。・:*゚水槽のようです゚*:・。
- 53: 97 。・:*゚水槽のようです゚*:・。 :2008/08/30(土) 01:50:47.79 ID:wQTADkWlO
- 長い髪。
紅い爪。
豊かなバスト。
白く長い脚。
白衣の女が煙草を吸いながら目の前の水槽を見つめていた。
( ФωФ)「フォックス、ここは禁煙だと言ったろう」
爪'ー`)y‐「別にいいじゃねえか。誤作動するような装置は無い」
女――フォックスは後ろのドアから入ってきたロマネスクにたしなめられても振り向きもせずに言い返す。
- 55: 97 。・:*゚水槽のようです゚*:・。 :2008/08/30(土) 01:53:27.17 ID:wQTADkWlO
- ( ФωФ)「よくは無い。我が輩の娘達が生まれる場所に
煙草の匂いは遠慮したいのだが。喫煙室は設けただろ?」
爪'ー`)y‐「分かったよ」
苦々しげに吐き捨てるとフォックスは懐から携帯灰皿を出して煙草を消した。
異様な光景だった。
2人の立ってる廊下の窓の向こうの部屋。
巨大な水槽があり、薄黄緑の水で充たされている。
泡が次々と浮き上がり、安っぽい映画のようだ。
周りにある様々な機器類もその感を助長する。
何をしているのか動き続ける機械。
- 56: 97 。・:*゚水槽のようです゚*:・。 :2008/08/30(土) 01:54:34.33 ID:wQTADkWlO
- 爪'ー`)y‐「お前さ………」
フォックスはロマネスクを振り返って言いかける。
( ФωФ)「なんだ?」
爪'ー`)y‐「いや、なんでもない」
フォックスは言葉を飲み込んで俯いた。
- 57: 97 。・:*゚水槽のようです゚*:・。 :2008/08/30(土) 01:55:49.36 ID:wQTADkWlO
ひと月が過ぎ、ふた月が過ぎ、そして一年が過ぎた。
巨大な水槽は水を湛え、たくさんの機器類は動き続ける。
フォックスが飲み込んでしまった言葉も数え切れないほどになった。
一年前と違うのは、水槽の中。
( ФωФ)「本当に我が娘達は美しい」
青い髪と緑の髪の少女が浮かんでいた。
- 59: 97 。・:*゚水槽のようです゚*:・。 :2008/08/30(土) 01:58:50.07 ID:wQTADkWlO
- ( ФωФ)「シューとクーは何よりも美しい。そう思わないかね、フォックス」
爪'ー`)y‐「……ああ」
フォックスは目を壁に向けて力無く答えた。
ロマネスクが禁忌を犯し、死んだ娘の細胞から再生した成長促進型クローン。
爪'ー`)y‐「美しい……と思うよ」
ロマネスクが狂ったなら私も狂ったのだろう。
この研究を諦めきれずに禁忌を犯したその時に。
フォックスはそう思って、水槽にたゆたう髪を見つめていた。
何よりも美しい、禁忌の上に成り立つ少女達を見つめていた。
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