( ^ω^)ブーンが阿部さんに掘られたようです

  
651 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 14:20:46.20 ID:PnU5q2VY0
  
雲のあいだに、陽光が脈を打った。
葉先を濡らした草原の緑が、陽のあたる部分に光のしずくをこぼしたようにさざめく。
爽やかな青色を浮かべた山の稜線が、雨に洗われた大気の中でくっきりと映えていた。

「動かないで、じっとしてて」

微笑んで、ブーンは少女の頭に摘んできた花で作った冠を乗せる。
雨上がりの草原に吹いた風が、まだ幼かった少女の黒髪を揺らしていた。

「ほら、できた」

少女が、ブーンの方に振り向く。
差し込んできた陽光が、その横顔を可憐に淡く染めていた。

「あ、あの……。お姉さま、ありがとうございます」

恥ずかしそうにつぶやく少女に、ブーンは、

「ドクちゃん、可愛いよ」

と、少女の頭を優しく撫でる。

「あ……」

耳元まで顔を真っ赤にした少女をぎゅっと抱き締めて。ブーンは静かに告げた。



  
652 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 14:22:02.98 ID:PnU5q2VY0
  
「ボクはもう、眠らないといけないけど……。ドクちゃんは、お父様や他の兄妹の言う事をちゃんと聞いて、
いい子にしてるんだよ?」

諭すように、ブーンは身体を離して少女にそう言う。

「そうしたら、またお姉さまに会える?」

不安げな顔をして訊ねてくる少女。
ブーンはうなずく。

「……今度会うときは、ドクちゃんはボクよりも年上かな。10年は眠らないといけないから」

幼い黒髪の少女は、にっこりと微笑んだ。

「じゃあ、その時はわたしがお姉さまのお姉さまになるね」

雲の隙間から、気持ち良さそうな青空が空いっぱいに広がりはじめていた。
ブーンと少女は手をつないで、しばらく草原の上を歩く。
穏やかな午後の記憶は、しだいに薄れてゆき――。



  
656 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 14:31:27.12 ID:PnU5q2VY0
  
( ^ω^)「お……乙女チックな夢を見てしまったお」

ブーンはくしゃくしゃに乱れていた髪をわずかにかきあげると、モーテルのベッドから身を起こした。
隣のベッドとのあいだに引いていたカーテンを、まだらな月明かりが染めている。
ブーンは身体を起こすと、床に置いていたペットボトルを取った。

カーテンを締めきったモーテルの窓の向こうは、静かな夜だった。
ペットボトルの蓋をあけて中の水を飲もうとしたブーンは、そこでふいに硬直した。

( ^ω^)「お?」

水の入っているはずのペットボトルの中には、黄金に輝く液体が。
横に引いていたカーテンを開け放って、ブーンは叫んだ。

(# ^ω^)「お前ら、何やってるんだお!」



  
658 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 14:36:08.61 ID:PnU5q2VY0
  
阿部さんとジョニーは、二人で仲良くベッドの上で寝ていた。
一枚の毛布の中で抱きあって眠っていると言った方が正確だろう。

「ん……何だい、もう朝か?」

ツナギのジッパーを全開にした阿倍さんが、眠たげに眼をこする。
そのかたわらでは、全裸のジョニーがなにか呻いた。

(# ^ω^)「これは一体、何なんだお!」

ブーンは昨日、ウォルマートで買ってきたミネラルウォーターのボトルを阿部さんの前に突きつける。
中には黄金に輝く液体が満タンに入れられていた。

「ああ。それはジョニーのおしっこさ……」

阿部さんが、ふいに遠くを見つめるような眼になった。



  
661 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 14:45:34.83 ID:PnU5q2VY0
  
(# ^ω^)「…………」

ブーンは汚らわしいものに触れたかのように、それを屑籠に投げ捨てた。
阿部さんは、気持ち良さそうに眠っているジョニーの頬を指で撫でながら、自慢するように言う。

「中に入っていた水は、ジョニーが全て飲んじまったのさ。お前には悪い事をしたと思ったから、
ジョニーに飲んだ分を返させたんだが、気に入らなかったかい?」

( ^ω^)「もう突っ込む気力も失せてきたお……」

ブーンはよろよろとベッドスタンドの脇にもたれかかり、ライトのスイッチを入れようとした。
着替えて外の自動販売機で水を買ってこようと思ったのだ。

明かりのついたモーテルの部屋は、特に阿部さんとジョニーの寝ているあたりの壁がエライことになっていた。



  
666 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 14:59:47.78 ID:PnU5q2VY0
  
朝日が差し込み始めた地面に、土埃が舞っていた。
吹きつける砂混じりの風に、ハウスクリーニング・サービスと書かれたバンから降りてきた男は顔をしかめる。
正直なところ、あまりこの街には来たくはなかった。

「24本の足がある謎の生物が、昨日この辺りで這いまわっていたって噂だったよな……」

しかし、夜明けの街は静まり返っていた。
モーテルの105号室の客が、汚れた部屋の中を掃除してほしいと朝っぱらから電話をかけてきたのである。
男は清掃用具を担いだまま、モーテルのドアをノックした。

扉が開いて、中から出てきたのは金髪の若い女だった。
すらりとしたジーンズを履いて、上には襟の開いた白いシャツを着ている。
疑わしそうな目で、女は男のことを見てきた。

「女性の清掃員の方を頼んだはずですが」

「すいませんが、今日はいなくてね。俺が来たってわけですよ」

女はなぜか同情するような目をして、部屋の中に男を招き入れる。
きゅっと引き締まった形の良いお尻に、男は口笛を吹いた。



  
670 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 15:11:50.22 ID:PnU5q2VY0
  
「カルピスです」

何かを悟りきったような表情で、女はそう言った。
モーテルの壁は、白い粘液のようなもので覆われていた。むっと、異臭が立ち込めている。
二台あったベッドのシーツは、片方はきれいに整えられていたが、もう片方はぐしゃぐしゃに丸められて、
やはり白い液体がこぼれていた床の上に転がっていた。

どう見ても精子です。
男は、つい目の前の若い女が獣のような喘ぎ声をあげて、ベッドの上で犯されている姿を想像してしまった。

「まあ、このくらいなら大丈夫ですよ」

男はそう言って、何気なく扉が閉められていたクローゼットに近寄った。

( ^ω^)「だ、駄目だお!」

女が慌てた様子で、静止してくる。

( ^ω^)「このクローゼットは絶対に開けたら駄目だお。一人の男が、すでに人生を狂わされているんだお」

さっきまでの取り繕ったような様子を一変させて、女は男にそう告げた。



  
674 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 15:24:41.64 ID:PnU5q2VY0
  
( ^ω^)「それでは、少し買い物に出掛けてくるから、後はよろしく頼むんだお」

やはり、憐れむような目をして女は貴重品をバッグに入れると、外に出ていった。
男はそれを見送って、とりあえずモーテルの扉に内側から鍵をかけた。

さっきの女の肢体を思い浮かべながら、バスルームの近くに置いてあった洗濯物のカゴを漁る。
女の子が履くような可愛らしい白のパンティを、男の指が掴みあげた。

「ふふふふふ……。たまんねーぜ」

パンティについていた、薄い茶色の染みに男はほおずりする。
匂いを嗅ごうとして、しかしそのパンティからもイカ臭い匂いが漂ってきている事に男は気づいた。

「うげっ」

男は下着を履いたままのあの女が、男性器を股で挟み込むように擦っている姿を想像してしまう。
しかし、このパンティは駄目だ。男は注意深く、それを洗濯物のカゴの中に戻す。

ガタガタと、後ろのクローゼットの中で何か物音がした。



  
679 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 15:35:36.30 ID:PnU5q2VY0
  
「何だ? 誰かいるのか……?」

とりあえず、男はクローゼットに近づこうとして、さっきの女の言葉を思い出した。

「人生を狂わされるか……。下手な脅しだぜ」

どんな恥ずかしいものが入っているのだろうかと思って、男はクローゼットの扉に手をかける。
ガタガタと、嫌がるようにクローゼットの内側からなにか音が鳴った。

動物かな、と思ったがそのまま一気に開く。
開けてしまった。男は、開けてしまったのだ。

「おはよう。爽やかな朝だね」

一瞬、見てはいけない何かの姿が目の前にちらつき、男は慌ててクローゼットの扉を閉めた。
じりじりと後ずさる。
やばい。このモーテルの部屋は、やばすぎる。

掃除用具などどうでもよかった。外に停めてあるバンに戻って、この場所から早く逃げ出したかった。
さっき鍵をかけたモーテルのドアを開ける。
そこには、一人の男が立っていた。



  
686 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 15:44:57.41 ID:PnU5q2VY0
  
「よう。クローゼットを開けちまったようだな」

ツナギを着たそいつは、そう言うといきなりジッパーを下に下ろしはじめた。

「じっと外で待ってるのは退屈だったんで、嬉しいよ……」

近寄ってくるそいつに、男は思わずモーテルの部屋の中へと逃げ込んでしまう。
駄目だ。クローゼットの中にいたあいつが、部屋にはいる。
男はモーテルの窓から逃げることを咄嗟に思いつき、慌てて窓の近くに走り寄った。

窓の外の光景を見て、男はあの噂の生物が何であったのかを悟った。
確かに、24本の足がある。

朝の太陽に染まりはじめた西部の街並みの中を、そのムカデのような生物が這いまわっていた。
男だ。肉棒と尻を連結し合った、全裸の男が合わせて十二人、恍惚とした顔で下を歩いている。

ここは本当にアメリカなのだろうかと、男は思った。
さっきクローゼットの中に入っていた全裸のデブが、優しく肩を叩いたのが分かった。

「大丈夫。君もすぐ慣れるさ」



  
692 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 16:04:54.55 ID:PnU5q2VY0
  
「さて、車も手に入ったことだし、次はどっちに向かうんだい?」

シートベルトを締めた阿部さんが、群衆に手を振りながら訊ねてくる。

( ^ω^)「東だお。ずっと東に向かってほしいお」

助手席のブーンは、地図を見ながら答えた。

( ^ω^)「……何かこう、悪い事をしたような気分になるお」

「気にすることないですよ。あいつ、ブーンさんの下着の匂いを嗅いでたんですよ」

ジョニーが言う。
ペンキを塗りたくって清掃会社のマーキングを消したバンに、三人は乗っていた。

「うむ。確かにあいつは歪んだ人間だったが、今では立派に更正した。あれを見ろ」

阿部さんの指さした先には、全裸にされたさっきの男が、屈強な兄貴のイチモツをしゃぶってきれいにしていた。

( ^ω^)「…………」

深く考えたら、負けだ。ブーンはそう思う事にした。



  
697 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 16:18:26.82 ID:PnU5q2VY0
  
熱気に揺らめき立つアスファルトの道路の先に、白い柵のようなものが見えた。
警察の検問だ。二台のジープが往復して、街に入ろうとする車をすべて調べている。
ほとんど通行量のない道路に、まばらな車の列ができていた。

「なかなか、お前を追っている連中というのは手ごわいようだな。警察機構も味方につけているのか」

阿部さんがつぶやく。
お前が隣の町でホモによる暴動を起こしたせいだろうと言いたくなるのをこらえて、
ブーンはレシーバーのスイッチを入れた。

『繰り返す……。ツナギを着た東洋人と、全裸の太った男を、何としても街に入れるな……繰り返す……』

( ^ω^)「警察の無線はさっきからこんな事ばっかり言ってるお」

「やっぱり、服着た方がいいんじゃないですかね」

全裸のジョニーが、後部座席からたずねてくる。

「なあに。心配するな。いい男ってのは、検問だってホイホイ通り抜けるもんなんだぜ」

阿部さんが、白い歯を見せて笑った。



  
703 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 16:39:52.38 ID:PnU5q2VY0
  
阿部さんは、訝しげな顔をする保安官に陽気に声をかけた。

「アリゾナってのは熱いんだな。あんまり暑いので、服を脱いじまったよ」

保安官が車内を見る。そこにはキツそうなツナギを着た太った男と、全裸の東洋人、そして金髪の少女がいた。
ツナギを着た男はどう見ても白人だし、車を運転している全裸の男は東洋人だ。
腹立だしげに、保安官はバンのドアを叩く。

「服を着ろよ、この変態。そのままの格好で一歩でも車の外に出たら、逮捕してやるからな」

阿部さんが軽く会釈する。

「よし。進んでいいぞ」

阿部さんはアクセルを踏み込む。白いバンは優雅に、検問所を素通りした。

「どうだい? いい男は頭も切れるんだぜ」

阿部さんの匂いのするツナギに、目を輝かせるジョニー。
ブーンは相手がアホで助かったと、心の底から思った。



  
707 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 16:50:51.07 ID:PnU5q2VY0
  
街の道路を三十分ほど走ったところで、ジョニーが空腹を訴えた。

「何だい? お前の腹ン中は、俺の精液でパンパンじゃなかったのかい?」

( ^ω^)「あんまり無茶な事は言わない方がいいお。ジョニー、本当にお腹が空いて死にそうだお」

セックスがカロリーを消費するのか、それともジョニーがもともと大食いなのかは分からなかったが、
ブーンは昨日の軽食のサンドをむさぼり食うように食べていたジョニーの姿を思い出した。

昨日まではただの変態警官だったが、今ではジョニーもブーン達の大切な仲間なのだ。
なるべくカロリーのありそうな食べ物を探していたブーンは、向かいの通りにパンダ・エクスプレスの看板を見つけた。

( ^ω^)「あそこでお昼ご飯に中華料理を食べようお」



  
708 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 16:59:33.00 ID:PnU5q2VY0
  
阿部さんがウィンカーを出して、パンダエクスプレスの駐車場に入る。
中には一台のワゴンが停まっているだけだった。

( ^ω^)「ジョニー、大丈夫かお……? 本当に気分悪そうだお」

「俺とブーンが何か買ってきてやるから、お前はここで待ってるんだぞ、いいな」

ブーンと阿部さんは口々にそう言って、ワゴンの中から出ていく。
ジョニーは面目ないと言った面持ちで赤い屋根の建物に消えていく二人の姿を見送ったが、
ついに力が抜けたようでそのままバンの後部座席に突っ伏してしまった。

ちょうど、サップにやられた曙のような格好である。



  
712 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 17:07:34.46 ID:PnU5q2VY0
  
「うふふ……」

遠のいていく意識の中で、ジョニーは女の笑い声を聞いたような気がした。

「車に鍵もかけずに出ていくなんて、間抜けな二人だわ」

冷たい風がさっと足元から吹きこんできて、ジョニーの足を何かが掴んだ。
滅茶苦茶な力で、それはジョニーの身体を車外に引きずり出していく。
助けを呼ぼうとしたジョニーは、しかし空腹のあまり声が出ない。

「安心して。あなたには、私がたくさんご飯を食べさせてあげるから」

耳元で囁いた女の声を聞いたのを最後に、ジョニーは気絶した。



  
718 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 17:20:47.88 ID:PnU5q2VY0
  
ブーンと阿部さんは、大量の中華料理を紙パックに詰めて、さっき停めたバンのところに引き返してきた。

「こいつでジョニーの奴も元気になるだろう。手間掛けさせやがって、可愛い奴だ」

( ^ω^)「僕もお腹が空いていたところだし、ちょうど良かったお」

二人はバンのドアを開けて、車内に乗り込む。
後部座席のジョニーは、どうやらきちんと座っていたようだった。

( ^ω^)「お昼ご飯の中華料理を買ってきたお」

「大丈夫か? どれ、俺が食べさせてやるから口を開けな」

阿部さんがお箸で鶏のから揚げを掴んで、後部座席の方に差し出す。

「ん? ジョニー、お前少し痩せたみたいだな。それにその変なお面、どうしたんだ」

金属の仮面のようなものを付けていたそいつは、黒いチューブを髪の毛のように側頭部から垂らしていた。
腕に取り付けていた金属のガントレットを、尖ったそいつの指がピピピと操作する。



  
724 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 17:36:48.52 ID:PnU5q2VY0
  
( ^ω^)「こ、今度はプレデターかお!」

叫ぶブーン。
阿部さんは、唐揚げを差し出した箸を止めて、そいつが何やら操作している腕のガントレット――ではなく、
引き締まった太股のあいだに垂らされている直垂のような鎧を見つめた。

「こいつが男なのか、女なのか、それだけが問題だ……」

つぶやいた阿部さんにそいつは、ヘルメットの下の二つの眼を不気味に輝かせた。


次の瞬間、パンダエクスプレスの駐車場に、閃光がほとばしった。

辺りに炸裂した衝撃波が中華ファーストフード店の窓ガラスを粉々に粉砕し、
駐車場の脇に植えられていた街路樹をゴムのようにしならせた。
噴き上がった炎とともに、雨あられとブーンと阿倍さんの乗っていたバンの残骸が降り注ぐ。

「テロだ――!」

そんな叫び声が、立ち昇った黒煙にこだました。



  
728 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 17:51:35.35 ID:PnU5q2VY0
  
「ジョニー……。俺たちは、どこに向かおうとしているんだったかな?」

全裸の阿部さんが、ジョニーにそう語りかけてきた。
股間のキンタマを見て、ジョニーは思わずウホッと声を上げる。

「阿部さん……」

阿部さんは、しかしジョニーに続けた。

「ジョニー、俺たちが目指しているのはどこだ?」

「知らないですよ。なんかブーンさんは、東がどうとか言ってましたけど」

それよりも、とジョニーは自分のケツを差し出す。
しかし阿部さんは、無表情のままだった。



  
733 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 18:00:05.79 ID:PnU5q2VY0
  
「洗脳電波に耐性があるのかしら……」

少女は頭を抱えて、実験室の中を見つめる。
怪しげなメーターやら蒸気を吹き出すパイプやら妙な機械の残骸やらが並べられた部屋の中に、
ベッドに縛りつけられているジョニーの姿があった。もちろん、全裸である。

手足を拘束されたジョニーの股間からは、ビンビンにそそり立つペニスが勃起している。
それをしばらく見つめていた少女は、何やら思いついたらしくかたわらの機械のレバーを上にあげた。

「ふふふふ……。人間は拷問には耐えられても、快楽には弱い生き物なのよ」



  
736 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 18:16:42.24 ID:PnU5q2VY0
  
「あ、阿部さん、俺、もう我慢できないっスよ……!」

ジョニーは思わず、阿部さんの逞しいケツに怒張したマラを突き立てそうになる。
その阿部さんの姿形が歪んで――。

気がついたときには、ジョニーは薄暗いどこかの部屋にいた。
乱雑とした部屋だった。何かの実験室のようだ。
きょろきょろとあたりを見回していたジョニーは、その少女と目が合った。

「あんた、誰……?」

身体が動かせない。全身を革ベルトのような拘束具で縛られて、ベッドに縛りつけられているのだと気づいた。
少女はジョニーの側まで近づいてきて、覗き込むようにジョニーのことを見下ろす。

「自己紹介はいいわ。私は、これからあなたの事を拷問しようと思ってるの」

うふふと笑った少女に、ジョニーの背筋が寒くなった。



  
739 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 18:26:10.70 ID:PnU5q2VY0
  
「拷問には大体二種類のものががあるわ。肉体に苦痛を与える拷問と、精神に苦痛を与える拷問。
私が得意なのは、精神に苦痛を与える方の拷問なの」

痛いのが嫌だったジョニーは、ほっと胸をなでおろす。

「最後に念のため聞いておくけど。あなた、ブーンがどこに向かおうとしているのか知ってる?」

その質問で、ジョニーは目の前に立っているこの少女が、
昨日阿部さんのアバランチを襲ったターミネーターの仲間だという事に気づいた。

「お前も、ターミネーターなのか……」

三作目に出てきた女ターミネーターのことを思い出し、ジョニーは戦慄する。

「違うわ。私はドクオ=ニート博士。日夜、超兵器を研究している天才科学者よ」

結局自己紹介した少女が、自慢げに笑う。

「引き篭もりだから滅多なことでは外に出ないけどね。あなたの連れの男が破壊してくれたシュワちゃん、
あれは私が作ったロボットだったのよ……」



  
748 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 18:38:23.12 ID:PnU5q2VY0
  
怒りで、少女の細い拳が震えるのがジョニーにも分かった。

「それをよくも、よりによってあんな方法で破壊してくれるなんて……。あの男だけは絶対に許さないわ」

でも、と少女は美しい赤銅色の瞳をジョニーの方に向ける。

「ブーンの目指している場所を教えてくれるのなら、あなただけは許してあげてもいいわ」

「残念だけど、俺は知らない」

ジョニーは静かにそう告げる。そもそも、ブーンは東の方に向かってくれとしか二人に伝えていない。
うふふふ、と少女が楽しそうに笑う。

「そんなに私の拷問を受けたいの? 発狂するくらいの快楽と苦痛を、あなたに与えてあげるわ」

快楽、と美しい少女に言われて、萎えてしまっていたジョニーの息子が力を取り戻す。
少女はそれを、舌なめずりするように見た。



  
755 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 19:01:02.92 ID:PnU5q2VY0
  
少女のしなやかな指が、ジョニーのいきり立つそれに触れた。
柔らかくなぞるように、ジョニーの先端の敏感な部分をしごきあげる。
びくん、とジョニーの身体がふるえた。少女の美しい顔に、それだけで射精したいという衝動が湧きあがってくる。

「うふふ、どくどく言ってる……」

少女が、ジョニーの上に屈みこむ。
淫らに動いていた唇が、剥き出しになった亀頭の上によだれの糸をこぼした。
ローションのように、少女の指先がそれをジョニーの性器に塗り伸ばしていく。

「お、俺には……阿部さんという人がっ!」

指がリズミカルにジョニーの性器をしごきあげる。
少女は、ジョニーの股間に頬をうずめる前に冷酷な声で告げた。

「阿部さんとブーンは、もう死んだわ。私の作ったプレデたんの自爆に巻き込まれて」

ペニスが少女の口内の柔らかい粘膜に包まれるのを感じて、ジョニーは呻き声をあげた。



  
763 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 19:14:03.14 ID:PnU5q2VY0
  
少女の舌が、ちろちろとジョニーの亀頭を舐めあげる。
唇をすぼめるように吸い上げる動きが、ベッドの上に縛られたジョニーの腰をびくびくと震わせる。

「そ、そんな……阿部さんが」

しかし、不健康な白い頬をわずかに染めて、執拗な愛撫を続ける少女の姿に、ジョニーは興奮してしまっていた。
阿部さんの言葉が、快感に真っ白になりそうになる脳裏に浮かぶ。

『ジョニー……お前が射精していいのは、俺の前でだけだぜ』

てろてろに光って濡れた、少女の口内がペニスを柔らかく包み込む。
淫靡な舌と、指先の動きは射精を誘うようで。
欲望を美しい少女の口内に放ちそうになって、ジョニーは歯を食いしばる。

すぼめた少女の舌が、亀頭の肉をかき分けるように尿道口の入り口をえぐった。
下腹部のあたりにずんと、生暖かい快楽の衝動が生まれる。

「あ、阿部さんっ……! 俺っ……!」

ジョニーは少女の口内に、溢れ出る白濁液を放つ……はずだった。



  
768 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 19:27:08.75 ID:PnU5q2VY0
  
「え……」

絶頂を迎えているはずのジョニーの腰が、性器を弄る少女の舌使いにがくがくと震える。
阿部さんに開発された肛門の穴から、前立腺を抜けて、噴き出すはずの快楽が、
何かに堰きとめられたかのように性器の先端で異常に膨れ上がる。

「うふふ。言ったでしょう……? これは、精神的な拷問だって」

唇の端からよだれを滴らせたままの少女が、華奢な指でジョニーの性器をしごきながら囁いてくる。

「ヘテロやホモのセックスって、射精という行為で終わってしまうでしょう?
レズのセックスは違うの。永遠に持続する、泥沼のような快楽……。この機械は、男にそんな快楽を与えるために、
大天才の私が開発したの。男を射精できなくする機械なのよ、これは」

しごかれている性器の先端から、透明な汁がたらたらとこぼれてくる。
膨れ上がった快楽が、ジョニーの精神を支配していく。ジョニーは喘ぎ声とも悲鳴ともつかない声を漏らした。

「もう一度質問するわ。ブーンがどこに向かおうとしているのか、あなたは知っている?」



  
776 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 19:40:04.75 ID:PnU5q2VY0
  
「ひ、東……」

少女の言う通り、泥の中で溺れているような快楽に、ジョニーは正気を失いはじめていた。

「東のどこ? ブーンは、どこに向かおうとしている? 素直に吐けば、射精させてあげるわ」

熱い。焼けた鉄の塊のようになった性器に突き刺さる少女の指先の動きは、氷のように冷たかった。
性器の先端を蛇にかまれているようだった。激痛が走っているのに、身体は快楽を感じている。
ジョニーは声もなく呻いた。焼けるような感触が、全身に広がった。

「し、知らない……。ブーンは、詳しい場所も目的も一切、教えていない……」

「そう……」

少女はそう言って、しごいていたジョニーの性器から指を離した。
それでも快楽と痛みが、熱になってジョニーの身体を駆けめぐリ続ける。

「これ以上やると、あなた発狂するわ。今日はこれで許してあげる」

少女はレバーを、ガタンと下におろした。



  
779 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 19:46:18.19 ID:PnU5q2VY0
  
「お……おふうっ……」

一斉に、快感が解き放たれた。
腰ががくがくと揺れて、性器の先端から白濁液が噴出する。
痛み。まるで血の小便を出しているような錯覚にとらわれて、ジョニーはその精液の色を見る。

全身の力が抜けるのが分かった。
ジョニーは、再び昏倒していく。



  
786 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/02/24(土) 20:17:16.48 ID:PnU5q2VY0
  
('A`)「マンドクセ……」

お掃除ロボットにジョニーの撒き散らした精液を片づけるように指示すると、ドクオはため息をついた。
ぴくぴくと痙攣しているジョニーの身体を眺めて、死んでいないことを確認するとソファーに腰かける。

ふいに、卓上の固定電話が鳴った。

('A`)「はいもしもし。大天才のドクオ博士です」

('A`)「なに、ブーンとあの男が生きている?」



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