从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ )
- 41: 87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ) :2008/08/30(土) 01:31:16.32 ID:wQTADkWlO
- 从 ゚∀从「早く来いロマネスク!!!執事が主人に遅れてどうする!!!!」
突如洋館のドアが開いて、中のざわめきから飛び出した女が赤いドレスを翻して歩いていく。
ロンドンの夜を切り裂くように靴音高く。
ハイヒールで、大股で、靡く髪は煌めいて。
( ФωФ)「ハインお嬢様っお待ちください!」
後ろから執事とおぼしき青年が駆けて来た。
黒い髪に端正な顔付き。
人目を惹くには充分過ぎるほど美しい。
- 42: 87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ) :2008/08/30(土) 01:33:00.37 ID:wQTADkWlO
- 前を歩くハインに容易く追い付くと腕を引いて止める。
止められたハインはロマネスクを更に圧倒するような強い美を放っていた。
( ФωФ)「お嬢様。あれではあまりにブーン男爵に失礼に当たります」
从 ゚∀从「うるさい。私に対して汚らわしい言葉をかけるからだ」
( ФωФ)「とりあえず、コートを」
ロマネスクがハインにコートを着せ掛ける。
美形執事の顔には少しの諦めと少しの険しさと、少しの安堵が浮かんでいた。
( ФωФ)「何にせよ私を置いて行くのは止めてください。ロンドンは危険です」
柔らかく窘められるとハインは少しそっぽを向いた。
- 43: 87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ) :2008/08/30(土) 01:34:11.50 ID:wQTADkWlO
- 从 ゚∀从「お前なぞいなくとも……」
( ФωФ)「いいえ、危険です。何よりもお嬢様が心配で私の身が持ちません」
从 ゚∀从「なっ……!」
頬を染めたハインの横に馬車がついた。
ロマネスクが扉を開け、恭しく主である金髪の美しい女性の手を取る。
馬車は彼女の館に向けて帰って行った。
- 44: 87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ) :2008/08/30(土) 01:35:42.02 ID:wQTADkWlO
夜。
寝静まったハインの館に忍び込む者が
( ФωФ)「ここには来るなと言った筈ですが」
忍び込む者がロマネスクにあっと言う間に捕らえられた。
( ゚∀゚)「お前を迎えに来たんだよ」
捕らえられたジョルジュは悪びれずに笑う。
( ゚∀゚)「約束だろ?お前は夜の者なんだから」
- 45: 87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ) :2008/08/30(土) 01:37:46.42 ID:wQTADkWlO
- ( ФωФ)「私は何よりもまずハイン様の執事ですから」
( ゚∀゚)「お前さーそればっか。いい加減飽きろよ」
( ФωФ)「飽きる飽きないではありません」
( ゚∀゚)「ハイン様に恋したって所詮お前はバンパイア、意味ねーだろ」
小馬鹿にしたような笑いを湛えてジョルジュは続けた。
いつの間にか捕らえられた腕を抜け、ロマネスクと相対している。
( ゚∀゚)「だからこっちへ来いよ。俺らと一緒にロンドンを夜に染めよう」
ジョルジュの腕が浮き上がると、人形をバラしたような形に分離した。
輪切りの木、というか壊したマリオネットのような腕。
- 46: 87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ) :2008/08/30(土) 01:39:18.35 ID:wQTADkWlO
- ( ФωФ)「返答も聞かず戦闘体制とは穏やかでは無ですね。人形使いジョルジュ」
ロマネスクの目が金色に光る。
闇が集まり、闇より濃い影からキザったらしく薔薇を摘みだした、その時。
从 ゚∀从「おもしろそうだなぁ」
ハインが燭台を持って階段を降りてきた。
(;;ФωФ)「なっお嬢様!!!」
从 ゚∀从「お前さーこんな面白い特技隠してたのか?」
- 48: 87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ) :2008/08/30(土) 01:41:07.76 ID:wQTADkWlO
- (;;ФωФ)「いや隠してたとかそれ以前の問題です!!危険なので下がって下さい!!」
从 ゚∀从「あとそっちの男も面白い腕してんなぁ。でもちゃんと正面から訪問しろよ」
慌てるロマネスクを意に介さずハインは降りてきた。
ジョルジュに一瞥をくれて、滑らかに自分の執事に歩み寄る。
从 ゚∀从「その色の瞳の方が綺麗だ」
駆け寄って勢いそのまま、ハインはロマネスクの顎に手をかけて瞳を覗き込んだ。
(;;;ФωФ)「お嬢様!!!」
- 49: 87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ) :2008/08/30(土) 01:42:26.78 ID:wQTADkWlO
- ( ゚∀゚)「あー…出直すわ」
从 ゚∀从「ああ、そうしな。今度はちゃんと訪問してこい。私が自らもてなすぞ」
( ゚∀゚)「ほう。楽しみにしている」
興が削がれた形になったジョルジュは闇に溶け消えた。
それを平然と笑顔で見送るとハインはもう一度ロマネスクに向き直る。
从 ゚∀从「で、良くも今まで隠していてくれたな」
( ФωФ)「隠していたのですが、知られたとあってはもう私はお嬢様のそばには」
从 ゚∀从「黙れ執事風情が」
- 50: 87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ) :2008/08/30(土) 01:45:43.57 ID:wQTADkWlO
- 悠然と笑みを浮かべて女主人が宣言する。
見るものを虜にする笑みを浮かべて。
从 ゚∀从「お前は私の執事だろう?ロマネスク」
( ФωФ)「……はい。仰せの通りです」
黒髪金眼の青年が片膝をついて忠誠を誓う。
差し出された白い華奢な手の甲に触れるだけのキス。
从 ゚∀从「私だけの執事だろう?」
( ФωФ)「もちろんでございます」
ハインは満足したように笑った。
从 ゚∀从「二度と私に秘め事をするな。あと、瞳はその方が綺麗だから
そのままいろ。……合わせてシャツも新調するか」
( ФωФ)「仰せのままに」
从 ゚∀从「じゃあ、とりあえず私が今見たものについて納得のいく説明を貰おうか」
ロンドンの夜はまだ長い。
ロマネスクは自分の主を巻き込むことを後悔しながらも、彼女が自分を選び続ける喜びを感じていた。
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