( ^ω^)ブーンが剣と魔法の学園に入学したようです

23:1 :2006/06/20(火) 00:03:17.46 ID:KmIKyWl40
  
(;^ω^)「や、やっと見つけたお、部室棟……」

勢いよく飛び出したブーン。しかしブーンは、肝心の部室棟の場所を知らなかった。
ブーンは地図と格闘したり人に尋ねたりして、ようやくたどりついたのである。
部室棟は巨大な円柱のような形をしていた。だいたい20階建といったところだろう。

( ^ω^)「これじゃ部室棟というより部室塔だお。早速入ってみるお!」

ブーンは塔に入った。
1階は広々としたホールだ。ところどころ学生が話をしている。奥には大きな階段が見えた。
ブーンは塔内の案内図を見つけた。全部で21階。どうやら2階からが部室らしい。

( ^ω^)「2、3階は体育会系ばかりだお。入る気ないからここはすっとばすお」

ブーンは4階まで駆け上がった。



25:1 :2006/06/20(火) 00:05:17.16 ID:KmIKyWl40
  
塔の4階には扉が4つあった。扉に部活の名前が書いてあるのが見える。

( ^ω^)「波紋・スタンド研究会……?」

ブーンは一番手前の扉の前へ進み、書いてある文字を読み上げた。
研究会というからには、おそらく文化系の部だろう。

( ^ω^)「とりあえずここを見学してみることにするお!」

ブーンは扉を開いた。



26:1 :2006/06/20(火) 00:06:23.71 ID:KmIKyWl40
  
( ^ω^)「失礼しま――」


 「UURRRRYYYYYYYY!!」

 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」

 「震えるぞハート! 燃え尽きるほどニート!」

 「あの『モナリザ』がヒザのところで組んでいる「手」…。
  あれ…初めて見た時……なんていうか……その…下品なんですが…フフ……勃」



バタン


ブーンはなかったことにした。



27:1 :2006/06/20(火) 00:08:09.16 ID:KmIKyWl40
  
(;^ω^)「ひぃ、ふぅ、はぁ、ひぃ」

ブーンは息も絶え絶え、階段を上っていた。
それもそのはず。いい部活も見つからないまま、すでに19階を通過したのだ。
もうここまでくると、人気もほとんどない。

(;^ω^)「錬金術研、超能力部、伝説の装備研……どれもまともじゃなかったお。
       スライム育成部では溶かされそうになったし」

(;^ω^)「次の部活こそ、普通でありますようにだお」

ブーンは20階にたどりついた。その瞬間、

ボカン!

前方にあった扉が突然吹き飛んだ。

比喩ではなく、本当に扉が枠を外れ、ブーンのほうに飛んできたのである。

(;^ω^)「おっ、おおお!?」

吹き飛んだ扉はブーンの横を通過し、階段を転げ落ちていった。
扉がなくなった部屋からは、大量の黒煙がもくもくとあふれ続けている。
どうやら室内で何かが爆発したようだ。

(;゚∀゚)「ゲホ、げほ、ひどい目にあったぜ」

( ^ω^)「……お?」



28:1 :2006/06/20(火) 00:10:35.27 ID:KmIKyWl40
  
黒煙の中から、男が四つんばいで這い出てきた。

( ゚∀゚)「ん? 誰だお前、こんなところに」

(;^ω^)「ブーンだお。それよりも大丈夫かお、そっちは」

( ゚∀゚)「ああ、いつものことだ。気にするな」

その男は立ち上がり、着ているローブをはたいた。

( ゚∀゚)「おれはジョルジュ。ここ生活魔法部の部長さ」

( ^ω^)「生活魔法部?」

( ゚∀゚)「ああ、生活に役立つ魔法を扱ってる。そうそう今も……あ!」

ジョルジュは何を思い出したのか、走って室内に戻った。ブーンもそれに続く。
室内の煙はかなり薄まっていた。ブーンは机の前にいるジョルジュに近寄った。

(;゚∀゚)「か、完成だ! ねんがんのシタギスケールをてにいれたぞ!」

( ^ω^)「シタギスケール?」

( ゚∀゚)「フフフフフ、シタギスケールはその名のとおり、下着が透けて見えるようになる薬だ!」

(;^ω^)「な、なんだってー!?」



30:1 :2006/06/20(火) 00:12:57.20 ID:KmIKyWl40
  
( ゚∀゚)「完成した暁だ、お前にも1口飲ませてやろう!」

(;^ω^)「m、mjd!? 是非是非!」

( ゚∀゚)「さあこれで女の子のおっぱい見放題だ! おぬしも悪よのう」

( ^ω^)「いえいえ、お代官様こそ。フヒヒヒ」

( ´∀`) 「おいおい、またドアふっ飛ばしたのかモナ……あ、お客様?」

突然、部室の入り口から声がした。ブーンが振り向くと、そこには一人の男が立っていた。
発言から推察すると、どうやらこの男も生活魔法部らしい。

( ゚∀゚)「お、モナー。いい所に来たな。喜べ、シタギスケールが完成したぞ!」

( ´∀`) 「ん……シタギスケール?」

( ゚∀゚)「今からこいつと飲むんだ。お前にも分けてやるぜ」

( ´∀`) 「下着が透けても服が透けなきゃ意味がないんじゃないかモナ?」

( ゚∀゚)「……」

( ^ω^)「……」



31:1 :2006/06/20(火) 00:15:12.66 ID:KmIKyWl40
  
ジョルジュはショックで机にうなだれ、モナーは荒れた部室の掃除をしていた。
成り行き上、ブーンもそれを手伝っている。

( ´∀`) 「さてと、大体終わったモナ。助かったモナ、ブーン」

( ^ω^)「いやいや、お安い御用だお」

( ´∀`) 「ところでブーンはここに何しに来たモナ?」

( ^ω^)「新入生だから、部活を見学しにきたんだお」

( ゚∀゚)「何!? 新入生!」

新入生と聞いた途端、ジョルジュは元気を取り戻し、ブーンに詰め寄った。

(;^ω^)「お? お?」

( ゚∀゚)「お前新入生か! そうかそうか! だったらウチに入れ!」

( ^ω^)「お……!?」

( ´∀`) 「そうだな、入ってくれると助かるモナ」

ブーンは少し戸惑った。まさか自分が勧誘されるとは夢にも思っていなかったのだ。
迷う。だが、この二人とは気が合いそうだとブーンは感じた。

( ^ω^)「じゃあ、僕からも入部をお願いするお」



33:1 :2006/06/20(火) 00:17:53.46 ID:KmIKyWl40
  
( ゚∀゚)「おっしゃあ! 部員ゲット! よろしくな、ブーン」

( ´∀`) 「よろしく頼むモナ、ブーン」

( ^ω^)(いい人たちみたいで良かったお。これで万事安心だお)

( ゚∀゚)「いや〜、こんな弱小部によく来てくれた!」

( ^ω^)(お?)

( ´∀`) 「部室が20階になったときはどうしようかと思ったけど、なんとかなったモナ」

(;^ω^)「ちょちょちょ、どういうことだお? なにやら雲行きが怪しいお」

( ゚∀゚)「知らないのか? 人気や実績がある部活から、部室を選べるんだよ」

( ´∀`) 「で、みんな階段を上りたくないから、必然的に塔の下から埋まっていくことになるんだモナ」

( ゚∀゚)「つまり俺たちは……あー、少しばかり評判が悪くてな」

(;´∀`) 「お前が今日のも含めて297回もドアを吹き飛ばしたからモナ」



34:1 :2006/06/20(火) 00:20:24.70 ID:KmIKyWl40
  
(;^ω^)「じゃあ、最上階21階は何部が使っているんだお?」

( ゚∀゚)「瞬間移動魔法部と箒飛行部の2つさ」

( ^ω^)「あ、なるほど……」

瞬間移動や箒なら、わざわざ階段を登る必要がない。
ブーンは、またしても貧乏くじを引いてしまったことを悟った。

(;^ω^)(た、大変な部に入ってしまったお……そ、そうだ)

(;^ω^)「ちょ、ちょっと用を思い出したので帰りますお。さいなら!」

ブーンは脱兎のごとく、部屋の外へ向かって駆け出した。

( ´∀`) 「ジョルジュ、束縛魔法モナ!」

( ゚∀゚)「おう! 『ローピング』!」

ジョルジュが魔法を唱え、部屋の隅を指差した。
すると、部屋の奥からブーンめがけて、ロープが一直線に飛んでいく。

(;^ω^)「な、何だお!? おおくぁwせdrftgyふじこlp!?」

見る見るうちに、ブーンはロープでがんじがらめになっていた。



36:1 :2006/06/20(火) 00:22:16.88 ID:KmIKyWl40
  
( ´∀`) 「本来は本とかを縛るための魔法なんだけどモナ」

( ゚∀゚)「まあ少し落ち着いて、俺たちの自己紹介でも聞いてくれ」

(;^ω^)「ふもがもがもがもが!」

ブーンを縛ったロープは、猿轡としての役割も果たしていた。

( ゚∀゚)「おれぁおっぱい好きのジョルジュ。魔法科、黒魔法専攻だ」

( ´∀`) 「改めて…よろしくお願い申し上げますモナ。名前はモナー。戦士科、短・長剣術専攻モナ」

(;^ω^)「ふんがーふんがー!」

ブーンには二人の話など聞く気はない。
なんとか逃げ出そうともがいているが、あがく度にロープはきつくしまってくる。

( ゚∀゚)「まぁ落ち着けって。お前、魔法戦士科だろ?」

(;^ω^)(お? そんなこと言ったっけ?)

( ゚∀゚)「まだお前くらいしか塔に来ていないみたいだからな。戦士科、魔法科はまだツアーをやってんだろ」

( ´∀`) 「とにかく、これはひとつの取引モナ」



39:1 :2006/06/20(火) 00:25:39.11 ID:KmIKyWl40
  
二人が提案した取引。
それは、ブーンが単位を修めることを助ける代わりに、ブーンに協力してほしいということだった。

( ゚∀゚)「協力ってのは、俺たちの研究の手伝いのことだ」

( ´∀`) 「つまりは単に俺たちと部活をやっていればいいモナ」

( ゚∀゚)「悪くない取引だと思うぜ?」

確かにそれは、絶望的状況のブーンにとっては救いの手に見えた。



40:1 :2006/06/20(火) 00:26:28.46 ID:KmIKyWl40
  
(;^ω^)(むむむむむ)

( ´∀`) 「おとなしくなったみたいモナ」

そう言うとモナーは、どこからともなくナイフを取り出した。
ブーンを縛るロープが、あっという間に分断されていく。

(;^ω^)「プハー、怖かったお」

( ゚∀゚)「少々手荒くしたのは詫びる。入部してくれないかい?」

ブーンは顎に手を当て、考えるようなしぐさをとる。
しかし程なく、ブーンは顔を上げた。

( ^ω^)「わ、わかったお。改めて、入部をお願いするお」


今ここに、新生生活魔法部が結成された。




第2話 おわり



57:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/20(火) 00:42:30.73 ID:KmIKyWl40
  
今回登場した魔法
・ローピング……(生活魔法)ロープを操り、縛る。



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