( ^ω^)ブーンが神候補から能力を受け取ったようです
- 6: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:20:16.94 ID:ssxzbz6KO
―――ラウンジ市の町外れにある一軒家。
周りには大きな原っぱや森が広がるばかりで、建物はこの家の他には全く見えなかった。
誰かが住んでいるのか、想像もつかない場所。
だが、家の前の原っぱには複数の人影。
それが家の中に次々と入っていく。
その人影の中には、ブーン達もいた。
第十三話「騙し討ち」
- 8: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:22:58.61 ID:ssxzbz6KO
人影はブーン達を含め全員、その家の大広間に集まる。
大広間には大きなテーブルがあり、片側に5人ずつ、計10人座れるように椅子が置いてある。
( ・∀・)「よし、座ってくれキミ達」
その声がかかると共にモララー以外の全員が一斉に椅子に腰かける。
そしてモララーはテーブルに両手を置き、話をし始める。
( ・∀・)「……ではキミ達に新しい同胞を紹介する」
( ・∀・)「ブーン、ドクオ、ツン。以上3名だ」
ブーン達その3人は立ちあがり、一礼。
そして皆一言挨拶をし、また椅子に腰掛ける。
- 9: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:25:24.59 ID:ssxzbz6KO
モララーはまた話す。
( ・∀・)「彼等3人は我が元仲間達を倒し、シャキン様と共に戦う権利を得た。皆歓迎してやろう」
すると、ブーン達の向かいの席で片肘をついて座っていた男が、口を開く。
( ´_ゝ`)「……本当にこいつらがあの『電光石火のイヨウ』『拷問執行人斉藤』『変態掘り魔人阿部さん』達を倒したのか? とてもそうには見えんが……」
と、その言葉に続いてその男の隣に座っていた男も口を開く。
- 10: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:26:12.97 ID:ssxzbz6KO
(´<_` )「……すごく説明口調だな、兄者」
( ´_ゝ`)「この作品を読んで下さっている読者様のためだ」
(´<_` )「そこまで考えているとは。流石だな、兄者」
どうやらこの二人の名はそれぞれ兄者、弟者というらしい。
にしてもこの二人。
本当に顔が良く似ている。前に聞いたクーの話によると、双子だという。
( ^ω^)(……てか阿部さんって誰だお)
- 11: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:30:23.91 ID:ssxzbz6KO
( ФωФ)「……おい。阿部さんを倒したのは俺だよ」
と、今度は弟者の隣の席に座っている男が話し出す。
その男は両目の辺りに目立つ傷があり、痛々しい印象を覚えた。
( ´_ゝ`)「あれ、そうだったっけ」
( ФωФ)「……あいつが俺(のアナル)を襲ってきたからよぉ……思わず能力使って気絶させちまった」
( ´_ゝ`)「まぁ、彼はホモっ気があったからな……ロマネスク、災難だったな」
両目に傷のある男。名はどうやらロマネスクというらしい。
(´<_` )「しかも彼の能力は肉棒を如意棒に変える能力だったもんな……」
弟者が兄者に続けて憐れむように言う。
- 12: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:33:08.39 ID:ssxzbz6KO
と、その状況で突然、誰かが口を開く。ドクオだった。
('A`)「あの……質問いいっすか?」
( ・∀・)「ん? かまわんよ」
返事をしたのはモララー。ドクオはその言葉を聞き、質問を続ける。
('A`)「ここ10人分の椅子が置いてあるのに8人しか座ってないのは……何故……ですか?」
そう。
座っているのはモララー、クー、ブーン、ツン、ドクオ。
そして向かいの席には兄者、弟者、ロマネスクだけ。2つの空席があるのだ。
( ・∀・)「あぁ、これか」
モララーは落ち着いた様子で答える。
( ・∀・)「一人は今回は欠席だ。そしてもう一人は……」
と、モララーが言いかけた瞬間、突然大広間のドアが大きな音と共に開かれる。
- 14: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:35:28.74 ID:ssxzbz6KO
そこには一人の女の子が立っていた。
そしてその子は高い声で陽気に喋り出す。
(*゚∀゚)「やっほーみんな! 今回はギリギリセーフかな?」
( ・∀・)「……遅刻だ」
その言葉を聞くや否や、その女の子は手を額にくっつけて、言う。
(*゚∀゚)「あちゃー! やっぱりか!」
( ´_ゝ`)「やっぱりって言うならもっと早く来いよ」
(´<_` )「おぉ、兄者がまともなことを言っている」
(*´_ゝ`)「待ちくたびれぞ! ささ! つーちゃんは俺の隣の席においで! たっぷり可愛がってあげよう! は、早くぅ!」
(´<_` )「OK、前言撤回だ兄者」
どうやらあの女の子の名前はつーと言うらしい。
そしてその子は何も言わず華麗に兄者をスルーして、兄者と席を一つ空けて座る。
(;´_ゝ`)「殺生な!」
- 15: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:40:50.99 ID:ssxzbz6KO
そして席に座った彼女はすぐさま携帯を取りだし、すごい早さで文字を打ち出す。
メールでもしているのだろうか。
と、つーは文字を打ち続けているまま話しだす。
(*゚∀゚)「てかさー、キミ達3人が新メンバー?」
ブーン達3人はそれに答えて頷く。
(*゚∀゚)「ふーん。前にも見た時あったけど……やっぱ弱そうだね」
(;^ω^)「なっ……」
携帯をカチカチいじりながらも、ずかずかと言いたいことを言うつー。
思わず反応してしまうブーン。
が、それをモララーが制す。
- 16: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:44:24.25 ID:ssxzbz6KO
( ・∀・)「悪いな、ブーン。こいつは口が悪くてね。気にしないでくれ」
つーがそれに対しふてくされた顔で否定する。
(*゚∀゚)「口悪くないよぉ〜! つーはめちゃめちゃ良い子だよ?」
(*´_ゝ`)「そうだ! つーちゃんは本当に良い子だぞ! まさに女神だ! うおぉー!! 可愛いぞー!!」
(*゚∀゚)「……キモッ」
そのセリフを聞き、兄者は机の上に腕を置き、その上に顔を伏せた。
そして泣いた。
鼻水をすする音が聞こえる。
(´<_`;)「兄者、俺はこんなのが兄貴だと思うと悲しくなるぞ……」
- 17: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:46:24.21 ID:ssxzbz6KO
モララーはそれらを全て無視してブーン達に話し始める。
( ・∀・)「……さて、ブーン。私はキミが来てくれて嬉しいよ。もちろん他の二人もだ」
( ・∀・)「一度誘いを断った時には驚いたが、結局はシャキン様の理念に賛同したわけだね。いやぁ私は感激だよ」
( ・∀・)「これからどうぞよろしく」
( ^ω^)「……よろしくお願いしますお」
ブーン達3人も丁寧に言葉を返す。
――だが当然、ブーン達は本当にシャキンの理念に賛同して、ここのメンバーとなったわけではない。
話は一週間前に遡る。
- 20: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:51:02.31 ID:ssxzbz6KO
―――――
(;^ω^);゚听)ξ;'A`)「「「あいつらの仲間になる!?」」」
驚きの声をあげるブーン達。
川 ゚ -゚)「……あぁ。それがこの作戦のメインだ」
川 ゚ -゚)「だがもちろん本当に入る、とは言わない。あくまで仲間になったフリをするだけだ」
川 ゚ -゚)「ブーンとドクオは斉藤、イヨウを倒した代わりに。ツンは私の推薦で仲間入りさせる。」
相変わらずの無表情で言うクー。
そんなクーにブーンは質問する。
- 22: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:56:31.73 ID:ssxzbz6KO
(;^ω^)「でも……仲間になったとして……それからどうするんだお?」
川 ゚ -゚)「……私達、まぁシャキンの仲間達は能力者を倒しに行く時、ペア、もしくはグループで行動する時があるんだ。そこで倒す。」
('A`)「でもよー、そしたら明らかに俺らがやったってバレんじゃね?」
川 ゚ -゚)「……倒した際には、『能力者に返り討ちにあった。自分はなんとか生き残った』などと言えば怪しまれないだろう。多分」
(;'A`)「多分て」
そうクーは言う。
ブーンとドクオは少々不安があるものの、なんとか納得する。
と、そこでツンが口を開く。
- 23: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 22:59:12.29 ID:ssxzbz6KO
と、そこでツンが口を開く。
ξ゚听)ξ「……あたしどうやって戦えばいいかな?」
そう。
ツンはまだ自分の能力が何だかわからないのだ。
だがクーは冷静に答える。
川 ゚ -゚)「……安心したまえ。ツンは常に私と行動するように頼んでおく」
そこまで言うとツンは少しだけ安心したような表情を見せた。
クーもそこで少し表情を緩め、言葉を続ける。
川 ゚ ー゚)「……だが能力が判明したら戦力として役立ってもらうぞ。覚悟は出来てるな?」
ξ゚ー゚)ξ「……もちろん。任せてよ」
ツンはそう答える。
川 ゚ ー゚)「……頼もしい顔になったな」
クーの話が効いたのかはわからないが、ツンの表情は昨日のあの時とは全く変わっていた。
もちろんいい意味で。
- 24: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 23:01:09.29 ID:ssxzbz6KO
川 ゚ -゚)「……さて、決行は来週だ。詳しい日時はまた連絡する」
そしてクーは最後に一言。
川 ゚ -゚)「『騙し討ち作戦』……。名前の響きは悪いがこれ以上の作戦はない。……一人の脱落者も出さずに成功させるんだ。いいな」
( ^ω^)゚听)ξ'A`)「「「おう!!!!」」」
―――――
- 25: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 23:04:30.56 ID:ssxzbz6KO
( ・∀・)「……では全員集まったので、早速だが会議を行う」
モララーはその場で再び立ちあがり、言った。
そして続ける。
( ・∀・)「今週はそれぞれペアに別れて能力者を倒すため行動してもらう。ではペアを発表する」
いきなりの展開。
ブーン達の周りには急に張りつめた空気が漂う。
それもそのはず、ブーン達はペアになった者と戦うつもりなのだから。
そしてモララーは言う。
( ・∀・)「……ツン、キミはクーと組んでくれたまえ。クーはツンに色々教えてやってくれ」
川 ゚ -゚)「……わかった。よろしくな、ツン」
ξ゚听)ξ「はい!」
- 26: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 23:05:54.11 ID:ssxzbz6KO
ツンのパートナーには計画通りクーが付いた。
クーがうまくやってくれたのだろう。
( ・∀・)「ドクオは……そうだな、ロマネスク。頼んだぞ」
( ФωФ)「おっ、俺か。えーっと、よろしくなドクオ」
ロマネスクは頭をポリポリと書きながら言う。
顔の傷とは裏腹に、意外とすぐ馴染めそうな奴だな、とドクオは感じた。
('A`)「……よろしくお願いします」
( ФωФ)「おう、頑張ろーな」
ドクオは緊張と興奮を隠しつつ、冷静に挨拶を返す。これが自分の相手か、そう心の中で呟きながら。
- 27: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 23:08:12.10 ID:ssxzbz6KO
( ・∀・)「ブーンは……そうだな……」
モララーは手を顎の下に置き、数秒考える。
そして思い付いたような顔をするとブーンの顔を見つめて言う。
( ・∀・)「……私だ。いいな?」
(;^ω^)「!」
ブーンは戸惑う。
何故ならばモララーは絶対にないと思っていたからだ。
モララーは彼等のリーダーのような存在。
クーも言っていたし、何より皆をまとめているのも彼だ。
そんなリーダーが自分から新メンバーの世話をするはずがない、と思っていたからだ。
( ・∀・)「いや〜私は誰かに何かを教えるのが好きでね! 面識のあるブーンに色々教えてやりたいと思ったからさぁ!」
しまった、こいつ世話焼きか。
とっさに何故かそんな思考が頭を巡るブーン。
- 28: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 23:11:06.87 ID:ssxzbz6KO
( ・∀・)「……駄目かい?」
(;^ω^)「……いや! そんなことないですお! こちらこそよろしくですお!」
そのブーンの台詞を聞くと、モララーの顔は途端に明るくなった。
そして何故か笑う。
( ・∀・)「ハハハ! ブーンならそう言ってくれると思ってたよ! なんだかとても嬉しい気分だ! よし! 踊ろう!」
(;^ω^)「え?」
と、モララーは突然踊り出した。
ブーンはそういえば前にモララーは演劇部、という話を聞いたことを思い出す。
( ・∀・)「ブーン! キミもどうだい!?」
手をさし延べるモララー。
(;^ω^)「遠慮しときますお」
ブーンは丁重に断った。
それでもモララーは踊り続ける。
踊りが何気にうまくて逆に気持ち悪い。
- 30: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 23:14:19.93 ID:ssxzbz6KO
( ФωФ)「あ〜……すまんな、いつものことだ。気にしないでくれ」
ロマネスクが口を開く。
( ФωФ)「じゃあいつもの通り流石兄弟は二人で、つーは余りで一人行動でいいよな?」
(*゚∀゚)「え〜! また一人〜?」
(*´_ゝ`)「寂しいなら俺が一緒に組んでもいいんd」
(*゚∀゚)「一人でいいや!」
その言葉を聞いた瞬間、兄者の目からは一筋の涙が流れ出す。
だが、先程のような泣き方ではない。
今回は涙で濡れた顔を隠すこともなく、兄者は泣いた。
まさに男泣き、である。
(´<_` )「泣き方変えてもキモいのは変わらんぞ、兄者」
兄者はもっと泣いた。
ものっそい泣いた。
- 31: 修験者(樺太) :2007/04/27(金) 23:16:48.14 ID:ssxzbz6KO
傍らでは踊る男。
大泣きする男にそれを慰める男。
そしてまた携帯をものすごい勢いでいじり出す女。
( ФωФ)「……そろそろ踊り止めさせるか」
踊りを止めさせに向かった男。
(;^ω^)「……」
なんじゃこりゃ、とブーンは思った。
これはDQNの集会か、と思うほどのカオスであった。
(;^ω^)(こいつら本当に強いのかお……?)
第十三話おわり
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