( ^ω^)は幻の大地の住人のようです
- 54: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/05(土) 23:45:08.65 ID:yV1Duone0
(,,゚Д゚)「ゴルァ!」
J( 'ー`)し「?」
( ^ω^)「もっと食べたいって言ってるんだお」
('∀`)「ほんとかよwww」
J( 'ー`)し「ホライズン、言葉わかるの?」
( ^ω^)「なんとなくだお」
(,,゚Д゚)「ゴルァ!」
J( 'ー`)し「じゃあ、おかわりもってくるわね
いっぱい食べてね」
そんなこんなで何週間かが過ぎたお。
ドクオもまただいぶ笑うようになったし、ギコはよく食べてたお。
僕もそんな、いたって普通だけど楽しい日常に満足してたお。
あの日までは――……
- 55: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/05(土) 23:47:50.25 ID:yV1Duone0
- あの日、カーチャンはレイドックの城下町まで買い物に出かけたお。
J( 'ー`)し「遅くなるけど、いい子で待っててね。
一人で遠くまで行っちゃだめよ」
( ^ω^)「はあくだお!」
J( 'ー`)し『ルーラ!』
( ^ω^)「行っちゃったお……ブーンも大きくなったらビューンってルーラで飛んでみたいお。
さてと、今日は何処へ行くかおドクオ」
('A`)「ああ、俺は今日はパス。見たいアニメがあるから」
( ^ω^)「またかお、あれは女の子が見るものだお」
('A`)「あれの良さがわからないとはまだまだな内藤。……んじゃ、うちに戻るわ」
( ^ω^)「……しかたがない、ギコと二人で遊ぶお」
(,,゚Д゚)「ゴルァ!」
( ^ω^)「ちょっと、とおいけど。森の方に行ってみるかお?」
(;゚Д゚)「ご、ゴルァ!?」
( ^ω^)「一人はダメっていわれたけど、ギコと二人なら大丈夫だお」
(;゚Д゚)「ごるぁ……」
- 60: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/05(土) 23:50:42.04 ID:yV1Duone0
- そして、僕らは森の入り口までやってきたお。
( ^ω^)「ここでギコに会ったんだお」
(,,゚Д゚)「ゴルァ!」
( ^ω^)「まだ時間もあるし、奥のほうまで行ってみるお」
(;゚Д゚)「ゴルァ!?」
( ^ω^)「大丈夫だって、いくお。ギコ」
僕はギコの制止をスルーして森の奥へと入っていったお。
ギコもしぶしぶ僕を追いかけて森の中へと……
あの時 もっとギコが止めていてくれたら
あの時 カーチャンの言うことをちゃんと聞いていれば
あの時 ドクオにホイミを習っておけば
あの時 僕が空を飛べたなら
あの時 僕が速く走れたなら
あの時 僕に力があったなら……ギコは……
- 63: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/05(土) 23:53:01.94 ID:yV1Duone0
僕たちは森の奥へ奥へと進んでいったお。
天高く太陽が煌き、木々の隙間からその光が降り注いでいて
その輝きを浴びながら、僕らはマッタリとすごしたお。
( ^ω^)「ゴルゴン・ゾーラ♪ ゴルゴン・ゾ−ラ♪
♪ゾラゾラゾラゾラ♪ ゾラゾラゾラゾラゾラゾラゾラゾラ♪
ゴルゴン・ゾーラ♪」
(,,゚Д゚)「ギコ・ゴルァ♪ ギコ・ゴルァ♪
♪ゴラゴラゴラゴラ♪」
( ^ω^)「おっおっおwwギコはネコなのに歌がうまいおwww」
(,,゚Д゚)「ゴルァ!」
( ^ω^)「暗くならないうちに、そろそろ戻るかお」
遅くならないうちに戻ろうかと考えていた時
アイツはあらわれた。
「見つけたぜぇ〜、子猫ちゃぁ〜ん!」
- 64: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/05(土) 23:55:28.23 ID:yV1Duone0
「ハァーッハッハッハインリィーッヒ!!」
僕は、この高笑いを一生忘れられないだろう。
心の奥底に刻みつけられた恐怖と共に。
(;゚Д゚)「ゴ、ゴルァアアアア!!」
(;゚ω゚)「おっおっおおおあああああ、うあああうわあああ!!!」
僕は突然現れたアイツに、驚いて腰を抜かした。
顔はわからない、長い髪に隠れていて
何よりも、恐怖でまともに見ることが出来なかったお。
アイツの周りにはカードのようなものが浮遊していて――
ジョルジュの『ローゼスビット』。あれに近い雰囲気だったお。
その手には巨大な刃物が握られていて
何よりも恐怖を感じたのは
“その姿は間違いなく人間だったこと”
同族だからこその恐怖。
同じ人間なのになんで、あんなにも恐ろしいのだろうか。
- 67: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/05(土) 23:57:46.37 ID:yV1Duone0
「何でこんな辺境にいるのかはしらねーが、
計画の支障になるものは俺様が片っ端からぶっ殺す!!
覚悟はいいか!? 答えは聞いてねーけどなァッ!!」
そして、それらは僕達に牙をむいたお。
アイツの周りを浮遊してたカードが
猛スピードで僕に向かって飛んできて、瞬時に僕の体を切り裂いたお。
とっさに身を縮めたから傷は浅かったけど
僕を錯乱させるには十分すぎる血が吹き出たお。
(メ;゚ω゚)「う、うわあああ血が、血が出てるお!!
痛い! いたいお、かーtyくぁwせrtyふじこlp」
アイツの攻撃はそれだけに留まらない。
今度はアイツ自身が斬りかかってきたんだお。
一直線に僕をめがけて。
- 70: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:00:04.15 ID:jktubdqn0
「ハァーッハッハッハインリィーッヒ!!」
再び聞いたその高笑い。
その心の奥底まで響く声は、さらに恐怖心を煽り立てる。
僕は指一本動かせなくなったお。
「まずはテメーからだ!! 死ねよやぁあああああああああ!!!」
僕に向かって振り下ろされた刃物。
だけど、その刃は僕に届かなかったお。
(,,゚Д゚)「ギコゴルァアアアアアアアアアアアアア!!!
逃げろぉおおおッ! ホライズンッ!!」
ギコが受け止めていたお。
気のせいだろうか、ギコが人間の姿に……それにしゃべって……?
それが最後に見た、聞いた。光景、声。
真実はわからないままだお。
僕は恐怖のあまり気を失ったんだお。
- 72: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:02:17.31 ID:jktubdqn0
次に意識が戻ったとき、あたりは暗く静かになっていたお。
( ^ω^)「……あれ?」
森の中、地に倒れていた僕。
体に痛みは無い。それどころか傷一つ無い。
もしかして夢だったんだろうか。
(;^ω^)「なんだ。夢かお。怖かったお。
じょーしきてきに考えて、あんなことがあるはず無いお。さぁギコ、かえるお。
こんな暗くなっちゃって、これはカーチャンに怒られるかもしれんね」
ぜーんぶ夢だったんだお。
ぽかぽかいい陽気に当てられて、眠ってしまい見た夢。
本当に夢だったら、どんなに願ったことか。
- 76: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:04:34.23 ID:jktubdqn0
( ^ω^)「ギコ? ギ……こ?」
おかしい、反応が無いお。
先に帰ってしまったんだろうか。
あわててあたりを見回した。
そして見つけたのは、ボロボロの布。
なにかの毛皮だろうか、ところどころ赤く染まっていた。
なんだろうと思って僕は近づいてみたお。
だけど、茂みの中ころがっていたそれは……
;;;; ; ;;; ;;;
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,,,..∧ノ;; メ ;;;; ;;;;;;;
;;;; ; ;;;;;; (メメ゚д‐)っ" ;;;;; ;;;;;;
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ギコ……だったお。
- 79: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:06:48.90 ID:jktubdqn0
体のあちこちから血が出ていて、間接がめちゃくちゃに曲がっている子猫。
これは、人形だお。そうに違いないお!
(メメ゚Д‐)「ぎ、こ……ゴ……るァ……」
信じたくない。信じたくなかったお。
でも、そのかすれてるけど、独特のなきごえは
ギコであることを必死に証明していたお。
( ;ω;)「ギコー―――ッ!!」
僕はあわてて駆け寄り、抱き上げたお。
(メメ゚Д‐)「ゴ……ゴ……ルァ……」
そのギコに、いつものような威勢はなく
どこか遠くへ、イってしまいそうだったお。
そのとき『言葉』ではなく『心』で理解できた。
これが『死ぬ』ってことなんだと。
- 84: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:11:39.48 ID:jktubdqn0
( ;ω;)「ギコ!! ギコ!! 死んじゃだめだお!!」
右耳はちぎれ、左目は開かなくなっていて痛々しかった。
でも、残された右目でギコは真っ直ぐに僕を見つめていたお。
だから僕も目を背けずに、必死で呼び続けたお。
(メメ‐Д‐)「ゴルァ――――…………」
だが、その残された右目も閉じてギコは静かになった……
( ;ω;)「ギコ――――!! 誰かギコを、ギコを助けてくれお!!
誰でもいいお、誰か、誰か――――――ッ!!」
ここは森の奥、近くには誰もいない。
僕の悲痛の叫びは誰の耳にも届かない。
僕はギコを背負い走り出したお。
まだ、間に合うと思ったんだお。
治療すればギコは、まだ死なずにすむ。
そう思って。
ギコの体は僕の背中に重くのしかかったお……
- 86: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:13:51.86 ID:jktubdqn0
( ;ω;)「はぁはぁ……」
森の出口を目指して一生懸命走った。
何度も転んだ。それでも走ったお。
だけど森の出口は見えてこない。
暗い森の中、僕は迷子になっていたお。
昼の美しい木々の並びは
夜には姿を変え、中にいるものを惑わす。
( ;ω;)「出口はどっちだお!?
このままじゃ、ギコは……ギコが」
(メメ‐Д‐)「…………」
闇空を鳥が飛んでいた。
( ;ω;)「ブーンが鳥さんみたいに飛べたら、こんな森すぐに出られるのに……」
そんなことを考えながら、僕はまた走り出したお。
- 90: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:16:08.13 ID:jktubdqn0
- やっとのことで森を出たお。
でもここからトルッカの村までもかなりの距離があるお。
もう迷うことは無いけど、子供の足では相当遠く感じられる。
( ;ω;)「はぁはぁはぁはぁ……」
走る。走る。転ぶ。走る。走る。転ぶ。走る。転ぶ。
走る。転ぶ。走る。転ぶ。転ぶ。走る。転ぶ。転ぶ。
背中のギコは重く、走ることに慣れていなかった僕は重心を崩し、転びに転んだ。
(メ;ω;)「はぁはぁ、いたいお……でも走らないとギコが……」
転んだ拍子に見えた空は、星が盛大に輝いていた。そして、一つの流れ星。
(メメ;ω;)「!?」
急に背中のギコが軽くなった。
(メメ‐Д‐)
確認してみると大丈夫だった、ちゃんといたお。
僕はここぞとばかりに走り出したお。
(メメ;ω;)「後ちょっとだお、ギコ……」
僕は走ったお。
命の重みがナくなったのだとは、気づかずに。
- 96: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:18:53.66 ID:jktubdqn0
- 村につくとカーチャンやドクオが僕のことを探していた。
('A`;)「内藤! 今まで何処に……」
J( ;ー;)し「よかった……無事だったのね」
(メメ;ω;)「ギコが……ギコが!!」
(メメ‐Д‐)「――――」
('A`;)「ギコ……」
J(;'ー`)し「ギコちゃん!! 早く病院へ連れて行かないと!」
ギコをカーチャンに渡したとき
ギコの体は既に硬く冷たくなっていたお……
それからのことは、言うまでもなく……
同じ空の下では幸せに暮らしている人もいるのだろうか。
結ばれるカップルや、新たな生命の誕生などもしているかもしれない。
この星明りの下で僕は命の重みを知った。
まったく不平等だお。神様……。
僕に力があれば、ギコは……
- 98: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:21:21.09 ID:jktubdqn0
次の日。
('A`)「内藤……そんなに落ち込むなよ。お前のせいじゃないって」
( ^ω^)「……いや、僕のせいだお……」
昨日の病院でのやり取り。
『何でもっと速く来なかったんですか!』
『すぐに処置すれば間に合ったかもしれないのに!』
医者や看護士のこの言葉が幼い僕に突き刺さったお。
そして、何をすべきかを一晩考えていたお。
( ^ω^)「ドクオ。僕は走るお」
('A`)「は?」
( ^ω^)「走って走って、誰にも負けないくらい速く走れるようになるお。
そうすれば、きっと空も飛べるはずだお。
もうギコのような助かる命を失わないように……」
('A`)「……そうか」
- 101: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:23:44.12 ID:jktubdqn0
( ^ω^)「どうやったら速く走って空を飛べるお?」
('A`)「さぁな。うーん、飛行機みたいに手を広げて走ったらどうだ」
⊂二二二( ^ω^)二⊃「こうかお」
('A`)「おっ、なんかいい感じじゃね?
ブーンってかんじで」
⊂二二二( ^ω^)二⊃「ブーンかお。それがいいお!!
今日から僕は『ブーン』だお!!」
('A`;)「な、内藤?」
⊂二二二( ^ω^)二⊃「『ブーン』だお、ドクオ。
この足で誰かを助けるために走る男ブーンだお!
じゃ、早速走りこみに行ってくるお!」
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン
('A`)「ブーンねぇ。ま、アイツが元気ならいいか……」
- 104: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:26:06.33 ID:jktubdqn0
さらに次の日、僕は早起きしたんだお。
自分に枷を課すために。
J( 'ー`)し「あら、ホライズン。今日は早いのね」
( ^ω^)「ブーンだお、カーチャン。
早起きは3もんのなんたらだお」
J( 'ー`)し「?」
「新聞だよ。AZ新聞だよ」
( ^ω^)「お、きたお!」
新聞屋「AZ新聞だよ。全然新聞だよ」
( ^ω^)「新聞屋さん、ブーンにも新聞配達させてくれお!
バイトしたいお」
新聞屋「バイトって(笑)いやいや笑っちゃいけないか。なんで?」
( ^ω^)「速く走るための修行だお!」
新聞屋「あー、そういう入りかたが一番危険なような気がする」
- 107: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:28:46.04 ID:jktubdqn0
( ^ω^)「新聞屋さんは足が速いお」
新聞屋「それは、毎朝ジョギングをしているから」
( ^ω^)「お金は要らないお。だからやらせてくれお」
新聞屋「これまた今までなかった発想だ(爆)」
( ^ω^)「やらせてもらえるのかお」
新聞屋「(おいしい話には気をつけた方がいいけど、
給料そのままで、この子に配達してもらえて自分は楽できるんだ)
めちゃくちゃうまい。いい事づくめ(爆)!」
いまいち、会話が通じてるかわからない人だったけど、
新聞屋さんは僕に残りの新聞を手渡してくれたお。
明日からは配達時間前に家の前に新聞を置いていくとのことだったお。
新聞屋「ではそろそろ次の町に行く時間なのでさらばじゃ! ドロン‘‘『ルーラ』」
( ^ω^)「やっぱりルーラっていいお。空とぶってあんな感じかお」
今、僕はルーラが使えるようになったけど。
空を飛ぶって言うのとは違う感じがするお。
あれは、『風』になるって感じだお。
まぁ、ともかくこの日から僕の新聞配達の日々が始まったんだお。
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