(^ω^)が三国志の世界へ迷い込んだようです

  
41: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:13:22.65 ID:YuLC5JKC0
  
関羽「・・・・・不思議な空気の持ち主だ」

と、ブーンたちと入れ違いに城の兵士が医務室に入ってきた。

兵士「劉備殿はおりますか?」

劉備「いるよ。どうかしたのかい?」

兵士「陶謙さまがお呼びです。至急の用事だと」

徐庶「なんでしょう・・・・・クーのことですか?」

劉備「そのことだろうね。今行くよ!」

徐庶「あ、僕も行きます」

そう言って劉備と徐庶も出て行った。

張飛「あー、姉者たちも行っちまった・・・・・」



  
42: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:14:58.08 ID:YuLC5JKC0
  
関羽「皆忙しいようだな。さて、俺たちはどうしようか」

周倉「? 関羽殿と私は兵士たちの訓練・指導を陶謙から直々に依頼されていますが」

関羽「んあ?そうだったか・・・・・忘れていた。
   じゃあ行くとするか」

張飛「・・・・・・」

周倉「あ、関羽殿。張飛は・・・・・」

ちょうひ は なかまに なりたそうに こっちを みている !

関羽「・・・・・酒なら外の食糧庫にたっぷりあるぞ」

張飛「なんでぇなんでぇ、みんな俺をのけ者にするのかよ!
   いいよいいよ、ヤケ酒かっくらってくらぁっ!!」

ちょうひ は にげだした !

関羽「んー、冗談のつもりだったんだがな」

周倉「まぁ、ああなったら止められませんからね。
   行きましょう」

そういうと、2人も医務室から出て行った。



  
43: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:16:07.02 ID:YuLC5JKC0
  
--陶謙の部屋--

陶謙の部屋の前。
劉備と徐庶は扉の前に立っていた。

劉備「陶謙どの!お呼びですか?」

扉越しに陶謙の声が返ってくる。

陶謙「おお、来たか。
   入りたまえ」

扉の鍵を開ける音がした。
扉がゆっくりと開いた。

陶謙「ま、入りたまえ」

劉備「失礼します」
徐庶「失礼します」

陶謙は徐庶の顔を見て、にんまり笑った。

陶謙「ん?徐庶くんも来たのか。
   勉強熱心なようで、よろしい」

徐庶「あ、はい。
   何かお役に立てたらと思いまして」

陶謙「ま、あまりいい話ではないのだがな。
   どうぞ、好きな椅子にかけてくれ」



  
44: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:17:22.75 ID:YuLC5JKC0
  
徐庶「・・・・・?」

陶謙「お茶はいるかね?」

劉備「あ、いただきます」

そういうと、陶謙はお茶を入れ始めた。

陶謙「最近はどこも不作でね。良質の茶葉がとれんのだよ。
   ま、こんなものしか出せなくてすまんが」

2人は陶謙からお茶を受け取った。

徐庶「?いい香り・・・・・」

劉備「ほんとだ、それに渋くなくて飲みやすい・・・・・
   これ、どこで手に入れたんです?」

陶謙「この茶葉は城の外にある農園で作っているものだ。
   わしが水やりから収穫まで1人でやっておる」

劉備「陶謙どのの人格が、味に出ていますね。
   とてもおいしいです」

陶謙「そうか、それは良かった。
   老いてくるとやることが無くてな。こんなことぐらいしか、楽しみがない」

陶謙は笑いながら言った。



  
45: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:19:05.51 ID:YuLC5JKC0
  
徐庶(優しいおじいちゃんだなぁ・・・・・
   そういえば、母上は元気にしているだろうか・・・・・)

徐庶は故郷の母のことを思い出した。


徐庶には体の弱い母親がいる。
その母に、『自分は立派な主君を見つけて、1人前の軍師になる』と言ってい
家を出た。
今はその母に、自分の少ない給料をすべて送っている。


徐庶(元気にしてるかな・・・・・母上)

うつむいている徐所の様子に劉備は気づいていたが、あえて何も聞かなかった。

劉備「・・・・・で、ご用件は?」

劉備は改めて用件を聞いた。

陶謙「――――――実はな」



  
46: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:20:49.82 ID:YuLC5JKC0
  
時同じくして、曹操軍は――――――。


曹操「ついに動いたか。で、何処へ向かっている?」

郭嘉「どうやら徐州へ向かっているらしい。もうじき着く頃だ」

曹操「そうか。・・・・・しかし何故今頃になって」

郭嘉「分からん。たった5人で何をしようとするのか・・・・・」

曹操「見ものだな。呂布たちが何をするのか、しばらくは様子見だ」


所戻って陶謙の部屋。

劉備「りょ、呂布が徐州へっ!?」

劉備たちは驚いた。

呂布といえば、天下無双の猛将だ。
虎牢関の戦いでは苦戦を強いられたが、なんとか勝つことはできた。
しかし虎牢関以降、彼の名前を聞くことはなくなった。

徐庶「彼が、なぜ徐州へ攻めてきているのです?」

徐庶は身を乗り出しながら聞いた。



  
47: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:23:24.31 ID:YuLC5JKC0
  
陶謙「わからん。ただ彼らは『攻めてきている』のではないらしい」

劉備「え?」
陶謙「人数がな。5人しかおらん」

徐庶「・・・・・えーと、呂布、貂蝉、高順、趙遼。あとは・・・・・」

劉備「・・・・・誰だっけ」

陶謙「陳宮だ。元曹操配下の軍師だった」

劉備「曹操の?しかしなぜ・・・・・」

陶謙「わからん。だからこそ、君たちに頼みたい。
   恐らく、呂布たちは今日の真夜中頃、徐州に着く。
   その時間は城の外で待機していてくれ」

劉備「了解です」

徐庶「じゃあ、皆に伝えないと。僕が先に行って伝えてきます!」

陶謙「頼もしいな。では、頼んだぞ」

徐庶「はい、おいしいお茶、ごちそうさまでしたっ!」

徐庶は一礼すると、仲間たちの下へと駆けていった。

陶謙「良い主君には良い軍師がつくものだ。なあ、劉備よ」

劉備「ええ、彼は・・・・・最高の軍師です」



  
48: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:26:06.98 ID:YuLC5JKC0
  
徐庶は城内を走り回った。
厨房でつまみ食いしていたブーンとクーに事を伝えると、次は関羽たちの下へ向かった。



関羽「呂布が!?」

周倉「何ということだ。これは一大事だな・・・・・」

徐庶「ええ、大変なことなんです!
   ・・・・・あれ?張飛さんがいないようですけど・・・・・」

関羽「翼徳なら、食糧庫に酒をとりに行ったぞ」

徐庶「ええ?お酒入ってるんですか。困ったなぁ」


その様子を遠めに見ていた兵士が、3人に話しかけてきた。

兵士「あ、あの」



  
49: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:27:17.37 ID:YuLC5JKC0
  
周倉「ん?」

徐庶「あなたは夜の見張り当番じゃないですか。
   なぜここに?」

兵士「それが・・・・・張飛殿が『俺が見張る!!』って怒りながら見張り台へ。
   お酒、入ってるようでしたけど」

それを聞いた関羽がため息をついた。

関羽「あいつは・・・・・」

周倉「徐庶、俺が行ってくる。疲れたろう?」

徐庶「お願いできますか?実はもういっぱいいっぱいで」

周倉「まかせろ。すぐに連れ戻してくる!」

そういうと周倉は張飛の下へと駆けていった。



  
50: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:30:07.67 ID:YuLC5JKC0
  
今夜は満月だ。
月の光が、地上の一切を照らしている。
その光を、酒を飲みながら浴びる男がいた。

張飛「つっきがぁ〜、でったでったぁ〜、つっきが〜あでた〜あ、
   よいよいっ!!」

それにしてもこの男、ノリノリである。

張飛「しっかしまぁ姉者も兄者も徐庶も周倉も、冷てぇよなぁ。
   新しい仲間ができたってのに、バカ騒ぎもできねぇとは!
   まったく、酒のうめぇ夜だなぁ!」

張飛は酒をガブ飲みしながらつぶやいた。

張飛「ったくよぉ、酔っちまったみてぇだ。
   あたまグラグラする・・・・・。寝よ」

張飛は横になった。ただでさえ狭い高台に、張飛が横になるともうパンパンだ。
狭苦しい高台の上で、寝苦しそうにする張飛。当然寝つきは悪い。


その時だった。
遠くから、かすかに音がした。



  
51: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:32:30.79 ID:YuLC5JKC0
  
張飛「んあ・・・・・?」

もう少しで眠れそうになっていた張飛は、その音を聞いたせいで起きてしまった。

張飛「なんだぁ?」

その音はこちらへ近づいてくる。
それもとてつもなく速い速度なのが、聞いていて分かるほどだ。

張飛「馬か?それにしても、速い馬だ・・・・・」

張飛は高台から身を乗り出して外を見渡してみた。

張飛「ん〜」

張飛の目に、一頭の馬が走っている。
馬上には男と女がいる。

張飛「?ありゃあ・・・・・」

ぐらついていた張飛の視界が、徐々に定まっていく。
やがて、張飛の目はその姿を克明に捉えた。

張飛「まさか・・・・・ありゃあ!!??」

見覚えのある顔だ。
背中にはこれまた見覚えのある戟。

張飛「な、なんてこったあ!みんなに知らせねえとっ!!」



  
52: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:34:43.46 ID:YuLC5JKC0
  
張飛は焦りながら鐘を鳴らそうとした。
しかし、視界は定まっても、頭はぐらついたままだ。
鐘に繋がっているヒモを持ったまま激しく動いたせいか、頭がくらんだ。

張飛「りょ、呂布だあーっ・・・・・と、うおおおおっ!!」

急に立ちくらみがしたため、張飛はよろけた。
そのままはしごの縁へ乗り出してしまった。

張飛「う、うわああああああ―――――っ!!!!」

かーんっ、と鐘の音が鳴るのと同時に、張飛は高台から落ちていった。


その音に呂布も気づいたが、馬の足をゆるめることはなかった。

張飛は鐘のヒモを握りながら落ちていったため、なんとか下まで落ちることは免れた。
しかし、宙ぶらりんである。



  
53: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:36:17.54 ID:YuLC5JKC0
  
張飛「うあっ!うあっ・・・・・」

間一髪で張飛は助かった。
しかし、張飛は難を逃れたが、鐘はそうではなかった。
宙ぶらりんの張飛の体重のせいで、めきめきと音を立てている。

張飛「えっ、えああっ・・・・・」

あまりの恐怖に声も出ない。
相当強く鐘が高台にくくりつけられているようだが、それでも張飛の体重を支えることはできない。
やがて、頂点のほうから折れ曲がっていった。

張飛「あああ、あああっ!」

張飛の願いは届かず、高台は頂点から崩れていった。

張飛「どあああああ―――――っ!!!!」


一難去ってまた一難、とはこのことを指すのだろう。
まっさかさまに、張飛は落ちていった。

張飛「う〜ん・・・・・」

相当強く地面に打ち付けられたのか、張飛はそのまま気絶してしまった。



  
54: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:37:59.99 ID:YuLC5JKC0
  
その直後に周倉がやってきた。

周倉「張飛!?おい、張飛っ!!どうしたんだ!!」

張飛「うう、呂布が、呂布がぁ・・・・・」

張飛は痛みに耐えながら言った。

周倉「呂布か!?呂布にやられたのかっ!!」

張飛「呂布が、呂布がぁぁ・・・・・」

周倉「わかった、わかったから泣くな!!
   立てるか!?」

張飛「む、無理・・・・・いたい・・・・・」

周倉「しょうがない、担いでいくぞ!」

そう言うと周倉は張飛を担ぎ、城へ向かって走っていった。



  
55: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:39:49.64 ID:YuLC5JKC0
  
場所は変わって城門前――――

辺りは静まり返っている。
ただ静まり返っているわけではない。
緊張と、恐怖に包まれているのだ。

その男、呂布が大地に足を下ろす。

その場にいる誰もが息をのんだ。

劉備「何しに来たんだい!?呂布っ!!」

劉備は勇気を振り絞って叫んだ。

呂布「・・・・・戦いに来たわけではない」

関羽「なに・・・・・?」

陶謙「はて、どのようなご用件かな?」

陶謙は落ち着いた様子で呂布に尋ねる。



  
56: 愛のVIP戦士 :2007/02/12(月) 23:42:19.98 ID:YuLC5JKC0
  
呂布「頼みがある」

陶謙「?」

呂布は、誰もが驚く行動をとった。

劉備「呂布が、人前で・・・・・」


土下座したのだ。天下の猛将、呂布が土下座したのだ。

呂布「一切の危害を加えないことを約束する。
   だから・・・・・頼む。貂蝉を、助けてくれ」



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