( ><)! のようです
- 658: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 09:39:47.62 ID:d3JaGJzi0
- 最後の授業が終わって、帰りの会も終わって。
それぞれの生徒が帰ったり、席に座ったままだったり、着替えたりしていました。
さぁ僕も帰ろうと思って荷物を抱えようとした時、幼馴染のちんぽっぽちゃんが話しかけてきました。
(*‘ω‘ *)「ビロードはミカンたっぷりのフルーツケーキは好きかっぽ?」
( ><)「大好きなんです!」
(*‘ω‘ *)「じゃあ、美味しいの焼いてあげるから、楽しみに待ってるっぽ!」
( ><)「え? うん……ありがとうなんです!」
ちんぽっぽちゃんはそれだけ言うと、何処かへと跳ねるように走り去ってしまいました。
最後の僕の声が聞こえていたのかもわかんないんです。
( ><)「突然、どうしたんですかね?」
そう思ったけど、僕の疑問はケーキへの期待に掻き消されます。
生クリームがたっぷりのってるのがいいな、でもフルーツケーキだから甘さ控えめかな?
なんでもいいから楽しみなんです!
( <●><●>)「ビロード」
- 659: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 09:42:03.45 ID:d3JaGJzi0
- 甘味への夢想の旅を一時中断して、呼ばれたほうを振り返ると、
そこにはクラスは違うけど小さい頃から仲が良いワカッテマス君が居ました。
( <●><●>)「ここにいるのはわかってました。
ビロード、明日は開いていますか?」
( ><)「明日はずっと暇なんです!でも、何でですか?」
今日はなんだか皆がちょっと不思議な日です。
いつもの遊びのお誘いとはちょっとだけ違う雰囲気。
違和感を感じてそう聞いてみると、ワカッテマス君は少し驚いた風にしてすぐ、呆れた。という顔になりました。
( <●><●>)「……まぁ、予想はしてましたが……」
(;><)「え? どうしたんです? 僕変な事言いました?」
ワカッテマス君の反応に少し焦って、わたわたと手をばたつかせます。
そんな僕を見た彼はひとつ息を吐いて、言いました。
( <●><●>)「ビロード、明日はあなたの誕生日ですよ」
( ><)
(>< )
( >< )
- 661: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 09:43:44.82 ID:d3JaGJzi0
- (;><)「すっかり忘れてたんですぅぅ!!」
( <●><●>)「忘れてた事はわかってます。うるさい」
(;><)「あう……。すいませんなんです」
頭をかかえて叫ぶと、周りの少ない同級生が一斉にこちらを見ました。
ワカッテマス君は迷惑そうに少しだけ顔を歪めましたが、すぐに僕に向き直ります。
( <●><●>)「明日なんですが、うちに来てください。
ささやかながらもお祝いしますよ」
(*><)「本当ですかっ? 行きます!」
( <●><●>)「じゃあ、12時に来てください。待ってますから」
そう言って、ワカッテマス君もどこかへと行ってしまいました。
本当は一緒に帰りたかったのですが、忙しそうにしてたのでとても誘えなかったんです。
今日は久しぶりに一人で帰るようです。誕生日前なのになぁ。さっきまで忘れてましたが。
- 663: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 09:45:04.52 ID:d3JaGJzi0
- 今思えばちんぽっぽちゃんのケーキもきっと誕生日プレゼントだ。と、
下校中、ようやくその事に気づいたんです。
( ><)「(でも、いつくれるんですかね?)」
楽しみだなぁ、と足取りは軽くなり、スキップまでしそうな勢いでしたが、
中断したままだった甘味への夢想の旅を再開する事で抑えました。
僕の甘味への想いは真剣そのものなんです。
その後家に帰って、着替えて、ご飯も食べて、お風呂にも入って、歯も磨いて。
布団の中でうとうとし始めていた時でした。
ポーニョ ポーニョ ポニョ サカナノコー
(;><)「うわあぁ!?」 ガバッ
突然携帯が大音量で電話の着信を伝えました。
すっかり気の抜けていた僕の脳には刺激が強すぎるんです!
- 665: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 09:46:39.24 ID:d3JaGJzi0
- まだ音楽を流し続ける携帯を急いでとり、通話ボタンを押しました。
電話をかけてきたのはちんぽっぽちゃんだったんです。
(*‘ω‘ *)「明日ビロードの誕生日だっぽ。
だから、うちでご飯とかケーキとかご馳走してあげるっぽ!」
( *><)「わぁ! いいんですか?」
やっぱり僕の予想は間違ってなかったんです!
もちろん二つ返事でおkなんです!
(*‘ω‘ *)「決まりだっぽね。明日のお昼頃うちに来てっぽ!」
( ><)「楽しみにして……るんで……?」
(*‘ω‘ *)「どうしたっぽ?」
( ><)「いや、何か忘れているような……」
んー? と頭を捻ります。
それは大切な事で、僕のためだったような?
- 667: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 09:47:56.46 ID:d3JaGJzi0
- (*‘ω‘ *)「ふーん?
あ、明日の用意あるからそろそろ切るっぽね!」
( ><)「あ、はい。おやすみなさいなんでs」
脳内に電撃が走ったような気がしました。
思い出しました、ワカッテマス君との約束!
断らなきゃ。でも、行くって言っちゃったし、僕には難しいんです……
でも。でも。とりあえず、まだ電話を切っちゃいけない!
(;><)「あ、ちょ。その、待っt……」
(*‘ω‘ *)「ごめんっぽねー。じゃ、また明日ー」
(;><)「……切られてしまったんです」
無情にも僕の携帯は光を無くし、ツーツーという音を立てて僕を突き放します。
あぁ、どうしよう。もう一度電話する勇気なんてないんです。
(;><)「第一、もう一度電話しても何て言えばいいのかわかんないんです……」
とりあえず夜も遅いから今は寝よう。と思って布団の中に潜り込んでもまったく眠くなりません。
明日の事を考えてみると、余計に目は冴えるばかりで良い案は何も浮かびません。
そのまま何回も寝返りをうっているうちにいつの間にか眠ってしまいました。
- 669: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 09:49:33.91 ID:d3JaGJzi0
- 朝、変に緊張していた僕は、いつもより少しだけ早く起きていました。
お母さんが作った朝ごはんも食べて、いつでも外に出られる準備だけはできましたが、気分は優れません。
(ili><)「(何か疲れて頭もうまく働かないし、憂鬱なだけなんです……)」
今日、僕の誕生日なのになぁ。
深いため息をひとつつきます。ため息をつくと幸せが逃げるんじゃなくて、
幸せが逃げたからため息をつくんだと思います。
考えてみても、ため息をついてみても、時間は過ぎていくばかりです。
時計の短針がどんどんと上っていくにつれて、体中から変な汗が出て、頭がぐるぐるとします。
僕がずっと何もできないでいたら、12時ちょうどのお昼のチャイムがなりました。
お母さんにお昼ご飯はいらないと伝えてあるので、僕がしなければいけない事は、家を出る。それだけ。
でも、できない。
- 671: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 09:50:55.59 ID:d3JaGJzi0
- (ili><)「どうしたらいいんです?
断るのもしたくないし、どっちかなんて選べないんです」
無断で行かないなんて、一番悪い。それはわかっています。
優柔不断で行動力のない自分を恨んでも、どうにもなりません。
あぁ、時間は過ぎていきます。このまま逃げてしまいたい。僕はちょっとだけ本気でそう思ったんです。
ピンポーン
家のチャイムが鳴りました。
お母さんが出たみたいで、少しの間をおいて僕を呼ぶ声が聞こえました。
(ili><)「い、行きます……今行くんです!」
痛みを訴え始めた頭を抑えながら、玄関に向かいます。
そこにはお母さんは居なくて、開け放たれた扉とワカッテマス君が居ました。
元からの無表情も手伝って、彼の表情を読む事はできません。怒っている、のでしょうか。
( <●><●>)「ビロード、今日はどうs」
(*‘ω‘ *)「あれ、ワカッテマスじゃないかっぽ。
奇遇だっぽねー」
- 673: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 09:52:51.29 ID:d3JaGJzi0
- ワカッテマス君の言葉は後からやってきたちんぽっぽちゃんの声が被って聞こえませんでした。
そんなことより、僕が何もできなかったせいで、2人ともやってきてしまいました。
きっと怒っているのでしょう。もう、絶交でもおかしくないです。嫌だ、それは嫌だ。
( <●><●>)「ちんぽっぽ、どうしたんです?」
(*‘ω‘ *)「私は今日ビロードと誕生日ぱーちぃやる予定だったけど、
ビロードが遅刻したからお迎えだっぽ」
( <●><●>)「え……? 私もですよ。ビロード、そうなんですか?」
2人の視線が僕に刺さります。
何か喋ろうと思っても、どもってしまいまともに言葉が出ません。
(;><)「あああああの、その。ご、ごめんなs」
(*‘ω‘ *)「そんな事なら言ってくれればよかったのにっぽ」
え?
( <●><●>)「3人で集まって、パーティをすればいいんですよ」
え?
- 679: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 10:07:21.76 ID:d3JaGJzi0
- ( <●><●>)「なんだ、結局こうなるんだったら最初からこうすればよかったですね」
(*‘ω‘ *)「アタシはこの年にもなって誕生日パーティなんて好んでする男がいるとは思わなかったっぽ」
( <●><●>)「私だってあなたがわざわざ友人のためにパーティに参加するような人とは思いませんでしたよ」
(*‘ω‘ *)「なんだと(@u@ .:;)」
(;><)「え? え? ……え?」
2人は混乱したままの僕に気がついたようで、顔を覗き込んできました。
怒って……ない?
そう呟いてみると、2人は笑って言いました。
( <●><●>)「あなたは怒ってほしいんですか?
こんなことで腹を立てるわけないじゃないですか」
(*‘ω‘ *)「ビロードはバカだっぽねえ」
悩む僕はやっぱり馬鹿だったようです。
僕の友達は僕が悩む余地もない程に良い人たちばっかりだったんです!
泣きそうになりながらもう一度だけ、頭を下げて謝りました。
- 680: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/30(土) 10:08:25.85 ID:d3JaGJzi0
- ( <●><●>)「あぁ、そうだ。やっぱりここは……」
(*‘ω‘ *)「あ、そうだっぽね。忘れてたっぽ」
( ><)「え? なんです?」
(*‘ω‘ *)「せーのっ」
( <●><●>)「ビロード、誕生日おめでとう」(*‘ω‘ *)
( ><)「あ……」
( *><)
「ありがとうなんです!」
その後僕たちはちんぽっぽちゃんの家に行ってご飯を食べて、
ちんぽっぽちゃんが作ったケーキとワカッテマス君が持ってきたケーキをなんとかたいらげて、
プレゼントをもらって、遊んで。とっても楽しかったんです!
2人の誕生日にもこうやって集まる事を約束して、別れました。
今日は、本当に最高の誕生日だったんです!
Happy birthday to ( ><)! のようです 終わり。
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