( ^ω^)ブーンが述懐するようです

  
41: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 15:02:20.43 ID:3Xw82XDXO
  
第六話 ショボンさん


五月、第三日曜。ブーンにとって初めてのスクーリング日。
記念すべき一日は、失敗から始まった。
(;^ω^)
「ただ今の時刻…午前9時、だお」
一限が始まるのは午前9時、すなわち現在の時刻。
登校には、二時間以上の時間を要する。
つまりは遅刻。
つまりは寝坊。



  
42: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 15:06:27.94 ID:3Xw82XDXO
  
J('‐`)し
「おい」
(;^ω^)
「はい」
J('‐`)し
「どういうこと?」
(;^ω^)
「わかりません」
J('兪)し
「とりあえず駅までは送ってやる。話の続きは帰宅後。
質問は?」
(;^ω^)
「ありません」
全ての準備を昨夜のうちに終えていたのが唯一の救いだった。
ブーンは簡単に身嗜みを整えると、母の車に飛び乗った。



  
43: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 15:13:16.11 ID:3Xw82XDXO
  
彼がニュー速学園に着いたのは、三時限目の終了を告げるチャイムが鳴る直前であった。
当然、その時点から授業に加わったとしても、出席扱いにはならない。
( ´ω`)
「…授業の方は午後から頑張るかお。
そんなことより、朝から何も食べてないから気分が悪くて仕方ないお」
ブーンは学校の近くにコンビニがあったことを思い出し、昼食の買い出しに向かった。
( ^ω^)
「午後は体育があるから、いっぱい食べて精をつけるお」
お茶とおにぎり数個、そして数本のうまい棒を買い込み、四時限目の授業のある教室へと急ぐ。
ドアを開けると、そこには見覚えのある光景があった。



  
45: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 15:17:30.73 ID:3Xw82XDXO
  
(;^ω^)
「ちょwwwwまた最前列以外は満席wwwwなんだおこの学校」
ブーンはドアの前に佇んだまま、席に着くのを躊躇った。
見ると他にも数人、彼と同じように複雑な表情で教室内に佇んでいる人間がいる。
おそらく、その中の誰か一人が座るまで、他の人間も席に着こうとはしないだろう。



  
46: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 15:21:10.39 ID:3Xw82XDXO
  
( ^ω^)
「仕方ない、座るかお。次からは早めに席を確保するお」
ブーンは最前列の窓際の席を選び、先程買った昼食を机の上に広げた。
( ^ω^)
「ハムッ、ハフハフ、ハフッ。うめぇwwww」
気分よくおにぎりにかぶり付いていると、後ろの方から何人かの男の集団の会話が聞こえてきた。



  
47: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 15:29:04.75 ID:3Xw82XDXO
  
「あー、だりぃ。メシ食ったら帰んべwwww」
「おまwww留年すんぞwww通信で留年とかありえねーwwww」
「っせーよ。もう前のガッコで二回もダブってんだ。
今更留年怖いとか言う方がクソだろwwwwwww」
「あ、俺漏れもwwww鑑別入ってたらダブったwwww」
「うはwwwwwさりげに爆弾発言wwwwwww」
「は? そんぐらい普通っしょwwww
俺なんかクスリで即退学wwww」
「バロスwwwwwwwwwww」

(#^ω^)
「DQNウザス。
どうしてDQNは場所をわきまえずにワル自慢大会を開くんだお。
…テンション下がるお」
お茶で口の中のご飯を喉の奥に流し込み、わざと大きな溜め息をつく。



  
49: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 15:39:20.18 ID:3Xw82XDXO
  
ラウンジ高校に通っていた頃から、ブーンはDQN…いや、不良を嫌っていた。
ラウンジ高校の不良は、彼にとって実に不愉快かつ不可解な存在だった。
必死に勉強して見事入学を勝ち取ったにも関わらず、何故かそこでは努力を放棄し、ワルを気取る。
そのくせ、教師に表立った反抗をしたり、授業をサボって遊びに行ったりはしない。
テスト前には受験の時と同様、単語帳や参考書を片手に必死になって勉強をする。
落ちこぼれだった彼に自分たちと同じ匂いを感じたのか、彼らは何度かブーンをグループに勧誘してきた。
しかしブーンはそれらの誘いを悉く無視した。時には声に出して非難した。



  
51: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 15:44:41.21 ID:3Xw82XDXO
  
( ^ω^)
「中途半端なDQNが一番うぜぇwwww
勉強が大事ならワルを気取るなおwwww」
それが原因で殴られそうになったことも何度かあったが、やはり教師の目が…
大学受験の際に内申書にまずいことを書かれるのが怖かったのだろうか…彼らからの鉄拳制裁はいつも未遂に終わっていた。
思春期にも関わらず、ブーンが不良に対して悪いイメージしか抱いていないのにはそういう背景がある。
( ^ω^)
「DQNはウンコだおwwww
どんなに落ちぶれても、奴らの仲間には入る気になれないおwwww」



  
53: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 15:52:30.21 ID:3Xw82XDXO
  
(#^ω^)
「…何処の学校でもDQN人口は減らないらしいお。
まあラウンジと違って確実に危ない連中っぽいから、これは完全ヌルーが正解かもわからんね。
つか同年代がこんな連中ばかりなら、やっぱりこの学校でも友達イラネ」
不愉快ではあったが、触らぬ神に祟りなし。
ブーンは数本のうまい棒の中からサラミ味を手に取ると、大口を開けて噛り付いた。
( ^ω^)
「うめぇwwwwwwww」
先程までの明らかに不快そうな表情はどこへやら…彼は窓の外の景色を眺めながら、夢中でうまい棒を食べ続けた。
…そんな彼に、後ろから声を掛ける者がいた。



  
54: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 15:57:58.89 ID:3Xw82XDXO
  
(´・ω・`)
「やあ。隣、いいかい?」
( ^ω^)
「納豆味うめぇwwwwいや、やはりメンタイ味wwww
ああもう全部うめぇwwwwwwww」
(;´・ω・`)
「これはいいスルーだ。じゃ、勝手に座らせてもらうよ」
( ^ω^)
「ん? 誰ですかお?」
(´・ω・`)
「何を今更。ぶち殺すぞ」
(;^ω^)
「ゴメス、うまい棒に夢中だったんだお」
(´・ω・`)
「そうか、まあいいさ。改めてよろしく」



  
55: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 16:03:29.31 ID:3Xw82XDXO
  
男は、ショボンと名乗った。
年齢は50歳。
小さな居酒屋を経営していて、妻と高校生の息子がいるそうだ。
(´・ω・`)
「ああ、それとこの学校に入った理由は(ry」
(;^ω^)
「(一切興味ナス。どうすればいいお)」
一気に己のプロフィールをまくし立てるショボンに、ブーンは正直迷惑していた。



  
56: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 16:09:23.30 ID:3Xw82XDXO
  
先程「友達なんて要らない」と決めたばかりであるし、何より、親ほどに年の離れた学友となんて、うまくやっていける自信が無い。
(´・ω・`)
「いやあ、何十年ぶりにする勉強ってのもなかなか味のある(ry」
(;^ω^)
「(これは…昼休みが丸々潰れるフラグだお)」
(´・ω・`)
「ところで、読書は好きかい? 好きならお薦めの本があるんだ。
この『くそみs(ry」
(;^ω^)
「(アッー!! これはひどいwwwwwww)」



  
57: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 16:16:08.57 ID:3Xw82XDXO
  
(;´・ω・`)
「一気に喋ったら動悸がしてきた。そのお茶ちょうだいよ」
(;^ω^)
「ちょwwww自業自得wwwwあげないおwwww」
(´・ω・`)
「なんでさ。僕たちもう友達だろ。
えっと…丸ピザ君」
(;^ω^)
「勝手に変な名前付けないで下さいおwwww
内藤だお。内藤ホライゾン」
(´・ω・`)
「うん、じゃあお茶もらうね。ごちそうさま」
(;^ω^)
「アッー! 
…なんで日本人同士なのに話が噛み合わないんだおwwww」



  
59: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 16:20:33.93 ID:3Xw82XDXO
  
(´・ω・`)
「君も二年生か。もしかして担任はポポタン先生?」
( ^ω^)
「そうですお」
(´・ω・`)
「じゃあ僕と同じクラスだ。なおさら仲良くしないとね」
(;^ω^)
「あうあう」
(´・ω・`)
「おっと、そろそろ次の授業が始まるね。引き続き隣の席でよろしく。
何か分からないことがあったら、授業の後にでも聞いてよ。
張り切って答えちゃうからさ」
( ^ω^)
「把握したお(悪い人じゃなさそうだお)」



  
60: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 16:26:00.43 ID:3Xw82XDXO
  
授業内容は思っていたより簡単なものだった。
途中でドロップアウトしたとはいえ…ブーンは既に一度、二年生の授業を経験した身である。
ある程度教師の話を聞けば、少々のブランクは簡単に克服することが出来た。
( ^ω^)
「楽勝楽勝。レポートと一緒だお。…ん?」

(´・ω・`)

(;^ω^)
「ちょwwwwあんなに自信満々だったショボンさんがwwww
物凄い不安そうな顔wwwwwwww」
(´・ω・`)
「わからんちん」
…授業後に質問攻めにあったのは、ブーンの方だった。



  
61: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 16:35:29.70 ID:3Xw82XDXO
  
( ^ω^)
「お、終わりましたお…」
(´・ω・`)
「ああ…次は体育だ」
ブーンは荷物をまとめると、ショボンの案内で体育館へと向かった。
更衣室で着替えながら、再びショボンの長話に付き合う。
ただ、先程とは違い、ブーンの表情も幾らか穏やかなものへと変わっていた。
ショボンの人となりを知り、ブーンの中に少しだけ彼に対する信頼感が芽生えてきたのだろう。
(´・ω・`)
「一つ言っておく。体育の授業には絶対に遅刻しちゃいけない。
いいね。絶対に、だ」
( ^ω^)
「はいだお。でもどうしてそんなに強調するんだお?」
(´・ω・`)
「すぐに分かるさ。
…ああ、去年までは優しい先生が担当だったのになぁ」
( ^ω^)
「……?」



  
65: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 16:57:20.67 ID:3Xw82XDXO
  
着替えて体育館の中央に整列する。
まだ授業開始時間でないにも関わらず、何故か生徒達の間に私語は無い。
おまけに、妙に空気が重い。
今回が初めてのスクーリングとなる人間は、この異常な空気に戸惑いを隠せない様子だった。
もちろんブーンも例外ではない。
(´<_`;)
「この空気、ただ事じゃないぞ兄者」
(;´_ゝ`)
「うむ。しばらく様子を見るか」
(;^ω^)
「一体、何が起こるんだお」
(´・ω・`)
「シッ」
開始のチャイムが鳴ると、生徒達の間に流れる空気がさらに張り詰めたものへと変化し始めた。
やがて、入り口の方から足音が聞こえてきた。
(´・ω・`)
「来た」
( ^ω^)
「……」



  
66: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 17:03:44.21 ID:3Xw82XDXO
  
( ・∀・)
「こんにちは」
( 凸 )
「……」
( ^ω^)
「あの人は確か、モララー先生だったかお?
いや、そんなことより、あっちの人は…」
(´・ω・`)
「静かにしないとぶち殺すぞ。僕までとばっちりを食うのは御免だ」
(;^ω^)
「何をそんなに脅えているのかと」
…確かに、モララー先生はともかくとして、もう一人の教師の風貌は異様だ。
表情が読めない。何一つ言葉を発しないのも妙だ。
おまけに、何故か手には竹刀を持っている。



  
68: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 17:08:49.45 ID:3Xw82XDXO
  
しかし、だからといってここまで脅える必要もなかろう、とブーンは思っていた。
元から無表情で無愛想な人間なのかもしれない。
竹刀にしたって、何らかの形で授業に使うのかもしれない。
( ・∀・)
「初めまして、の人も多いみたいだね。じゃあ自己紹介から。
私はモララー。こちらはイデオ○先生です。よろしく」
( 凸 )
「……」
( ・∀・)
「イデオ○先生はちょっとシャイなんだ。
怒ってるわけじゃないから安心してね。じゃあ授業を…」



  
69: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 17:15:39.88 ID:3Xw82XDXO
  
だが、モララー先生の言葉を遮った者がいた。
( `⊇´)
「うはwwww遅刻かよwwwwごめーんねwwww」
(^〜^)
「しょっぱなから遅刻だぁwwww留年フラグバロスwwww」
昼休みに騒いでいた連中の仲間かどうかは知らないが、明らかにブーンの嫌いなタイプである二人がこちらに向かって走ってきたのである。
――悪びれた様子もなく。
(;^ω^)
「やれやれ、これだからDQNは…」
ブーンが呆れてそう呟きかけた瞬間だった。
( 凸 )
「……!!」
(;・∀・)
「やべぇ。先生、ちょっと待」

⊂二二( 凸 )二二⊃booooooon!!



  
70: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 17:25:59.16 ID:3Xw82XDXO
  
「パァン!」
「バシィィィィン!!」
静寂の中に二度、竹刀の乾いた音が響く。
(#`⊇´)
「いてぇ! おま、何すん…」
(;^〜^)
「ぎゃああぁぁぁぁ!!11!!」
( 凸 )
「…ヒトニメイワクヲカケテオイテ、ソノタイドハ…ナンダ」
(;゚ω゚)
「え? え?」
ブーンの視線の先には、脚を竹刀で殴られてうずくまる二人の姿があった。
当然、叩かれた側も黙ってはいない。
二人はイデオ○を睨み付けると、口々に文句を言った。
(#`⊇´)
「いきなり何しやがんだコラァ!」
(#^〜^)
「ざけたことしてんじゃねーぞッラァ!!」
しかし彼らの悪態も長くは続かなかった。



  
72: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 17:36:34.21 ID:3Xw82XDXO
  
( 凸 )
「……」
無表情ながらも気迫のこもった顔で、イデオ○先生が竹刀を握り直した瞬間、二人は明らかに怯んだ表情を見せた。
その隙をついて、モララー先生が三人の間に割って入る。
(;・∀・)
「落ち着いて下さい先生。
…君らも、遅刻したならそれなりの態度ってものがあるだろう」
(;`⊇´)
「だってさぁ…」
( 凸 )
「……!!」
(;^〜^)
「ひっ!!」
(;`⊇´)
「…すいませんでした」
(;^〜^)
「…ごめんなさい」
( 凸 )
「…ワカレバイイ…ショウジキスマンカッタ」
二人の謝罪の言葉を聞いてようやく、イデオ○先生はその振り上げた竹刀を静かに下ろした。
( ・∀・)
「やれやれ。すまんな、大丈夫か君たち?
…イデオ○先生、あなたももう少し寛大になりなさい」



  
73: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 17:48:39.57 ID:3Xw82XDXO
  
(;゚ω゚)
「イデオ○KOEEEEEE!!11!!」
(;´・ω・`)
「あれが『伝説教師イデオ○』さ。
残念なことに、この学校も年々荒れてきているらしいからね。
それを抑えるために彼が派遣されてきたんだそうな」
( ゚ω゚)
「これじゃ絶対に遅刻なんて出来ないお」
(;´・ω・`)
「僕の言葉の意味が分かっただろ?
…彼の持つ竹刀、通称『イデオ○ソード』からは誰も逃れられない」
(;^ω^)
「正直ちびりますた」
(´・ω・`)
「締まりのない竿だなぁ。
先月はもっと恐かったんだぞ。転任してきたばかりだというのにさ…」
(;^ω^)
「聞きたくないお」
(´・ω・`)
「あ、そうそう。うん、これはフィクションなんだ、すまない。
ここまでやる先生は実際にはいないよ。まあ恐い人もいたけど」
( ^ω^)
「なんの話だお?」
(´・ω・`)
「いや、こっちの話さ。さて、準備運動だ」



  
74: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 17:58:24.62 ID:3Xw82XDXO
  
波乱含みの体育の時間が終わり、ブーンたちは教室へと戻った。
移動教室の直後のためか、席に座っている人間はまばらだった。
( ^ω^)
「今度こそ後ろの方の席を確保するお」
(´・ω・`)
「内藤君。僕はひどい近眼でね。出来れば前の方の席がいいな」
( ^ω^)
「じゃあショボンさんは最前列でおkだお。僕は後ろの…」
(´・ω・`)
「そんないじわるなこと言うなよ。お茶あげただろ」
(;^ω^)
「もらってねーよwwww改竄乙」
(´・ω・`)
「ちぇ。…とにかく、これも何かの縁だと思わないか。
今日くらいは隣同士でいようよ」
(;^ω^)
「…把握したお」



  
75: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 18:08:48.20 ID:3Xw82XDXO
  
結局、ブーンはショボンに付き合う形で最前列に座った。
(´・ω・`)
「やあ、やっぱり一番前は気分がいいねぇ」
( ´ω`)
「……全然よくないお」
次の時間はHR。
ミ ゚∀゚ミ
「皆さんこんにちは」
(´・ω・`)
「こんにちは!」
ミ ゚∀゚ミ
「ふふっ。こんにちはショボンさん」
(;´ω`)
「なんかまたウザくなってきたお…。
なんでこの人、いい歳してこんなに元気なんだお」
ミ ゚∀゚ミ
「今日は年度が変わって、初めてクラス全員が揃う日ですね。
皆さん、もう自己紹介は済ませましたか?」
(´・ω・`)
「Yes! Yes! Yes!」
( ´ω`)
「…ウザス」



  
76: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 18:14:52.32 ID:3Xw82XDXO
  
ブーンはもう、ショボンの方を見ようともしなかった。
一時でも彼に対して心を許したことを、真剣に後悔した。
その後もポポタン先生が何か話を続けていたようだが、ブーンは何一つとして聞く気になれなかった。
ただ俯いて時間が過ぎるのを待った。
たまにショボンが話し掛けてくることもあったが、全て適当な返事で誤魔化した。
ミ ゚∀゚ミ
「――HRを終わります。皆さんお疲れさまでした。
あと一時間、頑張って下さいね」



  
77: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 18:20:10.19 ID:3Xw82XDXO
  
チャイムが鳴ると同時に、ブーンは荷物をまとめて立ち上がった。
(´・ω・`)
「帰るのかい? まだ英語の授業があるよ」
( ^ω^)
「英語の単位は、前の学校で取得済みなんですお。
じゃあさよなら」
(´・ω・`)
「そうか、残念だな…。じゃあまた来月」
寂しげな微笑を見せるショボンを背に、ブーンは教室を出た。
何度も溜め息をつきながら、玄関へと向かう。
( ´ω`)
「寄り道せずに帰るお」



  
78: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 18:23:23.93 ID:3Xw82XDXO
  
俯き加減で歩いていると、玄関の手前で声を掛けられた。
ミ ゚∀゚ミ
「内藤さん、だったかしら?」
(;^ω^)
「うひぃぃぃ!」
ミ ゚∀゚ミ
「そんなに驚かなくてもw」
( ^ω^)
「先生かお。何か僕に用事ですかお?」



  
79: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 18:27:48.90 ID:3Xw82XDXO
  
ミ ゚∀゚ミ
「いいえ。ただ、内藤さんとはちゃんとお話したことが無かったから」
( ^ω^)
「そうですかお。これからもよろしくお願いしますお」
ミ ゚∀゚ミ
「ええ、こちらこそ。
ところで、ショボンさんと仲良くしていたようだったけど…」
(;^ω^)
「別に。ただこの学校のノウハウを教えてもらってただけですお。
特に仲良くする気は無いですお」
ミ ゚∀゚ミ
「そう…」



  
80: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 18:32:25.20 ID:3Xw82XDXO
  
( ^ω^)
「…まだ何か?」
ミ ゚∀゚ミ
「ショボンさん…ご職業の関係で、あまり若い人と接する機会が無いそうなんです。
校内で元気にしているのは、たぶん若い人と思う存分に話せるからだと…」
( ^ω^)
「ふーん。
でもあれだけお喋りだと、逆にクラスでも浮くと思いますお」
ミ ゚∀゚ミ
「ですね。実際、ちょっと浮いてますね。だから内藤さんには」
( ^ω^)
「仲良くしてやれってことかお?」
ミ ゚∀゚ミ
「はい」



  
81: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 18:40:01.95 ID:3Xw82XDXO
  
(#^ω^)
「マンドクセ。僕はそういうのが凄く苦手なんですお。
他を当たって下さいお」
ミ ∀ ミ
「そう…ですか…」
(;^ω^)
「おっおっ…そんな顔されても困るお」
ミ;゚∀゚ミ
「…ごめんなさい」
(;^ω^)
「いや、うーん、えっと、まあ…悪い人では無さそうだお。
先生がそこまで言うなら、もうちょっとだけ付き合ってみますお」
ミ*゚∀゚ミ
「本当に? ああよかった、ありがとうございます!」
( ^ω^)
「…じゃ。さよなら、ポポタン先生」
ミ ゚∀゚ミ
「はい、さようなら」



  
82: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 18:43:15.03 ID:3Xw82XDXO
  
彼は帰りの電車の中で、ポポタン先生との会話を思い出していた。
( ^ω^)
「あの先生、わざわざ僕が来るのを待ってたのかお?」
――なんとなく、そんな気がした。
まるで自分のショボンへの苛立ちを見透かされていたようで、ブーンは非常に恥ずかしかった。



  
83: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 18:49:19.11 ID:3Xw82XDXO
  
正直、まだ彼の頭の中にはショボンへの不快感、ちょっとした軽蔑の意思が渦巻いていた。
しかしながら同時に、彼と一緒ならスクーリング生活も退屈にはならないのでは…という前向きな考えもまた、彼の中に確実に存在していた。
真意はどうであれ、ポポタン先生との会話は、ブーンの中でぶつかり合っていた二つの考えに、微弱ながらもヒントを与える結果となった。

ブーンはショボンとの間に、世代を超えた友情を確立することが出来るのか――その答えが出るのは、まだまだ先の話。



  
84: ◆TigerQqrbI:2006/08/04(金) 18:59:48.66 ID:3Xw82XDXO
  
次回予告

( ^ω^)
「貸してみそ。包丁ってのは、こう使うんだお」
('、`*川
「内藤君…かわいい。でも『みそ』は無いわ」

('A`)
「俺にもついに春が…」
(,,゚Д゚)
「嘘つくなカス」
( ゚∀゚)
「さすがの俺でもそれは引くわ」

J('兪)し
「なんかもう台詞が尽きてきた件について。
…別に毎回毎回一生懸命考えてるわけじゃないよ?
何を勘違いしてるんだか」

携帯すら持たぬ男とどう付き合うんだ、ペニサス!



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