( ^ω^)ブーンが宇宙艦隊を指揮するようです

  
4: ◆1RCx6ePe5g :2007/02/08(木) 17:35:40.48 ID:GRltfI1Q0
  
第二話「アルワナ・ウェージャフ」

6998年7月2日

その人物は、シャキンと殆ど瓜二つだった。
双子な訳だから当然と言えば当然ではあるが。
ブーンがチラリと後ろを向いて階級章を見やれば銅の星が一つ、ちなみにブーンは銅星二つである。
シャキンと酷似した容貌を持った人物はブーンの隣まで歩いてきて敬礼をする。

(´・ω・`)ゝ「ショボン=ジェリコー少尉、ただいま出頭しました」

しゃきん「うん。ご苦労だった」

シャキンはブーンの方に顔を向けて続ける。

しゃきん「彼が君の戦隊の副長兼首席作戦参謀になるショボン=ジェリコー少尉だ」

( ^ω^)「内藤ホライズン中尉だお。ジェリコー少尉、よろしくお願いするお」

(´・ω・`)「こちらこそ、よろしくお願いします。内藤中尉」

しゃきん「それでは少尉、彼を任せる」

(´・ω・`)ゝ「了解。中尉、色々と紹介するものがあります。こちらへ」

ショボンがそう言って踵を返し、再び部屋の外へ向かうのにブーンも追随する。
そのまま昇降筒を利用し最初の大きなフロアへ向かう。



  
5: ◆1RCx6ePe5g :2007/02/08(木) 17:36:00.72 ID:GRltfI1Q0
  
フロアに着くまでの時間を利用して、ブーンは少佐と少尉の関係について早速質問をしてみる事にした。

( ^ω^)「顔も姓も同じと言う事はやっぱり、ジェリコー少尉と少佐は家族なのかお?」

(´・ω・`)「ええ、そうですよ。シャキン=ジェリコーは私の兄です。
     最も私は叩き上げ、兄は士官学校出で出世速度は大分違いますけどね。」
    
丁度良くメインフロアに到着し、二人は昇降筒を出てショボンの先導で歩き出した。

(´・ω・`)「とりあえず、まずは艦へ向かいます。我々の生活は基本的に其処で全て完結しますので。
     他の乗組員は既に入っています。それまでの間、施設の説明でもしながら行きましょう」
    
ぶーん「頼むお。ついさっき来たばかりで何がなんだかわからないからお」

(´・ω・`)「広い施設ですからね。無理もありません。」

(´・ω・`)「まず、この施設の説明から。太陽星系中央基地、通称ムーンベースです。
     地球の衛星である月を改造した宇宙基地であり、星系駐留艦隊の根拠地にもなっています。
     建艦廠を始めとする自動工廠の類も完備しており、設備の豪華さはかなりのものです。
     人口300億クラスの星系でこれだけの設備があるところはかなり珍しいはずですよ」
    
(* ^ω^)「僕はこの太陽星系出身だけどムーンベースがここまで凄い所だとは思わなかったお…」

(´・ω・`)「基本的に軍事施設の内情は非公開ですから仕方ないですよ。
     私も自分の出身星系の宇宙基地が何だったのか、なんて軍に入ってから初めて知りましたから。」



  
6: ◆1RCx6ePe5g :2007/02/08(木) 17:36:16.44 ID:GRltfI1Q0
  
( ^ω^)「少尉の出身はどこだお?」

(´・ω・`)「アンドロメダ銀河系のヴォストーク星系です」

(* ^ω^)「おっお。1200億クラスの星系かお。凄いお!」

(*´・ω・`)「いやいや、宇宙全体から見ればそれ程でもないですよ」

ショボンの顔は、口では否定しつつも生まれ故郷を凄いと言われたせいか少し嬉しそうだった。
そして、気を取り直すように咳払いを一つすると今度は放射状に延びる通路の中の一つを選んで進む。
壁面には800の文字が黒で塗装されている。

(´・ω・`)「さっきの大きなフロア、我々はただ単にフロアとだけ呼んでいますが。
     あそこから延びる通路は各戦隊の艦艇ドックに繋がっています。
     我々の戦隊は817ですのでこの通路ですね」

その様な会話を行いつつ歩いて数分経つと、今度は昇降筒が10本並んでいる円形の場所に出た。
ショボンはその中の一つ、10の文字が扉に書かれた昇降筒を指差しながら続ける。

(´・ω・`)「今度は10番台で分かれています、この先にも
     もう一つ分岐がありますが其処も同じ要領です」



  
7: ◆1RCx6ePe5g :2007/02/08(木) 17:37:36.27 ID:GRltfI1Q0
  
( ^ω^)「わかったお。中々わかりやすくて嬉しいお。でも、何で転送装置を設置しなかったんだお?」

昇降筒で移動を行いながら、ブーンはふと頭に浮かんだ質問をぶつけてみた。
確かに中々今時お目に掛かれない古めかしさである。
大抵の宇宙基地では転送装置を数回利用するだけでドックまで辿り着けるものだ。

(´・ω・`)「私も詳しい事はわかりませんが、どうやら構造的問題とコストの問題らしいです」

( ^ω^)「構造に欠陥でもあるのかお?」

(´・ω・`)「実はこのムーンベースは、第1次銀河連邦時代から使われているんです」

( ^ω^)「第1次銀河連邦って…3500年以上前からじゃないかお?」

(´・ω・`)「その通り。あの頃は当然跳躍の技術なんて存在しないから、
     今から装置を据え付けようとすると色々な所を改装しなきゃならないってんで、
     近代化改装だけでお茶を濁してるらしいですよ。
     最も先程も言ったとおり、我々駐留艦隊の人間は
     艦から出ることがあまり無いので、大して関係が無いですが」



  
8: ◆1RCx6ePe5g :2007/02/08(木) 18:12:46.68 ID:GRltfI1Q0
  
( ^ω^)「把握したお。そう言われてみればそうだお」

昇降筒を使って向かった先にはさっきのショボンの言葉通りの部屋があり、
更にもう一度昇降筒に乗る。
次に扉が開いたときには今までとは全く違う空間だった。
壁は灰色に近く、向かって右側は透明化された部分が窓のようになっている。
左側は全面が壁で、右側の一番奥にはもう一つ扉があり、其処から接続筒と思われるものが伸びている。
そしてその先には…

( ゜ω゜)「これが…僕の乗る艦かお…?」

(´・ω・`)「その通りです。
     インフレキシブル級戦隊旗艦型航宙戦艦『アルワナ・ウェージャフ』。言うなれば我々の家、ですね」

(´・ω・`)「全体を見ますか?」

( ^ω^)「お願いするお」

ショボンが壁面に埋め込まれたコンソールを少し弄ると
すぐさま壁面全体が透明化され、艦の全体が見えるようになる。



  
9: ◆1RCx6ePe5g :2007/02/08(木) 18:14:25.54 ID:GRltfI1Q0
  
外見からではまるで鳥のような印象を受ける。
色は白に近い灰色で上から見ると艦首から艦尾にかけて末広がりに広がっていく。

横からでは、船体中央より艦尾寄りの場所で下に膨らんでおり、
真ん中辺りに円形に配列された五つ星と流星、即ち人類統合体の国章が掲げられている。
星と流星は金、地は黒色だ。

流石に全長が5000メートルにも達すると国章も大きく、恐らく数百メートルはあるだろう。
また、この艦尾に向かって膨らむ形状は従来の航宙戦艦には見られないものだった。

見た目からすれば優美ではあるが、戦闘用に作られた兵器独特の威圧感と言うか、
人を圧倒する何かのようなものを感じる人間は多いだろう。



  
10: ◆1RCx6ePe5g :2007/02/08(木) 18:15:27.30 ID:GRltfI1Q0
  
(´・ω・`)「一応解説しておきましょう。
     インフレキシブル級は本年より生産が始まったばかりの最新鋭艦です。
     乗員は120名、全長は5212メートルで、旗艦型としては小型ですが機能は従来艦以上。
     兵装は位相変換エネルギー砲・量子魚雷・干渉魚雷・戦術亜空間巡航ミサイル・電磁投射砲。
     機関は人工量子特異性機関で移動用に量子滑走ドライブ、軍用受動跳躍子機。
     新式の第8世代型遮蔽装置も搭載していますが、
     シールドだけは新型の開発が間に合わず、従来型の重力場偏向シールドです。
     大体こんな感じですね」

一応説明を終えたショボンがブーンの方を向くと、彼は艦に見とれていて説明が耳に入っていない様子だった。

初めて至近で戦闘艦を見た新任司令官は大抵このような状態に陥る。
ショボンは軽く肩を竦めるとブーンを脳内宇宙戦争から現実に呼び戻すべく、近づいて右肩を叩いた。



  
11: ◆1RCx6ePe5g :2007/02/08(木) 18:15:46.75 ID:GRltfI1Q0
  
(* ゜ω゜)「…っお! ど、どうしたお?」

(´・ω・`)「これを」

物凄い驚きようを示したブーンを丁寧に見なかった事にして、ショボンは2つの記憶片をショボンに渡す。

( ^ω^)「これはなんだお?」

(´・ω・`)「Aと書いてある方は戦隊の構成艦に関する資料ですので、後で目を通しておいてください。
     Bの方はアルワナ・ウェージャフに試験搭載された兵器に関する情報です」
    
( ^ω^)「わかったお。ちゃんと後で確認しておくお」

(´・ω・`)「それでは、そろそろ艦内に入って乗組員の紹介を行っても構いませんか?」

ブーンが頷いたのを確認して、ショボンは自分の右手甲の青色の機能結晶に叫んだ。



  
12: ◆1RCx6ePe5g :2007/02/08(木) 18:16:08.92 ID:GRltfI1Q0
  
(`・ω・´)「Beam me up,Scotty.]

( -ω-)「非論理的です」

(*´・ω・`)「いや、一度言ってみたかったんですよね」

(* ^ω^)「おっおっお。真面目一本かと思ったけど少尉は意外と面白いお」

(*´・ω・`)「なに、私だってこれ位はやりますとも」

二人で一頻り笑った後改めてブーンは周りを見回す。
足元には良く見るタイプの転送台、先程の任意座標転送システムは軍用航宙艦ならば標準装備の代物だ。
ちなみにこれは民間には余り普及していない。
主な壁は価格であるのは何時の時代でも共通だろう。



  
13: ◆1RCx6ePe5g :2007/02/08(木) 18:16:27.16 ID:GRltfI1Q0
  
( ^ω^)「ところでさっき叫んだ相手の話のわかる乗組員君はだれだお?」

(´・ω・`)「今から艦橋に向かうのでその時にでも紹介しましょう。と言ってもそこが艦橋ですが」

直ぐ目の前にある扉を指差して、ショボンは言った。

第二話 終



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