( ^ω^)は幻の大地の住人のようです

  
4: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:01:34.71 ID:UgZh1aq80
  
*第四十九話 ツンデレ外伝『星明り』*


ξ゚听)ξ「はぁ……また、ひとりか……」

 私は今、上の世界の海を航海中だ。
 一人、ひょうたん島に乗って。ぷかぷかと。


ξ゚听)ξ「ナレーターさんいないのー?」

 …………。

 どうやらナレーターもいないらしい。
 本当に一人というわけね。


ξ゚听)ξ「寂しい……。
       おかしいわね。
       ブーンたちに出会う前はずっと一人でも大丈夫だったのに」


 誰にも私のことを認識してもらえず孤独だった、かつての日々。
 それでも、平気だった。それが私にとっての普通だったのだから。

 でも……今はもう、人とのふれあいを知ってしまったから。
 

 変な奴ばっかりだったけど、にぎやかで楽しかった今までの旅。



  
5: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:03:48.22 ID:UgZh1aq80
  

ξ゚听)ξ「でも、この寂しさもあと少しだわ……」

 記憶が戻った。
 突然。

 でも、戻らない方がよかったのかもしれない。
 忘れたままの方が幸せだったのかもしれない。

 何故、私が下の世界にいたのか
 私に与えられた宿命。

 そして、私がどこの誰なのか。

 全部、思い出してしまった。


ξ゚听)ξ「一応、警告はされてたんだけどね。
       『覚悟を決めておきなさいって』」


 そう、あれは数日前。
 しぃから告げられた言葉。
 あの時は、いつもの電波だと思って気にしてなかったんだけど……


――――――――
――――
――



  
7: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:06:13.50 ID:UgZh1aq80
  
*ロンガデセオ*

(*゚ー゚)「話って言うのはね。
     私たちに船を貸して欲しいの」

ξ゚听)ξ「船? 別に私はかまわないけど」

 そもそも、あの船って誰の物なのかしら?
 たしか、チャモコから借りっぱなしのような……
 別に何も言ってこないし、いいんだろうけど。


(*゚ー゚)「じゃあ、遠慮なく借りてくわね」

ξ゚听)ξ「荷物とか食べ物とか、置いたままだけど必要だったら遠慮なくつかっちゃって」

(*゚ー゚)「ええ、そのつもり」

ξ゚听)ξ「……」

 そのつもりって、私が言わなくても勝手に使う気だったの? この娘は。

ξ゚听)ξ「……じゃあ、そろそろ行くわね。長岡を追いかけなくっちゃ」


(*゚ー゚)「あと数日で、あなたは自分の役割を知ることになる。
     それを演じる演じないは、ツンデレさんの自由。
     覚悟を決めておきなさい」

ξ゚听)ξ「は?」



  
9: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:08:42.39 ID:UgZh1aq80
  
*ロンガデセオ‐ホテル‐*

 4日がたった。今日は27日。
 あれから、私は基本的にホテルに篭ってた。

 長岡が夢を見失い「一人にしてくれ」って、言われてからは会って無い。

 ブーンはブーンで
 たまに様子を見に行ってみるも、心ここに非ずって感じ。
 

ξ゚听)ξ「どうなっちゃうのかしら、私たち……」

 元々、皆で一緒に何かをしようと旅をしてきたわけではない。
 それぞれの目的は別のところにあった。
 たまたま、それが重なるところにあったから、一緒にいただけ。

 私は、記憶の手がかりを探して。
 ブーンは、世界を見るため。お父さんを探すため。
 ジョルジュは、結婚のため。

 あのコは……


ξ゚听)ξ「ここにきて、バラバラになっちゃったって感じね……
       ずっと、こうしていても仕方ないし。
       私、一人で旅を続けようかなぁ〜……」



  
11: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:10:46.80 ID:UgZh1aq80
  

ξ;゚听)ξ「……っ!」

 突然。頭に激痛が走った。
 その痛みは、どんどんどんどん激しくなって。


ξ )ξ「ぁっ、ぁあ……ぁぁぁぁぁああああああああ!!!」


 痛みと同時に、頭の中でフラッシュバックが起きる。
 ここにくるまでの旅。ブーンたちと出会ってからの。
 一人で孤独に旅をしていた頃の。

 そして、それ以前の光景が次々に再生される。

 それが全て終わったと思ったら
 痛みは無かったかのように収まった。


ξ;゚听)ξ「…………ウソ。なんで……?」


 あまりに突然だった。
 信じられない。
 でも、これは確実に……

   記憶が戻った。



  
16: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:12:57.77 ID:UgZh1aq80
  

ξ゚听)ξ「…………」

 全てを理解した。
 思い出してしまった。

 自分に与えられた役割を。


ξ゚听)ξ「帰らなくっちゃ……『カルベローナ』へ」

 でも。帰ったら、私は演じなきゃいけなくなる。『宿命』であり『役割』を……
 しぃは、演じる演じないは私の自由だと言った。

 その役割を演じる事は、きっととてもつらい。
 耐えられるか、わからない。

 私は、どうすれば……


 自分では決められない。

 ブーンに会おう。
 会って決めよう。 


 次の日。
 そう決めた私の足は、彼の元へ歩いていった。



  
19: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:14:58.44 ID:UgZh1aq80
  

 宿から出るとすぐに長岡と出会った。
 あいつは決して巨乳では無い女性と、腕を組んでいた。


( ゚∀゚)「よぉ、ツン。じゃないか」

ξ゚听)ξ「長岡……私、記憶が戻ったの……」

( ゚∀゚)「へー、そっか。よかったな。
     そうそう、紹介するぜ。ちんぽっぽさんだ」

(*‘ω‘ *)「こんにちはっぽ」

ξ゚听)ξ「こんにちは……」


( ゚∀゚)「俺達、結婚することにしたんだ」

ξ゚听)ξ「へぇ、そうなの。おめでとう」


 あれだけ貧乳に興味は無いと言っていた長岡が、どういう心境の変化かしら。
 まぁ、私には関係無いけど。



  
26: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:17:00.15 ID:UgZh1aq80
  

ξ゚听)ξ「それでね、私。また旅に出るかもしれないの。
       世界を回って、それから帰るために……
       その前にブーンに会っていこうと思って」

( ゚∀゚)「へぇ。……あっ、俺たちもブーンに会いに行くところだったんだ」

(*‘ω‘ *)「早く行くぽっぽ」


( ゚∀゚)「さっきの話の続きだけど、それでさ〜」

(*‘ω‘ *)「それはひどいっぽ」


ξ゚听)ξ「……」


 なんか、私の話なんか聞いて無いって感じ。
 別に、いいけど。


ξ゚听)ξ「これだから、バカップルは……」



  
29: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:19:01.28 ID:UgZh1aq80
  
*ロンガデセオ−落人群−*

(ヽ´ω`)「…………」

( ゚∀゚)「よぉ、ブーン。元気だったか。……って、見りゃわかるか。
     いろいろあったけど俺、結婚することになったんだ」

(ヽ´ω`)「…………」


( ゚∀゚)「一応、お前には世話になったし。と言うか、いっぱい俺が世話したしなw
     紹介しておくよ、ちんぽっぽさんだ」

(*‘ω‘ *)「……ぽっぽ。私はこの町の生まれだから、ここにいるって事は
       アナタにも何かつらいことがあったってのがわかるぽっぽ。
       でも、元気だすぽっぽ」

( ゚∀゚)「これからは、この町で店でもやって暮らすことにしたよ。
     っう訳で、お前との冒険はここまでだ。
     元気d……まぁ、がんばれや。じゃあな」

(ヽ´ω`)「…………」


 二人は去っていった。
 ブーンに二人の声は聴こえていたのだろうか。
 きっと、聴こえていない。

 そして、あなたへ私の声は聴こえるのだろうか……



  
34: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:21:09.04 ID:UgZh1aq80
  

ξ゚听)ξ「ブーン」

(ヽ´ω`)「…………」


ξ゚听)ξ「私ね……記憶が、戻ったの……」

(ヽ´ω`)「…………」


ξ゚听)ξ「だから、帰らなくちゃいけないの。
       それで、もうアナタに会うことは無いと思うの」

(ヽ´ω`)「…………」


ξ゚听)ξ「ど、どうしてもって言うのなら
       ついてきても、いいわよ?」

(ヽ´ω`)「…………」

ξ゚听)ξ「……」


 ブーンは何も答えてくれなかった。
 それどころか、反応一つ見せてくれない。



  
41: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:23:16.47 ID:UgZh1aq80
  

ξ#゚听)ξ「そう……アンタはもう私のことなんかどうでもいいのね!」

(ヽ´ω`)「…………」


 ねぇ、どうして!?
 何で何も言わないの?

 アンタ、私に言うことがあったんじゃないの?
 何か答えてよ……


ξ゚听)ξ「だからブーン、私もう行くからね。さようなら!」

 これでもう、会えないのよ!?
 「行かないでくれ!」って、引き止めてよ!


(ヽ´ω`)「…………」

ξ:凵G)ξ「ぐすっ……ばか……」

 馬鹿! 馬鹿! 馬鹿! 馬鹿!! 馬鹿!!!
 もう、アンタの事なんて知らない!!


――
――――
――――――――



  
46: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:25:17.73 ID:UgZh1aq80
  
*ひょうたん島*


ξ゚听)ξ「結局、私の声もブーンの心の奥へ届かなかったのね……」


 しかし、それで決意は出来た。

 もし、ブーンが止めてくれたなら
 私は自分の役割を放棄するつもりだった。

 でも、ブーンは何も言ってくれなかった。

 もう、未練は無い……
 と、言ったらウソになる。

 だけど、私は自分の役割を演じることに決めた。


 心ではもう、諦めたつもりだから……



  
50: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:27:18.99 ID:UgZh1aq80
  

ξ゚听)ξ「私の旅もいよいよおわりね……」

 それから2日ほど、私は世界を回った。
 ブーンと旅してきた地域を。

 月鏡の塔から始まり、さらにはセントジョーンズの島まで。
 チャモコのところや、ヤル夫のところ、
 ブーム神殿に行って転職もしてきた。

 経験を積み、レベルを上げること。
 それが私に与えられた宿命だから。

 ううん、そんなのは都合のいい言い訳。

 最後の悪あがきだったのかもしれない。
 ブーンが追いかけてきてくれるかもしれない……と。


――――――――
――――
――



  
54: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:29:25.30 ID:UgZh1aq80
  
*ゲントの村*
 ∧ ∧
(‐ロ∀ロ)「♪ネコミミサーセンww? そりゃ無理って事っスかwwちょwww」


ξ゚听)ξ「アンタ、何やってんの?」
 ∧ ∧
(‐ロ∀ロ)「んww? ツンじゃないっスかwww
      次回作の作詞っスよwww」

ξ゚听)ξ「歌なのそれ? まぁ、いいけど」

 ∧ ∧
(‐ロ∀ロ)「あれwww? 一人っスかww?
      ブーンとケンカでもしたっスかwwwwwサーセンwww」

ξ゚听)ξ「……うん。ちょっと、ね……」
 ∧ ∧
(‐ロ∀ロ)「(……言い返してこないっスねwww)
      それでw何の用っスかwwww?」

ξ゚听)ξ「このネコミミをローブをくっつけて欲しいの……」

 ∧ ∧
(‐ロ∀ロ)「ん? これは漏れがホイミンにあげたネコミミローブじゃないっスかwwww
      何でツンがwwwずいぶんボロボロっスけどwwwwwwあっ……サーセン。
      このネコミミの部分を付け替えるって事でおkwww?

ξ゚听)ξ「うん、お願い」



  
60: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:32:04.44 ID:UgZh1aq80
  
*ニュー速城*

ξ゚听)ξ「ねぇヤル夫。蘇生呪文の方の研究はまだ進んでないの?」


( (●)ω(●))「難しいお。そんな簡単に出来たら苦労しないお。
        生きてるうちには完成しないかも知れないお」


ξ゚听)ξ「そっか……。
       (たとえ、出来たとしても。肉体が粉々になってしまったあのコは……)
       がんばってね」

レ!小l( ●) (●)从 |、i| 「今日は、ブーンお兄ちゃんは一緒じゃないのかお?」
 レ⊂⊃ 、_,、_, ⊂⊃ |ノ

       ____
     /_ノ   ヽ_\
   /( >)  (<)\
  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \ 「どうせケンカでもしたんだおwwww
  |     |r┬-/      |   ブーンおにぃ涙目wwざまぁwww」
  \     ` ̄'´     /

レ!小l( ●) (●)从 |、i| 「お兄ちゃん!!
 レ⊂⊃ 、_,、_, ⊂⊃#|ノ   ごめんだおツンさん」


ξ゚听)ξ「それじゃあ、私まだ行くところがあるから……」



  
64: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:34:22.63 ID:UgZh1aq80
  
*ブーム神殿*

| ^o^ |「ようこそ ツンデレどの ブームしんでんへ」
 | ^o^ |「とうとう せいしきに なまえをかえてしまいました」

ξ゚听)ξ「私、魔法使いに戻ろうと思って」

| ^o^ |「そうですか それはざんねんです
      あなたなら りっぱなスーパースターになれると おもったのですが」

ξ゚听)ξ「やっぱり、私が演じるべきは魔法使いだから」

 | ^o^ |「でも 『かつて』のけいけんを むだにせず 『これから』に いかすことをのぞみます」


| ^o^ |「それでは ツンデレよ このバレーボールに いのりを ささげなさい」
 | ^o^ |「それは バレーボールつかいの ぎしきです」
| ^o^ |「これはうっかり」


ξ゚听)ξ「勝手に、魔法使いの気持ちで祈らせてされてもらったわ」

| ^o^ |「パロを みのがしてしまいました まぁ いいでしょう
      これで あなたは まほうつかいに もどりました」

 | ^o^ |「ところで ファン3ごうは いっしょではないのですか
       モンスターマスターになったと ききましたが」

ξ゚听)ξ(なんで皆……ブーンの事を聞くの?
      一緒じゃなきゃダメなの?)



  
68: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:36:33.85 ID:UgZh1aq80
  
――
――――
――――――――

 
 それからは悟空さんに預けた このひょうたん島を貸してもらい。
 一人、カルベローナへと向かって海を進んでいる。

 何処にあるのか、場所はわからない。

 でも、どっちの方向にあるのかはわかる。
 どちらに舵を取ればいいのか、頭の中にはっきりと見えてくる。

 そして、もう近いだろうと言うことも感じてた。


ξ゚听)ξ「ここしばらくモンスターの襲撃も無いし
       ちょっと休もうかしら」


 今、私が装備しているのは
 真っ白でネコミミが付いたローブ。
 ちょっとサイズがきついけど、着れないことは無い。

 『あのコ』が残したローブに
 ブーンが私にくれたネコミミを、チャモコに頼んで付け替えてもらった物。

 どちらも私のとって大切な物だから。



  
71: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:38:34.62 ID:UgZh1aq80
  

 休もうとして、店の中に入ろうとしたとき
 背後から気配を感じた!!


  「グヘヘヘヘ」


ξ゚听)ξ「敵!!」

 半漁人、いや半蛸人。
 魔神の上半身に、蛸の下半身をもった魔物。
 たしか……ヘルパイレーツとかいう奴。


ξ゚听)ξ「人が休もうと思ったら、これだもの」

 そいつらが3匹。
 きもちわるい……蛸って苦手なのよ。
 足がにゅるにゅるしてて。食べる分にはいいけど。

 そんなことを考えつつ 瞬時に戦闘態勢をとり杖を構える。



  
75: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:40:41.71 ID:UgZh1aq80
  

ξ゚听)ξ「女の子一人だからって舐めないでよね!
       『ベギラゴン!!』」

 先手必勝!
 私が持てる最大威力の呪文放つ!

 さらに、地面に魔方陣を描き
 追撃のトカゲの尻尾を叩き込む!


ξ゚听)ξ「ふぅ、タコヤキの出来上がりね。
       食べたくないけど……」

 煙が晴れると、真っ黒に焼け焦げた魔物が二体倒れていた。

 ……二体!?
 もう一匹はどこ!?


ξ;゚听)ξ「んんんんんんんっ――!」

ヘルパA「グヒヒヒヒヒ」

 口の中ににゅるっっ、としたものが入ってきた。

ξ;゚听)ξ(後ろ……! それに、これじゃ呪文が唱えられない……!)

 私の攻撃を逃れた一体が背後にいた。
 そして、その気持ち悪い足を、口の中に突っ込んできた



  
79: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:42:51.86 ID:UgZh1aq80
  

ξ;゚听)ξ「んぐっぐうっ」

 魔法陣を描こうにも
 私の体は数本の足にガッシリと拘束され、杖は弾き飛ばされてしまった。


ヘルパA「グフフフフフ」

ξ;゚听)ξ「ひょっとひゃにひふぇんにょほ!」

 気持ち悪い足、触手で私の体をまさぐってくる。
 嫌っ……やめて……


ξ;゚听)ξ「!」

 触手の1本が私のスカートの中、下着の中へと入ってきた。
 そして、私の秘所に触れる。


ξ;゚听)ξ「――っ!」

 こんなやつに……
 くやしい……!

 でも……



  
85: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:45:05.24 ID:UgZh1aq80
  
ξ;゚听)ξ「はっ!」

 触手が私の中へと入ってこようとしている!
 入り口を探っている……!
 いやっ! そこは嫌っ! やめてっ!!

ξ;><)ξ(助けて……っ! ……ブーン!!)

 硬く目をつぶり拒絶する。
 でも、そんなのお構いなしに触手が入って……



 ……入ってこない?
 それに、急に体を締め付ける力が弱くなった。
 というより、なくなった。

ξ;゚听)ξ「へっ?」

 恐る恐る目を開けると、私を拘束していた魔物は
 上半身が綺麗さっぱりなくなっていた。
 勢いよく血が噴出している。


ξ゚听)ξ「まさか…………ブーン?」

 振り返ると、そこにいたのは。
 金色のオーラを身にまとい、全身が輝いて見える!

 私が待ち望んでいた人……!



  
87: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:46:05.96 ID:UgZh1aq80
  

  ベジータ「超ベジータのビッグ・バン・アタックだ!!!!」



ξ゚听)ξ「……」

 では、なかった……。


ξ;゚听)ξ「あ、ありがとう……」

ベジータ「フン」

 私のほうを一瞬見て、彼は店の中へと入っていった。


ξ゚听)ξ「ブーンなわけないか……」

 私は何を期待してたのかしら。
 もう諦めたはずなのに……


ξ゚听)ξ「…………」

 中途半端に焦らされ、体の疼きが止まらない……
 火照った身体を慰めるため、私の手が動く……

ξ///)ξ「んっ……」



  
98: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:49:35.70 ID:UgZh1aq80
  
――
――――
――――――


ξ )ξ「っ……はぁはぁ。
      何やってるのかしら私……くしゅんっ!」

 長時間、夜の海風に当たっていたために体がさめて冷静になり
 行為が終わった後、軽い自己嫌悪に陥る。


ξ゚听)ξ「手……洗わなくちゃ、髪も返り血でベトベトだし……」

 島の端にある浜辺へと向かう。

 海に丸い黄色が映っているのが見えた。
 空を見上げると沢山の星と満月。
 うさぎは、あの月まで飛ぼうとピョンピョン跳ねてるとかどうとか。どうでもいいわね……


ξ゚听)ξ「きれい……。それに比べて私は……」

 再び海を見下ろす。
 私の顔が映ってる。醜い。
 髪はボサボサで、顔にも血がついている。



  
101: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:51:13.59 ID:UgZh1aq80
  

ξ゚听)ξ「これは、一回ほどかなきゃダメね」

 ドリルツインテールをほどいて髪を洗う。
 海水だけど、洗わないよりはましだろう。

 誰も見て無いし、ちょっと髪型をいじってみる。   


川゚听)「似合わないわね……」

 ストレートにロングヘアー。
 いま気づいたけど私、結構髪長いわね。


ノパ听)「……こんな顔の人どっかで見たわね」

 これは問題外。
 キャラが被るなんて嫌よ。


从゚听从「うーん」

 ちょっと左右に広げてみる。
 さっきよりはマシだけど……



  
105: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:53:36.92 ID:UgZh1aq80
  

ξ゚听)ξ「よしっ」

 やっぱりこれね。
 軽く縛って、軽くクルクルッとしただけの応急処置だけど
 この髪型が似合うと自分でも思う。


ξ゚听)ξ「髪型なんて、気にしてもしょうがないのにね」

 私を見てくれる人なんて、ここには誰もいないのに。
 ベジータは戻ってきたけど。あのひと、他人に興味なさそうだし。


ξ゚听)ξ「…………」

 急に人が恋しくなった。
 誰かと話がしたい。

 そう思った私は、フラフラとある場所に向かっていた。



  
106: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:55:37.64 ID:UgZh1aq80
  
*バーボンレストランの脇*


ξ゚听)ξ「…………」

 私は今、あのコのお墓の前に立っている。

 お店の隣、誰にも見えないような場所に
 長岡と二人で、簡易的にお墓を作った。
 その様子をブーンは黙ってみていた。

 かるく地面を掘り返して、戻して
 ブーンの雷神剣をつき立てただけのもの。
 何も知らない人が見たら、伝説の剣か何かかと思うかもしれない。

 下には何も埋まっていない。
 埋めるものがなかったから……。


ξ゚听)ξ「…………」

 今ある私の命はこのコがくれたもの。

 あの時、ぼんやりとしか覚えて無いけど
 ブーンのことを頼まれた気がする。
 あれは現実か、それとも幻想か。



  
109: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 00:57:38.97 ID:UgZh1aq80
  

ξ゚听)ξ「私じゃダメだったわ」

 私に言葉はブーンには届かなかった。
 アンタなら、どうだったかしら。

 もし、死んだのが私のままだったら。
 アンタの言葉ならブーンに届いたかもしれない。

 真っ直ぐな熱い気持ち。
 それなら、きっとブーンの心の奥底まで届いたと思う。


ξ゚听)ξ「でも、私にはそんな言葉は作れなかった」

 アンタみたいに素直になれない。


ξ゚听)ξ「最後まで名前で呼んであげられなくてゴメンね」

 別に認めるとか、そんなことは関係なかった。
 私が変に意地を張ったから。
 それだけの理由。ごめんね。
 


  それなのに、今でも名前で呼んであげないのは何故?



  
114: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 01:00:01.85 ID:UgZh1aq80
  

ξ゚听)ξ「あっ、流れ星……」

 ふと、視界に目に入った流れ星。
 それも一つではなく、いくつもいくつも。

 夜空を流れている。
 流星群って奴かしら。

 昔から、流れ星に願いをかけると叶うと言う。


ξ゚听)ξ「私の願い……」

 それは――



ξ゚听)ξ「素直になりたい。
       素直になりたい。
       素直になりたい。」


 何を言ってるの、私は?

 こんなの願いでもなんでもない。
 私自身がちょっと変わればすむこと。

 なのに、わかってるのに出来ない。



  
118: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 01:02:03.33 ID:UgZh1aq80
  

ξ゚听)ξ「…………」

 でも、今なら言える気がする。



ξ゚听)ξ「ありがとう、ホイミン。
       こんな私を助けてくれて」



 やっと……やっと名前で呼んであげられた。
 もう、遅いのかもしれない。

 それでも、胸がスッとした。
 伝えられた素直な気持ち。



  ありがとう。心から。



  そして、さようなら。



  
122: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 01:04:04.48 ID:UgZh1aq80
  

 もう一つの言えなかった言葉。

 今だから気付けた本当の想い。

 違う。気づいていたけど、認められなかった事。
 素直じゃないから、言えないままだった事。


ξ゚听)ξ「今だけ、力を貸してホイミン……」


 彼女の力を借りて
 この一瞬だけでも素直になって、それを口にする。


ξ゚听)ξ「……好きよブーン。ううん……大好き!」





   「ブーンもツンの事が好きだお」





ξ゚听)ξ「えっ……」



  
126: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 01:06:11.13 ID:UgZh1aq80
  

( ^ω^)「ブーンもツンの事が大好きだお」


ξ゚听)ξ「ブーン!!」

 嘘!? なんで!?
 なんで、ブーンがここにいるのよ。


( ^ω^)「やっと、見つけられたお」

ξ゚听)ξ「あぁっ……」

 そっと抱き寄せてくれた。ぬくもり。
 夢でも幻でもない。紛れも無い現実。
 本物のブーンがここにいる!


( ^ω^)「チャモコやヤル夫の所に行ったら、ツンが来たって言うけど何処に行ったかはわからなくて。
      それでも他の場所も回って、ツンと一緒に旅したところを回って、
      ここにルーラしてきて、やっと見つけられたお」

 私が行った所……無駄な足掻きじゃなかった。
 ちゃんと、追いかけてきてくれた……。



  
129: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 01:08:19.85 ID:UgZh1aq80
  

( ^ω^)「ブーンはツンのこと愛してるお。
      だから、追いかけてきたお。
      本当の気持ちをやっと伝えられたお」

 今度は私の番。
 もう一度、今度は自分の力で想いを伝える。


ξ;凵G)ξ「ありがとう、ブーン……
       私もあなたのこと、愛してるわよ……」


( ^ω^)「おっおっおwww今日のツンは、なんだか素直だお」

ξ;凵G)ξ「ばかぁ!」


  この星明りの下で私たちは結ばれた。
  ありがとう。神様……。

 こんな私に 素敵な一夜を用意してくれて。。。



 ( ^ω^)ブーンは幻の大地の住人のようです

          第二部 『愛』

              完



  
135: 49 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/08(火) 01:09:26.20 ID:UgZh1aq80
  
*次回予告*

( ^ω^)「『完』って書いちゃったけど、
      これで終わりじゃないんだお。
      第二部、そして十三章は、もう一話だけ続くんだお」

ξ゚听)ξ「話の流れ的にね。入れるならこのタイミングしかなくて」

( ^ω^)「東方不敗が暁に死んだ時、思わず! みたいなものだお」



ξ゚听)ξ「「では、次回! 第二部最終話!!」」(^ω^ )



川*゚ -゚)「第五十話『ロールプレイング』」

、||、゚ ^゚ノ|「臓物をブチ撒けろ!!」



ξ;゚听)ξ「「誰?」」(^ω^;)



ベジータ「推奨BGMだと!? ふざけやがって、そんなもの考えてなど無い!
       どうしてもと言うなら勝手に『精霊の冠』でも、聞いていやがれ!」



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