( ^ω^)がドイツの独裁者になったようです

  
48: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 00:01:04.78 ID:YX3xNiHG0
  
第1次世界大戦編


( ;ω;)「カーチャーン!!!!」

母親の死は、打ちひしがれていた( ^ω^)に追い討ちをかけた。
だがしかし、( ^ω^)にとってなにもかも悲惨なわけでもなかった。

( ^ω^)「遺産をもらたお!カーチャンありがとだお!」

両親の遺した遺産は、( ^ω^)の生活をだいぶ楽にした。



  
51: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 00:04:04.24 ID:YX3xNiHG0
  
( ^ω^)「絵葉書はいらんかねー。ウィーン美大教授のお墨付きだよー」

( ^ω^)は引き続きウィーンで絵葉書売りに励み、一人暮らしをした。

( ^ω^)「よっそこのカップルさん!旅の思い出に一枚どうだい!?えっ?」

といってもただフリーターをしていた訳でもなく、( ^ω^)は一見小さな、しかし大きな方向転換をしていた。



  
56: このシリーズは鳥なしでいきます :2007/02/09(金) 00:09:00.49 ID:YX3xNiHG0
  
―――――、=i|| |               | || ,―――――――――
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       (,, ‘∀‘∩    (`ー´;,)               /⌒ヽ おもすれー
       (⊃| ̄| ノ     (rつ  `ヽ         ___γ( ^ω^)、_
  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\    l\  ゝつ⌒l⌒⊂)
/                              \   |\\   ⌒'⌒

( ^ω^)はワーグナーに心酔し、食費を切り詰めてまでも、オペラ座に通うほどであった。
また、以前の勉強嫌いはどこへやら毎日図書館に通っては独学していた。



  
57: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 00:12:59.79 ID:YX3xNiHG0
  
といってもやはり勉強の中身はけっこう偏っていて、歴史と哲学、そして美術を好んだ。

それらの豊富な知識の他に、思想も吸収した。

( ^ω^)「チェンバレンさんは結構いかすお」

ゴビノーやチェンバレンの提唱した人種理論、反ユダヤ主義などを取り込んでいった。
この時の経験が、後に( ^ω^)の方向性を決定付けるきっかけとなったのであろう。



  
61: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 00:21:20.03 ID:YX3xNiHG0
  
さて、ここで簡単にユダヤ人について説明しておこう。

ユダヤ人とは、選民思想が特徴の、ヤハウェ神を信仰対象とする一神教の信者のことである。

2世紀初頭から、故郷のパレスチナを追われ、世界各地に散らばった彼らはその70%が都市に居住した。
なにしろ根無し草だったから、農地を持って永住することもままならず、都市で銀行業などを営むほか無かったのである。

また、宗教の戒律も関係していた。ヨーロッパの主流の宗教となったキリスト教は、信者同士での金の貸し借りを禁止していた。
しかし異教徒から借りるのなら無問題。ということで、ユダヤ人はますます金貸しを営んだ。



  
62: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 00:25:36.74 ID:YX3xNiHG0
  
しかし、金には人の欲望がまとわりつくもの。
いつの間にか、「ユダヤ人は金にがめつい奴らだ」とのイメージが芽生え、少しずつ彼らに対する嫌悪感が生まれていった。
これは現代の日本でも同じだろう。金貸しはいつの時代でもどこの場所でも好感は抱かれない。

_..                ,,.-'ヽ
ヽ "゙ー-、、         / : :!
 i 、 :. ヽヽ_,,.....、,,,....._;/ ,;'   ;,.!
  i.,  ..;;;ヽ       ヾ ,,;_ , /
  ヾ_:::,:'           -,ノ
  ヾ;.   ,         , 、;,
    ;;   (:::) , ... 、, (:::);:    
    `;.       C)   ,; '
    ,;'     '.、 -‐-ノ ,;'、
   ;'            ;:
    ;:            ';;



  
67: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 00:29:34.35 ID:YX3xNiHG0
  
そんなユダヤ人への嫌悪感はいつしか差別意識に変わり、
中世の、社会が混乱したときには「ユダヤ人狩り」が行われたこともあった。

社会の不満は少数者に向けられやすいのだ。
そして、その意識は( ^ω^)の時代にも受け継がれていた。

公言こそしないが、心の奥底では結構な人数が差別意識を抱いていたのである。



  
71: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 00:34:27.39 ID:YX3xNiHG0
  
さて、( ^ω^)はお金を少しでも学費にあてるため、公共の独身者合宿所に入居していた。

( ^ω^)「節約って大事ですねー」

施設はそれなりに贅沢であった。( ^ω^)はここで数年間を過ごした。


( ^ω^)「独身貴族ばんざーい!」



  
76: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 00:38:57.65 ID:YX3xNiHG0
  
( ^ω^)はオーストリアとハンガリーが合同した、オーストリア・ハンガリー二重帝国に居住していた。

この時代の国には、フランス革命の頃から常識となった徴兵制が当たり前であった。

美術大学で学ぶわけでもなく、なにか重要な仕事に就いているわけでもない( ^ω^)は、当然徴兵される運命にあった。

( ^ω^)「やべぇwwwwwwwwwwwww」



  
80: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 00:47:31.62 ID:YX3xNiHG0
  
( ^ω^)「読んだ本に書いてあったお」

( ^ω^)「国家のために兵士となり、祖国を防衛することは、近代国家の国民の使命であり義務である」

( ^ω^)「・・・でもやっぱり嫌なものは嫌だお。ぼくはそんな泥臭い仕事をするタイプじゃないお」

( ^ω^)「ま、ここは・・・」






                ,ィ,イ,rt_
              ノレ':.:.:.:.:.:.:.三ァ
            >':.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.ミ、
             ア:.:.:./:.,、,、トミ、:ミ'
             7:.:.:./:ルへ、 ,イリ
    r-、  (゙i   ム::::::::f´ r・ォ ヒ'^i}
    丶、ゝ‐' ヽ__、,_」、:frぅ、 ゙´ ‐',ィ', スタコラサッサだぜぇ
    r―┤  _ノア::::::::::ゞ'=ィ、 ヘ三ノ/
    `ニコ、 _j/⌒ヽィ7'" `丶、__ノ`丶、
    `゙フ,イ二}: : : : : :l: l   ' l: l: : : : : ヽ
     `'"l__l-i: : : :,l: l`ヽ  ,rl: l: : : : : :,ク、
       l__,} l:、: : :l: :l   i  l: l: : :tj://: \

1913年、( ^ω^)は徴兵逃れで、ドイツのミュンヘンに移住した。



  
85: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 00:55:00.52 ID:YX3xNiHG0
  
( ^ω^)「ミュンヘンに来たお!これで兵隊にならなくて済んだお!わーい」
         ____
        /_ノ  ヽ、_\
 ミ ミ ミ  o゚((●)) ((●))゚o      ミ ミ ミ  オーストリアの役人涙目wwwwwwwwwwwwwwプギャーwwwwwwww
/⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__)⌒:::\   /⌒)⌒)⌒)
| / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //   バ
| :::::::::::(⌒)    | |  |   /  ゝ  :::::::::::/      ン
|     ノ     | |  |   \  /  )  /    バ
ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /     ン
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、    
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))

しかし、国民の義務である徴兵から逃げることは許されることではなかった。
オーストリア=ハンガリー当局は( ^ω^)を追って、ミュンヘンまでやって来た。
        ____
       /      \
     /  ─    ─\
    ./    (●)  (●) \
    |       (__人__)    |、
r―n|l\      ` ⌒´   ,/ ヽ
  \\\.` ー‐ ' .// l     ヽ
.     \        |      |
.       \ _  __ | ._   |
        /,  /_ ヽ/、 ヽ_|   1914年 ( ^ω^) 徴兵逃れにより逮捕 強制送還処分
\      // /<  __) l -,|__) >
  \.    || | <  __)_ゝJ_)_>
    \.   ||.| <  ___)_(_)_ >
      \_| |  <____ノ_(_)_ )



  
89: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 01:00:44.30 ID:YX3xNiHG0
  
( ´ω`)「結局捕まっちゃったお・・・」

役人「オラ!さっさと歩け!」

(;^ω^)「ぼくはどうなるんですかお?」

役人「徴兵検査の後に、晴れて入隊だ!しっかり国のために尽くすんだな!」

(;^ω^)「うわーオワタ」

だが、ここでも( ^ω^)はラッキーだった。



  
90: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 01:03:03.46 ID:YX3xNiHG0
  
軍医「はい次の人ー」

( ^ω^)「はいですぉ・・・」

軍医「名前は( ^ω^)か・・・」

( ^ω^)「ぼくは兵隊にならないといけないのか・・・・ああ・・・ウィーンの日々が懐かしい」

軍医「むぅ・・・こいつは・・・しかし・・・」

( ^ω^)「ああなんて哀れな」



  
92: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 01:07:51.80 ID:YX3xNiHG0
  
( ^ω^)「僕は戦場で朽ち果てる運命にあったのかお・・・」

( ^ω^)「でも、それが運命なら仕方ないお・・・」

軍医「( ^ω^)、君は不合格だ!」

( ^ω^)「えっ!?」

軍医「身体スペックショボ過ぎワロタ」

( ^ω^)「じゃあ、兵隊にならなくても?」

軍医「いや足手まといになるから。役立たずってことだ」

 ゚        (_ヽ      +
 ' *  /⌒ヽ.| |  +イヤッホオオオオオオオオオウウ
   . ( ^ω^ / /       。
  +  y'_    イ    *
   〈_,)l   | *      。
ガタン lll./ /l | lll    +

役人「こら!不合格で喜ぶやつがおるか!!」

( ^ω^)は兵役不適格を理由に免除された。願ったりかなったりである。



  
94: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 01:13:39.12 ID:YX3xNiHG0
  
だが、この1914年は大変なことが起こった年でもあった。

オーストリアの皇太子が、ボスニアの首都サラエボで暗殺されるという大事件が起こった。
のちに言うサラエボ事件である。

オーストリアは直ちに、事件の黒幕としてセルビアに宣戦布告。
同盟やその他の利害が絡まって、てんやわんやすったもんだグッダッグダの内に、戦火は世界中に飛び火した。

第1次世界大戦の始まりである。

(;^ω^)「うわぁ〜」



  
96: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 01:20:43.80 ID:YX3xNiHG0
  
どこの国も、大急ぎで兵隊をかき集めた。ハイテク兵器のないこの時代では、
陸戦の強さを決めるのは、数がとても重要な要素だったからだ。

( ^ω^)はまたしても徴兵逃れをするかと思われたが、ところがどっこいオーストリア国籍のままバイエルンの連隊に志願したのである。

実は( ^ω^)、かなり考え方の変わりやすい人物であった。
このときは大ドイツ主義(オーストリアも含めたドイツ人の国家を建設しようという思想)から来た愛国心に燃えた彼は、
自ら兵役を志願したのである。

( ^ω^)「ドイツを攻撃する侵略者どもを追い返すお!」



  
98: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 01:31:28.16 ID:YX3xNiHG0
  
第1次世界大戦は、それまでの戦争と全く異なる陸戦のスタイルを作り上げた。

今までは歩兵横隊がライフルで弾幕を張り、砲兵が敵の防御陣を打ち崩し、騎兵が突撃して敵を倒す、というような
仕組みだったが、この大戦では塹壕を掘って、その中にこもって睨み合いを続ける、というやり方が一般的になった。

敵の塹壕を制圧しようと、歩兵隊が着剣して突撃すれば、たちまち弾幕が張られ、薙ぎ倒された。
このころ、機関銃が戦場に登場した。恐ろしい速度で弾丸を吐き続ける機関銃は、まさに恐怖の兵器だった。

戦いの展開はとても遅くなり、各国が予想したより長引き、戦死者を増やし続けた。



  
99: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 01:36:28.90 ID:YX3xNiHG0
  
予想外なのはドイツもそうだった。

参謀シュリーフェンの提案した計画は、中立のベルギーを通過し、一気にパリを落とす、というものだったが、
パリの東に位置するマルヌで進撃は止まった。

その後はフランスも頑強な抵抗を続け、戦死しては補充兵がやってくる、という凄まじい状況が続いた。
映画「西部戦線異状なし」もこの時を描いた作品である。



  
101: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 01:43:48.15 ID:YX3xNiHG0
  
また、産業革命以後の科学技術の発展は、皮肉にもこの時花咲いた。
多くの新兵器が導入された。

西部戦線3大激戦地の一つ、ソンムでは、イギリス軍が史上初の戦車を投入した。

                       __/ ̄ ̄ヽ.                  ,. --==┐
                        _,._,._,._,./_,._,._,._,._,ヘ_,._,._,._,._,._,._,.r,‐‐.‐_ュ_,._,._/     {  
              _,. -''''゙゙´ 「 ̄ ̄~l:l ̄ ̄「 ̄~:: ̄ ̄二二二二二二 `~゙='''.ー-'、.,_    キュラキュラキュラキュラ
         _,.、.-''゙´^ :l    l:l n  :|:|   :|: :=: ::  .:ト'n┐‐ ! -┌n'イ  :|:,.  :l ,r;゙ヾ;
       ,、,ィ''7::L,._._._._jL.__._.__,j:l ry  :|::____ll:   ::  ┿J l ‐l ‐ ,| L┿   |:  :|r'ン'′:|}
      ,r/´`´ !l三i三l:|    l:|     |:i 。 ‐l=   ::   トニニ:ニ⊥ニ:ニニィ'::.. :|:  :|:´ ,.r''
    ,rン´      l:l三l三l:L:〇:_._.j:|     |:|  ‐l=   ::   l  ir  :   l:ー |   :|:_,.:-'l,;.:''´
    {| :o:   r; l:r==, r――:ォ:! . . . . |:i====il:   :: rェ'___,jl____:__j:__,,!_,. -''r;,.-'´
    ゙ヾ、,_,._ロl_,j:jュ:ュ:ュ:j_lュ:ュ:ュ:ュ|:|::ュ:ュ;ュ;j:lュ:ュ:ュjl:ュ:ュ:jLュ:ュ:ュ:|::|ュ:ュ:ュ:ュ:::‐'_l,. -''~
      `~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~^~´

これには世界各国の軍人が衝撃を受けた。機関銃弾をものともせず、容易に塹壕を突破できる戦車は、
陸戦に新たな可能性をもたらした。



  
103: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 01:49:35.50 ID:YX3xNiHG0
  
1903年にライト兄弟が発明した動力飛行機も、軍事兵器として実用化された。
多くの航空機が偵察・爆撃・戦闘に使用された。

空中戦で敵機を80数機撃墜したリヒトホーヘン大尉は「撃墜王」と呼ばれた。
(「( ^ω^)ブーンが空を行くようです」のモナーのモデル)

飛行機は、地上と海上に、空中という、新たな戦場を作り出した。



  
105: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 01:55:30.87 ID:YX3xNiHG0
  
gdgdの展開となった西部戦線に、( ^ω^)の連隊は投入された。
(このころ、ドイツはロシアとも戦っている。二正面作戦である)

といっても、何しろ兵役不適格を食らったような者だったので、( ^ω^)は伝令兵を任された。
部隊規模で野戦用無線機の行き渡っていないこの時代、各部隊の連携を取るために不可欠な役であった。

( ^ω^)「これはこれで頑張るお!一つ上のアルファベットにいくお!」

( ^ω^)「おっと何でもないお」

緒戦の8割にも達する死傷率の中を、( ^ω^)はしぶとく生き延びた。



  
108: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 02:02:44.74 ID:YX3xNiHG0
  
なんと奇妙なことに、この大戦で( ^ω^)は大手柄を挙げることになる。

銃弾と砲弾が飛び交う戦地を、伝令に走り回っていた( ^ω^)。
そこで、彼は塹壕の中をこそこそ進むフランス兵4人を発見した。

伝令兵は、身を軽くするために余計な装備は持っていない。
( ^ω^)の武装は拳銃が一丁だけであった。
相手は4人の武装兵。勝ち目はない。

しかし、ここで( ^ω^)は機転を利かせた。



  
111: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 02:07:04.49 ID:YX3xNiHG0
  
( ^ω^)「おいそこのフランス兵!居るのはバレバレなんだお!」

( ^ω^)「おまいらは包囲されているお!おとなしく武器を捨てて出てくるんだお!」

( ^ω^)「大尉!左に5人回してくれお!逃げ道を断つお!」

( ^ω^)は誰も居ない後方に、あたかも味方の大部隊がいるふりをした。
その演技力に騙されたフランス兵は、あっさりと投降した。

そして、そのまま味方のところまで捕虜を連行したのである。



  
114: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 02:11:01.93 ID:YX3xNiHG0
  
この大手柄の他にも( ^ω^)は優秀な働きぶりで功を重ねた。
そして戦争も終わりに近づいた1918年初頭。彼は一級鉄十字章という、かなり高位の勲章をもらったのである。

( ^ω^)「うはwwwwwwww嬉しいおwwwwwwww大尉さんありがとうだおwwwwww」

ちなみに、この時( ^ω^)に勲章を渡したのはユダヤ人大尉だった。



  
120: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 02:16:29.16 ID:YX3xNiHG0
  
戦争が終わるよりも先に、( ^ω^)は戦場を離れることになる。

戦死したわけでもない。逃亡したわけでもない。負傷したのだ。

なにげない。いつもどおりのカビと腐敗臭と火薬の交じり合った匂いの戦場。
敵兵の姿も、恐怖の戦車の姿も見えない日。

( ^ω^)「西部戦線異常なしっと・・・」

その日、いつもとは違う何かが( ^ω^)たちの連隊に迫っていた。



  
121: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 02:19:58.75 ID:YX3xNiHG0
  
「ガスだあああああああああああああああ!!!!!!!!!」

突如聞こえた古参兵の、悲鳴にも似た声。
間をおかず、( ^ω^)達の布陣している様々な箇所から悲鳴が聞こえた。

周りを見れば喉を押さえて咳き込んでいるもの、目を押さえてもだえ苦しんでいるもの、とにかく皆が苦しんでいた。



  
122: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 02:27:30.39 ID:YX3xNiHG0
  
第1次大戦に登場した代表的な新兵器がもう一つあった。

それはC兵器。毒ガスである。産業革命のすすむ一方で、化学製品を製造したときに出る有毒物質が問題になった。
多くは毒性の強いものであったが、軍部はそれを兵器に転用したのであった。

この時すでにサリン、ソマン、タブン、ホスゲン。マスタードガスなどが使用されている。

この兵器はイープル戦線でドイツ軍が塩素ガスを使用したのが始まりである。
なにしろ音もなく、形も見えないものだから、気づいたときにはすでに有効範囲に入っているという恐ろしい兵器であった。

この毒ガスで死傷者はうなぎ上りになった。使いにくい神経ガスでの死者はそれほどでなかったにせよ、
糜爛剤や窒息剤で戦場を離れる兵士は膨大な数になり、多くが戦後も後遺症に苦しんだ。



  
125: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 02:32:24.05 ID:YX3xNiHG0
  
この日( ^ω^)たちの連隊を襲ったのは敵軍の放った毒ガスだったのだ。

防毒マスクも間に合わず、命こそ助かったものの、( ^ω^)は神経をおかされ、視力を一時的に失うことになった。
( ;ω;)「うわあああああああ何も見えないおおおおおおお真っ暗だおおおおおお」

勇敢な( ^ω^)も毒ガスには勝てず、後送された。

そこで彼は終戦を知ることになるのである。



  
129: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 02:37:45.93 ID:YX3xNiHG0
  
さて、長い間、それこそ本当のgdgdな戦いを経て、各国には厭戦気分が蔓延してきた。

1ヶ月前に出征した隣のお兄ちゃんが、手足をもがれた芋虫状態で帰ってくるのだから、
それは蔓延しないはずが無い。

ドイツの場合、無制限潜水艦作戦の失敗(ドイツは通商路断絶のため、指定航路以外を航行する船舶をUボートで無差別攻撃する
作戦を行った。そしてアメリカ客船ルシタニア号を撃沈しちゃったもんだからさあ大変。沸騰したアメリカが参戦してきた)が
戦局をさらに悪化させた。



  
131: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 02:43:56.29 ID:YX3xNiHG0
  
イギリスでは女性が軍需工場で働くという光景が見られたし(これが後の選挙権拡大に繋がる)、
ロシアではなんと革命が起きた。皇帝は倒され、臨時政府が樹立され、ドイツとブレスト=リトフスク単独講和条約を結んだ。

ドイツ国内でも、ついに皇帝への怒りが爆発し、ドイツ北部のキール軍港で起きた反乱をきっかけにドイツ革命が起こった。
オーストリアは降伏し、ドイツ皇帝はオランダへ亡命した。

そして1918年の11月11日ポッキーの日。ドイツは米英仏など連合国と休戦条約を結んだ。



  
133: 愛のVIP戦士 :2007/02/09(金) 02:46:55.29 ID:YX3xNiHG0
  
こうして、4年にわたってヨーロッパに悲劇を撒き散らした第1次大戦は終わった。

ドイツ帝国敗戦、の知らせを( ^ω^)は病院のベッドの上で聞くことになった。

偉大なるドイツ帝国は負けた。そして、いまはちっぽけな存在であるこの男にも大きな敗北感を与えた。

歴史の歯車はまたここから回りだすことになるのである。


第1次世界大戦編 完



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