( ^ω^)は殺人者のようです
- 118:◆irDDQfcPYE :02/27(火) 03:46 CdB2PY38O
12月24日。深夜。
ラウンジ本社ビル14階。
警備員以外の全社員が帰宅して眠りに就く頃、彼らの神聖な職場は戦場へと化していた。
VIPの社員達は屋上から侵入し、階段を1フロア下りた部屋で、とんでもない数の敵の待ち伏せに遭遇していた。
ミルナと渡辺が手にした大小が対照的な銃が敵の動きを封じれば、クーとブーンの長短が対照的な刃物が敵を刻む。
川゚‐゚)「ツンはここで待機!ミルナ課長、彼女を頼む!」
血に濡れた日本刀を敵の服で拭きながらクーが叫ぶ。
( ゚д゚ )「わかった」
ξ゚听)ξ「了解」
これまたデスクを盾に、ラウンジ兵の弾幕の隙を突いて銃撃しながらツンとミルナが返事をする。
(;^ω^)「モララーは何階にいるんですかお?」
デスク越しに無造作に投げナイフをばら撒きながら、ブーンはうんざりした顔でクーを見た。
川゚‐゚)「情報では8階らしいが…奴の事だからな」
会話を交わしながら、踏み込んできた敵を一閃。
大体半分くらいまで減ってきているようだ。
そして無駄な体力は出来るだけ使いたくない。
決断するなら今だった。
川゚‐゚)「つー、渡辺、内藤!突破するぞ!」
(*゚∀゚)「はいはーい」
指示が出るや否や、超低空の態勢で敵陣につーが飛び込む。
素手のように見えたが同士討ちを恐れたラウンジ兵が何もできないうちに順番に斬り刻まれていく。
彼女が腕を振る度に蛍光灯を反射して、何かが銀色に光っている。
その姿はまるで世界最高峰のバレエダンサーが舞を舞うように優雅な動きだった。
( ^ω^)(あれは…)
川゚‐゚)「内藤!何をぼんやりしている!行くぞ!」
ふと見ると、クーと渡辺が走りだしている。
自分も慌てて彼女らに倣い階段を目指して走る。
( ゚д゚ )「また後でな」
ミルナの言葉が背中を後押しをしてくれた。
( ^ω^)「ツンを頼みましたお」
振り返らずに答えて、階段を駈け下りているとすぐにつーが後を追ってきた。
(*゚∀゚)「VIPの守護神に護られてるとは…なんとも羨ましいお姫様だね」
( ^ω^)「ミルナ課長ならなんの心配もいらないですお」
もうすぐモララーの待つ8階だ。
クーと渡辺さんは先に入ったらしい。
右手に4本の投げナイフを構えて、ドアを開ける。
(;^ω^)「え…?」
辺りは一面、血の海だった。
そこらじゅうにラウンジ兵だと思われる死体が転がっている。
クーと渡辺さんも何かを見つめて茫然としている。
その視線の先には漆黒の戦闘服に身を包んだ男が立っていた。
その手に屶をぶら下げて。
- 122:◆irDDQfcPYE :02/27(火) 15:43 CdB2PY38O
(;^ω^)「ギコ課長!」
思わず叫ぶ。
(,,゚Д゚)「久しぶりだな」
全身に返り血を浴びている事すら気にせずにギコは力強く笑った。
ギコに懐いていたらしい渡辺さんとつーが我先にと抱きつく。
その姿はまるで娘達に囲まれた父親のようだった。
ブーンにとっても誰よりも信頼した上司であり、戦い方も何もかも与えてくれた親のような人だ。
だが…
「皆さん、聞こえますか?」
耳の奥に取り付けた通信機からツンの声が聞こえる。
川゚‐゚)「ああ聞こえる。モララーはどこだ?」
一人ギコには寄らずに周囲を調べていたクーが素早く答える。
「左奥に扉が有って、そこが恐らくモララーの部屋ですが熱反応はありません」
川゚‐゚)「わかった。また連絡する」
短く告げて通信を切る。
川゚‐゚)「ギコ課長」
娘達に囲まれたギコを見兼ねたクーが助け船を出す。
川゚‐゚)「私が今は課長をしています。そして残念だが今は昔話をする暇はありません」
(,,゚Д゚)「わかっている。俺も今からお前の指示に入ろう。モララーの部屋はこっちだ」
暫らく首に二人を巻き付けたままだったギコは、やっとの事で引き剥がし先頭に立って歩きだす。
程なく一つの扉の前に立つと、軽くノックをしてからいきなり開ける。
( ・∀・)「ようこそ私の執務室へ」
ドアが開くと同時にデスクの上にあったパソコンからモララーの声が聞こえた。
- 123:◆irDDQfcPYE :02/27(火) 15:44 CdB2PY38O
見るも珍妙な部屋の作り。
色々な所から色々な物が突き出している奇妙なオブジェ。
間違いなく部屋の主人は変人だとわかる。
どうやらツンの情報通り、本人は部屋にはいないようだった。
( ・∀・)「ここまで来たという事は上の警備課も役には立たなかったという事かね?まあいい」
本当にどうでもいい事のように言い捨てると、モララーは軽く咳払いをして続けた。
( ・∀・)「ここからは私のゲームに付き合ってもらうよ。左右の壁を見たまえ」
その言葉に釣られて左右を見ると、左に2つ、右に2つ。合計4つの扉が設置されている。
( ・∀・)「扉を開けると、社長が緊急時に使う脱出用のエレベーターがある。それに乗ってもらおう。ただし」
( ・∀・)「一つのエレベーターに乗れるのは最大2人まで。
そのどれかの行く先に私はいる。来なければ私は逃げる。それだけだ」
百パーセント罠だろう。
だがモララーの質の悪いのは、罠だとわかりながらも行かざるを得ない所だ。
メンバーはクー、ギコ、渡辺さん、つー、そして自分だ。
一つを除いて、残りは一人一つずつになる計算だ。
从'ー'从「ツンちゃん、エレベーターの先はわからない?」
渡辺さんがツンに通信を入れる…が、敵のジャックが始まったのか連絡が取れない。
とは言えツンにはミルナ課長が付いている。
それこそギコやモララー級の敵でも居なければ問題ないだろう。
(*゚∀゚)「本当のギャンブルだね。課長、どうすんだい?」
川゚‐゚)「渡辺はブーンと行け。残りは私達が担当する」
クーの決断は早かった。
確かに1年のブランクのあるブーンと、元は迎撃専門の渡辺さんは戦力的に一番不安があると思われた。
(;^ω^)「あー、ボクはできればギコ課長と一緒がいいんですけどダメですかお?」
- 124:◆irDDQfcPYE :02/27(火) 15:45 CdB2PY38O
言ったすぐ傍から、場に冷たい空気が流れるのを感じる。
(;゚∀゚)「こりゃあ…なんたるチキン…」
从ー从「私と一緒は嫌なのね…」
(,,゚Д゚)「…」
川゚‐゚)「…」
何かを言いたそうなクーに、必死にウインクなんかを飛ばしてみる。
川゚‐゚)「まぁ…構わないだろう」
(,,゚Д゚)「では決まり、だな。行くぞ」
言うなりギコは右奥の扉を開く。
(*゚∀゚)「じゃあアタシはこっち」
つーは左奥の、
从ー从「私は…いらない子…フフッ」
渡辺さんは恐ろしい事を呟きながら左手前に、
川゚‐゚)「必ず全員生きて帰るぞ!いいな!」
クーが気合いの声と共に、右手前のドアを開き、全員が別れた。
残念ながらクーのこの言葉は叶わない願いとなるのだが、この時はまだ誰も知らなかった。
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