( ^ω^)ブーンが述懐するようです

  
4 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 07:18:01.29 ID:QvhXZOMHO
  
第十話 はじめてのしけんべんきょう


夕暮れ時の体育の授業。
国立の閑静な住宅街に、大勢の生徒たちの足音がこだまする。
住宅街をひた走る行列の再後尾付近には、今日の授業内容について愚痴を言い合うブーンとショボンの姿があった。

(;^ω^)
「なんでわざわざ東京まで来て、マラソンなんかしなきゃいけないんだお」
(;´・ω・`)
「全くだよ。ナンセンス極まりない。うっ…」
( ^ω^)
「ショボンさん、大丈夫かお」
(;´・ω・`)
「もうだめだ。さすがに10代に交じって走るのは厳しいよ」
( ^ω^)
「なら、そこのバス停のベンチでちょっと休憩するお。
付き合うお」



  
5 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 07:23:32.76 ID:QvhXZOMHO
  
(´・ω・`)
「すまない。後でお茶でも奢るよ。
ふー、どっこいしょ」
( ^ω^)
「とりあえずここで時間を潰して、授業終了までに戻れば問題ナスwww
…ん?」
( 凸 )
「……」
(;゚ω゚)(;´・ω・)
「アッー!!」
⊂二二二( 凸 )二二二⊃
「……!!」
( ゚ω゚)
「早く逃げるお!」
(;´・ω・`)
「クッ…まさか再後尾に彼が控えていたとは!」



  
7 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 07:28:47.53 ID:QvhXZOMHO
  
⊂二二二( 凸 )二二二⊃
「……」
(;゚ω゚)
「ギャアアアアア!!
何故振り切れないんだお? 何故振り切れないんだお?」
(;´・ω・`)
「内藤君…。僕たちは、やることが全て遅すぎたのかもしれん…」
(;^ω^)
「こんなところで死ねるかお!
僕はまだ、充分に生きちゃいないんだお!」

⊂二二二( ^ω^)二二⊃ブーン



  
9 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 07:36:13.83 ID:QvhXZOMHO
  
(;^ω^)
「はあ…はあ…。
なんとかグラウンドに戻ってこれたおwwww」
(;;´゚ω゚`)
「この歳で全力疾走する羽目になるとは…。
心臓麻痺で死んだらどうするんだ」
(;^ω^)
「目が虚ろだお。保健室行くかお?」
(;;´゚ω゚`)
「いや、問題ないよ…。少しだけ休ませてくれ」
( ^ω^)
「把握したお。あ、イデオ○先生」
( 凸 )
「…ツウシンセイハ、ウンドウブソクニナリヤスイ。テイキテキナジコトレヲオコタッテハイケナイ」
( ^ω^)
「…ひょっとして、それを言うために追い掛けてきたのかお?」
( 凸 )
「……」
(;^ω^)
「行っちゃったお」
(;´・ω・`)
「もっと早く言ってほしかったな…。
じゃあ、教室に戻ろうか」



  
10 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 07:45:40.05 ID:QvhXZOMHO
  
ニュー速学園では、秋から冬にかけて様々なイベントが連続する。
今月、九月の下旬には中間テスト。
十月は体育祭。
十二月には、クラス毎にクリスマス会が開かれるらしい。
HRでポポタン先生にそう説明を受けたものの、ブーンはテスト以外の年中行事には全く興味を示さなかった。
それもそのはず、クラス内でまともに話すことの出来る相手といえば、ショボンだけである。
他の人間については、顔は覚えているが名前は分からない…といった程度。
これでは共に行事を楽しむことなど出来るわけがない。
元々ニュー速の行事には一切参加するつもりの無かったブーンだが、数ヵ月間クラスの誰とも交流を持たなかったことによって、その思いは益々強固なものへと変化していた。



  
11 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 07:49:53.21 ID:QvhXZOMHO
  
(´・ω・`)
「ところで内藤君。今日、時間あるかい」
( ^ω^)
「どうかしたのかお?」
(´・ω・`)
「うん、勉強を教えてほしいんだ。すまない。
次に内藤君と会うのはテスト当日だろ?
それじゃ間に合わないからね」
( ^ω^)
「あまり帰りが遅くならないんだったら、無問題ですお」
(´・ω・`)
「ありがとう。
そうだな、英語だけでも教えてもらえれば助かるよ」
( ^ω^)
「おkだお」



  
12 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 07:59:53.32 ID:QvhXZOMHO
  
今回が入学後初めてのテストだということもあり、ブーンは何も事前情報を仕入れていなかった。
試験範囲だけ分かっても、どういう傾向の問題が出るのかが分からなければ、対処のしようが無い。
ブーンが臨時講師役を引き受けたのは、ショボンにそれを聞くためでもあった。
勉強が終わった後にそれとなく質問すると、ショボンはお安い御用だとばかりにテストについて話し始めた。
基本的に、レポートと似たような問題が出るらしい。
レポート自体がテスト形式をとっているため(評価はABC)、その方が試験問題を作る側としても 楽なのだろう。
さすがに全く同じ問題が出るというわけではないが、レポートの見直しをこまめにしてさえいれば、そう悪い点を取ることにはならないようだった。



  
13 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 08:04:29.01 ID:QvhXZOMHO
  
(´・ω・`)
「僕は文系科目がどうも苦手でね。英語と国語だけ、毎回B以下なんだ。
息子によく馬鹿にされるよ」
( ^ω^)
「そういえば息子さんも、高校生だったお」
(´・ω・`)
「うん。誰に似たんだか負けず嫌いでね。
いつも僕と成績を比べようとするんだ」
( ^ω^)
「結果は?」

(´・ω;;,,,::..,,,,



  
14 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 08:10:31.72 ID:QvhXZOMHO
  
(;^ω^)
「…やっぱり言わなくていいですお。
でも親子でそういう会話が出来るのは、仲のいい証拠だお」
(;´・ω・`)
「いや…自分の息子に成績で負けるって、結構な屈辱だよ。
だから今回はそうならないように、君の協力を仰いだってわけ」
( ^ω^)
「そうだったのかお。
まあ、出来る限りの協力はしたつもりですお」
(´・ω・`)
「助かったよ。後は一人で頑張ってみよう。
じゃ、帰ろうか」
( ^ω^)
「はいだお。
マラソンしたから、腹が減ってしょうがないおwwww」
(´・ω・`)
「だね。付き合わせてすまなかった」



  
15 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 08:18:40.00 ID:QvhXZOMHO
  
この日、ブーンとショボンは初めて一緒に帰った。
学校での人付き合いを避けていたブーンは、授業が終わるといつもそそくさと一人で帰っていた。
ショボンも、そんな彼の性格に気付いてからは、帰り支度をしているブーンに声をかけることはしなくなった。
…そんな二人が、一緒に電車に乗っている。
初めての下校仲間。初めての電車内での学友との会話。
ショボンはとても喜んで、いつまでも子供のように喋り続けていた。
一方のブーンも、嬉しそうに息子について語るショボンを見て、少しだけ彼のことを好きになれた気がした。
共通の話で盛り上がれる、ショボン父子のことがちょっとだけ羨ましくなった。



  
16 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 08:23:33.38 ID:QvhXZOMHO
  
(´・ω・`)
「そういえば、もうバイトは決まったのかい」
(;^ω^)
「殆ど面接で落ちましたおwwwwww
一応、まだ一軒だけ連絡待ちのところがあるけど、多分そこもアウトだお」
(;´・ω・`)
「ごめん。余計なことを聞いたね」
( ^ω^)
「テストが終わったら、また応募してみますお。
まだバイト探しは始まったばかりだおwwww」
(´・ω・`)
「そうか。諦めないその姿勢、立派だと思うよ。
早く決まるといいね」
( ^ω^)
「頑張るお」



  
20 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 08:53:14.87 ID:QvhXZOMHO
  
帰宅して食事を終えた後、ブーンはしばらく過去のレポートを眺めていた。
試験勉強。
今まで一度もまともに向き合ったことのないそれに挑戦するのは、ブーンにとって苦痛以外の何物でもなかった。

翌日からも似たようなものだった。
とりあえずレポートを広げてはみるが、一向にペンや鉛筆の類を手に取る気になれない。
たまに何か思いついたようにノートの端にメモをすることもあったが、残念ながらそれらは全て新しい小説の設定で、当然のことながら目の前のレポートとは一切関係ない内容のものだった。
( ´ω`)
「僕は何をやってるんだお」



  
21 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 09:00:22.85 ID:QvhXZOMHO
  
ブーンも、このままではいけないということぐらいは理解している。
今はまだ、一度経験のある二年生の科目のみだから問題は無い。
このまま何もしなくても、そう悪い点数は取らないだろう。
だがおそらく、来年も同じことを繰り返そうとすれば確実にまた落ちこぼれる。ラウンジに入学した直後のように。
もう、同じことでプライドがズタズタに踏み潰されるのは嫌だった。
苦手とはいえ、何らかの形で努力して、それを結果に結び付けたかった。
それでも、努力から逃げ続けていたブーンには、何をどうすればいいのかかが分からない。



  
22 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 09:06:55.03 ID:QvhXZOMHO
  
通信制の欠点である。
自由度が高い反面、自分から積極的に動かない限り、絶対に学習のヒントが掴めないのだ。
もしもの時の良きアドバイザーである教師にも、自分から接触しないとまともな指導を受けることは出来ない。
まして基本的には、月に一度しか会えない存在である。
これでは希望通りの指導を受けることなど不可能に等しい。
ブーンは初めて、自分の消極的でマイペースな性格を呪った。
彼にもっと積極性があれば、もっと危機感を持つことが出来れば、このような悩みとは無縁だっただろう。
――試験勉強の仕方が分からない。
幼稚だが本人にとっては絶望的なその悩みを救ったのは、一本の電話だった。



  
25 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 09:20:32.54 ID:QvhXZOMHO
  
('(゚∀゚∩
「まきまきー!」
(*^ω^)
「ちょwwwwミスターカーメン乙wwwwww
キン肉マン読んでないとわかんねーよwwwwwww」
('(゚∀゚∩
「てすとまえだから、ばいとずっとおやすみなんだ!
いっしょにべんきょうしようよ!」
(;^ω^)
「勉強…かお? うーん」
('(゚∀゚∩
「どんなにむずかしいもんだいでも
みんなであつまってかんがえれば
とけるよ!」
( ^ω^)
「相変わらず無茶な三段論法だお。…まあ、別にいいけど。
ペニサスにも聞いてみるから、ちょっと待ってほしいお」



  
26 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 09:23:11.32 ID:QvhXZOMHO
  
('(;∀;∩
「かっぷるずるいよ!
おいらをなかまはずれにしたら、ゆるさないからね!」
(;^ω^)
「把握したお。いつ頃がいいんだお?」
('(゚∀゚∩
「おいらはいつでもいいよ!
ないとうくんたちにあわせるよ!」
( ^ω^)
「そうかお。とりあえず、また後で連絡するお」
('(゚∀゚∩
「いやっほぅ!
こいつはごきげんなべんきょうかいになりそうだぜー!」
( ^ω^)
「昭和の匂いがプンプンする男だお」



  
27 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 09:30:02.65 ID:QvhXZOMHO
  
('、`*川
「うん、分かった。場所はどうしようか」
(;^ω^)
「うーん…」
('、`*川
「じゃあウチでよくね? 一人暮らしだから、色々気を遣う必要も無いしさ。
ライもその方がいいでしょ?」
( ^ω^)
「ペニサスが良ければ、それでいいお。
なおるよ君は僕が駅から案内するお。
いつ頃にするんだお?」
('、`*川
「んー、じゃあ明後日にしようか。
部屋の片付けとかしたいし」
( ^ω^)
「把握したお。なおるよ君には僕から伝えておくお」
('、`*川
「うん。…あ、うちがメールで伝えとこうか?
その方が早いし」
( ^ω^)
「……。
別に、それでもいいお」



  
28 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 09:38:25.17 ID:QvhXZOMHO
  
('、`*川
「何、今の沈黙。
嫉妬? ねえ、また嫉妬してるの?wwww」
(#^ω^)
「いちいちうるさいんだお」
('、`*川
「かわいい奴wwwwwwww
まあライがそこまで気にするなら、メールはしないでおくよwwww」
(;^ω^)
「あうあう」
('、`*川
「ちゃんとライの分もエプロン用意しとくからね。
勉強が終わったら、また一緒に料理作ろうねw」
(///////)
「ぶひぃ」
('、`*川
「あはははっ。じゃ、またね。
おやすみー」
(*^ω^)
「おやスミス」



  
30 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 09:51:18.29 ID:QvhXZOMHO
  
勉強会。
ニュー速に入学するまでずっと自宅学習とは無縁の生活を送っていたブーンに、その発想は無かった。
他の者と同じ視点に立って勉強をすれば、何かしら得るものがあるかもしれない。
自分に何が足りないのか、見えてくるかもしれない。
集まる人間の質が悪ければ、勉強会イコール単なるお遊びの集いと化してしまうのだが、ペニサスとなおるよに限ってその心配は無用だった。
ペニサスはその口調の軽さに反して根は非常に真面目で、大して勉強に力を入れたことの無いブーンが戸惑うほどに勤勉だった。
事実、会う約束のために電話を掛けた時など、彼は何度かペニサスに「今勉強中だから、また後でね」と注意された。
話したいことを話せずに不満に思うこともあったが、ブーンもなるべく彼女の勉強の妨げにならないように、電話の回数を減らすなどして協力していた。



  
31 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 09:57:23.03 ID:QvhXZOMHO
  
また、なおるよは分からないことをそのまま放置するのが嫌いな性格のようで、レポートが一問でも埋まらないとすぐにブーンやペニサスに電話をしてきた。
ブーンは直接見たことはないが、彼はいつも登校の際、自分が授業中に分からなかったことを書き留めておくためのノートを持参するのだそうだ。
授業が終わった後、まとめて担当教師に質問するらしい。
何故そこまでするのかと呆れる反面、消極的で大雑把な自分には絶対に出来ないことだとブーンは感心していた。

そんな二人との、初めての勉強会。
ブーンが何も得ることの無いまま終わるはずがなかった。



  
32 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 10:04:05.60 ID:QvhXZOMHO
  
('(゚∀゚∩
「おじゃまするよ!
さすがおんなのこのへやだ! かたづいてるね!」
('、`*川
「昨日、一日かけて掃除したもんwwwww
お茶持ってくるから、適当に座ってて」
( ^ω^)
「…じゃあ始めるかお。
何の教科から始めるつもりなんだお?」
('(゚∀゚∩
「さいしょは、それぞれじぶんのにがてなかもくをやったほうがいいとおもうよ!
わかんないことをまとめておいて、あとでみんなといっしょにそのあなをうめるんだ!」
( ^ω^)
「なるほど…」



  
33 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 10:09:29.75 ID:QvhXZOMHO
  
('(゚∀゚∩
「おいらはこくごからやるよ!
かんじがよめないからね!」
(;^ω^)
「おまwwww
それは苦手とかそういう次元の話じゃない希ガス」
('(゚∀゚∩
「でもぶんぽうはとくいなんだよ!
で、で、でる、でる、でれ、でろ! 『でる』のかつようだよ!
で、で、でるでるとかいっちゃって、なんだかえろいよね!」
(;^ω^)
「中学生でもそんなこと考えないおwwwwwwww」



  
34 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 10:18:27.60 ID:QvhXZOMHO
  
('、`*川
「――こんな感じで、レポートの問題と似たようなのを問題集から抜き出していくの。
で、間違えたところを集中的に勉強するわけ」
( ^ω^)
「その発想は無かったわ」
('、`*川
「あと、この手の問題集には絶対に単元ごとに『まとめテスト』みたいなのがあるじゃん?
それを最初にやっておけば、自分の理解してることと理解してないことがハッキリ分かるよ」
('(゚∀゚∩
「ぎゃくてんのはっそうだね! あったまいー!」
('、`*川
「後でライにもコピーしてあげるね」
(*^ω^)
「dクス」
('(゚∀゚∩
「おいらもほしいな!」
( ^ω^)
「だが断る」
('、`;川
「なんでお前が断るんだwwwwww
ちゃんとなおるよ君にもあげるからね」



  
35 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 10:24:09.44 ID:QvhXZOMHO
  
('、`*川
「うち、英語のヒヤリング(リスニング)が苦手でさ。
あれだけはこうやって事前に勉強することが出来ないじゃん?」
('(゚∀゚∩
「ほうそうちゅうにめもをとるといいって、せんせいがいってたよ!」
('、`;川
「うーん。でもなぁ、メモしてる間にどんどん話が先に進んじゃうんだよね」
('(゚∀゚;∩
「あるある!」
( ^ω^)
「いちいち頭の中で英文を和訳しちゃうからダメなんだお。
英語は英語のまま理解するんだお」



  
36 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 10:29:34.37 ID:QvhXZOMHO
  
('(゚∀゚∩
「よくわかんないよ!」
( ^ω^)
「聴いて理解する一連の流れから、英語→日本語に変換するのを省くんだお。
メモも、長い単語以外は英語のまま取るといいお」
('、`*川
「行動を短縮するってこと? うん、それいいかも」
('(゚∀゚∩
「おいらもやってみよう! あい・わず・げい!」
(;^ω^)
「アッー!! 自分で言っても意味無いお」



  
40 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 10:50:16.27 ID:QvhXZOMHO
  
三人の勉強会は、日が暮れる頃になってもまだ続いていた。
ペニサスとなおるよと共に学習を進めたことで、ブーンは試験勉強というものの本質を、おぼろげながら掴むことが出来た。
彼らに教わったことを生かせば、一人でも勉強が続けられそうな気がした。
他の二人も同様に考えていたようで、口々に今日の勉強会について満足げな感想を洩らしていた。
他県に住むなおるよは電車の関係で帰らなければならなかったが、ブーンはそのままペニサスの家に泊まることにした。
何度か彼女の家を訪れたことはあったものの、母親に外泊のための嘘の理由をでっち上げることをペニサスが嫌ったため、泊まるのはその日が初めてだった。



  
41 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 10:57:14.98 ID:QvhXZOMHO
  
( ^ω^)
「今日は泊まり込みで勉強会をするって言ってあるから、大丈夫だお。
嘘ついてないお。まあ彼女の家とは言ってないけどwwww」
('、`*川
「うん」
( ^ω^)
「ペニサスは、いつも僕が帰る時寂しそうにしてるお。
今日はずっと一緒だから安心汁」
('、`*川
「うん…ありがとうね」
(*^ω^)
「いいんだお。本当は僕もいつも寂しいんだお。
だから今夜はずっとくっついてるおwwwwwww」
('、`;川
「あんまりくっついてると、鼻息うるさいんだけどwwww」



  
42 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 11:04:06.76 ID:QvhXZOMHO
  
明かりの消えた部屋で、二人はいつまでも話し続けた。
暗い話が続くことを避けるため、ブーンは将来の夢を語った。
瞳を輝かせながら、自分の書いた小説のストーリーをペニサスに話して聞かせた。
ペニサスも負けじと夢を語った。
ニュー速学園卒業後は大学に進学し、将来は保育園の先生になりたいらしい。
幼児期の食習慣の大切さや、現代の子供が抱える様々な問題などの話を聞き、ブーンは彼女の知識量に素直に感心した。
同時に、それを熱心に語る彼女の姿を、とてもいとおしく思った。



  
43 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 11:10:29.86 ID:QvhXZOMHO
  
深夜、自分の腕の中で寝息を立てているペニサスの顔を見ながら、ブーンは一人考える。

中学時代、ラウンジ時代、どちらにも世間で言う「青春」なるものは無かった。
退屈で、孤独で、常に物事に対して冷淡だった。
ドラマのような出来事が起こるはずもなく、ただ無為に毎日を過ごしていた。
…なら、今は?
正直、自分の中の何が変わったかについては全く分からない。
普段の生活だけ見ると、ラウンジに行かなくなった頃とそう変わりがないようにも思える。



  
44 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 11:16:49.62 ID:QvhXZOMHO
  
単調で、非生産的で、毎日がどうしようもなく退屈で。
だが、ペニサスを始めとするスクーリングで出会った数々の人間の存在が、自分の中で少しずつ大きくなっていくのが分かる。
彼らと共に過ごす時間だけは、日常の中の「退屈」の範疇から完全に外れた、独立した時間であるように感じられる。

ブーンはペニサスの髪を二、三度撫でると、彼女を起こさないよう静かに唇をその額に押し当てた。

(*^ω^)
「ずっと、一緒にいるお」



  
50 : ◆TigerQqrbI:2006/09/19(火) 11:26:19.24 ID:QvhXZOMHO
  
次回予告

('A`)
「今までありがとう。…じゃあな」
( ^ω^)
「大都会の空気に負けるなお!」

m9(^Д^)
「つっかえねえ野郎だなぁ。アウアウ言ってんじゃねーよカスが!」
(#‐ω‐)
「社会に適応するためだお。ここは我慢汁」

J('兪)し
「あいつ原チャリでコケてんのwwwww
たまには休めって言ったのに……親の言葉を無視するからこうなるんだ。
馬鹿丸出しだよ全く」

さらばドクオ、また会う日まで!



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