( 'A`)・∀・)^ω^)゚Д゚)のバンド人生

  
1: ◆JBtqrByBDQ :12/20(水) 20:25 5kmSyzD8O
  




暗く広い空間の中央に明るく照らされた舞台
その上に四人の男達が現れる
それと同時に熱気が爆発し、爆音が鳴り響いた

( 'A`)・∀・)^ω^)゚Д゚)いくぜっ

( 'A`)・∀・)^ω^)゚Д゚)のバンド人生



  
2: ◆JBtqrByBDQ :12/20(水) 20:26 5kmSyzD8O
  




青く澄み渡り、果てしなく高い空を見上げるように高層ビルが立ち並ぶ街、ニュー速
そんなビル群の中に大きくも小さくもないのんびりとした学校がある
私立VIP高等学校
偏差値は少し低めで、比較的入りやすく穏やかな男子校だ
そんなのんびりとした高校だが、騒がしく、色んな意味で忙しいクラスがある
そのクラスは一年五組
問題児とまではいかずとも、個性豊かな面々が集まったクラスだ

今回の物語の主人公も一年五組の一員だ

( 'A`)平和だ……

そう呟きながら窓の外の景色を眺めているのがドクオ
彼は基本的に顔に覇気がなく、いつも気怠げにしていて、うつ病及びニート予備軍だ



  
3: ◆JBtqrByBDQ :12/20(水) 20:27 5kmSyzD8O
  


( 'A`)暇過ぎる……

実際は授業中で暇ではないのだが彼には関係ない
何故なら「数学は将来使わないから」だそうだ

(´・ω・`)じゃあドクオ、この問題解いてみろ

(;'A`)ど、どこですか?

完全に油断していた彼は慌てふためき教科書を派手に落としてしまった

(´・ω・`)何やってんだ

その様子を見た数学のショボンは呆れた口調で教科書をドクオに話しかける

(;'A`)サーsっ痛……

ドクオは教科書を拾う時にこれまた派手に頭を机にぶつけ、悶絶する
その様子を見たクラスメイトからは笑いが起こり、ショボンからは

(´・ω・`)ぶち殺すぞ

と言われクラスメイト達の笑いが爆発した
その笑い声の中でドクオだけは未だに悶絶していた



  
4: ◆JBtqrByBDQ :12/20(水) 20:28 5kmSyzD8O
  


(´・ω・`)お前等黙らないとぶち殺すぞ

五月蝿くなったクラスを静めようと取り敢えず叱るショボンだが、その声は笑っていたので全く怖くなかった
そんなクラスの笑い声が消えたのは、それから10分後の、授業が終了した時だった



  
5: ◆JBtqrByBDQ :12/20(水) 20:29 5kmSyzD8O
  




( ^ω^)イヤー今日は笑ったお

( ・∀・)ホントだよ

( 'A`)うるせー

学校が終り、いつものメンバーで帰る男三人組

左のにやけ顔はブーン
いつも笑顔で少し太り気味だが、足は速い
ドクオとは小学校からの付き合いで、ドクオの親友だ

真ん中の少し大人びた顔はモララー
基本的に冷静で頭脳明晰
ドクオ、ブーンとは中学校からの付き合いで、二人の親友だ



  
6: ◆JBtqrByBDQ :12/20(水) 20:30 5kmSyzD8O
  


( ・∀・)そうた、今日家寄ってかない?

( 'A`) ^ω^)別に構わない(ぞ、お)

相変わらず怠そうに答えるドクオに対しブーンは元気一杯に答える



( 'A`)で、何するんだ

モララーの部屋のベットに腰掛け、モララーに聞く
モララーはベースを弄りながら真剣な声で答える



  
7: ◆JBtqrByBDQ :12/20(水) 20:31 5kmSyzD8O
  


( ・∀・)バンド…やらないか?

( ^ω^)バンドってあのバンドかお?

( ・∀・)音楽以外にないだろ

顔と同じに間抜けな質問でモララーに聞き返すブーンに対し至って冷静に受け返す

( 'A`)俺ら楽器なんてできねぇぞ?

( ^ω^)だおだお

( ・∀・)それは今から始めれば良い

相変わらず冷静かつ真剣に答えるモララー
その雰囲気に二人は黙り込み考え込んでいる
沈黙を破ったのはドクオだった



  
8: ◆JBtqrByBDQ :12/20(水) 20:31 5kmSyzD8O
  


( 'A`)……ボーカルならやってもいいぞ

( ・∀・)ホントか!?

( 'A`)そこまで上手くないけどな

実際ドクオは特別歌が上手いわけではない
だがカラオケでは75点以下を取ったことはなかった

( ^ω^)……僕はもう少し考えさせて欲しいお

( ・∀・)ゆっくりで構わないよ

( ^ω^)今夜電話するお

( ・∀・)待ってるよ

思い空気のまま部屋を出るブーンの後を追い、モララーに別れを告げてドクオも続く



  
10: ◆JBtqrByBDQ :12/20(水) 20:33 5kmSyzD8O
  




ブーンは一人悩んでいた
幼い時から男手一つで自分を育ててくれた父親
そんな父親に心配かけまいと必死に頑張ってきた
ブーン自身は音楽が好きで良く聞いていたし、実際にやってみたいとも思っていた

( ^ω^)トーチャンなんていうかな……

一人呟きまた考え込む
しばらくして玄関が開く音と「ただいま」と言う優しい声が響いた
その声を聞き玄関に向かうブーン

( ^ω^)おかえりだお

〃^ω^)ただいま

いつもの様に挨拶を交わし居間へと移動する
居間には既にブーンの作った料理が並んでいた

〃^ω^)今日は生姜焼きか

( ^ω^)おかずなくてごめんお

〃^ω^)そんな事ないぞ

軽い会話をしながら向かい会って座る
座ってから二人が同時に「いただきます」と合掌する



  
11: ◆JBtqrByBDQ :12/20(水) 20:35 5kmSyzD8O
  


〃^ω^)今日はなんかあったのか?

(;^ω^)おっ

食事をしながら突然トーチャンが話し掛けてきた
普段なら学校や会社の事を話すのだが、今日は全く別の言葉をかけてきた

〃^ω^)言ってみなさい

相変わらず柔らかな優しい声で話してくる
今のブーンにはプレッシャーにしかならなかった

(;^ω^)バンド…バンドをやりたいんだお

〃^ω^)……バンドをか?

ブーンはゆっくりと力強く頷いた
その言葉と態度を見たトーチャンは真剣な眼差しで考え込む様に黙って俯いた
その沈黙はとても心地のいいものではなく、ブーンには限りなく長く感じられた
そしてついにトーチャンが沈黙を破った



  
12: ◆JBtqrByBDQ :12/20(水) 20:35 5kmSyzD8O
  


〃^ω^)本気か?

( ^ω^)本気だお

両者の、特にブーンの眼差しは真剣で力強く光っていた

〃^ω^)お前のそんな眼を見るのは初めてだ……

先程とは違い低く静かな声で呟くと深く息を吐きだし、僅かな間を作る

〃^ω^)良いぞ……

〃^ω^)だだし、絶対に諦めるなよ?

その言葉はまた優しく柔らかな口調に戻っていた
そして、その言葉を聞いたブーンは子供の様に頬を赤く染め喜ぶ

(*^ω^)もちろんだお!

ブーンは頬を染めたまま食事を終えた



  
13: ◆JBtqrByBDQ :12/20(水) 20:37 5kmSyzD8O
  




食事を終え自室に戻ったブーンは喜びを隠せないままモララーに電話した
僅かな数コールでモララーが電話に出た

( ・∀・)]どうだった?

(*^ω^)]バンドやるお!

電話ということも忘れ思わず叫んぶ

( ・∀・)]楽器とかは決めたか?

心なしかモララーの声が遠い気がするが気にした様子もなくブーンは続ける

(*^ω^)]ドラムが良いお!ドラム!

( ・∀・)]なら明日石橋ギター行こう

石橋ギターとは実際に存在している大手楽器店の事だ
ギターやベース、ドラムは勿論、パーカッションやスコア迄売っているので楽器を始める人にはお勧めだ

(*^ω^)]じゃあ明日の10時にVIP駅で良いかお?

( ・∀・)]じゃあまた明日な

(*^ω^)]ばいふー

翌日の約束を済ませ電話を切り、布団に潜り込むブーン
ブーンはこれからの事を考えるとなかなか寝付く事が出来なかった



  
18: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 19:48 vaetezQpO
  




翌日の10時、VIP駅前
人でごった返す駅前で二人の男が立っていた

( 'A`)「モララー遅くね?」

( ^ω^)「そんなもんだお」

ジーパンにシャツ、その上にパーカーを羽織ったドクオ
ジーパンに大きめのシャツを着たブーン
その二人がモララーを待っていた

( 'A`)「おっ、あれモララーじゃね?」



  
19: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 19:49 vaetezQpO
  


ドクオがそう言って指差した先には、ダメージジーンズを腰パンで履き、シャツの上に革ジャンを羽織ったモララーともう一人知らない奴がいた

( ・∀・)「わり、遅れた」

小走りで軽く謝りながら近付いてきた

( ^ω^)「それより隣の人は誰だお?」

( ・∀・)「誰って同じクラスのミルナだよ」

ドクオとブーンは自分達のクラスにこんな人いたか?と言った感じで首を傾げる



  
20: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 19:50 vaetezQpO
  


( ・∀・)「まぁ基本的に寝てる奴だから気付かなかったんだろ」

そう言ってミルナに自己紹介を促す

( ゚Д゚ )「僕の名前、ミルナよろしく」

どこと無く淡々とした感じで自己紹介をするミルナ
こちらもダメージジーンズにシャツ、更にパーカーを羽織っていた

( 'A`)「楽器はギター?」

( ゚Д゚ )「一応ギター4年目」

そんなこんなで色々話しながら四人で石橋ギターへと向かっていった



  
21: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 19:51 vaetezQpO
  




(*^ω^)「ここが石橋ギターかお」

モララーたちは石橋ギターの電子ドラムのコーナーにいた

( ・∀・)「ドラムを買う前にまずはスティク買えよ」

( ゚Д゚ )「でも黒いスティクは楽器に色着くからやめとけ」

ブーンはモララーとミルナのアドバイスのもとでスティクを選び始めた
選んではいるものの、どんなのが良いのかわからずにただ握っているだけだ



  
22: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 19:52 vaetezQpO
  


( 'A`)「自分の握り易いやつならなんでもいいんじゃね?」

(;^ω^)「確かにそうだお」

言いながら更に他のスティクを握っては放し握っては放しを繰り返していた
ふとモララー達の方を見るとそれぞれの楽器を試し弾きしていた
ドクオはマイクを見て回っていた

( ^ω^)「皆ー来て欲しいお」

その声に三人がブーンの元に集まってきた

( ^ω^)「このスティクなんてどうだお?」

ブーンが差し出したのは径が少し細めの軽いスティクだった

( ・∀・)「ドラムは専門外だから、握って手にフィットするので良いんじゃないか?」

( ^ω^)「これが1番しっくりくるお」

手に握ったスティクでドラムを叩く真似をしながら答える

( ゚Д゚ )「なら早く買ってもっと馴染ませるんだ」

( ^ω^)「おっおっ」

ブーンはスティクを握りしめレジに向かって行った



  
23: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 19:53 vaetezQpO
  




石橋ギターの帰り道で四人は何の曲をやるのかミスドで話し合っていた

( 'A`)「俺はロックが良いな」

( ・∀・)「俺もロックだな」

( ゚Д゚ )「俺も」

至って真面目な三人に対してブーンは

( ^ω^)「アニソンが良いお」

本人は至って真面目に言っているのだろうが、高校生がアニソンなどやるはずもなく

( ・∀・)「はい、却下」

(;^ω^)「ヒデェ……」

あっさり却下されてしまった



  
24: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 19:55 vaetezQpO
  


( 'A`)「まぁ多数決でロックで良いんじゃね?」

( ・∀・)「よし、一曲目はロックに決定な」

なんとも軽いノリでロックに決めてしまった四人はその後も音楽の話しで盛り上がり、帰ったのは21時を過ぎていた



  
25: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 19:57 vaetezQpO
  




モララーは一人考えていた
ロックは熱く激しい
そんなロックをある程度熟練した自分やミルナならともかく、全くの初心者のブーンがやるのは少し厳しい
ロックで1番簡単なものは何か、と

( ・∀・)「できればBOOWYがやりたいな」

BOOWYは自分の音楽の原点
BOOWYが自分に勇気をくれた
いつも親の言う通りに動いていた自分を救ってくれた

( ・∀・)「……マリオネットだな」

幸いマリオネットのスコアーは持っている
ドラムはかなり難しいがマリオネットは自分の夢だ
自分の夢を実現したい



  
26: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 19:58 vaetezQpO
  


( ・∀・)「ドクオに相談するか」

そう言って携帯の電話帳からドクオを捜し電話をかける
タイミングが良かったのか、ドクオが暇だったのか直ぐに電話に出た

( 'A`)]あいよ

( ・∀・)]曲の事なんだが、レベルの高いヤツで平気かな?

( 'A`)]俺は構わないが、ブーンの事考えてやれよ

確かに初心者には難しいドラムではあるが、1番始めにやる曲と決めていた
少なくとも自分は

( 'A`)]まぁどうしてもやりたいなら、本人に直接言えよ?

( ・∀・)]あぁ、アリガトな

ドクオに軽く礼を言って電話を切る

( ・∀・)「明日直接話すか」

一人呟きながらミルナとブーンにメールを送り眠りに着いた



  
31: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 22:53 vaetezQpO
  




翌日の朝
起きたモララーは携帯をチェックする
着信はブーンとミルナ
ミルナの方はマリオネットで良いらしいが、ブーンの方は直接話したい様だ
メールを確認と返信を終え、バスルームに向かった



  
32: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 22:54 vaetezQpO
  




部屋に戻ると着信が一件あった
見るとやはりブーンからで内容は13時に家に来ると言う事だ
時計に目をやると11時
約束の時間迄少しある
軽く髪をセットし、適当に服を来てコンビニに向かう

( ・∀・)「ブーン、どう言ってくれるかな」

頭の中でマリオネットを弾きながら煙草を一本取り出し、火を点ける
銘柄はラッキーストライク
理由はロッカーがよく吸っているからだ

( ・∀・)「っと、そろそろだな」

コンビニが見えてきたから携帯灰皿に押し付ける
火が完全に消えたのを確認にポケットにしまう



  
33: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 22:54 vaetezQpO
  


( ・∀・)「何買うかな」

コンビニに着いたのは良いが、正直何となしに来ただけだから
とりあえず店内を回り、雑誌のコーナーで足を止める

( ・∀・)「おっ、パンク三十周年特集か」

思わず声に出し雑誌を手に取る
ペラペラとページをめくり軽く記事を見る

( ・∀・)「買ってくかな」

結構好きなクラッシュについての記事に惹かれたから、買う事にした
雑誌を片手に紙パックの紅茶とスナック菓子を手にとり、レジで会計を済ませコンビニを出た



  
34: ◆JBtqrByBDQ :12/21(木) 22:55 vaetezQpO
  




家に帰る途中でブーンに会った
どうやら俺の家に来る途中だったらしい

( ^ω^)「モララーはどうしてもマリオネットをやりたいんだお?」

( ・∀・)「俺の音楽の原点だからな」

それに続けて今までの事を話し始めた

小さい頃から親の言う事のみを聞いてきて、まるで操り人形だった事
そんな自分が嫌で、夜な夜な遊びほうけた事
そんな時にマリオネットを聞いて、自分の人生は自分で切り開ける事を知った事

持てる限りの言葉で自分の全て吐き出した

( ^ω^)「……わかったお」

ブーンが静かに言う

( ^ω^)「僕は全力で叩くお」

( ・∀・)「サンキュー」

俺は溢れる歓喜を抑えつつブーンに礼を言い、紙パックの紅茶を渡す

( ^ω^)「そうと決まれば早速練習だお」

ブーンは俺から紅茶を受け取ると、もの凄い早さで帰って行った



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