(`・ω・´)と自販機事件のようです

133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/20(土) 21:59:47.78 ID:1aNl003Q0
G県立M高校!
県内では最高ランクの偏差値を誇る一流校である!

その学舎で日々学業に専念する未来の東大京大生!
そんな彼らの一部を、ある事件が絶望のどん底に叩き入れた!!

Θ月ΙΦ日

間近に迫った他校との定期戦の練習のため、
生徒達の体力は大きく消耗し、そのため午後の授業は、
もはや『お昼寝タイム』と化してしまっていた!!

(;`・ω・´)「やべーよマジやべーよ」

一年生のシャキン(仮)、クラスメイツのほとんどに
『やたらタージマハルが似合いそうな顔だ』と評されるこの男も、
連日のバスケットボールの練習に追われ、疲労がピークに達していた!!

しかし彼に午後の授業を寝て過ごすことは許されなかった!!

何故ならば、この日の午後の授業が世界史であったためだ!!
世界史のS先生は生徒が寝ているとやたら評価を下げることで有名だったからである!!



134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/20(土) 22:01:42.83 ID:1aNl003Q0
(;`・ω・´)「俺この前の世界史のテストすごい良かったじゃん……。
       少しくらい寝かせてくれよ……」

彼がこう漏らすのもまったくもって当然である!!
彼は国語数学英語芸術、ほとんどの教科が”成績を下から数えた方が早い”にもかかわらず、
なぜか世界史と理科だけはまぐれかイカサマか天変地異の前触れか、
300人近以上もいる一年生の中でなんと”2桁”の成績を収めていたからである!!

彼は悩んだ!
このままでは世界史の授業は確実に夢の中タイムと化してしまう!
せっかくの良い評価を、無駄にしてはいけない!!

悩んだ! 悩んだ!! 昼休みの間中、
原発の中に一般人が取り残されていることを知った正義のヒーローのドクオの如く悩んだ!!

そして昼休み終了直前!!
彼は朝の東空の彼方へ延びるような一筋の光明を得たのである!!

(`・ω・´)「カフェインだ。覚醒作用のあるカフェインを摂るのだ」



136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/20(土) 22:03:10.87 ID:1aNl003Q0
なんという安直な発想!
なんという姑息な手段!

しかし哀しいかな、彼は『コーヒーを飲むと目が覚めるらしい』という、
幼き頃母親に吹き込まれた知識が頭の中に蘇った瞬間、
その考えに脳みその全てを支配されてしまったのである!!

彼にはもはや授業中にカフェインが切れたらどうなるとか、
今からカフェインを摂取するとして授業に間に合うのかなどといった、
地味に見えて結構重要な事には頭が回らなくなってしまっていたのである!!

(`・ω・´)「よっしゃ、ダッシュで行ってくるぜ」

彼は小銭を手に、教室から玄関にある自販機まで風の如く駈けた!!
バスケットボールの練習で疲れたとはまるで思えないスピードだった!!

一瞬、ほんの数秒の間に、彼の目に映る景色は
友人達の談笑する、机の規則正しく並んだ教室ではなく、
ブリックパックの見本と赤く光ることでコインを投入したことを示している
横長のボタンのある自販機の前に変わった!!



138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/20(土) 22:03:50.27 ID:1aNl003Q0
(`・ω・´)「さーて、ど〜れ〜に〜し〜よ〜う〜か〜なっ! これだっ!!」

彼は今でも後悔している!!
なぜ、カフェインを多量に含む飲料、即ちコーヒーを購入するとき、
”どれにしようかな”などというアホらしい手を使ったのか!
なぜ、「なっ!!」の部分でキリマンジャロ山のイラストのある、
青いパックの見本を指さしてしまったのか!
なぜ、そもそも同じカフェインを多量に含むコーラではなく、
コーヒーをカフェインの摂取源にしようと思ったのか!!!

偏に『時間がない』という事が最大にして最悪の原因だったのだ!!
もう少し早く『カフェインは覚醒作用がある』という事を思い出していれば、
”どれにしようかな”などという手段を使わずに購入する製品を熟考できたのだ!!
また、炭酸のあるコーラをゆっくり飲むことも可能だっただろう!!

しかし、彼にはそれだけのことをする時間がほとんど無かったのである!!
無情にも彼の指は青いキリマンジャロのパックの下のボタンに延び、

『ピッ』

それを押してしまった!!



139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/20(土) 22:04:27.11 ID:1aNl003Q0
ゴトン、という感じの音が彼の耳に入る!!
彼はボタンを押したその手を自販機本体下の製品取り出し口に向け、

戦慄したっ!!

(;`・ω・´)「なっ……!?」

半透明の取り出し口の蓋の向こうにあるブリックパックは、青かったのである!
確かに彼の選んだキリマンジャロのパックも青い色をしていた!
しかし、何かがおかしい、彼の本能はそう告げる!
微妙に、青い色が薄かったのである!!

(;`・ω・´)「何なのだ……この感じは一体……!?」

彼は自分の上履きの、自校の校章のプリントされているべきところに
あろうことか定期戦での敵対校の校章がプリントされていたことが発覚したときくらい焦った!!
どす黒く、そして確かな””違和感””が取り出し口の中にあるのだ!!



140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/20(土) 22:05:09.23 ID:1aNl003Q0

そして、その””違和感””は彼が微妙に青いパックを手に取り、それを視界に入れたとき!!







””恐怖””に変貌した!!







143: 岐阜カワイソスwww :2008/09/20(土) 22:06:08.99 ID:1aNl003Q0
(;`・ω・´)「あが……が……!?」

(;`・ω・´)「な、な、な、なななな、」

(;`゚ω゚´)「なんじゃこりゃあああああああああああ!!!??????」

彼の手にした『微妙に青いパック』は!!

いや、『微妙に青い』ではなく、『空色の』という表現の方が適切であろう!!

それには『キリマンジャロ山』のイラストは無く、代わりにあったのが……





『piknik ヨーグルトテイスト』





の、『文字』であった!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/20(土) 22:07:03.97 ID:1aNl003Q0
(;`・ω・´)「え……マジ、ちょっとこれマジなの!?」

(;`・ω・´)「俺、ちゃんとコーヒーのところ押したよ? ねえ!」

(;`゚ω゚´)「何で飲むヨーグルトが出てくるんじゃこんの変態自販機があああああああああ!!」

彼は『絶望』した!
幼き頃よりその脳天気さ、明るさで落ち込むことを知らず、常に友や親を元気づけてきた彼が!!

恐ろしいほどの『絶望』に、為す術無くうちひしがれているのだ!!

(;`・ω・´)「やばいやばいやばいやばいマジヤバイ」

彼は激しく狼狽した!
午後の授業はあと1分を経ずに開始のチャイムが鳴る!

どうするか、どうするか、どうするかッ!!

奇跡はすぐに舞い降りた!
彼はたった一つの単純な答えを手に入れた!!



147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/20(土) 22:07:52.95 ID:1aNl003Q0
彼は、パック背面のギザギザの付いたビニールを破く!
そして、ストローを引き抜き、それをすぐに手応えのあるところまで伸ばして、
透明な竹槍のように尖った方を、円形の銀色に突き刺し、

吸った!

サイフォンの原理だとか、掃除機だとか、そんなチャチなものが地平線の彼方へ飛んでいってしまうくらいに、

吸った吸った吸った吸った吸った吸った吸った吸った、



吸ッたァーーーーーッ!!



『水色』のパックは目にも留まらない速度で世界は明日へと向かう、じゃなかった
ものすごい勢いで凹み、形を変えてゆく!

(;`゚ω゚´)「ぷはぁっ!!」

彼の口がストローを離れ、空気を素早く取り込んだとき、
パックは既に空っぽになっていた!!

そして彼はきちんと、しかし高速でパックを折りたたみ、ブリックパック専用のゴミ箱へ
中学生の時培ったバスケットボールの技術を総動員してそれを投げ入れた!!
入ったか入らなかったかなんてものは、この時の彼には問題ではない!
畳まれたパックが未だ宙を舞っている間に、彼は猛ダッシュを始めていた!!



148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/20(土) 22:08:50.02 ID:1aNl003Q0
(;`゚ω゚´)「よっしゃセェフ!!」

着席と同時!
自販機の前から往路にも勝る猛スピードで教室へと駈け、
クラスメイツが午後の世界史の授業の準備をしている机の間をするすると通り抜け、
自分の机に着いた、正にその瞬間っ!!

(’e’)「はいじゃ授業始めま〜す教科書ノート資料集を机の上上げてくださ〜い」

世界史のS先生が教室に入ってきたのだ!!

从;'ー'从「よく間に合ったねぇ〜」

(;`゚ω゚´)「お、おうよ……」

前の席のA君の驚く顔に迎えられた彼は、ほっと安堵の息をつき、

コーヒー、もといカフェインを摂取できなかったことを思い出し、泣いた。
泣いた、は言い過ぎであろうが、この時の彼が本当に涙を出しそうだったことは事実である……。

結局彼は、先生が黒板にシェイエスやルイ16世の事を書き連ねている時に、
ノートをとっているように見せかけて実は寝ているという、
あまりにも初歩的な方法で先生をなんとかやり過ごしたのである……。



149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/20(土) 22:09:57.37 ID:1aNl003Q0
後日。
あの日の傷が癒えぬ彼は、ふと普段見ぬ教室のうしろの黒板を見た。

(;`・ω・´)「なっ……」

異様な光景であった。
殆どの教師がテストに出る事項や強調したい事項を示すのに用いる『黄色チョーク』。

それで黒板の右半分に、でかでかと

『ヨーグルトテイスト被害者』と書かれており、
その下に幾人かのクラスメイツの名前が記されていたのである!!

( ´ー`)「ああ、これ知ってる? 玄関ところのブリックパックの自販機さ〜」

(;`・ω・´)「ああ知ってる、まさかここまで被害が大きくなっていたとは……」

彼は慄然とした!
同じような恐怖を味わった者が自分の他にもたくさんあったのだ!!
コーヒーを購入しようとして飲むヨーグルトが出てきたという者や、
反対に飲むヨーグルトを購入しようとしてコーヒーが出てきたという者もあった!!

結局この『被害者』欄の名前は自販機の『ヨーグルトテイスト』が
『深煎りエメラルドマウンテン』に変わるまで増え続けた……。

そして被害が収束したとき、『被害者』欄の下の部分に
黄色のチョークでこう書かれていた……。



150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/20(土) 22:10:51.61 ID:1aNl003Q0

結論:ヨーグルトテイストうまい










2008年9月現在、未だこの書き込みは消えず、
M高校のある一年生の教室の黒板に書かれていると聞く……
まるである意思が、この彼に始まった一連の事件を忘れるなと囁いているように……



153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/20(土) 22:14:19.42 ID:1aNl003Q0
これで終了です
諸般の事情によりこれが僕の実体験なのか知人から見聞きした話なのかは伏せさせて頂きたい
なんでG県M高ってだけで高校名がぱっと出てくんだよwwww
まあ親戚や友人にこの話の舞台となった高校に行った者が”いる”というのは事実です
そしてこの話が全くのノンフィクションであると言うことも……

じゃ、支援乙でした



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