( ^ω^)ブーンが述懐するようです

  
5: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 06:06:10.20 ID:kkZ3cTJ+O
  
第三話 二度目の2年生

四月下旬。ニュー速学園高校入学式。
( ^ω^)
「ふーん。転入学生は、新入学生や編入学生とは違う日に式をやるのかお。まあそんなに重要なことでもないけど」
J('‐`)し
「独り言の声がでけえよカス。
…じゃ、あたしは仕事に行ってくるからね。ラウンジ高の時みたいにサボるんじゃないよ」
( ^ω^)
「大丈夫だお。くそみそ精神で頑張るお」
J('‐`)し
「何それ。きんもーっ☆」
(#^ω^)
「ビキビキ」



  
6: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 06:11:06.10 ID:kkZ3cTJ+O
  
日課である母とのケンカを終え、ブーンは家を出発した。遅くとも二時間ほど前に家を出れば、余裕で式には間に合う。
( ^ω^)
「校長だのの長い話を聞くのはかったるいから、早めに行って一番後ろの席をキープするんだお。寝まくってやるお」

⊂二二二( ^ω^)二二⊃ブーン



  
7: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 06:17:12.63 ID:kkZ3cTJ+O
  
予定通りに東京駅に着き、中央線に乗り換える。
( ^ω^)
「真ん中通るは中央線♪ 新宿西口駅の前♪」
川;・д・)
「何アイツ? 電車の中で歌ってるよ、キモーイ」
(#^ω^)
「…オノデンの歌にすべきだったかお。いや、サトームセン? 関係ないけど、あのCMの女豹みたいな奴モエス」
バカを言っていられたのは、国分寺駅を通過した頃までだった。



  
8: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 06:26:35.31 ID:kkZ3cTJ+O
  
電車が目的地である国立駅に近付き、余裕しゃくしゃくなブーンの耳に聞こえてきたのは、悪夢のようなアナウンス。
「え、次は〜立川〜立川〜」
(;゚ω゚)
「何ィ? なんで国立をすっ飛ばすんだお? 新宿から先は各停になるんじゃないのかお?」
…ブーンは知らなかった。中央線には「中央特快」というものが存在していることを。
そしてその中央特快に乗ってしまった場合、国立に行くためには途中で各停に乗り換えなければいけないことを。
(;^ω^)
「うはwwww立川で一旦降りて引き返したはいいけど、これじゃあ早めに行く計画はムリスwwww」

⊂二二二(;^ω^)二二⊃ブオーン



  
9: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 06:31:24.96 ID:kkZ3cTJ+O
  
会場である体育館に着いたのは、式の始まる10分前。
(;^ω^)
「ちょwwww既に満席な件」
( ・з・)
「大丈夫、空いている席はまだあるよ。来たまえ」
教師に先導され、体育館の中を進むブーン。途中、何度も空いているパイプ椅子を探すが、それらしきものは一つも見当たらない。
( ・з・)
「ここだ。さあ、座って」
(;^ω^)
「 最 前 列 じゃねーかバーローwwwwww」



  
10: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 06:37:45.87 ID:kkZ3cTJ+O
  
しかも恐るべきことに、他の列は全て人で埋まっているというのに、彼の案内された最前列は完全に無人。
まさに遅刻者への罰。
( ^ω^)
「冷静に考えたら、別に遅刻してないのにね。
あれ? 何だお、目から熱い水が…」

ブーンが座った後も、件の教師は続々と生徒を地獄の指定席へと案内してきた。次々に漏れる溜め息。
そしてついに、ブーンのすぐ左隣からも溜め息が聞こえてきた。ブーンは涙を拭いつつ、顔をその溜め息の主へと向けた。



  
11: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 06:43:10.33 ID:kkZ3cTJ+O
  
川*゚∀゚)
「はぁ…」
( ゚ω゚ )
「……」
川;゚∀゚)
「(こっち見んな)」
(*^ω^)
「(モエスwwww先生GJ!)」
川;゚∀゚)
「(あーダリィな畜生。最前列じゃ携帯も使えねーよ)」
(*^ω^)
「シャンプーの匂いハァハァ」
川;゚∀゚)
「(こいつ…普通にきめぇ)」
( ^ω^)
「同じクラスになれるといいお。wktk」



  
12: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 06:50:46.51 ID:kkZ3cTJ+O
  
ブーンは有頂天だった。この後、人生最大ともいえる危機が訪れることなど露知らずに。
( ^ω^)
「シャンプーの匂いが心地いいお。
…ん? 何か変な匂いが混じってきたお。誰か屁でもこいたのかお?」
( ・∪・)
「……」
( ^ω^)
「いつの間にか、右隣の席も埋まってるお。こっちの方もオニャノコだったらもっと良かったのに。
…ん、うーん…あれ?」
( ・∪・)
「……」
(;´ω`)
「あれ? おっおっ…」

そこでブーンの意識は途絶えた。



  
13: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 06:57:37.52 ID:kkZ3cTJ+O
  
ブーンが意識を取り戻したのは、入学式が始まった直後であった。

(;´ω`)
「ん? 僕は寝てたのかお? なんか頭が痛いお」
川;゚∀゚)
「(何だよ、この匂い…!! うぅ、気持ちわるぅ)」
( ・∪・)
「……」
異変に気付いていたのは、ブーンと左隣の女だけではなかった。最前列付近にいるほぼ全員が、頭を抱えたり顔を押さえたりと、端から見れば確実に不審な行動を取っている。



  
14: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 07:06:22.22 ID:kkZ3cTJ+O
  
明らかな異常事態にも関わらず、式は滞りなく進んでいた。壇上では既に、校長らしき人物の挨拶が終わろうとしている。
(*´ゝ`)
「――是非とも、希望を持って学習に取り組んでいただきたいと思っている次第です。皆さん、新たな環境で――」
(;´ω`)
「話が頭に入ってこないお。また気絶しそうだお」
川;゚∀゚)
「(うはwwwwギガクサスwwwwもう勘弁してくれwwww)」
(;´ω`)
「(隣の娘、必死に鼻を押さえてるお。
…そうか! 頭痛の原因が分かったお)」
何かに気付き、周囲を見回すブーン。



  
15: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 07:18:26.87 ID:kkZ3cTJ+O
  
予想通り、周囲の人間の目線は、ある一人の男に向けられていた。
( ・∪・)
「……」
(;^ω^)
「(こいつが原因だお!)」
先程は気付かなかったが、ブーンの右隣に座っている男――おそらくは10代後半――は、明らかに薄汚れた格好をしていた。
彼の着ている青いカーディガンは何の汚れか所々が薄茶色に変色しており、その上、毛髪の各所にはフケらしきものが散らばっている。
(#^ω^)
「(ふざけんなお。この僕でさえ多少は身嗜みに気を遣ってきたっていうのに。
この怒りが、僕の中の未知なる力を呼び覚ましそうだお)」
( ・∪・)
「……?」
(;^ω^)
「…それどころじゃないお。このままじゃ死ぬおwwww」
ブーンはなるべく鼻で呼吸しないように心掛け、式の間中ずっと俯いたまま時間を過ごした。
幸い、演技ではなく本当に気分が悪かったのを察してくれたのか、その行動を教師らに咎められることは無かった。



  
16: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 07:28:36.02 ID:kkZ3cTJ+O
  
( ゚ё゚)
「――さて、今年度より新しく赴任されてきた先生方を紹介します。先生方、どうぞ前へ――」
( ーωー)
「精神集中だお。集中力が途切れた時に待つのは、死…」
(^∀^)
「初めまして。ゲラゲラ シネヤカスドモ」
( ーωー)
「この程度の荒らしに反応するのは素人だお」
( ´,_ゝ`)
「プッ。お前らなんかに教えることは何も無い」
(;ーωー)
「幻聴かお? 教師が全員敵に思えてきたお」
( 凸 )
「……」
川;゚∀゚)
「イデオ○先生ktkr!!」
(;ーωー)
「宇宙意志なんかに負けないお。でも担当科目kwsk」



  
19: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 07:42:32.25 ID:kkZ3cTJ+O
  

時間にして、およそ40分。ブーンは右隣からの悪臭に耐え抜いた。
( ゚ё゚)
「以上で入学式を終了します。生徒の皆さんは予め通達してあった、各々のクラスの教室へと向かって下さい」
( ^ω^)
「勝った…僕は、勝ったんだお!」
安堵の表情で顔を上げるブーン。あとは、速やかに教室へと移動するだけだ。
しかし…。
( ゚ё゚)
「全員、起立」
( ^ω^)
「よっこらセックス。…お? おっおっ?」
元気よく椅子から立ち上がったブーンだったが、長時間目を瞑っていたためか、平衡感覚が少しおかしくなっていたようだ。そのままフラフラと隣の女子に寄り掛かってしまった。
川#゚∀゚)
「……」
(;^ω^)
「フヒヒィッ! すいません!!」
川;゚∀゚)
「きんもーっ☆」
女子は嫌悪感丸出しの表情で走り去っていった。
( ^∪^)
「プッ」
(#^ω^)
「ビキビキ(なんでお前が笑うんだお)」
一生ものの恥をかいたブーンは、傷心のまま教室へ向かった。



  
20: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 07:55:02.19 ID:kkZ3cTJ+O
  
( ^ω^)
「ひどい目にあったお。
…うん、あのカメムシは同じクラスじゃないみたいだお。あの娘も居ないお」
一通り教室を見渡してから席に着く。
教室にいる人数は15人程度。妙に少ない、とブーンは思った。

東京本校では、選択した月一回のスクーリング日によってクラス分けされる。
ブーンは元々千葉協力校を第一希望にしていたために、第二希望である東京本校のスクーリング日については適当に「第三日曜」と入学願書に書いていた。
( ^ω^)
「適当に決めたとはいえ、精一杯頑張るお。レッツくそみそ精神!!」
(´<_`)
「やけに張り切っている奴がいるぞ兄者」
(´_ゝ`)
「くそみその持つ、本当の意味を知らないのだろう。つまりは若いのさ」
(´<_`)
「なるほど。流石だな兄者」



  
22: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 08:01:40.77 ID:kkZ3cTJ+O
  
ミ ゚∀゚ミ
「はい、全員揃ったようですね」
既に教壇には、40代後半と思われる女教師が立っていた。
ミ ゚∀゚ミ
「初めまして。私が皆さんの担任を務めます、ポポタンです。担当科目は生物です」
( ^ω^)
「カーチャンと同じくらいの歳なのに、なんだか朗らかな人だお。
この人が担任なら、HRの時間はリラックスできそうだお」



  
23: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 08:11:20.87 ID:kkZ3cTJ+O
  
ミ ゚∀゚ミ
「次に皆さんとお会いするのは、来月の第三日曜ですね。
その時には、今現在ここにいらっしゃる方の他に、1年生の頃からこのクラスに所属している方もスクーリングにいらっしゃいます」
( ^ω^)
「そうか、だから今日はこんなに人が少ないのかお」
ミ ゚∀゚ミ
「クラスは卒業までずっと固定です。
三年間――皆さんにとっては二年間、ほぼ同じ顔ぶれで過ごすわけですから、是非学校行事にも積極的に参加して、仲良く卒業を目指して下さい」
(;^ω^)
「(行事…!!)」
ミ ゚∀゚ミ
「では、また来月お会いしましょう」



  
24: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 08:17:46.66 ID:kkZ3cTJ+O
  
ブーンはポポタン先生が出ていくと、即座に帰り支度を始めた。
他の生徒たちはそれぞれ、簡単に自己紹介をし合ってるというのに。
( ^ω^)
「僕は、友達を作るためにここに転入したわけじゃないお。
スクーリングはあくまで義務だお」
つい先程に自身の発した「精一杯頑張る」という言葉すら忘れ、ブーンは教室の扉を開けた。



  
25: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 08:24:22.33 ID:kkZ3cTJ+O
  
――学校行事。
ブーンはその言葉に、過剰すぎるほどの反応をした。
そう。彼は体育祭や文化祭…その手の行事が嫌いで仕方無かったのだ。
現に、ブーンはラウンジ高校ではそれらの行事をことごとく欠席し、それが原因でクラス内での孤立を深めていた。

帰りの電車内で、ブーンは記憶を辿る。
( ^ω^)
「いつからだお…僕が学校行事を嫌いになったのは」



  
26: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 08:35:14.51 ID:kkZ3cTJ+O
  
小学校の頃は、運動会の日が近付いてもそんなに憂鬱ではなかったような気がする。素直に運動音痴な自分を笑い飛ばしていた記憶がある。ドクオたち、友達と一緒に。
中学の時だってそうだ。体育祭の日、好きな女子の前で恥をかくのは予測できていたというのに、欠席しようとは思わなかった。分かっていて、全力で恥をかいた。
文化祭や合唱コンクール…その他諸々の行事にも、むしろ積極的に参加していた。ドクオとは違うクラスだったが、それでも他の友達と笑いながら行事を楽しんでいた。
( ^ω^)
「やっぱり、ラウンジに入学した頃からなのかお?」
――いや、違う。
即座に頭の中で否定する。
ラウンジ高校に入学した直後、親睦会の名目でクラス対抗のソフトボール大会があった。
入学して間もないために友人はいなかったが、それには素直に参加していた。青空の下、白い歯を見せて走り回っていた。



  
27: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 08:41:33.19 ID:kkZ3cTJ+O
  

結局肝心なことは思い出せないまま、ブーンは自分の部屋に戻った。
布団に寝転がり、学校で貰った予定表を見る。
( ^ω^)
「んー、学校行事は…あったお!」
体育祭は10月、文化祭は3月に行われるようだ。どちらもスクーリングとは別の日に催されるため、参加は各人の自由となっている。
( ^ω^)
「自由参加ktkrwwwwこれで安心して通えるおwwww」
どちらにしろ、半年以上も先の話。ブーンはホッとして予定表を投げ出すと、冷蔵庫にあったコーラを片手にプレステの電源を入れた。



  
28: ◆TigerQqrbI:2006/07/22(土) 08:51:11.95 ID:kkZ3cTJ+O
  
次回予告

(,,゚Д゚)
「ブーン、久しぶりだなゴルァ」
( ゚∀゚)
「聞いてくれよ。俺、ついに伝説のおっぱいを…」
('A`)
「バカばっか」

(*'ω'*)
「内藤君、みかんもう二つ食べるぽっぽ?」
(;^ω^)
「もうお腹一杯だお。でも断れない…これこそちんぽっぽマジック」

J('兪)し
「何? 暑い? じゃあ今すぐテメーの息の根止めてやるよ。
…涼しくなった?」

過疎な空気を切り裂け、ブーン!



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