( ^ω^)は幻の大地の住人のようです

  
109: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:31:42.57 ID:jktubdqn0
  

 その日から僕は走ったお。
 朝は新聞配達、その後も走って
 夕方にも新聞配達して。寝る前にも走って。

   ⊂二二二( ^ω^)二⊃『♪あの光る風は青春のオンザロードだぜ」

 最初はやっぱり、よく転んだお。
 時には新聞を汚したこともあったお。
 でも、村の人達は僕を応援してくれたお。


          『♪光る風を追い越したら君にきっと逢えるね』⊂二(^ω^ )二二二⊃


 単純だったから、速く走ればきっと空も飛べると。
 救える命もあると、そう思って走ってたお。


   ⊂二二二( ^ω^)二⊃『♪そのキモさで光る風追い越して、今すぐに〜』



 今では、誰にも負けないぐらい足は速くなったお。
 流石にジョルジュや、ホイミン……みたいに速くは走れないけど
 一般人としては、ずいぶん速い方だと思うお。


 でも、いつまでたっても空は飛べなかったお。



  
112: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:34:10.08 ID:jktubdqn0
  

( ^ω^)「カーチャン……ブーンには空を飛ぶのは無理なのかお」

J( 'ー`)し「ブーン、あなたは良くがんばってるわ。
      でもね、人にはううん。生き物にはそれぞれ演じるべき役割があるのよ
      鳥さんは飛ぶ。あなたは早く走れる。欲張っちゃダメなのよ」

( ´ω`)「やっぱり、空は飛べないのかお……」



    わたしが両手をひろげても、
    お空はちっともとべないが、
    とべる小鳥はわたしのように、
    地面(じべた)をはやくは走れない。


          /⌒ヽ
   ⊂二二二( ^ω^)二⊃
        |    /       ブーン
         ( ヽノ
         ノ>ノ 
     三  レレ



 それでも僕は空を飛びたいと思ったお。
 僕は欲張りだったから、速く走れるだけでは満足できなかったんだお。



  
114: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:36:21.94 ID:jktubdqn0
  

 そう、僕が走るのは誰かを護りたいから。
 命を救いたいからだったお。

 だから僕は走る。
 誰かの為に走る。


 “僕にとって、走ることは護ること”



 でも、僕は誰一人護れなかった。


 ギコ……
 カーチャン……
 ホイミン……

 結局、僕が走っても救える命は無かったお。


 なら、僕は走ることをやめよう。
 どうせ、走っても無駄なのだから。
 もう疲れたお。


――
――――
――――――――



  
117: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:38:33.81 ID:jktubdqn0
  
 ここに着てから何日たったかお……。
 空から水滴が落ちてきた。


(ヽ´ω`)「雨かお……」

 昔のことを思い出してたら、いつの間にか雨が降ってた。
 もうどうでもいいことだお。


(ヽ´ω`)「おなかすいたお。ながおか何か作ってくれお」

 雨が強くなってきた。

(ヽ´ω`)「ツン……荷物から傘だしてくれお……」

 雨脚がさらに強くなった。

(ヽ´ω`)「だれも、いない、のか……お……」

 ドクオ……ながおか……ツン……

 皆、どこへ行っちゃったんだお。
 僕をおいていかないでくれお……

 僕は……一人なのかお?


(ヽ;ω;)「一人は、嫌だお……誰かブーンと一緒にいてくれお!!」



  
119: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:40:47.53 ID:jktubdqn0
  

 そして 物語は 現在へと追いつく。


〜バーボンハウス本店〜


(´・ω・`)「――それで、僕のところに来たと言うわけか」

( ´ω`)「これが、今まであった全てのことだお」

(´・ω・`)「僕を頼ってきてくれたのはうれしいと思うが、
      そんなキミだったら、僕もキミを見捨てるよ内藤ホライズン」


(;´ω`)「そんな! ショボンにまで見捨てられたら僕は、どうすれば……」


(´・ω・`)「いいかい。誰も護れないと言って何もしなかったら、もっと誰も護れないんだよ。
      それにキミが走る事で救えた命だってあるはずさ。
      君が気づいていないだけでね。少なくとも僕は何度か君に助けられた」

(;´ω`)「それでも、僕はもう! もう疲れたんだお!」


(´・ω・`)「そうかい、それなら僕は――



  
124: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:43:07.10 ID:jktubdqn0
  

船乗りA「らしくないでっせブーンのアニキ」

荒くれA「話を聞いてた限りアニキは、もっと立派な人のはずだ
      こんなところで立ち止まってるべき人じゃないぜ!」

盗賊A「アンタだって行ったじゃないか!
     『仲間に見捨てられたって、やりたかったことをやれ』って」

(`・ω・´;)「えっと、そのがんばれブーン君!」

(´・ω・`)「兄さん。無理矢理、話に加わろうとするのやめなよ。
      そんなんだから、トークにキレが無いとか言われるんだよ」

(`・ω・´)「うるさいほっとけ!」


(´・ω・`)「さて、内藤ホライズン。みんなは、こう言ってるけどキミはどうするんだい?」


( ´ω`)「……僕はどうすれば……
      ギコ……カーチャン……ホイミン……
      僕はどうしたらいいんだお……」


 その時 ブーンの胸が輝きだした!



  
127: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:45:09.31 ID:jktubdqn0
  

(`・ω・´;)「これは……!?」

( ´ω`)「……勇気のバッジが輝いてるお……?」

(´・ω・`)「『勇気のバッジ』。
      持つの者に『勇気』と『希望』を与え、そして時には『奇跡』を起こすと言われているね」

(`・ω・´;)「博識だなショボン」

(´・ω・`)「兄さんが無知なんだよ。バーテンならこれぐらいの情報は聞き集めないと」


 そんな二人の やり取りのあいだも ますますバッジの発する光は大きくなっていく!


(;´ω`)「なんだか、不思議な気分だお……暖かい、やさしい光だお……」


 そして 奇跡は起きた!


 「ゴルァ!!」

 「ブーン……!」

 「マスタァァアアアアアアア!!」



  
130: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:47:16.65 ID:jktubdqn0
  

( ;ω;)「ああっ、ああこの声は……!」

 バーボンハウスの店内に響く3つの声。
 それはブーンが求めていたもの。

 「ゴルァ!! 元気出せや!!
  そんな、お前は見ていたく無いぜ!!
  笑えよ! ギコハハハハハハハハってな!!」

 一つはギコの威勢のいい声。


( ;ω;)「ギコ、ギコなのかお!?
      今の僕には君の言葉がわかるお!」

 「そうだぜ! ギコだぜゴルァ! やっとお前と話が出来たなゴルァ!
  お前ら親子とドクオと過ごしたの数週間楽しかったぜ!
  今はこっちでカーチャンと楽しく過ごしてるぜ!!」

( ;ω;)「今、何処にいるんだお!?
      姿を見せてくれお!」

 「おっと、そいつは無理だぜ。
  こっちのことは気にせず、お前はそっちで楽しくやれよな! じゃあなゴルァ!」


( ;ω;)「ギコ! 待ってくれおギコ!! まだ話したいことが……!」



  
133: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:49:37.46 ID:jktubdqn0
  


 「ブーン。ごめんね。こんなときにあなたの役に立てなくてダメなカーチャンで、ごめんね」

 一つは母の優しい声。


( ;ω;)「カーチャン……僕のほうこそ、こんなダメな子でごめんだお……」


 「あなたにはまだ教えなきゃいけない事がたくさんあったけど、今は一つだけ。
  『あなたが無駄にすごしたこの数日は、死んだ人が生きたいと切実に願った日々なのよ』
  だからこのまま無駄のままで終わらせないで。無駄を有効な日にして、あなたなら出来るわ」

( ;ω;)「でも、僕はどうしたら……」


 「もう一度あなたにこの言葉を授けるわ。
 『生き物には演じるべき役割がある。でも、欲張っちゃダメなのよ』 
  今ならこの言葉の意味がわかるわね? だから、あなたの役割を演じなさいブーン」


( ;ω;)「わかったおカーチャン……ありがとうだお……」



  
139: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:51:50.20 ID:jktubdqn0
  

 「マスター!」

 最後の一つはホイミンの真っ直ぐな想いの詰まった熱い声。


( ;ω;)「あっああ……ホイミン……」

 「そうですよぉおお! 私ですよ! わかりましたかマスター!!」

( ;ω;)「わからないはずが無いお、ホイミンは僕達の為にその命を……!」


 「私は自分の役割を果たしただけですよマスター!
  この命はマスターの幸せを護るために神様から授かった物なんですから!」

( ;ω;)「ホイミン……」


 「マスターは私のことなんて気にせず、自分の幸せの為に生きてくださいね!
  マスターの幸せに本当に必要なものは何ですか? それを一生懸命護ればいいんですよぉお!」

( ;ω;)「僕の幸せに本当に必要なもの……?」


 「ああああ! まだお話したいことがたっくさーんあるのに!!
  もう時間みたいですぅ〜」



  
142: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:53:58.92 ID:jktubdqn0
  

( ;ω;)「僕は! 僕はまた走ってもいいのかお!?
      また『ブーン』を名乗っても言いのかお!?」




       「「「 それを決めるのは―― 」」」



         「お前自身だぜゴルァ!!」   (゚Д゚,,)
  J( 'ー`)し    「あなた自身よ!!」
         「マスター自身ですぅ〜!!」 ヽ(・∀・)ノ



        「「「 がんばって『ブーン』 」」」




( ;ω;)「みんな、ありがとうだお。
      『ブーン』は、また走ってみるお
      何度、躓いて転んでもまた……」


 バッジの輝きは収まり 3人の声は聞こえなくなった。



  
147: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:55:58.23 ID:jktubdqn0
  

( ^ω^)「…………皆さん迷惑かけましたお。
      ブーンはまた、走りますお!!」

船乗りA「それでこそブーンのアニキだ!!」

盗賊A「俺もまたがんばってみるぜ!!」

荒くれA「走れ! 輝け! 光って見せろ!」

(`・ω・´)「愛が正義か、正義が悪か」

(´・ω・`)「(何言ってんだかこの人は……)
      ブーン、まったくキミは世話が焼けるんだから……
      でもまぁそんなキミが好きなんだけどね。あーあ、僕もラヴコメ編とやらに参加したかったな」

(;^ω^)(ショボンがいなくてよかったお……いたらさらにややこしいことに……)

(´・ω・`)「それでブーンはこれからどうするんだい?」

( ^ω^)「ツンを探すお。
      ツンには言わなきゃいけないことがあるんだお
      じゃあブーンはいくお!」

(´・ω・`)「まちな、ツンが何処にいるかわかってるのかい。
      それにどうやってそこまで行くつもりだい」

(;^ω^)「おっ……そこまで考えてなかったお」



  
151: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 00:58:10.84 ID:jktubdqn0
  

(´・ω・`)「ツンがどこ行ったか手がかりは無いの?」

(;^ω^)「困ったことになにも無いお」

(´・ω・`)「うーん、ジョルジの奴は一緒なのかなぁ」


 「おーいショボン、いるかー!」

 噂をすれば何とやら
 バーボンハウスの扉を勢いよくあけ ジョルジュが入ってきた!

 _
( ゚∀゚)「おお、すっかり元通り見てぇだな」

( ^ω^)「ながおか!」

(`・ω・´)「やぁ、ようこそバーボンハウスへ」

(´・ω・`)「兄さんちょっと静かに、今はそんなテンプレ挨拶は必要ないから」


(`・ω・´)(ショボーン……ってしたいけど、それだとキャラかぶるからなぁ……)



  
155: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 01:00:28.19 ID:jktubdqn0
  

( ゚∀゚)「あれブーン、来てたのか。てっきり、まだ腑抜けてるかと思ったが」

(´・ω・`)「やぁ、ジョルジ。さっきまで君の言うとおりだったけどね。
      それより、キミ一人かい?」

(;^ω^)「ツンは!? ツンは一緒じゃないのかお!?」

( ゚∀゚)「ん? ツンなら記憶がどうとかで、どっか行っちまったぜ」

(;^ω^)「どこ行ったかはわからないのかお!?」

( ゚∀゚)「さぁ、適当に世界を回ってから帰るとか言ってたけどな」


(´・ω・`)「記憶? 帰る? 記憶が戻ったってことかな」

(;^ω^)「こうしちゃいられないお! やっぱりブーンはもう行くお!!」

(´・ω・`)「情報は無いにも等しいんだよ、それなのに行くって言うのかい?」

( ^ω^)「ツンが行きそうな場所を回って、それで見つからなくても
      もっといろいろ回って……とにかく世界を走るお!
      それじゃ、ショボン、ながおかバイバイだお!」

(`・ω・´)(あれ、俺の名前は呼んでくれないの……?)


(´・ω・`)「まちな、ブーン」



  
160: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 01:02:32.82 ID:jktubdqn0
  

( ^ω^)「止めても無駄だお、ショボン。
      もう立ち止まっている事は出来ないお!!」

(´・ω・`)「とめやしないさ。餞別だよ、持っていきな」

 ショボンはブーンに一粒のフリスクを投げ渡した!

( ^ω^)「これは……?」


(´・ω・`)「ためしに新種開発してみた『ドーピングコンソメフリスク』だよ。
      ハバネロほどの出力は出ないだろうけど、持続力はかなりあると思うよ」

( ゚∀゚)「フリスクに出力とか持続力とか、明らかにおかしな単語だろ」

( ^ω^)「ありがとうだお、ショボン有効に使わせてもらうお!
      では今度こそ、ショボンにながおかに、バーの皆!
      それと、あとえっと……シャキンさん、お世話になりましたお!!」

(`・ω・´)(やった俺の名前があった!)

(´・ω・`)「まぁ、元気でやりなよブーン。ツンによろしく」

( ゚∀゚)「なんだかよくわからねぇが、まぁがんばれや」


( ^ω^)「バイブー!」

 ブーンは思いっきり店の皆に手を振り、出て行った!



  
162: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 01:04:38.01 ID:jktubdqn0
  

( ^ω^)「さっそくだけど、『フリスクIN!!』」

 ブーンは ドーピングコンソメフリスクを装備した!

( ^ω^)「みwなwぎwっwてwきwたw」

 ブーンの体から魔力があふれ出し 金色のオーラとなって輝き光ってみせる!


( ^ω^)「まずは……あそこにいくお!!」


 ⊂二二二( ^ω^)二⊃『ルーラ!!』


 ブーンは ブーンの構えを取り ルーラを唱えた!
 意味は無いが これからまた走り出すと言う彼の心構え。

 彼の体はそのまま光となり空を駆け出した。

 こうして ブーンは再び走り出したのである

           遥か未来へと向かって……

*第四十七話 ブーン外伝『誰が為に彼は走る』 おわり*



川 ゚ -メ)「…………ハートが消えたか……そろそろ私も動かなくては……」



  
165: 47 ◆WOkutRzuoQ :2007/05/06(日) 01:06:17.02 ID:jktubdqn0
  
*次回予告*

 _
( ゚∀゚)「ブーンがこれからどうなるかは、ひとまずおいといて。
     次回の主役は俺! 全編眉毛つきのSP仕様!」

 違います、主役は私です。きっと。
 _
(;゚∀゚)「ナレーター自重!」

川д川「…………」
 _
(;゚∀゚)「うおぁ! 何だこいつ!」


川д川「次回……第四十八話。ジョルジュ外伝『ボクがジョルジュ長岡になった理由』……ミテ……」

 ★挿入歌『創聖のアクエリオン』

 _
( ゚∀゚)「ってことは、つまり……俺のラブストーリー?」

 全編ギャグです。
  _
(;゚∀゚)「なんでだよ!」

 あなたは馬鹿です。
 _
(;゚∀゚)「はぁ!?」



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