( ^ω^)ブーンが神候補から能力を受け取ったようです

9: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:02:34.48 ID:P6L8MmSFO
  


私は津出玲。
私立麗麗中学に通う3年生。
みんなからはツンと呼ばれてる。

両親は死んだ。
どちらも私より仕事の人間だったし、余り関わりもしなかったから、別に悲しくもなんともなかった。

友達もいるし、お金も莫大な遺産が残されたし、生活には何不自由することはなかった。
何も変わらない。
そしてこれからも変わることはないだろう。



―――そう、思っていた。



10: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:03:08.27 ID:P6L8MmSFO
  



第七話 「TSUN's episode/meeting」






11: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:05:23.85 ID:P6L8MmSFO
  

女友「ねーねーツンちゃん! ここ教えて〜」

ξ゚听)ξ「ん、いいわよ。ここはね…」

麗麗中学。
学力が高いこの中学校でトップを毎回死守しているのがこの私、ツンだった。

頭脳明晰、容姿端麗、将来有望。
先生達もからも期待され、友達からもよく頼られた。

今日も私はいつも通り友達に勉強を頼まれ、そしてわかりやすく教えてあげる。

女友「ありがとツンちゃん! あ〜頭良くてうらやましい〜!」

女友B「ホントうらやましいよね〜! ツンちゃん将来は何になりたいの??」

女友C「あの頭の良さだもん……やっぱり医者じゃない?」

男「じゃあ僕はwebデザイナー!」

女友B「ねぇねぇツンちゃん! どうなの?」



12: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:07:21.39 ID:P6L8MmSFO
  

ξ゚听)ξ「私は……まだ決まってないかな」

女友「えーっそうなの? でもツンちゃんなら何でもなれるって!」

女友B「そうそう! 例えば……美人モデルとかどう?」

男「webデザイナーは?」

女友C「いや〜やっぱり美人医師だよ〜!」

男「webデザイナーは?」

女友「姿慎めよ」



15: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:08:25.81 ID:P6L8MmSFO
  

ξ゚听)ξ「みんな…ありがとう」

私には夢がなかった。
というか、仕事に興味がなかった。

両親が反面教師となったのだろうか、あんなになるまで仕事などしたくない。
そう思っていたのだ。

私は友達と仲良く、何不自由しない生活を送っている。
ように見えるが、私の心のどこかではぽっかりと穴が空いて、何かが足りないような気がしていた。

だがそんなある日、突然転機が訪れる。



17: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:10:02.86 ID:P6L8MmSFO
  

あるよく晴れた日のこと。
私は日傘をさして一人で公園を散歩していた。
金持ちのお嬢様だからといっていつもリムジンとかに乗っている訳ではないのだ。
時々は一人で散歩したくもなる。

日差しを傘で遮り、そよ風が優しく吹いていて心地よい。

私は公園の木の下にあるベンチに腰掛けた。

ξ゚听)ξ「ふぅ〜…」

私は傘を閉じる。
傘をささなくても木が日光を防いでくれるからだ。
しかもこのベンチは比較的目立たない所にあり、人があまり来ない。

私はこの場所がとても好きだった。



18: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:11:53.78 ID:P6L8MmSFO
  

と、私がそんな午後のひとときを満喫していると、誰かがこのベンチに来た。

/ ,' 3「ふぅ…」

それは30歳…くらい?の男の人だった。

/ ,' 3「……ここ座っていいかな?」

ξ゚听)ξ「あ、はい。どうぞ」

と言って私は端に寄る。
そうするとその男の人はベンチに座る。



19: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:14:24.57 ID:P6L8MmSFO
  

正直、少し嫌だった。
一人でゆっくりしたかったのに。でもそんなこと言えない。
私はいつの間にかどのタイミングで帰るかを考え始めていた。

さすがに座らせてからすぐ帰るのは相手に失礼だろう、と思ったからだ。

ξ゚听)ξ(……どうしようかなぁ)

と考えているとその男の人が話しかけてきた。

/ ,' 3「……ここは涼しくて気持ちいいなぁ」

ξ゚听)ξ「えぇ?は、はい…」

私は突然のことに少し動揺しつつも相手に答える。
男の人は続けて話しかけてくる。

/ ,' 3「いつもここに来てるのかい?」

ξ゚听)ξ「え?」

なんでそんな事聞くんだろう?
と思いつつも私はお嬢様らしく気品を漂わせるように答えた。



21: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:16:10.06 ID:P6L8MmSFO
  

ξ゚听)ξ「…時間がある時にはよく来てますわ…でもどうしてそんな事をお聞きに……?」

よし。
完璧な切り返し。
お嬢様っぽいぞ私。

/ ,' 3「いや意味はないよ」
は?
じゃあ聞くなよ。
そう思いつつも私は口には出さずに、心の中に留めておく。
お嬢様たるものこのくらいでは怒らない。

/ ,' 3「てかぶっちゃけ質問の内容も興味なかったしね」

プチッ

あ、なんか切れた。



23: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:17:59.63 ID:P6L8MmSFO
  

ξ#゚听)ξ「ハァ!?
あんた何様よ! いきなり来て変なこと聞いてきた挙句にそれはないでしょ!?
もう嫌だわ! 失礼します!」

つい、言いたいことをおもいっきり言ってしまった。
そして私は帰ろうと、立ち上がった。

するとその男の人は言う。

/ ,' 3「……やっと元気出てきたね」

/ ,' 3「すっきりしたろう?」

ξ゚听)ξ「……へ?」

いきなりの変化球に私は呆気にとられてしまった。



24: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:20:09.50 ID:P6L8MmSFO
  

/ ,' 3「いやぁなんか最初みた時からどこか元気ないなー、とおじさん思っててさぁ!」

/ ,' 3「怒らせてすまんね!」

ξ゚听)ξ「……」

そんな事をひょうひょうと言う男の人。

私はその人に呆然としていたが、あわてて気を取り戻し、毅然として足を歩かせた。

/ ,' 3「気をつけて帰りなよー」

と、男の人は手を振ってきた。
いい人なのかもしれないな、と私は思った。
手は振り返さなかったけど。



25: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:21:21.61 ID:P6L8MmSFO
  

――次の日。

私はまたそのベンチに向かっていた。
何故かあの男の人が頭から離れず気にかかっていたからだ。

私はまた日傘をさして歩く。
ベンチに近付くと、ある男の人が座っているのが見えた。

「うほっ」

おっと間違えた。
もっとあっちのベンチだったわ。



26: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:23:01.44 ID:P6L8MmSFO
  

木陰に一つ佇むベンチ。
私はそれに座る。

ξ゚听)ξ「……いるはずないか」

今日は私は本を持ってきていた。
木陰でゆっくりと本を読み時間を潰す。

しばらく時間が経ち、私はどんどん瞼が重くなっていくのを感じた。
最初は耐えていたが、みるみるうちに、私は夢の中に落ちていった。



27: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:25:28.12 ID:P6L8MmSFO
  

――あれ?周りが暗い…?
……夜?
そっか。
私寝ちゃったのか……。

あれ?
今私の周りにいる人達は……誰?

( ^Д^)「……あ、起きちまったぜ」

ν(・ω・ν)「何やってんだよプギャー……まぁでも抵抗された方が燃えるっちゃ燃えるね」

(:::::::::::::::)「やっぱそうだよな。シチュ的にもその方が燃えるよなぁー」

ν(・ω・ν)「黙れ童貞」

……え?
何話してるのこの人達……頭が少しボーッとしながら考えているとその中のプギャーと呼ばれている男が私の肩を掴んできた。

( ^Д^)「と、いうわけでいただきまーす」

え!?
やっと頭が冴えてきた私はすぐさま抵抗する。



28: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:27:04.78 ID:P6L8MmSFO
  

ξ゚听)ξ「やめて! 離してよ!」

私は肩を掴まれながらも必死にもがく。

( ^Д^)「離してよ、と言われて離す奴がおるかい」

ν(・ω・ν)「暴れなければ手荒なマネはしねーから安心しな」

(:::::::::::::::)「そうだぜ……ハァハァ…!!」

ν(・ω・ν)「げ! こいつまだ始まってもいないのに手淫してやがる!」

と、男達の中の二人が揉め始めた。
それとは関係なく、肩の上の手はどんどん私の服の中に忍び込んで来る。

ξ゚听)ξ「いや!! やめて!!」



29: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:30:07.01 ID:P6L8MmSFO
  

( ^Д^)「誰も助けちゃくれねぇよ……諦めな」

ν(・ω・ν)「そうだ! 諦めな!」

(:::::::::::::::)「諦め……ウッ!」

ν(・ω・ν)「ぎゃー! こっち飛ばすな!!」

と、やっぱり二人は揉めていても手は休まることはない。
その私を襲おうとする悪魔の手は、ついに私の恥部にも近付いてきた。

ξ;;)ξ「嫌っ…や……め…」

もう涙が溢れて声も出てこない。
何も抵抗も出来ない。
怖いから。
私はこの時、もう犯されてしまうんだろうなぁと思っていた。
もう本当に諦めてしまいそうだった。

と、その時。
闇の中から一人の男が現れた。



30: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:31:42.44 ID:P6L8MmSFO
  

/ ,' 3「やめろ」

( ^Д^)「あん!? 誰だ!」

ξ゚听)ξ「……!」

あの時の人だ…!
私は一瞬希望を持った。
でもすぐ冷静になり、その希望はなくなった。
何より3対1。それに歳の差もある。
ひどい話だが、あの人じゃとても勝てそうにないと思ったからだ。

( ^Д^)「うっせー親父だな。おい、相田。やっちまいな」

ν(・ω・ν)「まかせろよ! オレのカマキリ拳法でこんな親父一発だ」

(:::::::::::::::)「手がべとべとで力が出ない」

ν(・ω・ν)「お前もう帰れよ」



31: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:35:39.49 ID:P6L8MmSFO
  

と、相田と呼ばれた男が男の人に襲いかかる。
彼はまるでカマキリのように手を素早く動かしている。

ν(・ω・ν)「ここに来たことを後悔しな! あちょー!」

そしてそのまま攻撃を仕掛けた。

が、それは当たることはなかった。
彼の目の前から目標が消えたからだ。

ν(・ω・ν)「…あれ?」

/ ,' 3「後ろだよキミィ」

男の人はいつの間にか相田の後ろに回っていた。
相田は声に反応し振り向く。
が、振り向いた瞬間、相田の顔には拳が入った。

ν(・ω(♯ν)「メメタァ」

/ ,' 3「修行が足りんね」

相田は少しふらふらした後バタッ、と倒れこんだ。



32: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:37:22.59 ID:P6L8MmSFO
  

(;^Д^)「なにぃ!? あの相田が……!」

私の肩を押さえていた男が慌てて私から手を離す。
どうやら本当に危機感を感じてきたらしい。
相田という男は相当やり手だったようだ。

(;^Д^)「お、おいぺにす丸! やっちまえ!」

ざんねん!
ぺにす丸は既に帰っていた!

(♯^Д^)「あんの馬鹿野郎―――!!」

と、叫んだ瞬間。
彼の後ろ首に手刀が入る。
それは私を助けに来てくれた男の人の手だった。
プギャーの目はぐるんと白目を向き、意識を失って相田と同じように倒れた。



33: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:39:19.32 ID:P6L8MmSFO
  

ξ;゚听)ξ(す……凄い……)

/ ,' 3「大丈夫か? ケガは?」

ξ;゚听)ξ「あっ……はい大丈夫です」

/ ,' 3「そうか……良かった」

そう言いほっと一息つく男の人。
何故こんなに強いのか気になったけど……その前に私は一つの質問を投げ掛けてみる。

ξ゚听)ξ「……助けてくれてありがとう。
でも……なんであなたは私みたいな一度会っただけの人のために……必死になれるの……?」

/ ,' 3「……」

その質問をすると突然男の人は手を顎の下に置き、考え出す。
そして言う。

/ ,' 3「……なんとなくかねぇ」

ξ;゚听)ξ「へ」

もっと格好いい答えを期待していた私は思わず声が漏れてしまう。



34: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:41:08.17 ID:P6L8MmSFO
  

その男の人は続けて言う。

/ ,' 3「まぁ……強いていえば困っている人を放ってはいられないから……かなw」

ξ゚听)ξ「……へぇ」

/ ,' 3「反応薄!」

ξ゚ー゚)ξ「……ふふ」

/ ,' 3「……ははっ」

私達は笑った。
そして散々笑い合った後、私はまたお礼を言って公園を後にした。
その時、男の人はまた手を振ってきた。
私は微笑み、今度は手を振り返してあげた。
そこで気付いたのだが、よく見るとその男の人の手は大きかった。


――私にもちゃんとしたお父さんが居たとしたら……あんな感じなのかな……

――また会いたいな



35: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:43:42.71 ID:P6L8MmSFO
  

それから。
私はまた偶然にも公園で彼と出会い、今度はじっくりと話してみた。

意外にも意気投合し、これを機会に、私達は毎週会い、話すようになっていた。
もちろんあの公園でだけど。

どうやらこの男の人も暇な時によくここのベンチに来ていたらしい。
私達は色々なことを話した。

この人と話していると何故か心地が良く、いつしか私は彼をお父さんみたいに思うようになった。

正直、友達と話している時よりもリラックス出来て楽しかったのだ。
本当の自分が出せているような気がして。



36: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:44:56.42 ID:P6L8MmSFO
  

――そうか。心にぽっかり空いていた穴の正体がわかった。

私は、誰か頼れる人を求めていたんだ。
いつも私は誰かに頼られ、生きてきた。
友達にも、先生にも。

ずっと私は親がいなくても何も変わらないと思っていた。
だがやはりそれは違ったようだ。
父のような存在がいるだけでこんなにも心があったまる。

今、幸せだなぁ。

そんな日々を送っていたある日のこと、その日も私はその男の人と話していた。



37: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:46:59.05 ID:P6L8MmSFO
  

ξ゚听)ξ「……展開人?」

/ ,' 3「天界人ね」

ξ゚听)ξ「どっちだっていいじゃない。それよりおじさんは……本当に人間じゃないの?」

/ ,' 3「まぁね」

今日は衝撃の事実が発覚した。
まさかおじさんが天から来た人だったとは。
どおりであの時、異常に強かったのもなんとなく納得がいく。
あ、言い遅れたけど私はこの男の人のことを、いつの間にかおじさんと呼ぶようになっていた。

ξ゚听)ξ「ふーん」

/ ,' 3「またまた反応薄っ!」

でも私はその話を聞いてもおじさんへの対応は変えなかった。
というか変える必要がない。

おじさんはおじさんだもん。



38: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:49:34.12 ID:P6L8MmSFO
  

―――そんなこんなで時が過ぎた。

季節はいつの間にか、桜が舞い、人々が新たなスタートを切り始める春となった。
私はもちろんトップクラスの高校に合格しており、今日はその高校の入学式だった。
入学式ではやっと私も高校生になったという感じがした。
なんだか少し感動した。

入学式が終わると、私は意気揚々と公園に向かう。
もちろん、おじさんに報告にいくため。

――そして公園に着く。
いつものベンチにはおじさんがいた。



39: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:51:23.71 ID:P6L8MmSFO
  

私は早速報告する。

ξ゚听)ξ「おじさん! 私高校生になったよ!」

/ ,' 3「…ほぅ。そりゃ良かった」

ん?なんか適当な受け答え。
私はなんだか少し不機嫌になった。

ξ#゚听)ξ「ちょっと酷くない? せめておめでとうくらいは言えないの?」

/ ,' 3「おめ」

プチッ

あ、またなんか切れた。

ξ#゚听)ξ「……私帰る」



40: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:53:07.71 ID:P6L8MmSFO
  

私は怒り、帰ろうとベンチから腰を上げる。

確かにおじさんは適当な部分もあるけど、こんな所まで適当な人だとは思わなかった。
……これだけで怒る私も私かもしれないけど。

でもひどい……ひどいよ。

おじさんに祝って欲しかったのに……。

と、私が歩いて行こうとおじさんに背を向けた瞬間、私の首元に手がまわって来た。

この手は……おじさん?



41: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:54:41.01 ID:P6L8MmSFO
  

ξ゚听)ξ「!」

その手は私の首元で何やら作業をしている。
そしてその手は役目を終え、元の位置に戻って行った。

私の首に綺麗なペンダントを残して。

/ ,' 3「入学おめでとう」

/ ,' 3「いやぁ見事な演出だろ?」

ξ;ー;)ξ「……おじさんの馬鹿」

私は泣いていた。
不安が解けたのと嬉しさのせいで。
私は思わずおじさんに抱きつき、大泣きしてしまった。

おじさんは何も言わず、ただ頭をなでてくれるばかりだった。



42: 漂流者(関東) :2007/03/28(水) 19:56:01.26 ID:P6L8MmSFO
  

私は毎日が本当に幸せだった。
充実していた。

でも運命とは残酷なもので、そんな日々を長くは続けさせてくれなかった。

今も思い出す。

――あの日。

私がおじさんを失った日。

私が能力を受け取った日。






第七話 おわり



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