( ^ω^)がアウターブーンの世界に入り込んだようです
- 4:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/02(金) 20:21:15.84 ID:08Xai9X80
第十話
「七不思議を追え!!〜後編〜」
六つ目。夏休み直前の大掃除。体育館の物置で一人の女の子が掃除していた。
下校時間を過ぎたのに気付かなかった彼女は守衛が鍵を閉めたことによって物置に閉じ込められてしまった。
そして学校は長い夏休みに…
今でもその物置からは「出してー」という声と、カリカリと扉を引っ掻く音が聞こえるらしい。
(*'-')「……真っ暗な体育館って不気味ね……」
( 'д')「なぁ。こんな非常事態だから明かり点けてもいいんじゃないか?」
( ・∀・)「!! 確かに!!」
体育館の入り口の照明スイッチをいじるが、全く点灯する気配はない。
(℃゚)「やっぱり点かないね……」
(*'-')「うう……が、我慢しましょ」
- 7:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/02(金) 20:24:58.97 ID:08Xai9X80
僕らは問題の物置の前にやってきた。
中には授業で使うボールやバレーボールのネットなどが置いてある。
来てみたはいいものの、解明といったってどうしたらいいのか?
きっと3人も同じ気持ちなのだろう。
物置の扉の前、神妙な面持ちで4人は立ち尽くしていた。
そのとき……
「……出してー……」
扉の内側からひっかくような音とともに、うめき声が聞こえてきた。
思わず顔を見合わせる。
- 8:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/02(金) 20:25:35.37 ID:08Xai9X80
「……誰か助けて……ここから出して……」
「う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛」
女の子とは思えない野太い声。
ミサキが一歩後ずさる。
(;・∀・)「……あ、開けてあげようよ」
(;'д')「な、え!?」
(℃゚;)「開けるの!?」
(;'-')「鍵ついてるわよ……」
扉をひっかく音が突然止んだ。
- 9:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/02(金) 20:26:05.86 ID:08Xai9X80
「ねぇ出してよ。ここを開けて」
今度はさっきよりもはっきりと。
「出して!!」
四人は驚いて扉を見つめた。
本当に恐怖しているものからは、目が離せない。
僕らはまさにそれだった。
「出して!!出して!!出して!!出して!!」
半狂乱になった女の声。
扉を叩く凄まじい音。
(;・∀・)「早く!!と、扉を開けなきゃ!!」
(;'-')「か、鍵!!鍵ついてるんだってば!!」
(℃゚;)「この消火器で……!!」
(;'д')「任せろ!!」
小次郎が、消火器を力任せに南京錠に叩きつけた。
鈍い金属音がして、錠が後ろにはじけ飛ぶ。
- 11:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/02(金) 23:52:54.73 ID:08Xai9X80
また、物置の中の音が消えた。
急に静まり返った不気味な空間。
(℃゚;)「……?」
(;'-')「あ、モララー……」
(;・∀・)「……」
僕はゆっくりと扉に手をかける。
途端、吐き気を催す腐敗臭が漏れ出る。
扉を開けた僕の目の前に、女が立っていた。
髪が抜け落ち、口の周りは涎だらけ。
こちらに突き出した指には爪がなかった。
- 12:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/02(金) 23:53:31.26 ID:08Xai9X80
(;'д')「あ……」
(℃゚;)「……!!」
(;・∀・)「も、もう大丈夫だよ……」
(;'д')「モララー!?」
(;・∀・)「もう、お、お家に帰れるよ」
(℃゚;)「……」
「……」
みるみるうちにボロボロになった女の体が修復されていく。
あっという間に僕らと同世代くらいの女の子に姿を変えた。
女の子は突然白く輝きだし、思わず僕らは目を瞑った。
「……………」
(;・∀・)「え?」
目を開けたときにはもう女の子の姿は無く、また薄暗い体育館が戻ってきた。
- 13:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/02(金) 23:54:05.39 ID:08Xai9X80
(;'-')「消えちゃった……」
(℃゚;)「成仏できた、のかな……?」
(;'д')「なぁモララー。あいつ消える前になんか言ってなかったか?」
(;・∀・)「うん……」
(;・∀・)「ありがとう、だって」
目の前で起きた出来事に皆、口を噤む。
……苦しかったんだろうなぁ……。
女の子の絶望を想い、僕は鼻をすすった。
しばらく女の子が居た物置を見つめていたが、急に小次郎が閃いたように叫んだ。
- 14:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/02(金) 23:54:44.94 ID:08Xai9X80
( 'д')「そうだ!!」
そして体育館の出口目掛けて走り出す。
(;・∀・)「小次郎!?ちょ、待ってよ!!どこ行くの!?」
( 'д')「わかった!!わかったんだよ!!」
慌てて小次郎を追いかける。
(℃゚;)「わかったってなにが!?」
必死で追いかけた先は、理科室だった。
ここは確か三つ目の七不思議があるとこだ。
( 'д')「……」
(;・∀・)「はぁ……はぁ……こ、小次郎?」
理科室の人体模型。
人間が生きたまま漆喰で固められたとか。
(*'-')「そうか……わかったわ!!」
( 'д')「ああ、多分こいつも同じことだろう」
ミサキと小次郎が確信めいた口調で言葉を交わす。
- 15:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/02(金) 23:55:08.96 ID:08Xai9X80
(℃゚;)「なに?どうゆうこと?」
( 'д')「まぁ見てろって……」
そう言って小次郎は、理科室のパイプ椅子を持って大きく振りかぶった。
( 'д')「おらっ!!」
小次郎の渾身の一打が人体模型に振り下ろされる。
派手な音を立てて、人体模型は破壊された。
(;・∀・)「わわっ!?」
すると中から人間の骨が出てきた。
漫画とかに出てきそうな大腿骨。
部分的に欠けている……頭蓋骨。
(℃゚;)「こ、これ本物……!?」
答えが返ってくる前に、人骨が白く輝きだした。
本物かどうか確かめる間もなく、また霧のように消えてしまった。
- 19:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 00:11:41.43 ID:YNtYqOJy0
( 'д')「これが「解明」ってことなんじゃないか?」
(;・∀・)「!! そ、そうか!!」
不思議で終わらせなければいいのか。
ひとつひとつ、「解明」できるかどうかはまだわからないが、
脱出の道に光が差したようで、僕の胸は高鳴った。
(*'-')「行きましょ。次は音楽室よ!!」
七不思議のうちの二つがある音楽室。
目が光りだすベートーベンと、ひとりでに鳴り出すピアノ。
さっそく画鋲を抜いて、哀れなベートーベンを解放した。
問題はこのピアノのほうか……。
( 'д')「これは……どうしたもんか……」
(*'-')「なんかもっと詳しい情報はないの?」
(℃゚;)「う〜ん、夜になるとひとりでに鳴り出すらしいって事しか……」
- 21:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 00:14:39.58 ID:YNtYqOJy0
( ・∀・)「……ねぇ。このピアノじゃないんじゃない?」
( 'д')「へ?」
音楽室のグランドピアノ。
それとは別に、準備室のほうにもう一つあったような……。
(*'-')「あった……!!」
準備室の隅っこで埃を被っているピアノ。
僕らを歓迎するかのように、ピアノは一人で演奏を始めた。
( ・∀・)「ねぇ。このピアノ、自分を使ってほしいんじゃない?」
( 'д')「使う?」
( ・∀・)「新しいピアノが来て、自分はお払い箱で、でも処分されずにこんな隅っこで一人で埃を被ってさ」
(℃゚)「寂しかったのかな……」
僕が言い終えるとともに、ピアノが演奏をやめた。
まるで自分がまた使ってもらえるのを待っているかのように。
- 25:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 00:27:58.79 ID:YNtYqOJy0
( 'д')「ミサキ、ピアノ弾けたよな」
(*'-')「うん……やってみる」
ピアノのカバーを取って脇に置いた。
カバーの下のピアノはまるで新品のように光り輝いていた。
ミサキが椅子に腰掛ける。
鍵盤に手をそえ、緊張した面持ちで演奏を始めた。
夜の学校に音楽がこだまする。
綺麗な音。この曲は……夜想曲とか言ったかな?
( ・∀・)「……」
月の光に照らされたミサキは、どこか神秘的でもあった。
後ろの二人も音に魅入られている。
ゆっくりと、静かに演奏を終えた。
(*'-')「これで……終わり、だけど……」
(℃゚;)「あ!!」
( 'д')「おお!?」
(*'-')「な、何……きゃっ!?」
ピアノは突然、誰にも気づかれずに古臭い様相に変貌していた。
ミサキが鍵盤を叩いてみる。
コッ、という乾いた音が出るだけで、ピアノはその機能を完全に停止させていた。
- 27:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 00:41:46.15 ID:YNtYqOJy0
僕らは音楽室を出て、屋上に向かう階段に向かった。
(*'-')「……」
ピアノと同調してしまったんだろうか?
ミサキは少し涙ぐんでいる。
(℃゚)「着いたよ」
( 'д')「確か、女の子が転げ落ちて死んじゃったんだっけ?」
(℃゚)「今までのパターンから行くと……よし、モララー。階段のぼってみて」
(;・∀・)「僕!?」
皆にうながされるまま、一人で段数を数えながらのぼっていく。
(;・∀・)「な、なんか怖いな……ん!?」
隣を向くと、青白い顔した女の子が僕の横にぴったりついて階段をのぼっている。
向こう側が透けて見える。思わず叫びそうになった。
- 28:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 00:48:57.58 ID:YNtYqOJy0
(;・∀・)「(ひぃぃぃぃぃ!!)」
(;'-')「が、頑張ってモララー!!」
(;'д')「止まんな!!のぼれ!!」
この学校の怪奇に慣れ始めたのか、まるっきり人事のように応援する二人。
冗談じゃない。こっちは生きた心地がしない。
(℃゚;)「おお……」
それでも足を止めずに階段を上り続ける。
10……
11……
12……
(;・∀・)「じゅ、じゅうさん……」
- 29:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 00:57:41.24 ID:YNtYqOJy0
隣の幽霊が急にいなくなった。
……と思ったが違ったようだ。
後ろを振り向くと小次郎が幽霊を抱えている。
ものすごい、強張った顔で。
(;'д')「ちょ、ど、おお……!?」
やがてその幽霊も姿を消していった。
呆然とした顔のままミサキが声をかける。
(;'-')「……ナイスキャッチ」
(;'д')「あ。え? あ、うん」
かなり混乱した様子でピースサインなんか作る小次郎。
……もしかして落ちてくる幽霊を支えたのは、狙ってやったわけじゃなかったのかもしれない。
- 31:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 01:18:12.00 ID:YNtYqOJy0
足りない薪を探して歩きまわる二宮金次郎。
校舎からは出れないので、窓から銅像があった場所を覗いてみるが、やはり二宮金次郎はいなかった。
( 'д')「校庭に行けないんじゃ解明しようがないよなぁ」
(*'-')「そうね……あら、でもそこにいるじゃない」
(℃゚)「?? なにが?」
(;'-')「いや二宮金次……きゃああああ!!」
(;・∀・)「うわわわわ!?」
廊下の奥に、二宮金次郎の銅像が現れた。
- 32:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 01:20:01.77 ID:YNtYqOJy0
(;'д')「……動かねぇな」
(;'-')「ちょ、小次郎!!」
小次郎が恐る恐る銅像に近づく。
手が届く距離まで来ると、銅像の首が小次郎の方に向き直った。
(;'д')「うわ!!」
銅像が小次郎に掴みかかる。
突然のことに小次郎はあっさり捕まってしまった。
(;・∀・)「この!!」
銅像目掛けてタックルをかますがびくともしない。
ゆっくりと銅像の首がこちらを向く。
小次郎を放して、今度はこちらに襲い掛かってきた。
(℃゚;)「うひゃああああ!!」
(=・ω・)「うにゃあ!!」
(;・∀・)「あ、ウコン!!」
僕のポケットから飛び降りたウコンが、迫り来る銅像に立ち向かっていった。
- 37:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 01:35:38.45 ID:YNtYqOJy0
(=・ω・)「にゃご!!」
銅像の顔に飛びつくウコン。
そのまま銅像の顔をバリバリと引っ掻いた。
(;'-')「ウコンちゃん!!」
(;'д')「にゃろ!!」
銅像はウコンをひっぺがそうとしたが、小次郎の蹴りを食らって仰向けに倒れた。
まだ顔にしがみついていたウコンを回収し、慌てて廊下を走って逃げる。
(;・∀・)「なんだっけ!!なんだっけ!!」
(℃゚;)「ま、薪だよ!!薪を探してるんだ!!」
(;'-')「薪なんてどこに……きゃあっ!!」
(;'д')「ミサキ!!」
- 38:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 01:44:59.09 ID:YNtYqOJy0
転んだミサキを助け起こす。
後ろからは半端じゃないスピードで追って来る二宮金次郎。
銅像が陸上選手のように手を振る違和感は、僕らにものすごい恐怖をもたらした。
(℃゚;)「うわ、は、早く!!」
(;'-')「ごめん!!」
二階、三階、二階、一階。
僕らは校舎中を必死に逃げ回った。
(;・∀・)「はぁっ!!はぁっ!!ど、銅像は!?」
(;'-')「い、いない、みたい……」
逃げ込んだ先は僕らの教室。
近づいてくる音に集中し、息を潜めた。
- 39:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 01:53:20.79 ID:YNtYqOJy0
(℃゚;)「ど、どうしよう……薪なんて、校舎の中には……」
(;'-')「……いい考えがあるわ」
(;'д')「なんだって?」
(;'-')「あのね……」
ゴン。ゴン。ゴン。
(;・∀・)「き、来たよ!!」
(;'д')「しゃあねぇ。薪がねぇんじゃそれしかなさそうだな」
(;'-')「……ダメならまた考えましょ」
ゴン。ゴン。ゴン。
…………………………
(℃゚;)「と、とまった」
(;'д')「なに?」
耳をすませる。
……なにも聞こえない。
- 41:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 02:01:35.05 ID:YNtYqOJy0
(=・ω・)「ぶにゃーっ!!」
ウコンが突然僕の顔に向かって鳴きだした。
……違う。僕の顔にじゃない。
……上?
(;・∀・)「まさか……」
嫌な予感がして上を向く。
小さな窓から身を乗り出す二宮金次郎と目があった。
- 44:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 02:26:41.25 ID:YNtYqOJy0
(;・∀・)「ミサキ!!」
(;'-')「きゃっ!!」
僕はミサキを突き飛ばした。
寸前までミサキが居た場所に、二宮金次郎が周りの物を蹴散らしながら降り立った。
(;'д')「くっそ!!」
小次郎が銅像に飛び掛る。
しかしあっさりと振り払われてしまった。
(℃゚;)「ひゃあああああああ!!」
散り散りに逃げまわる四人。
銅像は僕を標的にさだめ、教室の隅に追いやられた。
(;・∀・)「うう……っ!!」
(;'д')「モララー!!」
- 45:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 02:32:23.78 ID:YNtYqOJy0
小次郎が投げたソレをキャッチし、銅像の前に差し出した。
銅像は動きを止めて、ソレを見つめる。
(;・∀・)「(……や、やっぱりだめ?)」
差し出したモノは、小次郎が飛び掛った時に抜き出した銅像の薪。
銅像から薪が抜けるかとかこんなんで騙せるのかとか色々問題点はあったが、
コレを受け取ってくれれば……。
「…………」
銅像はしっかりと薪を受け取って僕に背中を向けて歩き出し、
そのまま壁の中に消えていった。
(;・∀・)「た、助かった……」
長いため息をついてそのままへにゃりと座り込んだ。
(;'-')「なんとかうまくいったわね……さっきはありがとうモララー」
(;'д')「お〜。アホらしい作戦だと思ったけど、いや成功してなによりだ」
(#'-')「ちょ、アホらしいとはなによ!!」
(;・∀・)「ま、まぁまぁ……」
- 52:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 03:29:28.80 ID:YNtYqOJy0
( 'д')「よっしゃ!!なんにせよあと一つだ!!」
(*'-')「あれ? 残り一つはなんだったかしら?」
(℃゚)「ああ、うん。最後の一つは……」
(=・ω・)「うにゃ」
(;・∀・)「あっ、ウコン!!」
ウコンが僕のポケットから飛び降りて教室から出て行く。
僕らは慌てて後を追った。
( 'д')「おいおい、どうしたんだ急に?」
(*'-')「トイレかしら?」
(℃゚)「……」
- 53:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 03:29:46.36 ID:YNtYqOJy0
屋上に向かう階段をあがったところ。
ウコンは屋上に通じるドアをしきりに引っ掻いていた。
(;・∀・)「どうしたのウコン……ダメだよ、開かないんだよ」
ひょいと両手で持ち上げるとウコンは僕の腕の中で鳴いた。
邪魔されたことを怒っているのかな?
(℃゚)「……もしかしたらその猫は最初から分かっていたのかもしれないね……」
(;・∀・)「……え?」
( 'д')「なにが?なんのことだよ」
(℃゚)「ついてきて」
ドアノブに手をかける。
あっさりと、ドアが、開いた。
- 54:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 03:30:08.74 ID:YNtYqOJy0
なにが起こっているのかわからないまま、僕らは屋上に出てきた。
(℃゚)「昔ね、怖い話が大好きな男の子がいたんだ」
屋上の真ん中で、白み始めた空を眺めて語りだした。
「その子はこの学校の七不思議を知って、夜の学校に忍び込む計画を立てた」
「友達も誘ったりして、皆で夜の学校を探検する自分を想像してね。すごいワクワクしてたんだ」
「……でもね、男の子には誘える友達がいなかった」
「それで何を思ったか、前から気になっていた子を誘ったんだ」
「相手はクラスのアイドル。とってもいい子でね。うつむきながらOKしてくれた」
「……夜、校門の前でワクワクしながら女の子を待ってたら、クラスの不良共がやってきたんだ」
- 55:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 03:31:22.76 ID:YNtYqOJy0
(℃゚)「ボコボコにされて、服をひん剥かれて、校門にくくりつけられた」
(℃゚)「朝になったらさ、僕をあざけ笑う奴らの中に、その女の子がいたんだ」
( 'д')「……ちょっと待て。なんのことだ? なに言って……」
(℃゚)「でも、別に恨んじゃいないんだよ」
小次郎の声は届いていないんだろうか。
僕らの方を向いた。
顔からは、笑みがこぼれていた。
(℃゚)「ずっとさ、こんな友達が欲しかったんだ」
思い出せない。
この男の名前を思い出せない。
そんなことないはずだ。
僕らはいつも四人で……
- 56:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 03:31:45.04 ID:YNtYqOJy0
( ・∀・)「そう……だったのか」
違う。思い出せるわけがない。
僕らはこの男の名前を知らない。
思い起こせば、七不思議の話を持ち出したのは誰だったか。
いつもの三人の輪に突然加わったこの男は誰だったのか。
(*'-')「あなたが七つ目だったのね……」
(℃゚)「そう、夜中に校舎を走り回る幽霊」
いや、と男は前置きして
(℃゚)「この学校の七不思議は、僕以外全て作り話なんだ」
(*'-')「え……?」
(℃゚)「考えてもみてよ。一つの学校で、あんなに死亡事故が起きると思う?」
(℃゚)「全部皆の想いが思念化したものだよ。ピアノは例外かもしれないけど」
- 57:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 03:34:28.53 ID:YNtYqOJy0
(℃゚)「この屋上から飛び降りてから、ずっと友達を探してたんだ」
(℃゚)「皆には怖い思いさせちゃったかもしれないけど、楽しかった」
フフ、と微笑んで僕らに背を向ける。
途端男はまばゆい光に包まれた。
( ・∀・)「待って!!」
( 'д')「……?」
( ・∀・)「また、会えるかな……?」
(℃゚)「……!!」
- 58:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 03:34:52.43 ID:YNtYqOJy0
爆発のような光の後。
屋上には呆けたように佇む三人と一匹。
( 'д')「……成仏、出来たんだよな。きっと」
( ・∀・)「うん……」
(*'-')「あ!!」
(*'-')「見て!!」
東から、僕らの顔を照らす朝日。
エメラルドグリーンに染まる空。
息をのむ、黄金の太陽。
男からの、精一杯の「ありがとう」が伝わってきたような気がした。
- 59:1 ◆yl3K3xulPc :2006/06/03(土) 03:36:39.46 ID:YNtYqOJy0
川゚−゚)「アウターブーンへの入り口はどこにでもある」
川゚−゚)「あなたの学校にも七不思議はなかっただろうか」
川゚ー゚)「もしかしたら、そこにはアウターブーンへの入り口がつながっているのかもしれない」
戻る/第十一話