( ^ω^)は殺人者のようです

161:◆irDDQfcPYE :03/13(火) 03:04 ijJSiUSJO

12月24日。深夜。
クー編

緩やかに下降するエレベーターに揺られながら、クーは一つの事柄とその結果だけを考えていた。

川゚‐゚)(内藤は大丈夫だろうか?)

戦力的には問題はない。
それはVIPの守護神たるミルナ課長からのお墨付きだ。

一年で元に戻せとは言ったが話を聞く限りでは一年前よりも技術は研かれたようだ。

それだけでミルナに預けた価値がある。

川゚‐゚)「愛情の力、というやつか」

常々冷静であることを心に誓っているクーだが、わからない訳ではない。

そしてその愛を誓った相手は恐らくこのビル内にいるだろう。

できれば彼には会いたくない。

彼に会ってしまうと、自分が女であることを自覚させられてしまう。
彼に会ってしまうと、自分が冷静ではいられなくなってしまう。

考えが麻のように乱れ始めた頃、エレベーターが到着の音を上げ、扉が開いた。

やはり、というべきか。

そこにいたのは、かつて自分が唯一愛した男。

そしてVIPを裏切り自分を捨て、ラウンジへと身を預けた男。

ドクオに切られた腕も元に戻り、見かけも昔と何も変わらない。

川゚‐゚)「ジョルジュ…」

( ゚∀゚)「クー…」

頭の中が真っ白になる。

足が勝手に動き、ふらふらとジョルジュに向かって歩き始めてしまう。

止まらなければ…

脳の一部が叫ぶが、感情がそれを理解しようとはしない。

気付けば腕を差し出せば触れられる距離まで近づいていた。

敵になったはずのジョルジュもこちらの感情に気付いているのか、見つめるだけで何もしようとはしてこない。

川゚‐゚)(ダメ…だ…)

感情を抑制していた唯一の理性が消えていく。

クーが感情に完璧に飲み込まれた次の瞬間だった。

(;゚∀゚)「え…?」

ジョルジュは不思議な光景を見ていた。

視界がぐるぐる回る。

今まで正面を見ていたはずなのに、今や世界は止まる事無く回り続ける。

数秒そんな世界を見せられた後、そのうち何かに叩きつけられる音がして何も見えなくなった。

川゚‐゚)「女を弄んだ罰だ」

クーは目の前で首と胴体が別れを告げたかつての恋人に吐き捨てると、二度と振り返る事無く奥の扉を目指して歩き始めた。



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