( ^ω^)達が立ち上がるようです

  
13: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:17:03.20 ID:yRFMFQYw0
  
第一話 − 目覚め、そして襲撃 −

…チッチッチッチッチッチ

( -ω-)「……うーん…」

時計の秒針だけが暗闇の部屋に響いている。
部屋に飾られているのは二次元のポスターとフィギュアばかり。
PCの電源も点けっぱなしで、スクリーンセーバーにはポスターと同じキャラクターの画像がうよめいている。
…隣のベッドの真ん中で時折体をよじらせている少年が居る。

…うなされているのだろうか。

しかしこの男、ピザである。

…チッチッチッチッチッチ
(;-ω-)「………うーん、はあ…」
さっきからどうしたのだろうか。
体をしきりに動かしては気色悪いうめき声をあげている。
(;-ω-)「……う…う…あ…いいお…いくお…」



  
14: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:17:26.64 ID:yRFMFQYw0
  
…また動いた。
(;-ω-)「…はあ…あ…」

( ゚ω゚)「…アッーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!足つったーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
寝返りと共に近所迷惑かつ騒音ともとれる悲鳴をあげたの少年は内藤ホライゾン。通称ブーン。高校三年生。ピザ童貞である。

(;゚ω゚)「はあ…はあ…あうう…足痛いお…死んじゃうお…」
足がつったくらいで大げさな反応なものである。

妙な汗を背筋に感じながらブーンは枕元の時計を見た。
時刻は午前5時を指している。まだ窓の外は暗い。
( ツω-)「…まだこんな時間じゃねーかお…もう一眠りするお…せっかくツンとセクロスする夢見れたのにお…」
気持ち悪い妄想と独り言をしながらブーンはまた眠りについた。



  
15: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:17:49.64 ID:yRFMFQYw0
  
ξ--)ξ…zzzzz…
所変わって今度は可愛らしい部屋だ。
花柄カーテンに薄い桃色の壁紙。布団も壁紙と同じ色で統一されている。
薄暗い中に小さな明かり。小さなランプが置いてある。


『…アッーーーー!!……』

ξツ-)ξ「…ん…?…ブー…ンの…声がする…」
この可愛いカールの髪形の女の子の名前はツンデレ。通称ツン。高校三年生。

ξ--)ξ「…気のせいか…何…時?」
枕元の細い腕時計を見るツン。…ブーンの声に起こされたことも知らずに。
ξ--)ξ「…まだ5時じゃない…もう少し寝ようかな…」
…こちらもまた一眠りするようです。



  
16: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:18:31.09 ID:yRFMFQYw0
  
ここはまたさっきのピザに似た部屋だ。
違うことと言えばPCのモニタの前にまだ起きている少年がいること。
('A`)「…」
真っ暗な部屋でPCのモニタの明かりが怪しい雰囲気をかもし出している。
加えて、カタカタと変則的かつ無機質なキーボードを叩く音が部屋に響いている。
('∀`)「…ヒヒ…」
ヘッドホンをはめている男が急に笑顔になる。

…正直気持ち悪いが少し近づいてみよう。

以下はヘッドホンから聞こえる音である。



  
18: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:18:55.10 ID:yRFMFQYw0
  
…先輩…


優しくしてください…


…あっ…あっ…


こ、こうですか…?


あっ…だめ…です…


あっ……






『…アッーーーーーーーーーー!!!!!!!』



  
19: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:19:18.71 ID:yRFMFQYw0
  
ヘッドホンを外す男。
('A`)「ん…?今、なんか違う声がしたような…」
突如現実の世界に引き戻された男は不満そうな顔をしている。
('∀`)「ま、いっか。続きしよーっと」
だがそんなことにも同様せず、再び彼は異世界へ旅立った。

こいつはドクオ。ブーンやツンと同じ高校三年生である。趣味はエロゲ。こうして毎晩PCの前でニヤニヤしている。
…無論、童貞であるのは言うまでもない。



  
20: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:19:43.01 ID:yRFMFQYw0
  
…今度はなんだろうか、今まで見てきた部屋とは少し雰囲気が違う。
一見、お洒落でインテリアにもこだわりを感じる部屋なのだが、一枚のポスターがそれをぶち壊している。

…なぜ男の裸のポスターがここに…

そして一人の男がTVの前に座っている。
(´・ω・`)「…ふふ…」
TVに映し出されているのは…

直視出来なかった…吐き気がする。これ以上見るのはよそう。
とりあえず、一言で表現するなら『くそみそ』が妥当だろう。

(´・ω・`)「いいね…いい体してるよ…」

すごく気味悪い発言であるが、しばらく見ていよう。



  
21: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:20:05.76 ID:yRFMFQYw0
  
(´・ω・`)「…あ…出る…」
よく見るとこの男、自分のそそり立つ息子をいじいじしているではないか…!!!!!

そして数秒後…

(´゚ω゚`)「アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
『…アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!』

いろんな意味で二人が果てた。

(´・ω・`)「あれ、なんだか自分以外の声がシンクロしていたような気がする…」

お察しの通りです。
彼はショボン。前述の三人と同じ高校三年生である。観察して分かるだろうが、彼の性癖は一般人と異なるようである。



  
23: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:20:34.20 ID:yRFMFQYw0
  
時は進み、場所は戻ってブーン宅。
( -ω-)「ああ…ツン…」
ブーンは先ほどの夢の続きを見ているようである。
…相変わらず気持ち悪い。

…チッチッチッチッチッチッチッチ…
( -ω-)zzzzzz…

ジリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!!!!!!!!!!!
( ゚ω゚)「うおおおおおおおお!!!!!!!!」
けたたましい目覚ましの音にブーンは飛び上がった。

( `ω´)「だまれ小僧!!!!!!!!!」
ブーンは目覚まし時計に垂直にチョップを食らわせた。

ジリリリリッ……

( ツω-)「まだ眠いお…」
ブーンは再びベッドに潜ってしまった。



  
24: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:20:59.11 ID:yRFMFQYw0
  
夢は見れなかった。ただ暗闇の中で一人横になっている。





…遠くから声がする。




『……き…ろ…』


『…起きろ…』



段々と声が近く、明瞭になる。隣に居るのだろうか。

( -ω-)「あと5分…待ってくれお…」

どうせこの声はカーチャンだろうと思ってブーンは寝ぼけながら答えた。



  
25: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:21:31.36 ID:yRFMFQYw0
  
『起きろ…』


『…今日はお前たちに試練が課されるのだ…』





この声、違う…カーチャンの声じゃない。誰か分からないが別の声だ。



( -ω-)「…なんだお、試練って…」


目を開けようとしたが開かなかった。


『…お前だけではない…世界に試練が課されるのだ』


( -ω-)「何ゲームみたいなこと言ってんだお…」


『…月の分身よ…お前はどうするのか、見ているぞ…』



  
26: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:21:56.85 ID:yRFMFQYw0
  
( -ω-)「月ってなんだお…行っちゃうのかお…?」


『私はいつも近くに居る…呼べば駆けつけようぞ…』


( -ω-)「よくわかんないお…君の名前は…なんて言うんだお?」

瞬間、少しの静寂が訪れた。そして再び声がする。

『……月夜とでも呼んでくれ…』

( -ω-)「月夜さんかお…僕のお友達かお?」


『…お前がそう思うなら私は友だろうな』


( -ω-)「そうかお…なんだか月夜さんはよく分からない人だお…」

『また会おう…』

( -ω-)「さよならだお。月夜さん…」



  
27: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:22:21.55 ID:yRFMFQYw0
  
…やがて視界が明るくなってきた

『ブーンいつまで寝てるの?起きなさい!』


( ´ω`)「…お…?」
寝ぼけ眼にいつも見る顔があった。
J(#'ー`)し「おはよう。…ってもう8時じゃない!私は仕事行くからね!台所に朝食と弁当は置いてあるから!遅刻したら許さないわよ!!」
…カーチャンだ。
( ´ω`)「…おは…よう…だお」
まだ寝ぼけている。…さっきの言葉を残してカーチャンは家を出たようだ。
( ´ω`)「…えっと…確かカーチャンは…もう8時じゃない!…って言って…」
さっきのカーチャンの言葉を振り返る。
( ゚ω゚)「8時!?!?!?!?」
ようやく目覚めたようだ。そして現在の時刻を知る。
( ゚ω゚)「やべーお、間に合うかわかんないお…!!」
ブーンはベッドから飛び出し、急いで着替えて台所に向かう。



  
28: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:22:44.66 ID:yRFMFQYw0
  
ご丁寧に朝食の目玉焼きとパンが置いてあった。
(;^ω^)「もうまとめてがっつりいっちゃうお…」
目玉焼きをパンに載せ、牛乳で一気に流し込む。
(;^ω^)「さて今何時だお…」
時計を見る。現在は8時15分になるところだった。
(;^ω^)「こりゃもうだめかもわからんね…」
学校までは徒歩20分、走って15分ほどである。ちなみに登校時刻は8時半まで。

…つまりぎりぎりなのである。
玄関を出て施錠。門を出る。道に立ち、ブーンは目を閉じる。



  
29: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:23:07.08 ID:yRFMFQYw0
  
…突如しゃがみ込むブーン。いわゆるクラウチングスタートの体勢になった。
( ^ω^)「全速前進用意、エネルギーチャージ…3,2,1…開放!!!発進しますお!!!!!!!!」
わけの分からぬ独り言を呟いた直後、ブーンは駆け出した。

( ^ω^)「滑空体勢に移行するお!!」
その言葉の後にブーンは両腕を広げた。

⊂二二二二(  ^ω^)二二二⊃「ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!」

颯爽と走っていくブーン。

作者の私にも理解できないほど彼は楽しそうに見えた。


…それにしてもこの男、ノリノリである。



  
30: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:23:29.28 ID:yRFMFQYw0
  
そんな楽しそうなブーンは物陰から見られている者が居ることに気づくことはなかった。

壁|゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「こちらクー…目標は学校に向かっていった、応答願う」
無線機のような物を片手に女は話している。察するに名前はクーというらしい。
『こっちの二人ともう一人の方も向かっている、しかし本当に今日動くのか?』
川 ゚ -゚)「確証はない。だが、動くとすれば今日だと思われる」
『OK、こっちも監視を続ける。学校の方で会おう、通信を切るぜ』

無線機をポケットにしまい壁にもたれかかる。

川 ゚ -゚)「これを渡してみないと分からんな。彼が本当の分身という証拠はない」
クーは大きなカバンに刺さった黒い布に巻かれた棒状のものを見て呟いた。
空を見上げれば、穏やかな春の日差し。やわらかい風に運ばれてかすかに桜の匂いがした。

川 ゚ -゚)「…あの計画は絶対に潰さねばならん…」
そう言うとクーは静かに歩きだした。



  
31: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:23:55.65 ID:yRFMFQYw0
  
⊂二二二二(  ^ω^)二二二⊃「学校が見えてきたお!!!ksk!ksk!ksk!!」
ブーンは相変わらずのスピードで走っている。このピザの体のどこからこんなスピードが出るのだろうか。
やがて校門に差し掛かろうとした瞬間…!

キーンコーン…

⊂二二二二( ;^ω^)二二二⊃「チャイム鳴ってらっしゃるお〜…」
だがブーンは諦めなかった。
⊂二二二二(  ^ω^)二二二⊃「なり終わるまでに教室に着けばいいんだお!!!」
少々無理のある解釈だが、ブーンは走り続けた。

階段をあっという間に上りきり、教室の扉へ走る。
⊂二二二二(  `ω´)二二二⊃「うおおおおおお!!!!!!!!」



だが、そこに思わぬ障害物が現れた。
ξ゚听)ξ「危ない、危ない…遅刻はしたくないもの…」
…ツンだった。

⊂二二二二( ;^ω^)二二二⊃「ツーン!!!!どいてくれおおおおお!!!!!」
もうすぐチャイムが鳴り終えるところだった。
ξ;;゚听)ξ「ブーーーーーーン!!!」

…直後、何かと何かがぶつかる鈍い音がした。


『…先生!!早く!!!』

誰かが先生を呼びにいっている…やがて意識が遠のいた。



  
32: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:24:22.32 ID:yRFMFQYw0
  
( ´ω`)「…あれ、ここどこだお?」
白いシーツに白いカーテン。柔らかな日差しと鳥の声。
( ´ω`)「そういえば朝、ツンとぶつかって…よく覚えてないお…」
ブーンはゆっくりと体を起こそうとした。
…次の瞬間にブーンの体のあちこちに激痛が走った。
( ゚ω゚)「イタイイタイイタイおおおお!!!!!!!!!」
ブーンは再びベッドに倒れた。
( ´ω`)「…どうなってるんだお…体中めちゃくちゃ痛いお…」

するとカーテン越しに人影が見えた。
( ´ω`)「なんだ、あっちの世界からお迎えが来たのかお…?」
ブーンは自分が死んだのではないかと思っているようだ。

ξ )ξ「…馬鹿…」
聞き覚えのある声がする。
( ´ω`)「…ツンかお…?僕はもうダメみたいだお…はあ、せめてツンとあんなことやそんなことしたかったお…」
…静寂。耳が聞こえなくなってしまったのだろうか。



  
34: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:24:44.89 ID:yRFMFQYw0
  
そして…

ξ#゚听)ξ「馬鹿!馬鹿!!馬鹿!!!変態!!!!このやろ!!!」
怒声と共に体に再び走る電撃。この痛覚、どうやらまだ生きている。
( ゚ω゚)「アッーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!やめてくれおおおおお!!!!!!!!」
視界が晴れてくるとかなり怒ってるツンが居た。
そして手は止まない。首を絞めたり、胸倉を掴んで思い切り体を揺さぶられた。

それと同時に激痛が体を駆ける。
( ゚ω゚)「アッーーーーーー!!!!!!!!!アッーーーーー!!!!!!!!!!!!」

…再びブーンの意識が無くなった。


次に起きたのは昼休み頃だった。
保健室の先生に聞かされたが、どうやら僕はやはりあの時ツンとぶつかったらしい。
幸いツンはほぼ無傷。少しここに疑問を持った。…真相はこうだ。
ツンはぶつかる直前に、持っていた鞄を盾にしたらしい。
そしてツンの鞄の中には僕と違って、教科書やノートが詰まっている。

もう分かっただろう。つまり鞄という硬い盾に僕は見事にタックルし、クラッシュした。
更には鞄にぶつかった後床をボールのように転がって壁に衝突。
盾よりも硬いコンクリートの壁は僕の背中を受け止めてくれたが、体はそれに耐え切れず、今の痛みがある。

…ツンの反射神経に感謝したい。多分そのままぶつかっていたら、さっきよりも酷く怒られたことだろう。



  
36 名前: >>33ごめん… ◆hBCBOVKVEc 投稿日: 2007/03/06(火) 07:25:32.95 ID:yRFMFQYw0
  
先生には"もう少し休んで体が落ち着いたら授業に戻りなさい"と言われた。
人間とは意外と頑丈なものだ。ツンにされた時の痛みはだいぶ良くなっていた。

昼休みはまだ30分ある。教室に戻ってツンやみんなに謝ろうと思った。

( ^ω^)「先生、ありがとうございましたお」
保健室のある棟はみんなの居る教室棟から少し遠い。出来るだけ早く教室に戻りたいブーンは中庭を突っ切っていくことにした。
( ^ω^)「久しぶりに中庭通るお…お?」
中庭のベンチにこの学校の制服ではない人がいた。
( ・∀・)「……」
ブーンは少し気になったが、今は教室に戻ることが最優先である。ブーンは足早に教室棟へ歩いていく。

『…君が月の分身なのかな』

( ^ω^)「…お!?」
声が聞こえた方向はさっきの人の居たところだ。ブーンは振り返ろうとした。

…だがブーンは振り返れなかった。
突風がその場に吹き荒れ、ブーンはしゃがみ込んでしまった。
(;^ω^)「ちょ、なんだお!?」
周りの棟の窓ガラスがビシビシと音を立てている。
やがて止む風…本当に突風だった。数秒で行ってしまったのだ。
ブーンはさっきの声の方向を見るがそこには誰も居なかった。
(;^ω^)「気味悪いお…早くみんなのところ行くお…」
ブーンは僅かな恐怖感を抱き、走って教室に戻った。



  
38: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:26:01.95 ID:yRFMFQYw0
  
('A`)ノシ「おーい、ブーン大丈夫か?」
(´・ω・`)ノシ「まったく朝から人騒がせなやつだよなあ…」
いつもの二人が手を振っている。ブーンはすぐに彼らの机のところへ行く。
( ^ω^)「心配かけてごめんお、もう大丈夫だお」
('A`)「びっくりしたぜ、机で寝てたら廊下からすごい音してさ、見に行ったらお前が倒れてやんのw」
どうやら朝の事故はみんなが見ていたらしい。周りに気を配ってみると自分を見て笑ってるやつらもいる。
(;^ω^)「みんなが見てるお…」
(´・ω・`)「あんな騒動起こしたんだから当然だよ。でも今日は今日。明日には忘れることさ」
ショボンはいつも冷静だ。そして優しい。ドクオやツンも優しいが、ショボンは違った優しさがあるような気がする。
…兄貴分といったところだろうか。
( ^ω^)「ショボンにドクオ、ありがとうだお。ところでツンを知らないかお?」
そう、まずツンに謝らなくては…
('A`)「多分音楽室。あいつ美術教科音楽取ってるから。それにテスト近いらしいし」
( ^ω^)「ありがとうだお。ちょっと行ってくるお」
(´・ω・`)「気を付けなよ。ツン怒ってるから」
…保健室で十分怒られてますが…
( ^ω^)「心配ないお。謝って来るお」



  
39: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:26:38.15 ID:yRFMFQYw0
  
教室を出て5階へ行く。音楽室は一番奥の教室だ。謝るだけでは許してくれなさそうなので購買でジュースを買った。
音楽室へ近づくといろんな音がする。ピアノにトランペットなどなど…
ツンはピアノが上手だった。中学時代の合唱コンクールで伴奏をやっていたっけ。
…多分このピアノはツンだ。
扉の窓から中を覗く。

居た。ツン。
予想通りピアノを弾いている。多分、この曲はショパンの夜想曲第20番嬰ハ短調遺作。
ツンにCDを借りて聞いたことがある。最初は退屈な曲だと思っていたが、ツンが弾いてると自然と好きになった。
扉を開けると、ツンの演奏が止まった。
ξ;゚听)ξ「ブーンもう大丈夫なの?」
意外だった。最初から怒られると思っていたからだ。
( ^ω^)「大丈夫だお。というかもっと怒られると思ってたお」
ξ////)ξ「べ、別に心配くらいしたっていいでしょ!!」
…正直ツンは可愛い。こういう優しい一面が特に好きだ。
( ^ω^)「ツン、お詫びのジュースだお」
ブーンはさっき購買で買ったジュースをツンに渡した。
ξ#゚听)ξ「なんでファンタなのよ」
(;^ω^)「嫌いだったかお…?」
ξ゚听)ξ「ま、いいけど。ホントは紅茶が良かったな」
(;^ω^)「正直すまんかった…」
ツンはあまり怒ってるようには見えなかったが謝ってしまう。もはや癖に近い。



  
41: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:27:18.92 ID:yRFMFQYw0
  
( ^ω^)「ピアノ、続けてお。聞かせてほしいお」
ξ゚听)ξ「ヤダ」

即答。

(;^ω^)「お願いします」
ξ゚听)ξ「仕方ない。なら弾いてやろう」
怒ってる時は敬語を使わないとダメなのを忘れていた。
やがてツンはピアノを弾き始めた。
ξ゚听)ξ〜♪
…やっぱりツンのピアノは上手い。
小学校から習っていたというツンのピアノは何か落ち着きを感じる。
この曲はわずか4分ほどの曲だ。だから短い分、いっそう気持ちを込めて鍵盤を叩く。
周りで練習する他の生徒の楽器の音の喧騒を忘れさせるほどのツンのピアノに僕は引き込まれていた。

…ここでチャイムが鳴る。ちょうど最後のところで。

残念そうな顔をする自分を見てツンは片付けをしながら言った。
ξ゚听)ξ「何そんな暗い顔してんのよ。また弾いてやるから。ね?」
…嬉しかった。自分が特別な存在みたいに思えていた。
だがそんなことを言うとツンはいつも
ξ////)ξ「べ、別にあんたのために弾くんじゃないんだからね!!」
といって帳消しにしようとする。…でもそこがツンらしい。



  
42 名前: >>40これ、処女作 ◆hBCBOVKVEc 投稿日: 2007/03/06(火) 07:28:02.11 ID:yRFMFQYw0
  
教室に戻り、いつもの授業が始まる。
大嫌いな古文の授業だった。古い日本語を学んで一体何になるのだろう。
そんな退屈な授業でも、ツンは真剣そのものだった。
尊敬しているが自分にはまね出来なさそうだ。


午後の退屈な授業が終わり、放課。
( ^ω^)「あー疲れたお」
('A`)「半日保健室で寝てたお前が言うな」
(´・ω・`)「ま、ドクオも授業中ほとんど寝てたけどね」
(;'A`)「言うな」
ξ゚听)ξ「さて、今日は誰かさんのせいで疲れちゃった。帰ってはやく寝よ」
ツンはまだ怒ってるようだ。
(;^ω^)「そ、そうするお。みんなも早く帰るといいお」
('A`)「俺は寝ないけどな」
(´・ω・`)「僕もそのつもりさ」
ξ゚听)ξ「あんたら夜遅くまで何やってんのよ?」
(´・ω・`)('A`)「ひみつ♪」
ハモるな。
( ^ω^)「今日はここでお別れだお。みんなバイバイだお」
('A`)ノシ「おうよ。また明日な」
(´・ω・`)ノシ「またね」
ξ゚听)ノシ「バイ!」



  
43: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:28:33.01 ID:yRFMFQYw0
  
みんながそれぞれの道に分かれ歩き出した。

ブーンは公園の方向へ。
ツンは川原の方向へ。
ドクオは丘の住宅地へ。
ショボンは墓地の方向へ。


だが四人それぞれの道はすべて塞がれてしまった。

( ・∀・)「…内藤…ホライゾン君だね」
(;^ω^)「君は昼休み中庭で…」
ブーンの前には同じ年頃か、年上くらいの男が。

(*゚∀゚)「君がツンデレちゃんだっけ?」
ξ;゚听)ξ「だ、誰?」
ツンの前には背の低い女が。

(-_-)「ドクオ…」
('A`)「…へ?」
ドクオの前には長い髪で顔が見えにくい男が。

( ´ー`)「ショボン君かね」
(´・ω・`)「…うーん、痩せてる男は好きじゃないんだがな…」
ショボンの前にはやや背の高い痩せた男が。


それぞれの道の真ん中に立ち、それぞれの名前を呼んだ。



  
52: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:39:45.06 ID:kh67/LglO ( ・∀・)「返してもらおうか。エレメント」
男はブーンに向かって言い放った。
(;^ω^)「…何言ってんだかよく分からないですお…」
ブーンは本当に何を言っているか分からなかった。
( ・∀・)「そうか、君はエレメントの所有者である自覚が無いみたいだね」
(;^ω^)「…何がなんだかさっぱりですお」
( ・∀・)「…ならば教えてやろうかい…おっと自己紹介を忘れていたね。私はモララーと言う」
態度は冷静かつ穏やかであるが、雰囲気はけっしてそうとは言えなかった。
(;^ω^)「内藤…ホライゾンですお…」


( ・∀・)「そうか、君が…」
モララーと名乗った男は背中に手を回した。
次の瞬間、昼休みのあの時ほどではないが風が吹いた。ブーンはまた目を閉じた。
風が止み、目を開けるとブーンの足が震えた。
( ・∀・)「じゃ、返してもらうよ」
冷たく言い放った矢先、彼の手には刃渡り80センチはありそうな鎌が握られていた。
ブーンは冷や汗がシャツを濡らしていくのが分かった。
(;^ω^)「…これは夢かお?」
独り言を呟いたその後、モララーの鎌が目の前に迫っていた。
( ゜ω゜)「夢じゃねええおおおおお!!!!!」
ブーンは反射的に伏せた。鎌はブーンの頭上をかすめ、隣の塀に食い込んだ。
…そして塀が吹き飛んだ。音も無く。
( ・∀・)「かまいたちってよく言うだろ。それだよ」
冷静に解説するモララーの態度に反し、目には明らかに殺気がこもっていた。
そして間も無く次の斬撃がブーンにせまった。今度は先ほどよりも速く、より静かに。
ブーンは今度こそ終わりだと思った。



  
55: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:44:48.26 ID:kh67/LglO (*゚∀゚)「エレメント、ちょーだい?」
ξ;゚听)ξ「え、エレメント?」
(*゚∀゚)「そう。神様が創った力」
ツンの前に立ちはだかった女は明るい声でたずねた。そしていきなり神様などと言った。
新手の新興宗教かとも思ったが、それにしては突然すぎる刺客にツンは驚いている。
ξ;゚听)ξ「…そんなもの、持ってないですよ」
エレメント。何だろうそれは。疑問と驚きの狭間に立たされたツンはそう答えるしかなかった。
(*゚∀゚)「やーっぱ、わかんないかな。仕方ない。ならモノだけもらって帰るよ」
そう言うと、女は手を腰に入れて何かを取り出した。

…それは紛れもない、刀だ。小さいけれど、人を殺すには十分過ぎるくらいの武器だ。
…人間を殺すための鋭利な刃物。



  
56: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:45:41.73 ID:kh67/LglO ξ;゚听)ξ「ひっ…」
ツンは思わず声をあげた。そりゃそうだ。これから殺されるかもしれないのだから。
(*゚∀゚)「私は水のつーだよ。誰に殺されたか分からないのもかわいそうだから名前は教えてあげる」
…本気だ。私を殺すつもりだ。この女は。水ってなんだろう…エレメントってやつかな。
ξ;゚听)ξ「殺すって…」
本気で言ってるの?…と言うつもりだったが妨げられた。
女が小刀を持って突進してくる。
咄嗟に今朝のことを思い出す。…ブーンを受け止めたこの鞄。
(*゚∀゚)「あははははw」
ツンは鞄で小刀を受け止めた。
(*゚∀゚)「あらー、抵抗するとは思わなかったなー」
相変わらず笑顔だ。でも、それはホントの笑顔じゃない。
殺人鬼としての笑顔って言うべきだと思う。
ξ;゚听)ξ「はあ…はあ…」
脈拍が恐怖で上がっているのが分かる。体が熱くなる。
(*゚∀゚)「そーれ!」
鞄が見事に真っ二つに切れてしまった。
もう自分を守るものは何もない。なぜかは分からないが、鞄の中身がびしょびしょに濡れていた。
ξ;゚听)ξ「どうしよう…怖いよ…」
そして次の攻撃が来る。
(*゚∀゚)「バイバイ…」
ξ><)ξ「イヤアアアァァァ!!!!!!」



  
57: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:46:51.75 ID:kh67/LglO (-_-)「ドクオ…エレメント…」
片言しか喋らない男の小さな声は聞き取りにくいの一言だった。
(;'A`)「あの、なんか用ですか?」
少し腹が立って威勢のいい声で聞いた。
(-_-)「返して…」
変わらぬ調子で答える男に苛立ったドクオはこう言い放った。
(#'A`)「で、用はないのか?帰るから邪魔しないでくれよ!」
(-_-)「…殺す」
今度は違った。はっきりと、聞こえるように言った。
…殺す…と。
(;'A`)「は…?」
そしてその男は背中から棒を取り出した。
先端には…大きな鉄球がついている。



  
58: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:47:49.19 ID:kh67/LglO (;'A`)「おい、ちょっと待っt…」
今までのゆっくりとした言動からは想像出来ないほどの速度で鉄球を振りかぶり、男は駆けてくる。
(;'A`)「ちょ、えっええええぇ!?」
垂直に振り落とされる鉄球。ドクオは瞬時に右に飛んだ。
鉄球は消火栓に命中し、水が噴出す。
少しめり込んでしまい、男は鉄球を引き抜くのに手こずっている。
鉄球の破壊力は凄まじかった。消火栓が根元までぐしゃぐしゃになっている。そして周囲のアスファルトが割れている。
そんなことを見ているうちに鉄球が抜けた。
(-_-)「動かないで欲しいのにな…」
鉄球を引きずりながらこちらに近づく男。
('A`)「もうダメぽ…」



  
59: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:49:27.30 ID:kh67/LglO ( ´ー`)「よう、お前さんがショボンかい?」
男は少し威圧感を込めて尋ねてきた。
(´・ω・`)「…まず人に名前を聞くことより名乗るのが先じゃないですか?」
ショボンは冷静に答える。
( ´ー`)「高校生にしてはよく出来た人間だーよ。俺の名前はシラネーヨだーよ。ネーヨでいーよ」
(´・ω・`)(褒めているのかは分からないが、友好的には感じられないな…)
ショボンはしばし冷静に考え話し出した。
(´・ω・`)「一番の疑問なんですが、僕に何か御用ですか?」
ショボンにとって今最も気になることから尋ねた。
( ´ー`)「お前さんの持ってるエレメントってのが欲しいんだーよ」
(´・ω・`)(エレメントという単語の意味は元素。元素など自分だって持っているはずだ。体を構成しているのだから…)
冷静に言葉を選ぶショボン。
(´・ω・`)「…あなただって持ってるんじゃないんですか?」
それを聞くとネーヨは黙った。
沈黙…

( ´ー`)「持ってるよ。でもお前さんのが必要になったからよー…」

再び沈黙…

(´・ω・`)「…どうするんですか?」

さきほどより長い沈黙…



  
61 名前: 愛のVIP戦士 投稿日: 2007/03/06(火) 07:51:32.77 ID:kh67/LglO ( ´ー`)「…殺す」

ショボンの目が見開かれた。
(´・ω・`)「悪い冗談を、ネーヨさん」
少し怖いのはあるが、まだ確証がない。もう少し…
( ´ー`)「…死んでもらうーよ?」
…ポケットに手を突っ込んでいて分からなかった。出された手には硬そうなグローブがはめられていた。
本気という確証がつかめた。
(´・ω・`)「殴り殺されるのはごめんですよ。ネーヨs…」
すぐそこにネーヨの拳が至近距離に迫っていた。
( ´ー`)「死ね…」
だが拳がショボンに当たることはなかった。
(;´ー`)「よく止めたーよ…」
(;´・ω・`)「空手部でした…からね…」
ショボンはネーヨの腕を捻り上げて静止させていたのだ。
次の瞬間、二人はバックステップで距離を取った。
にらみ合う二人…
ネーヨの手から蒸気のような熱気が発せられていた。
(´・ω・`)(…熱が発生している…?)
先に動いたのはネーヨだった。それもさっきの拳の向かってくる速さとは比べ物にならない速さで。
(;´・ω・`)(まずい、避けられない!!!!!!!)



  
62: ◆hBCBOVKVEc :2007/03/06(火) 07:53:24.13 ID:kh67/LglO ( ゜ω゜)「うあああああああ!!!!!!」
ブーンは恐怖の叫びをあげる。
だが、迫り来る鎌の斬撃は止まらない。
そして目を閉じた。
…目を閉じてからどれくらい経っただろうか?
(;^ω^)(生き…てる?)
…怖かったが、ゆっくりと目を…開けた。

川;゚ -゚)「間に…合った…」

見たことのない女性がそこに立っていた。

一話− 完 −



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