訓練場を20周。
       どうにかやり終えても、やれ銃剣術だの、やれ道具の手入れの仕方だの、
       学ぶべき事はたくさんありましたお」

( ^ω^)「でも、実際の戦いは、練習なんて比べ物にならないぐらい、酷かったのですお」



447: 48・61 :2008/09/01(月) 03:59:34.41 ID:NODM9Yv+0

スライドに、当時の戦いの様子を写したフィルムが映し出される。
戦死したじいちゃんの仲間が撮ったものらしい。

ttp://vipmain.sakura.ne.jp/light_novels/novels_img/048.jpg


('A`)(これ撮った人、カメラより銃構えたほうがいいんじゃねーかな)

('A`)「なあ、ジョル……」
  _
( ;゚∀゚)


隣を見れば、親友は食い入るようにフィルムを見つめていた。
そっと周りを見渡してみるが、どうやら皆じいちゃんの話に聞き入っているらしい。
余所見をしたり、居眠りをしているものはごくわずかだ。


('A`)「…………」


俺は続く言葉を飲みこみ、なるべく音を立てないように気をつけながら、そっと姿勢を正した。



448: 48・61 :2008/09/01(月) 04:02:30.76 ID:NODM9Yv+0
( ^ω^)「私自身、この手でいくつもの命を奪いましたお。
       数え切れない、自分でもわからないほどたくさん傷つけて、ころしていましたお。
       しかもそのことに、私は誇りすら覚えていた」

( ^ω^)「戦争が終わり、家族の元へ帰って。
       首の座らない、生まれたばかりの息子を抱き上げたとき、私は気がついたんですお」

( ^ω^)「敵にとってみれば、私がその 『敵』 だったということに」

( ^ω^)「きっと、私がころした敵にも、家族が、愛する人が居て。
      そして彼らも、大切なものを 『守る』 ために、戦っていたんだと。
      そのことを考えるとどうにも、やりきれんのですお」

( ^ω^)「戦争は、いけません。決してプラスにならないだけでなく、それまで有ったものを全部壊してしまいかねない」

( ^ω^)「だから若いみなさんには、どうか守ってほしいのですお。この平和な今の世の中を。
       人間同士で傷つけあい、憎みあうことに意味はありません」

('A`)(…………)



449: 48・61 :2008/09/01(月) 04:05:31.18 ID:NODM9Yv+0
二時間にも及ぶ集会は成功に終わった。

大きな花束を抱えて、盛大な拍手に包まれながら、じいちゃんは体育館を後にした。
その背中は何か大きな荷物を下ろした安堵感と、達成感に包まれているようだった。


HRも終わり、皆が帰り支度を始めるころには、ほとんどの生徒はじいちゃんの話に興味をなくしている。
中学生なんてそんなもんだ。新しく買ったゲームの話、遊ぶ約束。
他愛のない話題で盛り上がるクラスメイトらを尻目に、俺は教室を出た。

階段を下りていると、親友のジョルジュが腹ばいになって手すりをすべり降りてくるのに遭遇した。

  _
( ゚∀゚)「ようドクオ、一緒に帰らね?」

('A`)「おk」

テクテク
  _
( ゚∀゚)「…………」

テクテク

('A`)「…………(会話がない、気まずい)」

('A`;)「なあ、ジョル」
  _
( ゚∀゚)「ドクオ。お前もし戦争が起こったら、戦いにいくか?」



450: 48・61 :2008/09/01(月) 04:10:02.07 ID:NODM9Yv+0
言葉を遮り、唐突にぶつけられた質問に面食らう。
足を止めた親友は、普段なかなか見られない真剣な表情を浮かべていた。


('A`)「考えたことなかったしワカンネ」


口をついて出たのは、ごまかすにしてもあんまりにお粗末な理由。
だが本当になんだから仕方ない。

自分でもよくわからないから。言葉を遮り、唐突にぶつけられた質問に面食らう。
足を止めた親友は、普段なかなか見られない真剣な表情を浮かべていた。


('A`)「考えたことなかったしワカンネ」
  _
( ゚∀゚)「ちょw」


ごまかすにはあまりにもお粗末な理由ではあるが、
本当に考えたことないんだから仕方ない。

浮かんだいくつかの言い訳を頭から追い出すと、親友のへの字口を完璧無視、俺はまた歩き出す。



451: 48・61 :2008/09/01(月) 04:12:37.69 ID:NODM9Yv+0
  _,
( ゚∀゚)「なんだかなー……」

('A`)「つか、実際に戦争起こったら年頃の男は皆徴兵されんだろ?
    だったら行くしかねーじゃん」
  _
(;゚∀゚)「いや、そりゃあそうだろうけど」
  _
( *゚∀゚)「あ、じゃあさ、未来の戦争ってどんなんだと思う?」

('A`)「さあな」
  _
( *゚∀゚)「俺は多分、核とか大量破壊兵器とかの撃ち合いになって、金持ってるとこ同士でn (ry」

('A`)「軍オタ乙」
  _
( #゚∀゚)「っちょ、まじめに聞けよ! 深刻な問題なんだぞ。俺の予想はではな、
     情報収集とかは打ち上げられたスパイ衛星が全部やるようになって、
      戦闘機やら爆撃機やらもそのせいで仕事がしづらくなるからうんぬんかんぬん」


なにか今日のこいつは妙なスイッチが入っているらしい。
常になくしつこい親友から逃げるべく、さよならもそこそこに俺は我が家へと飛び込んだ。

リビングに入ると、そこには先に帰っていたじいちゃんの姿があった。
じいちゃんはソファに座って寛いでいたが、俺を見かけると手に持ったコップを置き、手招きをする。



453: 48・61 :2008/09/01(月) 04:15:54.57 ID:NODM9Yv+0

('A`)(ああ、多分今日の話の感想聞かれるな)


鞄をその辺に立てかけ、じいちゃんの向かいのソファーに腰を下ろす。
じいちゃんの咳払いの音が、二人だけのリビングに響いた。


( ^ω^)「ドクオ。今日のじいちゃんの話、どうだった」

('A`)「戦争はいけないとおもいました」

(;^ω^)「うーん……」


じいちゃんは眉を寄せ、困ったような笑みを浮かべた。
あまり上手くない返し方だったみたいだ。


(;^ω^)「……も、もうひとつだけ質問するお」

( ^ω^)「ドクオ、お前はこの国が好きかお?」


まっすぐに俺を見つめるじいちゃんの目が、本音を言ってくれと語りかけている。
真摯な眼差しに射抜かれ、俺は後ろめたさで目を逸らした。



455: 48・61 :2008/09/01(月) 04:18:50.62 ID:NODM9Yv+0

('A`)(ここで嘘をついたら、そりゃ確実にバレるよな)


('A`)「……好きとか考えたことなかった。そりゃ、他の、食べ物が無いとか、今現在戦争してるとか、
    そういう国に生まれなくて良かったなあとは思うけど」


( ^ω^)「そう、かお」


ソファに深く体を沈めて、じいちゃんは天井を仰いで目を閉じた。


( ^ω^)「わかったお。ドクオ、答えにくいことを聞いてしまったみたいで、正直すまんかったお。
       一番伝えたかったことは伝わってるみたいだし、よしとするお」


でも、ドクオ。このことはずっと、ずっと、考えていて欲しいんだお。

戦争がもし起こってしまったとき、どうするか。

自分の大切な人を守るために、誰かの大切な人を殺せるか。

大事な、ことなんだお。



457: 48・61 :2008/09/01(月) 04:21:20.21 ID:NODM9Yv+0
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('A`)「たったの十年。そんだけでも、ここまで変わっちまうんだなあ」


地味な土色の制服に身を包み、俺は改めて辺りを見渡した。


世界を巻き込んでの戦争が始まったのは、つい五ヶ月前のことだ。

食糧不足、テロ組織の暗躍、もはや世界的なものとなった不況。
その他いろいろの要因が重なり、俺は今兵士としてここに居る。


政府機関は早々に地下のシェルター内へと拠点を移し、人々は先を争って田舎へ疎開。

最早人っ子一人いない、かつての 『首都』 。
俺は、ついこの間まで行き交う人間で溢れていたそこに、たった一人で立ち尽くしていた。


俺はポケットに手を突っ込み、しわくちゃになった手紙を取り出した。
つい先日、軍服やザック、編み上げ靴などのこまごましたものと一緒に届いたものだ。



459: 48・61 :2008/09/01(月) 04:24:21.53 ID:NODM9Yv+0
('A`)「えーと『健康な成人男性は、来るべき時に向け、兵士としての訓練を受けなければならない。
    召集は三日後。それまでに家族に別れを告げ、身支度をすること』、か」

('A`)「つうか、今の電子機器マンセーな世の中、人間鍛えたところで無意味だと思うんだけどな」


すぐさま戦争に行くと言うわけではない。
招集がかかったと言うだけで、実際に戦うのはずっと先のことだろう。

それでも、泣き腫らした目であれこれ世話を焼きたがる母の姿を見ていられなくて、俺は家を飛び出した。


人の気配が完全になくなった町を歩く。

建物の入り口はがっちりと施錠され、いくつかは強化プラスチックの扉でふさがれていた。
あるアーケードの入り口には鎖と、『kEEP OUT』と書かれたまっ黄色のテープ。

ゲームの中みたいな非現実的な光景にもだんだん慣れてくる。
足を進めるうち俺はふと、あるマンションの入り口の側に何か落ちていのに気がついた。
近づいてみると、それはどうやら



462: 48・61 :2008/09/01(月) 04:27:29.92 ID:NODM9Yv+0

('A`)「あー、人形?」

ttp://vipmain.sakura.ne.jp/light_novels/novels_img/061.jpg


大事にされていたのだろう、不恰好にあちこち継ぎがあたったそれは、
いまや無残に綿をはみ出させ、薄汚れてしまっていた。
黒いボタンの目は片方取れて、どうやら車に轢かれたらしいあともある。

('A`*)「このマンションに住んでたおにゃのこがおっことしていったんだろうな、フヒヒ」

('A`)「……戦争になるから。大事にしてた人形も放り出して、逃げ出すしかなかったのか」


人形を掴んだまま、空を見上げる。

すっきりと晴れ渡った八月のあおい空。ビルの合間から真っ白な雲もいくつか見える。
あの綿菓子みたいな雲の横の黒い点は、飛行機か何かだろうか?


('A`)「なあ、じいちゃん」

('A`)「戦争って、こういうものなんだな」


数年前に脳溢血で他界したじいちゃんに向けて、呟く。



464: 48・61 :2008/09/01(月) 04:30:32.55 ID:NODM9Yv+0

('A`)「あんときはさ、正直よくわからなかったんだ。
    兵士、とか、疎開、とか。そういう戦争にかかわるもの、身近にとても少なかったから」

('A`)「過去のことだと思ってたんだ、全部。すぐ側にじいちゃんがいたのに」

('A`)「もっと真面目に、起こりうる未来の一つとして話を聞いてれば良かったんだ。
    俺たち皆がジョルジュみたいだったら、きっとこの戦いは始まらなかっただろうから」


さっきから、ひゅうひゅうと妙な音が聞こえている。きっと風の音か何かだろう。
構わずに俺は話し続ける。


('A`)「なあ、じいちゃん。俺は戦争に行くよ」

('A`)「訓練を受けて、ちゃんとした一人前の兵士になって。
    誰かの大事なぬいぐるみが、こんな風に持ち主と離ればなれにならないように、
    カーチャンを泣かせなくてもいいように」

('A`)「この国に幸せな普通を取り戻しn



467: 61・48 さるくらいますた :2008/09/01(月) 04:37:16.56 ID:SxP5IwuEO







      ひらめいたのは、まっしろなひかり


                              そして、くらやみ







469: 61・48 さるくらいますた :2008/09/01(月) 04:42:47.83 ID:SxP5IwuEO
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  XXXX年 XX月XX日 XX時XX分XX秒



    敵国首都二向ケ発射サレタ我ガ国ノ新型兵器ガ目標二到達。

    敵国ノ被害ハ甚大、想定以上ノ効果ヲ確認、報告スル


    民間、政府双方ノシェルター二モカナリノ被害ガ認メラレタ

    詳細二ツイテハ、追ッテ報告ヲ行ウ



                                 ……作戦ハ成功セリ
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473: 61・48 さるくらいますた :2008/09/01(月) 04:50:02.77 ID:SxP5IwuEO
支援ありがとう、でも、ここで終わりなんだぜ……?

見てくれた人、絵を書いてくれた人、寝ずに支援してくれたID:rzbnTq5G0、良い夢見ろよ!
あと作品できたら支援に行くぜ ID:YsXZH+K1O


では寝ます、おやすみなさい



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