( ^ω^)ブーンがモルダーなXファイルのようです

  
3: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:34:40.59 ID:kat4PmCRO
  
【警察署ー応接室】

pm 5:00

スカリーが失踪したとの知らせを受け、スキナーがインベリーブへ飛んできた。
文字通り軍用機を使い飛んできたらしい。

( ^ω^)「副長官、スカリーまで巻き込んでどういうつもりなんですか?」

/ ,' 3「モルダー、いったい何の話だ?」

―――とぼけるのもいい加減にしろよ。

( ^ω^)「しらばっくれるな!僕を支援してたってのは誰なんだ!?お前らが仕掛けたテストだろう!?」

僕は怒りに身を任せ、スキナーの胸倉を強引に引っ張った。

刑事「落ち着け捜査官!我々が依頼を受けたのは彼ではない。」

―――確かにスキナーが僕の試験を合格させる真似をするわけないか。

( ^ω^)「………申し訳ありません。」

―――僕はまだ状況が飲み込めてないな。



  
5: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:35:16.54 ID:kat4PmCRO
  
僕とスキナーは応接室を出ると、共に署の廊下を無言で歩いた。

沈黙を破ったのはスキナーだった。

/ ,' 3「さっきの刑事の【依頼】とか言う言葉の事は上には黙っててやる。
その代わり、お前が知っている情報を全て教えるんだ。全部だぞ。」

―――今さら隠し事をしても無駄だと思った僕はスキナーに情報を渡した。

今回の件はUFOが関係しているらしい事。

僕の試験の合格を支援している人物がいる事。

僕が話してる最中、スキナーは一言も言葉を発さずに話を聞いていた。



  
6: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:36:18.83 ID:kat4PmCRO
  
/ ,' 3「お前はスカリーがUFOにさらわれたと思うか?」

―――まぁ、スキナーが僕の話を信じるわけないよな。

( ^ω^)「僕はUFOがスカリー失踪に関係しているとは言ってませんお。」

/ ,' 3「じゃあUFOはスカリー失踪に無関係か?」

( ^ω^)「……異星人が関係ある可能性は二割位だと思いますお。」

…スキナー相手に僕は何言ってるんだ?

/ ,' 3「二割か。お前にしては低いな。」

( ^ω^)「……これを見て下さい。」

僕は鞄から出したXファイル用の報告書をスキナーに見せた。

( ^ω^)「さっき提出したのとは別の、Xファイル課で保管する為に作成した報告書ですお。」



  
7: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:37:25.56 ID:kat4PmCRO
  
【インベリーブ市警による連続誘拐猟奇殺人についての資料をXファイル的見地から見た報告】

事件の共通点は以下の点である。

・被害者はいずれも二十代前半の若い人間であり、死因は絞殺。

・被害者は何らかの記憶障害や精神病を患っていた。

・いずれも夜間に誘拐される。

・いずれの被害者の体内からも金属片が摘出される。
金属片については別に報告をまとめる。

【被害者は何らかの記憶障害や精神病を患っていた。】
【いずれの被害者の体内からも金属片が摘出される。】

→特にこの二点に着目し考察した結果、私はこの事件の被害者はUFOと何らかの関係があると考える。



  
8: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:38:43.45 ID:kat4PmCRO
  
/ ,' 3「…この報告書に一体何の意味があるというんだ?」

スキナーは報告書を置いて僕の目を見る。

( ^ω^)「………。
僕は以前、スカリーに今回の被害者のような傷跡があるのを見ましたお。」

―――あの時、僕が軍人に尋問されていた時君はどこにいたんだ?

―――UFOが来た瞬間に君は帰ってきた。

―――あれは偶然だったのか?

そういえばスカリーにUFOの捜査を依頼していたな。

( ^ω^)「副長官、スカリーの車には何かありませんでしたか?」

/ ,' 3「スカリーの鞄以外は何もなかった。」

( ^ω^)「スカリーの鞄はどこですか?」

そのとき僕達はある部屋の前に行き着いた。

/ ,' 3「既に警察署の一室をVIPが借り切って、スカリー捜索本部としている。鞄はここだ。」

スキナーが扉を開けると、既にVIPの捜査官が10人ほど仕事を開始していた。



  
9: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:39:31.95 ID:kat4PmCRO
  
捜査官「副長官、捜査官の配置を完了しました。」

/ ,' 3「分かった。……みんな!聞いてくれ!」

活動をしていた捜査官達が活動を止め、スキナーの方を向く。

/ ,' 3「これからこの本部の指揮権はモルダーが持つ。各員はモルダーの言う事を良く聞いてくれ。」

( ^ω^)「……。」

/ ,' 3「良いなモルダー?」

―――………スカリー。君は僕が見つける。

( ^ω^)「任せて下さいお。」



  
10: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:40:39.04 ID:kat4PmCRO
  
まずは現状を把握しなければならないと思った僕は、スキナーに状況の確認をした。

( ^ω^)「副長官、動員された捜査官の数を教えて下さい。」

/ ,' 3「本部に9名。スカリーが失踪した現場に警官を連れた捜査官が12名、街で情報を集めている捜査官が30名だ。」

―――凄い数だな。

今回動員された捜査官数を聞いた僕の率直な感想だった。

( ^ω^)「分かりましたお。鞄を見せてもらえませんか?」

/ ,' 3「あぁ忘れていたよ。君の指示があるまで鞄は開かないように部下に指示してある。」

( ^ω^)「ありがとうございますお。」



  
11: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:41:34.04 ID:kat4PmCRO
  
何かスカリーへの手掛かりがあると期待して開いた彼女の鞄だったが、僕たちが期待するものは入っていなかった。

( ^ω^)「……。」

僕は事件資料を持ってひとまず廊下へ出る。

一人ぼっちで頭の中を整理したかったからだ。

―――資料によると、スカリーは街の手前の郡道で失踪したらしい。

確か郡道の周りは見通しが良かったな。
あそこで、銃を持っているスカリーを誘拐する事は難しいだろう。

やはり黒幕は異星人か?

いや、決めつけるのはまだ早い。まだ謎がある。

―――僕の支援をしていた男と言うのは彼か?

どちらにしろ、彼とは一度会って話をする必要があるだろうな。



  
12: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:42:14.50 ID:kat4PmCRO
  
仮説をいくら立ててもスカリーは見つからない。それなら僕は、僕が今やれる事からやって行くしかない。

そう思った僕は、電話を取り出し頼もしい仲間に協力を頼んだ。

( ^ω^)「僕だ。調べて欲しいものがある。」

(´・ω・`)『モルダー、僕たちにだって用事というものg』

( ^ω^)「スカリーが失踪した。」

(-_-) 『本当か!?』

スカリーの大ファンであるフロハイキーは、僕の言葉に大きな反応を示した。


( ^ω^)「本当だ。君達はXファイルのオフィスとスカリーの部屋に行って、スカリーの一番最近の捜査記録を調べてくれないか?」

(´・ω・`)『仕方ないね。VIPの受付には君から言っておいてくれよ。』

( ^ω^)「よろしく頼むお。」

僕が電話を切るとスキナーが部屋から出てきた。

( ^ω^)「副長官、明日の朝まで出てきますお。その間の本部の指揮をお願い出来ますか?」

/ ,' 3「任せろ。それと、電話の内容が聞こえたぞ。VIPの受付には私から言っておく。」

僕はスキナーに初めて心の底から深々と礼をした。



  
13: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:43:34.77 ID:kat4PmCRO
  
am 2:00

暗い橋の上に一人の人間が立っている。

彼のいる方向に僕は足を向けた。

彼には聞きたい事がたくさんあるんだ。

? 「モルダー、スカリーの事はすまないと思っている。」

やはりコイツが黒幕か。

( ^ω^)「黙れお!スカリーを何処へ連れて行った!?」

僕は彼の眉間に銃を突きつける。

?「待て。君は勘違いをしている。」

いまさら何を言う?
さっきスカリーの事を認めたじゃないか。

( ^ω^)「一体僕が何を勘違いしてるって言うんだ!?」

?「落ち着けモルダー!」



  
14: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:44:25.41 ID:kat4PmCRO
  
( ^ω^)「何か言いたい事があるのか!?あるなら檻で聞いてやるぞ!」

?「よく聞け!我々は君がVIPを辞職させられないように支援をしていただけだ。」

( ^ω^)「……。ならさっきの『スカリーの事はすまないと思っている。』って言葉はどういう事だ?説明しろ。」

僕の銃はまだ彼の眉間を狙っていた。

?「私は以前スカリーがUFOに誘拐された事を知っていた。それを君に教えなかった事についての謝罪だ。
……本題に移るが、この街の連続誘拐事件の被害者は皆UFOに人体実験をされていたという事は知っているかな?」

僕はまだ彼への敵対心を解いたわけではなかったが、銃を下ろし腰のホルスターへと銃を収めた。

( ^ω^)「…あぁ。金属片が被害者の体に埋め込まれていた。」

?「君はまだ知らないようだが、彼らが誘拐されたのは一度だけではない。」

被害者は複数回誘拐されていたのか。
という事は………。



  
15: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:47:26.91 ID:kat4PmCRO
  
僕は彼にもう一つ聞きたい事があった。

( ^ω^)「何で僕の試験を手伝った?」

?「VIPの内部には反Xファイル派がいる。そいつらが君をVIPから消したいが故にこのような無理なテストを仕掛けた。」

この事件が無理なテスト?
僕はこの事件を解決までしっかりと導いた筈だが。

( ^ω^)「今回の事件のどこが無理なテストだったんだ?」

?「君にテストを課した奴らは、君が絶対に解決できない事件を選びたかった。そこでこの誘拐事件が選ばれたんだ。
君が試験の為にこの街に向かっている頃には既に警察が事件を解決する寸前だった。
それを知った私が、古い友人に事件捜査を初期に戻させたんだ。
君が捜査をしないで警察が解決したら君は試験をパス出来ないからな。」



  
16: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:50:17.29 ID:kat4PmCRO
  
僕は、反Xファイル派と彼の手のひらの上で踊っていただけだったのか。
そう考えると無意識のうちにため息が出た。

?「そう落ち込むな。君はしっかりと事件を解決した。」

( ^ω^)「まだ解決してないお。」

?「スカリー捜査官の事は今は諦めろ。」

( ^ω^)「……その意見は聞き入れられないな。
今日はわざわざ呼び出してすまなかった。」

?「助けが欲しければ遠慮するな。」

そう言うと彼は僕に背を向け、霧の向こうへと消えていった。



  
17: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:52:39.39 ID:kat4PmCRO
  
―――彼はスカリーがUFOに誘拐された事実を隠していた事を謝罪した。

―――この街では一度UFOに誘拐された人間が、複数回UFOに誘拐されている。

この二点を考えると、やはり一度UFOに誘拐されたスカリーは今回もUFOに誘拐された確率が高いと考えるのが自然だ。

だが、被害者が複数回UFOに誘拐されたと言う事は、UFOは誘拐後それほど時間をかけずにスカリーを解放するのではないだろうか。



  
19: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:53:54.48 ID:kat4PmCRO
  
am 4:00

【スカリー捜索本部】

( ^ω^)「長い時間空けてすみませんでしたお。」

/ ,' 3「なに、気にするな。何か分かったか?」

僕は微笑みをスキナーに見せる。

( ^ω^)「…聞いてくれ!」

僕は室内の皆の注目を僕に集める為に少し大きな声を出す。

( ^ω^)「夜が明けたらスカリーの失踪場所付近を徹底的に捜査する。捜査官の編成はこのリストの通りだ。仕事がない者は仮眠をとってくれお。」

僕はそう言うと、捜査官を管理するオペレーターにリストを渡した。



  
21: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:58:00.48 ID:kat4PmCRO
  
( ^ω^)「スカリーの車のタイヤと照合してみてくれお。」

現場の指揮を取る僕には次から次へと仕事がやってきた。

VIP捜査官2「モルダー捜査官、本部から連絡です。」

僕は彼から電話を受け取る。

( ^ω^)「モルダー。」

僕が受けた電話の内容はこうだった。

スカリーが誘拐された時刻に、彼女が失踪した付近で大きなマネキンのような物をかついで車に乗り込む二人組の男を市民が目撃した。
別の市民は、ほぼ同時刻に怪しい二人組の男が街の倉庫街に入るのを目撃したらしい。

スキナーのアドバイスもあって、僕は一度本部へ戻って今後の捜査活動の方針を決める事になった。



  
22: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 19:59:41.33 ID:kat4PmCRO
  
pm 1:00

【スカリー捜索本部】

僕が本部に戻ると、部屋の中央のデスクには、倉庫街が含まれる街の北ブロックの地図が乗っていた。

/ ,' 3「モルダー、例の怪しい二人組が入ったらしい倉庫街の事だが、全部で20の貸し倉庫があるらしい。
既に倉庫街には内偵を放った。」

スキナーは副長官という管理職に落ち着いているとは言え、さすがは歴戦の老兵。
彼は僕が最善だと思った考えを、僕が指示する前に既に行動に移していた。

( ^ω^)「ありがとうございます。」



  
23: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 20:01:26.16 ID:kat4PmCRO
  
倉庫街付近の地図を見ていた僕の携帯電話が、着信を伝える電子音を鳴らした。

( ^ω^)「モルダー。」

(-_-) 『スカリーの捜査記録、バッチリ調べてやったぞ。』

(´・ω・`)『彼女はインベリーブ付近のUFO関連の情報を調べていたようだね。』

( ^ω^)「あぁ。僕が依頼した。」

从 ゚∀从『彼女はその結果、まぁ良くあるUFO目撃談を得たようだ。』

(´・ω・`)『それと、彼女のPCにUFO関係の資料をプリントアウトされた形跡があった。』

僕は、改めて僕が彼女を巻き込んでしまったのだと痛感していた。



  
24: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 20:02:58.29 ID:kat4PmCRO
  
( ^ω^)「分かったお…。わざわざありがとう。」

僕は電話を切ろうとした。

(-_-) 『待てモルダー!』

( ^ω^)「どうした?」

(´・ω・`)『彼女は、君が拘留されたとの知らせを受けてインベリーブへ向かったんだよな?』

( ^ω^)「あぁ。」

从 ゚∀从『何者かが、インベリーブへ向かうスカリーに対し妨害行動をしたようだ。』

( ^ω^)「本当か!?」

心臓が誰かに鷲掴みにされたかのように縮まったのが僕には分かった。

( ^ω^)「………ありがとう。君達も気を付けろよ。」

スカリーが僕を引き取りにインベリーブへ向かったのは、警察内部もしくはVIPの人間しか知らない筈だ。

………。



  
25: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 20:04:15.83 ID:kat4PmCRO
  
電話を切った僕は、まっすぐにスキナーの元へ向かった。

( ^ω^)「副長官、少し息抜きにカフェにでも行きましょうお。」

/ ,' 3「おい、こんな非常事態に何を言ってるんだ?」

僕は、目でスキナーに合図を送った。

/ ,' 3「……まぁ、息抜きも必要か。」

【警察署付近のカフェ】

僕達は、清潔な印象を与えてくれる通りのカフェに入った。

ウェイトレス「ご注文は?」

( ^ω^)「コーヒーを2つ頼むお。」

僕は若いウェイトレスが離れるのを確認して、スキナーに話しかける。

( ^ω^)「副長官、刑事に聞いたんですがここのコーヒーは美味しいらしいですお。」

僕は、喋りながらメモ帳に字を書いてスキナーに見せる。

《盗聴されてる可能性アリ》

/ ,' 3「…それは期待出来るな。」



  
26: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 20:05:56.73 ID:kat4PmCRO
  
スキナーも、僕が書いたメモ用紙の裏に字を書いていく。

《盗聴してるのは誰だ?》

( ^ω^)「でも、口に合わないからと言って文句は言わないで下さいお。」

《詳細は不明。だが、僕が拘留されていた事を僕達の敵対者が知っていた事から、本部またはインベリーブ市警にスパイがいる可能性アリ》

/ ,' 3「私がそんな事で怒ると思うのか?」

《本部の捜査官は私が連れてきた人間だ。スパイがいるとは考えられない。》

( ^ω^)「いえ、そんな事は言ってないですお。」

《僕の得た情報によると、確実にVIP内部には非VIPの工作員がいます》

/ ,' 3「まぁ、私がコーヒーにうるさい事は事実だがな。」

《確かに、私が連れてきた中にその工作員がいない保証はないな。》

( ^ω^)「あ、コーヒー来たようですお。」

僕とスキナーは、ウェイトレスが近付く前にメモ用紙を懐に隠した。

/ ,' 3「ん…匂いは素晴らしいな。」

( ^ω^)「お口に合いそうですかお?」

僕は再びウェイトレスが離れたのを確認してメモ帳を出した。



  
27: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 20:08:30.66 ID:kat4PmCRO
  
《残念ですが。ですから例の倉庫も突入するなら早めの方が良いです》

/ ,' 3「まぁそれなりに美味しいが、こんなものはザラにあるよ。
さぁ、そろそろ戻ろう。」

《了解。今晩で良いな?》

( ^ω^)「…はい、あまり本部を空けるのも良くないですからね。」

《至急突入部隊の編成をお願いします。突入の件は、副長官が完全に信頼を置ける隊員にしか話さないで下さい》

【警察署ースカリー捜索本部】

/ ,' 3「倉庫街に放った内偵から連絡は入ったか?」

VIP捜査官「一つだけ内部の確認が出来ない倉庫があるそうです。」

( ^ω^)「…よし、今日のところは内偵を引き上げさせろお。また明日の朝から放って、じっくり様子わ探らせてくれ。」

VIP捜査官「なぜです?夜間にこそ倉庫に動きがあるかもしれませんよ?」

( ^ω^)「いや、この街は治安が悪いと聞くお。他の捜査官まで危険に晒すわけにはいかないお。」



  
28: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 20:12:19.82 ID:kat4PmCRO
  
pm 11:00

【インベリーブ北ブロックー倉庫街】

真っ暗な倉庫街の真ん中にその倉庫は存在した。
倉庫の四辺にある窓という窓は全てカーテンが閉じられ、第三者に中の様子を探らせる隙を与えない。

その倉庫の四隅付近には武装をした男達がいた。彼らは、来るべき突入の瞬間を待っている。

/ ,' 3「突入。」

インカム越しに聞こえたスキナーの声に反応して、武装隊員が倉庫の四隅の窓を突き破り、中へ侵入する。

窓が割れると同時に、巨大な鉄の棒が正面玄関のドアを突き破る。
さっきまでドアがあった場所からは、僕を先頭にVIPの武装捜査官が突入を開始する。



  
29: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 20:13:32.84 ID:kat4PmCRO
  
僕達は正面入り口から進んでいき、工事用機械などが散乱したこの倉庫を徐々に制圧していった。

不意に一人の捜査官の声が響く。

VIP捜査官「スカリー捜査官を発見しました!」

僕は捜査官の声がした方へ走っていった。

曲がり角を曲がった瞬間、僕の目には待ち望んだ女性の姿が映った。

( ^ω^)「スカリー!」

工事用の重機が置かれたエリアの中央に彼女はいた。
スカリーは古い椅子に手足を縛られ、ぐったりと俯いていた。

僕がスカリーの元へ走り寄った瞬間だった。



  
30: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 20:14:20.27 ID:kat4PmCRO
  
眩いばかりの光が倉庫を照らす。

僕を始め、今まで暗い場所にいた捜査官の殆どは視力を一時的に無くした。

その後少しの時間が経過し、僕達の視力が回復する。

―――スカリーがいる筈の場所には、彼女が縛り付けられていた古い椅子しか無くなっていた。

僕は言葉にならない声を発し、床を思い切り殴りつけていた。



  
31: File5.【試練Part2】 ◆JXck9Ucovk :2007/01/26(金) 20:15:38.51 ID:kat4PmCRO
  
………三日後………

【VIP本部ーXファイル課】

いつもは二人でいたオフィスだが、いま僕は一人でデスクに座っている。

( ^ω^)「……。」

あれから僕なりの推理をしてみた。

スカリーを誘拐して倉庫まで運んだのは、異星人ではなく僕達の敵対組織だったんだと思う。

あの倉庫でスカリーに尋問か何かをしていた奴らは、僕達の突入の気配を感じ取って逃走した。
それは倉庫から街へ抜ける地下道の扉が開いていた事からも、間違いはないと思う。

そして、奴らが逃走した後に僕達がスカリーを発見したが、偶然UFOが現れて彼女を連れ去った。

いや、スカリーが連れ去られたのは偶然ではなく必然だったのかもしれない。

真相は闇の中だ。

だが、僕達はスカリーを助け出す事が出来なかったと言うのは明確な事実であり、真実である。

今までのインベリーブでのUFOによる誘拐は、いずれも被害者が生きていた事から、僕はスカリーがどこかで生きていると信じている。



戻る次のページ