( ^ω^)がドイツの独裁者になったようです

  
4: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 22:42:39.31 ID:XaFe6hV/0
  
青年編



( ^ω^)「絵葉書はいらんかねー。さあさあ絵葉書はいらんかねー」


1907年ごろ。オーストリアの首都ウィーン。歴史とロマンあふれるこの美しい都で、一人の青年が絵葉書を売っていた。

( ^ω^)「絵葉書いかがっすかー。将来プレミアもんですよー」



  
5: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 22:46:56.16 ID:XaFe6hV/0
  
青年は( ^ω^)といった。オーストリア生まれの、美術学生を目指すさえない男だった。

( ^ω^)「あ!お買い上げあざーっす!どーもどーもwwwww」

ウィーンにはヨーロッパでも有数の美術大学があり、青年はそこで絵を学ぶことを強く希望していた。

( ^ω^)「明後日は2浪目の入学試験だお!今度こそ憧れのウィーン美大生だお!」



  
10: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 22:52:34.95 ID:XaFe6hV/0
  
( ^ω^)は、勉強のほうはあまり出来るほうではなかった。
少年時代、2度の落第と転校を経験するほどであった。原因はいずれも成績不良だった。

数年前、( ^ω^)を厳しく育てた父親が他界し、( ^ω^)はひとつの決心をした。

( ^ω^)「決めたお!ぼくは偉大な画家となって、センスと技術を武器にヨーロッパを席巻してやるお!」

( ^ω^)「勉強なんざくそ食らえ!Fack数学!Fukk物理!」

( ^ω^)は自身の夢をかなえる為、ウィーンでひとり暮らしながら、絵葉書を売って苦学生をやっていたのである。



  
15: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:03:03.13 ID:XaFe6hV/0
  
人間、努力すればそれなりに身につくもので、( ^ω^)はそれなりに綺麗な絵が描けるようになった。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/ac/AHWatercolor1.jpg/250px-AHWatercolor1.jpg
しかしなかなか大学には入れなかった。そこはそれ天下のウィーン美術大学。それなりの腕では入れなかった。

(;^ω^)「うう・・・さすが難関大学。でも浪人して絶対入ってやるお!うおおおおおお」

しかし1浪してもだめだった。

(;^ω^)「ちくしょう・・・絶望がぼくを支配するお・・・でも諦めないお!」

そしてその次の試験。これを落ちたら2浪目になってしまう。

( ^ω^)「神様は絶対僕を見てくれるお!だってあれだけ頑張ったんだもん!」

( ^ω^)はdkdkwktkしながら発表を見に行った。



  
18: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:06:35.00 ID:XaFe6hV/0
  
                   ┏━━━━━━━┓ 
                   ┃ウィーン  美大   ┃
                   ┃  合格発表   ┃ 
                   ┗━━━━━━━┛
     ┌──────────┐      ┌─────────┐
     │ ・・・・   ・・・・ ・・・・│      │ ・・・・  ・・・・   ・・│
     │ ・・・・ ・・・・  ・・・・   │      │ ・・・・  ・・・・ ・・・・ │
     │ ・・・・ ・・・・  ・・・・   │      │ ・・・・  ・・・・ ・・・・ │
        ワイワイ             ∧_∧  ∧_∧  ∩_∩
∧_∧  ∧_∧  ∩_∩      (∀`  ) (    ) (    )
(    )(    ) (    )      ( ∧_∧(    ) ∧_∧   ガヤガヤ    (^ω^;)「うわ、めっちゃ人多い」
( ∧_∧(    ) ∧_∧        (    )∩_∩ (    )
 (    )∩_∩ (    )        (    )(    )(    )

( ^ω^)の受験番号は110105(イイオトコ)。掲示板から数列を探し、目で探す。


11085
11087

( ^ω^)「お、この列だお」



  
19: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:10:28.35 ID:XaFe6hV/0
  
11091
11092
11094

(;^ω^)「ドキドキ」

11097
11098
11099
110100

(;^ω^)「結構合格者数多いお!これはいけるかも分からんね」



  
20: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:12:28.09 ID:XaFe6hV/0
  
110101
110102
110103

( >ω<)「イエス様ヤハウェ様アッラー様ブッダ様頼みますお・・・!!!!!」








110104
110106
110107
110108



  
22: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:15:23.11 ID:XaFe6hV/0
  
( ^ω^)「・・・」

( ^ω^)「絵の練習しすぎで目が参っちゃったお。まさか番号を見過ごすなんて」

( pωq)ゴシゴシ

( ^ω^)「オッケェーイ俺の邪気眼解放!」


110104
110106
110107
110108



  
24: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:17:38.07 ID:XaFe6hV/0
  
( ^ω^)「・・・」

(;^ω^)「フッ俺の邪気眼も衰えたものよ」

( ^ω^)「今度こそ見届けよう、揺るがない真実を!」

( ^ω^)チラッ「さあこい!」


110104
110106
110107
110108

( ^ω^)


110104
110106
110107
110108



  
25: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:22:21.51 ID:XaFe6hV/0
  
110104
110106
110107
110108

( ^ω^)「・・・もしかしてオワタ?」

110104
110106
110107
110108

( ^ω^)「いや・・・ないでしょ。だってあれだけ苦労したんですよ他のボンボンより沢山」

110104
110106
110107
110108

( ;ω;) 「うそだ・・・うそだお・・・」


110104
110106
110107
110108

( ;ω;)「ぶあああああああああん!!!!!!!」



  
28: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:27:25.68 ID:XaFe6hV/0
  
事態を把握するまでに、しばし時間がかかったが、「不合格」の事実を知った( ^ω^)は泣いた。
悔しさに。悲しさに。己のふがいなさに。

( ;ω;)「なんで!なんでなんだおおおおおおおおおお」

涙をぬぐおうともせず、( ^ω^)は周りを見渡した。
うれしそうに胴上げする若者たちが目に付いたが、その中で、見たことのある人影を発見した。

( ;ω;)「ちょっと!!!ちょっと待ってくださいおおおおおおおおおおおおおヴぉヴぉっヴぉv」

('(゚∀゚∩「ビクッ」

ウィーン美大の教授だった。



  
29: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:30:32.38 ID:XaFe6hV/0
  
周りの人々が、怪訝な目つきで( ^ω^)を見るが、( ^ω^)はそんなことはお構いなしに、教授の下へと詰め寄った。

( ;ω;)「教授!ミスですお!ぼくの番号がありませんおおおおおおおおおお」

('(゚∀゚∩「ミスじゃないよ!それ不合格だよ!」

( ;ω;)「・・・」

教授はあっけらかんと言った。



  
30: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:35:01.89 ID:XaFe6hV/0
  
( ;ω;)「で、でも!今までで最高の出来だったんだお!実際の風景どおりに描けましたお!」

涙と鼻水まみれの顔で迫るブーンを御しながら、教授はまたしてもあっけらかんと言った。

('(゚∀゚∩「うん!風景画は十分合格点だったよ!」

( ;ω;)「ならなんで!何で不合格なんですかお!」

('(゚∀゚∩「だって君人物画がヘタクソだよ!」

(  ω )

('(゚∀゚∩「ウィーン美大には万能に描ける人材が必要なんだよ!風景画だけ、人物画だけは要らないよ!」



  
31: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:40:02.41 ID:XaFe6hV/0
  
教授が言ったのは本当のことで、( ^ω^)は風景画は十分に上手かった。
しかし人物画は、というとそれほど上手くなかったのだ。度重なるウィーン美大不合格の原因だった。

('(゚∀゚∩「君は建築家の方が向いてるよ!あと独創性も乏しいから頑張って磨いてね!」

('(゚∀゚∩「ま、君は根性だけはあるからまた来年頑張ってね!」

('(゚∀゚∩「今は落ち込んでるけど、かえってメシ食ってうんこしたらなおるよ!」

(  ω )「・・・」

( ^ω^)は何も言わずにその場を立ち去った。足取りは重かった。



  
32: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:42:57.18 ID:XaFe6hV/0
  
家に帰る途中、( ^ω^)はずっと下を向いて歩いていた。
太陽さえ、見た瞬間につばを吐きかけたいような気分だった。

( ω)「あれだけやったのに・・・神様はぼくを見放したお・・・」

( ω)「ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう」

( ^ω^)の中で様々な呪詛が生まれてはとぐろを巻いていく。
そのとき、近くを通る若者の声が聞こえた。



  
34: 愛のVIP戦士 :2007/02/08(木) 23:47:08.68 ID:XaFe6hV/0
  
「やべぇwwwwww俺受かったわwwwwwwwww無勉だったのにwwwww」

「おまwwwwwwwそれはすごいwwwwww」

( ω)

「たぶん親父のコネwwwwwwwwwwwサーセンwwwwwwwwww」

「お前のオヤジなにしてたっけ?」

「ウィーンで金貸しwwwwwwwwwwまじオススメwwwwwwwww」

「あくどいwwwwwwwwwさすがユダヤ人wwwwwwwww」

「バーローwwwwwwwww」


( ^ω^)「・・・」


この時、( ^ω^)の中に小さな何かが芽生えたかどうかは定かではない。
受験を失敗した( ^ω^)は美大生の夢を諦めることになった。
そしてこの年、母親が死んだ。

青年編  完



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