('A`)と( ^ω^)は戦闘機乗りのようです

229: No.90 :2008/08/31(日) 19:27:49.49 ID:QOQeylTp0
 メインバルブ確認。
 タイヤ油圧確認。エンジンの吹きも確認。
 レーダー異常なし。周波数確認。その他もろもろ……異常なし。

 横の整備士に、ハンドサインで確認を取る。


 『準備は?』

      『待って下さい。ピン抜きします』


 彼はそういうと、この機体に取り付けられた短距離ミサイルに近づき、それに取り付けられていた安全装置を引っこ抜いた。
 そして、今度は前側に回り込むと、(多分)前輪にはめられていたストッパーを外し、俺の視界に入るところまで下がると、

      『OKです』



230: No.90 :2008/08/31(日) 19:29:03.64 ID:QOQeylTp0
 親指と人差し指で丸い形をとる形のハンドサイン。俺はそれを確認し、

 『点火する』

 右手の人差し指と中指のサインをあげ、整備員達に警告する。
 傍にいた整備員達は中腰で機体から駆け足で逃げていく。
 よし、大丈夫だろう。アフターバーナーを点火する。


 ガクンッ、とアフターバーナー点火の衝撃が後ろから身体を突き上げる。
 すぐに調節し、点火量を最小にする。
 両脇で、耳栓をした整備員達が敬礼をしながら見送ってくれる。
 俺も、それに応えるように敬礼をして格納庫から外へ出る。



     *     *     *



 格納庫から外に出ると、既に隊長機がタキシングを始めていた。
 

('A`)『遅いぞ内藤』



231: No.90 :2008/08/31(日) 19:30:30.62 ID:QOQeylTp0
 無線から聞こえる隊長の声。
 すぐに返事をする。


( ^ω^)『すいませんお。私用で少し遅れましたお』

('A`)『私用って……またツンちゃんとイチャイチャしてたんだろ……』

( ^ω^)『ふひひwwwwwwサーセンwwwwwww』

('A`)『これだからリア充は……マッタクコイツノドコガイイノカ』


 無線からなにやら隊長の呪詛の声が聞こえる。あの人も根が暗くなかったらなぁ……。


( ^ω^)『隊長、しっかりしてくださいお。さっさと飛びたいですお』

('A`)『ウツダs……はいはい、これだからリア充は……」

( ^ω^)『リア充は関係ないですお』



232: No.90 :2008/08/31(日) 19:32:02.02 ID:QOQeylTp0
('A`)『へいへい……。

    あー、Flight tower here me? Poison flight check in.

   (管制塔聞こえてるか?こちらポイズン隊、位置についた)』

( ^ω^)『ツー(2番機もついた)』


        『This is flight tower.(こちら管制塔)

      Poison flight, clear for take off.(ポイズン隊、離陸を許可する)

      Wind is calm.(風は無風)』

 隊長がまず、エンジンを全開にして滑走路を滑り出す。
 俺もそれに続くように、スロットルレバーを全開にする。
 
 200ノットあたりで、操縦桿を引く。
 ふわり、と、機体が浮きあがる。
 すぐに、操縦桿を手前へひきつけ、ほぼ垂直に近い角度で上昇する。
 高度3000フィートあたりで、機体を水平に戻す。



234: No.90 :2008/08/31(日) 19:33:11.12 ID:QOQeylTp0
 俺から約200フィート斜め左前の位置に、隊長機の姿がある。
 距離はまあまあ。前みたいにケツに近づきすぎて気流にきりもみされるのはご免だ。


('A`)『また前みたいに近づきすぎるなよ、内藤。

   機体はすぐ新しいのが作れる。が、パイロットは養育するの面倒だ。

   新人教育ほど面倒なことは無ぇよ』


 早速注意される。ったく、そんな事は分かりきっているのに。


( ^ω^)『ご心配なくですお。

     それに、アレは鬱田さんがレバーの引きすぎが原因でもあるんですお』

('A`)『お前がちゃんと見てればちゃんと機体を引けたはずだ。

   なのにレーダーを見ずにあんな上昇角で上昇しつづけるから……』



235: No.90 :2008/08/31(日) 19:34:06.94 ID:QOQeylTp0
( ^ω^)『自分のミスを人のせいにしないでくださいお。

     ていうかウェイポイントへの軌道がずれてますお。修正してくださいお』

('A`)『おまwwww早く言えよwwwwwwwww』

( ^ω^)『だめだこいつ……早く何とかしないと』

('A`)『きこえてっぞー』

( ^ω^)『サーセンwwwwwwwwww』


 ピーピー。電子音が鳴る。
 航空通信管制機、E-3Bからの通信だ。


     『Poison flyght, check your way point two.

      Next way point direction 270.

      (ポイズン隊、貴隊らはウェイポイント2を通過した。

      次のウェイポイントの方向は270だ)』



236: No.90 :2008/08/31(日) 19:36:23.39 ID:QOQeylTp0
('A`)『Poison one, willco.

   (ポイズン1、了解)』

( ^ω^)『ツー(2番機了解)』


 HUDの表示を、NAV(ナビゲーション)モードから短距離赤外線ミサイルモードへと切り替える。
 マスターアームをオンにし、SWEEPへと移行する。
 まあ、ただの移動がてらの哨戒だし、俺の経験では、一度だけ民間のセスナ機が誤って哨戒ルートに侵入したことがあるくらいだ。

 そして、俺の経験通り何事も無くウェイポイント3へと予定時間通りに到着した。

(以下英訳能力が限界点を超えたために英語なし)


     『ポイズン隊、貴隊らはウェイポイント3に到着した。

      これから予定通り、5分間の哨戒任務を命ずる』



238: No.90 :2008/08/31(日) 19:38:04.67 ID:QOQeylTp0
('A`)『ポイズン1、了解』

( ^ω^)『ツー』

 何も無い荒野、何処までも広がる青い空。ほんと、こんな仕事でもなけりゃニッコンの一眼レフでも持ってきてパシャパシャしてえなぁ。
 いや、どうせバレにくいし後ろに隠して持ってきてやろうか。うん、そうしよう。

 しかし、2番機は楽でいい。隊長のケツをおっかけるだけでいいんだから。
 ほんと、前の2機編成隊長資格試験で落ちてよかった。まあ、隊長にボコボコに叱られたが。
 まあ、隊長も同じようなもんだ。3機編成隊長資格試験落ちてんだし。ざまぁwwwwwwww

('A`)『内藤。お前、何か変なこと考えてんだろ。俺の悪口とか。なんか後ろから変な威圧感がするんだが』

(;^ω^)『そそそそそそそそんなことないですお!

     決して『3機編成隊長資格落ちてざまぁwwwwwwww』とか思ってないですお!本当ですお!』



244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 19:49:17.02 ID:QOQeylTp0
('A`)『……。お前ってあれじゃね?ツンちゃんのせいでM属性がさらに強くなってんじゃね?

   つか地味に隠れS化してんじゃね?SとM両立してきてんじゃね?』

( ^ω^)『いやぁ、それほどでも』

('A`)『とりあえず帰ったら体育館の裏に来い。こなかったらツンちゃんの下着盗もうとしてたことバラすぞ。特にツンちゃんに』

( ^ω^)『……』



(*^ω^)ポッ『おっおっおっ』




('A`)『くそうこの真性マゾめ』

 ツーツー、と無線が入る。5分を過ぎたようだ。

      『ポイズン隊、任務終了だ。

       帰路をサポートする。次のウェイポイントは180だ』



250: No.90 :2008/08/31(日) 20:09:21.77 ID:QOQeylTp0
('A`)『ポイズン1、了解』

( ^ω^)『ツー』

 レーダーを再びNAVモードにし、マスターアームをオフにする。
 さて、あとは帰って……ふひひ。
 と思ったら、またあの電子音。今度はなんだろうか。

      『ポイズン隊、待て。

       250から国籍不明の航空機が貴隊のいる空域に高速で接近中。

       速度約680ノット。距離およそ18,000m

       速度からおそらくこれは戦闘機ではない。戦闘機だ。

       任務変更。直ちに不明機を迎撃せよ』

 通信士の、緊張のこもった声に我に返る。
 隊長は即座に反転し、既に迎撃態勢へと移っていた。

('A`)『内藤遅いぞ!なにぼーっとしてんだ!』

( ^ω^)『すいません!すぐ追いつきますお』

 操縦桿を右に倒し、90度機体を傾けた後手前に引っ張る。旋回Gを受けつつも、すぐに隊長の後ろに追いつく。



252: No.90 :2008/08/31(日) 20:11:04.78 ID:QOQeylTp0
      『不明機は1機。約65秒で貴隊とヘッドオンする』

('A`)『了解。撃墜していいか?』

      『いや、念のため攻撃は禁ずる。ただし、交戦規約にかかった場合は攻撃を許可する』

('A`)『了解』

 何時に無く隊長の真剣な声。それが、この状況の深刻さを物語っている。
 つい、手に汗が滲む。皮手袋の中が蒸し返っている。

('A`)『不明機、レーダーで確認……?敵機より何か暗号電波が送られてきている。緊急通信網を介している。そちらは確認してるか?』

      『……いや、こちらは確認できていない。

       その電波をこちらに送ってくれるか?』

('A`)『了解。リアルタイムで送る』

 遠い空、その中に、黒い小さい点が一つ、ぽつんと現れる。
 まだ、機体の種類は確認できないが、たしかこの方向にはM国があるはずだ。



253: No.90 :2008/08/31(日) 20:13:24.46 ID:QOQeylTp0
( ^ω^)『ポイズン2、肉眼で不明機を確認。機種はまだ判別できず。

     もう少し近づいたら分かると思いますお』

 喋って、初めて自分の口がカラカラに渇いていることに気付く。
 俺は、そんなに緊張していたのだろうか。すぐに唾を溜めて口の中を湿らせる。

('A`)『通信、ここはどうするべきなのか教えてくれ』

      『……解読した。そいつは友軍だ。保護しろ』

('A`)『……?了解』

( ^ω^)『ツー』

 手に力が入る。
 オフにしていたマスターアームをオンにして、迎撃体制をとる。

('A`)『右百八十度旋回』

( ^ω^)『ツー』

 隊長の機体が左下へと急旋回する。俺もそれについていくように操縦桿を左手前にきる。
 緩やかな旋回だ。旋回Gはあまり感じない。



255: No.90 :2008/08/31(日) 20:15:15.36 ID:QOQeylTp0
 そして、不明機のコースを中心にほぼ平行に並ぶような形で編隊体制をとる。
 これで不明機が来たところを間で挟むことができる。

('A`)『秒10ずつ加速、増槽投棄。音速を超えるぞ』

( ^ω^)『ツー』

 スロットルレバーを少しずつ押し上げ、ふと後ろを振り返る。
 不明機は、すぐそこまでに迫っていた。尾翼の形、主翼の形からして、恐らく……Su-33?

( ^ω^)『えー機体を確認ですお。恐らくSu-33』

 瞬間、隊長と俺の間を轟音をあげながらそのSu-33が通り過ぎていく。
 尾翼に書かれた機体番号と所属空軍を確認する。

( ^ω^)『恐らく所属はM国空軍、機体番号は075ですお』

('A`)『アイツぁ……アント隊の2番じゃないか?

   前の合同演習で見覚えがある。不明機はM国空軍の第3航空師団のアント隊2番機だ』



256: No.90 :2008/08/31(日) 20:17:12.61 ID:QOQeylTp0
( ^ω^)『……』

('A`)『おい、内藤!お前が通信しろ。前の演習のときのチャンネルだ』

(;^ω^)『え?なんで俺なんですかお?』

('A`)『お前、話術がうまいんだよ俺なんかより。やれ』

(;^ω^)『りょ、了解ですお……』

 通信周波数を弄り、前の合同練習の際に使ったチャンネルにする。

( ^ω^)『こちらN国空軍、アント隊、応答せよ』

      『……アント隊?なんのことだ』

( ^ω^)『は?』



259: No.90 :2008/08/31(日) 20:19:05.30 ID:QOQeylTp0
      『あぁ、すまない。コイツは借り物……というより借りパクだから、こいつの持ち主のことはよく知らない。

       それより本部と繋いでくれ。今日の軍用周波数教えろ』

(#^ω^)『そ、そんなことできませんお!何処の誰かも分からないのに教えるわけないですお!』

      『……あー、そうか。そういえばそうだったな』

( ^ω^)『?』

 めんどくせーなー、と無線から面倒くさそうな独り言が聞こえる。

( ・∀・)『俺はN国空軍所属諜報部門担当のモララー大尉だ。早く俺を保護してくれ』

( ^ω^)『?』

('A`)『内藤、もういいぞ。あとは俺がやる』

 突然の隊長の声。俺は、どうも府に落ちない気分になりつつも、仕方なく隊長に譲ることにした。



263: No.90 :2008/08/31(日) 20:21:25.44 ID:QOQeylTp0
('A`)『モララー大尉殿でしたか』

( ・∀・)『誰かと思えば君か。君はまだ2機編成隊の資格しか持ってないのか』

('A`)『いえいえ、俺みたいなヤツはせいぜい2機編成の中尉止まりですよ。貴方と違って』

 珍しく、隊長が弱気の会話をしている。そんなにコイツは偉いのか?
 っつーか、空軍に諜報部なんてあったっけ。

( ・∀・)『ハハッ、まあとにかく、話は帰ってからだ。

     しかし君らには悪いね。僕の尻拭いをしてもらわないといけないらしい』

('A`)『?』

( ・∀・)『僕も精一杯工作をしたんだがね、どうやら詰めが甘かったようだ。

     ミグの格納庫の発破が不発だった。恐らくすぐに僕を追ってくるはずだ』

(;'A`)『なっ……!』

( ・∀・)『僕はできるだけ速く飛ぶためにその他装備は一切してないんだ。だからさっさと帰らせてもらう。

     それに、こいつも貴重な研究材料の一つだからね』



265: No.90 :2008/08/31(日) 20:23:10.28 ID:QOQeylTp0
('A`)『……』

( ・∀・)『まあ、ミラージュF1タイプならMig-21くらい軽く捻り潰せるだろ?

     がんばってくれよ、ポイズン隊』

      『ポイズン隊、早急に哨戒空域へ戻れ。

       さらに3機が接近中だ。迎撃しろ』

( ・∀・)『じゃ、僕はそういうことで』

 ゴウッ、と、Su-33のアフターバーナーが一気に火力を増し、見る見る間に俺たちを突き放していく。
 クソ野郎が、と軍用周波数で隊長が毒づいているのが聞こえる。

('A`)『本部、聞いてたか。相手は恐らくMiG-21が3機。

   とりあえず哨戒空域に戻ってそこで迎撃しようと思うが、どうしようか』

      『了解。くれぐれも油断しないように』

('A`)『了解。行くぞ内藤』



269: No.90 :2008/08/31(日) 20:25:10.43 ID:QOQeylTp0
( ^ω^)『了解』

 左180度旋回、平行編隊から1番機の右斜め下機間距離100mほどへ移動する。
 E-3Bの情報から、ちょうどあの空域でミグと会戦になるようだ。

('A`)『いつも通り、訓練でやった機動を忘れるなよ』

( ^ω^)『了解』

 初実戦だからだろうか。隊長の声に若干の緊張が含まれているように思える。
 無理も無い。40年前のN海争奪戦争がこの国が最後に参加した『実際に戦火を交わした』戦争だ。
 40年前には、まだ隊長は生まれていなかったはずだ。
 かくゆう俺も当然、初実戦なわけだが。

('∀`)『へへっ、やっとコイツにキルマークがつけられるぜ』

( ^ω^)『まあ隊長が落とされても俺が敵討ってあげるのでがんばってくださいお』

('A`)『ハッ、MiG-21ごときに簡単に落とされるかっつーの』

( ^ω^)『ですよねー。残念ですお』

('A`)『残念ってなんだよ残念って』



272: No.90 :2008/08/31(日) 20:27:18.05 ID:QOQeylTp0
 そんな中、E-2から通信が入る。

      『機種を確認。MiG-21が3機。

       敵は越境をしてこちら側へ攻め入っている。ポイズン隊、目視外攻撃を許可する』

('A`)『ポイズン1、了解』

( ^ω^)『ツー』

 アフターバーナーを全開にし、一気に敵部隊へと接近する。
 レーダーの枠ギリギリに、敵のマークが表示される。
 敵がミサイルの射程いっぱいに入ってきたところで、彼らは左へと旋回した。

('A`)『追うぞ2番』

 すぐさま操縦桿を左へと切り、その後を追う。
 アフターバーナーを切り、MiGを追い抜かさないよう速度を落とす。

('A`)『よし、ケツについた。FOX2!』

 隊長の機体の右翼から、1基のサイドワインダーが放たれる。
 それは白い尾を引きながら、音速の5倍以上の速さで飛行し、そしてMiGの尾翼へと吸い込まれるように命中する。
 コックピットが、爆発の衝撃で震えた。



275: No.90 :2008/08/31(日) 20:29:15.17 ID:QOQeylTp0
 MiGの尾翼がすべて吹き飛び、エンジンが黒い煙を上げならがら機体は機首を下にさげ、墜落していく。

( ^ω^)『隊長が敵機撃墜。攻撃を続行する』

 残りの2機のミグが、左右へブレイク。隊長は、比較的旋回の甘い、左へブレイクしたミグを追うために左へとブレイクする。当然、俺もそれに続く。

('A`)『よし、ケツを取った!FOX2!』

 今度は、左翼から1基のサイドワインダーが放たれる。
 それは瞬間的に速度を上げ、先ほどと同じようにMiGへと接近する。
 が、

('A`)『クソッ、外した!』

 それがミグへと命中しようとした瞬間、そのミグはチャフ・フレアを撒きながら右斜め上へと上昇し、サイドワインダーはミグの撒いたチャフ・フレアへと誘導されてしまった。
 俺は、すぐさま敵機を追うために同じく右へと操縦桿をきる。

('A`)『ミサイルが切れた!内藤!お前が撃て!』

( ^ω^)『り、了解』

 隊長はスピードを落とすと、俺のスレスレを通りながら後方へつく。1番が弾切れの際に代わりに2番が攻撃を行うときに使われる編隊飛行だ。
 敵機は、右に緩い旋回をしながらとんでいた。



278: No.90 :2008/08/31(日) 20:31:03.82 ID:QOQeylTp0
 機体間距離は9.0f、ギリギリ射程内。だが、当たる確率は低い。
 ここで無理に右にきれば、逆に左にかえされたときにロスができてしまう。
 だからといって、このままでは燃料切れで先にこちらが落ちてしまうかもしれない。
 ……よし、6fまで近づいてFOX2だ。

 スロットルレバーを徐々にあげ、敵機との距離を詰めていく。
 8f……7f……、

('A`)『内藤!後ろにつかれてるぞ!』

 瞬間、レーザー照射を示す警告アラームが一斉に鳴り響く。
 振り向くと、もう1機のミグが隊長の隣で堂々とこちらを狙っていた。
 敵は、囮を使って罠を仕掛けていたのだ。

(;^ω^)『F,FOX2!チャフ・フレア!』

 サイドワインダーを放ち、チャフ・フレアを放ちながら右下へとスプリット・Sをかける。
 ゴウッ、という音と共に、何かが機体の上を通り抜けていった。

(;^ω^)『…………』

 全身を寒気が襲う。
 急いであたりを見回し、敵の位置を確認しようとする。
 が、



279: No.90 :2008/08/31(日) 20:32:58.03 ID:QOQeylTp0
('A`)『敵機、空域を離脱中。内藤、終わったぞ』

( ^ω^)『…………』

 敵は、既に空域を離脱していた。


     *     *     *     *



282: No.90 :2008/08/31(日) 20:34:50.22 ID:QOQeylTp0
 あのあと、隊長は俺を狙っていた機体に体当たりを敢行していたらしい。
 それで、ロックオンが不完全だったミサイルが俺の上を掠めただけで済んだようだ。
 ちなみに、俺のミサイルも外れてしまったらしい。
 ともかく、隊長のおかげで俺は助かった……と隊長は豪語しているが、急なスクランブルでまともな量の燃料を補給してなかった相手とその原因であるモララー大尉殿のおかげだと俺はそう思っている。

( ^ω^)「うおーん・……」

 俺達が基地に帰ってみると、基地はとんでもなく忙しい状態に陥っていた。
 N国がM国に対し宣戦布告同時攻撃、そしてN国のプロパガンダ放送、M国の公式記者会見。
 政治家達は、まるで自分達が正義だといわんばかりに声を張り上げ国民を扇動し、戦争へと駆り立てようとしていた。

( ^ω^)「ひどい変わり様だお……」

 そういえば格納庫に機体をしまうとき、あのモララー大尉が鹵獲したSu-33が俺の格納庫に納まっていた。格納庫のあまりがないからあそこにおいているらしい。
 だからって俺の機体を外に放置って扱いは……もうちょっとマシにならないかなぁ。

 http://vipmain.sakura.ne.jp/light_novels/novels_img/090.jpg

おわり



284: No.90 :2008/08/31(日) 20:36:35.48 ID:QOQeylTp0
支援ありがとうございました。
そしてNo.90を描かれた絵師様に多謝。
そしてもしあれがAV-8ハリアー系であったのならすいません。僕にはミラージュF1に見えました。





戻る