ξ゚听)ξと('A`)のようです
- 927: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:20:46.31 ID:kbAZXkh30
- 文が読みにくいのはちょっと許して。
ちょっと長めなっちゃったけど行きます
―――――
中学1年後半から2年にかけて、僕はライトいじめに遭った時期があった。
ライト中のライトだったが、その影響なのか地なのかわからないが、
僕は女子とはほとんど口をきいた事がなかった。
話しかけられても敬語でしか話せないような、よく居る根暗小僧だった。
('A`)←ちょうどこんなだったが、ピザ体系だった。どうでも良いけど。
だが、中学生活最後の年、初めて本当に好きな女の子ができた。
新学期は始まりしばらく経ち、自分につっかかって来た人たちもクラスには居ない。
友達と呼べる人も何人かできて、このまま何もなく(本当に何もなく)1年が過ぎればいいと思っていた。
だが4月も終わろうとしていたある日の、数学の時間、初めて彼女と話した。
- 929: ξ゚听)ξと('A`)のようです [読み返したら大して面白くないかも] :2008/09/22(月) 22:23:24.29 ID:kbAZXkh30
- (,,゚Д゚)「・・・と、いうわけだ。今から練習問題配るから一通りやれよー」
('A`)「(楽勝ーっすフヒヒ)」
僕のクラスを受け持っている数学の先生は二人居て、
クラスの人数を半々にして別々の教室で授業を行うという
いわば少人数授業みたいなことをやっていた。
だから出席番号順にコの字型に席に着かせ授業をやっていた。
教師はコの字の中に入れば皆を見渡せるし教えやすいので画期的なシステムだった。
そして、彼女は僕の隣の席に座っていた。
- 930: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:24:52.83 ID:kbAZXkh30
- ('A`)「(これは引っ掛け問題ですね、わかります)」スラスラ
ξ゚听)ξ「・・・・ちょっと」
('A`)「(まるで数字を操るが如くwwwwさすがは俺の頭脳wwww)」スラスラスラ
ξ゚听)ξ「ねえ、ちょっと。」ツンツン
(;'A`)
('A`;)
(;'A`)「え・・・俺、ですか・・・?(うわっえwhふy俺何かしたか?!焦るな焦るなあsらwrぴおl)」
ξ゚听)ξ「ここの問題教えてくれない?」
(;'A`)「はひ・・・?」
- 932: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:27:34.02 ID:kbAZXkh30
- 隣の席の女の子が、しかもほぼ初対面なのに、
「どこのクラスから来たの?」とかの通過儀礼をすっ飛ばして、
『 俺 に 問 題 を 教 え て ほ し い だ と !?』
女子から話しかけられたことなどほとんどない僕にとってはドッキリビデオだとすら思えた。
疑問を3Ghzデュアルコアの脳で考えようとしたが、そんな暇はなく
ξ゚听)ξ「ここよ、問7の2」
(;'A`)「あ・・・・えぇっと、ここのXの値を・・・こうやって代入しゅ、すれば・・・」
ξ゚听)ξ「あぁ、なるほどねぇ」
(;'A`)「・・・んで、答えがでますゅ(ああああぁぁ噛みまくりじゃあああ!!!キモイとか思われたらどぉしよおおおあwくぇr)」
- 935: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:29:57.54 ID:kbAZXkh30
- ξ゚ー゚)ξ「頭いいんだね、ドクオ君。ありがとう。」
('A`)「 ? 」
雰囲気からして根暗で低身長なピザにありがとう、だってよ
しかももったいないくらいの笑顔で
信じられんよなぁ、俺?
('A`)「 」
('∀`)
- 936: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:30:47.39 ID:kbAZXkh30
- よく考えたら・・・
その日だけの偶然だよな。
今日は別に何があるわけでもないだろう。
お互いほぼ初対面なんだから。
ξ゚听)ξ「ねぇ、ちょっとここんとこ教えてよ」
('A`)「あ・・・」
('∀`)「・・・うん。」
その日から、数学の時間にはかなりの確率で話しかけてきてくれた。
もちろん問題の教え合いに関するものだけだったが、僕はすごく嬉しかった。
いつの間にか数学の時間が1日に8時間くらい欲しくなっていた。
だが、毎回数学の時間が終わると決まってある考えが脳を巡る。
('A`)「(そうだよな、数学教えて欲しいから話しかけてるんだもんな。
友達だからとかじゃないんだったよな・・・)」
そして5月も何事もなく終わり、6月を迎えた。
- 937: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:32:24.72 ID:kbAZXkh30
- 僕の学校では毎月1日、ホームルームでクジ引きをして席替えをすることになっていた。
その日も例外ではなく、雨にもかかわらずはしゃぎながら席替えイベントを楽しんでいた。
('A`)「最前列は嫌だなー・・・。内藤はどこだった?」
( ω )「最前列の真ん中・・・。英語が地獄だお・・・。」
(;'A`)「そりゃあ語愁傷様」
('A`)「えーっと・・・俺は1列目の前から4番目か」
彡
|( 'A`) ヨッコラセックス
|( v)v
 ̄l77
席替えが一段落して、回りの面子を確認する。
後ろのめがね君は・・・たしかショボンって人だっけ。
前のロングヘアーの女の子は・・・名前わかんないや。
隣のサラサラでちょっと栗色がかった髪の毛の数学が苦手な・・・・・・ん?
- 939: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:33:50.38 ID:kbAZXkh30
- ( ゚A゚)
ξ゚听)ξ「あ、隣ね。よろしく。」
( ゚A゚)「よ、よろし・・・く」
僕の脳内では2つの思考が行ったり来たりしていた。
1つは単純に嬉しい。それ以外の表現方法が見つからないくらいに。
もう1つは情けなかった。友達でも何でもないってわかってるのに過度に舞い上がってる自分が。
たとえ彼女が数学以外で話しかけるとしたら、斜め後ろの秀才のショボン君か、
前の席に座っているクラスの人気者のクーさんだろう。
よく考えてみたら俺に話しかけてくる意味は無いに等しかった。
そう、無いに等しいはずだった。
- 940: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/22(月) 22:36:44.42 ID:NOtE6H3YP
ξ゚听)ξ「ねぇ、この教科書の絵、新巻先生に似てるって思わない?」
ξ゚听)ξ「部活どこに入ってるの?私はバスケ部なんだけど」
ξ゚听)ξ「前のクラスではなんて呼ばれてたの?」
ξ゚ー゚)ξ「ドックン、カキフライあげるからさ、プリンちょーだい?」
もしかして僕のことをからかってるんじゃないかと思うくらい僕に話しかけてきてくれた。
それも韓国ドラマが好きで観てる、とか親がタバコを吸うから臭くてたまらないとか、他愛もない話を。
しかもあだ名で呼んでくれた。
客観的に見れば普通のことなんだと思う。だが僕にとっては初めてだったし特別だった。
- 941: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:37:52.87 ID:NOtE6H3YP
- 出席番号が近いのもあったが、1年間で4回ほど隣になったし、
理科室での実験グループや技術の授業の班も僕と彼女は同じだった。
たぶんクラスの男子で一番彼女と会話をしたのは僕だと思うし、
母親除いて生涯でもっともたくさんのことを話した女の人だった。
いつの間にか敬語じゃなくて普通に会話していた。
いつの間にか彼女と話したりするためだけに学校に行っていた。
いつの間にか彼女が大好きになっていた。
- 945: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:41:59.22 ID:NOtE6H3YP
もう中学校生活も残り少なくなってきたある日の朝礼、校長の長い話を聞いてるときに、
不意に隣に座っていた彼女が小声で話しかけてきた。
ξ*゚ー゚)ξ「ねぇねぇ、」
('A`)「なに?」
ξ*゚ー゚)ξ「好きな人の近くに居ると心臓の音が聞こえちゃいそうなくらい大きくならない?」
('A`)「え・・・」
その時のたった一瞬、俺の脳は人生でもっとも都合よく働いたことを今となっては呪いたい。
- 948: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:44:49.51 ID:NOtE6H3YP
ξ*゚ー゚)ξ「あそこに居る2年生の子、卓球部なんだけどね、かっこいいと思わない?」
('A`)「・・・。あぁ、かっこいいね、確かに。」
ξ*゚ー゚)ξ「あーなんだか本当に心臓の音聞こえちゃいそう////」
('A`)「それはないってwww ・・・・。」
('A`)「(そう、だよな・・・)」
不思議とショックじゃなかった。
自分の視力がいかに落ちていたかに気づいた。
納得できたから悲しくはなかった。
もし二人が恋人同士になることがあったらおめでとうって言わなきゃな、とか思う余裕すらあった。
でも真の苦悩はこの後に起こる。
- 951: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:47:17.32 ID:NOtE6H3YP
このまま残りの学校生活が過ぎ、彼女との関係もこのままただの友達で終わるのだろうと思った。
だが、あの日。
もしあの日に戻れたなら、
あの日の自分を殴りたいとさえ思う。
その年、県の合唱コンクールに3年生の何クラスかは出場することになっていた。
僕のクラスもその何クラスかのひとつだった。
いつのまにかに歌も決まり、合唱コンクールに向けてのクラスリーダーも何人か決まった。
彼女もそのうちの一人だった。
僕は練習のときいつもしっかりと歌わなかった。
友達と一緒だとなんとなく適当になってしまうものだった。
いい加減本番の日が迫ってきても僕は小っ恥ずかしいのと中二病とできっちり歌わなかった。
中学生としてはよくあることだった。
- 952: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:50:10.94 ID:NOtE6H3YP
その日の終礼中、彼女はなんとなく不機嫌そうだったからいつもの雑談のつもりで話しかけた。
('A`)「・・・えっとさ、音楽コンクール委員毎日大変そうだね」
ξ゚听)ξ「・・・」
ξ;凵G)ξ「・・・グス」
(;'A`)「あ・・・」
その時の俺は世界でもっとも愚かだった。
毎日友達と適当に歌っていた俺は、
いつの間にかクラス全体もそんなに真剣に取り組んでないだろうと思い込んでいた。
彼女に毎回迷惑をかけ、大変にしているのは俺だった。
今気づいたなんて。
今まで気が付かなかったなんて。
俺がしっかり歌わないにもかかわらず
毎日他愛もない話をして笑いあってくれていたのに。
俺が彼女を泣かせてしまった。
本当に地球で一番バカな生き物だと実感した。
- 955: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:54:46.62 ID:NOtE6H3YP
- (;'A`)「えっ・・・と、その・・・あの・・・」
何とか謝罪の言葉を述べようとしたが、
逆隣の女の子が「よしよし、もう少しだからがんばろう」
みたいなことを言って慰めたので、ついに終礼が終わっても、
彼女が帰ってしまうまで「ごめん」の一言がいえなかった。
( 'A`)「 」
- 956: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 22:56:44.87 ID:NOtE6H3YP
- 次の日彼女は何事もなかったかのように僕に話しかけてきてくれた。
少し安心したが、僕は謝らないといけなかった。
今日、ちゃんと昨日のことを謝ろう。心に決めた。
その日一日は終わった。謝罪の言葉を述べることなく。
本当に忘れているんじゃないかと思うくらいいつもとかわらなかった。
次の日も、次の週も、次の月も、「あの時はごめんね」の一言が出なかった。
そして結局、卒業式が終わっても、彼女にそれを言うことはなかった。
- 957: ξ゚听)ξと('A`)のようです :2008/09/22(月) 23:00:51.68 ID:NOtE6H3YP
ξ゚ー゚)ξ
彼女は最後の日も最初に笑いかけてくれたのと同じように笑っていた。
本当は彼女もとっくに忘れているのかもしれない。
そう自分に言い聞かせ今まで約10年生きてきた。
だがもう一方で10年間ずっと思ってきた。
もう一度会ったら、今度こそ彼女にあのときのことをきちんと謝ろう。
もう後悔しないためにも・・・。
財布に入っている2008年9月23日午後2時発、静岡行きの新幹線のチケットを眺めつつ、
明日また見ることができるあろう10年前と変わらぬ笑顔に期待しつつ、
ずっと言いたかったことを何回も脳内シュミレーションしつつ、
この話を終わることにする。
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