( ^ω^)達が立ち上がるようです

  
6: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:03:35.83 ID:2xouMJw20
  
3話 −真実−

(;^ω^);゚听)ξ;'A`);・ω・`)『あなたは何者ですか(お)??』

皆がまず思う疑問をぶつけた。
そりゃそうだ。下校途中に命を狙われ。
死を覚悟した途端に見知らぬ人間が加勢。
見たことの無い闘いを目の前で繰り広げられ。

加えてエレメントなどと言う得体の知れないものを返せと強要された。

勿論自分達にはそんなものの存在は知っているわけもなく。

四人は思い思いの疑問を刺客に尋ねた。



  
7: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:04:26.20 ID:2xouMJw20
  
ブーンの方では…
川;゚ -゚)「…大丈夫か?」
汗をかきながらも爽やかな顔をして手を差し伸べる女性。
真っ直ぐな黒髪に黒の革ジャン、デニムのショートスカート。
スマートな格好のわりに厳ついブーツ。ベルトがジャラジャラと付いている。
こんな服装でよくあのスピードの闘いが出来たものだと少し関心してしまう…
足も細い…胸は…うーむ、それなりか。(作者は足フェチである)
(;^ω^)「あなたは何者ですかお!?」
っとそんな悠長なこと言ってる場合ではなかった。
そうだ、そもそもこの女性は何者なのか。
一番の疑問を解決することが先なのではないのか?
川 ゚ -゚)「私は素直クールだ…」
名前はもう聞いている。
…何者なのか?それが知りたい。
( ^ω^)「…内藤…ホライゾンですお…ところで、素直クールさんh…」
川 ゚ -゚)「クーでかまわないぞ」
…制止された。



  
8: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:05:39.38 ID:2xouMJw20
  
(;;^ω^)「あっ…あう…じゃ、僕もブーンでいいですお…」
なんという重たい空気。
背中に垂れるものは間違いなく冷や汗…。
川 ゚ -゚)「すまない、聞きたいことは山ほどあると思うが着いてきてくれれば教えよう」
(;;^ω^)(知らない人に着いて行ったら悪いことされちゃうって小さいころカーチャンに言われたお…)
ブーンは高校生にもなってこんな思考を張り巡らせていた。
川 ゚ -゚)「迷いはたくさんあるだろう。だが一つ言えることは私は君…いや、ブーンの味方だ。それに私も話さなければいけないことがある」
ブーンはここでようやく決意した。
味方であるという発言は一見嘘臭いが彼女の目ははっきりと自分を見つめている。
その瞳に嘘は無いと思えた。
( ^ω^)「着いて…行きますお…」
( ^ω^)(なんだかカーチャンの目と似てたお…)
川 ゚ -゚)「そうか…ありがとう。その前に君…すまないブーンと私の仲間と合流しなければなr…」
(;;^ω^)「つっツンにも何かあったのかお!!!???」
ブーンは焦った。自分以外にも襲われた人がいたことに。
川;゚ -゚)「あ、焦るな。おそらく退却したところから見てブーンのお友達も無事のはずだ」
(;^ω^)「…ならいいんだお…でも心配だお…」
川 ゚ -゚)「日が暮れてきた。少し急ぐぞ」
クーはそう言うと小走りに歩き出した



  
9: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:06:43.84 ID:2xouMJw20
  
川 ゚ -゚)「こちらクー、目標の保護完了。これより合流する。場所は四人が別れた交差点に集合だ」
無線機らしきものに顔を近づけ話すクー。おそらくさっき言っていた仲間だろうか。

『了解した。これより移動する(モナ)』

なんだか変な喋り方をする男の声が混じっている。
とりあえず仲間は無事らしいことを確認できて安心した。


一方こちらはツン。
ξ;゚听)ξ「あなたは誰!!??」
しぃと言う女の子は槍を布に巻いて収納している最中だった。
背は低くて、ちょっと茶髪混じりのショートカット。
白のスカーフを巻き、淡い水色のワンピースにサンダル。
見た目は今風の可愛い女の子なのだが手に持つ槍がその空気を歪ませている。
(*゚ー゚)「あ、ごめん。こっちに集中しちゃってて。私はしぃ。よろしく」
ξ;゚听)ξ「あ、ツンデレと言います。ツンでいいです…」
(*゚ー゚)「自己紹介ありがとう。さっそくなんだけど…話すことがあってね…」
しぃと言う女の子は少しおっとりとしているが礼儀正しいその性格には好印象だった。
何よりも今、話すこととは何なのかが気になる。



  
10: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:07:58.43 ID:2xouMJw20
  
ξ゚听)ξ「それで、お話って一体…」
(*゚ー゚)「それなんだけど、ここだとこれから話すことは理解し難いかもしれないわ
         だからここから移動したいんだけど着いてきてくれるかな?」
少し考えるツン。そりゃそうだ、今知り合ったばかりの女性に着いて行くには抵抗がある。
(*゚ー゚)「…信用してくれていいのよ。私は味方だから」
ξ゚听)ξ「い…行きます」
なんだか信用できる人だと思った。礼儀正しいところがなんとなく親しみ易く感じたから。
(*゚ー゚)「うん。じゃ、行こっか」
ξ゚听)ξ「はい!」

『…交差点に集合だ』
突如彼女の腰から出る音声。
(*゚ー゚)「他もなんとかなったみたいね…了解した、これより移動する」
ξ;゚听)ξ「他ってなんですか?まさか…ブーンも…!?」
(*゚ー゚)「安心して、今の通信はブーンの保護に回った人。つまり彼は無事よ」
ξ゚听)ξ「…よかった…ブーンも無事なんだ…」
(*゚ー゚)「そのブーン君って子に…惚れてるの?」
ξ///)ξ「…違います!!」
(*゚ー゚)「赤くなってるわよ。ツンちゃん」
ξ///)ξ「そんなんじゃないんですっ!!!」
なんであんな男のこと心配して赤くなってるんだろ…とツンは恥ずかしくなってしまった。
(*゚ー゚)(きっと好きなんだろうな。…私もギコ君のこと…って今は関係ない…か)

二人は移動し始める。辺りは夕闇に包まれ空は赤く染まっていた。



  
11: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:09:19.85 ID:2xouMJw20
  
こちらはドクオ。
(;´∀`)「随分派手にやってくれたモナね…ところで大丈夫かモナ?」
(;゚A゚)「あ…あなたは…何者です…か?」
ドクオの目の前には…一振りで人間の頭蓋骨を砕いてしまうような…
大きな…大きな金槌が…男の腕からぶら下がっている。
(;゚A゚)「あ…あ…あ…」
ドクオは完全に怖気づいていた。地面と尻が完全にくっついて固定されている。
( ´∀`)「怪しい者じゃないモナ…大丈夫モナ?」
男はゆっくりとドクオの前に歩いてきた。そして手を差し出す。
(゚A゚)「うあああああああああ!!!!!!!殺さないでくれええええええ!!!!!!!!!!」
ドクオは耐え切れずに発狂してしまった。
(;´∀`)「おっ落ち着くモナ!!僕は敵じゃないモナ!!」
必死になだめようとするモナーだったが、ドクオは相変わらず叫んでいる。
(゚A゚)「悪霊退散!!悪霊退散!!!妖怪、あやかし困ったー時はーアッーーー!!!!」
どこかで聞いたことのある歌を歌いながらドクオは震えていた。
(;´∀`)「落ち着いてくれモナ!!僕はさっきのやつと違うモナ!!」
モナーは説得を続けた。



  
12: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:10:25.84 ID:2xouMJw20
  
…だがドクオは…

(゚A゚)「ドーマンセーマンドーマンセーマン!!!アッーーーーーー!!!!!」
相変わらず歌いながら発狂している。
ついでに右手を前後に振っている。

モナーもさすがに焦らしをきたしたのか…
(゚A゚)「すぐに呼びましょ!陰陽師いぃぃぃ!!!!」
(#´∀`)「徹子おぉぉぉぉ!!!!!」
ゴツンという鈍い音。モナーはドクオの首筋に手刀を入れてしまった。

(゚A゚)「あ…ぁ…徹子…」
ドクオはやがて気絶した。

( ´∀`)「了解した、これより移動するモナ」
そして一人無線機を取り出し応答するモナー。
(;´∀`)「さて、連れて行くモナ」
時折ピクピクと動くドクオを担ぎモナーは歩き出した。
(;´∀`)(世話のやけるやつだモナ…)
軽々とドクオを担ぎながら歩く後ろ姿には哀愁が漂っていた。



  
15: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:13:20.41 ID:2xouMJw20
  
一方こちらはショボン。


(;´・ω・`)「あなたは何者ですか!?」
目の前には大汗を流しながらさっき火を噴いた銃剣をばらしてアタッシュケースに詰め込んでいる男が一人。
顎から滴り落ちる汗。大きく開いた胸のシャツからは厚い胸板を覗かせている。
(´・ω・`)(…いい…男…)
ショボンは今の状況を理解することよりも男の体に釘付けであった。
その顔には思わず笑みがこぼれている。
そんな視線にも気づない男は丁度アタッシュケースに銃剣を詰め終えた。
 _
( ゚∀゚)「おっ大丈夫か?っとまず自己紹介から始めるか。ジョルジュ長岡だ」
ジョルジュと名乗った男は太く筋肉の付いた腕をアタッシュケースを肩紐で担ぎ近づいてきた。
手が届くところまで近づいてきたジョルジュの差し出した手を繁々と眺めたショボンは
(´・ω・`)「ショボンです。よろしくお願いします…」
握手をする。
(´・ω・`)(この腕…胸板…引き締まった体…素晴らしい…)
随分と長い握手に不安を覚えたジョルジュは少々無理やりに手を解いた。
 _
(;゚∀゚)「よろしく。とっとにかく、話したいことがいくつかあるんだが着いてきてくれるか?」
 _
( ゚∀゚)(こ…こいつは少し危険な臭いがするぜ…)
(´・ω・`)「少し抵抗はありますが助けてもらった恩もありますので行きます…
      それに僕も知りたいことがありますから…ね」
ジョルジュは最後の言葉に身の危険と寒気を感じた。



  
17: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:15:47.00 ID:2xouMJw20
  
(;;゚∀゚)「た…助かるよ。じゃ着いてきてもらおうか…」
 _
( ゚∀゚)『了解した。これより移動開始するわ』 
ジョルジュは無線越しにそういうとそそくさと足を進めた。
(´・ω・`)(…この後姿…なんといういい男…バックでめちゃくちゃにしてやりたい…)
ジョルジュは再び寒気を感じた。



  
18: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:16:49.60 ID:2xouMJw20
  
交差点で足を止めるクー。ブーンも同じようにそこで止まる。
川 ゚ -゚)「あれから全員から連絡があった、おそらくは皆無事だ」
それを聞いて安心したブーンはその場に座り込んでしまった。
( ´ω`)「…よかったお…みんな無事なんだおね…」
クーは電柱に背中をもたれ俯いている。
ブーンはここでクーの荷物に目が行く。大きなボストンバッグに奇妙な棒が刺さっている。
( ^ω^)「クーさ…じゃなくてクー、その荷物はなんなんですお?」
それを聞いたクーは顔を上げる。…目つきが違う。気迫を感じる強い眼差しブーンは気迫に押され小さくなってしまった。
川 ゚ -゚)「中身を知りたいか?」
ブーンはそれを聞いて迷った。あの気迫はきっと何か重要なものが入っているのを示している…と。
(;^ω^)「…いや、あのなんか大荷物だなぁと…」
川 ゚ -゚)「いずれこの後君には見せるものだ。今は仲間の合流を優先しよう」
クーの言葉に正直驚いた。自分に関係のあるものだとは思いもしなかったからだ。
(;^ω^)「僕にも関係あるのかお…」
川 ゚ -゚)「ああ。少し話すと長くなるかもしれないから今は控えさs」
 _
( ゚∀゚)「到着〜っと!待たせたな」
(´・ω・`)「ブーン!!!」
二人が合流した。一人はショボン。もう一人は…誰?
( ^ω^)「ショボン!!それから…えっと」
 _
( ゚∀゚)川 ゚ -゚)「ジョルジュだ」
二人がほぼ同時に答えた。



  
21: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:18:55.11 ID:2xouMJw20
  
(;^ω^)「よ、よろしくですお…」
あまりの息の合い方に戸惑いながらもとりあえず挨拶を交わす。
(´・ω・`)「他の二人のことが気になるところですね」
 _
( ゚∀゚)「心配はないだろう。もうすぐここに来るはずだ」
( ^ω^)「…ツン…」
ブーンは咄嗟に呟いてしまった。
川 ゚ -゚)「…よっぽど好きなんだな。ツンと言う子が」
ブーンは不意を突かれた。
(;^ω^)「いや…好きとかそうじゃなk」
…突如響く重い音
ξ#゚听)ξ「ブーン?あんた何ほざいてるかわかってる?」
ツンの拳がブーンの後頭部にヒットしている。
( ;ω;)「…あうあう…ツン酷いお…心配してたんだお…」
ブーンは泣き虫だ。前からずっとそうだったが。
ξ゚听)ξ「泣かないの…心配してくれてありがとうね」
ブーンの泣き顔を見るとツンは控えめな態度に変わる。
( ^ω^)「おっ…ツン優しいお!!」
そしてそれを知っているブーン。泣き止むのも早い。というより今回は早すぎた。
…今度はさらに鈍い音。
(メ#゚ω;)「ツンごめんなさいだお…」
ξ#゚听)ξ「心配して損したわこのピザ!!」
ツンは再び拳をあげるが…止められた。
(*゚ー゚)「そこまでにしときなさい。ツンのこと心配してたんだからさ。
   そうだよね?ブーン君?あ、私はしぃ。よろしくね」
ξ゚听)ξ「あ…う、ごめんね。ブーン…」



  
22: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:20:29.29 ID:2xouMJw20
  
( ´∀`)「おいおい、ここはリングじゃないモナ」
一人の男が現れた。
ξ#゚听)ξ「…なによー」
ツンは怒っているようだ。
そして男の背中にはドクオ…?らしき人が担がれている。
(゚A゚)「・・・・・」
(´・ω・`)「これはドクオですか?」
( ´∀`)「いいえ、これはトムです」
こんなときに冗談を述べられるのはショボンくらいだろう。
( ´∀`)「おっと、違う。一応こいつはドクオだモナ。
  ちょっとショック状態みたいだモナ…それから僕はモナーといいますモナ」
特徴的な語尾の声の主は彼だったようだ。
川 ゚ -゚)「これで全員揃ったな。さっそくだがこれから移動しなければならない。
    話は多少聞いているかも知れないがここで統一しよう。簡潔に話す」
…ドクオのことはいいのか?
冷静なクーは胸ポケットからカードを取り出した。
よく見るとIDカードのようだった。
川 ゚ -゚)「我々は国連エント保護開発協会VIP支部の者だ。この協会のことに関してはまた後で話す。
     国連ということから分かるように、けして怪しいものではない」
 _
( ゚∀゚)「同じくジョルジュ」
( ´∀`)「同じくモナー」
(*゚ー゚)「同じくしぃ」
クーに続いて三人もカードを取り出す。
(´・ω・`)「国連…また偉い人と出くわしたものですな」
ショボン以外は国連の人に会っていることに驚き唖然としている。
川 ゚ -゚)「車を手配してある。とりあえず着いてきて欲しい」



  
23: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:21:57.76 ID:2xouMJw20
  
ここで遅れましたがこの世界について解説させていただきます。
ブーン達がいる国は「ニチャル共和国」と言います。今日は1967年3月6日
首都はVIP。ブーン達も首都VIPに住んでいます。この国は人口5億人を抱える中堅国で常任理事国です。
国連に関しては追って説明いたします。


川 ゚ -゚)「迎えを頼む。ああ、保護した。では早急にな」
クーは今度は携帯で話している。
電話の後すぐに車がやってきた。黒いアストロ。8人も居るのだからこれくらいの車でないと乗せきれないか。
…少し狭いが。
川 ゚ -゚)「君達、すまないが目隠しをしてもらう。この協会は世間一般には知られていない。
     機密事項であることをまず理解してもらいたい」
ブーン達は逆らうことなく従った。
(´ ω `)「ふふ…目隠しプレイ…」
ブーンの隣で誰かが呟いたがブーンは疲れたかぐったりしていた。

どれほど時間が経っただろうか?もう周りは暗くなっているだろう。さっきの闘いですでに空は夕闇に染まっていたから。
おそらく高速を通っている。振動が少ない。

車内の沈黙を破ったのはクーだった。
川 ゚ -゚)「君達はエレメントというものを知らないだろう?」
…突然の質問に少し戸惑うが四人それぞれが知らないと答えた。
知らぬ間にドクオも目覚めたようだ。

川 ゚ -゚)「そうだろう。ニチャル政府の教育方針の影響でエレメントの存在は現代では知られていない。
     …ましてそれを知ろうとすれば罰せられるからだ」



  
24: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:23:52.69 ID:2xouMJw20
  
クーの発言に皆が耳を傾ける。クーは続けた。
川 ゚ -゚)「まだ少し時間がかかる。退屈だろうしエレメントについて説明しようか…
・エレメント
太古より宇宙の四大元素として伝えられた火・水・地・風
これらをある程度操作できる人々が居てね。
始まりはわかっていないが、おそらく紀元前から存在していたと思われる。
裏づけとして昔の文明の史記にエレメントの力を示す一説が書かれていた。
おそらく古代の文明人にはこの能力が大きな文明進歩に繋がっていただろう。
加えてその能力を持つ人々をエントと呼ぶ。エントは古代から国家権力を握る重大な存在だった。
いわゆるエント王政という国家が多く点在していたんだ。当然、一般市民はそれに従うしかなかった。
…だがそれも長続きしなかった。時代が進むと共に科学力は急速に発展した。
エントの力以上に…だ。それにより反乱が起きたんだ。
当初の小さな反乱はエントにより鎮められたよ。国内の紛争が主だったからね。
だが、時代と共に敵は大きくなったんだ…そして1646年に…」
(´ ω `)「市民革命大戦」
突如ショボンが口を挟んだ。
川 ゚ -゚)「…正解だ。現代ではそう呼ばれている。
エント側の呼び名『エント大戦争』が起こった。
…勿論エントもが圧倒的に人数も少なかった。だが当時の彼らの強さも見くびってはいけない。
8年という長きに渡る戦争だった。最初は皆奮闘していたんだがね…
8年の間に科学力も進歩した。戦争というものがもたらすものは殺戮だけではない。
科学力の進歩による武器開発も順調に進んだ。そして経済発展も。
最新の兵器の破壊力は凄まじかった。特に目を張るのは重火器だ。大砲や銃。
瞬時に命を奪う兵器の前にエント勢力は成す術も無かった。



  
25: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:26:00.80 ID:2xouMJw20
  
さらには経済の発展による貿易の活発化が進んだ。
敵対市民勢力国家の貿易に参加することは出来ず。
増大する市民国家間貿易の前にエント勢力は孤立状態だった。
増える人的被害。減っていくエント勢力。経済的打撃による飢えなど。
…もう不利になっているのが目に見えていた。そして1654年…エント勢力は敗れた。
エントの力はここで止まってしまったんだ。残った僅かなエントの人々はどうなったか…分かるだろう。
待っていたのは弾圧だ。政治権力を握っていたエントの有力者のほとんどは処刑。
それ以外のエントも虐殺されたと聞く。虐殺された者の中には一般人も巻き添えになっていたらしい。
それまでは尊敬されていたエントも転落。弾圧を受けたエントは隠居生活を余儀なくされた。
また、エント王政国家から市民政治国家に変わった国は再建。
それまで対立していた国も同じ市民国家として同調する。
だが差別思想は根強く、負け組みの旧エント国家は国際的に下位に位置した。
例にあげるならナーダ連邦…旧ナーダ王国だろう。
最後まで大戦に参加したエント勢力であったこの国は多額の賠償金と人的被害。
経済は急速に衰えた。エント潰しによる国内紛争。
市民国家といえどもまだそのシステムは働いていなかった。
今となっては想像もつかないと思うがこのニチャルもエント勢力の一つだった。
ただニチャルは大戦前に市民国家になったことから復興が早かったがね。
この過去を恥じた政府はエントについての教育事項をニチャル教育法の制定後取りやめている。
前述したように大戦後も長く続いた差別、弾圧、紛争を重く見たラウン合衆国は1821年に国連設立を創案した。
これを受けた各国家は大多数が賛成。晴れて国連が設立されることになったんだ。
だがこれで差別思想が留まるわけもなく、国連はエントの保護を訴えた。
それに触発されエント保護法が可決された。
ただ保護といっても人的権力は一般市民よりも下に格付けされたが。
それと同時に公表はされていないが国際エント協会というものが設立された。
エントの保護と監査を義務とする団体で、差別思想が渦巻く当時に公表するのは不適切とされた。
その活動はほとんどが隠されている。現在でも同じだ。



  
27: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:27:31.95 ID:2xouMJw20
  
そして私達もその中でニチャル共和国のVIP支部を担当している。
配属されたというより保護された形でここに入っているが。
…私の家系も弾圧を受けたようだ。叔父が保護されてから私にいたるまで全員がここみ所属している。
ここにいる他の四人も似たような境遇でここに所属しているからな。
さて、粗方説明は終わったがなんとなく分かってくれただろうか?」
クーがあまりに冷静かつ淡々と話しているのでブーンたちは口を挟めなかった。
ここでクーから再び話を振られると答えに苦しむ。
(  ω )「…あの…それで…僕はそれにどう関係しているんですお?」
ブーンが珍しく先陣を切って話した。
川 ゚ -゚)「うむ、それは君達が今一番気になることかもしれない。だがこの後また話そう。もう着くからな」
クーはそう言うと黙り込んでしまった。
気づいてみれば先ほどまでは静かに感じられた車内も公道に出たためか小うるさく感じられた。

話終えてから10分ほどが経っただろうか。
車がここで停車したようだ。



  
28 名前: 魔法少女(千葉県) [>>26すまんorz] 投稿日: 2007/03/13(火) 03:28:58.17 ID:2xouMJw20
  
川 ゚ -゚)「車庫に入ったから目隠しを外していいぞ」
その言葉を聞いてブーンたちは目隠しを外す。
( ^ω^)「ぷは…」
(´・ω・`)「結局なんも出来なかったや」
ξ゚听)ξ「結構遠かったわね」
('A`)「記憶がごちゃごちゃだからよくワカンネ」
四人は思い思いの気持ちを口に出す。地下駐車場だろうか。声がエコーがかって響く。
川 ゚ -゚)「こっちだ」
クーが呼んでいる。他の三人は先に歩いていた。その先にはエレベーターのような扉が見える。
四人はクーたちを追いかける形で後ろに着いていく。
エレベーターの前に全員が集まる。
(*゚ー゚)「なんだか久しぶり」
 _
( ゚∀゚)「っても2日ぶりだろ」
そんなことを話しているうちにエレベーターの扉が開く。
全員が乗り込むとクーがさっきのカードをボタンの脇に入れた。
『認証しました』
機械的な声を放ったと同時にエレベーターは上昇する。
ふっと足が取られそうになるがブーンは我慢した。
よく見ると気づいたがこのエレベーターは17階まであるようだ。
点灯しているのは15階。
(´・ω・`)「…これからどこへ?」
沈黙を破ったのはまたショボン。
川 ゚ -゚)「…支部の管理部だ」
クーはあっさりと答えたがこれから何があるのかは分からない。



  
29: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:30:31.71 ID:2xouMJw20
  
ξ゚听)ξ「もう8時じゃない…帰ったら叱られちゃうよー…」
ツンの発言で今の時刻をやっと知った。どうやら計算するとここは首都VIPの郊外に位置しているようだ。
( ´∀`)「着くモナ」
『15階です』
先ほどの機械的な音声と共にエレベーターの速度が落ち停まった。
扉が開くと目の前には長い廊下が走っていた。それに加え広く天井も高い。
( ^ω^)「広いところだお…」
 _
( ゚∀゚)「じゃ、行くか。こっちだ」
ジョルジュを先頭に皆が歩き出す。
…30mは歩いたところの突き当たりに比較的大きなドアがあった。
 _
( ゚∀゚)「入るぞ」
ジョルジュがカードをドアの横にある端末に差し込むと緑色のランプが点灯した。
ガチャという鍵の開錠する音の後、ドアが開かれた。



  
30: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:33:14.03 ID:2xouMJw20
  
…会議室のような長机に壁にはたくさんのモニター。
薄暗く、少し気味が悪い。
(´・ω・`)「なんだかすごいね」
ショボンが呟くと奥で人影が動いた。
(  )「きたみたいだね…」
女性のような男のような中性的に聞こえる声。
川 ゚ -゚)「…はい。…あの…明かり点けてもらってもいいですか?」
クーが答えた後、パチンというスイッチを点ける音。
次第に明るくなる室内。
('、`*川「…あんま明かるいの好きじゃないんだけどさ」
女性だった。比較的若い。
(*゚ー゚)「体に良くないですよ。支部長」
支部長ということはこの人がここのトップということか。
('、`*川「わかっちゃいるんだけど落ち着かなくてさ」
川 ゚ -゚)「それはそうと…彼らに話をしたほうがいいのでは?…支部長」
クーが言うと女性はこちらに歩いてくる。
('、`*川「あ、自己紹介からだね…私が国際エント協会VIP支部の支部長、ペニサス伊藤です」
ペニサスと名乗った女性はゆっくりとした口調で話した。
( ^ω^)「内藤ホライゾンですお…ブーンとでも呼んでくださいお」
ξ゚听)ξ「つ、ツンデレと申します。ツンでいいです」
(´・ω・`)「ショボンです。よろしくお願いします」
('A`)「ドクオといいます。よろしくです」
四人もそれに応え自己紹介をする。



  
31: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:34:58.56 ID:2xouMJw20
  
川 ゚ -゚)「では…支部長、あとは任せてよろしいですか?」
('、`*川「あ、クー君だけ残ってくれるかな。私だけだと説明に自信ないから」
国連の人はもっとお固い印象だったがこの人は少し違う気がする。
川 ゚ -゚)「分かりました」
 _
( ゚∀゚)「じゃ、俺らは下に行ってるよ」
ジョルジュの言葉の後で残りの三人はぞろぞろと出て行った。
その間にブーンたちは机の椅子に案内され座った。

しばしの沈黙。
('、`*川「それじゃ、話始めるね」
それを緩やかに破ったのはペニサスだ。
('、`*川「まず、ここに来たからには分かると思うけど…君達はれっきとしたエントよ」
その言葉にブーン達四人はやっぱりといったような反応をした。
('、`*川「うん。みんなやっぱりって反応だね」
ペニサスは続けた。
('、`*川「まず、君達が今日襲われた件についてからかな。
彼らはこの協会の本部側の人間よ。
…本部と言っても、今は派閥によって二つに分かれているけれど。
この協会の本部は今クラント市国ってとこにあるわ。
ここはクーから聞かされたと思うけど大戦後もエント国家として機能している国なの。
きっと弾圧のことに関して疑問を持つかもしれないけど、市国って名前の通りこの国は小さいの。
だいたいVIPドーム10個分ってくらいかしら。どれだけ小さいかわかるよね。
それに加えこの国にはクラント教って宗教の聖地としての役割もある。
クラント教は言わなくても分かるわよね。世界的に教徒の多い宗教だから。
そういう意味もあってこの国は今も続いてる。
えっと…保護法とかのことはもう聞いてるかな?」



  
32: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:37:01.92 ID:2xouMJw20
  
川 ゚ -゚)「粗方話しました。どうぞ続けてください」
('、`*川「ありがとう、クー。それじゃ続けるね。
保護法の制定と共に設立されたこの協会の役割ってのは…
…あー、そうそうエントの保護と監査が大半なんだけど。
最近、資源不足ってよく聞くよね。そこで今エレメントの活躍が期待されてるの。
Element Energy計画って言うんだけど。略してEE(ダブルイー)計画。
エレメントの操る力を用いてクリーンかつ無害なエネルギーを得ようって計画。
その案に対して意見が分かれて派閥争いが起こってしまったの。
本部が設立されるずっと前からクラント市国には同じ分野で研究を進めていた部署があってね。
Cross Star。略してCSってクラント教団が作ったものなんだけど。
ここが研究していたものが計画の方針と共通していた部分があった。
当然研究歴の長いCS側は技術的に協会の計画担当よりも進んでた。
だから技術提携を持ちかけたんだよ。…でもあっちは反対した。
過去に弾圧を受けた我が民族が力を貸すことは出来ない…とね。
確かに正しい意見だと私も思った。私もエントだから。
…ここから派閥が生まれてしまった。
実は協会の中にはCSと掛け持ちで所属している人も多くてね。
エント国家であるクラント市国のエントが協会の人材の比率の半分を占めていたから。
CS支持派と協会支持派の二派。
CS支持派の意見は今すごいことになってるわ。



  
33: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:39:00.11 ID:2xouMJw20
  
技術提携に条件として…
今の保護法の改定。しかも内容は一般市民以上の権力をエントに認めること。
国連構造の再構築。それもエントが有利になるようにする内容で。
これは市民国家の思想に反するとして今は議会で交渉中。
一方協会派はCS派を意地でも抑えようとしてる。
そりゃ市民国家全体を敵にするようなことだから。
でもクラント市国にはクラント教って壁があった。
世界中に散らばる教徒が団結すればとんでもない数になるもの。
だから協会側も迂闊に手を出せない状況になってる。
この派閥競争の中で最近CS側の動きが不審なのよ。
保護法によって各地に設置された協会支部。
これらの役割は設置された国内のエント保護が義務。
でもCS側が最近国外のエントを保護…悪く言えば拉致している。
今回君達が受けたのもこれの一つかしら。
…加えて話すけど、エレメントってのは人体の中に寄生する形で存在するの。
それが神経系に作用したり、他にも説明するのが困難な作用が働いてエレメントの力を発揮するわ。
…あっと、君達が命まで狙われた理由も話すわね。
それはCS側がエレメントのみを摘出する技術を得たことを示していると私達は予想してる。
…今日襲った彼らもCS派の人間だしね。
昨今ではエントが変死体で見つかったこともあって予想が当たってることも十分考えられる。
ちなみにエレメントは寄生する形で云々と先ほど言ったけど、エレメントは寄生体が無ければ機能しなくなるの。
エレメント本体が発するエネルギーは原子力にも匹敵するらしいわ。



  
34: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:40:59.24 ID:2xouMJw20
  
ただそれを抑えるのが人間。もし全快でエネルギーを放出した場合は寄生体が持たないの。
つまり人体に寄生していなければエレメントは機能しない。
またエレメント本来のエネルギーは人体に寄生することによって抑制される。
つまり手出しの難しい存在であることは分かるはずよ。
でもCSがそれを摘出する技術を開発したとすればまずいことになるわ…
それをただの資源として活用するとは考えられないから…」
(´・ω・`)「原爆以上の兵器でしょうか」
再びショボンが口にした。鋭い考えだと思う。
大戦中にもいくつか使われたと聞く。その被害は桁違いだったという。
('、`*川「うん、ショボン君の言う考えを私達も恐れてる。
それにCSの人たちはエント…市民国家に怨みを持ってる。
当然制裁の報復攻撃と称してエレメントの兵器を用いることも考えられる。
…それを今恐れて各国の協会支部の協会派がエントを早急に保護してる。
にしても…偶然って怖いわね。まさか君達が友達だったなんて…」
ペニサスは少し話し疲れたようだ。椅子を倒して伸びをしている。



  
35: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:42:58.46 ID:2xouMJw20
  
( ^ω^)「…でも、それが原因でこの四人の中で誰かが殺されるなら…
僕は嫌ですお…みんな仲良くやってきた親友ですお…一人でも欠けるのは嫌ですお…
ならあの時みんなで一緒に死んでしまってもよかったかもしれませんお…」
ブーンは静かに話す。その言葉に皆は衝撃を受けた。
ξ;゚听)ξ「何言ってんのよ!!死ぬだなんて簡単に…」
(;'A`)「そうだよ!俺だってまだ生きたいよ!!」
(´・ω・`)「…みんな、待って。ブーンの発言にも一理ある。
もしこの中で僕だけがエントであの時死んでしまったら…どう思う?
僕は一人逝かなきゃいけない。そんなの嫌だよ…」
( ^ω^)「ショボン…」
ショボンの目が微かに潤み始めていた。
(´;ω;`)「今まで楽しくやってきたみんなと…離れたくないんだ!!!」
ブーン達がショボンの泣き顔を見たのは小学生以来だった。
ツンやドクオは俯いている。
( ^ω^)「……少し話が大きかったかもしれないお…みんな顔上げるお」
それを聞いて皆が顔を上げペニサスの話を待った。
('、`*川「みんな…いい友達持ったわね」
川 ゚ -゚)「…私もそう思うぞ、ブーンにツン、ドクオにショボン」
それを聞いて皆の顔が少し明るくなった。



  
36: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:44:58.09 ID:2xouMJw20
  
('、`*川「それで…今後のことなんだけど…」
またペニサスが話し出した。
ξ゚听)ξ「保護イコール所属…とクーさんから聞いてます」
('、`*川「物分りがいいのね…実質そうなるわ。父兄の方にも話を付けなきゃいけない。
…今日はみんな自宅まで送るから…話付けてきて欲しいの。
多分このままの生活ではあなた達だけでなく周囲にも影響するから。
期限は二日でいいかしら。三日後に迎えを出すわ」
それを聞いたブーン達は戸惑いを隠せない。
だがこのままの生活は不可能であることを知り、決意するほかなかった。
( ^ω^)「…分かりましたお」
ξ゚听)ξ「…はい」
('A`)「…ああ」
(´・ω・`)「あの…」
ショボンだけ質問で返した。
('、`*川「何?ショボン君?」
(´・ω・`)「この二日の間に今日のような襲撃が発生することはありえますか?」
('、`*川「あり得なくもない。けど可能性は低いと思います。
  今日私達が保護する意思表示を彼らに向けたから手出しはしないと思う」
ショボンはいつも用心深い。こういったことも考慮するのはショボンならではだ。



  
37: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:46:57.88 ID:2xouMJw20
  
ξ゚听)ξ「なら外出も基本的には安心ということで?」
('、`*川「帰りに君達に携帯を貸すわ。緊急連絡用の。
何か不振なことがあれば連絡してちょうだい」
('A`)「…では三日後までに話をつけてくればいいんですね…」
川 ゚ -゚)「そうだ。もう夜も遅い。とりあえず君達を送ろう」
クーの言葉で皆が席を立った。
皆の顔には不安の一文字しか映っていない。
( ^ω^)「…ありがとうございましたお…」
ブーンの挨拶の後に三人も挨拶をし、エレベーターに向かう。

それからの送りの車内での会話は皆無だった。

みんな不安なのだ。殺されるかもしれないという恐怖。
これからは自分の家に居られないという寂しさ。
それらが頭の中を駆け巡るだけ。

車内の沈黙がそれを示している。

( ^ω^)「…ありがとうございましたお…」
クーが手を振りながら車を出した。
小さくなる車。闇に輝く赤いバックライト。
それを見届けたブーンは見慣れた我が家に吸い込まれていくように入った。



  
38: 魔法少女(千葉県) :2007/03/13(火) 03:48:41.51 ID:2xouMJw20
  
『ただいまだお…』
『遅い!何やってたの!!心配したじゃない!!』

こんな温かい声を聞けるのは今だけなのだろうか…


夜は更けていく。


( ・∀・)「とんだ邪魔が入ったな…」
(*゚∀゚)「…しばらくは他のエント殺って暇潰そうよ〜」
( ´ー`)「体がなまっちゃうもんよー」
(-_-)「…また…いっぱい殺せるんだね…」

怪しげで不気味な四人の会話がどこかの倉庫で響いていた。



3話 −真実− 完



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