( ^ω^)ブーンが述懐するようです

  
3: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 00:06:37.20 ID:5Ou6zOGuO
  
第九話 愚者の祭典、そして


ブーンがニュー速学園に転入学して、初めての夏。
ニュー速の生徒に、夏休みは無い。
七月、八月中にもレポートの提出期限は定められているし、月一回のスクーリングも通常通りに実施される。
同年代の少年たちが有意義な夏休みを過ごす中、ブーンはそれまでと殆ど変わらない毎日を過ごしていた。
ペニサスの勧めもあり、幾つかバイト先を探してはみたが、そこは生来努力の嫌いな男である。
距離、時給、シフトの時間…。一つでも自分の気に入らない条件があれば、何かと文句をつけて電話連絡をすることから逃げた。
電話だけしたものの、面接の当日になってキャンセルすることも多々あった。
その度に彼は母からなじられた。



  
6: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 00:13:47.55 ID:5Ou6zOGuO
  
J('‐`)し
「自分の思い通りの条件で働ける場所なんて、無いから。
みんな少しずつ妥協して働いてんだよ」
( ^ω^)
「そんなの分かってるお。でもこんな時給じゃ、やってられんね」
J('‐`)し
「ちょっと求人広告見せてごらん。…じゃあこっちのお店にしたら?」
(;^ω^)
「ウザいのktkr。『アットホームな職場です』だって。
氏ねお」
J('兪)し
「…ナメてんの?」
( ^ω^)
「別に。職場でアットホームとか、意味ワカンネってだけだお」
J('兪)し
「は。お前みたいなのでも受け入れてくれるって意味だろうが」



  
7: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 00:19:56.10 ID:5Ou6zOGuO
  
(;^ω^)
「だからそれがウザいんだお。仕事を一生懸命やってれば、それでよくね?
なんで馴れ合わなきゃいけないんだお」
J('兪)し
「お前、そんなんじゃ一生ニートだよ?
それと(^ω^;)←この顔むかつくからやめろ」
(#゚ω゚)
「ああああああ!! あっち行けお! 口出しすんなお!」
J('‐`)し
「何? 逆ギレ? ちっちぇー男だな」
(#゚ω゚)
「ぐもおおおおお!!!11 あっち行け! カエレ!」
J('‐`)し
「はいはい。ま、頑張れ」



  
9: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 00:24:34.09 ID:5Ou6zOGuO
  
日曜の朝刊に、チラシと一緒に何枚も折り込まれている求人広告。
母は毎週それらを抜き出し、居間のテーブルの上に置いていた。
働く意思が芽生え始めた息子のために出来る、唯一の協力だと思って。
だが働くことを催促されているようで、ブーンは母のその行動がたまらなく嫌だった。
日曜が来るたびに憂鬱になった。
( ´ω`)
「僕は一生懸命頑張っているのに、なんでカーチャンは分かってくれないんだお」



  
11: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 00:29:46.73 ID:5Ou6zOGuO
  
頑張っている。本人にしてみたら、確かにそうなのだろう。
だが他者の立場からすると、彼のこの言葉は悪い冗談にしか聞こえない。
事実、彼はまだスタートラインにも立ってはいない。
それどころか競技の選別、選手登録の時点で迷っている状態である。
これを恥ずかしげもなく「努力」と呼べるような剛の者は、世界中の何処を探したっているはずがない。



  
13: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 00:32:59.12 ID:5Ou6zOGuO
  
本人だけがそれに気付かない。
いや、気付かないだけならまだいい。
本当に厄介なのは、己の非を認めないまま他者を非難する輩の方だろう。
( ´ω`)
「トーチャンじゃなくて、カーチャンが死ねばよかったんだお。
トーチャンなら、絶対に僕の味方をしてくれたはずだお」



  
14: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 00:36:51.78 ID:5Ou6zOGuO
  
自身を他とは違う存在――才能に恵まれた人間――だと思い込みたい者は、他人に自分を否定されることを極端に嫌う。
ブーンと母、二人の会話は次第に減っていった。
彼は母が家にいる間は殆ど部屋に閉じこもり、母の仕事が休みである日は、用事が無くても早朝から外に出かけていた。
行き先は専らドクオの家か、佐々木の家。



  
17: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 00:41:23.93 ID:5Ou6zOGuO
  
夏休み中、佐々木は精力的にボランティア活動に参加しており、常に人手を求めていた。
そのため、ブーンのような存在は彼女にとって非常に有用だった。
ブーンから連絡が来るたびに、彼女は飛び跳ねて喜んだ。
彼も佐々木のその反応が嬉しくて、何度もボランティア活動の手伝いをした。



  
20: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 00:44:04.95 ID:5Ou6zOGuO
  
佐々木の手伝いをしている間だけ、彼は「働いていない」という劣等感を忘れることが出来た。
――自分は必要とされている。
ボランティアで得られる充実感、そして佐々木からの感謝の言葉。
どちらもブーンにとっては心地の良い報酬であった。



  
21: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 00:49:32.41 ID:5Ou6zOGuO
  
ξ*゚←゚)
「内藤君、いつも本当にありがとう」
(*^ω^)
「いいんですお。僕、先生と一緒にボランティアするの好きですから」
ξ*゚←゚)
「嬉しいこと言ってくれるじゃないの。
ところで今度の日曜、ちょっとした食事会を開こうと思うんだけど」
( ^ω^)
「kwsk」
ξ*゚←゚)
「内藤君以外にも、私のお手伝いをしてくれる子が何人かいることは知っているわよね?」
( ^ω^)
「はいだお。でも会ったことナス。
もしかして、その人たちを呼ぶのかお?」



  
22: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 00:55:59.79 ID:5Ou6zOGuO
  
ξ*゚←゚)
「ええ。みんなにはいつもお世話になってるから、そのお返しにね」
( ^ω^)
「なるほど、把握したお」
ξ*゚←゚)
「みんな、元不登校だったり学校を辞めちゃったり、それぞれ悩みを抱えてて…。
でも、他にも同じような悩みを持った子がいるって知って、安心したようでね。
すぐに仲良しになったの」
(*^ω^)
「(僕とペニサスみたいな感じかお。結構似たような出会いがあるもんだお)」
ξ*゚←゚)
「内藤君も、きっと仲良くなれると思うわ。どう? 来ない?」
( ^ω^)
「もちろん行きますお!!」



  
23: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 01:01:26.62 ID:5Ou6zOGuO
  
以前のブーンなら、即座に断っていただろう。
何故自分が落ちこぼれたちと馴れ合わなければいけないのか、と。
しかしペニサスという前例があったお陰で、ブーンはその手の不快感とは完全に袂を分かっていた。
だからこその参加表明だった。
彼はその日のうちにペニサスに電話を掛け、食事会のことを報告した。
ペニサスも誘ってはみたが、丁度スクーリング日であったため、参加は不可能なようだった。



  
25: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 01:04:41.92 ID:5Ou6zOGuO
  
( ^ω^)
「新しい友達が出来たら、きっとペニサスにも紹介するお」

ブーンはそう彼女に約束し、食事会の日を笑顔で待った。

食事会当日。
会場である佐々木の家に行くためには、電車とバスを乗り継がなければならない。
ブーンは電車の時間に遅れないように、早めに家を出た。



  
26: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 01:09:11.41 ID:5Ou6zOGuO
  
ξ*゚←゚)
「いらっしゃい。さ、みんなに自己紹介して」
( ^ω^)
「内藤だお。よろ」
川*´∀`)( ゚ゝ゚)(・⊃・)川・ー・)(`∀´)
「よろしくー」
ξ*゚←゚)
「準備が終わるまで、ちょっとみんなで話しててくれる?」
川・ー・)
「はーい」
(;^ω^)
「うはwwww孤立フラグwwwww」
川*´∀`)
「大丈夫大丈夫。内藤君も一緒に話そうよ」



  
27: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 01:14:20.18 ID:5Ou6zOGuO
  
( ゚ゝ゚)
「何年生ですか?」
( ^ω^)
「通信制の二年だお。18歳ですお」
( ゚ゝ゚)
「じゃあ僕らより年上ですね。
あ、僕…黒木です」
(・⊃・)
「桃田っす。俺と黒木は高一っす」
川・ー・)
「ミドリです。うちはトシ的には高二だよー。
辞めちゃったけどw」
(`∀´)
「俺も中退組wwwwあ、俺赤井。19な」
川*´∀`)
「あたしは葵。18歳。あたしも一応、通信制高校に通ってます」



  
28: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 01:23:30.96 ID:5Ou6zOGuO
  
(`∀´)
「なあなあ、通信ってどんな感じ? やっぱクソつまんね?」
( ^ω^)
「まあ、すげーおもすれー場所ってわけじゃないですお。
でも全日制よりは楽だお」
(`∀´)
「じゃ俺も行ってみっかなwwww黒木も行こうぜ」
( ^ω^)
「あれ? でも黒木君は」
(`∀´)
「あ、こいつ不登校。学校でいじめられてたんだと」
( ゚ゝ゚)
「僕の話はいいじゃないですか。
赤井さんだって、クラスに友達いなかったくせに」
(`∀´)
「ダチとか要らねーwwwww
だってあいつら、群れて馴れ合ってるだけだし。何が面白ぇんだか」
(・⊃・)
「すげー分かるっす。周りがガキだと疲れますよね」
川*´∀`)
「その点、通信は人間関係気にしなくていいから楽だよ」
( ^ω^)
「……」
川・ー・)
「ねえ、そういえば白石君はー? 来ないの珍しいねー」



  
30: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 01:28:23.17 ID:5Ou6zOGuO
  
( ^ω^)
「白石君についてkwsk」
川*´∀`)
「えっとね、高校生の男の子で…」
(`∀´)
「一年だったっけか」
川・ー・)
「ちょっと変わっててねー。うちらの中でも浮いた存在ー」
川*´∀`)
「ちょwwwwwそれ言っちゃダメwwwwww」
川・ー・)
「えー。だってホントのことだしー」
( ゚ゝ゚)
「ですよね。
むしろ来ても邪魔になるだけです」
(・⊃・)
「バカのことなんて、気にしないでいいっすよ内藤さん」
(;^ω^)
「そうかお」



  
31: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 01:34:04.05 ID:5Ou6zOGuO
  
(;`∀´)
「てか誰だよ白石の名前出したのwwwww
マジテンション下がるんだけど」
川・ー・)
「ごめーんwwwwww」
( ゚ゝ゚)
「名前だけでテンションが下がる存在っていうのも、珍しいですよねw」
川*´∀`)
「もうその話はいいから。話題変えよ?」
( ^ω^)
「……。
現役高校生は桃田君だけかお? 部活には入ってるのかお」
(・⊃・)
「バスケ部っす。もう辞めたけどwwwww」



  
33: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 01:39:41.75 ID:5Ou6zOGuO
  
(;^ω^)
「それはスマンカッタwwww
ちゃんと学校には通ってるんだから気にすることナス」
(・⊃・)
「でも後悔してるっす。クラスの奴ら、ホントつまんないし。
話題っつったらテレビか音楽か。で、放課後はカラオケかファミレス。
行動がワンパターンなんすよ」
川・ー・)
「あるあるー。退屈だよねー」
(`∀´)
「なんであんな単純なんだろうなwwwwwマジ無いわwwww」
( ゚ゝ゚)
「それで、その輪に入れない奴はハブにされますからね。
やってられないですよ」
( ^ω^)
「……」



  
34: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 01:48:48.87 ID:5Ou6zOGuO
  
川*´∀`)
「――駅前にギャル集団がいてね。
ホント会話の内容がお子チャマでさwwww
ちゃんと義務教育受けたのかっていうwwww」

( ゚ゝ゚)
「――学校に行ってないってだけでガタガタ言い過ぎなんですよ。
高校で退屈な毎日を過ごしてる連中に比べたら、真面目にボランティアやってる僕がどれだけ偉いか…」

川・ー・)
「――早めに気付いてよかったー。
もし佐々木先生がいなかったら、一生『本当の自分』に出会えなかったよw」

(・⊃・)
「――馬鹿ばっかりっすよ。
あんなんで毎日楽しいっていうんだから、幸せっすよね」

(`∀´)
「――マジ馴れ合いうぜぇwwwwww
一人じゃ何も出来ない奴は死ねよwwwww」

( ´ω`)
「……」



  
36: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 01:52:53.75 ID:5Ou6zOGuO
  
ξ*゚←゚)
「待たせてごめんなさい。じゃあ始めましょう」
( ^ω^)
「…帰りますお」
ξ;゚←゚)
「えっ、どうしたの急に」
( ^ω^)
「なんか…違うんだお」
ξ;゚←゚)
「え? ちょっと、内藤君!」
( ´ω`)
「ゴメス」



  
37: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 01:58:48.71 ID:5Ou6zOGuO
  
帰り道、ブーンは一人考える。
何故、自分と似たような立場の人間だというのに、彼らに対して不快感を抱いてしまったのか。
彼らとペニサスの違いとは、何なのか。
…結局のところ、彼らの馬鹿にしている対象と彼ら自身とはそれほどかけ離れた存在ではないということが、ブーンが彼らを不快に思った最も大きな理由だといえるだろう。
例えば、赤井は異常とも思えるほどに「馴れ合い」を馬鹿にしていた。
だが彼らの会話自体もまた馴れ合いであり、似たもの同士の傷の舐め合いだということに、彼自身は全く気付いていない。



  
38: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 02:03:41.14 ID:5Ou6zOGuO
  
また、彼らは仲間であるはずの白石を非常に馬鹿にしていた。
白石と会ったことの無いブーンには彼の人となりは分からなかったが、先程の会話から多少の情報は読み取れる。
おそらくは本当に非常識な少年なのだろう。
しかし、だからといって彼をあそこまで馬鹿にしていいものなのか。
特に黒木は、いじめの元被害者である。
仮にも一度被害を受けた人間が、同じ理由で他者を仲間外れにする…ブーンにはそれが理解できなかった。
そして。



  
42: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 02:09:30.17 ID:5Ou6zOGuO
  
( ´ω`)
「あの人たちは、一生前に進めない希ガス」

話題といえば、同年代の「馬鹿」の悪口と自分たちの不幸自慢。
ボランティアに参加しているということに由来する、妙な優越感。
彼らには、自分たちが社会の落ちこぼれである、という意識が薄い。
ミドリの「本当の自分に出会えた」という発言から察するに、自分たちが他の青少年よりも偉いとでも思っているかもしれない。



  
45: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 02:13:03.06 ID:5Ou6zOGuO
  
現役高校生である桃田や、ブーンと同じく通信制に通っている葵はともかく、他の面々はおそらく中卒のまま社会に出るのだろう。
…あの価値観を携えて。
容易に予測できた。普通の人間なら簡単に越えられるはずの壁に阻まれ、再び挫折して社会からはじき出される彼らの姿が。



  
47: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 02:18:32.91 ID:5Ou6zOGuO
  
途端に、ブーンは自分を恥ずかしく感じた。
佐々木と共にボランティア活動に励んでいる時は、確かに自分の中の劣等感を忘れることが出来た。
自分が何か特別な存在のように思えた。
しかし、本当は彼らと同じく「何もしていない」のだ。
その事実に気付くことが出来た分、彼らよりは幾分かマシな存在なのかもしれない。
だが他者から見れば同じである。
( ´ω`)
「僕もいずれ、あんな風になってしまうのかお?
そんなの嫌だお」



  
48: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 02:22:23.38 ID:5Ou6zOGuO
  
家に帰ると、またテーブルの上に求人広告の束が置いてあった。
ブーンはそれを持って自分の部屋に戻り、真剣な表情で一枚一枚の内容を確認した。
何件かの候補に電話連絡をし、履歴書を書き終える頃には、夕方の五時を過ぎていた。
( ^ω^)
「そろそろ授業の終わる時間だお。ペニサスに電話するお」



  
50: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 02:27:02.68 ID:5Ou6zOGuO
  
報告の約束をしていたということも勿論あるが、何より、早く彼女の声が聞きたかった。
話して、自分の中の変化について伝えたかった。
…何故、ペニサスなのか。
今日の不愉快な気分を消すためとはいえ、どうして彼女でなければいけないのか。
――愚痴を言うだけなら、別にドクオでもいいのに。
一瞬そんな考えが頭を掠めたが、ブーンはやはりペニサスへの報告に拘った。



  
51: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 02:32:48.58 ID:5Ou6zOGuO
  
( ^ω^)
「もしもー。学校終わったかお?」
('、`*川
「うん。今帰るとこ。食事会どうだった?」
(;^ω^)
「話すと長くなるお。またカーチャンに邪魔されるかもしれんね」
('、`*川
「えーwwwwwww」
(;^ω^)
「まあ、あまり楽しくなかったお。来なくて正解だお」
('、`*川
「そうなんだ…。
あっ、ねえねえ! 今、なおるよ君と一緒なんだ」
( ^ω^)
「おっ?
なおるよ君のスクーリング日って、違う日じゃなかったかお?」
('、`*川
「その日に休んじゃったから、代わりに今日来たみたい。
ちょっと代わるね」



  
52: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 02:38:32.67 ID:5Ou6zOGuO
  
('(゚∀゚∩
「ちんちんかもかも!」
(;^ω^)
「うぜぇwwwwwwおいすー」
('(゚∀゚∩
「ないとうくんにもあいたいよ!
いますぐにくるんだ! さあ!」
( ^ω^)
「でも、二時間以上かかるお」
('(;∀;∩
「おなかすいたよ! そんなにまってられないよ!」
(;^ω^)
「子供かwwww今日は止めといた方がいいかもわからんね」
('(゚∀゚∩
「はあくしたよ! わがままいってごめんね!」
( ^ω^)
「気にするなお。また今度、会えそうな日があったら連絡汁」
('(゚∀゚∩
「うん!」



  
54: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 02:43:54.96 ID:5Ou6zOGuO
  
('、`*川
「もしもし? じゃ、今からなおるよ君とご飯食べに行くから」
(;^ω^)
「え」
('、`*川
「どしたの?」
( ^ω^)
「…なんでもナス」
('、`*川
「ふーん…。ねえ、ライは来ないの?」
( ^ω^)
「待たせることになるから、行きたくても行けないお」
('、`*川
「…そっか」
( ^ω^)
「ゴメス。…まだ何か?」
('、`*川
「別に。じゃあね」
( ´ω`)
「……」



  
55: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 02:47:59.33 ID:5Ou6zOGuO
  
ペニサスの「じゃあね」は、驚くほどに冷たかった。
折角の誘いを断わったことに対して怒っていたのだろうか。
彼女との対話を希望していたブーンにとって、ペニサスの最後の言葉は非常に重く、そして悲しく感じられた。
ブーンは何度も自分の選択を後悔した。
明日になるのを待って、また掛け直したらいいのではないか…そんな考えは起こらなかった。



  
57: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 02:54:53.96 ID:5Ou6zOGuO
  
千葉と国立――。
彼は電車で二時間のその距離よりも、自分と彼女の間の距離の方が遠くなってしまうのではないかと思い始めた。
おそらく、彼女はなおるよに対しても自身の過去を話すだろう。
そしてブーンに対してと同様、彼にも心を開くのだろう。
――そうなったら、携帯の無い自分はどうなる?
ブーンはなおるよに嫉妬した。
話の内容も面白く、自分よりもずっと魅力的な彼に、ペニサスを取られてしまうのではないかと心から恐怖した。

( ´ω`)
「ペニサスとの電話に拘った理由が分かったお。
…僕は、ペニサスのことが好きなんだお」



  
58: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 02:59:55.55 ID:5Ou6zOGuO
  
ブーンには極端に恋愛経験が少ない。
ラウンジ時代に付き合っていた彼女とは、二ヵ月も保たずに別れた。
相手の勉強が忙しく、電話をする暇も無かった。
たまに機会があっても、妙に斜に構えた性格が災いして、まともに会話を続けることが出来なかった。すぐに自分から電話を切った。
だが、ペニサスとは会話が続いた。
お互いの過去、悩み、取り留めのないバカ話。なんでも正直に話すことが出来た。



  
60: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 03:07:04.29 ID:5Ou6zOGuO
  
また、ペニサスはブーンには無い前向きさを持っていた。
彼女は今日会った彼らと違って、傷を負っていても決して他者に対する愚痴を言うだけで終わることがなく、むしろ常に自分の中で前向きなエネルギーを作り出そうと努力していた。
調理実習では周りの人間に積極的に話し掛け、帰りの電車で初対面のブーンを食事に誘い、過去の話をして暗くなっても最後には笑顔でさよならを言う。
決して極上の美人と言えるような顔立ちではない。だが、それでも…ブーンにとって彼女は憧れで、他の誰よりも魅力的な存在だった。

( ´ω`)
「メチャメチャ大好きだお。
…このまま、他の人に取られちゃうのは嫌だお」



  
61: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 03:12:34.67 ID:5Ou6zOGuO
  
(;^ω^)
「もももし、もしsもしいsもい…あうあう」
('、`*川
「だからもちつけってwwwwww何かあったの?」
(;^ω^)
「フ、フヒヒヒヒ!!11! 元気かお?」
('、`;川
「きめぇwwwww酔ってんの?」
(;^ω^)
「スマンコwwwwwwwなおるよ君は?」
('、`*川
「え? ああ、うん…」
( ´ω`)
「邪魔だったかお?」
('、`*川
「ううん。…あのね。
なおるよ君、先に帰っちゃった」



  
63: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 03:19:44.59 ID:5Ou6zOGuO
  
( ^ω^)
「ちょwwwwなんでだお」
('、`*川
「わかんない。急だったし
…で、どうしたの?」
(;^ω^)
「あうあう(予定が狂ったおwwww)」
('、`*川
「もう電車が来ちゃうよ。後で掛け直そうか?」
(;゚ω゚)
「……!! 乗っちゃダメだお!」
('、`;川
「えっ? …ねえ、なんか変だよ?」
(;^ω^)
「ゴメス。慌てて電話したから、頭の中が整理出来てないんだお」
('、`*川
「ハァ? なんで慌ててんの」
( ´ω`)
「だってペニサスが、なおるよ君と二人で…おっおっ」



  
64: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 03:24:20.22 ID:5Ou6zOGuO
  
('、`*川
「え……」
(;´ω`)
「嫌だったんだお。ペニサスとなおるよ君が仲良くなるのが」
('、`*川
「……」
(;´ω`)
「なおるよ君とペニサスがもっと仲良くなっちゃったら、僕なんてきっとペニサスの中から消えちゃうんだお。
それぐらい分かってるお」
('、`*川
「…なんで」
( ´ω`)
「だって、僕はなおるよ君よりつまんないし、すぐに暗くなるし…」
('、`*川
「ちょっと。…全然分かってないじゃん」
(;^ω^)
「でも…」



  
66: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 03:28:23.47 ID:5Ou6zOGuO
  
( 、 *川
「ねえライ。どうしてうちの話を信じてくれないの?」
( ^ω^)
「……? 何の話だお」
( 、 *川
「ライとなら、いつまでも喋っていられそうだって言ったじゃん。
もっと話がしたいって言ったじゃん」
( ^ω^)
「でも、それは社交辞令で、仲良くなったら誰でも…」
(;、;川
「…もういいよ、バカ。
せっかく、好きかもしれないって思える相手が出来たと思ったのに」



  
68: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 03:33:48.82 ID:5Ou6zOGuO
  
(;゚ω゚)
「ちょwwwwwwwwwwww
mjk?wwwwwwwwww」
(;、;川
「そうやってずっとグジグジやってりゃいいじゃん。
バカ野郎」
(;゚ω゚)
「うはwwwwwwwww待てwwwwwww」
( 、 *川
「何よ」
( ゚ω゚)
「僕も好きなんだお! それを言いたくて電話したんだお!!
サーセン!!!!!!1111」



  
70: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 03:37:44.68 ID:5Ou6zOGuO
  
( 、 *川
「遅いよバカ。…タイミングも最悪だし、全然感動しないわ」
(;´ω`)
「ゴメス」
( 、 *川
「嘘だったら許さないからね。うち、嘘つき大っ嫌い」
(*^ω^)
「ホントのホントだお! ペニサスには嘘つかないお!」
( 、 *川
「…じゃあ信じる。ライも、もうちょっとうちを信じて」



  
71: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 03:43:02.15 ID:5Ou6zOGuO
  
(*^ω^)
「把握したお!!
うはwwwww感激して尿が漏れソスwwwwwww」
('、`*川
「バーカwwwww
つかライのせいで、電車を二本も見送った件wwww」
( ^ω^)
「ちょwwwwww
こりゃ本物のバカップルの誕生だおwwwwww」
('、`*川
「かもねw」

自分が落ちこぼれであることを知り、その日のうちに自身を愛してくれる存在がいることの有難みを実感する。
ブーンが今の生活から脱する日も、そう遠くはないのかもしれない。



  
74: ◆TigerQqrbI:2006/09/11(月) 03:52:49.79 ID:5Ou6zOGuO
  
次回予告

(´・ω・`)
「うう…もうだめだ…。僕に構わず先に行ってくれ」
( ;ω;)
「ショボンさん! まだ中学レベルの問題だお!」

('(゚∀゚∩
「はじめてのちばー!
このちで、なおるよでんせつをうちたてるよ!」
( ^ω^)('、`*川
「勘弁してください」

J('兪)し
「全くあいつは根っからのバカだよ。
バイトなんだから、残業なんて断わりゃいいのに。
夜中に料理されると迷惑だから、夜食くらいは置いといてやるか…」

初めての試験でプライドを取り戻せ、ブーン!



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