( ^ω^)がアウターブーンの世界に入り込んだようです
- 4:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/29(月) 22:58:36.61 ID:0IuLjyk60
第八話
「人魚の呪い」
大海原にポツンと浮かぶ白い船。
ある日、網に魚以外の大物が引っかかった。
最初は皆、水死体でも上がったのかと思った。
(VпV)「おい……なんだコレ……!!」
('、`)「に、人魚だ……!!」
網に絡まってる裸体の女。
黒くて長い髪にふくよかな胸。
しかし下半身は確かに魚のソレだった。
从゚-゚)「うう……助けて……」
ところどころ鱗が剥がれてる。
網から逃れようと暴れたのだろうか?
('、`)「け、怪我してるの……? 大丈夫……?」
从゚-゚)「いや…!!触らないで!!」
('、`)「だ、大丈夫だよ。ホラ、怖がらないで……」
从゚-゚)「……」
- 5:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/29(月) 23:03:30.28 ID:0IuLjyk60
とりあえず逃げ出さないように縄で縛り、閉じ込めておくコトになった。
(VпV)「本当に人魚なんていたんだな」
船員1「すげえ……!!あれ大金掴むチャンスじゃね!?」
船員2「ど、どうしたらいいかな。見世物にする? 僕らゆ、有名人だよ」
船員3「ははっ!!もうこんな仕事とはおさらばだ!!」
('、`)「……」
船員1「そういえばさ、人魚の肉って不老不死になれるってお話なかったっけか?」
(VпV)「なに?」
船員3「食べちまったらもったいねえだろ」
船員1「じゃ、血だけでもいいじゃん!!うはwww天才ktkrwwwww」
(VпV)「不老不死……」
皆興奮気味にあの人魚の利用法を話し合っていた。
次第に酒も進み、二人が潰れてしまった。
陸まではまだ遠い。
- 6:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/29(月) 23:08:06.08 ID:0IuLjyk60
从゚-゚)「……?」
船員3「フヒヒ……に、人魚萌え!!」
从゚-゚)「い、いや……」
船員3「ねぇ、穴はどこにあるの? おじさんに見せてよ……フヒヒ!!」
从゚-゚)「いやぁーっ!!やめてーっ!!」
突然、鈍い音とともに男が動きを止めた。
そのまま糸が切れた人形のように崩れ落ちる。
- 8:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/29(月) 23:14:41.03 ID:0IuLjyk60
トイレから戻ったら、潰れた二人がテーブルに突っ伏していた。
('、`)「ちょ、なにこの匂い……!?」
二人とも返事がない。ただの屍のようだ。
気づかなかった。首をぱっくり掻っ切られている。
足元には滴る二人の血。
('、`)「ひぃっ、し、死んでる……!?」
('、`)「だ、誰が……」
悲鳴が聞こえた。
耳を劈くような女の悲鳴。
……あの人魚だ!!
- 9:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/29(月) 23:17:34.06 ID:0IuLjyk60
(VпV)「ヒヒ……皆殺してやる……!!永遠の命は俺のモンだ……!!」
('、`)「せ、船長……!!」
悲鳴の場所に駆けつけると、返り血を浴びた船長が人魚の前に立っていた。
手には血まみれの包丁。
足元には首の後ろから血を流し、ぴくりとも動かない船員。
从゚-゚)「お願い、殺さないで!!」
(VпV)「コロしゃあしないさ。お前にはまだまだ働いてもらうぐっ!!」
後ろから勢いの乗ったタックルをかます。
吹っ飛ぶ船長をよそに急いで人魚の縄を解いた。
足がないから、背中に担いで逃げ出す。
(VпV)「ま、待て!!」
从゚-゚)「きゃっ!!」
船長が手に持つ包丁を横なぎに振るう。
人魚の肩をかすめ、鮮血が飛んだ。
('、`)「大丈夫!?」
从゚-゚)「かすっただけよ。早く逃げましょう!!」
船長は這いつくばって床に垂れた血を舐めている。
- 10:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/29(月) 23:19:53.19 ID:0IuLjyk60
('、`)「狂ってる……!!」
僕らは船の甲板に出てきた。
しかし、ココは海の上。逃げ道なんてどこにもない。
('、`)「逃げるったってどこに……!!」
从゚-゚)「海に飛び込むのよ!!早く!!」
('、`)「くそっ!!」
(VпV)「待て!!」
僕は覚悟を決め、人魚を抱えて海に飛び込んだ。
(VпV)「ク、クソ!!ちくしょう!!」
憎らしげに飛び込んだ先を見つめていたが、待てどくらせど二人は浮かんでこない。
(VпV)「くそう……くそう……」
諦めて三人の死体の処分に悩みながら船を陸地に向け舵を取る。
しかし……
(VпV)「な、なんだ!?船が動かない……」
(VпV)「おい!!なんだコレ!!くそ、エンジンがかからない!!」
- 11:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/29(月) 23:24:07.91 ID:0IuLjyk60
从゚-゚)「ありがとう……」
('、`)「いいんだ。それよりこれからどうしよう……」
从゚-゚)「大丈夫、岸まで運んであげるわ。人一人担ぐぐらいならそんなに時間かかんないわよ」
人魚は僕を背負いものすごいスピードで泳ぎ始め、しばらくすると陸が見えてきた。
从゚-゚)「ねぇ、どうして助けてくれたの?」
('、`)「え?」
从゚-゚)「あなたは永遠の命が欲しくないの?」
('、`)「……興味がないと言ったら嘘になるかな」
从゚-゚)「じゃあどうして……」
('、`)「じいちゃんもさ、船乗りだったんだ」
从゚-゚)「?」
- 12:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/29(月) 23:26:21.21 ID:0IuLjyk60
('、`)「若い頃、人魚に助けてもらったんだって。
誰も信じなかったらしいけど、僕は信じない訳にはいかなくなったな。」
('、`)「そのとき人魚にもらった鱗をまだ大事にとってあるんだって。見せてもらったことないけど」
('、`)「君の仲間がいなかったら、今の僕は生まれてないわけで……ある意味ただの恩返しのつもりだよ」
从゚-゚)「そう……」
陸にたどり着き、人魚は僕を背中から降ろすときに何かを手渡した。
从゚-゚)「あなたにもあげるわ」
从゚ー゚)「……惣次郎によろしくね」
('、`)「え……?」
初めて見た人魚の笑顔は、すぐに海面から姿を消して見えなくなった。
- 13:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/29(月) 23:27:22.24 ID:0IuLjyk60
「うわ!!なんだコレ!!」
「死体が……4つも!!」
「(タスケテ……)」
「三人は首切られてるぞ……!!犯人はあっちで腐ってるヤツかな……?」
「随分なまなましいな……まだ生きてるみたいだ……」
「(タスケテ……)」
「馬鹿言うなよ……おい、早く連絡してこい」
「おう。まさか10年前行方不明になった船が今頃見つかるとはな……」
「(ダレカ、コロシテクレ……!!)」
- 14:1 ◆yl3K3xulPc :2006/05/29(月) 23:27:59.95 ID:0IuLjyk60
川゚−゚)「命とは限りあるからこそ美しく儚いのだと、よく花火に例えられたりする」
川゚−゚)「あなたは永遠の命を目の前にした時、同じようなコトが言えるだろうか?」
川゚−゚)「アウターブーンで試してみるのもいいかもしれない」
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