( ^ω^)ブーンがモルダーなXファイルのようです

  
124:Cace2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:00:20.54 ID:amkhhmKFO
  
この世界で経済力・軍事力ともに他国を圧倒する超大国アメリカ。

そのアメリカの商業の中心都市がラウンジ市だ。

ショーウィンドウが立ち並び、ネオンが光り輝くこの華やかな表通りを歩く人間はみな、笑顔と会話を絶やさない。

一見、闇などないように見えるこの街だが、どこの街にも影はあるものだ。

【ラウンジ市-裏通り】

赤いハイヒールを履いた女が薄暗い裏通りを歩いている。
道を照らす光は古びた街灯しかない。

突然、赤いハイヒールの女が立ち止まった。
いつの間にか彼女の前には背の高い奇妙な男が立っていたのだ。



  
125 :File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk [CaceからFileにしてみました] :2007/01/02(火) 17:03:24.14 ID:amkhhmKFO
  
なぜ男が奇妙かというと、服装が特異なものだったからだ。

頭部には一昔前のマジシャンが被るようなシルクハットがあり、体は黒いマントですっぽりと包まれている。
それだけならまだただの紳士風な男だと思えるのだが、男はそれだけでは無かった。

歌劇オペラ座の怪人で使用するような仮面を被っていたのだ。

赤いハイヒールの女は驚き身を翻して逃げようとするが、紳士風の男は女の腕を掴み再び自分の方を向かせた。

次に男は空いている右手を振り上げ、女目掛けて素早く振り下ろした。

その瞬間、大都市の裏通りには綺麗な赤い花が咲いた。



  
127:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:08:06.69 ID:amkhhmKFO
  
………三ヶ月後………

【VIP-Xファイル課】

ブーン・モルダーは使い慣れた自分の席に座り、足を机に上げて新聞を読んでいる。

( ^ω^)「スカリー、この新聞を見てくれお。」

ξ゚听)ξ「…。」

モルダーから投げられた新聞数部を綺麗に片手でキャッチしたツン・デレダナ・スカリーはそれぞれの新聞の一面記事の題名をザッと目にする。

【現代に蘇った切り裂き魔!】

【ジャック・ザ・リッパーJr】

【女性のみを標的とした悪魔!】

ξ゚听)ξ「…ふざけてるわね。これじゃあ新聞社はただ煽ってるだけじゃないの。」

スカリーは溜め息をついて新聞をソファーの上に投げ出す。



  
128:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:08:52.98 ID:amkhhmKFO
  
( ^ω^)「だけど、あのラウンジ市警が三ヶ月間も尻尾を掴めないとすると……。」

ニヤニヤしてスカリーを見るモルダー。

ξ゚听)ξ「まさかXファイルd

( ^ω^)「その通りだよスカリー君!」

スカリーの声を遮って大声をあげたモルダー。

( ^ω^)「新聞の記事を読んでないのかお?
被害者の切り傷は、最初の殺人から三ヶ月経った今も何の刃物で切られたのか分かってないんだお。」

モルダーの耳には大きな溜め息が聞こえたが、モルダーは聞こえないふりをした。



  
130:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:12:58.13 ID:amkhhmKFO
  
【ラウンジ市警察署-連続斬殺事件対策本部】

( ^ω^)「VIPからきました。モルダーとスカリーです。」

VIPの身分証を出しながら対策本部長へと自己紹介をする。

ξ゚听)ξ「よろしくお願いします。」

本部長「捜査協力感謝します。公には知らされていないのですが、まずはこれを見てください。」

モルダーが本部長に渡された数枚の写真は、想像を絶するものだった。

( ^ω^)「これは…。」


一枚目の写真の被害者は、左肩から右の脇腹にかけて一直線に切り裂かれ上半身と下半身が分離していた。

二枚目の写真には、首と体が綺麗に切り離された被害者が写っていた。

その他の写真に写っていた被害者も同じように体が二つになっていたのだ。



  
131:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:14:48.84 ID:amkhhmKFO
  
ξ゚听)ξ「遺体はまだ保管されてますか?」

スカリーが本部長に尋ねる。

本部長「最近の遺体ならまだ安置所にある。だが解剖しても何も分からないよ?」

本部長はお手上げといった感じでスカリーに視線を向ける。

ξ゚听)ξ「いえ、私にとって解剖は捜査の基本ですから念の為に調べてみます。」

本部長「そうか。君、スカリー捜査官を検死室までお連れしろ。」

本部長が若い刑事に声をかける。

若い刑事「はい。」

( ^ω^)「で、捜査の進展状況を教えてもらいたいお。」

本部長「現在分かっている事は、犯人が赤い装飾品を身に付けて裏通りを歩いている女性を狙うとゆう事だけだ。
それと、暗視カメラを裏通り中に設置した。」

( ^ω^)「赤い装飾品?」

モルダーが反応する。

本部長「あぁ。赤いハイヒール、赤いバッグ、赤いドレスなど被害者はみんな赤い装飾品を身に付けていた。」

( ^ω^)「(愉快犯か…?)」



  
132:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:17:09.59 ID:amkhhmKFO
  
【ラウンジ市立病院-検死室】

助手「今日はよろしくお願いします。」

男の若い助手と共に白衣に身を包み、
中央の台に女の首と体が別れた遺体が置いてある検死室へ入ってくるスカリー。

ξ゚听)ξ「防腐処理は既にしてあるわね?」

助手「はい。VIPから捜査官が来ると聞いて昨日のうちに済ませました。」

ξ゚听)ξ「それにしても凄い綺麗な切り口ね…。」

女の首の断面に顔を近付けながら観察するスカリー。

助手「世界中の刃物のデータと比較しましたが、ここまで綺麗に首を切断する事が出来る刃物はありませんでした。」

ξ゚听)ξ「…。他に異常はある?」

首の断面から目を離さずに助手に聞く。

助手「いえ、首が切り離されている以外はどこも異常ありません。」

ξ゚听)ξ「………。」



  
133:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:20:10.88 ID:amkhhmKFO
  
【ラウンジ市-裏通り】

つい最近殺人事件が起きたこの裏通りでは、今は大人数の警官が事件の鍵を探していた。

( ^ω^)「(昼でも薄暗い所だお。)」

多数の警官と付近を捜索するモルダーだが、一向に何も見付からない。

( ^ω^)「(…きっと何かあるはずだお。)」

………四時間後………

刑事「よーし、今日はもう終わりだ。お疲れさん。」

現場監督らしき刑事が終わりの合図をすると蜘蛛の子を散らしたように帰る警官たち。

( ^ω^)「(ここまで何も見つからないとなると、やはりXファイルの線が高いお。)」



  
134:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:21:46.26 ID:amkhhmKFO
  
【警察署-対策本部】

一日の捜査を終え、報告をしに対策本部へ集まる警官たち。
その中にモルダーやスカリーの姿もあった。

( ^ω^)「何か分かったかお?」

ξ゚听)ξ「全く。」

肩をあげ、お手上げといった様子のスカリー。

ξ゚听)ξ「そっちは何か分かったの?」

( ^ω^)「こっちも何も分からないお。」

疲れた顔のモルダー。

( ^ω^)「でも、警察が裏通り中に暗視カメラを仕掛けたらしいから、今夜は寝ずにチェックするお。」

モルダーはまたもやスカリーの溜め息が聞こえないふりをした。



  
135:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:23:57.10 ID:amkhhmKFO
  
【深夜三時】

担当の刑事とカメラのチェックを始めて既に五時間が経過していた。

カメラに映るのは野良犬やホームレスばかりだった。

ξ゚听)ξ「私、もう寝るわ。仮眠室を貸してもらったから何かあったら起こして。それじゃあ。」

あくびをして歩いていくスカリー。

その時、カメラに赤いバッグを持って裏通りを歩く女の姿が映った。

( ^ω^)「スカリー!」

モルダーの声を聞いて戻ってくるスカリー。

ξ;゚听)ξ「これは……。まずいわよ!早く現場に向かわなきゃ!あなたはここにいて、私達に指示を出して!」

刑事「はい!」

そう言い残すと二人はパトカーを拝借し、女の元へ向かった。



  
136:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:25:44.14 ID:amkhhmKFO
  
あと一分で女のいる路地へ着くというところで、モルダーの携帯に連絡が入った。

( ^ω^)「…何!?分かったお。追跡を頼む。」

スカリーが不安そうな顔でモルダーを見る。

( ^ω^)「……女が奴に殺されたお。カメラで奴の姿は捉えているから、これから追跡をするお。」

ξ゚听)ξ「………了解。」

その後すぐに女の死体を発見し、車から降りて追跡を開始するモルダーたち。

( ^ω^)「奴はどこだ!?」

携帯を片手に叫ぶモルダー。

刑事『そこからずっとまっすぐ行ったところに逃げ込みました。』

( ^ω^)「警察を大勢そこへ呼んで、そのまま見張ってろお!スカリー、こっちだ!

安全装置を外した銃を構えながら走る二人。

刑事『その辺りに隠れています。』

( ^ω^)「…スカリー、右を頼む。」

頷くスカリー。



  
137:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:27:16.27 ID:amkhhmKFO
  
( ^ω^)「(奴はどこだお?)」

辺りを警戒しながら捜索する。

( ^ω^)「奴はまだ逃げてないか?」

再び携帯を取り出すモルダー。

刑事『はい。どのカメラにも捜査官以外は映っていません。もうじき応援が到着します。』

その後、応援に来た警察官と共に周囲を捜索したがそれらしき人物は見つけられなかった。

( ^ω^)「(何でいないんだお…?)」

本部長「私に何か出来る事はないかね?」

焦りが見えるモルダーに本部長が声をかけた。

( ^ω^)「……、捜査範囲の拡大をお願いします。」

すぐに本部長は警察官に指示を出した。

本部長「後の事は我々がやるから今日は休め。」

モルダー達を気遣って本部長が声をかけた。

( ^ω^)「それでは、すみませんがお願いしますお…。」

ξ゚听)ξ「モルダー、あのカメラをチェックしていた刑事から連絡なんだけど、
カメラの映像は荒すぎて犯人特定の手掛かりにはならないみたいよ…。」



  
138:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:28:20.20 ID:amkhhmKFO
  
ため息をつくモルダーと共にパトカーへ向かうスカリー。

ξ゚听)ξ「(モルダーが焦ってる…?)」

モルダーの小さな変化をスカリーは見逃さなかった。

ξ゚听)ξ「今日はもう休みましょ?こっちへ来てからずっと働きっぱなしよ。」

( ^ω^)「…そうするお。」

暗い表情のモルダー。

………翌朝………

【警察署-対策本部】

本部長「君達、待っていたよ!」

興奮気味の本部長を見てすかさずモルダーが尋ねる。

( ^ω^)「何かありましたか!?」

本部長「昨夜捜査範囲を拡大してから、一人の男を裏通りで確保したんだよ。」

( ^ω^)「どんな男ですか!?」

すかさず言葉を発するモルダー。

本部長「エドガー・ミリガンという男だ。妙な格好で捜査範囲付近で寝ていた。」



  
139:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:29:14.26 ID:amkhhmKFO
  
( ^ω^)「尋問できますかお?」

本部長「あぁ。するか?」

黙って頷くモルダー。

【警察署-尋問室】

薄暗い尋問室。その中央のテーブルには、長身の奇妙な男が座っていた。

奇妙だと言うのも、エドガーは妙な格好をしていたのだ。

手品師が被るようなシルクハット。それに加え全身をすっぽり包む黒いマントを着ていたのだ。

( ^ω^)「VIPのモルダー捜査官だ。昨夜の話を聞かせてもらえるかお?」

丁寧に語りかけるモルダー。

だがそんなモルダーの言葉に答えようとしないエドガー。

本部長「ずっとあの調子なんだよ。」

ξ゚听)ξ「困りましたね…。」

尋問室の外から、室内のカメラ映像を見てスカリーと本部長が会話をしている。



  
140:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:30:21.02 ID:amkhhmKFO
  
エドガー「腹ぁ、減ったなぁ。」

モルダーが必死に質問をしていたが、返ってきた最初の言葉はモルダーの問い掛けの返答ではなかった。

( ^ω^)「……。」

黙ってモルダーは部屋を出る。

部屋に戻ってきたモルダーはフルーツのカゴを持っていた。

( ^ω^)「こんなのしかないけど、食えお。」

エドガー「なかなか話わかんじゃねぇか。」

ニヤニヤしてバナナを一本取り、モルダーを見るエドガー。

エドガー「で、俺に何が聞きたいんだ?」

( ^ω^)「率直に聞くお。君は昨夜人を殺したかお?」

何も答えず笑っているエドガー。

( ^ω^)「…。赤い装飾品を付けた女性が次々と殺されている。君はその現場の付近で寝てたんだお。」



  
141:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:31:16.78 ID:amkhhmKFO
  
モルダーの言葉を聞いて口を開くエドガー。

エドガー「残念だけどな、俺は重度の色盲で色がわからねぇんだよ!」

また笑っているエドガー。

( ^ω^)「………。」

エドガー「じゃあ俺は帰るからな。」

エドガーが席を立ちドアに手をかける。
その瞬間、モルダーがエドガーの背後から声をかけた。

( ^ω^)「エドガー!」

振り向いたエドガーの顔を目掛け真っ赤なリンゴを投げる。

エドガーは片手でリンゴをキャッチした。

( ^ω^)「一日もらった礼だ。持ってけお。」

エドガー「サンキュー。」

またニヤニヤ笑って、帰っていくエドガー。



  
142:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:32:10.26 ID:amkhhmKFO
  
【警察署-尋問室前】

ξ゚听)ξ「何も分からなかったけど、彼が色盲というのは本当みたい。」

医師の診断書をモルダーに見せるスカリー。

ξ゚听)ξ「これで、色が分からない彼は犯人じゃないわね。」

( ^ω^)「いや本部長、彼を見張って下さいお。」

本部長「何故だね?彼は色盲で赤い装飾品など分からないはずでは?」

分からない、といった顔でモルダーを見る本部長。

( ^ω^)「いや、彼は最低でも赤色は分かるお。」

ξ゚听)ξ「何でよ?」

( ^ω^)「彼が部屋から出る時に真っ赤に熟したリンゴを顔のど真ん中に投げたお。
あの薄暗い室内で熟したリンゴを背後から急に投げられたたら、色盲の人間に片手でキャッチ出来るわけないお。」

ξ゚听)ξ「なるほど…。」

感心しているスカリー。

( ^ω^)「僕達もエドガーを見張るお。」



  
143:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:33:20.18 ID:amkhhmKFO
  
………深夜………

【裏通り】

赤いドレスを着た女が歩いている。

その背後には黒いマントを着た殺人鬼。

殺人鬼が右手を振り上げた瞬間、銃声が鳴り響く。

( ^ω^)「エドガー・ミリガン!両手を地面につけろお!」

たったいま空へ向けて撃った銃を、エドガーに構えるモルダーとスカリー。

その姿を見た瞬間に逃げ出す殺人鬼。

( ^ω^)「…。(逃がす訳にはいかないお。)」

銃弾をエドガーへ撃つモルダー。

エドガーの背中に銃弾は当たり、地に倒れ込む。

サイレンが鳴り響きパトカーが到着する。

( ^ω^)「後はよろしく頼みますお。」

警察官に事後処理を頼み、車へと戻る二人。

………………



  
144:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:34:23.79 ID:amkhhmKFO
  
………数日後………

【VIP-Xファイル課】

ξ゚听)ξ「モルダー、ラウンジ市警から連絡があったわ。」

読んでいた雑誌を置いてスカリーの方を向くモルダー。

( ^ω^)「で、動機は分かったお?」

ξ゚听)ξ「…………………………………。」

スカリーはモルダーへ一通りの報告をした。



  
145:File2.【怪人】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/02(火) 17:35:58.39 ID:amkhhmKFO
  
その後、スカリーはVIP上層部への報告書作りを始める。

【ラウンジ市連続殺傷事件の報告】

先天的な色盲だったエドガー・ミリガン。
ある日彼は何らかの原因で赤い色が発する光線のみ見えるようになる。
その後彼は赤い物を持つ人間を殺し、その人間の赤い返り血を見て快感を得る為に殺人を犯す。
凶器は、未だに不明。

ξ゚听)ξ「……。」

Cace2.【怪人】fin



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