(;^ω^)ブーンの周りの人間が狂い始めた様です。

2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/26(月) 20:32:27.12 ID:DP4wNM2W0
  

第十四話「Pain」

川 ゚ -゚)「…」

クーは固まっていた
まさか内藤に恋人が居たとは…。

…自分の出る幕じゃないのだな、と思っていた。

川 ゚ -゚)「…ツン…か…」

こんな醜い自分よりも、内藤にとってはツンの方が良いのだろう
そう思い、クーは内藤の事を諦めることにした。



3:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:33:19.75 ID:DP4wNM2W0
  

…そして、内藤は縛られたツンの傍で咽び泣き続けていた。

1分でも…いや、10秒でも良い。
ツンの声が聞きたい、ツンの優しい声を聞きたい。

内藤はそう思いながら泣き続けていた。

そして大事な話を伝えてほしい。
そう思っていた。

…その時…。

ξ:::−::)ξ「…んっ…」

ツンの口から微かに声が漏れた気がした。

…これは幻聴なのだろう、そう思うことにした。

今のタイミングで都合良くツンが喋る訳がない
これはきっと自分の願望から来た幻聴なのだろう。

そう思った。

…が。



4:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:34:44.72 ID:DP4wNM2W0
  

ξ゚听)ξ「…ここ…は…?」

…なんと、ツンが意識を取り戻した。

これは幻聴でもなんでもない
これは現実だ、しかも暴れてない。

元のツンに戻ったのだろうか?
そう思い、内藤は嬉し泣きしながらツンに抱きついた。

ξ*゚听)ξ「ちょ…やめなさいって……もう…ばかぁ…」

だが今のツンの声は、何時もの可愛いけど、気が強そうな声ではなく
とても弱弱しい声だった。

とても弱っていた。



5:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:37:25.60 ID:DP4wNM2W0
  

…だが、そんな状態でも強がるツンも
我慢しきれなくなった様だ。。

ツンの綺麗な瞳から頬を伝って涙が流れてしまった。

ξ;凵G)ξ「…ぅ…っぅ…っ…ブ…ーン…
       あ…あたし…人…人々の…命を…
       人々の命を奪う…狂った者になっちゃった…」

ツンが涙を流しながら内藤の謝ってきた。
その顔はすごく辛そうで、悲しんでいる表情だった。

ξ。;;)ξ「…もう…やだ…っ
       人を殺したくない…もういや…もうやだよ…っ…グスッ…
       みんな色々な希望を持って生きてるのに…っ
       なのに…なのに…っ…あたし…っ…人々の命奪っちゃった…っ
       …あたし…っ…そんな人々の命を奪いたくない…っ
       ぅぇ…っ…グスン…」

内藤にとってはもう見てられなかった
こんなに辛そうで、苦しんでいるツンの姿を。

とっても優しくて温かい心を持ってるのに
自分の意に反して体が勝手に動いて、人を殺してしまうってのはさぞかし辛いことだろう。

そう思うと、内藤の瞳からも涙が溢れ出してしまった。



6:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:40:26.11 ID:DP4wNM2W0
  

そして、この後内藤にとって信じられない言葉が
ツンの口から発せられた。

ξ。;;)ξ「だから…あんたの手で…」

ξ。;;)ξ「…あたしを…殺して…!!」

ツンが涙を流しながら懇願してきた。

…ツンを自分が殺す…?。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ふ ざ け る な ・ ・ ・!

内藤は腹の底から大きな声でそう叫んだ。



8:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:42:41.97 ID:DP4wNM2W0
  

ξ。;;)ξ「お願い…! もう迷惑かけたくないの…!! あんた達に迷惑かけたくないのよっ!!
       …でも…本当は死にたくない…何時までもブーンと一緒に居たい…!
       だけど…人々の命奪いたくない…あたしのせいで人が死ぬなんて嫌なのよぉっ…!!
       ……だから…あたしを殺して…っ
       そうすれば…誰も殺さなくて済む…あんたにも迷惑かける事は無いと思うのよ…っ
       お願い…っ…ブーン…あたしを…殺して…殺してぇっ!!」

…そんなツンの悲痛な叫びを聞いて、内藤はますます自分を責める様になってしまった。

ツンはこんなにも優しいのに、何故守ってやれなかったのだろう?
そんなツンにすごく辛い思いをさせてしまってしまった事を
心の底から悔やんだ。

(。;ω;)「……ツン…ごめんお…そんな辛い思いをさせて…
      …でも絶対殺さない、ツンを絶対助け出してみせるお」

今の自分にできるのはツンに心から謝る事ぐらいしかできない
…だが、今のツンを安心させるために『助け出してみせる』と言ってしまった訳だが
果たして言わない方が良かったのか?

色々な考えが頭の中で蠢き、さらにブーンを悩ませた。



9:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:44:21.18 ID:DP4wNM2W0
  

ξ。;ー;)ξ「…グスッ…わかった……ブーン…あたし待ってるから…
       …元に戻ったら…一緒に観覧車乗ろ…?
       約束破ったら…承知しないんだからねっ…」

(。;ω;)「も、もちろんだお!! …一緒に乗ろうお…? な…?」

ツンが泣きながらも、笑顔で自分に接する健気な光景に
更に心を痛めてしまった。

ξ。;ー;)ξ「…グスン…ありが…と…
       …ごめん…ちょっと眠たくなってきちゃった…
       ……だからちょっと寝るね…おやすみなさい…」



11:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:45:58.44 ID:DP4wNM2W0
  

…ツンはそう言い残して、再び意識を失った。
内藤の手を握るツンの手から…力が抜けた。

(。;ω;)「…ツン……グスッ…ウッ…」

(。;ω;)「うわぁああああああぁああ!!
      うわぁあああああああああああああぁああぁああぁぁあん!!」

内藤は心の底から泣き叫んだ。

泣きながらも…自分に対しては笑顔で接するけなげなツンを見てしまい…
そして更には、ツンの優しい本心まで聞いてしまい…
そのせいで…自分の心の中に罪悪感
そしてツンを守りきれなかった自分に対する憎悪が生まれた

(#;ω;)「ツーン…! ツゥゥウウゥウウゥゥゥゥウゥウゥゥゥン!!
      う゛わ゛あ゛ぁぁあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」



12:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:46:49.24 ID:DP4wNM2W0
  

ミ'イ, ゚д゚)「…司令官
      俺…トイレに行ってくる」

野田がどこか何時もと違う様な表情で
司令官のギコに告げた。

…その表情には、どこか怒りに燃える感情が浮かぶ様な…。

川 ゚ -゚)「…私は自分の個室で用事があるので…」

クーの方は何か考えがある、と言う様な表情で自分の個室へと戻って行った。



13:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:48:22.06 ID:DP4wNM2W0
  

ギコはそんな二人に潔くOKし
二人をそれぞれの場所へ向かうのを許可した。

そして、野田の方は…。

ミ'イ,#゚д゚)「畜生…!! チクショオオオオオオオオオオ!!
      う゛あああああああああああああああああああああっ!!!」

トイレで壁を破壊し続けていた。
その表情は鬼の様な形相で、我武者羅にトイレの壁を殴って蹴って…壊し続けた。

ミ'イ,#゚д゚)「何で…! 何で人が狂うんだよこの糞があああああああああああああっ!!
      あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」

もう野田のプライドはこの壁の様にボロボロで、ズタボロだった。
野田にとっての原点もぶっ潰れ…手は壁を殴り続けたせいで赤く染まり…
もう野田は崩れ去ってしまった。

ミ'イ,#゚д゚)「うああああああああああああああああああ!!!」



14:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:49:07.23 ID:DP4wNM2W0
  

…が、そんな野田の元に
クーがやってきた。

川 ゚ -゚)「野田、落ち着け」

それでも野田は尚且つ壁を破壊し続ける
クーの言葉に耳を傾けない。

…そんな光景にイライラしてきたのか
クーは野田の腕を掴んで背負い投げを一発食らわせた。

ミ'イ,#゚д゚)「…ってぇ…なんだよ…!?
      放っておいてくれよ!!
      今の俺には何もないんだからよぉっ!!」

川#゚ -゚)「いいから落ち着かないか!!」

…何時も冷静沈着なクーが叫んだ
…これは非常に珍しい事だ。

そんな光景を目にし、野田は思わず驚いてしまった。



15:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:49:51.09 ID:DP4wNM2W0
  

川 ゚ -゚)「…ツンとやらが何故あぁなったのか見当はついている」

…その言葉に野田は愕然とした。

何時も一緒に居るクーがこの事件解決の鍵を既に握っていたとは思いもよらなかった。
…が、それと同時に野田が怒号を発す。

ミ'イ,#゚д゚)「なんでもっと早く言わなかったんだよ!?」

川#゚ -゚)「いいから来い!!
     …私の車に…乗れ…」

クーの剣幕に思わず下手になってしまい
野田はクーの命令に従った。



17:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:51:28.43 ID:DP4wNM2W0
  

そして、クーは野田を自分の愛車"ホンダのNSX"に乗せ
事件の真相を淡々と語り始めた。

それも真剣な表情で

川 ゚ -゚)「これは私の憶測でしか無いかもしれないが、よく聞いてほしい
     …今まで何故人々が狂い…何故人々を殺戮したのか?
     そして人々が狂う原因は何なのか?」

川 ゚ -゚)「それは毒薬だ」

…クーが何故そこまで知っているのだろうか?
その疑問で何時からか野田の心に恐怖心が湧き出ていた。

ミ'イ,;゚д゚)「な、なんで…なんでお前がそんな事知ってんだよ…!?
      それになんでもっと早く言わなかったんだよ!?」

野田が恐怖に満ちた顔でクーに問いかけた。

ここまで続いた事件の真相を知っていたのだから
もしかしたらクーがその事件を起こした黒幕かと思ってしまったのだ。



18:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:52:06.53 ID:DP4wNM2W0
  

川 ゚ -゚)「…以前…前の休日かな…
     内藤と私の良く行く喫茶店に行ったんだ」

野田にとってははその話をよく聞いた覚えがある
クーからその店を何度か勧められていたが、自分は事件解決に集中したいので
その店に行くことを断っていた。

川 ゚ -゚)「そして…私内藤が好きだったんだ
     マラリスト街のオープンカフェで告白しようとしたんだ
     …告白できなかったんだ、狂った者が出たせいで」

ミ'イ, ゚д゚)「で? だからどうしたってんだよ」

川 ゚ -゚)「…明らかにおかしい人物が居た
     狂った者が出てるってのに…怖がりもせず口笛を吹いて走ってゆく者が居たんだ
     …そしてその男からはなにやら毒素っぽい臭いがした」



20:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:53:37.37 ID:DP4wNM2W0
  

野田は段々と冷静になってきた。

クーは素直でクールな性格だ
嘘はまず吐かないだろう、と考えていたので
いつの間にか野田の顔から恐怖の表情が消え去っていた。

クーが敵な訳ない、と思ったから。

川 ゚ -゚)「ツンのあの衰弱の仕方からすると…何らかの毒物による衰弱としか考えられない
     その男がツンに毒を注入したかどうかはまだ分らないが…
     まぁ一応これがその男の顔だ、この前すれ違った毒素っぽい臭いを醸し出している男のな」

クーは記憶をたどりながら、メモ帳にその毒素の臭いがした人物の似顔絵を描いた。
その顔は…。

[ ( ^Д^) ]

タカラだ。



22:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:55:12.25 ID:DP4wNM2W0
  

ミ'イ,;゚д゚)「…弟…!!」

野田の口から思いがけない言葉が出た
しかもその野田の表情には驚きの表情が浮かんでいる。

川 ゚ -゚)「何…!?」

ミ'イ,;゚д゚)「…こいつ…俺の弟だ…!!
      昔っからハインリッヒ高岡っつー女と付き合ってたんだけど…
      その高岡なる人物が病気になってから行方が分からなくなったんだよ
      その時にタカラの野郎…アパートから引越しちまって…」

ここでクーの考えが纏まった
そのアパートの大家さんから情報を聞き出して
現在の住所を調べれば良い。

その住所でタカラと会って毒薬を渡す様に言う。
そしてその毒薬から解毒剤を作り、ツンを元に戻す。

この考えを一通り、野田に説明した。

川 ゚ -゚)「よし、今日は私の家に泊まれ
     …この計画の決行は明日の朝4時だ
     人の居ない時間に決着を付けよう」



23:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:56:11.92 ID:DP4wNM2W0
  

一方、ツンを狂わせた黒い者共は…。

( ^Д(::)「ぐふっ…!!」

タカラはモララーに殴られていた
その殴られる理由は言うまでもない。

実験に失敗したからだ。

今頂点に立とうとしているモララーにとっては
許しがたい事なのだろう。

(#・∀・)「おいおい? どう言う事なんだァ?
     テスト失敗な上に…その実験対象の奴まで持っていかれるとはなぁ!?」

(;^Д^)「…申し訳御座いません
     注入した相手が以前戦ってた奴の女だった様で…!」

(#・∀・)「…で? その彼氏の言葉で
     その女の元の人格が一時的に戻ったとか言ういかにもタコにも
     なんかのアニメやドラマみたいな展開になったと!?」



24:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:56:44.69 ID:DP4wNM2W0
  

(;^Д^)「…申し訳ございません…」

タカラはただただ頭を下げるばかりだった。
モララーに謝らないとこの仕事ができなくなる。

…そして、自分の恋人を救えなくなる。

(#・∀・)「…まぁ良い、明日もう一度その薬を誰かに注入して来い!
     今度は女性じゃなく男性でな!!
     …が、今度失敗したら…お前なんかこの組織から出てけ!!」

モララーのその表情は、恐ろしい悪魔の様な形相だった。
そしてその怒号は、鬼の叫び声の様な声。

その怒号にタカラは思わず慄いてしまった。



25:◆74/uug7zMk :2006/06/26(月) 20:57:06.15 ID:DP4wNM2W0
  

…そして、モララーから帰る様に言われたタカラは
自分の家へと帰って、ベッドで横になって

その高岡なる人物の写真を眺めていた。

[ 从゚∀从 ]

( ^Д^)「…高岡ぁ…絶対…たすけてやっからな…」

第十四話「Pain」



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