( ^ω^)ブーンが剣と魔法の学園に入学したようです
- 1:1 :2006/06/19(月) 23:34:56.21 ID:ltEWpQ6/0
ここは剣と魔法の世界、ニチャン。
桜が満開を迎え、春の訪れを告げている。
今日はVIP魔法学園の入学式が行われる日だ。
新入生たちが、生まれたばかりのヒヨコのような目をしながら、講堂へと吸い込まれていく。
彼ら新入生は先月、魔法ハイスクールを卒業したばかり。まだまだ新米である。
( ^ω^)「ついにこの日が来たお……」
そんな新入生の中に、ブーンはいた。
ブーンは魔法ハイスクールを卒業したものの、単位はギリギリで遅刻常習犯、そのうえ運動神経も並くらいだ。
お世辞にも優秀な生徒ということはできないだろう。
( ^ω^)「これから2年間、夢のようなスクールライフがブーンを待ってるんだお。wktk」
しかしブーンは生来の能天気さで、何の心配もしていないようだ。
- 4:1 :2006/06/19(月) 23:36:49.03 ID:ltEWpQ6/0
- ('A`) 「お、いたいた! おーい、ブーン!」
( ^ω^)「ドクオ! それにショボンとツンだお!」
人ごみの中から3人の人影が抜け出してきた。
ドクオ、ショボン、ツン。彼ら3人はブーンの親友である。
魔法ハイスクール時代は、いつもこの4人で行動していた。
ξ゚听)ξ「探したわよ、まったく。なんで一人で先に行っちゃうのよ!」
(´・ω・`)「例年通り、新入生は200人くらいらしい。はぐれないようにみんなで一緒に行こう」
(;^ω^)「把握したお。怒らないでくれだお、ツン」
待ち合わせを無視したブーンがツンに怒鳴られながら、彼ら4人は講堂へと足を運んだ。
- 6:1 :2006/06/19(月) 23:38:56.02 ID:ltEWpQ6/0
- 学園長の話が終わり、入学式の全行程が終了した。
今は休憩時間である。学生は思い思いに雑談をしていた。
(´・ω・`)「先週、学科決定の通知が届いたよ。みんなの所にもきたかい?」
('A`) 「きたきた。じゃあ何を専攻することになったか、もうそろそろ発表してもいいんじゃないか?」
( ^ω^)「賛成だお」
VIP魔法学園には3種類の学科と、そこから枝分かれする
専攻科目が存在する。
ブーンたちは今まで、その決まった学科を秘密にすることにしていたのだ。
それは、周りに流されずに自分の道を選ぼうと、4人で話し合ったことだった。
('A`) 「俺は戦士科の斧・鎚専攻だ。男のロマンってやつだぜ」
(´・ω・`)「ドクオ君はみかけによらず力持ちだからね。縁の下の力持ちでいてくれると助かるよ。僕が」
('A`) 「……」
ξ゚听)ξ「私は魔法科の白魔法専攻。治癒魔法研究会にも入ろうと思っているわ」
( ^ω^)「ツンの夢は女医さんだったかお? だったらそれがいいお」
(´・ω・`)「僕は魔法科、黒魔法専攻だ。まあ妥当な線かな」
ξ゚听)ξ 「ブーンはどっちの学科にしたの? 戦士科? 魔法科?」
- 7:1 :2006/06/19(月) 23:41:20.17 ID:ltEWpQ6/0
- ( ^ω^)「どっちでもないお。魔法戦士科だお!」
ブーンは胸を張って、戦士・魔法科に続く第3の学科を口にした。
('A`) ω・`)听)ξ「!!」
すると突然、3人は驚愕の表情を見せた。そしてただ、じっとブーンを見つめている。
ブーンはいたたまれなくなり、疑問を声に出した。
(;^ω^)「あ、あれ? どうしたお? 魔法戦士ってカッコイイと思わないかお?」
ξ゚听)ξ「あなた……先月の説明会で何を聞いていたの?」
( ^ω^)「何って……」
ブーンの脳裏に、学園説明会の光景がよみがえる……。
( ^ω^)(え〜っと、確か最初は学年主任兼戦士科の先生の話だったお)
- 9:1 :2006/06/19(月) 23:44:08.74 ID:ltEWpQ6/0
- ( ,,゚Д゚) 「ゴルァ! 俺が学年主任兼戦士科のギコだゴルァ」
講堂のステージに上った男は、拡声魔法のかかったメガホンで学生に呼びかけた。
( ,,゚Д゚) 「諸君らは魔法ハイスクールで剣術、魔法の基礎を履修した将来有望な学生だゴルァ。
ここVIP魔法学園では2年間、それらの応用や実践的なスキルを学ぶことになるゴルァ。
これからも勉学にいそしんで欲しいぞゴルァ」
( ^ω^)(ゴルァゴルァうるさい先生だお……)
( ,,゚Д゚) 「学年主任としての挨拶はこれぐらいにして、戦士科の説明に入るぞゴルァ。
戦士科に入ろうと思ってるヤツはビシバシしごくんでそのつもりでいろゴルァ」
(;^ω^)(熱血系かお、ついていけないお……)
( ,,゚Д゚) 「戦士科は5つの専攻科目があるゴルァ。まず短・長剣術専――」
( ^ω^)「そこで意識がプツンと途絶えたお」
ξ゚听)ξ「……それで? まさか最後まで寝ちゃったとか言うんじゃないでしょうね?」
(;^ω^)「いや、次の黒魔法の先生が唱えた覚醒魔法で起きたお」
ξ゚听)ξ「そういえばそうだったわね」
- 10:1 :2006/06/19(月) 23:47:01.36 ID:ltEWpQ6/0
- ギィィィィィィィ――――ンッ!!!!
強烈な不快音が講堂を駆け巡り、全ての学生が耳をふさいだ。
それも起きていた者、寝ていた者を問わず全員である。
教師陣は全員、耳栓を着用していた。
川 ゚ -゚)「いい加減に目覚めなさい!」
いつのまにかステージには、黒魔法の先生らしき女が立っていた。
川 ゚ -゚)「ちゃんと先生の話は聞くように。私はクー。では魔法科黒魔法専攻の説明をはじめる」
(;^ω^)(な、なんだお、この怖い先生は)
川 ゚ -゚)「もちろん皆さんご存知とは思うが、黒魔法は四大元素や五行から成り立っていると言われている。
まだ明確には解っていないがね。その起源は今から2万年以上昔と言われ、発祥地は――」
(;^ω^)(き、聞いていて頭が痛いお)
(´・ω・`)「あれは興味深い論説だったと思うけど……」
( ^ω^)「寝るのはヤバそうだったから、そこから無我の境地に入ったお」
('A`) 「んで白魔法の先生の話はどうしたんだ?」
- 13:1 :2006/06/19(月) 23:49:21.41 ID:ltEWpQ6/0
- (;^ω^)(やっと終わったお……もうヘトヘト)
(*゚ー゚)「はいはーい、白魔法専攻の説明を始めまーす」
( ^ω^)(おおお! 今度はまともそうだお。期待できるお)
(*゚ー゚)「私が担当のしぃです。皆さんよろしくお願いしますね」
その瞬間、右肩下がりだった学生たちのテンションは、通天閣打法も真っ青の急激な上昇を見せたが、
(*゚ー゚)「では皆さんに簡単なアンケートをやってもらいます。今から転送魔法で1人1人にお送りしますね」
30ページを超えるアンケートが飛んでくると、直後に160キロのストレートを超える速度で落ち込んだ。
('A`) 「あれは確かに打ちのめされたなぁ」
( ^ω^)「まともな教員が本当にいるのか疑ったお」
(´・ω・`)「そのショックで肝心の話の内容は聞いていない、と」
(;^ω^)「そういうことだお。それで――」
- 14:1 :2006/06/19(月) 23:51:11.55 ID:ltEWpQ6/0
- (;^ω^)(次が最後だお、もうコレにかけるしかないお! たのむお、新世界の神様!)
どこぞの神様に祈るブーン。その間に、頼りなさそうな老人がステージに上がっていた。
/ ,' 3「わしが魔法戦士科の荒巻じゃ」
( ^ω^)(あのお爺さんが先生かお? 大丈夫かお)
/ ,' 3「我が科は基本的に来る者は拒まず、去る者は追わずじゃ」
( ^ω^)(!!)
/ ,' 3「基本マターリやっておる。諸君らが来るのを待っておるぞ」
( ^ω^)(これだ、これだお!)
( ^ω^)「――というわけだお。話は一応聞いてたお」
('A`) ω・`)听)ξ「……」
3人はもはや完全にあきれ返っている
ξ゚听)ξ「あのね、ブーン。私がちゃんと聞いたかって尋ねたのは、その後のことよ」
( ^ω^)「へ?」
- 15:1 :2006/06/19(月) 23:53:45.91 ID:ltEWpQ6/0
- ξ゚听)ξ「その後、もう一度学年主任のギコ先生が出てきてのよ」
('A`) 「んで、学科、専攻科目ごとの人数とか就職状況の説明があった」
(´・ω・`)「それによると、魔法戦士学科は前年度、志望者5人。うち2人が自主退学、3人が留年」
(;^ω^)「!!??」
('A`) 「言いにくいが、つまりは……あー、落ちこぼれ学科ってことだ」
「落ちこぼれ」
その言葉を聴いた瞬間、ブーンの中で、何かが崩れ去った。
それは自尊心だったり、未来への希望だったりしたかもしれない。
(;^ω^)「で、ででででででも、途中で学科を変えるってことも」
ξ゚听)ξ「それも言ってたわ。学科変更は、進級もしくは留年が決まったときしかできないそうよ」
(;゚ω゚)「そそそそ、そんな、去るものは追わずって言ってたのに……」
(´・ω・`)「酷だけど、ちゃんと聞いていない君のほうが悪いよ」
( ;ω;)「うっ、ウッ」
- 16:1 :2006/06/19(月) 23:55:35.68 ID:ltEWpQ6/0
- その時、周囲の学生たちがぞろぞろと移動し始めた。
('A`) 「あ、戦士科の学園案内ツアーみたいだ。俺行かないと」
(´・ω・`)「どうやら魔法科のほうも動き出したようだ」
( ;ω;)「そ、そんな、みんな行っちゃうのかお?」
ξ゚听)ξ「ブーン……」
せめてもの慰めになることを言ってあげようと、ツンは必死に頭をめぐらせる。
ξ゚听)ξ「……そうよ、そう! ブーン、あなた案内ツアーはないんでしょう?
だったら部室棟に行きなさい!」
( ;ω;)「部室棟? なんだお、ソレ」
- 18:1 :2006/06/19(月) 23:57:40.80 ID:ltEWpQ6/0
- ξ゚听)ξ「この学校の全ての部室が集まっている建物よ。そこでいい部活を探すの」
(´・ω・`)「そうか! もしかすると、学業を助けてくれる先輩が見つかるかもしれない」
( ^ω;)「おっおっ?」
('A`) 「そうだな。まだあきらめるのは早いぜ、ブーン」
3人に励まされ、ブーンは次第にいつもの調子を取り戻し始めた。
( ^ω^)「……ようし、なんだか少し元気が出てきたお! ありがとうツン、ドクオ、ショボン!」
ξ///)ξ「べ、別にアンタのために教えてあげたんじゃないんだからね!」
(;'A`) 「じゃあ誰のためだよ」
( ^ω^)「早速その部室棟に行くお! また後で会うお!」
そう言い残すと、ブーンは瞬く間に講堂を抜け出していった。
ξ゚听)ξ「ブーン……がんばって」
第1話 おわり
戻る/第2話