( ^ω^)ブーンがモルダーなXファイルのようです
- 4:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 11:46:31.23 ID:4XTb/MhrO
- 【トロピカル州-トロピカル山】
月明かりであたりが辛うじて見える程の深い闇夜。
男「な、何だよお前ら?」
大きなリュックを背負った男を集団が囲んでいた。
集団の人間は靴を履かず裸足で、服を着ずにボロ布を身に纏っている。
男「答えろよ!」
男は怯えを隠す為にわざと大きな声をあげたが、足が震えている。
???「やれ。」
集団のリーダーと思わしき男性が声をかけると同時に男を囲んでいた集団の輪が縮んでいく。
男「お、おい冗談だろ?止めろぉ!」
集団が一息つく頃には大きなリュックを背負っていた男は、
集団の人間が着ていたボロ布のようになっていた。
???「神よ…。お待たせいたしました。」
リーダーと思わしき男が跪くと、他の集団の人間も同じように跪く。
暗闇の中から何かの目が、ボロ布となった男を見据えている。
???「ガァァァ!」
- 6:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 11:48:42.31 ID:4XTb/MhrO
- 【VIP-Xファイル課】
( ^ω^)「……。」
この机に座ってる彼の名前はブーン・モルダー
VIPのXファイル課に所属している。
ξ゚听)ξ「はい、はい、分かりました。」
この電話をして紙にメモをとっている女性はツン・デレダナ・スカリー
Xファイル課と言っても、彼と彼女の二人だけの小さな課だ。
ξ゚听)ξ「モルダー、Xファイルかもしれないわ。」
( ^ω^)「事件の内容kwsk」
期待して机から身を乗り出したモルダーの眼は輝いていた。
ξ゚听)ξ「山の中で全裸の変死体が発見されたんだけど、周囲に20〜25人分の足跡があったらしいわ。」
( ´ω`)「それは、ただの集団暴行じゃないのかお?」
先程までの眼の輝きはどこえやら。
モルダーは肩を落とし新聞を読み始めた。
ξ゚听)ξ「それが、周囲に民家らしいものは何もなくて人の気配がないの。」
( ´ω`)「じゃあ、一応捜査をしてみるかお。」
- 7:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 11:50:29.56 ID:4XTb/MhrO
- 【トロピカル山中】
( ´ω`)「VIPです。捜査の協力要請を受けてきましたお。」
二人はVIPの証明書を提示しながら、出迎えてくれた刑事に軽く挨拶をする。
現地刑事「よろしく、モルダー。スカリー。
まずこの足跡を見てくれないか。君達が来ると思って仏さんもこのままだ。」
警察官に促されて足跡を見たモルダーの眼に輝きが戻る。
( ^ω^)「……これは…。」
異様な光景だった。
軽く見て20人分の足跡が遺体の周りについていた。
さらに異様だったのは、その足跡はすべて裸足だったのだ。
ξ゚听)ξ「モルダー。やっぱりあなたの力が必要な事件のようね。」
ため息を尽きながらゴム手袋をはめていたスカリーが
皮肉混じりにモルダーに声をかけた。
( >ω-)「スカリー、これは何だと思うお?」
いつのまにかモルダーはピンセットを使い、
足跡付近に落ちていた毛の塊のようなものを調べていた。
ξ>-)ξ「……。見たところ、猿か何かの毛のようね。」
その毛の集まりは、金色の毛が互いに絡み合い出来たようだった。
- 8:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 11:52:38.20 ID:4XTb/MhrO
- ξ゚听)ξ「とりあえず私は遺体を解剖して何か手掛かりがないか調べてくるわ。」
そう言うやいなやスカリーは救急車に遺体を搬入させ、そのまま遺体と共に去っていった。
( ^ω^)「刑事さん、念の為にこの足跡の指紋を全部取ってくれお。」
刑事はモルダーの頼みに頷くと、鑑識の男に指示を出している。
( ^ω^)「それと、この辺に図書館はないかお?」
刑事「山を降りて少しすると州立図書館があるよ」
ブーンは礼を言うとそのまま自分達が乗ってきて車に乗り図書館へと向かった。
- 9:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 11:55:14.60 ID:4XTb/MhrO
- 【トロピカル州立病院-解剖室】
白衣を身にまといゴム手袋を付けた美しい女性が、
惨たらしい様を晒す男の亡骸を前にして解剖の様子の録音を始める。
ξ゚听)ξ「えー、被害者は男性。年齢は顔が潰れていて今のところは不詳。
…眼球が一つ無くなってるわね。
あと、体中傷だらけで目立たないけど下腹部に開腹された形跡あり。」
スカリーはそう言うと、手で被害者の口を開き口腔内を調べ始めた。
ξ゚听)ξ「…下段左の奥歯が二本差し歯のようね。
つい最近新しく入れた歯だわ。」
これでトロピカル山付近の歯科医師をあたればこの男の正体が分かるだろう。
ξ゚听)ξ「これから死因の特定を始めます。」
そう言うとスカリーはメスを手に作業を開始した。
ξ゚听)ξ「これは酷いわね…。開腹されていた箇所を調べたところ、腎臓が無くなっています。」
スカリーはテキパキと解剖をこなしていく。
ξ゚听)ξ「頭部の検査に移ります。
……酷い打撲を受け内部で大量の出血。これが直接の死因だと思われます。」
……………
- 10:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 11:57:59.86 ID:4XTb/MhrO
- 【トロピカル州立図書館】
モルダーを迎えた州立図書館は、中世の西洋的な雰囲気を醸し出していた。
中へ入ると過去50年分の新聞の情報が入力されたパソコンへと向かい情報を検索した。
……………
( ^ω^)「あったお。
【トロピカル山中でカルト教団による儀式殺人か!?】
……。」
詳細はこうだ。
30年前にトロピカル山に旅行に来ていた登山者が数十名に集団リンチを受け死亡。遺体の右手は食いちぎられ、肝臓が無くなっていた。
その事件が起きた時に、悟りを開こうと山籠もりをしていたカルト教団が疑われたが、証拠不十分で不起訴。
依然、カルト教団は山籠もりを継続中。
( ^ω^)「死体発見場所が今回と同じ場所だお……。」
モルダーは顎を手でいじり何か考え込んでから、この記事をプリントアウトした。
- 11:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 12:02:36.30 ID:4XTb/MhrO
- ………六時間後………
( ^ω^)「…。」
モルダーはトロピカル州に来るために借りた
レンタカーの運転席に腰掛け誰かに電話をかけている。
( ^ω^)「モルダーだ。解剖は終わったかお?」
どうやら相手はスカリーのようだ。
ξ゚听)ξ『今報告書を書き終えたところよ。』
( ^ω^)「お疲れ様だお。
ところで、被害者の内臓が無くなってたりしなかったかい?」
ξ゚听)ξ『…何で分かったの?』
( ^ω^)「そうか。これから調べたい場所が出来たんだが合流出来るかお?」
ξ゚听)ξ『州立病院まで迎えに来るなら良いわよ。』
( ^ω^)「オーケイ」
そう言って電話を切ると、エンジンをかけ州立病院へとハンドルをきった。
- 13:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 12:09:37.38 ID:4XTb/MhrO
- 【トロピカル山への道】
ξ゚听)ξ「で、こんなに暗くなってから何を調べるっていうのよ?」
不機嫌そうなスカリー。
( ^ω^)「これを見てくれお。」
左手でハンドルを握りながら右手で紙を渡す。
ξ゚听)ξ「これは?」
( ^ω^)「30年前に今回と似た事件が起きてるお。その事件の記事だお。」
ξ゚听)ξ「それで、今からカルト教団を捜すってわけね?」
銃の点検をしながらモルダーに確認する。
( ^ω^)「君もなかなか勘が冴えてきたお。」
その確認にモルダーは軽く笑いながら返す。
ξ゚听)ξ「それより、たった二人で捜すの?」
( ^ω^)「この山で山籠もりが出来る場所と言ったら限られてるお。」
ニヤリと笑い、地図上のある一帯を指差す。
- 14:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 12:16:39.52 ID:4XTb/MhrO
- ξ゚听)ξ「何で他の場所じゃ山籠もり出来ないのよ?」
( ^ω^)「この場所と山道以外の森林地帯には、凶暴なチンパンジーが住んでいるんだお。
さぁ、ここからは歩くお。」
車を停めてライトで周囲を警戒しながら二人は車を降りた。
………30分後………
【トロピカル山-山肌】
ξ;゚听)ξ「ハァハァ…。ここまで来るのでけっこう疲れたわね…」
スカリーが汗をかいている事からかなり登るのが辛い事が分かる。
( ^ω^)「スカリー、ちょっと来てくれお」
ξ゚听)ξ「……。」
呼ばれた先には、明らかに人工的な装飾が施されている洞窟の入り口があった。
( ^ω^)「ここで見張っててくれお。」
そう言うと銃を抜いてモルダーは足早に内部の捜索に行った。
ξ゚听)ξ「ふぅ。本当に自分勝手なんだから…。」
- 15:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 12:24:01.71 ID:4XTb/MhrO
- ( ^ω^)「(…、段々道が広くなってくお。)」
モルダーが進んだ先には会議場、いや小さな体育館位の広さを有する
集会場のような場所が待っていた。
( ^ω^)「(ここは……?)」
銃を構え慎重に進むモルダーの目に、ある物が映った。
( ^ω^)「(これは…祭壇?)」
派手で悪趣味な装飾を施した祭壇のようなものが、
集会場の前方に据えられていたのだ。
その時、洞窟の入り口で銃声が鳴り響いた。
( ;^ω^)「スカリー!?」
言葉を発した直後、モルダーは身を翻し元来た入り口へと走って行った。
( ^ω^)「スカリー!?」
外へ出た時にはもうスカリーの姿は無かった。
( ;^ω^)「(あそこだお…。)」
- 17:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 12:25:59.91 ID:4XTb/MhrO
- 【死体発見場所】
ξ;゚*゚)ξ「ウグ……。」
スカリーは猿ぐつわをはめられ、両手を縛られ身動きがとれない。
謎の集団1「こそこそと嗅ぎ回りやがって…。」
裸足にボロ布を着た男がスカリーを見下ろす。
謎の集団2「教祖様、神をお連れいたしますか?」
教祖「神はまだ空腹が収まっていない。お連れしろ。」
教祖と呼ばれる男が集団の後ろから現れた。
謎の集団2「はっ!」
教祖「貴様ら凡愚どもは私達をカルト教団などと呼びおって…。」
教祖と呼ばれる男が乱暴にスカリーの髪を掴み、顔を持ち上げる。
ξ;*;)ξ「んんん!」
スカリーは痛さのあまり喚いてしまった。
教祖「神に捧げる支度をしろ!」
- 19:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 12:28:06.26 ID:4XTb/MhrO
- 教祖と呼ばれる男が叫ぶと、スカリーへ歩を近付ける信者たち。
ξ>*<)ξ「(さようなら)」
スカリーが観念して目を瞑ると一発の銃声が山の中に響いた。
(# ^ω^)「VIPだ!今すぐ全員伏せろお!」
………間一髪。
息を切らしたモルダーが威嚇射撃を空に向けて発射した。
教祖「…我々が凡愚の命令を聞く必要はない。続けろ。」
一度立ち止まった信者たちは、再びスカリーへと近付く。
その時だった。
信者3「神様!?」
その信者の視線の先には、
全身が金色の体毛に覆われた3メートル程もある巨大なチンパンジーが興奮の声をあげて
モルダー達の事を見ていた。
- 20:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 12:35:25.56 ID:4XTb/MhrO
- 信者2「教祖!神が先程の銃声に興奮して暴走しました!」
先程【神】と呼ばれるチンパンジーを連れに行った信者が叫んだ。
教祖「神よ鎮まれい!」
教祖がそう言うと教団の人間が一人残らず跪いた。
神の歩く先には身動きが取れないスカリー。
( ;^ω^)「スカリー!土下座しろお!」
モルダーが一か八かのアドバイスをスカリーに送る。
ξ;*;)ξ「!?」
スカリーはモルダーの言う意味が分からなかったが、
モルダーの言葉に素直に従い土下座をした。
すると、神はモルダーの方向に向きを変え歩みよってきた。
( ;^ω^)「落ち着けモルダー…。」
だが落ち着いている時間は無かった。
モルダーに向きを翻した神は次の瞬間には雄叫びをあげながら全力で走ってきたのだ。
- 40:◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 14:09:03.48 ID:4XTb/MhrO
神が全力で走って来たのが幸いし、モルダーは神の突進を横っ飛びで避けられた。
そしてラッキーな事に、モルダーの後ろにあった大岩に神が激突したのだ。
神「ガァァァ!」
神が苦痛の声をあげる。
もう立てないか…?
否、神は何のダメージもなく立ち上がった。
( ;^ω^)「チンパンジーの急所は何処だお……?」
神「がぁ!」
神が近くにあった岩をモルダーに投げ飛ばす。
ギリギリでモルダーは避ける事が出来た。
(# ^ω^)「あんな化け物の弱点なんて知らねぇお!」
再度神が突進してくる。
―――モルダーは銃を構えて動かない…
- 21:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 12:40:09.16 ID:4XTb/MhrO
- ―――巨大な神が声を張り上げモルダーに向かって走り寄る。
( ^ω^)「…。」
―――巨大な神がモルダーへ近付く。
( ^ω^)「……。」
―――巨大な神が拳を振り上げる。
ξ;*;)ξ「ンンン―!」
いつの間にか土下座するのをやめ、声にならない叫びをあげるスカリー。
( ^ω^)「…!」
神の拳が振り降ろされようとするその瞬間、モルダーは構えた銃のトリガーを引いた。
轟音を響かせ鉛玉を吐き出す銃口の先には寸分の狂いもなく、神の額があった。
- 23:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 12:44:42.52 ID:4XTb/MhrO
- 神「ア……」
――崩れおちる神。
教祖「おおぉぉ……!」
――崩れおちる獣の信者たち。
( ^ω^)「スカリー、大丈夫かお?」
モルダーはスカリーの方へと歩みより彼女の拘束具を外すと、共に車へと戻って行った。
( ^ω^)「モルダーです。はい。よろしく頼みました。」
何処かへ電話をするモルダー。
おそらく警察だろう。
- 24:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 12:49:47.88 ID:4XTb/MhrO
- ………三日後………
【トロピカル州立病院-病室】
( ^ω^)「大丈夫かお?」
メロンを片手にモルダーが病室へ入ってきた。
ξ゚听)ξ「えぇ。頭を殴られただけで、ただの検査入院だから。」
( ^ω^)「土産だお。」
メロンを置くモルダー。
( ^ω^)「事件の事後処理が終わったから報告に来たお。
教団はみんな逮捕されて、あの化け物の死体は動物研究所へサンプルとして送られたお。」
ξ゚听)ξ「そう…。」
……………
- 25:Case.1【崇拝】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/01(月) 12:54:11.61 ID:4XTb/MhrO
- ………数日後………
【VIP-Xファイル課】
スカリーは報告書を作っている。
ξ゚听)ξ「…。」
【トロピカル山中集団暴行事件の報告。】
若い旅行者が25人の男女のカルト教団に暴行を受け死亡。
そのカルト教団は、突然変異体のチンパンジーを神と呼び崇拝し、10年に一度人間の死体をチンパンジーに補食させていた。
チンパンジーはVIPのモルダー捜査官が射殺。チンパンジーの死体は調査の為に地元の動物研究所に移送。
ξ゚听)ξ「ふぅ。」
Case.1【崇拝】fin
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