( ^ω^)は殺人者のようです

132:◆irDDQfcPYE :03/05(月) 22:06 q9V/HbllO

12月24日。深夜。
つー編

エレベーターは緩やかに下降していく。

何故か昔からこの落ちていく感覚だけは好きになれなかった。

(*゚∀゚)「あー気持ち悪い…」

呟いて再度、自分の装備を確認する。

爪先から指先まで、顔以外の全てを覆った漆黒の戦闘服。

指先に付いた猫を思わせる爪はしっかりと研ぎ澄まされている。

(*゚∀゚)「しっかしこの服はボディーラインが出ちゃうのが難点だね」

誰にともなく愚痴を零す。
もしかしたら自分は今、極度に緊張しているのかも知れない。

そんな事をぼんやり考えているうちにエレベーターは停止しようとしていた。

(*゚∀゚)(地下4階ね…)

なんとなく確認してからエレベーターから出る。

出るとそこは辺り一面が白に統一された、だだっ広い空間が広がっているだけだった。

視界を遮るものは何もない。
ただ一つ少し離れた場所に立っている、自分と同じ黒い塊を除いて。

(*゚∀゚)「久しぶりだね、ドクオ」

それはつーにとって見慣れた顔であり、3年前に失踪した自分の教え子でもある男だった。

( 'A`)「師匠…」

互いに道を違えた二人。
交わす言葉はそれ以上要らなかった。

共に暗殺能力は最上級。
無駄な動きは即、死につながる。

だが、つーはそんなことは全くお構いなしにツカツカと歩み寄り、左手を振り上げる。

(*゚∀゚)「歯ぁ食い縛れ!」

ドクオの本能が訓練の日々を思い出し、反射的に体が硬直してしまう。

だがドクオはつーの振り上げた左手の先を見て、咄嗟に身を横に投げる。

それはつーの左手に付いていた爪「ペルシャ」がドクオの髪を薙いだ瞬間だった。

(*゚∀゚)「何を避けてんだい!」

(;'A`)「アホか!死ぬだろが!」

(*゚∀゚)「誰に向かってぇ…」

言葉と共に左手をドクオに向ける。

(*゚∀゚)「アホだっ!」

刹那、尋常ではない速度で指先から全ての爪が倒れたままのドクオに向かって発射される。

間一髪、上半身を仰け反らして避けるも次の瞬間につーは距離を限りなく0にしていた。

(*゚∀゚)「動くんじゃないよ」

床に刺さったペルシャと戦闘服を繋ぐ極細の繊維をドクオの体に食い込ませながら脅す。

( 'A`)「相変わらず無茶苦茶しやがる」

胸と二の腕を繊維に締めあげられた状態で器用に両手を上げながらドクオは毒づいた。

(*゚∀゚)「さて、話してもらおうかい」

あと少し力を込めるだけでドクオを両断できるようにした上でつーが口を開く。

( 'A`)「何をだ?」

観念したのかドクオは静かに目を閉じた。

(*゚∀゚)「何故VIPを裏切ったのか」

( 'A`)「そんな事を聞いてどうする?」

(*゚∀゚)「個人的に興味があるだけさね」

( 'A`)「そうか。悪いがそれには…」

刹那、部屋の電気が全て落ちる。

( 'A`)「答えられねぇな」

(*゚∀゚)「!!」

慌てて手を引くが時は既に遅く、ドクオを繋いでいた繊維はなんの手応えも返さなかった。

( 'A`)「部屋中にカイトを張った。下手に動くなよ」

闇に染められた部屋の中でドクオの声がこだまする。

(*゚∀゚)(カイトを貼る時間はなかったはず…)

だが。
自分が知っているのは数年前のドクオ。
あれからモララーの元でどう変わったのかはわからない。

駆け引きか?
事実か?

彼の性格上どちらでもありえるし、どちらもなさそうではあった。

だが何もしないでいるうちに実際にカイトを貼られたとしたら間抜けもいいところだ。

つーが意を決して動きだした瞬間だった。

( 'A`)「甘いな」

声は真後ろから聞こえた。

漆黒に染まった空間に血が流れた。



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