( ^ω^)ブーンがモルダーなXファイルのようです

  
2: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 13:51:15.58 ID:6YAiIOfmO
  
【セピア空港-航空管制塔】

この日セピア州全土を記録的な大雨が襲い、何便かの飛行機が欠便となった。

その関係でか、航空管制塔にはいつものような慌ただしさが無く、ある一種の余裕のようなものさえあった。

――レーダーが、ある物体を捉えるまでは。

管制官「管制塔からEVA航空507便へ。応答を願います。」

機長『こちらEVA航空507便機長。どうぞ。』

管制官「レーダーがそちらの機体に接近する国籍不明の高速飛行物体を捉えています。
至急確認をお願いします。」

機長『了解。マーク、確認を頼む。』

副機長『はい。………何だこれは!?』

機長『どうした!?』

副機長『物凄い速さの物体がこちらに接近中です!』

機長『衝突までの時間は!?』

副機長『もう間に合いません!』



  
4: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 13:54:29.27 ID:6YAiIOfmO
  
………翌日………

【VIP-Xファイル課】

デスクに腰掛け、黙って新聞を読む男が一人。

( ^ω^)「………。」

ξ゚听)ξ「そんな真剣に何読んでるのよ?」

何も喋らずに、ただ読んでいた新聞をスカリーに手渡すモルダー。

ξ゚听)ξ「えーと、
【隕石衝突か!?EVA航空507便墜落!現場は軍が封鎖】

[昨夜未明、セピア州上空を飛行するEVA航空507便が墜落。軍が救出作業の為に墜落場所の州立自然公園を封鎖した模様。
住人からは、隕石がEVA航空507便に衝突したとの目撃談も届いた。]

……読まなきゃ良かったわ。」

そう言うとため息をついて新聞を置く。

( ^ω^)「ただの飛行機事故じゃない事は、軍が封鎖している点からも明白だお。
僕は君が止めたってセピアに向かう。付いて来るか、付いて来ないかは君の自由だお。」

呆れたような顔をしてモルダーの顔を見るスカリー。

ξ゚听)ξ「…どうせ明日から非番だし行ってあげても良いわよ。」

満足そうな笑顔で頷くモルダー。



  
6: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 13:57:14.78 ID:6YAiIOfmO
  
( ^ω^)「何か音楽でもかけるかい?」

陽気に鼻歌を歌いながら車を運転するモルダー。

ξ゚听)ξ「音楽はかけなくて良いから、今のうちに事件の説明をしてちょうだい。」

スカリーにはいらないと言われたが、音楽をつけ事件の説明を始める。

( ^ω^)「EVA航空507便が墜落したセピア州立自然公園は、
巨大な公園のほとんどが木にうめつくされている森林地帯だお。」

スカリーが音楽を止め、事件の内容のメモを取る。

( ^ω^)「…。その巨大な公園を軍は救出作業を理由に丸ごと赤外線で包囲したんだお。
僕が手にいれた情報だと、公園内にベースキャンプをしいて何かを捜しているらしいんだお。」

ξ゚听)ξ「で、あなたは軍が捜しているのはUFOだって言いたいの?」

スカリーの問いに目線で答える。



  
7: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:00:09.71 ID:6YAiIOfmO
  
( ^ω^)「話を続けるお。そのベースキャンプに大量の武器や機器が運ばれたとの情報を僕の仲間が得たんだお。」

ξ゚听)ξ「…仲間って、UFO研究会かオカルト研究会の方?」

腕を組みながら圧力的に質問するが、それに彼は笑顔で答える。

( ^ω^)「何かご不満でも?」

ξ゚听)ξ「いいえ何も。」

目を合わせずにそっけなく答える事からも不満がある事が伺えた。

ξ゚听)ξ「それより聞きたい事があるの。軍が包囲してるのに私達は公園内に入れるの?」

( ^ω^)「そう!問題はそこなんだお。
だが君の言うUFO研究会の人間が、人間の最も大切な知的探求心を満たすために地下通路を掘ったんだお。」

モルダーはスカリーのため息を無視し、満面の笑みで運転を続ける。



  
8: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:02:49.83 ID:6YAiIOfmO
  
( ^ω^)「地下通路と言っても、軍の赤外線の下に穴を掘ってそこをくぐるだけの原始的なものだけどね。」

ξ--)ξ「……。」

呆れている。

( ^ω^)「スカリー見えてきたお。あの森だお。」

車を降りてトランクから大きな荷物を取り出すモルダー。

ξ゚听)ξ「で、その重装備には何の意味があるの?」

小さなリュックを背負ったスカリーがモルダーに問い掛ける。

( ^ω^)「必要となってからのお楽しみだお。」

( ^ω^)「たしか、この辺に………あったお。」

なんとモルダーが手で探っていた場所から、上下開閉式の入り口が見えてきた。

( ^ω^)「あ、ここに赤外線があるから触れたら軍人が飛んでくるから気を付けてお。」



  
9: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:05:07.81 ID:6YAiIOfmO
  
【セピア州立自然公園】

公園内部は様々な木が互いに絡み合い、昼でも陽の光りがあまり入ってこなく、薄暗かった。

ξ゚听)ξ「ふ〜。もう少し大きな穴を掘ってほしかったわね。」

( ^ω^)「スカリー静かに。
…あれを見ろお。」

モルダーが指指す先には、軍用トラックに何かの残骸を詰め込む数人の軍人がいた。

スカリーがモルダーに視線を戻すと、彼は夢中でデジタルカメラのシャッターをきっていた。

ξ゚听)ξ「そのカメラが重装備その1ってことかしら?」

モルダーはスカリーを見ずに、ただ笑顔で答える。

( ^ω^)「スカリー、今日は記念すべき日になるお。
この画像を【フレンズ】に転送する事でUFOの実態に確実に近付く事になるお。」

ξ゚听)ξ「【フレンズ】って?」

( ^ω^)「君の言うUFO研究会の人達だお。」

ξ゚听)ξ「それはご苦労様。」

興味がない、という事を前面に押し出した喋り方だった。



  
12: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:08:03.43 ID:6YAiIOfmO
  
( ^ω^)「じゃあ、彼等の探し物を僕達も探そうか。」

スカリーにある疑問が浮かぶ。

ξ゚听)ξ「ちょっと待って。さっき私は軍がトラックに積んでいたのがUFOだと思ったけど、違うのかしら?」

( ^ω^)「UFOの残骸だと見て間違いないお。」

ξ゚听)ξ「まさかあなたは、軍の所有物を奪い取るっていうの?」

( ^ω^)「君は二つの勘違いをしているお。
一つ目の間違いは、僕達がこれから探すのはUFOではない。
二つ目の間違いはUFOは軍の所有物ではないという事だお。」

ξ゚听)ξ「はいはい。分かったわよ。
で、私達は何を探すの?」

その言葉を聞いて目が輝くモルダー。

( ^ω^)「UFOの搭乗者だお。」



  
13: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:11:19.68 ID:6YAiIOfmO
  
その時、モルダーの背後にあるスピーカーから声が鳴り響く。

『捜索班へ!目標はA―3ブロックへ移動中。至急包囲せよ。』


ξ゚听)ξ「……。あそこ、軍人が走ってくけどどうする?」

( ^ω^)「……少し待つお。」

そう言うとモルダーは携帯を取り出して誰かに電話を始める。

( ^ω^)「モルダーだお。ラングリー、聞こえてるな?」

ラングリー『あぁ聞こえてるよ。』

( ^ω^)「軍の連中はこの森を地域区分しているお。
軍のコンピューターからその区分を把握出来る地図を盗んでこっちへ転送してくれお。」

ラングリー『少し待っていろ。』

続いてモルダーは大きなリュックから、ノートパソコン程の大きさのプリンターのような物を取り出した。



  
14: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:13:48.57 ID:6YAiIOfmO
  
モルダーが電話を切ると同時にスカリーの質問が飛んできた。

ξ゚听)ξ「今の電話は誰なの?」

( ^ω^)「君の言うUFO研究会、ローン・ガンメンっていう超常現象研究会だお。」

その時モルダーのプリンターのような物から、公園の地図がプリントアウトされた。

ξ゚听)ξ「で、そのローン・ガンメンが何で軍の地域区分がされた地図を入手出来るわけ?」

スカリーはプリントアウトされた地図を見ている。

( ^ω^)「ラングリーっていうハッキングに長けた人がいるんだお。
さぁ、お喋りはこの辺にしてA―3エリアへ向かおう。」



  
15: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:15:09.70 ID:6YAiIOfmO
  
【セピア州立自然公園-A―3エリア】

30〜40名の軍人が、中心に銃を構えながら円を作っている。

その円の中心には、灰色の生物がいる。

その生物は四足歩行をし、目が大きく、尖った背びれのような物がついていた。

???「全兵士に告ぐ!麻酔弾の使用以外は認めん!」

その軍の司令官と思わしき身なりの軍人が拡声器を使い叫ぶ。

司令官「照準合わせろ!……撃て!」

周囲一帯に轟音が鳴り響く。

司令官「撃ち方やめ!目標を確認しろ。」

円を形成していた軍人のうち、10名程が円の中心に歩いて行きあたりを見回す。

軍人「……見当たりません。逃げられました。」

司令官「…総員、索敵に戻れ。」

そう言い残すと司令官と思わしき男はジープに乗り、どこかへ消えていく。



  
16: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:17:21.91 ID:6YAiIOfmO
  
【A-3エリア付近】

軍人の集団を、集団から十数メートル程離れた場所から見ていたスカリーが口を開く。

ξ゚听)ξ「何なのよ今のは……。」

( ^ω^)「これで君も異星人を信じるかい?」

先程まで夢中でシャッターをきっていたデジタルカメラを見つめ、満足気なモルダー。

( ^ω^)「分かった事は二つだお。
一つ、この公園内にいる異星人は四足歩行をし、銃撃を避ける素早さを持っている。
二つ目は、僕達はまだ軍の奴らに負けてはいないお。」

ξ゚听)ξ「…で、異星人を捕まえてどうする気?」

( ^ω^)「僕達は彼を捕まえるんじゃなく、人体実験からの保護をするんだお。」

ξ゚听)ξ「はいはいオーケイ。じゃあ、まずはあの異星人を捕まえられるカウボーイを連れてきましょ。」

馬鹿にしてるのか、真面目に言ってるのかは明白だった。



  
17: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:20:19.50 ID:6YAiIOfmO
  
その後二人は軍人が散会を始めたA―3エリアを離れ、森の中で見つけた小屋で一時の休息をとる事にする。

【森小屋】

小屋の中は、中央に木製のテーブルが置いてありイスが二つあるだけの質素なものだった。

ξ゚听)ξ「…ねぇ、こんな所にいて軍の連中に見つからないの?」

( ^ω^)「……見つからないという保証はないが、
さっき見た感じでは四足歩行するタイプの生物だったからたぶん室内までは軍も探しに来ないお。」

デジタルカメラを操作しながらも、スカリーの問いにはしっかりと的をついて答える。

ξ゚听)ξ「さっきの異星人、ちゃんと写ってる?」

( ^ω^)「……バッチリだお。」

モルダーの持つデジタルカメラのディスプレイ部分には、灰色の生物が鮮明に写されていた。

ξ゚听)ξ「…すごいじゃない。」

さすがのスカリーもあまり言葉が出ないようだ。



  
18: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:22:43.07 ID:6YAiIOfmO
  
画像をチェックしたモルダーは携帯を取り出し、またどこかへ電話をかける。

( ^ω^)「バイヤーズ、僕だお。
灰色で目が大きく背びれが付いた異星人の情報を頼むお。」

そう言い終わるとすぐに電話をきった。

ξ゚听)ξ「今のもローン・ガンメンとかいう人なの?」

( ^ω^)「そうだお。
今のは、ショボン・フィッツジェラルド・バイヤーズ。
いつもスーツを着ているローン・ガンメンのリーダー的な人で、軍事機密に精通しているお。」

ξ゚听)ξ「さっきのハッキングの人は?」

メモを取りながらモルダーに次の質問をする。

( ^ω^)「リチャード・ハインリッヒ・ラングリー。
長髪のロッカーみたいな人だけど、ハッキングの技術は一流だお。」

スカリーは素早くメモを取り終える。

ξ゚听)ξ「他にはいるの?」

( ^ω^)「メルビコーズ・フロハイスキーって人もいるお。彼は……」

言葉に詰まるモルダーを見てスカリーが目線で問い詰める。

( ^ω^)「スカリーの大ファンなんだお。」



  
19: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:25:05.85 ID:6YAiIOfmO
  
そんな会話を終えた頃、モルダーの携帯が震えた。

バイヤーズ『モルダー、君の言う特徴を持った異星人の件だ。
そいつは南米で目撃されるチュパカブラと呼ばれる未確認生命体に酷似している。』

( ^ω^)「チュパカブラ?」

モルダーが一際大きな声を発する。

バイヤーズ『あぁ。1995年にプエルトリコでUFOと共に姿が目撃され、その後チリ等南米各地にUFOと共に現れた。
アメリカでも目撃報告がされている。』

( ^ω^)「アメリカでもかお…。」

バイヤーズ『あぁ。情報によると2〜5メートル程の跳躍力があり、牙が生えていて家畜や人間を襲い血液を吸うらしい。気を付けろよ。』

( ^ω^)「…あぁ。ありがとうだお。じゃあまた。」

いつの間にかモルダーの背後にいたスカリーが唐突に声をかけた。

ξ゚听)ξ「…つまり私達は凶暴な吸血生物を保護しようとしてるわけ?」



  
20: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:26:35.18 ID:6YAiIOfmO
  
( ^ω^)「(聞いてたのかお…。)
いやこれからは保護ではなく、UFOと繋がりがあり人間や家畜を襲う凶暴な吸血生物の調査としてあの生物を追うお。」

ξ゚听)ξ「……はいはい分かったわよ。それじゃあ、そろそろ具体的な方法を考えましょう。」

それに頷くモルダー。

( ^ω^)「考えてみたんだが、銃弾を避ける素早さの生物を捕まえるのは恐らく無理だお。
そこで、これからはアイツを追跡して生活習慣を記録し、チュパカブラに対する対策を練ろうと思うお。」

ξ゚听)ξ「……確かに南米各地で自由に暴れさせるわけにはいかないわね。」

スカリーが窓から小屋の外を見ながらモルダーの意見を肯定する。



  
21: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:28:03.62 ID:6YAiIOfmO
  
ξ゚听)ξ「でも、どうやって見つ…

突然スカリーの口が言葉を発するのを止めた。

スカリーは閉じられた口の前に、立てた人差し指を持ってきて『静かにしろ』とのメッセージをモルダーに送る。

( ^ω^)「(どうした?)」

モルダーは声を発さずに唇の動きだけでスカリーにメッセージを伝える。

ξ゚听)ξ「(チュパカブラ。)」

スカリーも唇の動きでメッセージを伝える。

そして、今まで口の前にあった人差し指は窓の外を指している。

窓の外では、灰色の生物……チュパカブラがキツネの首もとに牙を突き立て、己の食欲を満たしていた。

それを見たモルダーはすぐにデジタルカメラでその場面を捉えた。



  
22: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:29:06.20 ID:6YAiIOfmO
  
ξ゚听)ξ「でも、どうやって見つ…

突然スカリーの口が言葉を発するのを止めた。

スカリーは閉じられた口の前に、立てた人差し指を持ってきて『静かにしろ』とのメッセージをモルダーに送る。

( ^ω^)「(どうした?)」

モルダーは声を発さずに唇の動きだけでスカリーにメッセージを伝える。

ξ゚听)ξ「(チュパカブラ。)」

スカリーも唇の動きでメッセージを伝える。

そして、今まで口の前にあった人差し指は窓の外を指している。

窓の外では、灰色の生物……チュパカブラがキツネの首もとに牙を突き立て、己の食欲を満たしていた。

それを見たモルダーはすぐにデジタルカメラでその場面を捉えた。



  
23: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:29:26.82 ID:6YAiIOfmO
  
ξ゚听)ξ「(モルダー、アイツ血を吸い尽くしたみたいだわ。小屋から離れていく。)」

( ^ω^)「(……静かに後を追うお。)」

ジェスチャーでスカリーに合図を出す。
小屋を静かに出た二人はチュパカブラとの距離を10メートル程取り、追跡を開始した。

モルダー達がチュパカブラを追跡し始めて数十分経った頃だった。
辺りの日が暮れ始め、十分な視界を確保出来なくなってきた。

ξ゚听)ξ「これじゃあ、アイツが森をふらふら歩くって事しか分からないじゃない…。」

( ^ω^)「もう少し追跡してみようお。」

その時、二人の耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。



  
24: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:32:00.64 ID:6YAiIOfmO
  
『捜索班へ!目標はG―5エリアだ!
それと未確認情報だが、G―5エリアに未確認熱源が二つ増えた。十分に警戒しろ。』

( ^ω^)「…まずい。逃げるお。」

ξ゚听)ξ「えぇ。…でも少し遅かったみたいよ?」

何人かの軍人がモルダー達の方へ走ってくる音が聞こえた。

( ^ω^)「…あそこだお!」

モルダーはスカリーの腕を掴み、巨大な倒木の影に隠れた。

( ^ω^)「(もう暗いから、何とかなるお…。)」

スカリーの手を握り、モルダーが囁いた。

それから続々と軍人達は360度色々な方向から現れ、最後に昼間に見た司令官と思わしき男が現れた。

司令官「テイザーガン、発射用意!」

ξ゚听)ξ「(テイザーガンて何?)」

( ^ω^)「(ワイヤーを対象に突き刺し電流を流す兵器だお。)」

スカリーの質問に素早く答える。



  
25: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:34:38.76 ID:6YAiIOfmO
  
司令官の命令を聞き、数名の兵士が銃を構える。

司令官「発射!」

数本のワイヤーがチュパカブラ目掛けて飛んで行く。
だが、ワイヤーが放たれた瞬間に跳躍していたチュパカブラに一本も命中する事はなかった。

司令官「マスク装着!」

その声を聞いた軍人達は素早くガスマスクを着用した。

( ^ω^)「(やばいお…!)」

司令官「ガス散布用意!」

( ^ω^)「(スカリー、息を思い切り吸い込めお!)」

モルダーの言うことを素直に聞いてスカリーは精一杯息を吸い込んだ。
そしてモルダーはスカリーをかばうように、彼女を抱き締めた。

司令官「散布!」

二人はガスが漏れるような音が聞こえ、視界と意識がぼやけてきた。

司令官「確認しろ!」

軍人「…目標いました!確保!」

二人の意識が無くなる前に、最後に聞こえた会話だった。



  
26: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:36:43.95 ID:6YAiIOfmO
  
………一時間後………

( ^ω^)「(……。頭が割れる……。)」

司令官「やっと気が付いたかね?」

( ^ω^)「……。」

徐々に意識がしっかりしてきたモルダーは、まず始めに体が星空の下で仰向けのまま動かない事に気付いた。
どこかに縛り付けられていると思ったが、どこにも縛り付けられていない。

司令官「あぁ、麻痺してるだろ?もうしばらく動けんよ。」

モルダーは初め気付かなかったが、綺麗な星空の下に不快な笑顔でモルダーを見下ろす男が一人いた。

司令官「で、このデジタルカメラには何の画像データが入っているのかな?」

またも不快な笑顔。

司令官「まぁこれは後から聞き出そう。
何が目的でこの公園に潜り込んだのかねモルダー捜査官?」



  
28: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:38:30.52 ID:6YAiIOfmO
  
( ^ω^)「(……何故バレた?)」

司令官「君、何で正体がバレたのか気になってるだろ?」

( ^ω^)「(いちいち鼻につく奴だお…。)」

モルダーはまだ喋る事が出来ない。

司令官「君にはすまないが、君の顔を検索させてもらったよモルダー捜査官。」

そう言うとこの男はハマキを吸い出す。

司令官「冥土の土産に、今回の事件の事を何点か君に教えてあげよう。」

( ^ω^)「(冥土の土産か…。)」

その言葉の意味を考えながら綺麗な星空を眺めていると、何故か心が軽くなった気がした。



  
29: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:40:56.89 ID:6YAiIOfmO
  
司令官「まず、君は今回EVA航空507便に衝突したのは隕石だと思っているか?」

ハマキを吸う為に一息つき、再び喋り出す。

司令官「まぁ、この一帯を封鎖したという意味を考えれば
墜落したのは飛行機だけではないという事は自ずとわかるがね。」

ハマキの煙をモルダーに吐き出す。

司令官「搭乗者は死んでいたよ。だが、あの悪趣味なペットが逃げ出したんだ。」

( ^ω^)「(ペット……?)」

司令官「まぁ奴らにとっては、ペットと言うよりは実験の助手なのかな?
……君、喋られないし、一方的に喋るのもいささか飽きたな。」

そう言うとまだ長いハマキを消し、腰のホルスターに収まっていた銃を抜く。

司令官「さよならだモルダー捜査官。」

銃をモルダーの額に突きつける。



  
30: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:42:30.44 ID:6YAiIOfmO
  
( ^ω^)「……。」

司令官の指が引き金にかかった時に、何かの音が周囲に鳴り響いた。
その音は司令官の通信機からだった。

司令官「…何だ?」

軍人『奴が護送車から逃げ出していました!』

通信機から離れているモルダーにまで声が聞こえた。

司令官「早く始末して私も向かわなければな。さよならだ。」

その瞬間、何かが木の上から飛び降りてきて司令官の喉元に噛みついた。
司令官の悲鳴は、声にはならず喉元に空いた穴からヒューヒューと音が漏れるだけだった。

( ^ω^)「……余裕と油断は紙一重だお。」

モルダーがやっと開けた口から出た最初の言葉だった。



  
31: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:44:27.12 ID:6YAiIOfmO
  
その時、とても強烈な光を発する巨大な円盤状の物体がモルダーの上空に現れた。

ξ゚听)ξ「あれがUFOなの?」

どこからかフラフラと歩いてきたスカリーがモルダーに言った最初の言葉だった。

( ^ω^)「……スカリー、大丈夫かお?」

スカリーは何も言わずにただ頷く。

モルダーの目の前にいたチュパカブラはいつの間にか消え、
モルダーがまばたきをした瞬間に強烈な発光体も消えていた。

ξ゚听)ξ「どこへ行ったの!?」

軍人の足音が徐々に大きくなって聞こえてくる。

( ^ω^)「…まずは早く逃げるお。」



  
32: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:46:26.87 ID:6YAiIOfmO
  
………………

【セピア州境-車内】

( ^ω^)「……僕の推理、聞いてくれるかな?」

長い沈黙を破ったのはモルダーだった。

( ^ω^)「あの司令官のような男は、チュパカブラが異星人の研究の助手みたいなものだと言っていたお。
世界各地で起きているキャトルミューティレーションはチュパカブラの仕業だと思うんだお。
家畜や人間の血液をチュパカブラが体内に保管し、UFOに持ち帰る。そして、それを異星人が実験に使う。
異星人とチュパカブラの関係は恐らくこんな所だお。」

ξ゚听)ξ「つまり、EVA航空507便に衝突したUFOはチュパカブラを輸送中の輸送船だったって事ね?」

頷くモルダー。



  
34: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:49:09.69 ID:6YAiIOfmO
  
( ^ω^)「それと、デジタルカメラは原因不明の故障で画像は何も残らなかったお。」

ため息をつくスカリー。

ξ゚听)ξ「私、少し眠るわね…。」

そう言うとスカリーはシートを倒し、すぐに静かになった。

………三時間後………

【ワシントン州境-空き地】

( ^ω^)「(少し休憩するかお。)」

そう言ってシートを倒し横になったモルダーは、横で寝ているスカリーの寝顔を見ていた。

( ^ω^)「…………。」


スヤスヤと眠るスカリーの首には真新しい傷跡があった。



  
35: File3.【従者】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/07(日) 14:51:56.17 ID:6YAiIOfmO
  


僕たちにはまだまだ隠された謎がある。

どんなに強大な力が真実の周りに何枚もの壁を作ったとしても、真実はすぐそこにある。


Truth Is Out There.


fin



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