再び( ^ω^)として生きるようです
- 902: ラノベ祭り 投下中 :2008/08/30(土) 18:35:48.70 ID:77Trq9QK0
- 「起きなさい、もう起きる時間ですよ」
どこからか声が聞こえてくる。
不思議と心が安らぐ優しい女性の声が。
( ・o・)「誰ですか?」
「私は女神、あなたたちを導く者です」
( ・o・)「そうだった、僕は死んだんだった」
男は状況を理解すると重たい体を起こし、辺りを見渡した。
やがて瞼が閉じていうことに気が付くと、重たく閉じた瞼を無理やりこじ開けた。
すると目の前には辺り一面真っ白な世界が広がっていた。
( ・o・)「ここはどこですか? 僕は死にました」
「ふふふ、あなたは転生一度目ですからね。分からなくても当然です。
いいですか? あなたたち人間が死んだら天国や地獄に逝くというのは間違えなのです。
死ぬと転生の間に魂が運ばれ、新たな器を決め、転生する」
( ・o・)「転生とは何ですか?」
「私たち神というのは学ぶべきことを学び終えた人間なのです。
人生を何度も繰り返し学ぶことを学ぶ、これが人生のもう一つの目的。
器を決め、転生をし、死ぬとまた器を決める。分かりますか?」
- 903: ラノベ祭り 投下中 :2008/08/30(土) 18:38:00.61 ID:77Trq9QK0
- ( ・o・)「転生とは何ですか?」
「私たち神というのは学ぶべきことを学び終えた人間なのです。
人生を何度も繰り返し学ぶことを学ぶ、これが人生のもう一つの目的。
器を決め、転生をし、死ぬとまた器を決める。分かりますか?」
( ・o・)「は、はい、一ついいですか? 死に方に意味はあるのでしょうか」
「寿命をまっとう出来る人間は非常に限られています。ある者は病に倒れ、またある者は事故により死ぬ。
当人、家族は到底受け入れられることではないでしょうが決められた運命なのです。ただ……」
( ・o・)「ただ?」
「自殺だけは違います。学ぶことを放棄し、自ら命を絶つことは禁忌の一つ。
その魂はもう二度と転生することはなく、消滅してしまうのです。
まぁ、説明はこれくらいにして器を探しましょう」
( ・o・)「はい」
男は女神の後を追う。
真っ白な世界かと思われていたが金色のキャンドルは周囲を照らし、
数え切れない木製の扉が開ける者を今かと待っている。
その扉の中一つを開けると部屋へと入っていった。
部屋の中には器と呼ばれる男が立っていた。
- 904: ラノベ祭り 投下中 :2008/08/30(土) 18:43:32.00 ID:77Trq9QK0
- ( ・o・)「あ、あれが器」
( ・∀・)
「あの器は恵まれた幸せな人生を送る運命にありますね。
両親は大富豪で、顔はハンサム、異性に困ることはないでしょう」
(;・o・)「あ、あの器にします」
「残念ですが、既に他の魂がいますね。競争率が高い器はすぐに決めないと駄目なんですよ。
だから言いましたよね? 早く起きなさいと」
(;・o・)「うぅぅ、それじゃあ」
男が辺りを見渡すと一体の器に目が留まった。
外見はあまり良いとは言えない器に不思議と興味が沸いたのだった。
( ・o・)「あの男は?」
('A`)
「あの器はあまり恵まれない人生を送る運命にありますね。
学校で虐められることで人の痛みを知り、孤独を知り、社会から背を向ける。
やがては引き篭もり家族からも孤立する」
( ・o・)「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。現時点で人生というのは決まっているってことですか?
だとしたら、誰も彼に転生しようなんて思いませんよ」
- 905: ラノベ祭り 投下中 :2008/08/30(土) 18:50:37.04 ID:77Trq9QK0
- 「確かに変えられない部分はあります。けれども、努力することで良い方向に持っていくことは出来るのです。
それに私は言いましたよね、学ぶべきことを学ぶと。一度は誰もが彼のような人間に転生しないといけないのです。
拒み続ければ神にはなれないのですよ」
( ・o・)「そうなんですか……」
女神と男の前を一つの魂が通り過ぎていった。
魂は器の体内へと入っていった。
('A`)「さぁて、いっちょ頑張るか」
( ・o・)「あ、誰かが入っていった!」
「どうやらあの器を選んだようですね。きっと、あの魂は神へとなれることでしょう。
さて、あなたはどうするのですか? もう、選べるだけ残ってはいないようですけれど」
( ・o・)rア「僕はあれにします」
男が指さしたのは小太りな白い肌の器。
ごくごく普通の人間のようだ。
( ^ω^)
「良いのですか? 彼はあなたの前世ですよ? 違う人生を送らないと学べることは少ないですよ」
- 906: ラノベ祭り 投下中 :2008/08/30(土) 18:52:59.64 ID:77Trq9QK0
- ( ・o・)「良いんです。僕、思えばスポーツ選手や芸能人を妬んでばかりでした。
努力もしなくていいよな天才はって悲観ばかりしていた。
でも、違う。天才と呼ばれる人たちは影で見えないところで努力をしていたんだ。
それなのに僕は努力することを怠っていた。今度は努力をしてみます。
まだ学べることはあるはずです!」
「ふふふ、あなたはちゃんと理解したようですね。器はあくまでも器、決められた運命もあくまで最低限決められたこと。
大切なのは努力することだってことを。わかりました、あなたの器として認めましょう」
女神が男を指さし、何か呪文のような言葉を呟くと
男の魂は器の体内へと入っていった。
生気を帯び、動き始める器。
( ^ω^)「ふぃ〜、頑張るお!」
男はたくさんの装飾が施された門の前に立つと、深呼吸をした。
門を通過した途端、男は光に包まれ消えていくのだった。
かくして彼の第二の人生が始まる。
運命に悲観しているだけでは何も変わらない。
努力してみることで何か変わることもあるかもしれない。
あなたはどうだろうか?
より良い人生を送るために頑張ってみてはいかがだろうか。
再び( ^ω^)として生きるようです 完
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