( ^ω^)の乳首がとんがりコーンになったようです

  
170: ◆qN/NuPH40c :01/30(火) 16:18 KIyT+KBcO
  

7月28日、天気は晴れ


体中に突き刺さるような痛みを感じながら僕は目覚めた。完全な筋肉痛だ。
「痛ッ・・・」

痛みをこらえながら立ち上がる。ベッドを見るとクーさんはまだ寝ていた。

川-_-)「・・・」

女の人が自分の部屋で寝てるのはなんだか不思議な光景だ。
僕はクーさんを起こさないように部屋を出る。

階段を降り朝ご飯の調達のため台所に向かう。
すると僕より先に起きた妹が台所にたっていた。

从*゚∀从「おはようございます。兄様、今日はお早いんですね」

「何となく目が覚めたんだお」

从*゚∀从「うふふ・・・珍しい事もあるんですね。私も早く起きたんですよ。朝から兄様のお顔を見れるなんて・・・早起きの価値がありました」

妹・・・ハインリッヒは誰に対しても敬語で話す。兄である僕が言うのも何だが顔も可愛いし料理もうまい。

ハイン曰く彼氏はいないらしい。

・・・とても心配です。



  
171: ◆qN/NuPH40c :01/30(火) 16:19 KIyT+KBcO
  

从*゚∀从「座っていてください。いますぐ作りますので・・・」

ハインは普段、家にいない。隣の県の学校に行っている。寮生活をしていて長期の休みの時だけ帰ってくる。

たまには僕も兄らしい所見せないとな・・・。

「ハイン・・・今日は僕が作るお」

从 ゚∀从「え?」

「まかせろお!僕は学校の男子の中で6番目に料理がうまいんだお」

从;゚∀从「料理は女の仕事です。兄様に作らせるなんて・・・」

「いいんだお。たまにしかいない妹のためだお。ハインは座ってるといいお」

僕が嫌がるハインをテーブルまで連れていく。ハインは諦めたのか申し訳なさそうに椅子に座った。

僕はハインの頭をなでながら言う。

「僕だってハインの顔が見れて嬉しいんだお。たまにはお兄ちゃんさせてくれお」

从*゚∀从「兄様・・・」



  
172: ◆qN/NuPH40c :01/30(火) 16:22 KIyT+KBcO
  

「よーし、お兄ちゃん頑張っちゃうお!」

意気揚々と冷蔵庫を調べる。使えそうな食材はいくつかあった。

今日の朝食は、味噌汁、鮭の塩焼き、卵焼き、たくわん、ご飯といったところだ。

普段の僕ならパンと牛乳で終わりだがハインにそんな物を食べさせるわけにはいかない。

「サクラサクミライコイユメ〜♪」

お気に入りの歌を歌いながら味噌汁を作る。具材を一口サイズに切り湯を張った鍋に入れる。

次は鮭。塩をかけしみこませる。

从 ゚∀从「兄様・・・手伝いましょうか?」・

「大丈夫だお。僕に任せるお」

再びハインを椅子に座らせ作業を続ける。



やば、卵焼き焦げた!
うはwww味噌汁が噴いてる
たくわんが青くなった!






  
173: ◆qN/NuPH40c :01/30(火) 16:23 KIyT+KBcO
  

「ハイン出来たおー」

从*゚∀从「はい!兄様」

テーブルに出来た料理を並べる。はっきりいって失敗だ。
卵焼きは焦げてるし、味噌汁は味が少し薄いし、鮭は塩が濃いし・・・。
ハインは僕の作った料理をみている。

「ごめんだお。大口叩いたのに失敗しちゃったお・・・こんなの食べたらお腹壊しちゃうお・・・」

从 ゚∀从「いいえ。兄様が作ってくれたお料理です。食べます。」

そう言って僕の料理を食べるハイン。
僕は申し訳なくてハインを止めた。

「無理しなくていいお。ごめんだお」

从*゚∀从「あやまらないでください。とっても美味しいです。兄様の心がこもってますから」

結局ハインは僕の分まで食べた。普段、小食のハインには考えられない量だ。

从*゚∀从「ごちそう様でした」

「・・・次は、次は絶対に美味しいのを作るお。ごめんだお」

从*^∀从「はい。期待しています」



  
174: ◆qN/NuPH40c :01/30(火) 16:24 KIyT+KBcO
  

ハインと一緒に食器を洗い片づけた。最初は断ったが結局はハインに手伝ってもらう。
ハインはやはり手慣れているようでテキパキと洗い物をすませていく。

大和撫子・・・まさにハインのためにある言葉だと僕は思った。
同じ兄弟でここまで違うものだろうか。なんとなく、僕は思った言葉を口にしてみる

「ハインはいいお嫁さんになれるお」

从*゚∀从「そんな・・・お嫁さんだなんて・・・ありがとうございます」

从*^∀从「兄様も良い夫になれますわ」

ハインは僕に微笑みかけた。
ハインの笑顔はタンポポみたいだ。そう思ったことがある。柔らかく健気に、見る人の心を包み込む・・・そんな感じがする



  
175: ◆qN/NuPH40c :01/30(火) 16:25 KIyT+KBcO
  

数もそんなに多くなかったためか洗い物は数分で片づく。
ハインはその後、また僕に感謝の言葉を述べ自室に戻った。我が妹ながらなんて遠慮深いんだろうか。
ツンにハインの爪の垢を飲み薬と塗り薬にわけて処方したいと僕は思う。

くだらない事を考えながら僕も部屋に戻る事にした。だが階段を数段あがった所で気付く、

あ、クーさんの朝食・・・

いそいで台所に戻り冷蔵庫を開ける。一通り物色し、パン2つと紙パックのオレンジジュースを取り出した。足りなかったら後でまた探せばいい。

自室に戻るとクーさんは起きて僕のゲームをやっていた



  
176: ◆qN/NuPH40c :01/30(火) 16:26 KIyT+KBcO
  

「なんのゲームしてるんですかお?」

声をかけてクーさんは初めて僕に気付く。

川゚ー゚)「おはよう。マリオ3だ。懐かしかったもんでな」

キツネマリオが空中を飛んでいた。場所から察するに1ー3だろう。
マリオに対して思う所があったので僕は口を開いた。

「1ー3には白ブロックから通り抜けて隠しアイテムの笛がとれますお」

川゚ー゚)「わかっている。もちろん城の笛の場所も知っているし、1ー4でコインを全てとるとP羽がとれるのは知っているかい?」

「もちろんですお。あまり知られていないけどステージ2にも笛があるんですお」

川゚ー゚)「ハンマーで岩を壊して行く場所だろ?常識だよ。まぁ、笛を取っても使う気は無いけどね。私のプライドが許さない」

何の役にもたたないような会話を僕等は楽しんだ。クーさんのマリオの扱いは神懸かっていて、僕と話をしながらも髭のオッサンが棘亀の手下を踏み潰していく。



  
177: ◆qN/NuPH40c :01/30(火) 16:28 KIyT+KBcO
  

「お腹空いてないですかお?こんな物しかなくてすいませんお」

僕はパンとジュースを彼女に差し出した。彼女は僕に礼を言いパンを受け取る。だが、悲劇はその時に起きた。

ピーーーー・・・

川゚ー゚)「あ・・・」

「あ・・・」

画面の中、空中で動きを止める髭オヤジ。どうやら手を伸ばした時、わずかではあるがコントローラーを引っ張ってしまったのが原因だろう。フリーズしている。

画面を見ながら僕とクーさんもフリーズしていた。
やるせない空気が辺りに漂う。
だが、アクシデントというものは連鎖するらしい。

タッタッタッタ・・・

足音。この部屋に近づいてくる。母ちゃんかハインか・・・判断は出来ない。僕はとっさにクーさんを押し入れに叩き込んだ。

川;゚ー゚)「ふぎゃっ!」



  
178: ◆qN/NuPH40c :01/30(火) 16:29 KIyT+KBcO
  

トン・・・トン・・・

「入ってもよろしいでしょうか」

扉越しに聞こえたのはハインの声。僕はなるべく平静を保ち

「いいお」

と、一言放った。
ハインは扉を開け部屋に入ってくる。

从 ゚∀从「失礼します・・・あれ?兄様、お一人ですか?」

ハインはお盆を持っていて、その上にはコップが二つ乗っている。
僕とクーさんの会話が下まで響いていたんだろう。
僕は慌てて弁解した

「て、テレビの音だお!こんな朝早くから人なんて来ないお!!」

从 ゚∀从「そう・・・ですか。そうですよね。すいません兄様。」



  
179: ◆qN/NuPH40c :01/30(火) 16:31 KIyT+KBcO
  

从 ゚∀从「それでは兄様だけでも飲んでください」

ハインからカップが手渡される。熱いコーヒーが湯気をたてていた。
ミルクたっぷり砂糖少なめ、僕好みのコーヒーだ。
もう一つのカップを持ち部屋を出ようとするハインに僕は声をかけた。

「一緒に飲んでいかないかお?」

ハインはにっこり笑いながら

从*゚∀从「・・・はい」

と返した。


ハインは僕の隣に腰掛けコーヒーをすすった。
猫舌だから熱いのが苦手なのだ。
我慢してコーヒーをすする姿はどことなく微笑ましい。
僕がハインを見ていると、僕が見ている事に気づいたのかハインの顔は真っ赤になった。

从*゚∀从「私ばっかり見てないで兄様も飲んでください!冷めますよ」

「必死にコーヒーと戦うハインの姿は見応えがあるんだお」

从*゚∀从「な、何を言ってるんですか!馬鹿な事ばっかり言わないでください!」

「本当の事だお。ハインもしばらく見ない間に可愛くなったお」

从//∀从「・・・兄様の馬鹿」




川;゚ー゚)「いつになったら出れるんだろうか」



  
186: ◆qN/NuPH40c :01/31(水) 08:24 HSSrgAvxO
  

黒・・・

黒・・・

黒・・・


闇に包まれた混沌の世界。その中で彼女は泣き叫んだ。


彼女は光を欲した・・・

彼女は風を欲した・・・


右腕が痛む、


そして彼女は・・・



泣く事をやめた



  
187: ◆qN/NuPH40c :01/31(水) 08:25 HSSrgAvxO
  

あの女の子が入ってきてから30分はたつんじゃないだろうか?

時間がわからない。
私は時計を持っていない。だが時計があったとしてもこの暗闇の中では無意味なのではないだろうか?

怖い。
初めはわずかだった恐怖が、今では確かなものになっている。

私は闇を恐れている。

その昔、人間は闇を恐れた。そして火を生み出した。
人間は闇を克服したのだ。
だが、今の私はどうだ?
闇に飲まれている。
闇を克服する事も出来ない。
世界の全てが闇のような錯覚すら覚える。

自分の手も見えない。
これは本当に私の手なのだろうか?

私はこの場に存在しているのだろうか?

私は、わたしは、ワタシワ・・・

ワタシワイキテイルノカ?



  
188: ◆qN/NuPH40c :01/31(水) 08:26 HSSrgAvxO
  

女の子が泣いている。

暗い場所で

狭い場所で

女の子は右肩から肘までの皮膚が赤く、めくれていた。

痛いの?

痛いから泣いてるの?

・・・違う、それだけじゃない

この子は・・・寂しいんだ

泣き止んだ少女が振り向いた


真っ赤な目で私を睨んだ


泣いているのは


小さい頃の・・・


・・・私?



  
189: ◆qN/NuPH40c :01/31(水) 08:27 HSSrgAvxO
  

(;^ω^)「クーさん、クーさん」

「・・・ん?」

私は寝ていたみたいだ。目に違和感がある。
私はたまらず目をこすった。
涙の残骸がこぼれた。

「私は、泣いていたのか」

誰に言うわけでもなく私は呟いた。ブーンには聞こえなかったようだ。

彼は私の事を気にかけているのか私を押し入れから出してベッドに寝かせた。
彼の頭には破廉恥な考えは無いみたいだ。目を見ればわかる。

(;^ω^)「ごめんなさいだお。女の人をあんな所に閉じ込めて」

「気にするな。ああしなければ見つかっていたよ。」

(;^ω^)「でも・・・」

「君はいいヤツだな」

けだるい体を起こして彼の頭を撫でた。

「あまり心配するな。それよりもそろそろ小屋に行ったほうがいいんじゃないか?」

(;^ω^)「まだ休んだほうがいいですお」

本気で私を心配してくれているんのか・・・。
人に気遣ってもらうのは旅に出てから初めてだ。

・・・こういうのもたまには良いもんだな



  
190: ◆qN/NuPH40c :01/31(水) 08:27 HSSrgAvxO
  

僕はなんて愚かなんだろうか。
自分が正しいと思いこみ、そしてクーさんに迷惑をかけてしまった。
ハインをすぐに部屋から出せばよかったんだ。

彼女は泣いていた。泣かせたのは僕だ。

僕はもう・・・彼女に涙を流させない。

そう誓った。



戻る次のページ