( ^ω^)ブーンが神候補から能力を受け取ったようです

3:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:16:02.57 ID:ProQXWyvO
  

ここはVIP市。

辺りには閑静な住宅街が並んでおり、特に大きな建物はない平凡な所だ。
そんな所のある夜のこと、一人の青年が家路を急いでいた。

( ^ω^)「遅くなってしまったお。早くカーチャンのハンバーグ食いたいお」

紺のブレザーを着た彼は内藤ホライズン。
友達からはブーンと呼ばれている。
VIP第三高校に通う陸上部所属の彼は、何処にでもいるような普通の高校生である。

今夜の夕飯のことのみを考えながら急ぐブーン。
毎度毎度のことなのだが今日は何かが少し違った。

ブーンの運命の歯車が少しずつ動こうとしていた。



5:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:17:47.53 ID:ProQXWyvO
  




――( ^ω^)ブーンが神候補から能力を受け取ったようです――

第一話 「チカラ」



7:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:19:15.31 ID:ProQXWyvO
  

(;^ω^)「いやぁ疲れたNE」
などと独り言を呟くブーンはいつもの通学路を通り、いつも通りに家の前まで到着した。

( ^ω^)「やっと着いたお…お? 」

ブーンは自宅のすぐ目の前に佇んでいる電柱のかげに人が隠れていることに気付いた。

(;^ω^)「…最近流行りの変質者かお…?
後ろの処女を取られる前にとっとと家に入るお」

ブーンはビクビクとしながら、こそこそと家に入ろうとした。
が、その時。

その影が姿を現した。
それは人で、灰色のスーツに身を包んでいた。

( ´∀`)「やぁ」



9:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:22:32.89 ID:ProQXWyvO
  

( ゜ω゜)「ぎゃああああああ!!!!!!!1111!1 」
( ゜ω゜)「……」
(;^ω^)「ってモナー先生でしたかお。驚かさないで下さいお」
(;´∀`)「驚かせたつもりはないモナ…」

彼はモナー。VIP第三高校の1年3組の担任。
ちなみにブーンの担任でもある。
彼は下らない話で笑いを取ったり、少しドジなとこがありつつも根はしっかりとしていて、生徒達からは信頼されている先生である。

( ^ω^)「…で、何の用ですかお? 家庭訪問は終わったはず…」
( ´∀`)「…実は君に頼みたいことがあってね。
そのために来たんだモナ」

( ^ω^)「ほうほう、じゃあここだとアレなんでどうぞ家の中に入って下さいお」
( ´∀`)「いや屋内だと都合が悪いモナ…
公園で話さないかモナ?」
( ^ω^)「うほっ」
(♯´∀`)「……」
(;^ω^)「冗談ですお」
ブーンは何故公園?と思いつつも、モナーに従い、家からさほど遠くない公園に向かった。



13:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:26:01.04 ID:ProQXWyvO
  

( ^ω^)(…腹減ったお)
( ´∀`)「急にごめんだモナ。さぁ、着いたモナよ」

VIP公園。ブランコ、砂場、滑り台を完備している。
公園の中央にはその公園のシンボルといえる大きな木が一本、堂々と立っていた。
昼間は子ども達が元気にはしゃいでいるのだがこんな時間になると誰もいない。

( ^ω^)「じゃあ早速話して下さいお。
ここまでもったいぶったんだからさぞかし凄い話ですおね?」
(;´∀`)「なんか皮肉入ってない?
…まぁいいモナ。本題に入るモナ」
( ´∀`)「ま、簡潔に言うモナ」

ブーンはどうせいつものモナー得意の下らない話だろうと思っていた。

昔、なんの用事もないのに夜中の学校に呼び出された時は怖かったなぁ…
などとブーンは彼との出来事をしみじみと思い出していた。

が、しかし次の瞬間ブーンは彼の予想GUYの言葉に驚愕する。



14:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:27:11.16 ID:ProQXWyvO
  


( ´∀`)「ブーン、僕を神様にしてくれモナ」



16:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:30:36.97 ID:ProQXWyvO
  
一瞬、空気が凍った気がした。
うん。これはあれだ。
ギャグが滑った時の空気だ。

( ^ω^)「……」
(;^ω^)「…そんな冗談を言うために連れてきたのかお?」
(;´∀`)「いやマジよマジ」

何を言っているんだこの男は?
ブーンは心底呆れた。
この歳でボケか。
不憫になぁ…と人を哀れむ目でブーンはモナーを見ていた。

(;´∀`)「何その人を見下すような目は…ならこれで信じるモナ?」
と言いモナーはスーツの胸ポケットから一本の赤ペンを取り出した。

(;^ω^)「赤ペン?」

モナーは続けて言った。



21:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:34:29.38 ID:ProQXWyvO
  

( ´∀`)「ペンを――」

( ´∀`)「槍に変える能力(チカラ)!!」

と、モナーが叫んだ瞬間、モナーが手に持っていたペンがみるみる大きくなる。

鉛色の刃が月明かりに反射し輝く。
柄はまるで炎をイメージさせる赤色。
赤ペンだったはずのそれはブーンより少し長いくらいの槍となった。

(;^ω^)「なんじゃこりゃああ!!!!! 」

ブーンは驚いた。
腹が減っているのも忘れ驚いた。
物理的にありえないだろ…常識的に考えて…。

だが実際起こっているのだから信じるしかない。
ブーンはそういう機転は利くので早くも納得した。
馬鹿って楽でいいよね。

( ´∀`)「これで少しは信じてくれたモナ?」
(;^ω^)「…」
ブーンは無言で小さくコクリと頷く。

モナーは槍を元の赤ペンに戻し胸ポケットに入れ、語り始めた。



23:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:37:07.38 ID:ProQXWyvO
  

( ´∀`)「じゃあ長くなるが聞いてくれモナ」
( ´∀`)「実は神様ももう歳でね…もう神の仕事をするのも大変らしいんだモナ。
そこで今後継ぎを探している所らしいんだモナ」
( ^ω^)「なんと。
神って大変なもんなんですかお?」
( ´∀`)「そりゃあね。
なんてったって神ですからモナ」

(;^ω^)「へ、へぇ〜」

そんなことを聞いているとブーンに一つの疑問が浮かんだ。
まぁ当たり前の疑問である。

(;^ω^)「…というか何故先生がそんなことを知ってるんですかお?」


( ´∀`)「あ、それは先生は人間じゃないからだモナ」



25:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:39:19.76 ID:ProQXWyvO
  

( ^ω^)「なーんだ。それだけのことですかお」
( ^ω^)
(^ω^)
( ゚д゚ )
( ´∀`)「こっちみんな」

(;゜ω゜)「えぇ――――!?」

ブーンはまたもや予想GUYに驚いた。
さっきまで普通に話してた人が実は人ではないと知ったら誰でも驚くであろう。
それにしてもこの男、ノリノリである。

( ´∀`)「僕は天界に住む『天界人』だモナ。
天界っていうのは神様の住む世界モナ」
( ^ω^)「なるほど…
でも…天界人同士の話なのになんで僕に頼むことがあるんだお?」

( ´∀`)「よくぞ聞いてくれたモナ。ここが一番重要モナよ」



26:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:42:35.55 ID:ProQXWyvO
  

( ´∀`)「神様が決めたんだモナ。

『将来がある高校生の中から自分のパートナーを見極め、戦わせ、最後まで残った高校生をパートナーにしていた神候補が次の神だ』

とね」

(;^ω^)「なんだって―――!!!!!」
( ´∀`)「今地上には神様から選ばれた天界人が100人来ているモナ。
自分のパートナーを探すためにモナね」
( ´∀`)「ちなみに、さっきの能力はこの戦いのために神様から頂いたモノだモナ」
( ^ω^)「その能力で戦うってことですNE」
( ´∀`)「うん。君がNE」
(;^ω^)「ちょwwww」



27:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:45:18.51 ID:ProQXWyvO
  

(;^ω^)「まだやるとは決めてないですお…」
( ´∀`)「あっ、あせらせてスマンモナ。
返事はすぐにとは言わないモナ。
神候補から能力を受け取った所でこの戦いに参加することになるモナ。
もし嫌だったらこの話はすべて忘れてくれモナ…」

(;^ω^)「う〜ん…」

突然のことで頭がこんがらがり悩むブーン。
すると一人の男が公園に入ってきた。
その男はブーンと同じ紺のブレザーを着ていた。
VIP第三高校の生徒であった。



31:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:48:18.35 ID:ProQXWyvO
  

( ´∀`)「おや、こんばんは」
|  ^o^ | 「こんばんは」
( ^ω^)「あ、ブームくん」

彼はブームくん。ブーンの同級生である。
ブーンは彼とあまり喋ったことがない。知り合い、くらいの仲だった。

( ^ω^)(何故こんな夜中に…? でもこれも何かの縁だお。
仲良き事は良き事だお!)
( ^ω^)「せっかくだから何かして遊ぶお!」
ブーンはそう言い、ブームへと近づいて行った。

するとブームは何も言わず、手からぶら下げていた通学用のカバンを開け、
中から2つの丸いものを取りだし、両手の中指に糸の輪を通した。

( ^ω^)「それは昔流行ったハイパーヨーヨー! それで遊ぶのかお?」

呑気に問うブーン。
だが返って来た答えは期待とは遥かに違うものだった。



32:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:51:04.03 ID:ProQXWyvO
  


|  ^o^ |「あなたを たおします」

(;^ω^)「!?」

ブーンはそのブームに殺気を感じ、思わず後退りしてしまった。
それと同時にブーンの後ろにいたモナーが気付いたように叫ぶ。

(;´∀`)「ブーン!そいつ能力者だモナ!!」

(;^ω^)「え!?」

|  ^o^ | 「よーよーを」

|  ^o^ | 「ちゃくらむにかえるちからです」

ブームが言った瞬間、ブームの持っているヨーヨーはチャクラムに変化した。



34:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 20:55:07.68 ID:ProQXWyvO
  

チャクラムとは、
中心に穴が空いている平たい輪の形をした刃物である。
それが両手に一つずつ。
チャクラムは糸でブームの中指とつながっており、ブームはそれを利用してチャクラムを振り回し始めた。

そしてブームはチャクラムを振り回したままブーンに向かって走ってくる。

(;^ω^)「!!」

|  ^o^ |「るーぷ・ざ・るーぷをします」

ブームは振り回したチャクラムを走ってきた勢いのまま斬りつけた。
ブーンは反応しとっさに避けた。
が、ブーンが避けた後ろにはモナーがいた。
モナーはそれを避けられる訳もなく、左足の太股の辺りを斬られてしまった。

(;´∀`)「ぎゃあっ!」
(;^ω^)「! 先生!!」

モナーの左足の傷口からは痛々しく血が流れている。
ブーンは思わず目を覆ってしまいたくなった。



39:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 21:00:47.05 ID:ProQXWyvO
  


ブームはモナーを斬りつけても全く動じず、そしていきなり喋り始めた。

|  ^o^ | 「かみのぱーとなーはぼくです。
そしてねがいをかなえるのもぼくです」

|  ^o^ | 「だから じゃまものはみんなたおします」

|  ^o^ |「つぎは はずしません」

ブームは血のついた左手のチャクラムを舐めつつ不気味に言った。

すると突然、滑り台から一人の男が滑って降りてきた。

| ^o^ |「やるじゃないかブーム」

その男はブームより背が高く、ピシッとしたスーツを着ており、シルクハットをかぶった紳士だった。

(;´∀`)「ゆうたろう…!!」
(;^ω^)「知り合いですかお…?」
(;´∀`)「…コイツも神候補だモナ」
(;^ω^)「!!」

戸惑うブーンを尻目にブームとゆうたろうは話しを始め出した。



43:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 21:03:24.21 ID:ProQXWyvO
  


|  ^o^ |「ゆうたろうさん いつのまに きていたのですか」

| ^o^ |「さっき来たばかりだ。
どうだ?調子は」

|  ^o^ |「すこぶるいいです。
ぼくはゆうたろうさんをかみにしてねがいをかなえます」

| ^o^ |「さすがブームだ。
期待しているぞ」

|  ^o^ |「それはよかった」

| ^o^ |「ほれ、差し入れだ。
私のため、お前自身のため頑張ってもらわんとなぁ」

ゆうたろうは手に持っていた缶ジュースを投げ、ブームへと渡した。
そしてブームはそれを飲む。

|  ^o^ |「コーラ おいしいです」

| ^o^ |「それは しょうゆです」



45:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 21:07:05.66 ID:ProQXWyvO
  

一方こっちはブーン達。
ブーンは必死に打開策を考えていた。

(;^ω^)(…先生を担いで逃げるかお…?
いや…でもすぐに追い付かれて…)
(;´∀`)「ブーン」
(;^ω^)「…なんですかお?」
(;´∀`)「こんなことになったのは私のせいだモナ。
ここは私がくい止める。早く逃げるんだモナ」
(;^ω^)「…嫌ですお」
(;´∀`)「いいから逃げ
(♯^ω^)「嫌ですお!!」
(;´∀`)「!」

モナーはブーンの普段は見せないその迫力に怯んだ。
ブーンは続ける。

( ^ω^)「僕は絶対に先生と生きて帰りますお!先生を死なせたくないですお!」

(;´∀`)「ブーン…」

ブーンは一度深呼吸をし、また話し出した。



46:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 21:09:39.38 ID:ProQXWyvO
  

( ^ω^)「…やりますお。先生、僕に能力を下さいお」
(;´∀`)「ブーン!ほ、本当か!?」

ブーンは勇気を振り絞ったような顔で続ける。

( ^ω^)「ここまで来たら腹をくくりますお。
どうせやらなきゃ殺されてしまうなら戦うしかないですお!」

( ^ω^)「それに…あんな奴が神様になったら嫌だお。
先生の方がまだマシだお!」
(;´∀`)「…マシってのが引っ掛かるモナね。
でも…ありがとう」

( ^ω^)「おっ!」



47:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 21:14:37.20 ID:ProQXWyvO
  

一方こっちはブームくんたち。
ブームくんは結局醤油を全部飲めなかったようです。
良い子の皆は醤油の一気のみはなるべく控えようね!

|  ^o^ |「ひどいです」
| ^o^ |「すまない」

|  ^o^ |「おちゃめです」

ブームとゆうたろうはお互いを見合い笑った。
そして2人で大笑いした後すぐさま我にかえった。

| ^o^ |「さぁ…そろそろお前のとっておきでトドメを刺すんだ」

|  ^o^ |「わかりました」

ブームはそう答えるとブーンの元へ走りだし両腕を目の辺りまであげ、
天に突き上げるようにチャクラムを振り回した。

その速さは凄いものでビュンビュンと風を切る音まで聞こえた。



50:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 21:18:26.87 ID:ProQXWyvO
  

|  ^o^ |「ばーてぃかる・るーぷをします
しんでください」

ブームは笑顔のまま、頭上で振り回しているチャクラムをブーンに向かって叩きおとした。

|  ^o^ |「おわりです」

ブームが勝利を確信した瞬間、ブーンはモナーからもらった赤ペンを右手に持っていた。
そして目の前にかかげ、叫んだ。

( ^ω^)「ペンを――」
( ^ω^)「槍に変える能力!!」

ペンは槍に変わり、ブーンはすかさずブームのチャクラムを柄であっさりと弾き返した。

|  ^o^ |「なんと」

( ^ω^)「僕は先生を神にするため戦うお!!
お前みたいな奴が神になったらなんか嫌だお!!」


| ^o^ |「何をー!
ブームさんやってしまいなさい」

|  ^o^ |「うおおぉお―――――」

ブームは大声をあげ、再びブーンに襲いかかってきた。



51:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 21:22:59.69 ID:ProQXWyvO
  


|  ^o^ |「おなじわざをだします」

ブームは思いっきり両手のチャクラムをブーンに振り降ろした。

しかしブーンはもう臆しなかった。

( ^ω^)「もうそのワザは見抜いたお!」
するとブーンはブームの元へ走り出した。

|  ^o^ |「? かっこうのえじきです」

( ^ω^)「甘いお!!」

ブーンは限りなく刃に近い所を持ち、チャクラムを槍の柄で受け止めた。
が、少し違うのは受け止めた部分である。
そう、ブーンはチャクラム自体ではなくチャクラムと指とをつなげる糸の部分を受け止めたのである。

|  ^o^ |「げげっ」

当然チャクラムは遠心力で槍に巻き付いた。
こうなってはブームも何も出来ない。



53:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 21:25:47.20 ID:ProQXWyvO
  

そしてブーンは続けて力いっぱい槍を自分の方へ引っ張った。

( ^ω^)「ふんっ!!」
するとブームの両中指にはまっていた糸の輪が抜け外れた。
その瞬間チャクラムはもとのハイパーヨーヨーに戻った。
そしてヨーヨーはカラカラ、と寂しい音をたて地面に落ちた。

|  ^o^ |「これはまずい」

( ^ω^)「僕の勝ちだお!!」

ブーンは槍を持ちかえ、思いっきりブームの頭に固い柄の部分を叩き込んだ。
バゴッと鈍い音がした後、ブームは力なく前に崩れ落ちた。



55:わさび栽培(関東) :2007/03/15(木) 21:27:03.30 ID:ProQXWyvO
  



今夜、ブーンの「普通」の日常は終わった。
だがまだ「戦い」は始まったばかりだ。


第一話 おわり



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