(^ω^)が三国志の世界へ迷い込んだようです

  
24: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 22:29:22.52 ID:YuLC5JKC0
  
第3部「飛将、天へ」

劉備たち一行は一時的に陶謙という君主が治めている「徐州」という国で過ごすこととなった。

陶謙「では、警護の件はよろしく頼む」

劉備「了解しました。私たちに、お任せください」

陶謙は劉備たちを迎え入れる代わりに、国土を攻めてくる曹操軍への戦力として、
戦線へ加わることを条件とした。
ただし、あくまで「守備隊」というだけだ。
陶謙は戦があまり好きではないからである。
こちら側から攻めることは、かたく禁じられた。

( ^ω^)「陶謙さんはいい人だお」

劉備「そうだね。けどこのままじゃあいけないよ。
   ずっとここにいるわけにもいかないし」

張飛「いい加減、旅するのは疲れたからな。
   ここらでしばらくお世話になろうじゃないの」



  
25: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 22:31:23.90 ID:YuLC5JKC0
  
関羽「ああ。
   しかし曹操軍も勢力を伸ばしてきたな。
   いまや大陸で最も大きい戦力か」

周倉「体は小さいが、器は大きい。
   なるべくしてそうなったのかも知れないな」

徐庶「ですね。
   けど、彼らのしてきた事は間違ってると思いますよ」

劉備「同盟締結、そして裏切り、奇襲・・・・・
   悪事と名のつくことはやりつくしてるんじゃないかい?」

( ^ω^)「曹操がこの大陸を支配するなんて許せないお。
       劉姉がこの大陸を治めるにふさわしいんだお」

劉備「ありがとう、ブーン。
   それはそうと、あんたらそろそろ見回りの時間じゃないのかい?」

周倉「?ああ、忘れていたな。
   行こうか、ブーン」

( ^ω^)「わかったお。
       本当はこの天気の中、見回りなんてしたくないけどしょうがないお」

徐庶「雨具はちゃんと持っていってくださいね。
   寒いし、雨はすごいし、風もすごいので」

( ^ω^)「風邪ひきたくないから、厚着で行くお」



  
26: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 22:35:16.98 ID:YuLC5JKC0
  
そういうと、周倉とブーンは外へ出て行った。
天気は大荒れである。
このところ気候は安定していたのに、不自然な天気だ。
暴風雨、寒波、豪雨・・・・・
とにかく、荒れに荒れている。
まるで、何かの前兆のように。




周倉「しかしすごい雨だな!
   こんな雨、体感したことがない!!」

周倉は馬の上で叫んだ。
風がびゅんびゅんと吹くので、普通の声では聞こえない。
ブーンに聞こえるように大きな声で叫ばなくてはいけない。

( ^ω^)「と、飛ばされそうだおー」

手綱をすごい力で握っているブーンが答えた。

周倉「何故だろうな!
   昨日まではポカポカ陽気だったのに、今日になったらこれだ!
   おかしいぞ!何か大変な前兆ではないのか、この嵐は!!」

( ^ω^)「何かくるなら、速く来て欲しいお!」

周倉「そうだな!これではその『何か』が来る前に死んでしまうかもしれん!!」



  
27: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 22:38:24.71 ID:YuLC5JKC0
  
( ^ω^)「死にたくないお!こんな天気のなか・・・・・」

ブーンがそういった時だった。

全ての風、雨、雲が一瞬にして消え去った。

周倉「な・・・・・に!?」

( ^ω^)「え・・・・・・」

あれほどの嵐が一瞬にして消え去ったのだ。
空は暗いままだが、雲ひとつない。
尋常ではないこの事態。
2人は感じ取っていた。

『何か』が来る。
とてつもない、『何か』 が。

周倉「油断するなよ、ブーン!
   どこかからはわからんが、何かが来るぞ!」

( ^ω^)「わかったお!
       たぶん空からなにか降ってくるかも知れないお!」



  
29: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 22:41:18.86 ID:YuLC5JKC0
  
周倉「その可能性も捨て切れんな!!
   何があるかわからん、剣は抜いておけ!!」

そういうと周倉は腰から剣を抜いた。

周倉「・・・・・空か。
   だとしたら、何が来るんだ!?」

( ^ω^)「隕石とか、大魔王とか、宇宙人とかだお!!」

その時だった。
一瞬、空が歪んだ。

周倉「!!空か!!
   来るぞ!!」

その歪みの中から、何かが飛び出してきた。

周倉「・・・・・何だとっ」

周倉は、目の前の光景を疑った。

( ^ω^)「まさか・・・・・」

ブーンも同じく、その光景を疑った。



  
30: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 22:44:19.08 ID:YuLC5JKC0
  
顔がある。
手がある。
足がある。

それは、人 だった。


周倉「人間だと・・・・・!?」

( ^ω^)「あ、あれは・・・・・・まさか」

周倉「わかるのか、ブーン!?」

( ^ω^)「い、いま自分の目を疑っているお。
       あれがもしそうだとしたら・・・・・」

周倉「何なんだ、一体!!」

( ^ω^)「・・・・・クーだお」



  
32: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 22:47:07.17 ID:YuLC5JKC0
  
ブーンは落ちてくるクーを地面に叩きつけられる寸前で受け止め、
2人はクーを抱えて城へ戻って行った。

クーは、落ちてゆく意識のなかで、誰かが呼んでいるのを感じた。

川 ゚ -゚)(誰・・・・・わたしを呼ぶのは・・・・・)

??「しっかりするお!今城に連れて行くお!!」

川 ゚ -゚)(なつかしい・・・・・
     聞き覚えがある、この語尾。
     何度も聞かされた、この声。
     なぜ、あなたが・・・・・)

意識がなくなる寸前に、クーはブーンの手を握った。


川 ゚ -゚)「・・・・・・・・・・」

クーは城の医務室で目覚めた。

なぜか、多数の視線を感じる。
体を起こすと、目の前にブーンたちが座っていた。



  
33: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 22:50:18.05 ID:YuLC5JKC0
  
劉備「目覚めた!!」
関羽「大丈夫か、おぬし!!」
徐庶「体の具合はどうですか!?」
周倉「なぜ空から落ちてきたのだ!!」
張飛「れ、連絡先教えてくれない!?」

劉備たちがクーに詰め寄ってきた。
その様子を、ブーンが遠めに眺めている。

川 ゚ -゚)「わたしを助けてくれたのは・・・・・ブーンか」

( ^ω^)「・・・・・」

川 ゚ -゚)「理解できないことが多すぎる。
     なぜブーンがここにいる。お前達は誰だ」

張飛「あの、連絡先・・・・・」

川 ゚ -゚)「黙っていろ。
     お前達は誰だ。ここはどこだ」

張飛「お、俺たちは泣く子も黙る・・・・・」

川 ゚ -゚)「黙っていろと言った。
     答えろ、そこの女」

クーは劉備の方を向いた。



  
34: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 22:52:23.29 ID:YuLC5JKC0
  
劉備「あたしは劉備。
   で、このヒゲが関羽。
   目が鋭いのが周倉。
   その眼鏡が徐庶。
   えーと、その・・・・・エロいのが張飛」

張飛「ちょっと姉者!それじゃ俺の印象が・・・・・」

川 ゚ -゚)「初めて会ったときからお前はエロい。
     安心しろ、今言われたことで印象は変わらない」

張飛「ちょっ、いきなりそれはないんじゃないの!
   あんたちょっと素直すぎるぜ!」

( ^ω^)「それがクー・・・・・素直クールだお」

張飛「スネオクール?」

劉備「素直クールね。確かに名前どおりだけど・・・・・
   あたしらの事はこれぐらいにしておいて、あんたの事を教えてくれない?」

川 ゚ -゚)「名前は素直クールだ。呼ぶなら『クー』と呼んでくれ」

関羽「ではクー。お前は何者だ?」



  
35: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 22:56:30.70 ID:YuLC5JKC0
  
川 ゚ -゚)「わたしはAAだ」

徐庶「AA?」

川 ゚ -゚)「そう、AA。アスキーアートと呼ばれている、『文字』だ」

ブーンとクーを除く皆が首をかしげた。

川 ゚ -゚)「分からないだろうな。無理もない」

周倉「どういうことだ?俺には全く理解が・・・」
関羽「ではなぜお前はこうして『生きている』のだ?」


川 ゚ -゚)「まあ待て。順を追って話そう。
     と言っても、理解できない所はあるだろう。
     そういったところはひとまず置いて、説明しよう」

クーは一呼吸おいて、語り始めた。

川 ゚ -゚)「まず私がなぜここに来たのか、だ。
     正確には『ここに来てしまった』だが」

徐庶「ここに来るつもりはなかったと?」

川 ゚ -゚)「そうだ。
     ・・・・・私たちAAは、とある掲示板に存在していた。
     その中の『ニュー速VIP』という掲示板で、ある事件が起きたのだ」



  
36: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:04:11.03 ID:YuLC5JKC0
  
関羽「事件?」

川 ゚ -゚)「私たちAAを、一切書き込めなくなった。
     もともとAAを使う機会が多かった掲示板だから、クレームが殺到した。
     だが、どれだけ調べても書き込めなくなった原因は分からなかった。
     ブーン、お前が消えたその日のことだ」

( ^ω^)「・・・・・」

川 ゚ -゚)「その理由を、私は知りたかった。
     消えた仲間を探すために、私はニュー速VIPで過去ログやdatをあさり始めた」

川 ゚ -゚)「そこで、奇妙なスレを発見した。
     そのスレはタイトルがなく、その1にはあるアドレスが貼られていた」

劉備「アドレス・・・・・?」

川 ゚ -゚)「インターネットという私たちが住んでいる世界の、いわば外への扉だ。
     リンクとも言われる」

張飛「じゃあそのアドレスだかなんだかのせいで、アンタはここに飛ばされたのか?」

川 ゚ -゚)「そう、そのアドレスこそがこの世界へ通じる扉だったのだ。
     どういうわけか知らないが、私はこうして『人間』になっている。
     驚いた」

徐庶「なるほど・・・・・。
   ん?ということは、あなた方の他にもこの世界へ来たものはいるということになりますね」



  
37: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:07:17.47 ID:YuLC5JKC0
  
川 ゚ -゚)「ああ。私とブーンのほかに、ジョルジュや荒巻、またんきやショボン・・・・・
     どれだけ来ているか、正確な数はわからないが」

関羽「ジョルジュ?そういえば、シ水関の戦いでそう名乗ったヤツがいたな」

川 ゚ -゚)「ジョルジュに会ったのか?」

劉備「ああ。アイツはあたしらの前に敵として現れたんだ」

川 ゚ -゚)「敵、か。
     ・・・・・どうやら大変な世界に迷い込んだらしいな。
     戦争か何か、起きているのか?」

徐庶「戦争は、私たちにとって当たり前の世界です。
   あなたたちの世界は違うのですか?」

川 ゚ -゚)「戦争なんて、今の世代は体験したこともない。
     もちろん、私たちもな。
     この世界の空気に慣れるのは、大変だったろう。ブーン・・・・・」


( ^ω^)「そうだお。この世界に慣れるのは大変だったお。
       けど、この世界で過ごすうちに大切な仲間ができたお。
       大切な仲間が死んじゃった時もあったお」

徐庶「(・・・・・顔良のことか)」



  
38: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:08:41.04 ID:YuLC5JKC0
  
( ^ω^)「ニュー速VIPでは、毎日毎日バカなことをいっぱいしてたお。
       けど、戦いに勝ったあとのごはんのおいしさとか、仲間を失った悲しみなんて、感じなかったお」

川 ゚ -゚)「・・・・・」

( ^ω^)「こうやって、人間として1日1日を過ごして、ブーンはニュー速VIPのことを忘れていったお。
       クーが現れて、ふと向こうの世界を思い出したお」

( ^ω^)「・・・・・みんなに、言わなければいけない事があるお」

ブーンは椅子から立ち上がった。

( ^ω^)「もし、元の世界に帰れる方法や機会があるなら、ブーンは元の世界に帰るお」

劉備たちは驚いた。

( ^ω^)「本当は、戦ってたことで元の世界のことを忘れていたんだお。
       どうやって帰るかとかよりも、どうやったらもっと強くなって、
       自分が傷つかないようにするかのほうが大事だったお」

( ^ω^)「けど、クーがこの世界にきたことで、ふと思い出したんだお。
       元の世界のことを。
       だから決めたお。ブーンには帰る世界があるお。
       けど、帰れるまではここでみんなのために戦うお」



  
39: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:10:30.71 ID:YuLC5JKC0
  
川 ゚ -゚)「・・・・・それで、いいんだな」

( ^ω^)「これでいいんだお。何より、大好きな仲間のために戦えることが、ブーンはうれしいんだお」

劉備「あんたってヤツは・・・・・・なんていい子なんだよっ!!」

劉備はブーンに抱きついた。

( ^ω^)「うおっ・・・・・」

劉備「あたし、がんばるよ。
   あんたや、弟たちに胸張れるような、立派な姉貴になるからね!!」

張飛「いよおし、新しい仲間も加わったわけだし、
   ここらでいっちょ宴といくかぁっ!!」

関羽「そうだな、ブーンの決意も聞けて、仲間も加わっていい機会だ。
   さぁ、飲みに行こうぞ!!」

川 ゚ -゚)「待て」



  
40: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:12:02.39 ID:YuLC5JKC0
  
張飛「何だよ!こっちはテンション上がって・・・・・」

川 ゚ -゚)「騒ぎたいなら勝手に騒げばいい。
     私はそんなことより、今この世界の現状を知りたい」

周倉「まぁ・・・・・別世界に飛ばされて、
   その世界の住人といきなりバカ騒ぎはできんだろうな。常識的に考えて」

川 ゚ -゚)「そうだな。まずは現状把握だ。
     それに、私の今後の身の振り方も考えなければ」

( ^ω^)「身の振り方かお?戦うんじゃだめなのかお」

川 ゚ -゚)「もちろんある程度の剣術は身につけるつもりだ。
     だが、それだけではな。
     私にしかできないことが、きっとあるはず」

周倉「ブーンが足の速さをいかして、俺と組んでいるようにか?」

川 ゚ -゚)「そうだ。・・・・・といっても、現状が分からんことにはな。
     まずはここの案内を頼む」

( ^ω^)「じゃあ、ブーンが案内するお」

川 ゚ -゚)「よし。では、行ってくる」

そう言うと、2人は医務室から出て行った。



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